JP2011086187A - 入力方法、シミュレーション装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

入力方法、シミュレーション装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】室内環境での様々なシミュレーションを行うにあたり、対象領域である部屋の大きさ及び形状を、部屋の画像データを用いて、自動的に入力することが可能な入力方法、シミュレーション装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】任意の部屋の大きさ及び形状を示す間取り図を画像データにデータ化する。この画像データを用いて、部屋の平面的な大きさ及び形状をシミュレーション装置に入力する。また、別途、部屋の高さをシミュレーション装置に入力する。入力された部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに部屋の高さに基づいて、シミュレーション装置は対象領域を構築し、室内環境シミュレーションを実行する。
【選択図】図6

Description

本発明は、室内環境シミュレーションに必要となる条件を入力するための入力方法、シミュレーション装置及びコンピュータプログラムに関する。
閉空間における微粒子、流体等の挙動を求めるシミュレーションが知られている。例えば、室内のイオン分布、室内の熱拡散等を求めるシミュレーションがこれに該当する。特許文献1には、室内のイオン分布シミュレーション方法が、非特許文献1には、熱流体解析などに利用する解析ソフトウェアプログラムが開示されている。
このような室内環境シミュレーションでは、間取り図(建築設計図面)に基づいて、手入力により対象領域の座標入力が行われる。同様の座標入力は、住宅設計のための換気効果、日照条件等の環境シミュレーションの場合にも必要となる。
特開2006−38451号公報
アンシス・ジャパン株式会社、"アンシス・ジャパン株式会社−プロダクト−FLUENT(登録商標)"、[online]、[平成21年9月14日検索]、インターネット〈URL:http://ansys.jp/products/fluent/〉
しかしながら、間取り図からシミュレーションに必要な対象領域の座標を把握するためには、多大な熟練を要する。また、部屋の形状が複雑な場合、入力する座標の数も多くなり、入力作業は繁雑なものとなる。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、室内環境の様々なシミュレーションを行うにあたり、対象領域に対応する部屋の大きさ及び形状を、部屋の画像データを用いて、自動的に入力することが可能な入力方法、シミュレーション装置及びコンピュータプログラムを提供することである。
本発明に係る入力方法は、室内環境シミュレーションの対象領域に対応する部屋の大きさ及び形状をシミュレーション装置に入力する入力方法において、部屋の平面情報を示す画像データを用いて、部屋の平面的な大きさ及び形状をシミュレーション装置に入力することを特徴とする。
本発明に係る入力方法は、部屋の高さをシミュレーション装置に入力することを特徴とする。
本発明に係る入力方法は、前記画像データの解像度及び前記シミュレーション装置に設定される画像データの解像度が異なる場合、前記画像データの解像度を前記シミュレーション装置に設定される画像データの解像度に変更することを特徴とする。
本発明に係る入力方法は、前記部屋の平面情報は、部屋が単色で塗りつぶされた平面プロフィールであることを特徴とする。
本発明に係るシミュレーション装置は、任意の大きさ及び形状の部屋を対象領域に設定して、室内環境をシミュレートするシミュレーション装置において、入力された部屋の平面情報を示す画像データの形式を判別する画像形式判別手段と、前記画像データから、前記部屋の平面プロフィールに係る画素データを前記画像形式判別手段により判別した画像データ形式に従って抽出する画素抽出手段と、該画素抽出手段により抽出された画素データを解析して、前記対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出する平面情報算出手段と、該平面情報算出手段により算出された部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、前記対象領域を構築する手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、任意の大きさ及び形状の部屋を対象領域に設定して、室内環境シミュレーションを実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、入力された部屋の平面情報を示す画像データの形式を判別する画像形式判別ステップと、前記画像データから、前記部屋の平面プロフィールに係る画素データを前記画像形式判別ステップにより判別した画像データ形式に従って抽出する画素抽出ステップと、該画素抽出ステップにより抽出された画素データを解析して、前記対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出する平面情報算出ステップと、該平面情報算出ステップにより算出された部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、前記対象領域を構築するステップとを実行させることを特徴とする。
本発明にあっては、室内環境シミュレーションの対象領域に対応する部屋の平面情報を示す画像データから、部屋の平面的な大きさ及び形状が特定され、自動的にシミュレーション装置へ入力され、座標等の入力が不要となる。
本発明にあっては、部屋の高さをシミュレーション装置に入力する。
本発明にあっては、部屋の平面情報を示す画像データの解像度及び室内環境シミュレーションの対象領域の大きさを算出するシミュレーション装置に設定される画像データの解像度が異なる場合、画像データの解像度を、シミュレーション装置に設定される画像データの解像度に変更する。
本発明にあっては、部屋の平面情報は、部屋が単色で塗りつぶされた平面プロフィールである。
本発明にあっては、入力された任意の部屋の平面情報を示す画像データのヘッダ部から画像データ形式を判別する。入力された任意の部屋の平面情報を示す画像データから、部屋の平面プロフィールに係る画素データを、判別した画像データ形式に従って抽出する。抽出した画素データを解析して、室内環境シミュレーションの対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出する。算出した部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、室内環境シミュレーションの対象領域を構築する。
本発明にあっては、コンピュータに、入力された任意の部屋の平面情報を示す画像データのヘッダ部から画像データ形式を判別させる。コンピュータに、入力された任意の部屋の平面情報を示す画像データから、部屋の平面プロフィールに係る画素データを、判別した画像データ形式に従って抽出させる。コンピュータに、抽出した画素データを解析して、室内環境シミュレーションの対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出させる。コンピュータに、算出させた部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、室内環境シミュレーションの対象領域を構築させる。
本発明による場合、室内環境の様々なシミュレーションを行うにあたり、対象領域に対応する部屋の大きさ及び形状を、部屋の画像データを用いて、自動的に入力することができる。
実施の形態1におけるイオン分布シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1におけるイオン分布シミュレーション装置の制御部により実行されるシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。 シミュレーション対象の部屋の間取り図に係るBMPファイルの一例を示す説明図である。 対象領域を構築する処理の手順を示すフローチャートである。 間取り図から抽出した平面座標データ例の説明図である。 制御部によりシミュレーションプログラムが実行された場合にディスプレイに表示されるGUI画面の内容例を示す説明図である。 パーティションで仕切られた部屋の間取りに関する説明図である。 作成した図形の画像及び間取り図の画像を画像ソフトで読み込んだ状態の説明図である。 画像ソフトにより間取り図の画像の縮尺を修正した状態の説明図である。 対象領域の部屋を赤色で塗りつぶした例の説明図である。 ピクセル情報を2次元配列に格納する処理の手順を示すフローチャートである。 対象領域のピクセル情報を例示した説明図である。 頂点の分類の説明図である。 頂点の分類を加味して対象領域のピクセル情報を例示した説明図である。
以下、本発明をイオン分布シミュレーションに適用した場合の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1
図1は、実施の形態1におけるイオン分布シミュレーション装置1の構成を示すブロック図である。イオン分布シミュレーション装置1は実施の形態1に係るイオン分布シミュレーションを実行する。
イオン分布シミュレーション装置1は、パーソナルコンピュータを用い、CPU(Central Processing Unit)などの制御部10と、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの一時記憶部11と、ハードディスクなどの記録部12と、ディスクドライブなどの読取部14と、ビデオカード及びパラレルポートなどの出力部16と、USB(Universal Serial Bus)インタフェースなどの入力部19とを備える。
制御部10は、記録部12に記録されているシミュレーションプログラム1Pを一時記憶部11に読み出して実行することにより、パーソナルコンピュータに実施の形態1に係るイオン分布シミュレーション方法を実行させ、パーソナルコンピュータをイオン分布シミュレーション装置1として動作させる。
一時記憶部11には、上述のように読み出されるシミュレーションプログラム1Pが一時的に記憶されると共に、制御部10の処理によって発生する情報が記憶される。
記録部12には、シミュレーションプログラム1Pが記録されていると共に、流体数値解析ソフトウェアプログラム13が記録されている。制御部10は、シミュレーションプログラム1Pに基づく処理により、流体数値解析ソフトウェアプログラム13を読み出して実行する。また、記録部12には、制御部10がイオン分布シミュレーションを行なう際に使用する各種データ、例えば後述するイオン発生装置の機種毎の初期条件が記録される。また、シミュレーション対象のイオン発生装置の機種毎の、機種名、大きさ、吹出口の位置の情報、内蔵イオン発生源からのイオン発生量、イオン効果範囲などの情報が、予め記録部12に記録されてある。
読取部14は、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク又はフレキシブルディスクなどである記録媒体2から情報を読み取ることが可能である。制御部10は、読取部14により記録媒体2に記録されているデータを一時記憶部11に記憶するか、又は記録部12に記録する。記録媒体2には、コンピュータに実施の形態1に係るイオン分布シミュレーション方法を実行させるシミュレーションプログラム2Pが記録されている。記録部12に記録されているシミュレーションプログラム1Pは、記録媒体2から読み出したシミュレーションプログラム2Pの複製であってもよい。
出力部16には、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどのディスプレイ15が接続されている。制御部10は、出力部16を介し、シミュレーションプログラム1Pに基づいてイオン分布シミュレーションを実行するためのアプリケーション画面、又はシミュレーション結果を出力する。
入力部19には、マウス17及びキーボード18などの入力用インタフェースが接続されており、オペレータのマウス17及びキーボード18の操作により入力されるボタンの押下情報、入力された文字情報などの情報を受け付けて制御部10へ与える。
なお、イオン分布シミュレーション装置1には他に、プリンタなどの印刷装置が接続され、シミュレーション結果が印刷されて出力される構成としてもよい。
実施の形態1に係るイオン分布シミュレーションは、2つの段階から構成されている。第1段階は、特定の大きさ及び形状を有す室内にイオン発生装置を設置した場合の流れ場を、前記室内特にイオン発生装置の周辺を不均等メッシュで分割し、乱流モデルを用いて求める段階である。第2段階は、任意の大きさ及び形状を有す室内にイオン発生装置を設置した場合の室内のイオン分布を、前記室内を均等メッシュで分割し、第1段階で求めた流れ場を初期条件として、層流モデルを用いて求める段階である。
イオン分布シミュレーションの第1段階について説明する。
制御部10は、イオン発生装置を設置した縦5m×横5m×高さ5mの室内を不均等メッシュで分割する。制御部10は、イオン発生装置の吹出口の数を1に設定する。制御部10は、イオン発生装置の吹出口の座標、初期流速、流量等を設定する。そして、制御部10は、乱流モデルにより定常状態の流れ場を計算する。具体的には、制御部10は、定常状態の風向、風速及び風圧を計算する。制御部10は、計算の結果得られた、イオン発生装置の吹出口を中央とする1m×1.5m×1mの空間(以下、1mBOXという)内における定常状態の流れ場を、均等メッシュで分割した場合の流れ場に置き換えて記録部12に記録する。制御部10は、上記の計算をイオン発生装置の全機種について実行し、各流れ場を記録部12に記録する。
次に、イオン分布シミュレーションの第2段階を説明する。
制御部10は、記録部12に記録した1mBOX内の流れ場を初期条件とし、任意の大きさ及び形状の部屋を均等メッシュで分割して、1mBOX外の定常的な流れ場を層流モデルにより計算する。
図2は、実施の形態1におけるイオン分布シミュレーション装置1の制御部10により実行されるシミュレーションの処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部10の処理により、ディスプレイ15には、シミュレーション対象の部屋を特定するための情報、設置するイオン発生装置の機種、設置位置の座標情報を入力することができるGUI(Graphic User Interface)画面が出力部16から出力されて表示されている。GUI画面については後述にて詳細を説明する。なおこのとき、1つの部屋内に、複数のイオン発生装置を設置するように設定することが可能である。制御部10は、入力部19を介してマウス17又はキーボード18からの情報の入力を受け付ける。あるいは、制御部10は、読取部14からの情報の入力を受け付ける。
まず制御部10は、シミュレーション対象の部屋情報の入力を入力部19又は読取部14から受け付ける(ステップS21)。具体的には、部屋情報は部屋の大きさ及び形状を示す座標情報、即ち部屋の各頂点の座標の情報である。この座標は、部屋の任意の場所を原点とする。
そして制御部10は、部屋に設置するイオン発生装置の情報の入力を受け付ける(ステップS22)。制御部10の処理により表示されているGUI画面では、設置するイオン発生装置の機種を選択することが可能であり、オペレータは機種名を選択する。また、オペレータは、選択したイオン発生装置の設置位置の座標情報を入力する。
制御部10の処理により表示されているGUI画面では、ステップS21、S22にて入力された情報がプレビューされている。また、GUI画面には、全てを確認して計算を実行できる状態である場合にシミュレーションの開始の指示を受け付けるボタンが含まれ、オペレータが当該ボタンを押下すると以下の処理が開始される。
制御部10は、ステップS21及びS22にて受け付けた情報に基づき、シミュレーションの初期設定を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部10は、入力された部屋情報に基づいてシミュレーション対象の部屋空間を直交等間隔の格子(均等メッシュ)に分割する処理、設置されるイオン発生装置に対応する初期条件を記録部12から読み出し、読み出した初期条件に基づき、風速及び風圧の境界条件の設定を行なう。
制御部10は、ステップS23にて初期設定された風速及び風圧を用い、圧力ポワソン方程式を計算する(ステップS24)。そして制御部10は、ステップS24の計算により得られる圧力場を用いてナビエストークス方程式を計算する(ステップS25)。これにより、次の時間ステップにおける風速場が計算される。
制御部10は、ステップS24及びステップS25の計算によって得られる残差が所定値以下であるか否か、又は計算回数が所定回数以上であるか否かを判断する(ステップS26)。制御部10は、ステップS26にて残差は所定値よりも大きく、且つ計算回数は所定回数未満であると判断した場合(ステップS26:NO)、処理をステップS24に戻す。
制御部10は、ステップS26にて残差が所定値以下であるか、又は計算回数が所定回数以上であると判断した場合(ステップS26:YES)、計算結果として得られた各格子点における風速、風圧に基づき、部屋内のイオン分布を算出する(ステップS27)。
制御部10は、得られた風速、風圧及びイオン分布を、部屋内の所定の高さにおける2次元分布に換算する(ステップS28)。そして制御部10は、結果をディスプレイ15にて表示可能な画像データに変換して出力し(ステップS29)、処理を終了する。
ステップS27にて、制御部10は、方程式の計算を終了により得られた各格子点における風速又は風圧の分布に基づき、イオン分布を算出する。イオンは、プラスイオンとマイナスイオンとが衝突すると反応して他の物質に変化する。したがって衝突回数が多い、つまりイオン濃度が濃いほど減衰量は増える。イオンの減衰率は、起算点からの経過時間tとし、濃度をXとすると式(1)のように表される。
dX/dt=−αX 2…(1)
この微分方程式を解くことにより、経過時間tにおける濃度X(t)は以下の式(2)のような関係式となる。式(1)、式(2)中の定数α、βは予め実験的に求めておけばよい。
Figure 2011086187
なおイオンの消滅係数は実験的に1.6×10-6と実測されている。
制御部10は、ステップS24〜S26の結果求められた各格子点における風速又は風圧に基づいてイオンの移動の経過を求め、その際に要する時間、各格子点におけるイオン濃度に応じてイオンの数を減衰させ、定常的な風速及び風圧分布における室内全体のイオン分布を求める。
次に、ステップS21において、イオン分布シミュレーション装置1がシミュレーション対象の部屋情報を、読取部14から画像データとして受け付ける場合の詳細について説明する。
まず、シミュレーション対象の部屋の間取り図(平面プロフィール)をスキャナ、カメラ等で画像データ化する。次に、画像データ化した間取り図の画像データを、読取部14からイオン分布シミュレーション装置1に取り込む。画像データのファイル形式は、TIFF(Tagged-Image File Format)、BMP(Bitmap Image)、PNG(Portable Network Graphics)、GIF(Graphics Interchange Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等、どのような形式でもよい。
画像データを用いて、イオン分布シミュレーション装置1に取り込まれる間取り図の情報は、部屋の底面の平面座標である。
イオン分布シミュレーション装置1に取り込まれる画像データが、例えばBMP形式である場合、シミュレーション対象の部屋の頂点の座標を読みとる手順について説明する。
図3は、シミュレーション対象の部屋の間取り図に係るBMPファイル3の一例を示す説明図である。図3のBMPファイル3は、バイナリ表示である。図3に示す通り、BMPファイル3は、ヘッダ部3a(ヘッダサイズ、ピクセル数、色表現のサイズ等、画像データの構成に関する情報が含まれる)と、画像データ部3b(画面表示左下を先頭に左から右に下から上に配列されたピクセルデータが並んでいる)とからなる。ピクセルのデータ構造は、青緑赤の3原色がそれぞれ1バイト(0〜255)、予約データが1バイトで表現されており、データの並びから画面上の点に関連付けて容易に色データを解析することができる。なお、画像データ部3bのファイル形式は、ヘッダ部3aに記述されている。図3の場合、ヘッダ部3aの先頭2バイトからBMPファイル3であることが分かる。
画面サイズが幅640、縦480ピクセルで構成されている場合、BMPファイル3では左下が画像データ領域の先頭データになり、次のデータはその右隣のピクセルデータ、641番目のデータが画面領域左下から2行目の先頭ピクセルデータとなる。具体的には画面左下を原点として、横方向をx座標、縦をy座標にとる場合、座標(x,y)のピクセルデータはy×640+x番目のデータということになる。
x軸、y軸に平行な壁を持つ直方体の部屋を考える。この部屋の間取り図のBMPファイル3の画像データ部3bを先頭から読み込んでいく場合、間取り図上でx軸方向に平行な壁の端に該当する部屋の頂点は、壁を構成するピクセルデータの最初の色の変化点である第1の頂点(x1,y1)、及び次の色の変化点である第2の頂点(x2,y1)である。また、これら2つの頂点から縦方向に色が同一の連続なピクセルデータが夫々続いており、これらがy軸に平行な2つの各壁に対応する。そして、間取り図上でy軸方向に連続なピクセルデータの色の変化点2つが、部屋の底面の残りの各頂点(x1,y2)、(x2,y2)となる。これら4つの頂点座標(x1,y1)、(x2,y1)、(x1,y2)、(x2,y2)により囲まれた領域がシミュレーション対象の部屋の底面となる。
イオン分布シミュレーション装置1は、部屋の高さを受け付ける。受け付けた部屋の高さ及び上記の各座標から、イオン分布シミュレーション装置1は、3次元の対象領域を構築する。
図4は、対象領域を構築する処理の手順を示すフローチャートである。図4では、x軸、y軸に平行な壁を持つ直方体の部屋について、底面の間取り図から部屋の頂点の座標を読み取る場合を扱っている。また、部屋の間取り図は同一色かつ幅1ピクセルの実線で描かれており、背景色は実線以外の色である場合について扱っている。
制御部10は、部屋の間取り図の画像ファイルを開き、ヘッダ部3aからファイル形式を読み込む(ステップS41)。制御部10は、部屋の間取り図の画像データ部3bを、ステップS41で読み込んだファイル形式に従って先頭から読み込み、ピクセルデータを、x座標及びy座標に対応する2次元配列に代入する(ステップS42)。
制御部10は、変数aに1を代入する(ステップS43)。制御部10は、y座標がaであり、x軸方向に延びる列に色の変化点が2つあるか否か判断する(ステップS44)。すなわち、画面の最下端のx軸方向に延びる列に色の変化点が2つあるか否か判断する。制御部10は、色の変化点が2つではないと判断した場合(ステップS44:NO)、aを+1インクリメントして(ステップS45)、ステップS44へ処理を戻す。
制御部10は、色の変化点が2つあると判断した場合(ステップS44:YES)、左側の変化点の座標を(x1,y1)に、右側の変化点の座標を(x2,y1)に設定する(ステップS46)。制御部10は、画面上で座標(x1,y1)より上方の色の変化点を座標(x1,y2)に設定する(ステップS47)。制御部10は、画面上で座標(x2,y1)より上方の色の変化点を座標(x2,y2)に設定する(ステップS48)。制御部10は、部屋の高さを受け付ける(ステップS49)。制御部10は、ステップS46〜ステップS48で設定した座標とステップS49で受け付けた部屋の高さから3次元的な対象領域を構成して(ステップS50)、処理を終える。具体的には、制御部10は、3次元空間での頂点の座標を求める。
スキャナ等で取り込んだ画像データには、にじみ、ブレ等によりノイズが混入することがよくある。しかし、当該ノイズの除去は容易に可能である。
例えば、座標(x2+1,y1)のピクセルデータにノイズが混入し、座標(x1,y1)から座標(x2+1,y1)まで連続したピクセルデータであった場合でも、頂点のピクセルデータを隣接座標のピクセルデータと比較することで、混入したノイズであるか、本来の頂点であるかを判定することができる。
座標(x2+1,y1)が本来の頂点であれば、座標(x2+1,y1)のピクセルデータ(0,0,0,0)に対して、座標(x2+1,y1+1)のピクセルデータは連続である。しかし、座標(x2+1,y1+1)のピクセルデータが(255,255,255,0)であったならば、座標(x2+1,y1)が黒色の点であるのに対し、座標(x2+1,y1+1)のピクセルデータは白色の点なので、座標(x2+1,y1)及び座標(x2+1,y1+1)の2点は連続しておらず、座標(x2+1,y1)は頂点ではないと判定できる。
一方、座標(x2,y1)のピクセルデータ(0,0,0,0)に対して、隣接座標(x2,y1+1)のピクセルデータが(0,0,0,0)であった場合、座標(x2,y1)及び座標(x2,y1+1)の2点は連続しているため、座標(x2,y1)は頂点であると判定できる。そして、座標(x2+1,y1)のピクセルデータにはノイズが混入していると判定できる。このように、画像データにノイズが混入していても、容易に画像データからシミュレーション対象の部屋の頂点の座標を求めることができる。
図5は、間取り図から抽出した平面座標データ例の説明図である。図5は、シミュレーション対象の部屋が、縦5m×横5m×高さ5mである場合についての例示である。
間取り図に従って、図5の左下部の部屋の隅を原点(0,0)とし、部屋の各頂点に座標を割り振る。図5の原点を部屋の左下の頂点50とした場合、頂点51、頂点52、頂点53の各座標は、(0,5)、(5,5)、(5,0)である。4つの頂点を結んで得られる平面の閉領域に、天井の高さ5mという高さ方向の情報を追加することで、シミュレーション計算を行う3次元の対象領域の情報となる。
頂点50から頂点51の間の壁を壁60、頂点51から頂点52の間の壁を壁61、頂点52から頂点53の間の壁を壁62、頂点53から頂点50の間の壁を壁63とする。4つの壁60、61、62、63と、底面と、天井とにより仕切られた3次元の閉領域が定義できる。
ステップS22では、上記3次元の対象領域の中にイオン発生源の位置情報を追加する。イオン発生装置の吹出口の中心座標をイオン発生源の設置座標とし、イオン発生源は部屋の底面に置かれた1mBOXの中心に位置するものとする。
このように1つの直方体の部屋にイオン発生装置を1台設置する場合、3次元の空間形状を構成する入力情報は、シミュレーションプログラム1Pでは4つの頂点座標、高さ及びイオン発生源の位置座標という非常に単純なものとなる。
上述したように、制御部10の処理によりディスプレイ15にGUI画面が表示され、オペレータは、シミュレーション対象の任意の部屋情報又はイオン発生装置の情報を入力することが可能であり、計算の結果が表示される。以下では、シミュレーションプログラム1Pに基づく制御部10の処理によりディスプレイ15に表示される画面について、図6を用いて説明する。
図6は、制御部10によりシミュレーションプログラム1Pが実行された場合にディスプレイ15に表示されるGUI画面の内容例を示す説明図である。
「部屋の編集」画面では、部屋の頂点の座標をBMPファイル3から取り込むことができるが、部屋の頂点の座標を手入力により入力することもできる。
GUI画面の左上部には「イオン分布シミュレーション」なるアプリケーション名が表示されている。GUI画面は3つのタブ101、102、103を含み、夫々を切り替えることが可能である。タブ101の表題は「部屋の編集」である。オペレータが、タブ101上にカーソルがあるときにマウス17のクリックボタンを押下した場合、「部屋の編集」画面が表示され、オペレータは、部屋情報及びシミュレーション対象のイオン発生装置の情報を入力することができる。
「部屋の編集」画面には、部屋の名称を入力する編集ボックス104、手入力データのファイル読込ボタン105、部屋の画像データを取り込むBMP画像データ取込ボタン106、部屋の座標情報(頂点の座標)を入力するための各コントロールを含む「頂点」入力部107、イオン発生装置の情報を入力するための各コントロールを含む「装置」入力部108、天井の高さを設定するための天井高さ設定部109、全データ確認ボタン110、並びに部屋情報及びイオン発生装置の情報の3次元イメージがプレビューとして表示される3D表示部111が含まれる。
編集ボックス104に部屋の名称を入力することにより、入力する部屋情報を含むデータを、部屋の名称の名前に関連付けて記録部12に保存することが可能である。図6に示す例では、「roomx」なる部屋の名称が入力されている。ファイル読込みボタン105を押下した場合、ダイアログボックスが表示される。当該ダイアログボックスでは記録部12に保存されている部屋の名称が関連付けられたデータの一覧が選択可能に表示され、オペレータはマウス17又はキーボード18の操作によりいずれかのデータを選択することが可能である。当該ダイアログボックスにてデータが選択された場合、再度「部屋の編集」画面に戻り、データが含む部屋情報及びイオン発生装置の情報が各コントロールに反映される。
BMP画像データ取込ボタン106を押下した場合、ダイアログボックスが表示される。ここで、BMP画像データとは、シミュレーション対象の部屋情報が記録された画像データのことである。
当該ダイアログボックスでは読取部14を介して記録媒体2に記録された画像データの一覧が選択可能に表示され、オペレータはマウス17又はキーボード18の操作によりいずれかの画像データを選択することが可能である。当該ダイアログボックスにて画像データが選択された場合、再度「部屋の編集」画面に戻り、画像データが含む部屋情報が自動的に「頂点」入力部107に反映される。
「頂点」入力部107は、入力されている部屋の「頂点」のリストボックス71、部屋の頂点のx座標(横方向の座標)を入力するためのボックス72、部屋のz座標(縦方向の座標)を入力するためのボックス73、頂点を選択するための「選択」ボタン74、頂点を追加するための「追加」ボタン75、頂点の座標を修正するための「修正」ボタン76、及び頂点を削除するための「削除」ボタン77を含む。
図6の例では、リストボックス71には、シミュレーション対象の部屋の頂点の座標として0〜4の5つのx、z座標情報が表示されている。なお、頂点の高さ(y座標)は天井の高さに固定であり、座標情報は原点0:(0,0)からスタートして部屋の外周形状の各頂点を一筆書きの要領で入力することが可能である。リストボックス71で任意の頂点が選択された状態で、「選択」ボタン74が押下されると、ボックス72、73に選択された頂点の(x,z)座標が夫々反映されて表示される。ボックス72、73にx座標及びz座標が入力された状態で、「追加」ボタン75が押下されると、リストボックス71にて選択されてアクティブとなっている頂点の次の頂点として新たな頂点の座標情報が追加される。リストボックス71にていずれの頂点も選択されていない場合は、リストの末尾に追加される。ボックス72、73にx座標及びz座標が入力された状態で、「修正」ボタン76が押下されると、リストボックス71にて選択されてアクティブとなっている頂点の座標情報が、ボックス72,73に入力されている座標情報に更新される。また、リストボックス71にて頂点の座標情報が選択された状態で「削除」ボタン77が押下されると、選択された頂点の座標情報が削除され、表示も消去される。
「装置」入力部108は、「頂点」入力部107にて座標情報が入力される部屋に設置するイオン発生装置のリストを示すリストボックス81、設置されるイオン発生装置の機種を選択するための選択ボックス82、イオン発生装置の設置場所を示すx、z座標を入力するためのボックス83、84、配置する向きを方角にて選択するための選択ボックス85、リストボックス81のイオン発生装置を選択するための「選択」ボタン86、設置するイオン発生装置を追加するための「追加」ボタン87、イオン発生装置の設置位置、向きを修正するための「修正」ボタン88、部屋からイオン発生装置を削除するための「削除」ボタン89を含む。
図6の例では、リストボックス81に、シミュレーション対象の部屋に設置されるイオン発生装置として、(0,2.5)の位置に、「E(東)」向きに設置される<0>番目のイオン発生情報が表示されている。「IG−820−W」は、イオン発生装置の機種名の例である。リストボックス81で任意のイオン発生情報が選択された状態で「選択」ボタン86が押下されると、選択ボックス82、ボックス83、84、及び選択ボックス85に、選択されたイオン発生装置の機種名、x座標、z座標、設置向きが夫々入力される。なお、イオン発生装置が設置される向きは東西方向が縦方向に対応している。選択ボックス82にて機種名が選択され、ボックス83、84にx座標及びz座標が入力され、選択ボックス85で東西南北から向きが選択された状態で、「追加」ボタン87が押下されると、リストボックス81にて選択されてアクティブとなっているイオン発生装置の次に、新たに設置されるイオン発生装置の機種名、座標情報、向きの情報が追加される。リストボックス81にていずれのイオン発生情報も選択されていない場合は、リストの末尾に追加される。このように1つの部屋に複数のイオン発生装置を設置した場合のシミュレーションを実行させることができる。選択ボックス82にて機種名が選択され、ボックス83、84にx座標、z座標が入力され、選択ボックス85にて向きが選択された状態で「修正」ボタン88が押下されると、リストボックス81にて選択されてアクティブとなっているイオン発生装置の各情報が更新される。また、リストボックス81にてイオン発生装置が選択された状態で「削除」ボタン89が押下されると、選択されたイオン発生装置が部屋から削除され、表示も消去される。
天井高さ設定部109は、高さを入力するためのボックス91、及び「設定」ボタン92を含む。図6の例では、ボックス91には2.5(m)が入力されている。ボックス91に高さが入力された状態で「設定」ボタン92が押下されると、シミュレーション対象の部屋の高さ情報が一時記憶部11又は記録部12に記録される。
全データ確認ボタン110は、シミュレーションを実行するための情報が全て入力された場合に、制御部10に、入力された情報を検査させるボタンである。
3D表示部111には、「頂点」入力部107、「装置」入力部108、及び天井高さ設定部109により入力された情報が示すシミュレーション対象の部屋及び設置されるイオン発生装置の情報が3次元イメージで表示される。図6の例では、横5m、縦4.5m、高さ2.5mの略直方体の形状の部屋の壁面(ハッチング)、及びx=2.5m、z=0mの位置に設置されて東(E)に向いて設置されている様子が表示されている。各頂点には、入力された頂点の番号が付されて表示されている。また、図6の例では、設置するイオン発生装置が直方体にて示されており、イオン発生装置の吹出口側の向きに考証の効果範囲が床面に表示されている。
3D表示部111の左上には、表示のオン/オフを切り替えるトグル部112が表示され、左下には向きを識別するためのコンパス113が表示されており、右下には3D表示部111にて表示される部屋及びイオン発生装置への視点を設定するための操作部114が表示されている。
トグル部112には「頂点」、「装置」、「効果」及び「壁」夫々の切替により、3D表示部111における各事項についての表示のオン/オフが切り替えられる。例えば「頂点」の切替により、オペレータは、3D表示部111における頂点の番号の表示、及び座標情報の表示のオン/オフを切り替えられる。また、「装置」の切替により3D表示部111におけるイオン発生装置の設置イメージの表示のオン/オフが切り替えられる。また「効果」又は「壁」の切替により設置されるイオン発生装置の考証の効果範囲を示す図形の表示、又は壁を示す図形の表示のオン/オフを切り替えることが可能である。
このように、3D表示部111に、イオン分布シミュレーション対象の部屋、及びイオン発生装置の設置位置の3次元イメージが表示されることにより、オペレータはイオン分布シミュレーション対象の部屋情報及びイオン発生装置の設置位置などの情報を確認しながら各情報を入力することができる。
「頂点」入力部107、「装置」入力部108、及び天井高さ設定部109により部屋情報及びイオン発生装置の全ての情報の入力が済み、3D表示部111に所望の部屋及びイオン発生装置の位置を確認した場合、オペレータは全データ確認ボタン110を押下する。全データ確認ボタン110が押下されたとき、制御部10は、入力された部屋情報及びイオン発生装置の情報が適切であるかを検査する。制御部10は例えば、部屋の頂点の座標情報から、頂点の数が不足して部屋が閉空間となっておらず、シミュレーション対象として不適である場合に警告メッセージを出力する。また、部屋の頂点の座標情報から、壁がx、z軸に対して斜めである場合にはシミュレーションを実行するための閉空間として不適として警告メッセージを出力する。制御部10は他には、入力されたイオン発生装置の設置位置を示す座標情報から、イオン発生装置が重なっている場合、シミュレーション対象としては不適であるとして警告メッセージを出力する。一方で制御部10は、入力された情報が示す部屋、及びイオン発生装置の設置位置、向きなどがシミュレーション対象として適切であると判断した場合、計算の開始を可能とするか否かをオペレータに問うために「OK」、「CANCEL」ボタンを含む画面を表示させる。制御部10は、当該画面にて「OK」ボタンが押下された場合、図2に示したステップS23の処理を実行し、ステップS24以降の処理の実行の開始の待機状態となる。ステップS24以降のシミュレーションの計算処理を開始するためには、「シミュレーション」タブ102を選択して「シミュレーション」画面を表示させる。
GUI画面の「頂点」入力部107から、シミュレーション対象の部屋の座標情報を手入力する場合と、画像ファイルから入力する場合とでは、オペレータに生じる負荷が大きく異なることは、一目瞭然である。間取り図から座標を読みとるためには、高度の習熟度が必要な上、読み取った座標をGUI画面の「頂点」入力部107から繰り返して手入力する作業はたいへん煩雑であり、時間がかかる。
しかし、実施の形態1に係る画像ファイルの読み込みによる入力方法によれば、シミュレーション対象の部屋の座標情報の入力作業について、大幅な簡素化を図ることができる。そして、ひいてはイオン分布シミュレーション全体の高速化に寄与することができる。
実施の形態1に係る画像ファイルの読み込みによる入力方法によれば、シミュレーション対象の部屋の形状が複雑であればあるほど、オペレータの負荷が解消されるという優れた効果を奏する。図7は、パーティションで仕切られた部屋の間取りに関する説明図である。
シミュレーション対象の複数の部屋が通路でつながれた間取りである場合や、図7のように四角形の部屋であっても内部をパーティション等で仕切られている場合、頂点の数が多くなり、図6のGUI画面からの手入力は複雑化する。また、対象領域4をパーティションで仕切られた内部領域に限定するような場合に、パーティション等の内部に設置された物体の位置情報を含む間取り図はほとんど無いため、手入力の場合にオペレータはパーティションで区切られた内部領域を推測する必要があり、入力作業は困難を極める。
しかし、実施の形態1に係る画像ファイルの読み込みによる入力方法によれば、シミュレーション対象の部屋の形状が複雑であっても、容易にシミュレーション装置1にシミュレーション対象の部屋の情報を入力することができる。
実施の形態1では、イオン分布シミュレーション装置に間取り図の画像ファイルを読み込ませることにより、イオン分布シミュレーションの対象領域を構築した。しかし、間取り図の画像データは、通信回線を介してイオン分布シミュレーション装置に取り込まれてもよい。
実施の形態2
実施の形態2は、部屋の間取り図の画像の解像度と、イオン分布シミュレーションの対象領域4の大きさを算出する場合に設定される解像度とが異なる場合、部屋の間取り図の画像の解像度を、対象領域4の大きさを算出する場合に設定される解像度に変更する形態に関する。
イオン分布シミュレーションの対象領域4の大きさを算出するにあたり、間取り図の画像のピクセル情報を配列に格納し、その配列の大きさから対象領域4の大きさを求める。例えば、単位長さ当たりの所定ピクセル数はどれくらいの長さかということを予め決めておき、ある線分の長さが何ピクセルに相当するかということから、長さが判明する。そのため、イオン分布シミュレーション装置1に入力される画像の縮尺及び解像度は、予め設定した所定の縮尺及び解像度であることが必要である。
一方、間取り図をスキャナ等で画像データ化する際、間取り図の画像の解像度は、環境によってまちまちである。この場合、そのまま画像解析を行って対象領域4の情報を作成しても、実際の部屋の大きさと異なる対象領域4の情報を作成してしまう。このような場合、予め単位長さ当たりの所定ピクセル数はどれくらいの長さに該当するか決め、その縮尺を示す所定の解像度の図形の画像を作成しておく。作成した図形の画像の縮尺に間取り図の画像の縮尺を合わせる。また、作成した図形の画像の解像度に間取り図の画像の解像度を合わせる。これにより、間取り図の画像の縮尺および解像度の調整は容易になる。
具体的には、直線の始点と終点とが互いに外向きの矢印となっている図形(寸法線によく見られる形状の図形)の図面を用意する。この図面の縮尺は、予め単位長さ当たりの所定ピクセル数はどれくらいの長さに該当するか決めた縮尺を有する。この図面を所定の解像度の下、スキャナ等で取り込み、画像データ化する。作成した図形の画像及び間取り図の画像を画像ソフトで読み込む。
図8は、作成した図形の画像5及び間取り図の画像6を画像ソフトで読み込んだ状態の説明図である。間取り図の画像6の解像度はまちまちである。しかし、ディスプレイ上では間取り図の画像6は、作成した図形の画像5の解像度と同じ解像度で表示されている。図8では、間取り図の画像6の解像度の方が作成した図形の画像5の解像度よりも高いため、同一ディスプレイ上では間取り図はより大きく表示されている。
次に作成した図形の画像5の縮尺に合わせて、間取り図の画像6の縦縮尺及び横縮尺を調整する。図9は、画像ソフトにより間取り図の画像6の縮尺を修正した状態の説明図である。図9では、作成した図形の画像5の縮尺に合わせて間取り図の画像6を縮小している。そして、新たに合成した間取り図の画像6を、対象領域4の大きさを算出するイオン分布シミュレーション装置1に設定される所定の解像度で保存する。
作業をするディスプレイの解像度は、環境によって異なる。また、作成した図形の画像5及び間取り図の画像6の解像度も異なる。しかし、作成した図形の画像5及び間取り図の画像6を同一のディスプレイに表示する限り、作成した図形の画像5及び間取り図の画像6は同一の解像度で表示されるので、解像度の違いを考慮することなく、間取り図の画像6の縮尺を作成した図形の画像5の縮尺に合わせることができる。ただし、作業中に、ディスプレイに表示される作成した図形の画像5の縮尺を変更してはならない。
図8及び図9には、所定の方位記号及び天井の高さも示されている。イオン分布シミュレーション装置1は、画像に記録された方位記号から、部屋の方位を設定した上で、部屋の頂点の座標を決定する。間取り図に方位記号が示されていない場合、イオン分布シミュレーション装置1は、間取り図の上方を北にデフォルト設定する。また、イオン分布シミュレーション装置1は、天井の高さの数値を画像から読み込み、対象領域4の情報を作成する。そのため、オペレータはGUI画面の天井高さ設定部109から天井の高さを手入力する手間を省くことができる。間取り図に天井の高さが示されていない場合、シミュレーション装置1は、GUI画面の天井高さ設定部109から天井の高さを受け付ける。
実施の形態2に係る画像データの読み込みによる入力方法によれば、イオン分布シミュレーション装置1に取り込まれる間取り図の画像の縮尺及び解像度は、対象領域4の大きさを算出するイオン分布シミュレーション装置1に設定される縮尺及び解像度に調整される。そのため、イオン分布シミュレーションの結果が、間取り図の縮尺及び解像度の違いに起因して妥当性を失うことはなくなる。
実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態3
実施の形態3は、間取り図の部屋が同一の色で塗りつぶされた画像をイオン分布シミュレーション装置1に取り込む形態に関する。これにより、対象領域4は連続的な単色の領域となり、対象領域4の座標抽出が容易になる。
間取り図が白黒の図面であった場合、スキャナ等で間取り図を画像データとして取り込むとき、画像データに混入するノイズは白黒のノイズである場合が多い。
図10は、対象領域4の部屋を赤色で塗りつぶした例の説明図である。なお、赤色部分は図10ではハッチングにより示す。上記の場合、図10のようにイオン分布シミュレーションを実施したい対象領域4を白黒以外の色で塗りつぶした画像データを用いることにより、対象領域4の頂点の解析を容易に行うことができる。好適には、対象領域内部が3原色のどれかの単色で塗りつぶされているとよい。以下では、間取り図の対象領域4は赤色で塗りつぶされているものとする。なお、画像ファイル形式として、BMP形式の場合について実施の形態3を説明するが、画像ファイル形式はBMP形式に限られるものではない。
図3のBMPファイル3の場合、ヘッダ部3aからヘッダ情報は198バイト、画像の幅は960ピクセル、高さは720ピクセル、1ピクセルあたりのビット数は8ビットであると読める。
仮に、画像ファイルにおける1ピクセルあたりのビット数を24ビットとした場合、表示画面左下の1ピクセル情報として、199バイト目に青の濃淡が、200バイト目に緑の濃淡が、201バイト目に赤の濃淡が記録されている。3バイトで1ピクセルの情報が構成され、960ピクセルが1行(1ライン)、720行で表示画面情報が形成されている。
行960、列720の2次元配列p(x,y)を用意しておき、この2次元配列p(x,y)に画面上の座標(x,y)のピクセル情報を格納するものとする。199バイト目のイメージデータの先頭から3バイトずつ読み込み、カウンターiにこの読み込み回数をインクリメントしていく。読み込んだピクセルデータは1バイト目が0、2バイト目が0、3バイト目が255(16進表現でFF)のピクセルデータかどうかチェックし、0,0,255の赤単色データであれば、iを960で割った値をy座標、余りをx座標として配列p(x,y)に1を代入する。0,0,255以外のデータであったときは、p(x,y)に0を代入する。
図11は、ピクセル情報を2次元配列に格納する処理の手順を示すフローチャートである。制御部10は、画像ファイルを開き、ヘッダ部3aから画像ファイルの形式を読み込む(ステップS111)。制御部10は、1ピクセルあたりのビット数等もヘッダ部3aから読み込む。これらの読み込んだファイル形式に従って、制御部10は以下の処理を行う。
制御部10は、変数iに1を代入する(ステップS112)。制御部10は、iを960で割った余りを変数xに、iを960で割った値を変数yに代入する(ステップS113)。制御部10は、iピクセル目のピクセル情報を読み込む(ステップS114)。制御部10は、iピクセル目のピクセル情報が赤色か否か判断する(ステップS115)。制御部10は、iピクセル目のピクセル情報が赤色であると判断した場合(ステップS115:YES)、配列p(x,y)に1を代入する(ステップS116)。制御部10は、iピクセル目のピクセル情報が赤色でないと判断した場合(ステップS115:NO)、p(x,y)に0を代入する(ステップS117)。制御部10は、iが960×720と等しいか否か判断する(ステップS118)。制御部10は、iが960×720と等しくないと判断した場合(ステップS118:NO)、iを+1インクリメントして(ステップS119)、ステップS113へ戻る。制御部10は、iが960×720と等しいと判断した場合(ステップS118:YES)、処理を終える。
上記の処理により、間取り図からシミュレーション対象の対象領域4を赤色でマスクした部分のみ抽出したことになる。図12は、対象領域4のピクセル情報を例示した説明図である。
仮に、間取り図の対象領域外に1ドットの赤色点がノイズとして存在したとしても、目視によるノイズ確認は困難である。しかし、かかる赤色点はその周囲の点と色が連続していないため、対象領域4ではないと判断することが可能となり、画像の細かな修正なしに、イオン分布シミュレーションの対象領域4の座標を求めることができる。
対象領域4の頂点情報は、p(x,y)が頂点の座標である場合、p(x−1、y)=0、p(x,y)=1、p(x+1,y)=1、p(x,y+1)=1、p(x,y−1)=0を満たすとき、これを第1象限の頂点とする(2次元座標系でx+、y+の領域を第1象限と呼称するのになぞらえた)。そして、p(x,y)に+1し、値を2にすることにより他の頂点と区別する。また、p(x−1,y)=0、p(x,y)=1、p(x+1,y)=1、p(x,y−1)=1、p(x,y+1)=0の条件を満たすとき、この座標を第2象限の頂点として、p(x,y)に+2し、値を3とすることで他の頂点と区別する。また、p(x−1,y)=1、p(x,y)=1、p(x+1,y)=0、p(x,y−1)=1、p(x,y+1)=0を満たすとき、この座標を第3象限の頂点として、p(x,y)に+3し、値を4とすることで他の頂点と区別する。また、p(x−1,y)=1、p(x,y)=1、p(x+1,y)=0、p(x,y−1)=0、p(x,y+1)=1を満たすとき、この座標を第4象限の頂点とし、p(x,y)に+4し、値を5とすることにより、他の頂点と区別する。
図13は、頂点の分類の説明図である。第1象限の頂点はx+方向、y+方向の2方向の壁、第2象限はx+方向、y−方向の壁、第3象限はx−方向、y−方向の壁、第4象限の頂点はx−方向、y+方向の壁を持つ頂点として分類する。すなわち、部屋の頂点の座標を求めたときに、頂点から延びる壁の方向に基づいて、各頂点を分類し、区別できるように命名する。これにより、対象領域4に凹凸形状が含まれていても対象領域4を生成することが容易となる。
図14は、頂点の分類を加味して対象領域4のピクセル情報を例示した説明図である。図12では、1と記された全ての座標を考慮しなければ、対象領域4を抽出できない。しかし、図14の場合、2〜5で記された頂点の座標だけを考慮して対象領域4を抽出することができ、1と記された座標を考慮する必要はない。
図14では、壁の方向性を示す2〜5により頂点が示されているため、頂点からどの方向に壁を作ればよいか明確であり、対象領域4を構築する際の処理が軽くなるという利点がある。
実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 イオン分布シミュレーション装置
10 制御部
14 読取部
15 ディスプレイ
19 入力部
1P シミュレーションプログラム(コンピュータプログラム)
101 タブ
106 BMP画像データ取込ボタン
109 天井高さ設定部
2P シミュレーションプログラム(コンピュータプログラム)
3 BMPファイル
4 対象領域
5 作成した図形の画像
6 間取り図の画像

Claims (6)

  1. 室内環境シミュレーションの対象領域に対応する部屋の大きさ及び形状をシミュレーション装置に入力する入力方法において、
    部屋の平面情報を示す画像データを用いて、部屋の平面的な大きさ及び形状をシミュレーション装置に入力する
    ことを特徴とする入力方法。
  2. 部屋の高さをシミュレーション装置に入力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の入力方法。
  3. 前記画像データの解像度及び前記シミュレーション装置に設定される画像データの解像度が異なる場合、前記画像データの解像度を前記シミュレーション装置に設定される画像データの解像度に変更する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の入力方法。
  4. 前記部屋の平面情報は、
    部屋が単色で塗りつぶされた平面プロフィールである
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の入力方法。
  5. 任意の大きさ及び形状の部屋を対象領域に設定して、室内環境をシミュレートするシミュレーション装置において、
    入力された部屋の平面情報を示す画像データの形式を判別する画像形式判別手段と、
    前記画像データから、前記部屋の平面プロフィールに係る画素データを前記画像形式判別手段により判別した画像データ形式に従って抽出する画素抽出手段と、
    該画素抽出手段により抽出された画素データを解析して、前記対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出する平面情報算出手段と、
    該平面情報算出手段により算出された部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、前記対象領域を構築する手段と
    を備えることを特徴とするシミュレーション装置。
  6. コンピュータに、任意の大きさ及び形状の部屋を対象領域に設定して、室内環境シミュレーションを実行させるコンピュータプログラムにおいて、
    コンピュータに、
    入力された部屋の平面情報を示す画像データの形式を判別する画像形式判別ステップと、
    前記画像データから、前記部屋の平面プロフィールに係る画素データを前記画像形式判別ステップにより判別した画像データ形式に従って抽出する画素抽出ステップと、
    該画素抽出ステップにより抽出された画素データを解析して、前記対象領域に対応する部屋の平面的な大きさ及び形状を算出する平面情報算出ステップと、
    該平面情報算出ステップにより算出された部屋の平面的な大きさ及び形状、並びに入力された部屋の高さから、前記対象領域を構築するステップと
    を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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