JP2011084986A - 土木構築物用ブロック、土木構築物用ブロックの製造方法及び土木構築物 - Google Patents

土木構築物用ブロック、土木構築物用ブロックの製造方法及び土木構築物 Download PDF

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Abstract

【課題】本来の護岸機能を確保しつつ、植物の緑化範囲を拡大できる土木構築物用ブロックを提供する。
【解決手段】当該土木構築物用ブロック7を平面視多角形状とし、その周面全体をなす複数の側面部8aaを、繊維層16により覆う。これにより、繊維層16を植物の活着基盤として機能させ、法面2上に配置される各土木構築物用ブロック7のそれぞれの周囲において、植物の育成を図ることができるようにする。その一方、当該土木構築物用ブロック7が平面視多角形状であることを利用し、当該土木構築物用ブロック7を複数用い、それらを法面2上において隣り合うように配置する際、各土木構築物用ブロック7の側面部8aaを、その各土木構築物用ブロック7に隣り合う土木構築物用ブロック7の側面部8aaに対して対向配置することにより、それら土木構築物用ブロック7により法面2のほとんどを覆うことができようにする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、土木構築物用ブロック、土木構築物用ブロックの製造方法及び土木構築物に関する。
土木構築物用ブロックには、特許文献1に示すように、コンクリートベースに複数の自然石を部分的に突出させつつ埋設したものが提案されている。このような土木構築物用ブロックを法面等の施工面に多数敷設してその施工面を覆うようにすれば、護岸等の土木構築物を簡単に構築できると共に、その土木構築物を周囲の自然環境に調和させることができる。
ところで、近時、このような土木構築物用ブロックは、改良が進み、自然石による自然環境への調和だけでなく、植物に基づく緑化による自然環境への調和が図られるようになっている。例えば特許文献2には、施工面に敷設すべき土木構築物用ブロックの周面に部分的に凹所を形成したものが提案されている。このものを用いれば、多数の土木構築物用ブロックの敷設により施工面のほとんどを覆って護岸機能を確保できる一方で、敷設によって隣り合う土木構築物用ブロック同士の両凹所により区画空間を部分的に形成でき、その区画空間内に土を充填することにより、その土により植物を育成することができる。
特開平5−96517号公報 特開2006−169957号公報
しかし、土木構築物を構築するために上記土木構築物用ブロックを用いた場合、植物による緑化を図ることができるものの、その周面の一部でしか植物による緑化を図ることができず、植物による緑化範囲を重視する場合には、その程度は十分とは言えない。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その第1の技術的課題は、本来の護岸機能を確保しつつ、植物の緑化範囲を拡大できる土木構築物用ブロックを提供することにある。
第2の技術的課題は、上記土木構築物用ブロックの製造方法を提供することにある。
第3の技術的課題は、上記土木構築物用ブロックを用いた土木構築物を提供することにある。
上記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
周面を複数の平坦な側面部により構成して、平面視多角形状に形成されている土木構築物用ブロックにおいて、
前記周面全体をなす複数の側面部が、繊維層により覆われている構成としてある。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2〜10に記載の通りである。
上記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項11に係る発明)にあっては、
平面視多角形状として形成され、その周面全体が繊維層により覆われている土木構築物用ブロックの製造方法において、
内周面形状が平面視多角形状とされた組立、分解可能な型枠と、繊維シートとを用意し、
先ず、前記型枠の内周面全周に繊維シートを取り付け、
次に、前記型枠内にコンクリートを注入し、
この後、前記型枠を取り除く構成としてある。この請求項11の好ましい態様としては、請求項10〜14に記載の通りである。
上記第3の技術的課題を達成するために本発明(請求項15に係る発明)にあっては、
施工面上に複数の土木構築物用ブロックが隣り合うようにして配置され、前記各土木構築物用ブロックの周面が複数の平坦な側面部をもって平面視多角形状に構成され、前記各土木構築物用ブロックの側面部が、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部に対して対向配置されている土木構築物であって、
前記各土木構築物用ブロックの周面全体をなす複数の側面部が、繊維層により覆われ、
前記各土木構築物用ブロックの側面部と、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部との間に、それぞれの側面部を覆う繊維層部分が介在されている構成としてある。この請求項15の好ましい態様としては、請求項16以下に記載の通りである。
請求項1に係る発明によれば、当該土木構築物用ブロックを複数用い、それらを施工面上において隣り合うように配置し、その各土木構築物用ブロックの側面部を、その各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部に対して対向配置させれば、それら土木構築物用ブロックにより施工面のほとんどを覆うことができ、護岸機能を確保できる。その一方で、当該土木構築物用ブロックの周面全体をなす複数の平坦な側面部が、繊維層により覆われていることから、その繊維層を植物の活着基盤として機能させることができ、施工面上に配置される各土木構築物用ブロックのそれぞれの周囲において、植物の育成を図ることができる。このため、当該土木構築物用ブロックを施工面上に用いることにより、本来の護岸機能を確保しつつ、植物の緑化範囲を拡大できる。
請求項2に係る発明によれば、下面に、下面全体を覆うようにしてコンクリート漏出防止用シートが設けられていると共に、繊維層が、コンクリートの漏出を規制する繊維シートにより構成されていることから、製造時に、型枠底面側にコンクリート漏出防止用シートを配置することによって、周壁のみを有する簡素な型枠を用いることができる。
また、上記に加えて、型枠の内周面に繊維シートを取付けた状態で該型枠内にコンクリートを注入することにより、そのコンクリートが繊維層をなす繊維シート及びコンクリート防止用シートと一体化する一方、コンクリートの未硬化状態で型枠を取り除いても、その型枠によって形作られた形状を、繊維シート及びコンクリート漏出防止用シートの両シートにより保持できる。このため、当該土木構築物用ブロックを製造するに際しては、その構造に基づき、型枠を次の新たな土木構築物用ブロックの製造のために迅速に使用できることになり、型枠の使用効率を高めることができる。
請求項3に係る発明によれば、上下方向に貫通する土充填用貫通孔が設けられ、土充填用貫通孔の内周面に繊維層が設けられていることから、土充填用貫通孔内に充填すべき土に流失抵抗を与えて、その土の流失の抑制を図り、植物の育成を確実に図ることができる。
また、コンクリート漏出防止用シートが、土充填用貫通孔の下端開口をも覆っていると共に、透水性を有していることから、当該土木構築物用ブロックの背面側(施工面側)に導かれる湧き水等の排出水を、土充填用貫通孔に導いて植物の育成に利用できると共に、その土充填用貫通孔を利用して外部に排出できる。
請求項4に係る発明によれば、請求項3の場合同様、土充填用貫通孔内に充填すべき土に流失抵抗を与えて、その土の流失の抑制を図り、植物の育成を確実に図ることができるだけでなく、コンクリート漏出防止用シートに、土充填用貫通孔の下端開口を覆う領域内において切れ目が入れられていることに基づいて、当該土木構築物用ブロックの背面側(施工面側)に導かれる湧き水等の排出水の排出性能を、一層高めることができる。
請求項5に係る発明によれば、上下方向に貫通するようにして柱状の繊維体が埋設され、繊維体の上端面が上面から外部に対して露出されていることから、繊維体を植物の活着基盤として機能させることができ、施工面上に配置される各土木構築物用ブロックの上面において、植物の育成を図ることができる。このため、当該土木構築物用ブロックを施工面上に用いることにより、本来の護岸機能を確保しつつ、植物の緑化を一層進めることができる。
請求項6に係る発明によれば、上面部に複数の石が部分的に突出させた状態で埋設されていることから、上面部における複数の石によっても、周囲の自然環境に調和させることができる。
請求項7に係る発明によれば、平面視多角形状が平面視六角形状であることから、その土木構築物用ブロックを施工面上に隣り合うように配置すれば、その施工面に沿ういずれの方向においても、各土木構築物用ブロックの移動領域に隣り合う土木構築物用ブロックとして複数のものが存在することになり、各土木構築物用ブロックの移動を隣り合う複数の土木構築物用ブロックにより確実に規制して、設置安定性を高めることができる。
請求項8に係る発明によれば、当該土木構築物用ブロックの下面に、該下面の外周縁部よりも径方向内方側において、該下面の径方向中央部を基準とした凹所が形成されていることから、土木構築物用ブロックを施工面上に配置すれば、その土木構築物用ブロックの下面の外周縁部に局部荷重が作用して、その下面の外周縁部が施工面内に沈み込む一方、その下面の凹所内に施工面の土等が入り込むことになり、その土木構築物用ブロックの下面の外周縁部に作用する局部荷重、凹所内に入り込んだ施工面の土等に基づき、当該土木構築物用ブロックに移動抵抗を高めることができる。このため、土木構築物用ブロックの設置安定性を高めることができる。
請求項9に係る発明によれば、下面に、複数の凹所が形成されていることから、当該土木構築物用ブロックを施工面に配置することにより、複数の凹所内に施工面の土等を入り込ませることができ、その各凹所に入り込んだ土等に基づき当該土木構築物用ブロックの移動抵抗を高めることができる。このため、この場合にも、土木構築物用ブロックの設置安定を高めることができる。
請求項10に係る発明によれば、繊維層がヤシ繊維シートを用いて形成されていることから、植物の活着基盤等の観点から最適なものを用いた土木構築物用ブロックを提供できる。
請求項11に係る発明によれば、内周面形状が平面視多角形状とされた組立、分解可能な型枠と、繊維シートとを用意し、先ず、型枠の内周面全周に繊維シートを取り付け、次に、型枠内にコンクリートを注入し、この後、型枠を取り除くことから、型枠内へのコンクリートの注入により、そのコンクリートは繊維シート内に進入し、コンクリートと繊維シートとが一体化することになり、この後、型枠を取り除けば、当該土木構築物用ブロックの周面が繊維シートにより覆われた状態となる。このため、当該製造方法により、前記請求項1に係る土木構築物用ブロックを得ることができる。
請求項12に係る発明によれば、型枠として、周壁のみを有するものを用意し、型枠内にコンクリートを注入するに先立ち、型枠の下部開口をコンクリート漏出防止用シートにより閉塞し、コンクリートの注入後、型枠内のコンクリートが未硬化の状態で、型枠を取り除くことから、型枠によって形作られた形状を、コンクリートが未硬化の状態でも、繊維シート及びコンクリート漏出防止用シートの両シートにより保持でき、型枠を次の新たな土木構築物用ブロックの製造に迅速に使用できる。このため、型枠の使用効率を高めることができる。
請求項13に係る発明によれば、型枠内へのコンクリートの注入前に、型枠内におけるコンクリート漏出防止用シート上に、繊維シートが巻回された中子部材を起立配置させ、コンクリートの注入後、中子部材だけを引き抜いて、内周面が繊維シートにより覆われた土充填用貫通孔を形成することから、土充填用貫通孔内に土を充填して植物の育成に利用できるばかりか、その土充填用貫通孔内に充填された土に繊維シートにより流失抵抗を与えて、その土等が流失することを抑制できる。このため、土充填用貫通孔において土の保持を高めて、植物の育成を確実に行うことができる。
請求項14に係る発明によれば、型枠内への前記コンクリートの注入前に、3本以上の柱状の繊維体と、各繊維体に対して該各繊維体の端面から該各繊維体の軸心延び方向内方にそれぞれ突き刺すための脚部を互いに連結した状態で備える繊維体セット具と、を用意して、繊維体セット具の各脚部を該3本以上の各繊維体にそれぞれ突き刺すことにより該3本以上の繊維体を自立可能とし、その上で、3本以上の繊維体を、該3本以上の繊維体の上側に前記繊維体セット具を配置した状態をもって、型枠内におけるコンクリート漏出防止用シート上に自立配置させ、その後、コンクリートの注入完了を条件に、繊維体セット具だけを引き抜いて、3本以上の繊維体を、該各繊維体の上端面を外部に露出するようにしつつコンクリート内に埋設された状態とすることから、前記請求項5に係る土木構築物用ブロックを具体的に製造できる。
また、繊維体セット具を用いることにより、3本以上の繊維体を1ユニットとして取り扱うことができると共に、その3本以上の繊維体を自立させることができ、その3本以上の繊維体の設置作業を容易にすることができる。
請求項15に係る発明によれば、施工面上に複数の土木構築物用ブロックが隣り合うようにして配置され、各土木構築物用ブロックの周面が複数の平坦な側面部をもって平面視多角形状に構成され、各土木構築物用ブロックの側面部が、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部に対して対向配置されている土木構築物であって、各土木構築物用ブロックの周面全体をなす複数の側面部が、繊維層により覆われ、各土木構築物用ブロックの側面部と、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部との間に、それぞれの側面部を覆う繊維層部分が介在されていることから、前記請求項1に係る土木構築物用ブロックを施工面上に用いることにより、土木構築物を構築できる。これにより、この土木構築物の下で、本来の護岸機能を確保しつつ、植物の緑化範囲を拡大できる。
請求項16に係る発明によれば、各土木構築物用ブロックの側面部を覆う繊維層部分と、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部を覆う繊維層部分との間に、目地がそれぞれ形成され、その各目地内に土が充填されていることから、各土木構築物用ブロックの繊維層部分(繊維層)は、植物の活着基盤として機能するだけでなく、その隣り合う繊維層部分間の目地に充填される土によっても植物の育成を図ることができ、植物により緑化範囲を一層、拡大できる。
しかもこの場合、各目地において、繊維層部分が土に流失抵抗を与え、各目地における土の保持性能を高めることができ、各目地での植物の育成を長期に亘って確実なものにできる。
請求項17に係る発明によれば、各土木構築物用ブロックの平面視多角形状が平面視六角形状とされ、各目地が連続的に連なると共に、各目地の延び方向と、該各目地に続いて連なる目地の延び方向とが異なるように設定されていることから、各目地の延び方向が変わる個所がバッフル機能(邪魔板機能)を発揮することになり、流水、風等により、各目地内の土が流動することを抑制できる。
請求項18に係る発明によれば、前記請求項3に係る土木構築物用ブロックを用いた土木構築物を提供できる。
請求項19に係る発明によれば、前記請求項5に係る土木構築物用ブロックを用いた土木構築物を提供できる。
請求項20に係る発明によれば、前記請求項6に係る土木構築物用ブロックを用いた土木構築物を提供できる。
請求項21に係る発明によれば、前記請求項10に係る土木構築物用ブロックを用いた土木構築物を提供できる。
第1実施形態に係る護岸を示す平面図。 第1実施形態に係る護岸を示す縦断面図。 第1実施形態に係る土木構築物用ブロックを示す平面図。 図3の正面図。 第1実施形態に係る土木構築物用ブロックを示す斜視図。 第1実施形態に係る土木構築物用ブロック同士が形成する目地を説明する説明図。 第1実施形態に係る護岸の構築工程を示す工程図。 第1実施形態に係る土木構築物用ブロックを製造する型枠を示す斜視図。 第1実施形態に係る土木構築物用ブロックを製造する型枠の組立を説明する 図8の状態からの製造工程を説明する説明図。 図10の続きの製造工程を説明する説明図。 図11の続きの製造工程を説明する説明図。 図12の続きの製造工程を説明する説明図。 第2実施形態に係る土木構築物用ブロックを説明する説明図。 第3実施形態に係る土木構築物用ブロックを説明する説明図。 第4実施形態に係る土木構築物用ブロックを示す平面図。 第4実施形態に係る土木構築物用ブロックの要部を示す要部拡大図。 繊維体セット具を用いて4本の繊維体を自立させた状態を示す図。 繊維体セット具を用いて4本の繊維体を自立させた状態でコンクリートを注入した状態を示す説明図。 コンクリート注入完了後、繊維体セット具を引き抜く状態を示す説明図。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜図13は第1実施形態を示す。この第1実施形態において、符号1は、土木構築物としての護岸を示しており、その護岸1は、図2に示すように、河川側(図1中、下側、図2中、右側)から陸上側に向うに従って上方に向って延びるよう傾斜される法面(施工面)2を備えている。この法面2の下端位置には基礎コンクリートブロック3が河川水の流れ方向(紙面直角方向)に延びるようにして配置されており、その法面2の上端位置(天端面)には、平面視正方形状の天端用ブロック4及び肩止めコンクリート5が河川水の流れ方向(紙面直角方向)に延びるようにして配置されている。
前記法面2上には、その全体において、図2に示すように、吸い出し防止材6が敷設されている。吸い出し防止材6は、透水性、通気性を確保しつつ、土砂等の流失を防止する機能を有しており、その機能を発揮するため、その吸い出し防止材6として、例えばポリエステル等の長繊維不織布等が用いられている。
前記法面2上には、図1,図2に示すように、前記吸い出し防止材6を介して複数の土木構築物用ブロック7が敷設されている。この複数の土木構築物用ブロック7は、法面2(吸い出し防止材6)上に隣り合うように配置されてその法面2のほぼ全体を覆っており、これにより、法面2が保護されている。本実施形態においては、この土木構築物用ブロック7として、基礎コンクリートブロック3及び天端用ブロック4に隣接する位置(一段目の段、最上段)において、端部用ブロック7Aが用いられ、基礎コンクリートブロック3と天端用ブロック4との間においては、中間配置用ブロック7Bが用いられている。この端部用ブロック7A及び中間配置用ブロック7Bは、基本的な構造が同じとされ、その両者7A,7Bの平面視形状が異ならされている。
前記土木構築物用ブロック7を代表的な中間配置用ブロック7Bを用いて説明する。土木構築物用ブロック7は、図3〜図5に示すように、コンクリートベース8と、複数の石としての自然石9と、表面層としての礫層10と、繊維層11と、を備えている。
コンクリートベース8は、全体の形状を形成すべく、一定厚み(高さ)の下で、平面視形状が略六角形(扁平な六角柱)に形成されており、この平面視略六角形状のコンクリートベース8の周面8aは、複数の平坦な側面部8aaを繋ぎ合わされることにより形成されている。具体的には、厚み(高さ)が350〜500mm前後、その平面視略六角形状の一辺が900〜1000mm前後、その対向する辺間が1680mm前後とされている。
この平面視略六角形状のコンクリートベース8の周面8aには、その周面8aを構成する側面部8aaのうち、2組の対向する側面部8aaにおいて、縦溝12がそれぞれ形成されている。この各組の対向する側面部8aaの各縦溝12は、各側面部8aaの延び方向(側面部8aaの平面視上の辺の延び方向)略中央部において、その厚み(高さ)方向全体を内方に引っ込ませることにより形成されており、その各組の対向する側面部8aaの縦溝12は、互いに対向配置されている。このコンクリートベース8の各縦溝12内には、図3、図4に示すように、連結具13がそれぞれ配置されている。各連結具13は、略U字状をもってコンクリートベース8(凹所底部)から突出しており、その各連結具13は、対向配置される他の個所の連結具13に対して、コンクリートベース8内に埋設されている連結線材14を用いて一体的に連結されている。
また、このコンクリートベース8には、図5に示すように、複数(本実施形態では2つ)の貫通孔(土充填用貫通孔)15が形成されている。各貫通孔15は、コンクリートベース8を上下方向(厚み方向)にそれぞれ貫通しており、その各貫通孔15の平面視開口形状は、本実施形態においては長円を多少崩した形状(図3,図5参照)とされている。この各貫通孔15は、土を充填して植物を育成する等の目的を有しており、その観点から、貫通孔15の数、その開口形状、開口の大きさ、位置、方向等が、適宜、決められることになっている。
前記複数の自然石9は、図1〜図5に示すように、前記コンクリートベース8に該コンクリートベース8の上面(表面)から突出するようにして設けられている。この各自然石9としては、例えば10〜30cm程度のものが用いられ、その自然石9の1/2〜2/3程度の部分がコンクリートベース8内に埋め込まれ、残りの1/2〜1/3程度の部分(上部:50mm程度)がコンクリートベース8上面から上方に突出されている。この各自然石9の上部は、コンクリートベース8上面に満遍なく配置されていると共に、他の自然石9に対してある程度、離間された状態となっており、美観が考慮されている。
前記礫層10は、図1,図3〜図5に示すように、前記コンクリートベース8の上面に設けられている。この礫層10は、本実施形態においては、10mm以下の礫(小石)をもって層状に構成されており、その礫層10は、前記複数の自然石9が存在しないコンクリートベース8上面部分において設けられている。この礫層10の各礫は、コンクリートベース8の上面に保持され、その各礫に基づき、礫層10の表面に微少な凹凸面が形成されている。
前記繊維層11は、図3,図5に示すように、前記コンクリートベース8の周面8aに保持されている。繊維層11は、コンクリートベース8の厚み(高さ)と同じ幅をもって、コンクリートベース8の周面8aの全周(縦溝12の内周面8aを含む)に亘って設けられており、そのコンクリートベース8の周面8a全体を構成する各側面部8aaは繊維層11により覆われている。この繊維層11には、一定幅で一定厚み(例えば25mm前後)の繊維シート29が用いられており、その繊維シート29は、コンクリートベース8の周面8aに巻かれた状態で保持されている。この場合、コンクリートベース8の周面8aに対する繊維層11(繊維シート)の保持には、製造時におけるコンクリートの繊維層11への浸透作用が利用されており、繊維層11内の一部にはコンクリートベース8の周面8a部分が入り込んでいる。本実施形態においては、この繊維層11(繊維シート29)として、後述の製造工程において用いられること、栄養素源としても用いたいこと等を考慮(製造工程で用いる考慮事項としては、コンクリートの漏出防止、水に対する撥水性、抗張力等)し、ヤシ繊維シートからなるものが用いられている。そのうちでも、繊維密度として、670g/m2前後、繊維径として、0.5〜1.0mm前後、抗張力69N/5cm前後、厚み10mm前後とするのものが好ましい。尚、前記各連結具13は、繊維層11を貫通しその繊維層11よりも外部に突出することになっている。
また、前記各貫通孔15の内周面15aにも、図5に示すように、繊維層16(繊維シート)が全周に亘って設けられている。この繊維層16にも、前記繊維層15と同じものが用いられており、この繊維層16は、その内部に貫通孔15の内周面15a部分(コンクリートベース8)が入り込むこと(未硬化時の含浸)により、その貫通孔15内周面8aに保持されている。
前記コンクリートベース8の下面(底面)には、図4に示すように、コンクリート漏出防止用シートとして、底部シート17が保持されている。この底部シート17は、コンクリートベース8の底面全体を覆うだけでなく、その全周縁部が、立上がって、前記コンクリートベース周面8aの繊維層11とコンクリートベース8との間でその両者により挟持された状態となっている。この底部シート17は、後述の製造工程において用いられること、排水を可能とすること等を考慮し、コンクリートの漏出防止機能、透水性機能を有しており、本実施形態においては、その底部シート17として、ポリエステル繊維等の化繊繊維からなるシートが用いられている。
この場合、底部シート17は、前記貫通孔15の下端開口を覆う領域内において切れ目を有しているものであってもよい。貫通孔15内と法面2(吸い出し防止材6)とを連通させて、湧き水等の排出水の排出性能を高めるためである。このため、底部シート17が切れ目を有する場合には、底部シートには、特に透水性機能は要求されない。この切れ目としては、直線的なものでも、十字形状のもの、適宜、選択することができる。
土木構築物用ブロック7のうち、端部用ブロック7Aに関しては、その基本構造を上述の内容と同じにした上で、その平面視形状が略五角形(扁平な五角柱)に形成されている。具体的には、平面視略五角形状の端部用ブロック7Aは、前記中間配置用ブロック7Bの平面視略六角形状において、その一組の隣り合う平面視上の2辺をその交点を中心として180°となるように拡げ(直線とし)、その直線と、その直線に対向する他組の隣り合う平面視上の2辺の交点との間隔を2000mm前後とすることにより得られる形状となっている。
このような各土木構築物用ブロック7(平面視略五角形状の端部用ブロック7A、平面視略六角形状の中間配置用ブロック7B)は、図1,図2に示すように、法面2(吸い出し防止材6)上に隣り合うように配置されており、その各土木構築物用ブロック7の各側面部8aaは、その各土木構築物用ブロック7に隣り合う土木構築物用ブロック7の側面部8aaに対して、近接した状態でそれぞれ対向配置されている。その各両側面部8aa間には、図6に示すように、その各側面部8aaをそれぞれ覆う繊維層部分11a(繊維層11の一部)が存在しており、その繊維層部分11aは植物の活着基盤として機能することになっている。しかも、本実施形態においては、各土木構築物用ブロック7とその各土木構築物用ブロック7に隣り合う土木構築物用ブロック7との間に、対向配置される側面部8aaをそれぞれ覆う両繊維層部分11a間において、図1,図6に示すように、一定幅の目地18がそれぞれ形成されており、その各目地18は、方向を変えつつ、順次、連続して繋がることになっている(図1参照)。
このような法面2上の各隣り合う土木構築物用ブロック7同士は、上記関係を維持しつつ互いに連結されている。具体的には、平面視略六角形状の中間配置用ブロック7Bが配置される領域においては、隣り合う土木構築物用ブロック7の縦溝12及び連結具13が互いに対向して配置されることになっており、その両連結具13が図示を略すシャックル等の連結具13により連結されている。平面視略五角形状の端部用ブロック7Aについては、平面視略六角形状の中間配置用ブロック7Bとの関係では、対向する連結具13同士が連結され、平面視正方形状の天端用ブロック4との関係では、その両者7A,4間に調整コンクリート36が設けられ、その調整コンクリート36に形成された切れ目を介して、互いの連結具(図示略)が連結されている。
前記各目地18内(縦溝12内も含む)には、図6に示すように、土(例えば、植生土、現場発生土)19が詰められている。この土19には、植物が植えられたり、種子が混入されたりすることになっており、各目地18内の土19は、繊維層11(繊維層部分11a)を活着基盤として利用しつつ、植物を育成させることになっている。この場合、土19へ種子を混入させる態様としては、種子を積極的に播く態様の他に、自然に飛んでくる種子を受け入れる態様、土19として現場発生土を用いる場合において、その現場発生土に種子が予め混入している態様等が含まれる。
また、各目地18は、その延び方向が、基本的に、法面2に沿いつつ河川水等の流れ方向(図1中、左右方向のいずれか一方向)に対して略直角方向とされていることに加えて、各目地18が方向を変えつつ連なっていることにより、各目地18の方向を変える部分(繋がり部分)にバッフル機能(邪魔板機能)を発揮させて、目地18内の土19を河川水等に基づく力によりはき出されることを抑制することになっている。しかも、隣り合う土木構築物用ブロック7の繊維層部分11aは、各目地18の両側を区画しており、その繊維層部分11aは、その繊維層部分11aに土19を入り込ませることにより、土19に流失抵抗力を付与することになっている。このため、各目地18における土19の保持性能は高い状態にあり、各目地18において、植生回復に関し、優れた効果を発揮することになっている。
前記各土木構築物用ブロック7の各貫通孔15にも、図1,図3に示すように、土(例えば、植生土、現場発生土)19が充填されている。この土19内にも、植物が植えられたり、その種子が混入されたりすることになっており、この各貫通孔15内においても、繊維層16を活着基盤として利用しつつその各貫通孔15内の土19により植物が育成される。このため、各土木構築物用ブロック7の周囲だけでなく、各土木構築物用ブロック7上面においても、植物による緑化が図られることになる。
この場合、底部シート17として、透水性を有するものが用いられていることから、法面2内部側からの排出水を植物の育成に利用できるばかりか、その排出水が多い場合(湧き水等)には、その排出水を各貫通孔15を介して外部に排出できることになる。
尚、図2においては、基礎コンクリートブロック3等の下部構造が現れているが、施工後に、その下部構造部分に対して、根入れ(埋め戻し)が行われる
したがって、上記護岸1においては、多数の土木構築物用ブロック7が法面2に敷設されることにより、法面2の大部分が覆われ、護岸1本来の機能が確保される。その一方で、各土木構築物用ブロック7周面8aの繊維層11は、植物の活着基盤として機能し、各土木構築物用ブロックの周囲の各目地18及び各土木構築物用ブロック7の各貫通孔15は、その内部に土19を充填した状態で植物を育成する。
しかもこの場合、各目地18を直線状でない屈曲された目地構造(通路構造)にできると共に、繊維層11により各目地18内及び貫通孔15内の土19に流失抵抗を付与することができ、各目地18内及び各貫通孔15内における土19の保持性能を高めることができる。これにより、植物による緑化を長期に亘って高めることができ、土木構築物用ブロック7の上面上の自然石9、礫層10等と相まって、周囲の自然景観に高いレベルで調和させることができる。
次に、上記土木構築物用ブロック7の製造方法について、図7に示す工程図に基づいて説明する。ここでは、土木構築物用ブロック7の代表例として、中間配置用ブロック7Bの製造方法を説明する。
先ず、図8に示すように、作業面(通常は土面)21上で型枠22を組み立てる。本実施形態に係る型枠22は、平面視略六角形状の周壁23のみを有する構造とされており、その周壁23は、3つの側壁24a〜24cが結合することにより構成されている。各側壁24a(24b,24c)は、平面視略く字状に形成されており(図13参照)、その両端部には、ボルト挿通孔25を有する取付け端部26が形成されている。各側壁24b(24a,24c)は、図9に示すように、その取付け端部26を、隣り合う側壁24c(24a,24b)の取付け端部26に合わせ、ボルト挿通孔25にボルト27を挿通させ、それにナット28を螺合することにより、組み立てられる。
次に、図10に示すように、型枠22の周壁23内周面に、前記繊維層11を構成する繊維シート29を取付ける。繊維シート29は、ヤシ繊維シートからなる一定幅のものであり、この繊維シート29は、型枠22の内周面全周に亘って取付けられて、型枠22の内周面上において、型枠22下端から一定高さとなるように配置される。
またこのとき、繊維シート29を型枠22の内周面に取付けるに先立ち、円筒部材を半割した半割部材37が4つ用意される。そして、そのうちの2つの半割部材37が一組とされて、その各組の半割部材37は、その開口側を型枠22の内周面側に向けつつ対向した状態をもって該型枠22の内周面に沿わされる。このため、上記繊維シート29は、型枠22の内周面だけでなく、2組の半割部材37の周面に対しても沿った状態となる。尚、型枠22の内周面等に繊維シート29を取付けるに際しては、ステーフラー、クリップ等の仮止め具が用いられる。
次に、図10に示すように、前記型枠22内に臨む作業面21上に底部シート17を敷設する。このとき、底部シート17は、型枠22内に臨む作業面21全体を覆うばかりでなく、その底部シート17の全周縁部17aが、型枠22の下端からその型枠22の内周面に沿って立上がることになり、その底部シート17の全周縁部17aと繊維シート29とは、型枠22の下端部において重なることになる。またこの場合、底部シート17として、排水を目的とした切れ目を有するものを用いる場合には、後述の繊維シート29が巻回された円筒状の中子部材32の設置領域に予め切れ目を入れておくことになるが、勿論、後述の貫通孔15を形成した後に、その貫通孔の領域内において底部シート17に切れ目を入れてもよい。
次に、図11に示すように、上記各組の対向する半割部材37間に、両端部に連結具13を備える連結線材14をそれぞれ跨らせる。各組の半割部材37及びその半割部材37を覆う繊維シート29には、縦スリット(図11においては、繊維シート29に形成のもののみを図示)31が形成されており、その縦スリット31を介して、連結線材14端部の連結具13は各半割部材37内(半割部材37と型枠22内周面とが形成する区画空間)に入り込ませることになる。
次に、図11に示すように、前記繊維シート29が巻回された円筒状の中子部材32を2つ用意し、その2つの中子部材32を、型枠22内における底部シート17上の適宜の位置にセットする。本実施形態においては、各貫通孔15を平面視略長円状のものとすべく、繊維シート29で巻回された中子部材32として、径の異なる2つの円筒部材を繊維シート29で巻回することにより一体としたものが用いられ、そのセットに際しては、砂袋等が、重しとして、その中子部材32の上部に載置される。尚、円筒状の中子部材32の上端部には、後述の引き抜き作業を円滑に行うべく、対向する2つの孔40が形成されている。また、底部シート17に予め排水のための切れ目が入れられている場合には、繊維シート29で巻回された中子部材32は、切れ目が円筒状の中子部材32の開口内に入るように、底部シート17上に配置することになる。
次に、図12に示すように、上記型枠22内にコンクリート33を注入する。コンクリートベース8を形成するためである。コンクリート33は、型枠22内の底部シート17及び繊維シート29を介して型枠22により受け止められることになっており、この際、両シート17,29のいずれもが、透水性シートである一方で、コンクリート漏出防止用シートであることから、コンクリート33は型枠22内に収納保持され、そこにおいて、そのコンクリート33は、型枠22の収納形状に形作られる。またこのとき、コンクリート33は、繊維シート29にその厚み方向において一部浸透することになり、その硬化に伴い、繊維シート29とコンクリート33とは一体化する。但し、コンクリート33は、繊維シート29の表面まで浸透することはできず、繊維シート29の表面部分は、繊維自体が存在する状態が維持される。このような現象は、中子部材32の外周に巻回された繊維シート29とコンクリート33との間でも生じることになり、その中子部材32の外周に巻回された繊維シート29とその繊維シート29に浸透したコンクリート33とは、コンクリート33の硬化に伴い、一体化する。
一方、底部シート17に関しては、繊維シート29ほどにはコンクリート33は浸透せず、コンクリート33は底部シート17から外部に漏出することはない。しかもこのとき、コンクリート33の充填に伴い、コンクリート33が底部シート17の全周縁部17aを繊維シート29を介して型枠22(周壁23)に押し付けることになり、繊維シート29と底部シート17との重なり部分からもコンクリート33が漏出することはない。
上記コンクリート33の充填が終了すると(注入終了後)、型枠22内のコンクリート33上に複数の自然石9をばらけた状態で設置する。このとき、各自然石9の下部は、その各自然石9を的確にコンクリート33に保持させるべく、半分から2/3程度がコンクリート33内に沈み込むようにされる。
上記複数の自然石9の設置を終えると、コンクリート33上面に、複数の自然石9以外の領域に礫が播かれて礫層10が形成される。この礫層10も、未硬化状態のコンクリート33内にある程度、沈み込ませることにより、保持される。
上記一連の作業を終了すると、所定時間、放置する。コンクリート33を所定の硬化状態とするためである。このコンクリート33の所定の硬化状態は、本実施形態においては、後述の型枠22の効率的使用の観点から、未硬化の状態の範囲で設定される。具体的には、本実施形態における大きさのもの(完全硬化まで96時間必要のもの)においては、約16時間(夕方5時から翌朝9時までの間)程度、放置される。
上記一連の作業を終了して、所定時間が経過すると、型枠22を取り除く。このときには、コンクリート33は未硬化状態にあるものの、型枠22を取り除いても、繊維シート29の抗張力等に基づき、コンクリート33を型枠22内の収納形状に維持できるからである。
すなわち、型枠22内周面における繊維シート29は、型枠22内周面に沿ってエンドレス状態で端部が保持されていることに加えて、繊維シート29とコンクリート33との一体化が進んでおり、繊維シート29は、その高い抗張力に基づき、コンクリート33の形状を型枠22の収納形状に維持できる状態に至っている。このため、このことを利用し、型枠22を次の新たな土木構築物用ブロック7の製造に用いるべく、その型枠22を取り除こうとしているのである。
このため、型枠22を取り除くべく、型枠22の組立てとは逆に、各隣り合う側壁24a(24b,24c)の取付け端部26におけるボルト27等が外され、各側壁24a(24b,24c)は、図13に示すように、元の型枠22の径方向外方に移動させられる。
このとき、各側壁24a(24b,24c)の移動先が自由空間(元の型枠22の径方向外方)となることから、そのことと、各側壁24a(24b,24c)が90°以上の角度をもって屈曲された構造となっていること、繊維シート29の表面部分が繊維だけの存在となっていることとが相まって、各側壁24a(24b,24c)がコンクリート33(コンクリートベース8)から離間することを容易にする。
またこのとき、繊維シート29とコンクリート33との一体化が進んで、その一体化力が、型枠22内周面に対する繊維シート29の仮止め力よりも勝ることになり、繊維シート29は、型枠22の取外しに伴い、型枠22(側壁24a〜24c)から外れ、コンクリート33の周面8aに保持された状態となる。
上記の如く、所定時間が経過すると、型枠22が取り除かれるが、本実施形態においては、土木構築物用ブロック7として、内周面に繊維層が形成された貫通孔15を備えるものが製造される。このため、本実施形態においては、上記型枠22の取り除き作業前に、中子部材32だけを引き抜く引き抜き作業が行われる。この中子部材32を引き抜き作業を行うに当たっては、円筒状の中子部材32の孔40間に棒を掛け渡し、その棒を把持しつつ上方に引き抜くことになる。このとき、中子部材32を巻回する繊維シート29にはコンクリート33が浸透しているが、そのコンクリート33は、中子部材32に面している側にまで達しておらず、比較的小さい引張り力をもって中子部材32だけを引き抜くことができる。
型枠22が取り除かれると、そのまま放置される。コンクリート33を完全に硬化させ、完成品としての土木構築物用ブロック7を得るためである。勿論、取り除かれた型枠22は、次の新たな土木構築物用ブロック7の製造のために用いられる。
したがって、上記製造方法においては、土木構築物用ブロック7を規格通り所定時間で製造できる一方で、コンクリート33が未硬化状態において型枠22を外すことができ、型枠22の使用効率を高めることができる。
図14は第2実施形態、図15は第3実施形態、図16〜図20は第4実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図14に示す第2実施形態は、土木構築物用ブロック7の下面7a(底部シート17)に、凹所34を形成したものが示している。凹所34は、土木構築物用ブロック7の下面7aの外周縁部7bよりも径方向内方側において、該下面7aの径方向中央部を基準として形成されている。これにより、土木構築物用ブロック7を法面2(吸い出し防止材6)上に配置すれば、その土木構築物用ブロック7の下面7aの外周縁部7bに局部荷重が作用し、その下面7aの外周縁部7bが施工面内に沈み込む一方、その下面7aの凹所34内に吸い出し防止材6及び法面2の土等が入り込むことになり、その土木構築物用ブロック7の下面7aの外周縁部7bに作用する局部荷重、凹所34内に入り込んだ吸い出し防止材6及び法面2の土等に基づき、土木構築物用ブロック7の移動抵抗は高まる。このため、土木構築物用ブロック7の設置安定を高めることができる。
図15に示す第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、土木構築物用ブロック7の下面7aに、複数の凹所34が形成されている。このため、この土木構築物用ブロック7を法面2(吸い出し防止材6)に配置することにより、複数の凹所34内に吸い出し防止材6及び法面2の土等を入り込ませることができ、その各凹所34に入り込んだ吸い出し防止材6及び法面2の土等に基づき土木構築物用ブロック7の移動抵抗を高めることができる。このため、この場合にも、土木構築物用ブロック7の設置安定を高めることができる。
図16〜図20に示す第4実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第4実施形態においては、土木構築物用ブロック7の平面視形状が、第1実施形態における略六角形状等とは異なり、略正方形状(略四角形状)に形成されており、そのコンクリートベース周面8aの全周面には、第1実施形態同様、繊維層11(繊維シート29)が保持されている。また、土木構築物用ブロック7には、第1実施形態の貫通孔15、土19に代えて、複数の円柱状の繊維体41が土木構築物用ブロック7(コンクリートベース8)を上下に貫通するように設けられており、その上端面41aは、土木構築物用ブロック7の上面から外部に露出されている。この各繊維体41としては、図17に示すように、繊維シート(例えばヤシ繊維シート等)を巻き上げて円柱状に形成したものが用いられており、この各繊維体41は、植物の活性基盤となるものである。図17〜図20中、符号42は、巻き上げられた繊維シートを円柱状に保持する紐を示す。
したがって、この第4実施形態に係る土木構築物用ブロック7においては、その土木構築物用ブロック7の上面から上端面41aが露出する繊維体41を植物の活性基盤として機能させることができ、前記第1実施形態同様、植物を的確に育成することができる。勿論この場合も、種子については、積極的に各繊維体に入れ込んでもよいし、風により飛んでくるものを待つようにしてもよい。
この第4実施形態に係る土木構築物用ブロックの製造方法については、基本的に第1実施形態に係る製造方法と同じとされているが、繊維シート29が巻回された円筒状の中子部材32(第1実施形態)に代えて、繊維シート自体を巻いて円柱状にした繊維体41をコンクリートベース8内に埋設する点が異なっている。
この第4実施形態においては、コンクリートの注入前に、平面視四角形状の型枠(内周面に、繊維層11を構成する繊維シート29を取付けたもの:図示略)内における底部シート(図示略)上において、円柱状の繊維体41を個々にではなく、4本(3本以上)の繊維体41を繊維体セット具を用いることにより自立(円柱状の繊維体の軸心延び方向が上下方向を向くこと)させた状態で配置させることなっている。繊維体セット具43は、図18〜図20に示すように、十字状に一体化した一対の各線材44の両端部を同方向に折曲することにより、4つの脚部45を形成するものとなっており、使用に際しては、その各脚部45は、繊維体41に対してその端面(上端面41a)からその軸心延び方向内方側に差し込まれる。これにより、繊維体セット具43は、4本の繊維体41を保持することになり、その4本の繊維体41は、繊維体セット具43を上側に配置しつつ、安定した状態で自立することが可能となる。このような繊維体セット具43に保持された繊維体41は1つの繊維体ユニット46を構成することになり、その繊維体ユニット46は、複数用意され、それらは、平面視四角形状の型枠内における底部シート上に各繊維体41が自立した状態で配置される。このとき、繊維体ユニット46を、そのままの配置状態としておいてもでもよいが、砂袋等の重しを繊維体ユニットにおける繊維体セット具に保持して、繊維体ユニットを下方に押し付けるのが好ましい。
上記のように各繊維体ユニット46が平面視四角形状の型枠内における底部シート上に配置されると、図19に示すように、コンクリート8’が型枠内に注入される。そして、そのコンクリート8’が各繊維体ユニット46における繊維体41の上端面41a付近に至ると、そのコンクリート8’の注入は完了される。
コンクリート8’の注入が完了すると、図20に示すように、各繊維体ユニット46において、繊維体セット具46が繊維体41から上方に引き抜かれ、各繊維体41の上端面41aはコンクリート8’の上面(コンクリートベース8上面)から外部に露出された状態とされる。この後、第1実施形態同様、自然石9、礫層10等がコンクリート上面部(各繊維体41の上端面41a以外の部分)に設置され、その後、型枠が外され、これにより、図16,図17に示す状態となる。
したがって、この第4実施形態に係る製造方法においては、図16,図17に示す土木構築物用ブロック7を製造できるだけでなく、その製造の際、繊維体セット具43を用いることにより、4本の繊維体41(繊維体ユニット46)を1ユニットとして取り扱うことができると共に、その4本の繊維体41(繊維体ユニット46)を自立させることができ、その4本の繊維体41の設置作業を容易にすることができる。
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)自然石9の他に、擬石等を用いること。
(2)河川における護岸を対象とする場合に限らず、湖水、海における護岸1等にも本発明を適用すること。
(3)セラミックス、瓦、スラグ、ガラス等を単一的又は複合的に10mm以下に破砕し、それを構成要素としてコンクリートベース8の上面層を形成すること。
(4)土木構築物用ブロック7として、貫通孔15を形成しないものを含むこと。
(5)土木構築物用ブロックとして、コンクリートベース8の上面に自然石9や、礫層10を設置せずコンクリート面が露出しているものを含むこと。
尚、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましい或いは利点として記載されたものに対応したものを提供することをも含むものである。
1 護岸1(土木構築物)
2 法面(施工面)
7 土木構築物用ブロック
8aa 側面部
8’ コンクリート
11 繊維層
11a 繊維層部分
15 貫通孔(土充填用貫通孔)
16 繊維層
17 底部シート
18 目地
19 土(植生土)
22 型枠
29 繊維シート
32 中子部材
34 凹所
41 繊維体
43 繊維体セット具
45 脚部
46 繊維体ユニット

Claims (21)

  1. 周面を複数の平坦な側面部により構成して、平面視多角形状に形成されている土木構築物用ブロックにおいて、
    前記周面全体をなす複数の側面部が、繊維層により覆われている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  2. 請求項1において、
    下面に、該下面全体を覆うようにしてコンクリート漏出防止用シートが設けられていると共に、
    前記繊維層が、コンクリートの漏出を規制する繊維シートにより構成されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  3. 請求項2において、
    上下方向に貫通する土充填用貫通孔が設けられ、
    前記土充填用貫通孔の内周面に繊維層が設けられ、
    前記コンクリート漏出防止用シートが、前記土充填用貫通孔の下端開口をも覆っていると共に、透水性を有している、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  4. 請求項2において、
    上下方向に貫通する土充填用貫通孔が設けられ、
    前記土充填用貫通孔の内周面に繊維層が設けられ、
    前記コンクリート漏出防止用シートが、前記土充填用貫通孔の下端開口をも覆っていると共に、該コンクリート漏出防止用シートに、該土充填用貫通孔の下端開口を覆う領域内において切れ目が入れられている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  5. 請求項1において、
    上下方向に貫通するようにして柱状の繊維体が埋設され、
    前記繊維体の上端面が上面から外部に対して露出されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    上面部に複数の石が部分的に突出させた状態で埋設されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記平面視多角形状が平面視略六角形状である、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、
    下面に、該下面の外周縁部よりも径方向内方側において、該下面の径方向中央部を基準とした凹所が形成されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項において、
    下面に、複数の凹所が形成されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項において、
    前記繊維層がヤシ繊維シートを用いて形成されている、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロック。
  11. 平面視多角形状として形成され、その周面全体が繊維層により覆われている土木構築物用ブロックの製造方法において、
    内周面形状が平面視多角形状とされた組立、分解可能な型枠と、繊維シートとを用意し、
    先ず、前記型枠の内周面全周に繊維シートを取り付け、
    次に、前記型枠内にコンクリートを注入し、
    この後、前記型枠を取り除く、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロックの製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記型枠として、周壁のみを有するものを用意し、
    前記型枠内に前記コンクリートを注入するに先立ち、該型枠の下部開口をコンクリート漏出防止用シートにより閉塞し、
    前記コンクリートの注入後、該型枠内のコンクリートが未硬化の状態で、該型枠を取り除く、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロックの製造方法。
  13. 請求項12において、
    前記型枠内への前記コンクリートの注入前に、該型枠内における前記コンクリート漏出防止用シート上に、前記繊維シートが巻回された中子部材を起立配置させ、
    前記コンクリートの注入後、前記中子部材だけを引き抜いて、内周面が前記繊維シートにより覆われた土充填用貫通孔を形成する、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロックの製造方法。
  14. 請求項12において、
    前記型枠内への前記コンクリートの注入前に、3本以上の柱状の繊維体と、該各繊維体に対して該各繊維体の端面から該各繊維体の軸心延び方向内方にそれぞれ突き刺すための脚部を互いに連結した状態で備える繊維体セット具と、を用意して、該繊維体セット具の各脚部を該3本以上の各繊維体にそれぞれ突き刺すことにより該3本以上の繊維体を自立可能とし、
    その上で、前記3本以上の繊維体を、該3本以上の繊維体の上側に前記繊維体セット具を配置した状態をもって、前記型枠内における前記コンクリート漏出防止用シート上に自立配置させ、
    その後、前記コンクリートの注入完了を条件に、前記繊維体セット具だけを引き抜いて、前記3本以上の繊維体を、該各繊維体の上端面を外部に露出するようにしつつコンクリート内に埋設された状態とする、
    ことを特徴とする土木構築物用ブロックの製造方法。
  15. 施工面上に複数の土木構築物用ブロックが隣り合うようにして配置され、前記各土木構築物用ブロックの周面が複数の平坦な側面部をもって平面視多角形状に構成され、前記各土木構築物用ブロックの側面部が、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部に対して対向配置されている土木構築物であって、
    前記各土木構築物用ブロックの周面全体をなす複数の側面部が、繊維層により覆われ、
    前記各土木構築物用ブロックの側面部と、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部との間に、それぞれの側面部を覆う繊維層部分が介在されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  16. 請求項15において、
    前記各土木構築物用ブロックの側面部を覆う繊維層部分と、該各土木構築物用ブロックに隣り合う土木構築物用ブロックの側面部を覆う繊維層部分との間に、目地がそれぞれ形成され、
    前記各目地内に土が充填されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  17. 請求項16において、
    前記各土木構築物用ブロックの平面視多角形状が平面視略六角形状とされ、
    前記各目地が連続的に連なると共に、該各目地の延び方向と、該各目地に続いて連なる目地の延び方向とが異なるように設定されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  18. 請求項15〜17のいずれか1項において、
    前記土木構築物用ブロックに、上下方向に貫通する土充填用貫通孔が形成されていると共に、該土充填用貫通孔の内周面に繊維層が設けられ、
    前記土木構築物用ブロックの下面に、前記土充填用貫通孔の下端開口を覆うようにして透水性シートが設けられ、
    前記土充填用貫通孔内に土が充填されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  19. 請求項15〜17のいずれか1項において、
    前記土木構築物用ブロックに、上下方向に貫通するようにして柱状の繊維体が埋設され、
    前記繊維体の上端面が前記土木構築物用ブロックの上面から外部に対して露出されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  20. 請求項15〜19のいずれか1項において、
    前記土木構築物用ブロックの上面部に複数の石が部分的に突出させた状態で埋設されている、
    ことを特徴とする土木構築物。
  21. 請求項15〜20のいずれか1項において、
    前記繊維層がヤシ繊維シートを用いて形成されている、
    ことを特徴とする土木構築物。


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