JP2011083951A - 反応液、セット、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立でき、また、長期に渡る使用にも耐えるインクジェット記録用の反応液を提供すること。
【解決手段】色材を含有するインクと共に使用され、前記インクと接触すると反応を生じる、インクジェット記録用の反応液であって、前記反応液が、第1と第2の、2種類の燐酸塩と水とを含んでなり、前記第1の燐酸塩が、リチウム、カリウム及びアルカリ土類金属から選ばれる金属の燐酸塩及びその水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、該第1の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、0.5質量%以上1.0質量%以下であり、前記第2の燐酸塩が、燐酸ナトリウム又は燐酸水素ナトリウムであり、かつ、該第2の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする反応液。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応液、インクと前記反応液とのセット、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法では液体のインクを用いるため、記録媒体にインクが付与された際に、インク中の水分などが蒸発するのに時間を要し、連続記録時などで記録物同士が触れたときに、記録物が汚れるという問題がある。これに対し、例えば、コハク酸などを含有した酸性液体を記録媒体に付与した後、インクを記録する方法により、インクの定着速度を高めることが行われている(特許文献1参照)。また、顔料インクを用いる場合には、塩との作用によって増粘又は凝集するブラックインクと、その塩を含有するカラーインクとを組み合わせて使用するという提案がある(特許文献2参照)。また、塩を含有する第1の液と、インクとを組み合わせて使用することで、定着速度を高める提案もある(特許文献3参照)。
特開昭64−9279号公報 特開平6−106735号公報 特開平3−240557号公報
以上のように、定着性と発色性を改善する手段の一つとして、色材を含むインクと、該インクと接触すると反応する反応液とを用いた種々の提案がなされているが、いずれの場合も、特に、高速記録に対応した画像の定着性と発色性との両立を達成できていない。また、インクジェット記録方法に適用する場合に重要な要件となる長期に渡る吐出安定性に関しても触れられておらず、その場合には記録ヘッドの耐久性への影響もあり、この点を考慮に入れる必要がある。
したがって、本発明の目的は、画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立でき、また、長期に渡る使用にも耐えるインクジェット記録用の反応液を提供することにある。また、上記の優れた画像形成が可能な、インクと反応液とのセット、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、色材を含有するインクと共に使用され、前記インクと接触すると反応を生じる、インクジェット記録用の反応液であって、前記反応液が、第1と第2の、2種類の燐酸塩と水とを含んでなり、前記第1の燐酸塩が、リチウム、カリウム及びアルカリ土類金属から選ばれる金属の燐酸塩及びその水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、該第1の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、0.5質量%以上1.0質量%以下であり、前記第2の燐酸塩が、燐酸ナトリウム又は燐酸水素ナトリウムであり、かつ、該第2の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする反応液、該反応液を組み合わせたセット及び該反応液を適用したインクジェット記録方法である。
本発明によれば、画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立でき、また、吐出安定性及び記録ヘッドの耐久性に優れ、長期に渡る使用に耐えるインクジェット記録用の反応液を提供することができる。また、上記の優れた画像形成を長期に渡って安定して行うことができる、インクと反応液とのセット、インクジェット記録方法を提供することができる。
反応液と顔料インクの画像形成の過程を示す模式図である。
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
<反応液>
本発明の反応液は、色材を含まず、透明であることが好ましいが、必ずしも可視域に吸収を示さないものである必要はない。すなわち、可視域に吸収を示すとしても、画像に影響を与えない範囲であれば、可視域に吸収を示すものであっても構わない。
本発明の反応液は、記録媒体上などでインクと接触した場合に、水性媒体中にイオン性基の作用によって水性媒体に分散又は溶解させられているインク中の色材の安定性を低下させ、色材を凝集させることができる成分を含有してなる。その構成成分として、基本的には、1)結晶核形成剤として機能する第1の燐酸塩、2)結晶剤として機能する熱作用を持つ第2の燐酸塩と、3)水を含む水性媒体を含有してなる。これらに加えて、4)水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤、5)多価金属及びバッファーとして機能する酸(酸バッファーと呼ぶ)を含んでいてもよい。本発明の反応液の技術的な特徴は、画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立することを達成するために、上記した第1の燐酸塩と第2の燐酸塩の、それぞれに機能が異なる2種類の燐酸塩を同時に用いた点にある。本発明者らは、結晶核形成剤、結晶剤としてそれぞれに機能する2種類の燐酸塩を同時に含有させた本願発明の反応液を、インクとともに画像形成に用いることで、形成した画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立できる理由を以下のように考えている。
普通紙に、反応液3と、顔料インク2とが連続して吐出され、画像になるステップを、図1に示した。上段の(a)〜(d)は、従来の反応液3を用いた場合を示し、下段の(a’)〜(c’)は、本発明の反応液3を用いた場合をそれぞれ示す。先ず、従来の反応液3を用いた場合には、(a)の段階においては、普通紙1に付与された反応液3に大きな変化は起こらない。そして、(b)の段階で、顔料インク2が反応液3に重ねて付与されることで、反応液3中の酸バッファー6などと、顔料インク2中の色材4とが瞬時に反応して凝集膜7を形成する。さらに、(c)の段階で、はじめに形成された凝集膜7が成長するために、水分蒸発及び浸透が徐々に進行していき、(d)の段階で、水分蒸発及び浸透が終了し、定着完了となる。この際、画像の発色性を左右する凝集物の沈みこみ具合は、(c)〜(d)に要する時間が関係する。つまり、これらに要する時間が長いほど、凝集物が紙表面より繊維間に沈み込むため、画像の発色性の低下につながる。従来の反応液を用いた場合は、(b)〜(d)に要する時間が長いため、高速記録に必要な高速定着や画像の発色性を十分に実現できなかった。
これに対し、本発明の反応液3を用いた場合は、図1の(a’)〜(c’)に示すように、普通紙1に付与されると急速に冷却され、結晶核形成剤である第1の燐酸塩を核に、熱作用を持つ結晶剤である第2の燐酸塩の燐酸ナトリウム類が結晶化していく。そのため、本発明の反応液3は、(a’)の段階で、結晶化に伴う熱作用によって水分蒸発が生じて濃度が高まった状態となる。そして、(b’)の段階では、従来の反応液を用いた場合と同じく、瞬時に凝集膜7が形成される。しかし本発明の反応液3の場合は、この際、反応液の濃度が高まった状態であることから、顔料インク2中の水分が急速に反応液3側に引っ張られ、かつ、凝集・結晶化に伴う発熱反応によって従来の反応液を用いた場合よりも短時間で定着が進行すると考えられる。このことが画像の定着性や発色性を大幅に向上させる理由であると推定している。すなわち、従来の反応液を使用した場合と比較し、本発明の反応液を用いると、(c’)の段階が、従来の反応液を用いた場合よりも早く進行することができるようになる結果、本発明の効果が得られたものと考えられる。
さらに、本発明者らの検討によって、本発明の反応液に含まれる結晶核形成剤と結晶剤としてそれぞれに機能する2種類の燐酸塩は、上記とは別の効果をもたらすことが明らかになった。すなわち、昼間30℃、夜間15℃の温度変動環境下で、間欠記録試験を行ったところ、従来の反応液を用いた場合に比べ本発明の反応液を用いた場合には、記録ヘッドの耐久性が向上した。この現象が生じる理由について、本発明者らは以下のように推定している。
記録ヘッドのインク流路は、半導体材料であるシリコン又はシリコン化合物で形成されており、酸性・アルカリ性に関わらず溶解する性質を持っている。そして、この溶解性は温度に依存しており、20℃付近ではほとんど溶解しないが、温度上昇と共に溶解速度も上昇する。したがって、従来の反応液を用いた上記試験において、30℃の環境下で長期間の吐出を行ったことで、記録ヘッドのインク流路が溶解し、インクの吐出性が低下した原因となったと推測している。これに対し、本発明の反応液に含まれる結晶核形成剤と結晶剤は、外気温が30℃になると、結晶が溶解することで吸熱反応を示し、反応液・流路・ヘッドを20℃近辺まで冷却させる。このため、本発明の反応液を用いると従来の反応液を用いた場合と比べてインク流路の溶解が防止され、結果として記録ヘッドの耐久性が向上したものと考えられる。そして、上記した吸熱効果は8〜10時間持続するため、気温の高い昼間でも、20℃付近に反応液の液温を維持することが可能である。また、気温の低い夜間、すなわち15℃付近では、本発明の反応液に含まれる結晶核形成剤と結晶剤とが再び結晶化するため、前記したような吸熱効果を繰り返し利用することができる。結果として、本発明の反応液を用いることで、記録ヘッドの耐久性に問題がなく、吐出安定性に優れ、長期に渡って安定したインクジェット記録を行うことが可能となる。
(第1の燐酸塩:結晶核形成剤)
本発明の反応液は、結晶の析出を容易にするなどの目的で結晶核形成剤を添加してなるが、その際に結晶核形成剤として、下記に挙げる第1の燐酸塩を用いる。すなわち、リチウム、カリウム、及びアルカリ土類金属から選ばれる金属の燐酸塩及びその水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種の第1の燐酸塩を含有してなる。より具体的には、第1の燐酸塩として、燐酸カリウム塩類、燐酸ストロンチウム塩類、燐酸リチウム塩類、燐酸カルシウム塩類、燐酸バリウム塩類、燐酸マグネシウム塩類、及びこれらの水和物などが挙げられる。これらのうちでも、燐酸カリウム塩類、燐酸カルシウム塩類、燐酸ストロンチウム塩類、及びそれらの水和物を第1の燐酸塩として用いることが、より好ましい。さらには、燐酸2水素カリウム、燐酸水素2カリウム、燐酸水素カルシウム、燐酸水素ストロンチウム、及びこれらの水和物を用いることが特に好ましい。これらの結晶核形成剤である第1の燐酸塩は、それぞれ単独で用いてよく、また、2種以上併用してもよい。反応液中の第1の燐酸塩の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.5質量%以上1.0質量%以下の範囲である。ここで、第1の燐酸塩の含有量が、0.5質量%未満の場合は、記録媒体に反応液が付与されたとき、結晶核となるものの量が少な過ぎて結晶化が起きにくくなり、定着速度の向上を見込めない場合があるので好ましくない。逆に、1.0質量%を超えると、結晶核形成剤である第1の燐酸塩が反応液中に析出し、吐出に影響を与える場合があるので好ましくない。
(第2の燐酸塩:結晶剤)
本発明の反応液では、上記した第1の燐酸塩とともに、結晶剤として、熱作用を持つ(発熱と吸熱とが可逆な)第2の燐酸塩を用いる。この場合の熱作用とは、結晶化するときに発熱反応を示し、結晶が溶解するときに吸熱反応を示すことを意味する。このような性質を持つ結晶剤として、本発明では、燐酸ナトリウム又は燐酸水素ナトリウムを用いるが、これらは水和物も含む。例を挙げると、燐酸水素2ナトリウム(Na2HPO4)、その12水和物など、燐酸3ナトリウム(Na3PO4)、その4水和物などである。また、反応液中の第2の燐酸塩(結晶剤)の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上10.0質量%以下の範囲である。ここで、第2の燐酸塩の含有量が5.0質量%未満と少な過ぎる場合は、反応液が吐出されて記録媒体に付与された際に、結晶化が起きにくく、結晶化に伴う熱作用による水分蒸発が十分に生じないと考えられる。この場合は、定着速度の十分な向上が見込めなくなるので好ましくない。逆に、10.0質量%を超えると、結晶化速度が早くなり過ぎてしまい、反応液とインクの凝集タイミングがずれ、画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立できなくなる場合があるので好ましくない。
(水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤)
本発明の反応液は、上記の第1及び第2の燐酸塩に加えて、さらに、水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤を含有し、かつ、該水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、10.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。この際に使用する水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤としては、下記に挙げるようなものを使用できる。例えば、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの1価のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類が挙げられる。水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤は、単独でも又は混合物としても使用することができる。反応液中のこれらの水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、10.0質量%以上20.0質量%以下の範囲であることが好ましい。10.0質量%未満では、反応液が吐出され、記録媒体に付与されたとき、結晶化が起きにくくなり、定着速度の十分な向上を見込めない場合がある。一方、20.0質量%を超えると、結晶化速度が早くなり過ぎてしまい、反応液とインクの凝集タイミングがずれ、画像の定着性及び発色性を高いレベルで両立できない場合がある。
本発明者らの検討によれば、反応液中に、上記したアルコール類やエーテル類などの水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤を添加させると、前記した結晶の析出が容易になるが、その理由を以下のように考えている。先ず、貧溶媒である上記アルコール類やエーテル類は水との間に相互溶解が起こり、溶質イオンに対して水和している水分子の一部がアルコール分子などと溶媒和される。このため、溶質の溶解度が低下した状態となる。この反応液が記録媒体に付与されると、水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤が添加されているので、先に述べた結晶化に伴う熱作用によって先に水が蒸発し、結晶の析出が促進されると推定している。
(水性媒体)
本発明の反応液は、水を含有してなるが、さらには、上記した以外の水溶性有機溶剤、その他の各種添加剤を含むことができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、ケトン又はケトアルコール類、環状エーテル類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが使用できる。これらは単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。また、水としては脱イオン水を使用することが好ましい。本発明において、反応液中における水の含有量は、反応液全質量を基準として、40.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
(酸バッファー)
また、本発明の反応液は、さらに、多価金属イオン及びバッファー(緩衝剤)として機能する酸(酸バッファー)を含有してなるものが好ましい。ここで、酸バッファーとしては、硫酸、硝酸、酒石酸、酢酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、スルホン酸などの無機及び有機の酸性化合物が挙げられ、これらの少なくとも1種を使用することができる。これらの酸バッファーの種類及び添加量を適宜に選ぶことで、インク中の顔料などの色材と、本発明の反応液が記録媒体上で接触したときに、より効果的に色材を凝集させることができるようになる。反応液中における酸バッファーの含有量(質量%)は、反応液の全質量を基準として、0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲とすることが好ましい。さらにインクを不安定化させる機能を充分に発揮させ、高いレベルの画像均一性や光学濃度を得るためには、酸バッファーとともに、反応液の全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下の範囲で多価金属イオンを含有させることが好ましい。なお、本発明においては、多価金属イオンの含有量とは、多価金属原子の含有量として考えるものとする。
(多価金属イオン)
多価金属イオンを含有してなる形態の本発明の反応液は、2価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な多価金属塩を反応液中に含有させることで得られる。多価金属イオンの具体例としては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、及びBa2+などの2価の金属イオンや、Al3+、Fe3+、Cr3+、及びY3+などの3価の金属イオンが挙げられる。反応液中の多価金属イオンの含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。さらにインクを不安定化させる機能を充分に発揮し、高いレベルの画像均一性や光学濃度を得るためには、反応液全質量を基準として、2.0質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましい。なお、反応液中に多価金属イオンを、10.0質量%を超えて含有させることも可能である。しかし、この場合には、反応液中における凝集物の析出を抑制し、反応液の保存安定性を維持するための化合物の添加量も多く必要となるため、あまり好ましくない。さらに、反応液中の多価金属イオンの含有量をこれより多くしたとしても、インクを不安定化させる機能の著しい増大は期待できないことでもあり、過剰に含有させることはあまり好ましくない。なお、上記多価金属イオンの含有量の範囲は、上記で説明した第1の燐酸塩を構成する多価金属イオンを含むものである。
(その他の成分)
本発明の反応液は、各種添加剤が含有されていてもよい。使用される各種添加剤としては、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、キレート剤などの他、記録後の記録媒体が反るのを抑制する所謂「カール抑制剤」なども適宜用いることができる。
<インク>
上記した本発明の反応液は、色材がイオン性基によって水性媒体に分散又は溶解させられているインクと組み合わせて記録に用いることで、高品質の画像が形成されるなどの好ましい効果を得られる。かかるインクに用いることのできる色材としては、例えば、顔料(マイクロカプセル化顔料、さらには着色樹脂なども本明細書中では顔料の範疇とする)が挙げられる。以下これらの色材について詳述する。
(顔料)
用い得る顔料としては、例えば、カーボンブラックや有機顔料などが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどの従来公知のカーボンブラックを使用することが可能である。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどをブラック顔料として用いてもよい。有機顔料としては、特に制約がなく、従来公知の有機顔料を用いることができる。具体的には、例えば、カラーインデックス(C.I.)ナンバーで示される有機顔料を用いることができる。
(分散剤)
上記したカーボンブラックや有機顔料を用いる場合には樹脂分散剤を併用することできる。分散剤としては、アニオン性基の作用によって上記の顔料を水性媒体に安定に分散させることのできるものが好適に用いられる。例えば、スチレン−アクリル酸共重合体又はその塩などの従来インクジェット用のインクに用いられているものが使用できる。また、これらの分散剤は、重量平均分子量が1,000以上30,000以下の範囲のものが好ましく、特には3,000以上15,000以下の範囲のものがより好ましい。
(自己分散型顔料)
色材として、顔料表面にイオン性基(アニオン性基)を結合させることによって、分散剤なしで水性媒体に分散させることのできる顔料、所謂、自己分散型顔料を用いることもできる。このような顔料の一例として、自己分散型カーボンブラックを挙げることができる。自己分散型カーボンブラックとしては、例えば、アニオン性基がカーボンブラック表面に結合したアニオン性カーボンブラックを挙げることができる。
アニオン性カーボンブラックとしては、カーボンブラックの表面に、例えば、−COO(M2)、−SO3(M2)、−PO3H(M2)、−PO3(M2)2から選ばれる少なくとも1つのアニオン性基を結合させたものが挙げられる。上記式中、M2は水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。上記したような種々の親水性基(アニオン性基)は、カーボンブラックの表面に直接結合したものでもよいが、他の原子団をカーボンブラック表面と親水性基との間に介在させ、親水性基をカーボンブラック表面に間接的に結合させたものでもよい。
本発明において、2種又はそれ以上の色材を適宜選択してインクに用いてもよい。また、インク中の色材の含有量(質量%)としては、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、特には1.0質量%以上10.0質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
(着色微粒子/マイクロカプセル化顔料)
色材として上記したものの他に、ポリマーなどでマイクロカプセル化した顔料や樹脂粒子の周囲を色材で被覆した着色微粒子なども用いることができる。マイクロカプセルに関しては、本来的に水性媒体に対する分散性を有するが、分散安定性を高めるために上記したような分散剤をさらにインク中に共存させてもよい。また、着色微粒子を色材として用いる場合には、上記したアニオン系分散剤などを用いることが好ましい。
(水性媒体及びその他の成分)
インクに用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。インクに使用できる水溶性有機溶剤としては、従来のインクジェット用のインクに用いられているものと同様のものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤は、単独でも又は混合物としても使用することができる。また、水としては脱イオン水を使用することが好ましい。上記の成分のほかに必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤などを添加することができる。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下が好ましい。また、インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下が好ましい。
<インクと反応液とのセット>
前記本発明の反応液と前記インクとを組み合わせてなるセットを構成するインクの色調はどのようなものであってもよい。また、本発明の反応液と組み合わせるインクは、1種に限定されるものでなく、2種以上組み合わせることもできる。この場合、2つ以上のインクのうち、少なくとも1つのインクが前記した構成を有する本発明の反応液と反応すればよい。
<インクジェット記録方法>
本発明の反応液は、色材がイオン性基の作用によって水性媒体に分散させられている前記したようなインクと組み合わせて用いることができる。そして、例えば、(i)前記インクを記録媒体に付与する工程;及び(ii)前記反応液を前記記録媒体の少なくとも前記インクが付与される領域に付与する工程、を有する記録方法を採用することで、以下の優れた効果が得られる。すなわち、極端に反応液とインクの反応性を高めることなく、輪郭部の不明瞭性の改善及びカラーブリードを生じることがなく、さらに耐裏抜け性の優れた高品位の画像を形成することが可能となる。
なお、このようなインクと本発明の反応液とのセットを用いた場合に、高画像濃度及び高発色で記録品位を良好にできる理由は明らかではないが、以下のことが考えられる。例えば、反応液とインクとをインクジェット法によって記録媒体に吐出させ、両者を互いに接触させた場合、インク中では安定して存在していた顔料などの色材が、記録媒体に付着後、急速に反応することで、記録媒体着弾位置に顔料が残存するためと考えられる。
本発明の反応液とインクとのセットを複数、又は、本発明の反応液とインクとのセットと、他のインクとを組み合わせることによって、カラー画像の形成に好適に用い得るセットを提供することもできる。そして、このようなセットを用いて、ブラック画像部とカラー画像部とが隣接するような記録を行った場合、ブリーディングの発生を極めて有効に抑えることができる。
本発明の反応液はインクジェット記録用であり、記録媒体への付与方法としては、インクジェット方式で行うことで上述の効果を得ることができる。本発明の反応液と併用するインクも、反応液と同様にインクジェット方式で記録媒体に付与することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」又は「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。また、反応液及びインクの成分として使用したアセチレノールE100は、川研ファインケミカル製の界面活性剤である。
<反応液の調製>
下記表1に示す各成分を混合して、各反応液を調製した。
<インクの調製>
カーボンブラック(モウグルL;キャボット製)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合した。分散剤には、酸価200mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を水酸化カリウムで中和してなる、樹脂の含有量が10%である水溶液を用いた。得られた混合物をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷下で5時間分散した。得られた分散液を遠心分離することで粗大粒子を除去し、顔料の含有量が10%、樹脂の含有量が2%であるブラック顔料分散体を得た。
また、カーボンブラックをC.I.ピグメントブルー15:3(ファストゲンブルーFGF;DIC製)に変更した以外は上記と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂の含有量が2%であるシアン顔料分散液を調製した。また、カーボンブラックをC.I.ピグメントレッド122(大日本インキ製)に変更した以外は上記と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂の含有量が2%であるマゼンタ顔料分散液を調製した。また、カーボンブラックをC.I.ピグメントイエロー180(ノバパームイエローPH−G;ヘキスト製)に変更した以外は上記と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂の含有量が2%であるイエロー顔料分散液を調製した。
次に、下記表2に示す各成分を混合して、十分に撹拌した後、ポアサイズが1.2μmのポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
<評価>
(定着性)
上記で得たインクと反応液とのセットを用いて、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−800(キヤノン製)により、評価パターンを記録媒体の4隅近辺及び中央部の5箇所に記録を行った。記録媒体としては、市販のコピー用紙、ボンド紙及び再生紙の3種類を使用した。記録箇所を指で触れて、下記の基準で、定着性を評価した。上記3種類の記録媒体においてそれぞれ評価し、表3の評価結果には、評価結果の中でもっとも評価の低かったものを示した。
A:記録部が濡れておらず、指触後も指にインクが付着しない。
B:記録部の20%以下のエリアが濡れており、指触後、指にインクが付着。
C:記録部の20%超50%以下のエリアが濡れており、指触後、指にインクが付着。
D:記録部の50%超100%以下のエリアが濡れており、指触後、指にインクが付着。
(発色性)
定着性評価と同じ装置を利用し、上記で得たインクと反応液とのセットを用いて、記録デューティ100%の評価パターンを記録した。記録媒体としては、市販のコピー用紙、ボンド紙及び再生紙を使用した。上記のようにして得た記録物を12時間放置した後、画像の反射濃度を反射濃度計マクベスRD19(マクベス製)にて測定して、発色性を評価した。なお、評価基準は以下の通りである。上記3種類の記録媒体においてそれぞれ評価し、表3の評価結果には、結果の中でもっとも評価の低かったものを示した。
評価結果を表3に示した。
A:反射濃度が1.20以上であった。
B:反射濃度が1.15以上1.20未満であった。
C:反射濃度が1.05以上1.15未満であった。
D:反射濃度が1.05未満であった。
(ヘッド耐久性)
上記で得たインクと反応液とのセットを用いて、記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJF−800(キヤノン製)により、評価パターンを12時間毎に1枚記録を行った。評価環境と条件は実使用条件を考慮し、30℃12時間、15℃12時間を1サイクルとし、合計100サイクル繰り返し行った。記録媒体としては、市販のコピー用紙、ボンド紙及び再生紙を使用した。評価パターンを目視し、出検ヨレの有無を下記の基準で評価した。上記3種類の記録媒体においてそれぞれ評価し、表3の評価結果には、結果の中でもっとも評価の低かったものを示した。
A:出検ヨレが確認されなかった。
B:出検ヨレが全ノズルの0%を超えて30%未満で生じた。
C:出検ヨレが全ノズルの30以上80%未満で生じた。
D:出検ヨレが全ノズルの80%以上で生じた。
(保存性)
上記で得た反応液を10℃環境下で24時間保存後、正常に吐出できるか評価した。評価基準は以下のように設定した。評価結果を表3に示した。
A:クリーニング操作を行うことなく正常に吐出した。
B:クリーニング操作を1回行うことで、正常に吐出した。
C:クリーニング操作を2回以上行うことで、正常に吐出した。
1:普通紙
2:顔料インク
3:反応液
4:顔料粒子
5:界面活性剤
6:凝集剤
7:凝集膜
8:結晶(結晶核形成剤+結晶剤)

Claims (6)

  1. 色材を含有するインクと共に使用され、前記インクと接触すると反応を生じる、インクジェット記録用の反応液であって、
    前記反応液が、第1と第2の、2種類の燐酸塩と水とを含んでなり、
    前記第1の燐酸塩が、リチウム、カリウム及びアルカリ土類金属から選ばれる金属の燐酸塩及びその水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ、該第1の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、0.5質量%以上1.0質量%以下であり、
    前記第2の燐酸塩が、燐酸ナトリウム又は燐酸水素ナトリウムであり、かつ、該第2の燐酸塩の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、5.0質量%以上10.0質量%以下であることを特徴とする反応液。
  2. さらに、水より蒸気圧の小さい水溶性有機溶剤を含有してなり、かつ、該水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として、10.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1に記載の反応液。
  3. さらに、多価金属イオン及びバッファーとして機能する酸を含有してなる請求項1又は2に記載の反応液。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反応液を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 色材を含有するインクと反応液とのセットであって、前記反応液が、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反応液であることを特徴とするセット。
  6. 請求項5に記載のセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011161643A (ja) * 2010-02-04 2011-08-25 Fujifilm Corp インクセット、及び画像形成方法
JP2015000575A (ja) * 2013-06-17 2015-01-05 ゼロックス コーポレイションXerox Corporation インク結晶化を増大させる方法

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