JP2011081933A - 色素増感型光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents

色素増感型光電変換素子及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光電変換効率を有し、耐久性の高い光電変換素子、該素子の製造方法及び前記素子を用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】対向電極間に、色素を担持している酸化チタンを含有する半導体層と電荷輸送層とが設けられている色素増感型光電変換素子において、少なくとも光入射面に無機紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有し、該紫外線吸収層の吸収端波長が370nm〜410nmの範囲にあり、且つ、前記紫外線吸収層は波長350nmの紫外光入射時に蛍光を発し、該蛍光の発光ピーク波長が400nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、色素増感型光電変換素子及び太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。
これらを真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(例えば、非特許文献1参照。)。
非特許文献1において提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がないことから安価であり、また、利用可能な光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。
一方、酸化チタンは紫外線による光触媒作用が顕著であり、有機物の分解作用を示す。色素増感型太陽電池において色素や電荷輸送層には一般に有機物が用いられており、光電変換素子の耐久性を上げるには紫外線を遮蔽する必要がある。
そこで、光吸収面に紫外線吸収層を設けることによる耐久性の向上が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、太陽光の光エネルギーのうち6%程度を占める紫外線の場合、紫外線吸収層に吸収された光エネルギーは熱となってしまうだけで電気エネルギーには変換されず、光エネルギーを必ずしも効率的に活用できていないという問題点があった。
また、蛍光体を含有する層を光吸収面に設けた例が報告されている(例えば、特許文献2、3及び〜4参照。)が、有機蛍光体を用いた場合には光耐久性に問題があり、無機蛍光体を用いても吸収端波長が370nm以下のもの(ZnS、Al、B等)、あるいは吸収端波長が410nm以上のもの(CdTe等)を用いているため、紫外線による光触媒作用を抑えつつ、且つ、光電変換に有効な可視光を十分に透過していないという問題点があった。
特開平11−345991号公報 特開2004−171815号公報 特開2006−210229号公報 特開2007−265629号公報
Nature,353,737(1991),B.O’ReganとM.Gratzel
本発明の目的は、高い光電変換効率を有し、耐久性の高い光電変換素子、該素子の製造方法及び該素子を用いた太陽電池を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成した。
1.対向電極間に、色素を担持している酸化チタンを含有する半導体層と電荷輸送層とが設けられている色素増感型光電変換素子において、
少なくとも光入射面に無機紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有し、該紫外線吸収層の吸収端波長が370nm〜410nmの範囲にあり、且つ、前記紫外線吸収層は波長350nmの紫外光入射時に蛍光を発し、該蛍光の発光ピーク波長が400nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする色素増感型光電変換素子。
2.前記紫外線吸収層の、400nm〜700nmの波長における光平均透過率が90%以上であることを特徴とする前記1に記載の色素増感型光電変換素子。
3.前記無機紫外線吸収剤が平均粒径50nm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の色素増感型光電変換素子。
4.前記無機紫外線吸収剤が金属酸化物粒子であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子。
5.前記金属酸化物粒子を形成している金属が複数からなり、該金属の1種が0.01原子%〜10原子%含有されていることを特徴とする前記4に記載の色素増感型光電変換素子。
6.前記金属酸化物粒子の金属が亜鉛またはチタンであることを特徴とする前記4または5に記載の色素増感型光電変換素子。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本発明により、高い光電変換効率を有し、耐久性の高い光電変換素子、該素子の製造方法及び前記素子を用いた太陽電池を提供することができた。
本発明の色素増感型光電変換素子の一例を示す断面図である。
本発明の色素増感型光電変換素子は、請求項1〜5のいずれか1項に記載される構成により、初期及び経時後においても、高い光電変換効率を有し、且つ、耐久性の高い色素増感型光電変換素子を提供することができた。
また、本発明の色素増感型光電変換素子を有する太陽電池は、高い光電変換効率を示し、優れた発電特性を有することがわかった。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
《色素増感型光電変換素子》
本発明の色素増感型光電変換素子(以下、単に光電変換素子ともいう)の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の色素増感型光電変換素子の一例を示す断面図である。
図1において、本発明の色素増感型光電変換素子は、紫外線吸収層1、基板2(光入射面側に設置される)、透明導電膜3、半導体層4(具体的には、増感色素を担持する酸化チタン層から形成される)、電荷輸送層5、触媒層6、導電層7及び基板8から構成されている。
本発明の色素増感型光電変換素子は、対向電極間に半導体層4と電荷輸送層5とを有するが、ここで、対向電極としては、一方の電極は、基板2、透明導電膜3(透明導電層3ともいう)及び半導体層4から構成される半導体電極10であり、もう一方の電極は、触媒層6、導電層7及び基板8から構成される電極9であり、該半導体電極10と電極9とにより各々対向電極を形成している。
図1の本発明の色素増感型光電変換素子においては、光入射11に示されているように、半導体電極10の側から光が入射される。具体的には、半導体電極10を構成する紫外線吸収層1の側から光が入射される。
光入射11の側に設けられている紫外線吸収層1に光入射されることにより、半導体電極10を構成する半導体層4に含有される酸化チタン等の半導体材料の光触媒作用を抑制し、酸化チタン等の半導体材料に担持されている増感色素等の光分解を防止し、本発明の色素増感型光電変換素子の耐久性を飛躍的に向上させることができる。
以下、本発明の色素増感型光電変換素子の各構成について更に詳細に説明する。
本発明に係る紫外線吸収層及び紫外線吸収層に含有される無機紫外線吸収剤について説明する。
《紫外線吸収層》
本発明に係る紫外線吸収層について、本発明の色素増感型光電変換素子の一例である、図1の構成を参照しながら説明する。
図1では、本発明に係る紫外線吸収層1は、半導体電極10の半導体層4が配設されている面とは異なる面上、即ち、半導体電極10の光入射11の側の基板2に設けられている一例が示されている。
本発明に係る紫外線吸収層は、紫外線を吸収し、且つ、370nm〜410nmの間に吸収端を有し、無機紫外線吸収剤を含有する。尚、無機紫外線吸収剤については後に詳細に説明する。
本発明に係る紫外線吸収層が370nm〜410nmの間に吸収端を持つことが必要であるが、その理由を図1の色素増感型光電変換素子の構成を基に説明する。
図1の色素増感型光電変換素子の半導体電極10を構成する半導体層4に直接光照射された場合、半導体層4に含有される酸化チタンの光触媒効果による有機物(具体的には、酸化チタンに担持される増感色素等の有機物である)の分解作用は、波長370nm以下の紫外線において顕著であり、そのままでは素子の光電変換効率の著しい劣化が招来される。
それ故、紫外線吸収層の吸収端は、370nm以上でなければならず、また、可視光領域(400nm〜700nm)での透過性を確保し光電変換に寄与させるためには、紫外線吸収層の吸収端波長を410nm以下に調整する必要がある。
ここで、上記の吸収端(吸収端波長)とは、200nm〜1000nmにおける吸収スペクトル測定結果において、200nm〜370nmでの吸光度の最大値を基準として、吸光度がその10%の値を示す点のうち最も長波側に位置する点を吸収端(吸収端波長ともいう)と定義する。
本発明に係る紫外線吸収層は波長350nmの紫外光で励起されたときに蛍光を発し、その発光ピーク波長は400nm〜700nmの波長領域(これを本発明では、可視光領域という)にある。
紫外線吸収層が可視光領域の蛍光を発するとき、太陽光に含まれる紫外線領域の光子が可視光領域の光子に変換されるので、色素や電荷輸送層にダメージを与えず、しかも、光電変換に寄与させることができるという効果がある。
尚、本発明に係る紫外線吸収層は波長350nmの紫外光で励起されたときに蛍光を発するが、紫外線吸収層が蛍光を発するためには、紫外線吸収剤自体が蛍光物質でもよく、また、従来公知の蛍光物質(蛍光材料ともいう)を含有させてもよい。
蛍光を発しない紫外線吸収層を用いた場合に比べて、より広範囲の波長域の光を光電変換に利用することができるので、従来の光電変換素子よりもより高い光電変換効率を示すことがわかった。
また、本発明に係る紫外線吸収層は、可視光領域では透明であることが好ましく、例えば、400nm〜700nmにおける光平均透過率が90%以上であることが好ましい。なお、本願中での光平均透過率は指定された波長域(例えば400〜700nm)における1nmごとの透過率を測定し、各波長においての光透過率を算術平均した値のことを指す。
このような特性を有する紫外線吸収層について更に鋭意検討した結果、特に平均粒径50nm以下の無機紫外線吸収剤を用いたときに可視光領域の光散乱がほとんどなくなるので、良好な光電変換効率を示し、かつ耐久性に優ることがわかった。
また、本発明に係る紫外線吸収層は、図1に示す基板2(光入射面側)の光入射面側の反対側の面と透明導電膜3(透明導電層3)との間に設けることも好ましい態様として挙げることができる。
《無機紫外線吸収剤》
本発明に係る紫外線吸収層に含有される無機紫外線吸収剤について説明する。尚、本発明に係る紫外線吸収剤は、光耐久性の観点から無機紫外線吸収剤が用いられる。
(紫外線吸収層の光平均透過率と無機紫外線吸収剤の平均粒径)
本発明に係る紫外線吸収層の可視光領域での光平均透過率を90%以上に調整する手段として、無機紫外線吸収剤として用いられる無機材料の粒径を入射光波長の数分の一程度以下にまで小さくし、無機紫外線吸収剤による光散乱が抑えることが挙げられる。
具体的には、無機紫外線吸収剤の平均粒径を50nm以下に調整することが好ましく、更に好ましくは、5nm〜10nmの範囲の平均粒径になるように分散調整することである。
ここで、本発明に係る無機紫外線吸収剤の平均粒径とは、個数平均1次粒径を意味するものであり、個数平均一次粒径の測定は、具体的には、倍率が100,000倍の透過型電子顕微鏡を用い、100個の粒子をランダムに1次粒子として観察し、画像解析により水平方向フェレ径を算出して、その平均値を個数平均1次粒径とする。
尚、無機紫外線吸収剤を複数種類使用する場合には、1種類の粒子につき100個の粒子を上記の手順で観察し、各無機紫外線吸収剤の個数平均1次粒径とする。
(無機紫外線吸収剤として用いられる無機材料)
本発明に係る無機紫外線吸収剤としては、例えば、金属酸化物(酸化チタン、酸化セリウム、酸化錫、酸化モリブデン、酸化亜鉛、窒化バリウム、シリカ、アルミナ、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等)、硫化亜鉛、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム等の無機化合物(無機材料)が挙げられ、これらの無機材料を無機紫外線吸収剤として用いることにより、本発明に係る紫外線吸収層が370nm〜410nmの間に吸収端を持つように調整できる。
また、無機材料の中でも、金属酸化物が好ましく、前記金属酸化物のなかでも、低毒性であり、光に対しても非常に安定であり、且つ、紫外線吸収層の可視光領域での光平均透過率を90%以上に調整する観点から、酸化チタン、酸化亜鉛が特に好ましく用いられる。
(金属酸化物を形成している金属)
本発明に係る無機紫外線吸収剤に係る金属酸化物を形成している金属は単一でもよく、複数の金属の場合もあるが、無機紫外線吸収剤の蛍光強度を増大させる観点から、金属酸化物を形成している金属が複数であることが好ましい。
金属酸化物を形成している金属が複数の場合、該金属の1種が0.01原子%〜10原子%の範囲で含有(ドープされるともいう)されていることが好ましい。
0.01原子%〜10原子%の範囲で含有される金属としては、d電子あるいはf電子の励起による遷移が効果的であるので、元素周期表に記載の遷移金属元素あるいは希土類元素を用いることが好ましく、具体的には、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の元素を挙げることができる。
《半導体電極(基板、透明導電膜、半導体層からなる)》
本発明に係る半導体電極について、図1の構成を参照しながら説明する。
図1に示すように、半導体電極10は、基板2(光入射面側の基板2ともいう)、透明導電膜3(透明導電層3ともいう)及び半導体層4から構成される。
(基板(光入射面側の基板ともいう))
半導体電極10を構成する基板2は、光入射11の側(光入射面側ともいう)に設けられ、色素増感型光電変換素子の光電変換効率向上の観点から、光透過率が10%以上であることが好ましく、更に好ましくは50%以上であり、特に80%〜100%(透明であることを示す)であることが好ましい。
上記のような光平均透過率を基板2が示すためには、例えば、ガラス板やプラスチックフイルムのような光に対して透明な材料を用いることが好ましい。
(透明導電膜(透明導電層))
半導体電極10を構成する透明導電膜3(透明導電層3ともいう)について説明する。
半導体電極10を構成する透明導電膜3(透明導電層3ともいう)は、上記の紫外線吸収層が基板2に設けられる面とは異なるもう一方の面上に設けられる。
透明導電膜3を形成する材料としては、透明導電性金属酸化物を用いることが好ましく、例えば、SnO、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO、CdSnO、CdSnO)、In、CdIn等が挙げられる。
好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、F及びAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)材料が挙げられる。
中でも好ましいのは、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO、FをドープしたSnO等の導電性金属酸化物であり、更に、耐熱性向上の観点から、FをドープしたSnOが最も好ましく用いられる。更に、耐熱性向上の観点から、FをドープしたSnOが最も好ましく用いられる。
(透明導電性支持体(導電性基板ともいう))
上記の基板2と透明導電膜3とから透明導電性支持体(導電性基板)が形成される。
尚、導電性支持体(基板2と透明導電層3からなる)の膜厚としては、0.3mm〜5mmの範囲が好ましい。また、導電性支持体の表面抵抗は、50Ω/cm以下であることが好ましく、更に好ましくは、10Ω/cm以下である。
尚、透明導電性支持体の光平均透過率の好ましい範囲は、上記基板2の光平均透過率の好ましい範囲と同義である。
《半導体層》
半導体電極10を構成する半導体層4について説明する。
(酸化チタン)
半導体層4は、色素を担持している酸化チタンを半導体として含有するが、該酸化チタンとは別種の金属酸化物または金属硫化物を併用または含有していてもよい。
ここで、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物の酸化チタンに対する質量比は30%以下であることが好ましい。
また、別種の金属酸化物または金属硫化物としては、例えば、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、CdS、ZnS、PbS、Bi、CuInS等が挙げられる。
また、本発明に係る酸化チタンは、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
上記の有機塩基が液体の場合は、そのまま固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明に係る酸化チタンを液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
(色素(増感色素ともいう))
酸化チタンに担持されている色素について説明する。
酸化チタンに担持されている色素(増感色素)としては、色素増感の効率を高める観点から、上記色素はカルボキシ基を有することが好ましい。
以下に、色素の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2011081933
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また、本発明の色素増感型光電変換素子の半導体の増感に係る色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
《半導体層の作製》
本発明に係る半導体層の作製について説明する。
酸化チタンが粒子状の場合には、酸化チタンを導電性支持体(図1において、基板2及び透明導電膜3を併せて導電性支持体という)に塗布あるいは吹き付けて、半導体層を作製することが好ましい。
また、酸化チタンが膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、酸化チタンを導電性支持体上に貼合して半導体層を作製することが好ましい。
本発明に係る半導体層の好ましい態様としては、上記導電性支持体上に酸化チタンの微粒子を用いて焼成により形成する方法が挙げられる。
本発明に係る酸化チタンが焼成により作製される場合には、色素を用いての該酸化チタンの増感(吸着、多孔質層への充填等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、酸化チタンに水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
以下、本発明に好ましく用いられる半導体電極を、酸化チタン微粉末を用いて焼成により形成する方法について詳細に説明する。
(酸化チタン微粉末含有塗布液の調製)
まず、酸化チタンの微粉末を含む塗布液を調製する。この酸化チタン微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜50nmである。酸化チタン微粉末を含む塗布液は、酸化チタン微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された酸化チタン微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては酸化チタン微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の酸化チタン微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
(酸化チタン微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた酸化チタン微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹き付け、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、図1に示す、導電性支持体(図1における、基板2と透明導電膜3から構成される)上に半導体層4(半導体膜4とも言う)が形成される。
導電性支持体上に酸化チタン微粉末含有塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、酸化チタン微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した酸化チタン微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の導電層上に形成された酸化チタン微粒子層は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した半導体層とするため前記酸化チタン微粒子層の焼成処理が行われる。
半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
半導体層の空隙率は10体積%以下が好ましく、更に好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01体積%〜5体積%である。なお、半導体層の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定する。
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは500nm〜30000nmである。
焼成処理時、焼成膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成膜を得る観点から、焼成温度は1000℃以下であることが好ましく、更に好ましくは200℃〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300℃〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、酸化チタン微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。
また、加熱処理後、酸化チタン粒子の表面積を増大させたり、酸化チタン粒子近傍の純度を高めたりして、色素(増感色素ともいう)から酸化チタン粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(半導体層の増感処理)
半導体層の増感処理は、前述の色素(増感色素)を適切な溶媒に溶解し、その溶液に、焼成した酸化チタンを有する導電性支持体(基板2及び透明導電膜3)を浸漬することによって行われる。
その際には、焼成した酸化チタン半導体層(半導体膜ともいう)を有する導電性支持体に対して、予め減圧処理したり加熱処理したりして酸化チタン半導体層中の気泡を除去しておくことが好ましい。
このような処理により、色素(増感色素)が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようになる。半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜を形成している場合には、気泡除去の処理は更に有効となる。
色素(増感色素)を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、かつ酸化チタンを溶解したり酸化チタンと反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。
しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はアセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒であり、複数の溶媒を混合してもよい。特に好ましくはアセトニトリル、アセトニトリル/メタノール混合溶媒、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
(増感処理の温度、時間)
焼成した酸化チタンを有する導電性支持体(図1の基板2と透明導電膜3)を色素(増感色素)を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に深く進入して吸着等を充分に進行させ、酸化チタンを十分に増感させ、且つ、溶液中での色素の分解等により生成して分解物が色素の吸着を妨害することを抑制するという観点から、25℃条件下では3時間〜48時間の浸漬時間が好ましく、更に好ましくは4時間〜24時間である。
浸漬を行うことにより得られる効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させた場合には、上記の限りではない。
浸漬にあたり、色素(増感色素)を含む溶液は、前記色素が分解しない限りにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよく、好ましい温度範囲は5℃〜100℃であり、更に好ましくは25℃〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合には、別途調整が必要である。
《電荷輸送層》
本発明に係る電荷輸送層について説明する。
本発明に係る電荷輸送層は、半導体層に含有される酸化チタンが担持している色素(増感色素)の酸化体を迅速に還元し、色素との界面で注入された正孔を対極に輸送する機能を担う層である。
本発明に係る電荷輸送層は、レドックス電解質の分散物や正孔輸送材料としてのp型化合物半導体(電荷輸送剤)を主成分として構成されている。
レドックス電解質としては、I/I 系や、Br/Br 系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I/I 系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。
これらの分散物は溶液である場合には液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合には固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にはゲル電解質と呼ばれる。
電荷輸送層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質等が電荷輸送剤(電荷輸送材料ともいう)として挙げられる。
電荷輸送剤としては、色素吸収を妨げないために大きいバンドギャップを持つことが好ましい。本発明で使用する電荷輸送剤のバンドギャップは、2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。
また、電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルは色素ホールを還元するためには、色素吸着電極イオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によって電荷輸送層に使用する電荷輸送剤のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV〜5.5eVの範囲が好ましく、更に好ましくは、4.7eV〜5.3eVの範囲である。
電荷輸送剤としては、正孔の輸送能力が優れている芳香族アミン誘導体が好ましい。このため、電荷輸送層を主として芳香族アミン誘導体で構成することにより、光電変換効率をより向上させることができる。
芳香族アミン誘導体としては、特に、トリフェニルジアミン誘導体を用いるのが好ましい。トリフェニルジアミン誘導体は、芳香族アミン誘導体の中でも、特に正孔の輸送能力が優れている。
また、このような芳香族アミン誘導体は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいずれを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。
《半導体電極に対向する電極(対向電極ともいう)》
本発明に係る半導体電極に対向する電極(対向電極ともいう)について、図1を基に説明する。
図1の半導体電極10(基板2、透明導電膜3、半導体層4からなる)に対向する電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料を用いて構成することができるが、I イオンの還元や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる観点から、図1に記載の電極9に示す構成(触媒層6、導電層7、基板8)のように、触媒能を持った物質で表面が覆われている触媒層6を構成として有することが好ましい。
触媒層の形成材料としては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
尚、基板8、導電層7については、各々上記の半導体電極10を構成する基板2、透明導電膜3に係る材料を同様に用いることができる。
但し、電極9を構成する導電層7については、半導体電極10を構成する透明導電膜3のように必ずしも透明である必要はなく、透明でも不透明でもよく、導電性を有する材料から形成されていればよい。
ここで、不透明の材料ならば、例えば、金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)、炭素等が挙げられる。
また、透明な材料ならば、上記の半導体電極10を構成する透明導電膜3で記載の透明導電性金属酸化物を用いることができる。
(導電性支持体)
また、上記の透明導電性支持体と同様、基板8と導電層7から導電性支持体が構成されるが、導電性支持体の膜厚、表面抵抗の好ましい範囲については、上記の透明性導電性支持体と同様である。
《太陽電池》
本発明の太陽電池の構成を図1に示す本発明の色素増感型光電変換素子を用いて説明する。尚、本発明の太陽電池を構成するためには、図1に示す本発明の色素増感型光電変換素子の半導体電極10の構成層である透明導電層3と、電極9(対向電極9)の導電層7に各々端子をつけて回路形成し、光電流を取り出すことが必要であります。
本発明の太陽電池は、本発明の色素増感型光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。
即ち、色素増感された酸化チタンに太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、図1に記載の半導体電極10、電荷輸送層5及び電極9をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、酸化チタンに担持された本発明に係る色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。
励起によって発生した電子は酸化チタンに移動し、次いで透明導電層3ならびに太陽電池に接続された回路を経由して、電極9(対向電極ともいい、触媒層6、導電層7、基板8からなる))に移動して、電荷移動層のレドックス電解質を還元する。尚、触媒層6には白金層、導電材料に白金メッキや白金蒸着を施したもの、ロジウム、ルテニウム、酸化ルテニウム、カーボン等の材料が用いられ、例えば、電荷輸送層5中のI イオンの還元やその他のレドックスイオンの還元反応を十分な速度で行わせる触媒能を有する材料が好ましく用いられる。
一方、酸化チタンに電子を移動させた本発明に係る色素は酸化体となっているが、電極9(対向電極9ともいう)から電荷輸送層5のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層5のレドックス電解質は酸化されて、再び電極9(対向電極9)から供給される電子により還元されうる状態に戻る。
このようにして電子が流れ、本発明の色素増感型光電変換素子を用いて本発明の太陽電池を構成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《色相増感型光電変換素子1の作製》
本発明の色素増感型光電変換素子1の作製を図1に対応させながら説明する。
(半導体電極10(基板2、透明導電膜3、半導体層4)の形成)
酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径18nm)を、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板(図1の基板2及び透明導電膜3)へスクリーン印刷法(塗布面積5×5mm)により塗布した。
塗布ならびに乾燥(120℃で3分間)を3回繰り返し、200℃で10分間ならびに500℃で15分間焼成を行い、厚さ15μmの酸化チタン薄膜を得た。
この薄膜上に重ねて、酸化チタンペースト(アナターゼ型、1次平均粒径400nm)を同様の方法で塗布し厚さ5μmの酸化チタン薄膜を重ね塗りした。
色素として、シス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2′−ビピリジル−4,4′−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)ビステトラブチルアンモニウム色素(N719色素:ペクセルテクノロジーズ社製)をアセトニトリル:t−ブチルアルコール=1:1の混合溶媒に溶解させ、5×10−4モル/lの溶液を調製した。
酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス基板をこの溶液に室温で20時間浸漬させて、色素の吸着処理を行って半導体層4を形成させて半導体電極(図1の半導体電極10(基板2、透明導電膜3及び半導体層4))を作製した。
(電荷輸送層5及び電極9(基板8、導電層7、触媒層6)の形成)
対極に触媒層6として白金を蒸着、導電層7としてクロムを蒸着した注入口(注入口は図1では図示していない)のあるガラス板を電極9(基板8、導電層7、触媒層6)として用い、上記の半導体電極10と熱硬化樹脂フィルム(図1では図示していない)とを貼合、接着した後、下記の電解液を注入口から注入後、封止した。
(電解液の調製(電荷移動層形成用))
ヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム0.6モル/l、ヨウ化リチウム0.1モル/l、ヨウ素0.05モル/l,4−(t−ブチル)ピリジン0.5モル/lを含む3−メトキシプロピオニトリル溶液を電解液(電荷移動層形成用)として調製した。
(紫外線吸収層1の形成)
0.1モル/lの硝酸亜鉛水溶液に、0.1モル/lのアンモニア水溶液を加えると白色ゲル状の水酸化亜鉛の沈殿が生じた。遠心分離と水洗を繰り返し未反応のイオンを除去した。
エチレングリコール中に水酸化亜鉛のゲル状沈殿が分散した溶液を、75℃の恒温槽中に入れ24時間静置した。この加熱処理により水酸化亜鉛は平均一次粒径20nmの酸化亜鉛ナノ粒子に変化した。
この酸化亜鉛ナノ粒子を波長350nmの紫外光で励起したとき、蛍光の発光ピーク波長が497nmの蛍光を観測した。
上記の酸化亜鉛ナノ粒子をアクリル樹脂ならびにエポキシ基付きシランカップリング剤(質量比19:1)の酢酸エチル溶液に超音波を用いて単分散させた。
得られた分散液(塗布液ともいう)を半導体電極10側のガラス基板表面にバーコーターを用いて塗布し、80℃で1時間熱処理することにより溶媒の乾燥ならびに膜の硬化を行い、膜厚1μmの紫外線吸収層1を半導体電極10のガラス基板(図1の基板2)の表面に形成し、色素増感型光電変換素子1を作製した。
《色素増感型光電変換素子2の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において酸化亜鉛ナノ粒子の代わりにマグネシウムが10%固溶した酸化亜鉛ナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子2を作製した。前記の酸化亜鉛ナノ粒子は、超音波分散により粉砕して得たものであり、平均一次粒径は26nmであった。
《色素増感型光電変換素子3の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において酸化亜鉛ナノ粒子の代わりにユウロピウムを0.5%ドープした酸化チタンナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子3を作製した。
(酸化チタンナノ粒子の調製及び物性について)
この酸化チタンナノ粒子は、チタンテトライソプロポキシドにモル比で0.5%のユウロピウムトリイシプロポキシドを添加したものを原料として用いたゾルゲル法の一般的な製法に基づいて調製した。平均一次粒径は35nmであり、波長350nmの紫外光で励起したとき、蛍光の発光ピーク波長が617nmの蛍光を観測した。
《色素増感型光電変換素子4の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において、水酸化亜鉛のゲル状沈殿が分散した溶液の静置温度を90℃に変更した以外は同様にして色素増感型光電変換素子4を作製した。前記の酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒径は55nmであった。
《色素増感型光電変換素子5の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において酸化亜鉛ナノ粒子の代わりに平均一次粒径が43nmの硫化亜鉛カドミウムナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子5を作製した。
《色素増感型光電変換素子6の作製》
光電変換素子1の作製において、酸化亜鉛ナノ粒子の代わりに未ドープの酸化チタンナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子6を作製した。
尚、このナノ粒子は紫外光を照射しても蛍光を発しない。
《色素増感型光電変換素子7の作製》
光電変換素子1の作製において、紫外線吸収層の形成を行わなかった以外は同様にして色素増感型光電変換素子7を作製した。
また、紫外線吸収層を持たない色素増感型光電変換素子7の光透過率は100%として表1に記載した。
《色素増感型光電変換素子8の作製》
光電変換素子1の作製において、平均粒径400nmの酸化亜鉛ナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子8を作製した。
得られた素子の紫外線吸収層の400〜700nmにおける光平均透過率は9%であった。
《色素増感型光電変換素子9の作製》
光電変換素子1の作製において、酸化亜鉛ナノ粒子の代わりに銅ドープ硫化亜鉛ナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子9を作製した。
《色素増感型光電変換素子10の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において、酸化亜鉛ナノ粒子の代わりに硫化カドミウムナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子10を作製した。
《色素増感型光電変換素子11の作製》
色素増感型光電変換素子1の作製において酸化亜鉛ナノ粒子の代わりにユウロピウムを15%ドープした酸化チタンナノ粒子を用いた以外は同様にして色素増感型光電変換素子11を作製した。尚、このナノ粒子は紫外光を照射しても蛍光を発しない。
得られた色素増感型光電変換素子1〜11の評価は、下記のように各々太陽電池1〜11を作製し、太陽電池の初期〜1000時間経過後の発電特性(I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定)から、各々の太陽電池が有する色素増感型光電変換素子の初期及び1000時間経過後の光電変換効率(%)を算出した。
《太陽電池1〜11の作製》
図1に示す構成を有する色素増感型光電変換素子1の透明導電膜3及び導電層7に、各々端子を付けて光電流を取り出すようにして、太陽電池1を作製した。
また、太陽電池1の作製において、色素増感型光電変換素子1の代わりに色素増感型光電変換素子2〜11を用いる以外は同様にして太陽電池2〜11を各々作製した。
得られた太陽電池1〜11については下記のようにして発電特性を評価した。
《発電特性の評価》
太陽電池の発電特性の評価には、ソーラーシミュレータ(英弘精機製)を用い、AMフィルター(AM−1.5)を通したキセノンランプから100mW/cmの擬似太陽光を照射し、各光電変換素子について、I−Vテスターを用いて、室温にて電流−電圧特性を測定して太陽電池1〜11が具備する色素増感型光電変換素子1〜11の各々光電変換効率を求めた。
太陽電池1〜11の発電特性の評価は、セル作製直後ならびに100mW/cmの擬似太陽光を1000時間照射後の評価を行った。
得られた評価結果を表1に示す。また、表1には、紫外線吸収層の光平均透過率、吸収端波長、蛍光のピーク波長ならびにドープ量を示す。
Figure 2011081933
表1の結果から得られる知見を下記に示す。
可視光領域の蛍光を発する紫外線吸収層を用いた色素増感型光電変換素子1〜5の初期の光電変換効率(%)は、初期でも紫外線吸収層のない色素増感型光電変換素子7に対して9割以上を確保しており、更に1000時間照射後(経時後ともいう)では色素増感型光電変換素子7の特性劣化が大きいのに比較して、色素増感型光電変換素子1〜5は1000時間経過後においても光電変換効率の劣化が少なく、高い耐久性を示していることがわかる。
特に、紫外線吸収剤が平均粒径50nm以下の金属酸化物粒子である色素増感型光電変換素子1〜3は、光平均透過率が90%以上であり、初期の光電変換効率が7%以上と高く、且つ、1000時間経過後の光電変換効率の劣化が、初期の光電変換効率と比べて極めて少ないことがわかる。
一方、可視光領域の蛍光を発しない紫外線吸収層を用いた色素増感型光電変換素子6、11は、色素増感型光電変換素子1と同様に光照射による劣化は少ないが、変換効率の絶対値は光電変換素子1〜5に比べて劣っていることがわかる。
光平均透過率に着目すると、色素増感型光電変換素子8は可視光をほとんど透過しないため、本発明の色素増感型光電変換素子1、2に比べて、初期及び1000時間経過後の双方において光電変換効率が極めて低いことがわかる。
その一方で、色素増感型光電変換素子9は、吸収端波長が354nmと370nmよりも短いために紫外線を一部透過してしまう。その結果、1000時間経過後の光電変換効率が著しく劣化してしまうことがわかった。
また、色素増感型光電変換素子10は可視光を一部吸収(光平均透過率が74%)するとともに、吸収端波長も512nmと長波長なために、初期の光電変換効率及び1000時間経時後の光電変換効率が共に、本発明の色素増感型光電変換素子1、2に比べて著しく低くなってしまうことが明らかである。
以上から、比較の色素増感型光電変換素子6〜11に比べて、本発明の色素増感型光電変換素子1〜5は、各々初期において高い光電変換効率を示し、且つ、1000時間経過後においても光電変換効率の劣化が少なく優れた耐久性を示すことが明らかである。
1 紫外線吸収層
2 基板(光入射面側)
3 透明導電膜(透明導電層)
4 半導体層
5 電荷輸送層
6 触媒層
7 導電層
8 基板
9 電極
10 半導体電極
11 光入射

Claims (7)

  1. 対向電極間に、色素を担持している酸化チタンを含有する半導体層と電荷輸送層とが設けられている色素増感型光電変換素子において、
    少なくとも光入射面に無機紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有し、該紫外線吸収層の吸収端波長が370nm〜410nmの範囲にあり、且つ、前記紫外線吸収層は波長350nmの紫外光入射時に蛍光を発し、該蛍光の発光ピーク波長が400nm〜700nmの範囲にあることを特徴とする色素増感型光電変換素子。
  2. 前記紫外線吸収層の、400nm〜700nmの波長における光平均透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型光電変換素子。
  3. 前記無機紫外線吸収剤が平均粒径50nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型光電変換素子。
  4. 前記無機紫外線吸収剤が金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子。
  5. 前記金属酸化物粒子を形成している金属が複数からなり、該金属の1種が0.01原子%〜10原子%含有されていることを特徴とする請求項4に記載の色素増感型光電変換素子。
  6. 前記金属酸化物粒子の金属が亜鉛またはチタンであることを特徴とする請求項4または5に記載の色素増感型光電変換素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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