以下、図1から図26を参照して、この発明に係る冷蔵庫を具体的に説明する。ここで図1から図15が第1実施例を示し、図16から図18が第2実施例を示し、図19が第3実施例を示し、図20から図23が第4実施例を示し、図24と図25が第5実施例を示し、図26が第6実施例を示している。なお、以下の実施例では、野菜室に適用される引出構造の収納容器の事例で説明する。しかし、この発明に係る構造は野菜室に限定されるものではなく、貯蔵室内で密閉構造の貯蔵空間を構成するものであれば適用可能である。また、同様の部位や矢印などは同一符号をもって示し、重複した説明を省略する。
(第1実施例)
先ず、図1を参照して、第1実施例に係る冷蔵庫の概略構造を説明する。図1は、この実施例に係る引出構造の収納容器の概略構造を示す説明図であり、(a)図が冷蔵庫の下部に配置される野菜室の部分縦断面図、(b)図が収納容器の部品構成図である。
図1において、この実施例に係る冷蔵庫1は、断熱材で形成される貯蔵室2を仕切壁3で上下に複数に分割し、この最下部に配置される下部貯蔵室100を引出構造の引出扉101を備えた野菜室(下部貯蔵室100)としたものである。この野菜室100は、冷蔵庫1の最下部に配置されるために、その後方に圧縮機11を備えた機械室10が配置される。このため、(a)図に示すように、この野菜室100の後方下部は内側に機械室10が張り出した構造となっている。
この野菜室100は、断熱材で形成される引出扉101を、第1引出機構部200を介して、前後にスライド移動させることにより、密閉された野菜室100を構成したり、あるいは、この野菜室100から野菜の出し入れを行うことができる。この第1引出機構部200は、引出扉101の内側に取り付けられる支持枠201と、野菜室200の両側の内壁面に設けられる第1支持レール202とで構成される。支持枠201は、前記第1支持レール202にスライド可能に支持される一対の第1移動部材203を備え、この一対の第1移動部材203の前端部が引出扉101に取り付けられ、後端部は、連結部材204(図3参照)で連結される。
この第1引出機構部200の構造によれば、支持枠201を構成する第1移動部材203が第1支持レール202を移動することにより、その前端部に取り付けられる引出扉101を前後に移動させることができる。そして、一対の第1移動部材203と引出扉101と連結部材204で形成される支持枠201内に収納容器120を支持することができる。したがって、この実施例によれば、第1移動部材203が第1支持レール202を移動することにより、引出扉101とともに収納容器120を前後に移動させることができる。
ここで、引出扉101の内壁面の周囲には磁石付の図示しない扉パッキンが設けられているので、この扉パッキンが、野菜室100の前部開放部の前端部に密着することで、この野菜室100を外部から区画される野菜室100とすることができる。そして、この野菜室100を構成する引出扉101を前方に引き出すことで、収納容器120を野菜室100から前方に引き出すことができる。
そして、この実施例の大きな特徴の1つは、前記収納容器120を、上部が開放した第1収納容器140と、この第1収納容器140の上部開口部141を覆う蓋体160とで密閉された貯蔵空間121を構成し、この貯蔵空間121内に、この貯蔵空間121を上下に分割する第2収納容器180を配置し、前記第1収納容器140は、上部開口部141の前端縁部142より上部開口部141の後端縁部143が低く形成され、第2収納容器180は、後端縁部143の上部を移動路122とするように前後方向に移動可能に設けた点にある。
即ち、従来の引出構造の野菜室の収納容器は、後端部が切り欠かれた第1収納容器と、この切欠部に嵌合する第2収納容器とから構成される積層構造を採用したものが主流となっている。この積層構造によれば、引出扉を前方に引き出すことにより、この第1収納容器と第2収納容器を引き出して第2収納容器からの食品の出し入れを可能とし、第1収納容器から食品を取り出す際には、第2収納容器を野菜室内に押し込むことにより、第1収納容器の上部を開放することができる。
このような積層構造の従来例では、野菜室内の天井部分に蓋体を設け、第1収納容器と第2収納容器の上部を覆うことにより収納容器内の乾燥を軽減している。しかし、この従来の蓋体は、第1収納容器の切欠部を覆う構造ではないため、密閉度をより向上することが課題となっている。
この実施例では、この課題を解決するために、第1収納容器140の上部開口部141の後端縁部143を前端縁部142より低く形成し、この後端縁部143上に第2収納容器180の移動路122を形成するとともに、第2収納容器180を第1収納容器140内に納めた時には、上部開口部141を蓋体160で覆う構造としている。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、前記第2収納容器180を移動可能とするために、第1収納容器140に第2引出機構部220、前記蓋体160に第3引出機構部240をそれぞれ備え、この2つの引出機構部220、240の間を第2収納容器180が移動可能な構造とした点にある。
即ち、この実施例では、第1収納容器140の上部に第2収納容器180が積層される状態では、第2収納容器180の両側の底部(第2移動部材)221が第1収納容器140の両側の内壁面に形成される第2支持レール222に支持される。つまり、第2収納容器180が第1収納容器140に積層される状態では、第2移動部材221と第2支持レール222とで構成される第2引出機構部220により第2収納容器180が支持される。
一方、第2収納容器180のみが野菜室100に戻される状態では、第2収納容器180の両側の上部に形成される両側縁部(第3移動部材)241が、蓋体160の両側の内壁面161に形成される第3支持レール242で支持される。つまり、第2収納容器180のみが野菜室100に戻される状態では、第3移動部材241と第3支持レール242とで構成される第3引出機構部240により第2収納容器180が支持される。
そして、この第2収納容器180が第2引出機構部220から第3引出機構部240へ移動する際には、後端縁部143の上部を移動路122とする。これにより、収納容器120は、野菜室100内では密閉された上下に仕切られた貯蔵空間121を構成し、この貯蔵空間121を構成する収納容器120を野菜室100の前方に引き出した状態では、上段の第2収納容器180からの食品の出し入れが可能であり、また、下段の第1収納容器140から食品を出し入れする場合は、第2収納容器180のみを野菜室100に押し込むことにより可能となるから、上下に分割された貯蔵空間121の使い勝手も良好とすることができる。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、上部開口部141の両側縁部144を、この上部開口部141の前端縁部142から後端縁部143に向かって徐々に低く形成されるように形成した点にある。この構造によれば、この上部開口部141を覆う蓋体160の両側の内壁面161を前方から後方に向かって徐々に太くすることができるから、この内壁面161に第2収納容器180を支持する第3支持レール242を設けやすくすることができる。また、このように上部開口部141の両側縁部144を後方に向かって低くなる傾斜面とすることにより、上部開口部141と蓋体160との結合部280の嵌合を良好にして、機密性を保持しやすくすることができる。
即ち、この種の前後にスライドする構造を備えた収納容器の場合、この収納容器と蓋体との結合部にゴム材料などで形成されるパッキンを設けると、結合部が水平のために、収納容器の出し入れのたびにパッキンが擦れてしまい耐久性に課題がある。この実施例では、この課題を解決するために、結合部280を傾斜面とすることにより、前記課題を軽減させることができる。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、蓋体160を、第4引出機構部260を介して、野菜室100に出し入れ可能にした点にある。この構造によれば、蓋体160の両壁面に形成される第4移動部材261と、野菜室100の両側の内壁面に形成される第4支持レール262とで第4引出機構部260を構成し、この第4支持レール262で第4移動部材261をスライド可能に支持する構造としている。この移動構造により、蓋体160の着脱が容易となり、清掃性を向上することができる。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、蓋体160を、第4引出機構部260を介して、移動可能に形成し、この蓋体160を常に野菜室100内に戻そうとするバネ材310と、この蓋体160を第1収納容器140に固定し、第1収納容器140が所定の位置に引き出された状態で開放する連動機構部300とを備えた点にある。
即ち、この実施例によれば、蓋体160は、第1収納容器140を前方に所定の位置まで引き出されるまで、第1収納容器140を覆った状態で引き出されるので、引き出しによる冷気の漏れを軽減することができ、また、所定の位置まで第1収納容器140が引き出されると、蓋体160はバネ材310により野菜室100内に引き戻されるので、収納容器120の食品の出し入れに支障をきたすことがない。
特に、従来の野菜室の構造では、蓋体は野菜室内に常に配置されているために、この蓋体の存在を一般使用者は認識することが少ない。この実施例では、従来構造に比べて密閉構造が向上した蓋体160を収納容器120の引き出しにともなって引き出すことにより、従来より向上した密閉構造の蓋体160の存在を一般消費者に認識させることもまたできる。
なお、この実施例では、蓋体160の上面に内部を視認できる透明窓162を設けているので、この透明窓162を介して収納容器120内を確認することができる。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、前記連動機構部300を備えた引出構造において、任意の位置で連動機構部300を開放する解放機構部340を設けた点にある。この実施例では、解放機構部340として、引出扉101の上端部に設けられる開放ボタン341と、この開放ボタン321と連動機構部300とを連結するワイヤー342などを設け、この開放ボタン341の操作に連動して連動機構部300の固定状態を解除することができる。
また、この実施例の大きな特徴の他の1つは、第1収納容器140の上部後方を後方に張り出して形成し、この張出部145の後方の下端部に後端縁部143を形成した点にある。
即ち、この実施例では、この野菜室100の後方に機械室10が形成されるため、この機械室10が野菜室100の後方下部に張り出して、野菜室100の内容積を減らしている。このため、この実施例では、野菜室100の高さを機械室10の高さより高く形成し、野菜室100に収納される収納容器120の上部後方を機械室10の上部に重なるように張り出して形成している。そして、この後方に張り出した第1収納容器140の張出部145の後方下端部に後端縁部143を形成している。この構造によれば、後方に張り出した収納容器120の上段を第2収納容器180の収納空間とすることができる。
なお、この実施例では、野菜室100の後方に機械室10を配置した事例で説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、野菜室100を冷蔵庫の中段に配置した冷蔵庫においては、野菜室100の後方に図示しない熱交換器と送風フアンを備えた冷却室が配置される。このような中段野菜室の事例でも、冷却室の上部に重なるように張出部145を設けるようにするとよい。
更に、従来から第1収納容器140はPP樹脂材料で形成されることが多い。このような樹脂材料では、第1収納容器140が大型化すると、歪みが大きな課題となる。この実施例によれば、第1収納容器140の後部を段差のある形状とすることにより、樹脂材料で形成される第1収納容器140の歪みを軽減することができる。特に、この実施例では、第1収納容器140の両側に、第2収納容器180を支持する第2支持レール222を設けているので、この第2支持レール222が設けられる上部開口部141の両側縁部144に歪みが生じると、第2収納容器180の移動に支障をきたす課題が懸念される。しかし、この実施例によれば、この課題が軽減される。
以下、図2から図15を参照して、この実施例に係る冷蔵庫1を更に説明する。ここで、図2はこの第1実施例に係る冷蔵庫の部分縦断面図である。図3から図10が野菜室を構成する各部分の説明図である。図11と図12は連動機構部と解放機構部の動作説明図である。図13と図14は野菜室の操作説明図である。
先ず、図2を参照して、この特徴的な野菜室100を備えた冷蔵庫1の全体構造を具体的に説明する。図2において、冷蔵庫1の筐体4は、鋼板製の外箱5と樹脂製の内箱6との間に断熱材7を発泡充填して形成することにより、前方に開放した貯蔵室2が筐体4に形成される。この貯蔵室2は断熱材を備えた仕切壁3により、上下に分割されることにより、温度帯の異なる複数の貯蔵室2に分割される。この実施例では、最上段に冷蔵室20を配置し、中段に冷凍室30を配置し、最下段に野菜室100を配置している。ここで、冷凍室30は、断熱材を備えない仕切壁8により上下に2分割されている。
そして、この実施例では、冷蔵室20に開閉扉21を備え、上下2段に分割される冷凍室30には引出扉31、32をそれぞれ備え、野菜室100には引出扉101を設けている。ここで、冷凍室30の引出扉31、32は野菜室100の引出扉101と同様な構造を備え、かつ、公知の構造を備える収納容器を備えているため、ここでは詳細説明を省略する。また、引出扉101には、この引出扉101を引き出すためのハンドル102が設けられている。なお、引出扉31、32などにも同様なハンドルが設けられている。
この冷蔵庫1の背面下部は、筺体4を切り欠くように形成される機械室10が形成される。この機械室10には圧縮機11やドレン皿12が配置されている。また、機械室10の上部の筺体4内には熱交換器16と送風機17と分配器18などを備えた冷却室15が配置される。即ち、この実施例に係る冷蔵庫1は、最下部に配置される野菜室100の後方に機械室10、中段の冷凍室30の後方に冷却室15を配置する構造を備えている。
そして、この実施例によれば、熱交換器16で冷やされた冷気は、送風機17によって分配器18と冷凍室30に供給される。この実施例では、分配器18の開閉を制御することにより、冷蔵室20と野菜室100への冷気の供給が制御され、これにより各貯蔵室の温度を制御している。
具体的には、冷凍室30に送風された冷気は、複数の送風口33から冷凍室30内に送風されることで、冷凍室30内を冷却した後、熱交換器16の下部に戻される。一方、分配器18に供給された冷気は、冷蔵室20に供給されて冷蔵室20を冷やした後、図示しない通風路を介して熱交換器16の下部と野菜室100に供給される。野菜室100に供給された冷気は、図示しない通路を介して熱交換器16の下部に戻される。
次に、図3から図10を参照して、野菜室を構成する各部分を具体的に説明する。
先ず、図3と図4を参照して、野菜室の引出扉の構造を説明する。ここで、図3は、支持枠を備えた引出扉の後方斜視図である。図4は第1引出機構部の取付位置の説明図である。
図3において、野菜室(下部貯蔵室)100の引出扉101の内壁面には、ロ字状の支持枠201が取り付けられている。この支持枠201は、一端を引出扉101の内壁面の両側に取り付けられる一対の第1移動部材203と、この一対の第1移動部材203の他端を連結する連結部材204とで構成される。一対の第1移動部材203は移動のための公知のローラを備えているが、ここでは省略している。
図4において、この実施例では、一対の第1移動部材203が、野菜室100の両側の内壁面に設けられる第1支持レール202に支持されて、引出扉101を前後に移動させることができる。そして、このロ字状の支持枠201の中央の開口部に第1収納容器140を挿入して支持する構造としている。
ところで、図4において、冷蔵庫1の最下部に野菜室100を設けると、野菜室100の後方に機械室10が配置されるため、この野菜室100の後方下部に機械室10が張り出すこととなる。このような、機械室10が張り出した野菜室100に第1引出機構部200を配置しようとすると、図4(b)図の左側に示すように、野菜室100の両側に設けられる第1支持レール202が高い位置となる。
即ち、第1引出機構部200の場合、第1支持レール202と支持枠201は長手方向の一部が重なることで、支持枠201が第1支持レール202に支持される。したがって、支持枠201を支持するためには、ある程度の重なる部分が必要である。即ち、第1支持レール202を長くすることが、収納容器120を前方に大きく引き出すことができる。
しかし、この実施例に係る収納容器120は、上部後方を機械室10の上部に位置するような張出部145を備えている。したがって、収納容器120の支持部材(支持枠201)を兼用する第1移動部材203が張出部145の下端部より高い位置に配置されると、支持部材(支持枠201)の取り付け構造が複雑となるばかりか、収納容器120を支持する強度を得ることが難しくなる。
また、この実施例に係る第1収納容器140は、上部開口部141の後端縁部143を前端縁部142より低い位置に形成している。このため、第1支持レール202を高い位置に設けると、この第1支持レール202に支持される第1移動部材203が後端縁部143より高い位置となり、第1移動部材203の配置や蓋体160との嵌合構造が複雑となる。
そこで、この実施例では、野菜室100に張り出した機械室10の両側に凹部123を形成し、この凹部123に第1支持レール202を配置することで、第1引出機構部200の位置を低くして、強度と十分な引出し量を確保している。
次に、図5を参照して、第1収納容器140を説明する。ここで、図5は、第1収納容器の構造説明図であり、(a)図が後方斜視図、(b)図が強度比較図である。
図5において、この実施例に係る第1収納容器140は、野菜室100の貯蔵空間121の主体を成すものであり、PP樹脂材料で形成される。この第1収納容器140は、両側の内壁面に第2収納容器180を支持する第2支持レール222を備え、この第2支持レール222に第2収納容器180を配置することで、貯蔵空間121を上下2段に分割された貯蔵空間としている。この実施例では、下段の下部収納空間124を第2収納容器180で構成される上段の上部収納空間125より高さのある貯蔵空間としている。
即ち、下部収納空間124の高さH1は上部収納空間125の高さH2より大きく設定している。そして、上部収納空間125の後部を後方に張り出した張出部145とすることにより、上部収納空間125の奥行き寸法を下部収納空間124の奥行き寸法より大きく設定している。これにより、下部収納空間124は、その後方に機械室10を配置するスペースを確保するとともに、大物野菜を収納可能な貯蔵空間としている。上部収納空間125は、その後方を機械室10の上部まで延びる奥行きがある浅い貯蔵空間とすることで、この貯蔵空間を構成する第2収納容器180を収めて、小物野菜の収納に最適な貯蔵空間とすることができる。
第1収納容器140の上部開口部141は、その前部を構成する前端縁部142より、その後部となる張出部145の後方の下端部を構成する後端縁部143を低く形成し、この前端縁部142と後端縁部143とを結ぶ両側縁部144を後方に徐々に傾斜する形状としている。
即ち、両側縁部144は、第1収納容器140の最も高い高さHに形成される前端縁部142と、張出部145の後方の最下部となる高さH1に形成される後端縁部143とを直線的に結ぶ傾斜する形状としている。これにより、第1収納容器140の後方に高さH2を備えた段差が形成され、この段差により、後端縁部143の上方を第2収納容器180を後方に逃がす移動路122とすることができる。
また、両側の内壁面に形成される第2支持レール222は、後端縁部143と同じ高さまたは、後端縁部143よりやや高く形成することにより、第2収納容器180を後方にスムーズに移動させるようにしている。
また、この実施例に係る第1収納容器140は、その両側の外壁面に、張出部145の下端部と連続するように両側に張り出した支持部材146を形成している。この実施例では、図4に示す支持枠201に、第1収納容器140を上方から挿入することにより、一対の支持部材146と張出部145の下端部が支持枠201に着脱可能に支持される。
ところで、上方が開放した第1収納容器140をPP樹脂材料で形成すると、(b)図の左側に示すように、上部開口部141の4辺が内側に歪みやすいことが知られている。この実施例に係る第1収納容器140は、その上部開口部141の周囲を蓋体160の端部と密閉構造で連結する結合部280とするので、この歪みは大きな課題である。
この実施例に係る第1収納容器140では、前記課題を解決するために、(b)図右側に示すように、両側の壁面の内壁には第2支持レール222、外壁には支持部材146を形成するとともに、後部壁面には、張出部145の幅広の底面部147を形成しているので、前記歪みを軽減することができる。
なお、第1収納容器140の前部壁面は、その外壁に突起部148を設け、この突起部148が引出扉101の内壁面に取り付けられる構造を採用している。このため、第1収納容器140の4辺の強度を向上することができるから、前記密閉構造を取りやすい形状とすることができる。
次に、図6を参照して、蓋体160を具体的に説明する。図6は蓋体の外観図であり、(a)図が上方からみた斜視図、(b)図が下方(内面)からみた斜視図である。
図6において、この実施例に係る蓋体160は、第1収納容器140とともに密閉された貯蔵空間121(収納容器120)を構成するものであり、ABS樹脂材料などで形成される。この蓋体160は、第1収納容器140の上部開口部141を覆いつつ、箱型の収納容器120を構成する。このため、蓋体160の後方は高さH2(図5参照)を備え、この高さのある後部から前方に向かって徐々に先細りの形状となっている。
蓋体160の両側の外壁には、第4引出機構部260を構成する第4移動部材261が外方に張り出して形成される。この一対の第4移動部材261が野菜室100の両側の内壁面に形成される第4支持レール262にスライド移動可能に支持される。
一方、蓋体160の両側の内壁には、第3引出機構部240を構成する第3支持レール242が形成される。この一対の第3支持レール242を介して、第2収納容器180の両側縁部(第3移動部材)241をスライド移動可能に支持することができる。
また、この実施例では、蓋体160の上面に大きな透明窓162を設けて、収納容器120の内部を覗き見ることができる。
次に、図7を参照して、第2収納容器180を具体的に説明する。ここで、図7は第2収納容器の外観斜視図である。
図7において、この第2収納容器180は、収納容器120の内部にあって、貯蔵空間121を上下に分割し、その上段となる上部収納空間125を構成するものであり、PS樹脂材料などで形成される。この第2収納容器180の両側の上端部には、第3引出機構部240を構成する両側縁部(第3移動部材)241が形成される。この一対の両側縁部(第3移動部材)241が蓋体16の内壁面161に形成される一対の第3支持レール242にスライド移動可能に支持される。
一方、この第2収納容器180の両側の下端部には、第2引出機構部220を構成する底部(第2移動部材)221が形成される。この一対の底部(第2移動部材)221が第1収納容器140の両側の内壁面に形成される一対の第2支持レール222にスライド可能に支持される。
前記したように、この第2収納容器180は、上部が開放し、かつ奥行き寸法があって深さの浅い収納空間を構成するので、小物野菜を収納するのに最適な空間を構成するものである。
次に、図8と図9を参照して、収納容器120の積層構造を更に説明する。ここで、図8は、野菜室内で積層される収納容器を示す外観図である。図9は野菜室内で積層構造で収納される収納容器の横断面図である。
図8において、この実施例に係る収納容器120は、破線で示す野菜室100に収納される状態では、その内部の貯蔵空間121に第2収納容器180を収納し、この第1収納容器140の上部を構成する上部開口部141を蓋体160が覆うように収納される。これにより、第2収納容器180を収納する貯蔵空間121を密閉された空間とすることができる。この収納状態の内部の積層構造を図9に示す。
図9において、第1収納容器140と蓋体160で構成される収納容器120は、第1支持レール202と第1移動部材203で構成される第1引出機構部200を介して、野菜室100内で前後方向に移動可能に支持される。したがって、収納容器120と野菜室100との間には隙間空間103が形成されるので、この隙間空間103を介して、野菜室100内に供給される冷気が循環して、収納容器120全体を冷却することができる。
ここで、蓋体160もまた、第4移動部材261と第4支持レール262とで構成される第4引出機構部260により移動可能に支持されるが、第1収納容器140が野菜室100内に収納された状態では、第4移動部材261が第4支持レール262と接触しないように上部に配置される。つまり、第4移動部材261と第4支持レール262との間には第1隙間263が形成されるように設定される。これにより、第1収納容器140とともに蓋体160が引き出されても、第4移動部材261と第4支持レール262とが接触しないので、2つの部材間の接触による磨耗を軽減するとともに、収納容器120の引き出しをスムーズに行うことができる。
また、密閉された貯蔵空間121の内部に収納される第2収納容器180は、底部(第2移動部材)221と第2支持レール222とで構成される第2引出機構部220により支持される。これにより、貯蔵空間121を、第2収納容器180の下方に形成される下部収納空間124と、第2収納容器180で形成される上部収納空間125とに分割することができるので、貯蔵空間121における食品の積層収納を可能とすることができる。
ここで、第2収納容器180は、両側縁部(第3移動部材)241と第3支持レール242とで構成される第3引出機構部240により移動可能に蓋体160に支持されるが、第1収納容器140が野菜室100内に収納された状態では、両側縁部(第3移動部材)241が第3支持レール242と接触しないように上部に配置される。つまり、両側縁部(第3移動部材)241と第3支持レール242との間には第2隙間243が形成されるように設定される。これにより、後で説明するように、収納容器120が野菜室100から引き出されて、蓋体160のみが、野菜室100内に戻されても、両側縁部(第3移動部材)241と第3支持レール242とが接触しないので、2つの部材間の接触により磨耗を軽減するとともに、蓋体160の移動にともなう第2収納容器180の不要な移動を阻止することができる。
なお、上記の説明では、第3引出機構部240と第4引出機構部260をそれぞれ構成する2つの部材間の隙間の存在を説明したが、野菜室100の両側の内壁面と蓋体160と第2収納容器180との間もまた、互いに接触しないように、ガタツキが生じない程度の図示しない隙間をもって形成する。
このように、この実施例に係る蓋体160は、少なくとも野菜室100内に第1収納容器140が収納された状態では、第1収納容器140の上部開口部141の上端部に形成される結合部280との接触により支持され、第3引出機構部240と第4引出機構部260、及び野菜室100の両側の内壁面や第2収納容器180と接触しない構造となっている。
次に、図10を参照して、蓋体1を支持する第1収納容器140の上端部の結合部280を説明する。ここで、図10は結合部の断面図であり、(a)図が両側縁部近傍の横断面図、(b)図が前端縁部近傍の縦断面図、(c)図が後端縁部近傍の縦断面図を示している。
先ず、(a)において、両側縁部144の上端部は、その長手方向に沿って、凸リブ281が形成され、この両側縁部144に支持される蓋体160の両側端部163は、その長手方向に沿って、前記凸リブ281と嵌合する凹溝282が形成される。この実施例に係る結合部280の構造によれば、結合部280は蓋体160の移動方向に対して斜めに形成され、かつ、凸リブ281と凹溝282は、その長手方向を蓋体160の移動方向に沿って形成される。このため、蓋体160が移動して第1収納容器140の上端に支持される場合は、凸リブ281と凹溝282との間の隙間が徐々に小さくなる。
即ち、(a)図の左側の隙間が開いた状態から、(a)図の右側の隙間が閉じて凸リブ281と凹溝282とが接触した状態となる。この右側の隙間が極めて少ない状態であれば、この結合部280からの冷気の流出を軽減することができる。また、この構造によれば、(a)図の右側のように結合部280が完全に接触しない状態であっても、(a)図の左側のように、凸リブ281と凹溝282とが一部ラップするような状態であれば、冷気の流出を軽減することができる。
また、(b)図に示すように、前端縁部142の上端部は、外側が高く、内側が低い段差形状に形成される。一方、この前端縁部142と嵌合する蓋体160の前端部164は、上部が張り出して、下部が凹んだ段差形状に形成される。このため、(b)図の左側の状態から、蓋体160が移動して、(b)図右側の状態のように、前端縁部142と前端部164の段差形状が嵌合することにより、冷気の流出を軽減することができる。そしてまた、この構造によれば、(b)図の右側のように結合部280が完全に接触しない状態であっても、(b)図の左側のように、前端縁部142と前端部164とが一部ラップするような状態であれば、冷気の流出を軽減することができる。
また、(c)図に示すように、後端縁部143の上端部は、内側が高く、外側が低い段差形状に形成される。一方、この後端縁部143と嵌合する蓋体160の後端部165は、外側が張り出して、内側が凹んだ段差形状に形成される。このため、(c)図の左側の状態から、蓋体160が移動して、(c)図右側の状態のように、後端縁部143と後端部165の段差形状が嵌合することにより、冷気の流出を軽減することができる。そしてまた、この構造によれば、(b)図の右側のように結合部280が完全に接触しない状態であっても、(b)図の左側のように、後端縁部143と後端部165とが一部ラップするような状態であれば、冷気の流出を軽減することができる。
なお、この実施例に係る結合部の構造によれば、結合部280の接触が少ないので、2つの部材間の接触による磨耗を軽減することができる。もちろん、この結合部280に冷気漏れを軽減する図示しない通常のパッキンを設ける構造としても良い。
次に、図11を参照して、連動機構部300の具体的な構造と、その動作を具体的に説明する。ここで、図11は連動機構部の動作説明図であり、(a)図が収納容器を野菜室内に収納した状態を示し、(b)図が収納容器を野菜室から引き出した状態を示す。
先ず、(a)図を参照して、連動機構部300の具体的な構造の1例を説明する。この実施例に係る第1収納容器140は、図示しない第1引出機構部200を介して野菜室100から前後方向(図面上の左右方向)に移動可能に設けられている。そして、蓋体160もまた、図示しない第4引出機構部260を介して、前後方向に移動可能に設けられている。
このような引出構造の収納容器120に対して、この実施例に係る連動機構部300は、第1収納容器140の張出部145の両側近傍に設けられるロック機構部320と、ロック機構部320の移動路330上でかつ野菜室100の両側の内壁面または第1支持レール202に設けられる開放ツメ331と、蓋体160を常に野菜室100内に戻そうとするバネ材310とを含んで構成される。
ロック機構部320は、その中央を回転軸323によって第1収納容器140に回転可能に支持され、後端部321が蓋体160の下端部を保持できるように上方に立ち上がって形成され、前端部322は移動路330に設けられる開放ツメ331によって上方に力を受けるように斜めに立ち上がって形成される。
この構造を備えた連動機構部300によれば、ロック機構部320が開放ツメ331との間の長さL1だけ移動すると、蓋体160の固定を解除して、バネ材310の作用により、蓋体160のみを野菜室100内に引き戻すことができる。
つまり、今、(a)図の状態では、野菜室100内に収納容器120が収納された状態となっている。この状態からハンドル102を介して引出扉101を前方(図面上の右側)に引き出すと、図示しない第1引出機構部200により収納容器120全体を引き出すことができる。この(a)図の状態では、第1収納容器140に取り付けられるロック機構部320の後端部321が蓋体160を保持する姿勢をとっているので、蓋体160は第1収納容器140とともに引き出される。
さて、収納容器120が、図(b)のように、野菜室100の前方に引き出されると、ロック機構部320も、仮想的な移動路330を移動する。しかし、ロック機構部320が長さL1だけ移動すると、その前端部322が固定位置の開放ツメ331に当たって上方に押し上げられる。つまり、この作用により、ロック機構部320が回転軸323を中心に回転するので、後端部321は蓋体160の下端部を開放するように下方に回転するので、蓋体160のロック状態を開放することができる。この採用により、蓋体160は、バネ材310の力により野菜室100内に引き戻されることとなる。
この実施例によれば、蓋体160は、第1収納容器140を前方に所定の位置まで引き出されるまで、第1収納容器140を覆った状態で引き出されるので、引き出しによる冷気の漏れを軽減することができ、また、所定の位置まで第1収納容器140が引き出されると、蓋体160はバネ材310により野菜室100内に引き戻されるので、収納容器120の食品の出し入れに支障をきたすことがない。
特に、従来の野菜室の構造では、蓋体は野菜室内に常に配置されているために、この蓋体の存在を一般使用者は認識することが少ない。この実施例では、従来構造に比べて密閉構造が向上した蓋体160を収納容器120の引き出しにともなって引き出すことにより、従来より向上した密閉構造の蓋体160の存在を一般消費者に認識させることもまたできる。
次に、連動機構部300のロック状態を任意の位置で解除することができる解放機構部340について説明する。ここで、図12は連動機構部300の具体的な構造と、その動作を具体的に説明する。ここで、図12は解放機構部の動作説明図であり、(a)図が収納容器を野菜室内に収納した状態を示し、(b)図が収納容器を野菜室から引き出した状態を示す。
図において、図11で説明したように、この実施例では、収納容器120を所定の位置まで引き出すと、蓋体160のみを野菜室100に引き戻すことができるから、収納容器120からの食品の出し入れが可能となる。しかし、この構造によれば、収納容器120を所定の位置まで引き出さないと食品の出し入れができないという課題がある。
そこで、この実施例では、任意の位置で連動機構部300を開放する解放機構部340を設けている。具体的には、引出扉101の上端部に設けられる開放ボタン341と、この開放ボタン341と連動機構部300とを連結するワーヤ342などを設け、この開放ボタン321の操作に連動して連動機構部300の固定状態を解除することができる。
つまり、開放ボタン341は、図示しないバネを備えて、常に、元の状態に戻ろうとする構造となっている。そして、ワイヤー342の一端は、開放ボタン341に連結され、他端は前端部322に取り付けられている。
(a)図に示す通常の状態のワイヤー342は、ロック機構部320のロック状態を維持している。この(a)図の状態から収納容器120が引き出されると、(b)図に示すように、引出扉101の上端に設けた開放ボタン341が操作可能となる。この(b)図の状態で、開放ボタン341を押すと、ロック機構部320の前端部322はワイヤー342により押されて、ロック機構部320のロック状態を解除する方向に回転させる。この作用により、蓋体160の後ろ下端部を保持していた後端部321が下方に回転するので、保持状態が解除されるので、蓋体160はバネ材310の作用により、野菜室100内に引き戻されることとなる。
このように、この実施例では、解放機構部340を設けることにより、収納容器120を引き出した任意の位置で蓋体160のみ野菜室100内に戻して、収納容器120からの食品の出し入れを可能とすることができる。
次に、図13から図15を参照して、この実施例に係る引出構造を備えた野菜室の操作方法を説明する。ここで、図13から図15は、野菜室の動作状態を示す縦断面図である。
先ず、図13の(a)図において、この実施例では、野菜室100内に収納される収納容器120は、第1収納容器140とこの上部の上部開口部141を覆う蓋体160により密閉された貯蔵空間121を構成することができる。この貯蔵空間121は密閉されているために、野菜室100内に供給される冷気が貯蔵空間121内に侵入しない(しずらい)ために、野菜室100に収納される食品の乾燥を軽減することができる。つまり、この実施例の野菜室100では、間接的に収納容器120内に収納される食品を冷却することができる。
また、この実施例では、収納容器120内に第2収納容器180を収納することにより、貯蔵空間121を上下2段に分割して、食品の分割収納を可能とすることができる。
さて、この実施例に係る野菜室100によれば、ハンドル102を介して引出扉101を前方に引き出すことにより、(b)図に示すように、収納容器120全体を野菜室100から引き出すことができる。この引き出された収納容器120は、まだ前記密閉状態が解除されていない。したがって、収納容器120内の冷気は外に逃げることがない。
なお、この実施例では、収納容器120を野菜室100の外に引き出した状態でも密閉度を維持する構造としているが、必ずしも、厳格な密閉度を維持する構造でなくとも良い。これを図15で説明する。
即ち、図10でも説明したように、第1収納容器140の上部開口部141と蓋体160の結合部280は、一部がラップする程度でもある程度の密閉度を保つことができる。また、野菜室100から引き出した収納容器120から食品を出し入れするためには蓋体160を野菜室100に戻すことが必要である。一方、野菜室100内では、結合部280の密着を強くして密閉度を向上することが有効である。
そこで、図15の実施例では、収納容器120を野菜室100内に収納した状態では、野菜室100の背面壁に設けた突起部301により、蓋体160が背面から前方に押されるように形成する。引出扉101は図示しない扉パッキンなどで、野菜室100内を密閉された状態となるように保持されるので、背面から押される蓋体160は結合部280の密着度を強くするように作用する。ここで、突起部301はバネ材や軟質材などで形成するようにしてもよい。
そして、この実施例では、突起部301により、蓋体160が背面側から押されることにより、収納容器120を野菜室100内に収納した状態では、ロック機構部320の後端部321が蓋体160の背面と接触しない構造としている。つまり、この状態では、後端部321と蓋体160の背面との間に隙間302が形成される。
この構造によれば、収納容器120が野菜室100の外に引き出されると、蓋体160はバネ材310により後方に引っ張られるので、この隙間302の大きさだけ、第1収納容器140の上部開口部141と蓋体160との間の結合部280に僅かに隙間が生じた状態で引き出されることとなる。この僅かの隙間は、収納容器120からの冷気の流失を大きくするものではなく、また、所定の位置、または任意の位置で蓋体160が野菜室100内に戻る動作をスムーズにすることができる。
図13の(b)図に戻り、この実施例では、蓋体160に透明窓162を設けているので、この透明窓162を介して、第2収納容器180に収納されている小物食品を確認することができる。また、この引き出された収納容器120から食品を出し入れする場合は、収納容器120を所定の位置まで引き出すか、あるいは、開放ボタン341を操作することで、図14(a)図に示すように蓋体160のみを野菜室100内に戻すことができる。
図14において、前記したように、第1収納容器140の上部に蓋体160が位置する場合は、第3引出機構部240を構成する両側縁部(第3移動部材)241と第3支持レール242、及び第4引出機構部260を構成する第4移動部材261と第4支持レール262とは接触していない。
しかし、(a)図のように、蓋体160のみが野菜室100内に移動する場合は、第4引出機構部260がないと蓋体160を野菜室100内で支持することができない。つまり、この実施例では、蓋体160のみが野菜室100内に移動する場合は、第1収納容器140に支持される高い位置からやや低い位置に設けられる第4支持レール262に第4移動部材261が乗り移るよう支持される。この構造により、蓋体160のスムーズな移動が可能となる。また、この蓋体160が野菜室100内に戻ることにより、第2収納容器180からの食品の出し入れが可能になる。
また同様に、第2収納容器180を野菜室100内に戻す場合は、第2引出機構部220がないと第2収納容器180を野菜室100内で支持することができない。つまり、この実施例では、第2収納容器180を野菜室100内に戻す場合は、第1収納容器140の底部(第2移動部材)221が第2支持レール222に支持される高い位置から、やや低い位置となる第3支持レール242に両側縁部(第3移動部材)241が乗り移るよう支持される。この構造により、第2収納容器180のスムーズな移動が可能となる。また、この第2収納容器180が野菜室100内に戻ることにより、第1収納容器140からの食品の出し入れが可能になる。
さて、図14の(b)図の状態から、第1収納容器140を野菜室100内に戻すと、第3引出機構部240で支持される第2収納容器180は、第2引出機構部220の支持に乗り換えることとなる。この際、第2収納容器180は第3引出機構部240で支持される低い位置から、第2引出機構部220で支持される高い位置に乗り換えるので、両側縁部(第3移動部材)241の前端部と第3支持レール242の下端部は乗りあげをスムーズにするために図示はしないが丸み形状や斜面形状にしている。
また、第1収納容器140を完全に野菜室100内に戻すと、第1収納容器140の上部開口部141と蓋体160の結合部280は傾斜面となっているので、両部材間の擦れによる磨耗も少なく、両部材間の密着を可能とすることができる。
(第2実施例)
次に、図16から図18を参照して、この発明に係る第2実施例を具体的に説明する。ここで、図16は、野菜室内で積層される収納容器を示す外観図である。図17は引出扉の開閉機構の概略図である。図18は引出扉の開閉機構の要部拡大断面図である。なお、第1実施例と同様な部位や矢印などは同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
この発明に係る第2実施例は、第1実施例のようには、収納容器の背面に張出部を形成することなく、略直方体の収納容器120aを採用したものである。この収納容器120aを採用する場合は、野菜室100を最下部に設ける冷蔵庫にあっては、冷蔵庫の上部に圧縮機を備えたトップコンプレッサーと呼ばれるタイプの冷蔵庫に適用できる。また、極一般的には、野菜室100を貯蔵室の中段に配置したものに適用できる。
この実施例の大きな特徴の1つは、略直方体の収納容器120aをダブルレール機構の第1引出機構部200aで前後方向に移動可能に設けた点である。
この実施例に係る収納容器120aは、破線で示す野菜室100に収納される状態では、その内部の貯蔵空間121aに第2収納容器180を収納し、この第1収納容器140aの上部を構成する上部開口部141を蓋体160が覆うように収納される。これにより、第2収納容器180を収納する略箱型の貯蔵空間121aを密閉された空間とすることができる。
図17、図18において、この実施例に係る略箱型の貯蔵空間121aの場合、貯蔵空間121aを構成する収納容器120aを大きく前方に引き出しずらい課題がある。そこで、この実施例では、第1引出機構部200aをダブルレール機構で形成している。
図17、図18において、第1引出機構部200aは、野菜室100の両側の内壁面に埋め込んで形成される第1のガイドレール610と、該第1のガイドレール610上をローラ621を介して移動する第2のガイドレール620と、該第2のガイドレール620上をローラ631を介して移動する引出扉101を備えた支持体630と、第1のガイドレール610と第2のガイドレール620の分離を防止する第1のストッパ640と、第2のガイドレール620と支持体630の分離を防止する第2のストッパ641とから構成され、第1収納容器140aが、前記支持体630に着脱可能に取付けられる。
第1のガイドレール610は、断面が「コ」字状に形成され、ローラ621とその回転軸622が移動でき、かつ、ローラ621の直径と適度な隙間を備えた大きさに形成される。第2のガイドレール620は、下端部が内側に屈折した「L」字状の断面形状を備え、外側面の後部側にローラ621が回転軸622を介して取り付けられ、内側面の前部側にローラ631が回転軸632を介して取り付けられる。
ローラ621,631は少なくとも2個以上設けられ、第2のガイドレール620と支持体630を水平に移動できるようにしている。支持体630は、「S」字状の断面形状を備え、「S」字状の上部「コ」字状部を、ローラ631とその回転軸632が移動でき、かつ、ローラ631の直径と適度な隙間を備えた大きさに形成される。なお、この実施形態では、第2のガイドレール620を「L」字状、支持体630を「S」字状とすることにより、第1引出機構部200aの剛性を高めている。
左右に設けた支持体630は、その前部を引出扉101に、その後部を連結部材650にそれぞれ取り付けることで、上面から見て「ロ」字状の枠体を構成し、該枠体に第1収納容器140aを挿入して、第1収納容器140aの支持部材146を、支持体630と連結部材650で支持することにより、第1収納容器140aが着脱自在に設けられる。また、第1、第2のストッパ640,641は、第1のガイドレール610の先端部と、支持体630の後端部に、ローラ621,631の移動を阻止するような突起状をなして取り付けられている。
さて、この第1引出機構部200aによれば、第2のガイドレール620が、第1のガイドレール610と支持体630の中間連結部材となって、支持体630に取付けられる収納ケース202を水平を維持したまま大きく前方に引き出すことができるから、第1収納容器140aや第2収納容器180全体を上方から見渡すことができるとともに、食品の出し入れを容易に行うことができる。
この際、第1引出機構部200aは最大限に引き出した状態で、ストッパ640,641によりローラ621,631の移動が阻止されるから、引出扉101の引き出し過ぎによる落下を防止することができる。更に、第1収納容器140が大きく前方に引き出されるから、第1収納容器140の取外しを容易にすることができるので、第1収納容器140の清掃を容易に行うことができる。一方、収納状態では、第1、第2のガイドレール610,620と支持体630が3重になってコンパクトに収納される。
(第3実施例)
次に、図19を参照して、この発明に係る第3実施例の冷蔵庫を具体的に説明する。ここで、図19は第3実施例に係る収納容器120bの構造図であり、(a)図と(b)図が容器形状の異なる第2収納容器を配置した状態の平面図、(c)図が収納容器の縦断面図である。
図19において、この実施例に係る収納容器120bの大きな特徴の1つは、収納容器120bの貯蔵空間121bを大きさの異なる複数の貯蔵空間に分割したものである。
即ち、前記した実施例では、収納容器120、120aの貯蔵空間121、121aを上下に分割する実施例で説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図10の(a)図は3つの貯蔵空間に分割したものであり、(b)図は5つの貯蔵空間に分割した構造を示している。ここで、(c)図は、ペットボトルなどを収納する縦に長い前部収納空間を断面した断面図である。
(a)図と(c)図において、この実施例では、第1収納容器120の上部に形成される上部収納空間125を構成する第2収納容器180aの前後の長さを、第1収納容器140の上部の前後方向の長さより短くして、第1収納容器120の後方に配置した実施例を示す。この実施例では、第2収納容器180aの前方に高さのある前部収納空間126とすることができる。したがって、この第2収納容器180aを採用すれば、貯蔵空間121aの前部に高さのある前部収納空間126、その後方の下部にやや高さのある大物野菜を収納する下部収納空間124a、この下部収納空間124aの上部に小物野菜を収納する深さの浅い上部収納空間125aを設けて分別収納が可能である。
(b)図と(c)図において、この実施例では、前部の片側が切り欠かれた第2収納容器180bを、第1収納容器140の上部に積層する構造を採用している。この構造によれば、切欠部181が形成される部分に高さのある前部収納空間126を形成し、その片側には、第2収納容器180により前後に分割される更なる小物野菜室128a、128bが上下に分割されて形成される。そして、前部収納空間126には、上部収納空間125と下部収納空間124が上下に形成される。
この(a)(b)図に示す第2収納容器180a、180bを採用する場合は、第1収納容器140の内部底面に、下部収納空間124と前部収納空間126とを分割する仕切板127を設けることにより使い勝手をより向上することができる。
(第4実施例)
次に、図20から図23を参照して、この発明に係る第4実施例を具体的に説明する。ここで、図20から図23は、野菜室の動作状態を示す縦断面図である。なお、第1実施例と同様な部位や矢印などは同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
図20において、この第4実施例に係る冷蔵庫の基本構造は前記第1実施例と同様な構造を備えたものであるが、その特徴的な構造の違いは、収納容器120の前部から食品を出し入れ可能な程度に蓋体160を開いた状態で、収納容器120を野菜室100から引き出す構造を備えた点である。
即ち、最近の引出構造を備えた野菜室は、その前部にペットボトルをなどのボトル類を収納する前部収納空間126を備えている。したがって、この前部収納空間126に納められたボトル類を取り出したり、あるいは収納するために野菜室100の引出扉101を開放することが頻繁に想定される。しかし、前記第1実施例の構造では、収納容器120を所定の位置まで開かないと蓋体160を開放できない。あるいは、図12に示す開放機構部340を一々操作しなければ蓋体160を開放することができない。
もちろん、第1実施例の所定の位置を前部収納空間126が野菜室200から露出された位置とすることでも対応することができる。しかし、収納容器120の引き出し動作に伴って折角引き出された蓋体160が僅かな引き出し量で野菜室100に収納すると、前記効果が薄れることが懸念される。
そこで、この実施例では、引出扉101を閉じた状態では、第1収納容器140の上部開口部141を蓋体160で覆うことで収納容器120を密閉状態とし、引出扉101が所定量L2だけ引き出されるまで蓋体160を野菜室100内に止め、引出扉101が所定量の長さL2以上に引き出されると、その引出扉101の引き出し動作に追随して、蓋体160が第1収納容器140の後方を覆うように引き出される構造としている。
この実施例では、前記所定量の長さL2を第1収納容器140の前部に形成した前部収納空間126が完全に露出する長さL2に設定している。したがって、この構造によれば、前部収納空間126からボトル類を出し入れする状態まで第1収納容器140を引き出しても、蓋体160は野菜室100内に止められている。しかし、更に、第1収納容器140を引き出すと、蓋体160が前部収納空間126の後方の上部開口部141を覆った状態で引き出される。これにより、前部収納空間126からのボトル類の出し入れが自由に行えるものの、前部収納空間126以外は、その上部を蓋体160で覆うことができるので、前記第1実施例と同様な作用効果を得ることができる。
以下、この具体的な構造を、図20から図23を参照して更に説明する。
先ず、図20において、この実施例では、図19に示す第3実施例と同様に仕切板127を設けることにより、第1収納容器140を前部収納空間126と下部収納空間124に分割している。そして、この図20から図23では説明の都合上省略しているが、下部収納空間124の上部に第2収納容器180が配置されている。
この実施例の基本構造は、図11で説明した第1実施例と同様な構造を備えており、違う点は、第1収納容器140の引き出し動作に伴って蓋体160が初期段階において移動するのを防止する第2ロック機構部350を設けた点と、ロック機構部320が蓋体160を捕まえて引き出す位置(ロックツメ324)を前方に移動させた点である。
先ず、第1収納容器140が野菜室100内に収納された状態では、その上部の上部開口部141が蓋体160により覆われている。この上部開口部141と蓋体160の結合部280は、密閉構造を得るためにある程度密着されているため、第1収納容器140を引き出す動作に伴って蓋体160が移動する課題がある。この課題を解決するために、この実施例では、この第1収納容器140を引き出す動作の初期段階において、蓋体160を固定する第2ロック機構部350を備えている。なお、蓋体160を止める手段としてバネ材310があるが、このバネ材310は前記初期段階では応力が弱いために、蓋体160を固定するまでの応力はない。
図20には、第2ロック機構部350の一例を示す。この第2ロック機構部350は、蓋体160の両側面に回転軸354を介して回転可能に取り付けられる回転部材351と、蓋体160の両側面に上下方向にスライド移動可能に取り付けられる第1移動部材352と第2移動部材353とから構成される。回転部材351の両端部には長穴355が形成され、この長穴355の一端に第1移動部材352の上端部に設けた回転突起356が取り付けられ、この長穴355の他端に第2移動部材353の下端部に設けた回転突起356が取り付けられる。
ここで、第1移動部材352と第2移動部材353は、互いに平行にスライド移動する図示しない構造を備えており、回転部材351は、第1移動部材352のスライド移動する動作を第2移動部材353のスライド移動する動作に伝達する役割を果たす。そして、長穴355と回転突起356の結合は、回転部材351の回転に伴う一対の回転突起356の間の長さを吸収する役割を果たすものである。
即ち、第1移動部材352の下端部357は、下方に向かって先のとがった形状を備えており、この傾斜面を備えた下端部357が、ロック機構部320の後端部321の移動により、図20の(b)図のように、上方に押し上げられる。この第1移動部材352の上方への移動に伴って、回転部材351が時計回りに回転する。そして、回転部材351と連結される第2移動部材353は下方に引き下げられる。第2移動部材353の上端部358は、通常状態では、図示しないばねにより、野菜室100内に形成される嵌合穴359と嵌合することでロック状態となっている。この実施例では、ロック機構部320を前方へ移動させることにより、上端部358と嵌合穴359の嵌合によるロック状態を解放して、蓋体160を移動可能とすることができる。
また、この実施例では、ロック機構部320が蓋体160を捕まえて引き出す位置(ロックツメ324)を前方に所定量の長さL2(図20(b))だけ移動させることにより、第1収納容器140を所定量の長さL2(図21(a)参照)だけ引き出されるまで、蓋体160を野菜室100内に止めることができる。
即ち、前記第1実施例では、第1収納容器140の後端部に設けられるロック機構部320の後端部321は、蓋体160の後端部に接して設けられているため、収納容器120が前方に移動することに伴って、上方に立ち上がって形成される後端部321が蓋体160を保持して前方に移動させる構造としていた。
しかし、この実施例では、ロック機構部320の後端部321が蓋体160を捕まえて引き出すロックツメ324を蓋体160の両側面に設けている。このロックツメ324を設ける位置は、蓋体160の後端部から長さL2の位置としている。この長さL2は、前部収納空間126の前後方向の長さと同等の大きさとしている。これにより、前部収納空間126が開放した状態で、第1収納容器140と蓋体160を野菜室100から引き出すことができる。
また、この実施例では、第1移動部材352の下端部357をロックツメ324の後方に隣接する位置(長さL3)に設けている。これにより、第2ロック機構部350によるロック状態が解除された直後に後端部321がロックツメ324と接触するので蓋体160を捕まえて引き出すことができる。
上記特徴的な構造を備えたこの実施例の動作を図20と図23を参照しながらさらに説明する。
図20(a)図において、この実施例においても、連動機構部300は、第1収納容器140の張出部145の両側近傍に設けられるロック機構部320と、ロック機構部320の移動路330上でかつ野菜室100の両側の内壁面または第1支持レール202に設けられる開放ツメ331と、蓋体160を常に野菜室100内に戻そうとするバネ材310とを含んで構成される。また、この実施例のロック機構部320は第1実施例と同様な構造を備えることで、ロック機構部320が開放ツメ331との間の長さL1だけ移動すると、蓋体160の固定を解除して、バネ材310の作用により、蓋体160のみを野菜室100内に引き戻すことができる。
今、図20の(a)図の状態では、野菜室100内に収納容器120が収納された状態となっている。この状態からハンドル102を介して引出扉101を前方(図面上の右側)に引き出すと、図示しない第1引出機構部200により収納容器120全体を引き出すことができる。この(a)図の状態では、蓋体160は第2ロック機構部350によりロック状態となっているので、蓋体160を残して、収納容器120を引き出すことができる。
さて、第1収納容器140が、図(b)のように、所定量の長さL3だけ移動すると、ロック機構部320の後端部321が第1移動部材352の下端部357と接触して、第1移動部材352を上方に移動させるので、第2ロック機構部350のロック状態を解除することができる。
次に、図21(a)図に示すように、ロック機構部320は、第1移動部材352を上方に移動させた状態で、ロックツメ324と接触する。これにより、ロックツメ324が設けられる蓋体160は第1収納容器140の移動と連動して前方に引き出すことができる。つまり、この実施例では、蓋体160を時間差で引き出すことができる。
ここで、図21(a)図の状態は、前部収納空間126が開放された位置まで(所定量の長さL2)第1収納容器140が引き出された位置である。この状態であれば、前部収納空間126の上方は蓋体160によって覆われないので、前部収納空間126にボトル類などを出し入れすることができる。そして、この(a)図の状態からさらに第1収納容器140を引き出しても、前部収納空間126の上方は開放されているので、ボトル類などを出し入れすることができる。しかし、前部収納空間126の後方は、その上部が蓋体160で覆われているので、前記第1実施例と同様な作用効果を得ることができる。
次に、図21(b)図において、この実施例においても、第1実施例と同様に、第1収納容器140が前方に引き出されると、ロック機構部320も、仮想的な移動路330を移動する。しかし、ロック機構部320が長さL1だけ移動すると、その前端部322が固定位置の開放ツメ331に当たって、図22の(a)図に示すように、前端部322が上方に押し上げられる。つまり、この作用により、ロック機構部320が回転軸323を中心に回転するので、後端部321はロックツメ324を開放するように下方に回転するので、蓋体160のロック状態を開放することができる。この構造により、蓋体160は、図22の(b)図に示すように、バネ材310の力により、野菜室100内に引き戻され、再び、第2ロック機構部350によりロック状態となる。
この(b)図の状態であれば、収納容器120の上方が開放されるので、図示しない第2収納容器180と前部収納空間126から食品を出し入れすることができるとともに、第2収納容器180を野菜室100内に押し込むことにより、第1収納容器140から食品を出し入れすることができる。
なお、図21の(a)図の状態から蓋体160が前方に移動すると、第2ロック機構部350は、図示しないばねによりロック状態とするように作用するが、上端部358が接触して移動する野菜室100の内壁面に形成される摺動面360は、フラットに形成されているので、蓋体160を収納容器120に追随して移動させることができる。
また、この実施例では、ロック状態を開放したロック機構部320は、その解放した姿勢を維持するための第3ロック機構部361と、これを解除するための図示しないばねを備えている。
即ち、この実施例では、図示しないばねにより、ロック機構部320が時計回りの方向に力を受けている。そして、開放ツメ331により、ロック機構部320が回転すると、回転軸323の摺動面に設けた第3ロック機構部361が、その姿勢を維持する状態で固定される。ここで、第3ロック機構部361は、例えば、図示しない嵌合突起と嵌合穴で構成する。この構造によれば、収納容器120を野菜室100内に戻す際に、ロック機構部320の後端部321がロックツメ324や第1移動部材352と接触させなくすることができる。
この第3ロック機構部361のロック状態は、図23に示すように、収納容器120を野菜室100に戻すことにより、ロック機構部320が野菜室100の後方に形成した傾斜面362に当たることで解除され、再び、図20の(a)図の状態に復帰させることができる。
なお、この第4の実施例では、図12で説明したと同様な解放機構部340と組み合わせた構造とすることができる。これにより、第1実施例と同様な作用効果を得ることができる。
(第5実施例)
次に、図24と図25を参照して、この発明に係る第5実施例を具体的に説明する。ここで、図24と図25は、野菜室の動作状態を示す縦断面図である。なお、第1実施例や第4実施例と同様な部位や矢印などは同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
図24において、この第5実施例に係る冷蔵庫は、第4実施例と同様に前部収納空間126を開放した状態で蓋体160を引き出すことが可能な他の応用例である。この構造の特徴は、収容容器120の引出方向に所定量の長さL2だけスライド移動するスライド機構部370を第1収納容器140の両側面に設け、このスライド機構部370に設けたロック機構部320を野菜室100の内壁面に設けた開放ツメ331で解放することにより、収容容器120を所定量の長さL4だけさらに引き出すと蓋体160を野菜室100内に引き込む構造を備えている。
即ち、この実施例に係るスライド機構部370は、第1収納容器140の両側面に形成されるスライド溝部371と、このスライド溝部371にスライド可能に取り付けられる移動部材372とを含んで構成する。移動部材372に突起部373が形成され、スライド機構部370には、前記突起部373の移動範囲を制限する凹状の突起可動部374が形成されている。この実施例では、移動範囲を所定量の長さL2に設定し、この長さL2は前部収納空間126の奥行き方向の長さである。また、移動部材372の後端部にはロック機構部320が設けられている。このロック機構部320の後端部321は、第1実施例と同様に、蓋体160の下端部を保持するように設けられている。
ロック機構部320は、その中央を回転軸323によって移動部材372に回転可能に支持され、第1収納容器140を野菜室100内に収納している状態では、上方に立ち上がって形成され後端部321が蓋体160の下端部を保持している。
さて、この実施例では、図24(a)図に示す引出扉101を閉めた状態から、(b)図に示すように、前部収納空間126が露出される状態まで、第1収納容器140を引き出しても蓋体160は野菜室100内に止まっている。つまり、蓋体160はバネ材310で野菜室100内に止められ、この蓋体160を保持するロック機構部320も止めら、さらに、ロック機構部320が取り付けられる移動部材372も野菜室100内に止められる。そして、移動部材372はスライド溝部371にスライド可能に保持されているので、スライド溝部371を備えた第1収納容器140は移動部材372を置いたまま引き出される。
しかし、第1収納容器140が、前部収納空間126からさらに引き出されると、移動部材372の移動範囲を制限する突起部373が突起可動部374の端部によって保持されるので、移動部材372もスライド溝部371を備えた第1収納容器140に移動と連動して前方に引き出される。これにより、図25(a)図に示すように、前部収納空間126のみを開放した状態で第1収納容器140と蓋体160が前方に引き出される。
そして、ロック機構部320の前端部322が移動路330に設けられる開放ツメ331によって上方に力を受けるまで第1収納容器140が引き出されると、ロック機構部320が回転するので、蓋体160の固定が解放される。この解放動作に伴って、図25(b)図に示すように、蓋体160はバネ材310の力により元の野菜室100内に戻される。これにより、第1実施例と同様に、収容容器120からの食品の出し入れが可能となる。また、この(b)図の状態から、野菜室100内に第1収納容器140を戻すことにより、第1実施例と同様な作用効果により、図24(a)図の状態に戻される。
(第6実施例)
次に、図26を参照して、この発明に係る第6実施例を具体的に説明する。ここで、図26は、野菜室の動作状態を示す説明図であり、(a)図が収納容器の外観図、(b)図が野菜室の縦断面図である。なお、第1実施例や第4実施例と同様な部位や矢印などは同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
この第6実施例の特徴的な構造は、第1実施例と同様な構造を備えつつ、蓋体160の前部に前部収納空間126に対応する開口部380を設け、この開口部380を蓋体160が野菜室100にある時には開閉蓋390で封鎖し、蓋体160が引き出された状態では開放するようにした点にある。これにより、収納容器120が野菜室100内に収納された状態では、この収納容器120を密閉構造とし、収納容器120が引き出された状態では、開口部380から露出する前部収納空間126から食品の出し入れを可能とすることができる。
即ち、(b)図に示すように、この実施例では、収納容器120が野菜室に収納させた状態において、蓋体160の開口部380に対応する野菜室100の天井面に開閉蓋390を設けている。この開閉蓋390は、図示しないばね材や軟質材あるいは樹脂の弾性などを利用して天井面に取り付けることにより、蓋体160の出し入れに伴う摩耗を軽減する構造としている。この実施例によれば、簡単な構造で第4あるいは第5実施例と同様な作用効果を得ることができる。