JP2011086654A - 基板の加工方法及び基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板表面の平滑度をより高くする。
【解決手段】本発明に係る基板の加工方法は、ウェットエッチングによって基板を加工する基板の加工方法であって、基板は、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有し、基板の表面から前記第1の結晶格子面の方向に、エッチング深さを定めるための加工を施し(ステップS3)、該表面からウェットエッチングを進行させて、前記第1の結晶格子面を表出させる(ステップS4)工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、基板の表面を加工する基板の加工方法、及び表面が加工された基板に関する。
従来、基板やその基板が搭載する機器の品質向上のために、基板の表面の平滑度を高くすることが試みられている。例えば、平滑度が高い基板表面に発振器を搭載すると、発振器の特性が向上するため、基板の平滑度を高くすることは有用である。
また、ウェットエッチングにより基板を加工する技術が知られている。例えば、特許文献1では、面方位(100)の基板をウェットエッチングにより薄く加工している。このようなウェットエッチングによる加工技術により基板表面を平滑化することも考えられる。
特開2005−53066号公報
しかしながら、特許文献1の場合、面方位(100)の基板のために、結晶異方性に起因して面粗れが発生し、基板表面の平滑度を十分に高くすることは困難である。
また、砥石を用いた研削加工により基板表面を平滑化することも考えられる。しかし、この場合も、基板表面の平滑度を十分に高くすることは困難である。
本発明の課題は、基板表面の平滑度をより高くすることである。
以上の課題を解決するために、本発明の一態様は、
ウェットエッチングによって基板を加工する基板の加工方法であって、前記基板は、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有し、前記基板の表面から前記第1の結晶格子面の方向に、エッチング深さを定めるための加工を施し、該表面からウェットエッチングを進行させて、前記第1の結晶格子面を表出させる工程を含むことを特徴とする。
このような構成により、ウェットエッチングにより表出した表面は、同一平面内に存在する第1の結晶格子面によって構成されたものとなる。
そのため、ウェットエッチングにより表出した表面は、平滑度がより高いものとなる。
また、本発明の他の態様は、
前記基板は、レーザー光に対して透過性があり、前記エッチング深さを定めるための工程としての、前記基板にレーザー光を照射して前記基板に材料を変質させた変質部を形成する変質部形成工程と、前記基板の表面から前記変質部に沿ってウェットエッチングを進行させて前記基板の表面を除去し、前記第1の結晶格子面を表出させるエッチング工程と、を有し、前記変質部形成工程では、前記基板の幅方向については前記エッチング工程でのエッチング領域全体にわたって前記変質部を形成し、前記基板の厚さ方向については前記基板の表面から前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置まで前記変質部を形成していることを特徴とする。
このような構成により、ウェットエッチングは、変質部に沿って第1の結晶格子面を超えない近傍位置まで進行して、さらに第1の結晶格子面まで進行するようになる。
そのため、ウェットエッチングにより第1の結晶格子面が表出するようになる。
また、本発明の他の態様は、
前記変質部形成工程では、前記レーザー光の集光点を前記基板内を移動させることで前記変質部を形成しており、前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置における前記集光点のレーザー光のエネルギーを、該近傍位置以外の前記集光点のレーザー光のエネルギーよりも小さくすることを特徴とする。
このような構成により、第1の結晶格子面を超えない近傍位置における変質部の形成精度を高くすることができる。
そのため、新たに出現させる表面を高い位置精度で形成できる。
また、本発明の他の態様は、
前記変質部形成工程では、前記レーザー光を回折光学素子に透過させて複数のビームに分岐して前記基板に照射することを特徴とする。
このような構成により、複数の変質部を同時に形成できる。
また、本発明の他の態様は、
前記変質部形成工程では、光軸に沿って焦点方向に長い線像を作るアキシコン素子に前記レーザー光を透過させることにより前記基板の厚さ方向に延びる前記レーザー光の集光領域を形成して、前記レーザー光の集光領域により前記基板の厚さ方向に延在する変質部を形成することを特徴とする。
このような構成により、基板の厚さ方向に延在する変質部を短時間で形成できる。
また、本発明の他の態様は、
前記エッチング深さを定めるための加工として、前記基板の表面から前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置まで該基板を削ることを特徴とする。
このような構成により、基板を削るだけで、簡単にエッチング深さを定めるための加工を施すことができる。
また、本発明の他の態様は、
他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有し、表面の少なくとも一部は、ウェットエッチングによって表出した前記第1の結晶格子面によって構成されることを特徴とする。
このような構成により、表面は、ウェットエッチングによって表出した第1の結晶格子面となり、平滑度がより高いものとなる。
また、本発明の他の態様は、
前記基板は凹部を有しており、前記凹部の底面は、前記ウェットエッチングによって表出した前記第1の結晶格子面であることを特徴とする。
このような構成により、凹部の底面は、平滑度がより高いものとなる。
第1の実施形態の基板の加工方法の各工程を示すフローチャートである。 第1の実施形態の基板の加工方法の各工程における基板等の模式断面図である。 変質部形成工程で形成した変質部の深さに幅方向でばらつきがある場合の凹部の形成の説明をするために使用した図である。 幅が異なる複数の凹部を基板に形成する過程を示す図である。 幅が異なり、かつ深さが異なる複数の凹部を基板に形成する過程を示す図である。 基板の両面に凹部を形成する過程を示す図である。 側面が幅方向に傾斜する凹部を基板に形成する過程を示す図である。 図7に示す基板が有する効果の説明に使用した図である。 基板全体を薄くする過程を示す図である。 側面にも保護膜を形成した基板を示す図である。 レーザー光の照射によりエッチングマスク膜をパターニングする構成の説明に使用した図である。 エッチングマスク膜により露出する面側から集光点を基板の厚さ方向に移動させる場合の説明に使用した図である。 レーザーの基本波長光を回折光学素子により多点同時分岐させて複数箇所に同時にレーザー光を照射する構成の説明に使用した図である。 レーザーの基本波長光をアキシコン素子に透過させる構成の説明に使用した図である。 基板を高速回転させて基板に凹部を形成するときの処理内容を説明するために使用した図である。 第2の実施形態の基板の加工方法の各工程を示すフローチャートである。 第2の実施形態の基板の加工方法における研削加工を行う除去工程等の基板等の模式断面図である。 研削加工による除去加工後のエッチングによる凹部の底面の形成過程の説明に使用した図である。 第2の実施形態の基板の加工方法におけるブラスト加工等を行う除去工程等の基板等の模式断面図である。 ブラスト加工等による除去加工後のエッチングによる凹部の底面の形成過程の説明に使用した図である。
(第1の実施形態)
(構成)
第1の実施形態は、本発明を適用した基板の加工方法である。
第1の実施形態の基板の加工方法では、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板を加工している。
ここで、面方位(111)の基板は、レーザー光に対して透過性がある基板である。さらに、面方位(111)の基板は、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有する基板である。すなわち、面方位(111)の基板は、厚さ方向に進行するウェットエッチングのエッチング速度が、それ以外の方向に進行するウェットエッチングのエッチング速度よりも小さい材料で構成されている基板である。
図1は、本実施形態の基板の加工方法の各工程を示す。図2は、各工程における基板10等の模式断面図である。
図1に示すように、本実施形態の基板の加工方法は、保護膜形成工程(ステップS1)、パターニング工程(ステップS2)、変質部形成工程(ステップS3)、エッチング工程(ステップS4)、及び保護膜剥離工程(ステップS5)を有する。
(ステップS1:保護膜形成工程)
本実施形態の基板の加工方法では、先ず保護膜形成工程にて、基板10(図2(a))に対して保護膜2を形成する。この保護膜形成工程では、保護膜2としてSiO2膜(シリコン酸化膜)を基板10の両面11,12に形成する(図2(b))。なお、この保護膜形成工程では、保護膜2としてSiN膜(シリコン窒化膜)を形成することもできる。
(ステップS2:パターニング工程)
本実施形態の基板の加工方法では、続くパターニング工程(エッチングマスク膜形成工程)にて一方の表面11の保護膜2からエッチングマスク膜3をパターニングする。このパターニング工程では、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィー(レジスト膜塗布、露光及び現像)及び保護膜エッチングによりエッチングマスク膜3をパターニングする。本実施形態では、一方の表面11を凹形状にするため、該一方の表面11の外周部を覆うエッチングマスク膜3をパターニングする。
以下の説明では、基板10の表面又は両面11,12のうち、エッチングマスク膜3が形成されている面11又は後述のエッチング工程にてエッチングが進行していく側の面11を第1面11といい、エッチングマスク膜3にパターニングされずに保護膜2がそのまま残る面12を第2面12というものとする。
例えば、保護膜形成工程及びパターニング工程によるエッチングマスク膜3の形成過程は以下のようになる。
保護膜形成工程では、熱酸化法によりSiO2膜を形成する。続くパターニング工程では、SiO2膜上にスピンコート法によってレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストパターンを形成する。そして、パターニング工程では、フッ酸溶液等を用いてSiO2膜をレジストパターン形状に従って除去し、不要になったレジストパターンを剥離してエッチングマスク膜3を形成する。
(ステップS3:変質部形成工程)
本実施形態の基板の加工方法では、続く変質部形成工程(レーザー光照射工程)にて赤外線レーザーを基板10に照射して材料に変質部を形成する。この変質部形成工程は、エッチング深さを定めるための工程となる。
赤外線レーザーは、シリコン単結晶からなる材料で構成される基板10に対して透過性のあるレーザーとなる。ここで用いる赤外線レーザーは、例えば、YAGレーザー、YVO4レーザー又はYLFレーザーである。
この変質部形成工程では、赤外線レーザーの基本波長光30をレンズ31で透過させて基板10内に集光させる。そして、変質部形成工程では、図2(d−1)に示すように、集光点を基板10の厚さ方向に移動させる。このときの基板10の厚さ方向に沿う集光点の移動方向は、第2面12側から第1面11側に向かう方向となる。変質部形成工程では、このときの集光点の移動開始位置を、これから形成しようとする凹部の底面を形成する位置にする。そして、集光点の移動終了位置(レーザー光の照射終了位置)を第1面11にする。
なお、基板10の厚さ方向に沿う集光点の移動方向を第1面11側から第2面12側に向かう方向にすることもできる。
さらに、変質部形成工程では、レーザー光の強度や集光度合い(焦点深度)を集光点の移動に応じて適宜制御することが好ましい。具体的には、集光点の移動開始及び開始直後の位置では、集光度合いを短く(焦点深度を浅く)したり、レーザー光の強度を制限したりする。そして、それ以外の位置では、集光度合いを長く(焦点深度を深く)したり、レーザー光の強度を強くしたりする。これにより、集光点の移動開始及び開始直後の位置では、集光点のレーザー光のエネルギーが小さくなり、それ以外の位置では、集光点のレーザー光のエネルギーが大きくなる。
以上のようなレーザー光の照射により、基板10内には、該基板10の厚さ方向に沿う集光点の移動経路に沿って材料が変質した変質部(図2(d−1)に示す太線部)4が形成される。
そして、変質部形成工程では、図2(d−2)に示すように、基板10の幅方向(面方向)に変質部4を連続して形成する。そのため、変質部形成工程では、基板10の幅方向に該基板10とレーザーとを相対的に移動させつつ、前述のように基板10にレーザー光を照射する。例えば、変質部形成工程では、XYテーブルにより基板10を移動させるワーク移動を行い、移動する基板10にレーザー光を照射する。
なお、変質部形成工程では、ガルバノスキャナーによりレーザー光の方を移動させることもできる。
(ステップS4:エッチング工程)
本実施形態の基板の加工方法では、続くエッチング工程にて基板10に凹部11aを形成する。このエッチング工程では、ウェットエッチングにより異方性エッチングを行う。具体的には、エッチング工程では、図2(e−1)に示すように、水酸化カリウム(KOH)の水溶液5に基板10を浸漬させる。これにより、エッチング工程では、図2(e−2)に示すように、エッチングマスク膜3のパターン形状に従って基板10の第1面11側からエッチングを進行させて基板10に凹部11aを形成する。すなわち、エッチング工程では、基板10の板厚を局所的に薄くする。
ここで、変質部4の形成とエッチングによる凹部11aの形成との関係を説明する。
前述のように、基板10は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板であり、両面11,12が結晶面(第1の結晶格子面)である(111)面から構成されている。そして、この基板10は、エッチング工程で、エッチングマスク膜3により第1面11で露出している面がエッチングを受ける。
ここで、仮に変質部4を形成せずにウェットエッチングを施すと、(111)面である第1面11ではエッチング速度が極端に小さい又はエッチングされ難いため、エッチングがほとんど進まない。よって、仮に変質部4を形成せずにウェットエッチングを施したとすると、エッチング工程では、第1面11のエッチングが進まないために凹部11aを十分に形成することができない。
これに対して、本実施形態では、エッチング工程の前工程にて予め変質部4を形成することでエッチングを進めている。これは、変質部4がエッチングされ易いという特性を利用したものである。
すなわち、変質部4は、シリコン単結晶にレーザー光が照射されることにより、単結晶中の原子の結合が切断されたり、微小なクラックが発生したり、結晶性が破壊されたりして形成されたものである。そのため、変質部4のエッチング速度は、変質されていない材料の領域と比較すると格段に大きくなる。本実施形態のエッチング工程では、このような変質部4の特性を利用してエッチングの進行を可能にしている。
そして、このように変質部に沿って進行するエッチングは、変質部4の最深部(集光点の移動開始位置相当)に位置する(111)面まで進んで停止する。これは、基板10において変質部でない部位に(111)面が現れることで、エッチング速度が極端に小さくなる又はエッチングされ難くなるからである。又は、変質部4の最深部が(111)面の手前まで形成されていたとしても、エッチングは、該手前の部位をそのまま進行し、最終的には、エッチング速度が極端に小さくなる又はエッチングされ難くなる(111)面まで進行するからである。
図2(f)は、エッチング工程を経た基板10の形状を示す。図2(f)に示すように、基板10には、エッチングマスク膜3に応じた開口部又は幅を有する凹部11aが形成されている。そして、凹部11aの深さは、変質部形成工程で形成した変質部4の深さ(集光点の移動開始位置)に対応した深さになっている。
(ステップS5:保護膜剥離工程)
本実施形態の基板の加工方法では、続く保護膜剥離工程にて基板10から保護膜(エッチングマスク膜3)を剥離する。ここで、保護膜剥離工程では、保護膜がSiO2膜の場合、HF系の保護膜剥離液を用いてウェットエッチングにより剥離する。また、保護膜剥離工程では、保護膜がSiN膜の場合、ドライエッチングにより剥離する。
本実施形態の基板の加工方法は、以上の各工程を経て基板10を加工し、基板10に凹部11aを形成している。
(作用及び効果)
シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板10の場合、第1面11が(111)面となり、本来であればエッチングが進行し難いものとなる。
これに対して、本実施形態の基板の加工方法では、前述のように予め変質部4を形成することで、エッチングの進行を可能にしている。
また、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程及びエッチング工程といった工程により、基板内に応力が発生するような機械的加工を経ずに、簡単に基板10に凹部11aに形成、すなわち簡単に基板10を局所的に薄型化することができる。
また、エッチング工程では、たとえ変質部形成工程で形成した変質部4の深さ(集光点の移動開始位置)に幅方向でばらつきがあったとしても、最深(最長)の変質部4を基準にその最深部(最深端)に位置する(111)面までエッチングが進む。
ここで、図3を用いて、変質部形成工程で形成した変質部4の深さに幅方向でばらつきがある場合の凹部11aの形成過程を説明する。
図3(a)中で変質部4を示す太線の長さが変質部4の長さ(深さ)そのものを表すものとする。つまり、図3(a)に示す基板10では、変質部4の深さが幅方向でばらついている。
このような場合、エッチングは、各変質部4に沿って進み、それぞれの変質部4の最深部に位置する(111)面まで進む。ここで、変質部4の深さが幅方向でばらついているため、結果として、最深の変質部4の最深部に位置する(111)面が最も深い所(最も第2面12に近い所)に位置するようになる。しかし、このような場合でも、エッチングをそのまま続けると、最深の変質部4以外の部位のエッチングが進むようになる。すなわち、結晶格子オーダーで基板10の表面に粗さが発生しており、エッチングをそのまま続けると、その粗さがなくなる方向にエッチングが進むようになる。その結果、全ての変質部4に沿って進んできたエッチングが、最深の変質部4の最深部に位置又はその先に位置する(111)面と同一面内の(111)面まで進むようになる。
なお、図3(a)では説明を解り易くするために、変質部4の長さ(太線の長さ)の幅方向におけるばらつきを極端にしている。しかし、実際には、変質部4の長さ(太線の長さ)の幅方向におけるばらつきの程度は、レーザー光の照射制御の精度と同等であり、極端に大きくならないことは言うまでもない。
以上のように、たとえ変質部形成工程で形成した変質部4の深さに幅方向でばらつきがあったとしても、最深となる変質部4を基準にその最深部の(111)面までエッチングが進むようになる。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、同一平面内に位置する(111)面を底面11a1として有する凹部11aを形成することができる。すなわち、本実施形態の基板の加工方法では、幅方向にわたって深さが均一な凹部11aを基板10に形成することができる。例えば、図3に示すように、最深の変質部4がdの長さを有するものであれば、均一な深さd(結晶格子のオーダーでdそれよりも多少深い場合もある)を有する凹部11aを基板10に形成することができる。
そして、底面11a1は、同一平面内に位置する(111)面によって構成されるために、結晶格子オーダーで平滑度が高い面又は鏡面状の面となる。つまり、本実施形態の基板の加工方法では、変質部4を幅方向に広がりをもって形成するだけで、平滑度が非常に高い底面11a1を有する凹部11aを基板10に形成することができる。
また、本実施形態の基板の加工方法では、基板10に様々な態様の凹部を形成することができる。
図4〜図7は、本実施形態の基板の加工方法により凹部が形成された基板10を示す。
図4(d−2)に示すように、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程にて、レーザー光の照射位置を制御して基板10において幅方向で区分した部位(互いに離れた部位)に変質部4を形成する。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、図4(g)に示すように、幅a、bが異なる複数の凹部11b,11cを基板10の第1面11側に形成できる。
ここで、第1面11においてエッチングマスク膜3により覆われてなく、かつ変質部4が形成されていない部位(非変質部)11dは、その表面11d1のエッチングが進まないためにそのまま残り、凹部11b,11cを区分する壁を構成している。
また、図5(d−2)に示すように、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程にて、レーザー光の照射位置を制御し、基板10において幅方向で区分した部位(互いに離れた部位)に変質部4を形成する。このとき、変質部形成工程にて、さらに集光点開始位置を制御する。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、図5(g)に示すように、幅a、bが異なり、かつ深さ(底部の厚さ)が異なる複数の凹部11e,11fを基板10の第1面11側に形成できる。この例では、凹部11eの方が凹部11fよりもΔdだけ深くなっている。
また、図6(d−2)に示すように、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程にて、両面11,12それぞれに変質部4を形成する。この場合、パターニング工程にて、両面11,12にエッチングマスク膜3をパターニングする必要がある。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、図6(g)に示すように、基板10の両面11,12に凹部11g,12aを形成できる。
また、図7(d−2)に示すように、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程にて、基板10の中心部に同じ深さで変質部4を形成するとともに、その中心部の外周部に外側に行くなるほど浅くなる変質部4を形成する。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、図7(g)に示すように、側面11h1が幅方向に傾斜する(外周部にテーパーを有する)凹部11hを基板10に形成できる。
このように、基板10の凹部11hの側面11h1を幅方向に傾斜させることで、図8に示すように、基板10を回転させながら基板10に材料(レジスト液)を塗布するスピン塗布時に、凹部11hから材料を容易に排出させることができる。これにより、基板10の凹部11hに形成した膜(例えばレジスト膜)21は、その膜厚のばらつきが抑えられたものとなる。さらに、凹部11hの底面の平滑度が高いため、凹部11hの底面と膜との密着度合いが高いものとなる。
以上のように、本実施形態の基板の加工方法では、基板10に様々な態様の凹部を形成することができる。なお、本実施形態の基板の加工方法では、この図4〜図7の例に限定されるものではなく、任意の形状や任意の個数の凹部を形成することができる。
また、本実施形態の基板の加工方法では、基板10の全体をより薄くする加工をすることもできる。
図9は、基板10を薄板形状に加工する工程を示す。
この場合、本実施形態の基板の加工方法では、保護膜形成工程にて、図9(b)に示すように、基板10の第2面12だけに保護膜2を形成する。さらに、本実施形態の基板の加工方法では、変質部形成工程にて、図9(d−2)に示すように、基板10にレーザー光を照射して基板10の幅方向の全領域にわたって変質部4を形成する。このときの変質部4の最深部の位置を薄板加工後の基板10の表面位置にする。そして、本実施形態の基板の加工方法では、エッチング工程にてエッチングにより変質部4を除去することで、図9(g)に示すように、基板10の全体を薄型化できる。
例えば、以上のように本実施形態の基板の加工方法により凹部が形成され又は薄型化された基板は、インクジェット用のノズルプレートや半導体チップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術に適用することができる。
また、発信器を搭載する基板に適用することができる。この場合、本実施形態の基板の加工方法により加工された基板の表面は平滑度が高くなっているため、発振器の特性が向上する。
また、前述のように、変質部形成工程では、第2面12側から、レーザー光が入射される側の面である第1面11側に集光点を移動させている。これにより、変質部形成工程では、集光点を形成するレーザー光が既に形成されている変質部4と干渉してしまうのを防止できる。この結果、変質部形成工程では、高い精度で変質部4を形成できる。
さらに、前述のように、変質部形成工程では、レーザー光の強度や集光度合い(焦点深度)を集光点の移動に応じて適宜制御している。具体的には、変質部形成工程では、集光点の移動開始及び開始直後の位置で集光点のレーザー光のエネルギーが小さくなり、それ以外の位置で集光点のレーザー光のエネルギーが大きくなるように適宜制御している。
これにより、変質部形成工程では、集光点の移動開始及び開始直後の位置、すなわち凹部11aの底面11a1が形成される部位の変質部4の最深部の形成精度を高くすることができる。この結果、凹部11aの底面11a1を形成する位置精度が高くなる。また、変質部形成工程では、それ以外の位置で集光点のレーザー光のエネルギーが大きくすることで、変質部形成工程でのレーザー処理速度やエッチング工程でのエッチング速度、保護膜剥離工程での保護膜剥離速度の向上を実現可能にする。
(第1の実施形態の変形例)
(変形例1)
本実施形態の基板の加工方法による加工の対象の基板は、レーザー光に対して透過性があり、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有する基板であれば良い。
例えば、本実施形態の基板の加工方法による加工の対象を水晶で構成される基板とすることもできる。さらに、この場合、いわゆるX板の水晶基板(Xカット水晶基板)を加工の対象とすることもできる。このX板の水晶基板は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板と同様に、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有する基板である。
このような場合でも、本実施形態では、エッチング工程の前工程にて水晶基板に予め変質部を形成することで、前述したシリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板と同様に、エッチングを進めることができる。この結果、X板の水晶基板であっても凹部を形成することができる。そして、このようにして形成された水晶基板の凹部の底面は、シリコン単結晶からなる材料で構成される面方位(111)の基板と同様に、平滑度が高い面又は鏡面状になる。
(変形例2)
基板の材料を変更した場合、その材料に応じた内容で各工程を実施する。前述のように、加工の対象を水晶基板とした場合、変質部形成工程では、レーザーとして超短パルスレーザーや紫外光レーザーを用いる。超短パルスレーザーは、例えば、p秒(ピコ秒)やf秒(フェムト秒)等のパルスレーザーである。
(変形例3)
図10に示すように、本実施形態の基板の加工方法では、保護膜形成工程にて、基板10の側面(幅方向の表面)13,14にも保護膜2を形成することもできる。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、側面13,14が不用意にエッチングされてしまうこと防止し、目標の幅を維持しつつ、基板10に凹部を形成することができる。
(変形例4)
保護膜2を不要とすることもできる。保護膜2を不要にすることで、エッチングで板厚が薄くなること等を問わなければ、保護膜形成工程、パターニング工程、及び保護膜剥離工程を省略できる。
また、保護膜2を形成しない場合、基板全体がエッチングされるため、本実施形態の基板の加工方法において、基板を薄板加工したのと同等の効果を得ることができる。
また、シリコン単結晶の面方位(111)の基板やX板の水晶基板は、露出している面でも変質部が形成されていない部位の面はほとんどエッチングされない。そのため、シリコン単結晶の面方位(111)の基板やX板の水晶基板の場合には、保護膜形成の必要性が低く、基板を薄くしてしまうことなく凹部を形成できる。
(変形例5)
パターニング工程では、フォトリソグラフィー技術ではなく、図11に示すように、レーザー光の照射により保護膜2の不要部分を除去してエッチングマスク膜3をパターニングすることもできる。
また、変質部形成工程にて、基板10及び保護膜2にレーザー光を照射することもできる。すなわち、変質部形成工程にて、基板10に変質部を形成するとともに、保護膜2へのレーザー光の照射によりエッチングマスク膜3をパターニングする。
これにより、基板10に凹部を形成するための一工程となるフォトリソグラフィーの工程を省略できる。そして、変質部形成工程で使用するレーザー光の照射設備を利用すれば、結果として凹部を形成した基板10を安価に提供できる。なお、膜加工専用のレーザー光の照射設備により保護膜2を加工できることは言うまでもない。
(変形例6)
基板の表面からのレーザー光の入射を確保できるものであれば、すなわち例えば、レーザー光が入射する基板の表面が鏡面であり、入射されるレーザー光を散乱させるものでなければ、レーザー光が入射される面は、限定されない。
すなわち、変質部形成工程では、図12(d−1)に示すように、保護膜2が形成されている第2面12側からレーザー光を照射し、エッチングマスク膜3により露出する第1面11側から集光点を基板10の厚さ方向に移動させることもできる。この場合、変質部形成工程では、集光点の移動開始位置を第1面11にし、第2面12側における集光点の移動終了位置を、これから形成しようとする凹部の底面を形成する位置にする。
そして、変質部形成工程では、図12(d−2)に示すように、基板10の幅方向に変質部4を連続して形成する。
これにより、変質部形成工程では、高い自由度で変質部を形成することができる。
(変形例7)
変質部形成工程では、図13に示すように、レーザーの基本波長光30を回折光学素子32により多点同時分岐させて目標の複数箇所に同時にレーザー光を照射することもできる。
これにより、変質部形成工程では、一度のレーザー光照射のスキャンで基板10内に複数の変質部4を形成できる。この結果、変質部形成工程では、レーザー光照射のスキャン回数を減らすことができ、基板の加工時間を短縮できる。
(変形例8)
変質部形成工程では、図14に示すように、レーザーの基本波長光30をアキシコン素子33に透過させることもできる。アキシコン素子33は、光軸に沿って焦点方向に長い線像を作る光学素子であるため、レーザー光は、基板10の厚さ方向に延在する集光領域(長焦点)を形成するようになる。
これにより、変質部形成工程では、一度のレーザー光照射で基板10の厚さ方向に延びる変質部4を形成でき、基板の加工時間を短縮できる。
(変形例9)
変質部形成工程では、基板を回転させつつ、固定配置したレーザーのオン及びオフを適宜切り替えることで変質部を形成することもできる。
図15は、基板10を高速回転させて基板10に凹部を形成するときの処理内容を示す図である。図15(a)は、基板10を側方からみた斜視図である。図15(b)は、基板10の平面図である。
図15に示すように、変質部形成工程では、レーザー光30をレンズ31に透過させて基板10内に集光させる。そして、変質部形成工程では、基板10を高速回転させて、レーザー光を基板10の中心から外周に移動させる。又は、基板10の外周から中心に移動させる。このとき、変質部形成工程では、その基板10の回転に同期させて必要に応じてレーザー光をオン及びオフさせることで、任意の長さ(深さ)の変質部4を任意の位置(図15(b)中に示す斜線で囲む領域)に形成できる。
(変形例10)
本実施形態の基板の加工方法では、基板にある程度の深さの凹部(未完成の凹部)を形成した後に、前述したように、変質部形成工程、エッチング工程等を経て、最終的に基板に凹部を形成することもできる
例えば、本実施形態の基板の加工方法では、砥石による研削加工による機械加工により基板の表面の一部を除去してから、変質部形成工程、エッチング工程等を経て、最終的に基板に凹部を形成することもできる。この場合、本実施形態の基板の加工方法では、砥石による研削加工に替えて、砥粒を噴射するブラスト加工やレーザーにより直接加工するレーザー加工を行うこともできる。
これにより、本実施形態の基板の加工方法では、例えば、基板に凹部を形成するための加工時間を短縮できる。
(第2の実施形態)
(構成)
第2の実施形態は、本発明を適用した基板の加工方法である。
前記第1の実施形態では、レーザー照射により変質部を形成しておくことでエッチングの進行を可能にしている。これに対して、第2の実施形態では、機械加工しておくことでエッチングの進行を可能にしている。
第2の実施形態の基板の加工方法の構成は、以下の説明において特に言及する構成以外、前記第1の実施形態の基板の加工方法の構成と同様である。
図16は、第2の実施形態の基板の加工方法の各工程を示す。図17は、各工程における基板10等の模式断面図である。なお、図17は、第1の実施形態のもの(前記図2)と異なる部分の模式断面図を示している。
図16に示すように、本実施形態の基板の加工方法は、保護膜形成工程(ステップS1)、除去工程(ステップS11)、エッチング工程(ステップS4)、及び保護膜剥離工程(ステップS5)を有する。
(ステップS1:保護膜形成工程)
本実施形態の基板の加工方法では、前記第1の実施形態と同様に、先ず保護膜形成工程にて、基板10(図2(a))に対して保護膜2を形成する。この保護膜形成工程では、保護膜2としてSiO2膜(シリコン酸化膜)を基板10の両面11,12に形成する(図2(b))。なお、この保護膜形成工程では、保護膜2としてSiN膜(シリコン窒化膜)を形成することもできる。
(ステップS11:除去工程)
本実施形態の基板の加工方法では、続く除去工程にて機械加工により基板10の一部を除去する。この除去工程は、エッチング深さを定めるための工程となる。
この除去工程では、機械加工として、砥石による研削加工(平面研削加工)を行う。これにより、除去工程では、図17(d−1)、(d−2)及び(d−3)の変化として示すように、基板10の表面11の一部を研削していき目標位置まで掘り下げる。このときの目標位置は、凹形状の底面を形成する位置相当となる。
また、除去工程では、研削により保護膜2の一部を同時に除去している。すなわち、第2の実施形態の基板の加工方法では、パターニング工程(前記図2のステップS2)を省略して、除去工程の研削によりエッチングマスク膜3をパターニングしている。
(ステップS4:エッチング工程)
本実施形態の基板の加工方法では、前記第1の実施形態と同様に、続くエッチング工程にて基板10に凹部11aを形成する。このエッチング工程では、ウェットエッチングにより異方性エッチングを行う。具体的には、エッチング工程では、図17(e−1)に示すように、水酸化カリウム(KOH)の水溶液5に基板10を浸漬させる。
ここで、先の除去工程にて研削により掘り下げられて現れた面(研削面)11a2は、結晶状態が崩れた状態(例えば微細クラックにより崩れた状態)になっている。この状態は、前述のように、変質部4が単結晶中の原子の結合が切断されたりしている状態と同等と言える。
このようなことから、エッチング工程では、その掘り下げられて現れた面11a2からエッチングが進んで、図17(e−2)に示すように、エッチング速度が極端に小さくなる(111)面でエッチングが停止する。このときの(111)面が凹部11aの底面11a1を構成するものとなる。
このように、本実施形態の基板の加工方法では、除去工程にて基板10の凹部11aを形成して、エッチング工程にてエッチングによりその凹部11aの底面11a1を形成している。
(ステップS5:保護膜剥離工程)
本実施形態の基板の加工方法では、前記第1の実施形態と同様に、続く保護膜剥離工程にて基板10から保護膜(エッチングマスク膜3)を剥離する。
本実施形態の基板の加工方法は、以上の各工程を経て基板10を加工し基板10に凹部11aを形成している。
(作用及び効果)
第2の実施形態の基板の加工方法では、除去工程にて研削により基板10の第1面11を掘り下げることで、エッチングにより形成された凹部11aの底面11a1をより平滑度が高い面又は鏡面状にすることができる。
すなわち、掘り下げた面11a2は、研削加工によりある程度面が粗れて瑕がついている。そのため、エッチング工程では、図18の(a)から(b)への変化として示すように、掘り下げた面11a2において、瑕の底(先端)に位置する(111)面までエッチングが進むようになる。より詳しくは、瑕の中で最も深い瑕の底(先端)に位置する(111)面までエッチングが進むようになる。又は、最も深い瑕の底(先端)が(111)面の手前に位置されていたとしても、エッチングは、該手前の部位をそのまま進行し、最終的には、エッチング速度が極端に小さくなる又はエッチングされ難くなる(111)面まで進行するようになる。
よって、基板10において第1面11から瑕の底までの距離がdであった場合には、エッチング工程では、その距離d又はその距離dの近傍に位置する(111)面までエッチングが進む。
この結果、凹部11aの底面11a1は、同一平面内に存在する(111)面によって構成される。これにより、凹部11aの底面11a1は、結晶格子オーダーで平滑度が高い面又は鏡面状の面となる。
また、第2の実施形態の基板の加工方法では、研削といった加工により、簡単に基板10の表面を粗くすることができ、結果的には、簡単に基板10の表面の平滑度を高くすることができる。
また、第2の実施形態の基板の加工方法でも、前記第1の実施形態と同様に、基板10に様々な態様の凹部を形成したり、基板10を薄型化したりすることができる(前記図4〜図9)。
さらに、以上のように本実施形態の基板の加工方法により凹部が形成され又は薄型化された基板は、前記第1の実施形態と同様に、例えば、インクジェット用のノズルプレートや半導体チップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術に適用することができる。
(第2の実施形態の変形例)
(変形例1)
除去工程では、砥粒を噴射するブラスト加工やレーザーにより直接加工するレーザー加工を行うこともできる。
この場合、本実施形態の基板の加工方法では、除去工程にて基板10の第1面11の一部に砥粒の噴射等をする。これにより、除去工程では、図19(d)に示すように、基板10の第1面11の一部を粗彫して凹凸形状にする(複数の溝を形成する)。
さらに、本実施形態の基板の加工方法では、エッチング工程にて基板10に凹部11aを形成する。ここで、基板10の第1面11の一部が凹凸形状になっているため、その凹凸部分は、結晶状態が崩れた状態(例えば微細クラックにより崩れた状態)になっている。
このようなことから、エッチング工程では、その凹凸部分がエッチングされて、図19の(e−1)から(e−2)への変化として示すように、エッチングが(111)面まで進んで停止する。これにより、エッチング工程にて、凹部11aが基板10に形成される。
そして、本実施形態の基板の加工方法では、保護膜剥離工程にて、基板10から保護膜(エッチングマスク膜3)を剥離する。
このような本実施形態の基板の加工方法では、除去工程にて基板10の第1面11の一部を凹凸形状としておくことで、エッチングにより形成された凹部11aの底面11a1をより平滑度が高い面又は鏡面状にすることができる。
すなわち、基板10の第1面11の一部を凹凸形状としておくと、エッチング工程では、図20の(a)から(b)への変化として示すように、その凹凸部分の底に位置する(111)面までエッチングが進むようになる。より詳しくは、最も深い底に位置する(111)面までエッチングが進むようになる。又は、最も深い瑕の底が(111)面の手前に位置されていたとしても、エッチングは、該手前の部位をそのまま進行し、最終的には、エッチング速度が極端に小さくなる又はエッチングされ難くなる(111)面まで進行するようになる。
よって、基板10において第1面11から底までの距離がdであった場合には、エッチング工程では、その距離d又はその距離dの近傍に位置する(111)面までエッチングが進む。
この結果、凹部11aの底面11a1は、同一平面内に存在する(111)面によって構成される。これにより、凹部11aの底面11a1は、結晶格子オーダーで平滑度が高い面又は鏡面状の面となる。
(変形例2)
基板の材料や加工方法に応じた内容で各工程を実施する。
例えば、シリコン単結晶の面方位(111)の基板に対してレーザー加工により除去加工する場合、レーザーとして、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー等の基本波を含む紫外光レーザーまでの全ての高調波レーザーを用いることができる。さらには、半導体レーザー、全ての波長のエキシマレーザー、p秒(ピコ秒)やf秒(フェムト秒)等の超短パルスレーザーを用いることもできる。また、水晶基板に対してレーザー加工により除去加工する場合、レーザーとしてCO2レーザーを用いることができる。
このようにレーザーの種類に制約がないのは、除去加工で用いるレーザーには、変質部を形成する場合と異なり、基板の透過性が要求されないからである。
2 保護膜、3 エッチングマスク膜、4 変質部、10 基板、11 第1面、11a 凹部、11a1 底面、12 第2面、30 基本波長光(レーザー光)、S1 保護膜形成工程、S2 パターニング工程、S3 変質部形成工程、S4 エッチング工程、S5 保護膜剥離工程、S11 除去工程

Claims (8)

  1. ウェットエッチングによって基板を加工する基板の加工方法であって、
    前記基板は、他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有し、
    前記基板の表面から前記第1の結晶格子面の方向に、エッチング深さを定めるための加工を施し、該表面からウェットエッチングを進行させて、前記第1の結晶格子面を表出させる工程を含むこと
    を特徴とする基板の加工方法。
  2. 前記基板は、レーザー光に対して透過性があり、
    前記エッチング深さを定めるための工程としての、前記基板にレーザー光を照射して前記基板に材料を変質させた変質部を形成する変質部形成工程と、
    前記基板の表面から前記変質部に沿ってウェットエッチングを進行させて前記基板の表面を除去し、前記第1の結晶格子面を表出させるエッチング工程と、を有し、
    前記変質部形成工程では、前記基板の幅方向については前記エッチング工程でのエッチング領域全体にわたって前記変質部を形成し、前記基板の厚さ方向については前記基板の表面から前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置まで前記変質部を形成していること
    を特徴とする請求項1に記載の基板の加工方法。
  3. 前記変質部形成工程では、前記レーザー光の集光点を前記基板内を移動させることで前記変質部を形成しており、
    前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置における前記集光点のレーザー光のエネルギーを、該近傍位置以外の前記集光点のレーザー光のエネルギーよりも小さくすること
    を特徴とする請求項2に記載の基板の加工方法。
  4. 前記変質部形成工程では、前記レーザー光を回折光学素子に透過させて複数のビームに分岐して前記基板に照射することを特徴とする請求項2又は3に記載の基板の加工方法。
  5. 前記変質部形成工程では、光軸に沿って焦点方向に線像を作るアキシコン素子に前記レーザー光を透過させることにより前記基板の厚さ方向に延びる前記レーザー光の集光領域を形成し、前記レーザー光の集光領域により前記基板の厚さ方向に延在する変質部を形成することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の基板の加工方法。
  6. 前記エッチング深さを定めるための加工として、前記基板の表面から前記第1の結晶格子面を超えない近傍位置まで該基板を削ることを特徴とする請求項1に記載の基板の加工方法。
  7. 他の方位よりウェットエッチング速度が小さい第1の結晶格子面を有し、表面の少なくとも一部は、ウェットエッチングによって表出した前記第1の結晶格子面によって構成されることを特徴とする基板。
  8. 前記基板は凹部を有しており、
    前記凹部の底面は、前記ウェットエッチングによって表出した前記第1の結晶格子面であること
    を特徴とする請求項7に記載の基板。
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