JP2011083811A - 溶接装置及びこれを用いた溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】開先上部にスペースがない場合であっても、溶接トーチを開先に対して上向きにして溶接し、さらに複数層の溶接接合を効率よく実現することができ、どのような板厚であっても確実に溶接することができる溶接装置及びこれを用いた溶接方法を提供する。
【解決手段】2枚の被溶接板1を開先溶接する溶接装置において、前記被溶接板1間の開先2と同程度の幅を有して前記開先2内に挿入可能であり、かつ前記開先2に沿って相対的にスライド可能な裏当材4と、前記開先2内に溶融金属を供給する溶接トーチ5とを備えた。
【選択図】図1
【解決手段】2枚の被溶接板1を開先溶接する溶接装置において、前記被溶接板1間の開先2と同程度の幅を有して前記開先2内に挿入可能であり、かつ前記開先2に沿って相対的にスライド可能な裏当材4と、前記開先2内に溶融金属を供給する溶接トーチ5とを備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば船舶部材や橋梁部材、鉄骨等に用いる板状体を突き合わせて溶接接合する際に用いる溶接装置及びこれを用いた溶接方法に関するものである。
突き合わせ溶接方法が特許文献1に開示されている。この溶接方法は、一回の走行で2層の溶接接合を行うものである。そのために、先行溶接トーチと後行溶接トーチを設け、2本の溶接トーチにより同時に溶接を行っている。しかしながら、特許文献1の溶接方法では、先行溶接トーチのノズルが開先に対して下向きであるため、開先の上側に溶接トーチを移動させるための空間を必要とする。開先のような狭隘部の溶接接合の場合、開先上部にスペースを形成することは困難である。このようなスペースがない場合、特許文献1の溶接方法は適用できない。また、溶接すべき板が厚い場合、2層以上の溶接が必要となるが、その場合にも特許文献1の溶接方法は適用できない。
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、開先上部にスペースがない場合であっても、溶接トーチを開先に対して上向きにして溶接し、さらに複数層の溶接接合を効率よく実現することができ、どのような板厚であっても確実に溶接することができる溶接装置及びこれを用いた溶接方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、2枚の被溶接板を開先溶接する溶接装置において、前記被溶接板間の開先と同程度の幅を有して前記開先内に挿入可能であり、かつ前記開先に沿って相対的にスライド可能な裏当材と、前記開先内に溶融金属を供給する溶接トーチとを備えることを特徴とする溶接装置を提供する。
また、請求項2の発明では、前記溶接トーチと別体であり、前記溶融金属を覆うシールドガスを供給するシールドノズルをさらに備えることを特徴としている。
また、請求項3の発明では、請求項1又は2に記載の溶接装置を用いた溶接方法であって、前記裏当材及び前記溶接トーチを同じ側から前記開先内に挿入し、前記開先内に前記溶接トーチから前記溶融金属を供給しながら前記溶接トーチと前記裏当材を前記開先に沿って相対的にスライドさせ、前記被溶接板相互を前記溶融金属により溶接接合することを特徴とする溶接方法を提供する。
請求項1の発明では、裏当材が開先内に挿入可能であるため、裏当材を開先内に挿入した状態で溶融金属によるビードを形成することができる。溶接すべき被溶接板が厚くて、複数層のビードを形成して被溶接板を溶接する場合、開先内における裏当材の位置をビードの厚さに合わせて配しながら溶接することができるので、複数層の溶接接合を容易かつ正確に行うことができる。
請求項2の発明では、シールドノズルが溶接トーチと別体であるため、溶接トーチを小型化することができ、より狭小な開先における開先溶接を行うことが可能となる。
請求項3の発明では、裏当材を挿入した状態で被溶接板を溶接接合し、これを繰り返すことで複数層の溶接接合を容易かつ正確に行うことができる。また、溶接トーチは裏当材を挿入した側から(溶接トーチと裏当材を同じ側から)開先内に挿入するため、開先上部にスペースがない場合においても適用することができる。
図1は本発明に係る溶接装置及びこれを用いた溶接方法の適用箇所の一例となる被溶接板の概略図である。
図の例では、船体ブロックの一側面を表している。2枚の被溶接板1,1は、同一平面上に配置され、その間隔たる開先2を介して配設されている。被溶接板1には、骨配材たるロンジ3が形成されている。このロンジ3も、開先2と同様の間隔を存して対向している。このような開先2を溶接することで、船底等が形成される。本発明は、この開先溶接における溶接装置及び方法に関するものである。
図の例では、船体ブロックの一側面を表している。2枚の被溶接板1,1は、同一平面上に配置され、その間隔たる開先2を介して配設されている。被溶接板1には、骨配材たるロンジ3が形成されている。このロンジ3も、開先2と同様の間隔を存して対向している。このような開先2を溶接することで、船底等が形成される。本発明は、この開先溶接における溶接装置及び方法に関するものである。
図2は本発明に係る溶接装置を用いて溶接しているときの概略断面図であり、図3は図2のA−A視図である。
図示したように、被溶接板1,1が開先2を介して配置され、この開先2内に裏当材4が挿入されている。図3に示したように、裏当材4の幅は、開先2の幅と同程度であるが若干小さく形成されている。裏当材4は、水冷銅板であり、溶融金属が効率よく冷却されるようにしている。なお、銅板でなくとも他の金属板等を用いてもよい。裏当材4の上側であって開先2内には、溶接トーチ5が挿入されている。この溶接トーチ5は裏当材4を開先2内に挿入した側、すなわち裏当材4と同じ方向で開先2内に挿入される。これにより、ロンジ3等が形成されていて、開先2の上部に十分なスペースがない場合でも、被溶接板1,1を互いに溶接接合することができる。
図示したように、被溶接板1,1が開先2を介して配置され、この開先2内に裏当材4が挿入されている。図3に示したように、裏当材4の幅は、開先2の幅と同程度であるが若干小さく形成されている。裏当材4は、水冷銅板であり、溶融金属が効率よく冷却されるようにしている。なお、銅板でなくとも他の金属板等を用いてもよい。裏当材4の上側であって開先2内には、溶接トーチ5が挿入されている。この溶接トーチ5は裏当材4を開先2内に挿入した側、すなわち裏当材4と同じ方向で開先2内に挿入される。これにより、ロンジ3等が形成されていて、開先2の上部に十分なスペースがない場合でも、被溶接板1,1を互いに溶接接合することができる。
溶接トーチ5の上側であって開先2内には、シールドノズル6が配設されている。このシールドノズル6は、溶接トーチ5によるアーク溶接に際し、アークと溶融金属とを覆って空気と遮断するためのシールドガスを供給するためのものである。このシールドノズル6は溶接トーチ5と別体である。これにより、シールドノズル6のみを移動させて効率よくシールドガスによるシールド効果を得るように操作することが可能となる。すなわち、シールドノズル6の位置は図示したような溶接トーチ5の上側に限られず、開先2の形状に合わせて自由に移動させることができる。また、溶接トーチ5と一体に形成することに比べ、溶接トーチ5を小型化することができ、より狭小な開先2の溶接を実現することができる。小型化により、狭隘部の消耗電極式溶接も可能となる。また、このように溶接トーチ5とシールドノズル6を別体にすることにより、開先2と溶接トーチ5との間に空間ができるため、作業者にとってはアークの視認性が良好になり、作業性が向上する。
被溶接板1の下面には、走行レール7が開先2に沿って一定距離を保って形成されている。走行レール7には台車8が取り付けられている。台車8は溶接トーチ5のケーブル9を保持する保持部材を有している。この保持部材10は左右方向及び上下方向のスライド軸11,12を介して台車8に連結されている。これにより、スライド軸11,12を調整して、溶接トーチ5の開先2内における位置を調整することができる。また、裏当材4も台車8に対して、上下方向のスライド軸13を介して台車8に接続されている。
図4及び図5は、本発明に係る溶接装置を用いた溶接方法を行っているときの概略図である。
図4に示すように、開先2の下側から裏当材4を所定位置まで挿入し、固定する。この裏当材4の上部に溶接トーチ5を移動させる。溶接トーチ5からアークを発生させ、溶融金属14により被溶接板1同士の溶接接合を行う。開先2に沿って裏当材4及び溶接トーチ5をスライドさせ、開先2の全長にわたって溶接を行ったら、1層目の溶接が完了する。
図4に示すように、開先2の下側から裏当材4を所定位置まで挿入し、固定する。この裏当材4の上部に溶接トーチ5を移動させる。溶接トーチ5からアークを発生させ、溶融金属14により被溶接板1同士の溶接接合を行う。開先2に沿って裏当材4及び溶接トーチ5をスライドさせ、開先2の全長にわたって溶接を行ったら、1層目の溶接が完了する。
次に図5に示すように、2層目の溶接を行う。2層目の溶接は、裏当材4を被溶接板1の下面に揃え、ここに1層目と同様に溶融金属を供給する。このとき、2層目の溶融金属14は裏当材4と1層目の溶接金属(ビード)15の間に供給される。このように、溶融金属14の受けとなるように裏当材4を開先2内に挿入するので、各層ごとに容易かつ適切にビードを形成することができる。すなわち、形成したいビードの厚さに合わせて裏当材4の位置を調整することにより、所望の厚さのビードを得ることができ、これを繰り返すことにより、何層ものビードを形成することができる。このため、被溶接板1の板厚が大きい場合でも、確実に多層溶接を行うことができる。なお、図ではシールドノズルは図示していない。また、図では2層溶接を示しているが、同様の操作を繰り返すことで、3層以上の溶接も可能である。
1 被溶接板
2 開先
3 ロンジ
4 裏当材
5 溶接トーチ
6 シールドノズル
7 走行レール
8 台車
9 ケーブル
10 保持部材
11 スライド軸
12 スライド軸
13 スライド軸
14 溶融金属
15 1層目の溶接金属
2 開先
3 ロンジ
4 裏当材
5 溶接トーチ
6 シールドノズル
7 走行レール
8 台車
9 ケーブル
10 保持部材
11 スライド軸
12 スライド軸
13 スライド軸
14 溶融金属
15 1層目の溶接金属
Claims (3)
- 2枚の被溶接板を開先溶接する溶接装置において、
前記被溶接板間の開先と同程度の幅を有して前記開先内に挿入可能であり、かつ前記開先に沿って相対的にスライド可能な裏当材と、
前記開先内に溶融金属を供給する溶接トーチとを備えることを特徴とする溶接装置。 - 前記溶接トーチと別体であり、前記溶融金属を覆うシールドガスを供給するシールドノズルをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の溶接装置。
- 請求項1又は2に記載の溶接装置を用いた溶接方法であって、
前記裏当材及び前記溶接トーチを同じ側から前記開先内に挿入し、
前記開先内に前記溶接トーチから前記溶融金属を供給しながら前記溶接トーチと前記裏当材を前記開先に沿って相対的にスライドさせ、
前記被溶接板相互を前記溶融金属により溶接接合することを特徴とする溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009240150A JP2011083811A (ja) | 2009-10-19 | 2009-10-19 | 溶接装置及びこれを用いた溶接方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102632345A (zh) * | 2012-04-09 | 2012-08-15 | 江苏金华厦电气有限公司 | 核电桥架专用双c型钢的焊接方法 |
CN103737161A (zh) * | 2013-12-17 | 2014-04-23 | 攀钢集团工程技术有限公司 | 多层金属薄板与厚金属板的焊接方法 |
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-
2009
- 2009-10-19 JP JP2009240150A patent/JP2011083811A/ja active Pending
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