JP2011080877A - 位相差測定方法及び位相差測定装置 - Google Patents

位相差測定方法及び位相差測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微小な位相変化を精度よく測定することができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】所定の周波数の基準信号を生成するステップと、前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を前記基準信号に基づいて生成するステップと、前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する第1ステップと、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する第2ステップと、前記測定信号を用いて前記入力信号を生成する第3ステップと、第1ステップ、第2ステップ、及び第3ステップを所定回繰り返した後、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める第4ステップと、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物に電磁波を照射し、測定対象物により位相が変化した測定信号と照射した電磁波との位相差を測定する位相差測定方法及び位相差測定装置に関する。
近年、コンクリート建築物、コンクリート橋梁の床版、高速道路の床版など、鉄筋等の鋼材を補強材とするコンクリート対象物において、コンクリートの劣化が問題となっている。
コンクリート対象物の劣化の原因として、コンクリート対象物中の塩分が挙げられる。塩分はコンクリート対象物の製造時に用いる砂などの中に含まれている。また、製造後にコンクリート対象物に塩分が浸入することもある。コンクリート対象物中の塩分は、鉄筋等の鋼材を腐食させ、これにより鉄筋等の鋼材が膨張し、コンクリートにひび割れや剥離が発生する。
コンクリート対象物の安全性を確保するためには、コンクリートの劣化が進行する前に、コンクリート対象物内の塩分濃度を測定することが必要である。
コンクリート対象物の塩分濃度の情報を調べるため、周波数が0〜1MHzの領域でコンクリート対象物の電気伝導度を測定する4極法が知られている。この方法は、コンクリート対象物中の塩分濃度が高いほど、電気伝導度が高くなることを利用する。しかし、この方法は、電極をコンクリート対象物の中へ深く打ち込む必要がある。そのため、コンクリート対象物を破壊することなく塩分濃度を測定することはできない。
また、検査対象コンクリートと同じ組成のコンクリート材料に所定濃度の塩分を混入した複数の塩分濃度別コンクリート試験片を作り、試験片毎に電磁波信号を入射して単位距離当たりの振幅減衰と伝搬速度と試験片の温度とを測定し、試験片毎の測定値から振幅減衰と伝搬速度と温度とを独立変数とし塩分濃度を従属変数とする関係式を求め、対象コンクリートに電磁波信号を入射して単位距離当たりの振幅減衰と伝搬速度と試験片の温度とを測定し、振幅減衰と伝搬速度と温度を関係式に代入して対象コンクリート中の塩分濃度を検出する方法が知られている(特許文献1)。
しかし、この方法では、検査対象のコンクリートと同じ組成のコンクリート材料に所定濃度の塩分を混入した複数の塩分濃度別コンクリート試験片を作る必要がある。そのため、数10年も前に製造されたコンクリートを検査対象とするとき、同じ組成のコンクリート材料を再現した試料を作製することは困難である。また、この方法では、伝搬速度を測定する必要があり、測定が煩雑になるという問題がある。
また、コンクリート対象物の表面に電磁波を照射し、電磁波のエネルギー損失係数を計測することにより、コンクリート対象物の塩分濃度を求める方法が知られている(非特許文献1)。
この方法は、コンクリートの複素誘電率の虚数成分からコンクリート対象物の塩分濃度を求めるものである。
特開2004−125570号公報
コンクリート対象物の表面に電磁波を照射し、電磁波のエネルギー損失係数を計測する従来の方法では、十分な精度でコンクリート対象物の塩分濃度を求めることができなかった。コンクリート対象物の塩分濃度の大きさによって、コンクリート対象物で反射する反射波の位相が変化するが、この位相の変化は極めて小さく、反射波の位相変化を直接測定することが困難なためである。
そこで、本発明は、微小な位相変化を精度よく測定することができる位相差測定方法及び位相差測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の位相差測定方法は、測定対象物に電磁波を照射したとき、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定方法であって、所定の周波数の基準信号を生成するステップと、前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を前記基準信号に基づいて生成するステップと、前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する第1ステップと、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する第2ステップと、前記測定信号を用いて前記入力信号を生成する第3ステップと、第1ステップ、第2ステップ、及び第3ステップを所定回繰り返した後、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める第4ステップと、を有することを特徴とする。
また、第3ステップは、入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成するステップと、前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するステップと、を有することが好ましい。
また、第2ステップでは、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、前記位相差測定方法は、前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整するステップを有することが好ましい。
また、複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数としたとき、第4ステップは、前記基準信号に対する前記測定信号の位相差を前記設定周波数毎に求めるステップと、前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めるステップと、を有することが好ましい。
また、第4ステップは、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めることが好ましい。
また、上記課題を解決するため、本発明の位相差測定装置は、測定対象物に電磁波を照射し、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定装置であって、所定の周波数の基準信号を生成する基準信号生成部と、前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を生成する入力信号生成部と、前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する受信部と、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める演算部と、を備え、前記入力信号生成部は、前記基準信号又は前記測定信号のいずれかを用いて前記入力信号を生成することを特徴とする。
また、前記入力信号生成部は、入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成する波形整形回路と、前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するバンドパスフィルタと、を備えることが好ましい。
また、前記受信部は、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、前記位相差測定装置は、前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整する振幅調整部を備えることが好ましい。
また、前記基準信号生成部は、複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数として定めて前記基準信号を生成し、前記演算部は、前記設定周波数毎に求めた前記基準信号に対応する前記測定信号の位相差を用いて、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めることが好ましい。
また、前記演算部は、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めることが好ましい。
本発明の位相差測定方法及び位相差測定装置によれば、微小な位相変化を精度よく測定することができる。
第1の実施形態の位相差測定装置の概略構成を示す図である。 (a)は、スイッチ回路に供給される信号の一例を示す図であり、(b)は、スイッチ回路が出力する信号の一例を示す図である。 (a)は、波形整形回路に供給される信号の一例を示す図であり、(b)は、波形整形回路が出力する信号の一例を示す図であり、(c)は、バンドパスフィルタが出力する信号の一例を示す図である。 演算部の構成の一例を示す図である。 第1の実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。 (a)は、測定対象物に照射される電磁波の一例を示す図であり、(b)は、測定信号の一例を示す図である。 (a)は、基準信号の一例を示す図であり、(b)は、測定信号の一例を示す図であり、(c)は、参照信号の一例を示す図である。 第2の実施形態の位相差測定装置の概略構成を示す図である。 振幅調整部の構成の一例を示す図である。 (a)は、測定対象物に照射される電磁波の一例を示す図であり、(b)は、振幅が大きい測定信号の一例を示す図であり、(c)は、振幅が小さい測定信号の一例を示す図である。 第2の実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。 第3の実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。 (a)は、異なる周波数に対して測定した位相差Zをプロットした図であり、(b)は、分散と遅延時間との関係を示す図である。
以下、測定対象物に電磁波を照射し、照射した電磁波に対する測定信号の位相差を測定する装置及び方法について、実施形態に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の位相差測定装置を適用して、測定対象物であるコンクリート中の塩分濃度を測定する装置及び方法について説明する。
(位相差測定装置の構成)
まず、図1を参照して、本実施形態の位相差測定装置の概略構成を説明する。図1は、本実施形態の位相差測定装置の概略構成の一例を示す。本実施形態の位相差測定装置は、測定対象物となるコンクリートに電磁波を照射し、測定対象物で反射した反射波を受信し、測定信号を得る。さらに、測定信号に基づいて、コンクリートに照射する電磁波の生成に用いる入力信号を生成することにより、コンクリートに入力信号に基づいて生成した電磁波を繰り返し照射する。コンクリートに照射した電磁波に対する反射波の位相差が極めて小さい場合であっても、電磁波の照射を繰り返すことにより、位相差を測定することが可能となる。
図1に示されるように、本実施形態の位相差測定装置は、制御部100と、基準信号生成部110と、パワースプリッタ112と、スイッチ回路114と、パワーコンバイナ116と、入力信号生成部120と、電磁波照射部130と、受信部132と、方向性結合器134と、演算部140と、出力部160と、を備える。
制御部100は、基準信号生成部110、スイッチ回路114、参照信号生成回路122、演算部140を制御する。具体的には、制御部100は、基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数を制御する。また、制御部100は、スイッチ回路114が信号を出力するタイミングと、信号を出力する期間を制御する。また、制御部100は、波形整形回路124が出力する参照信号の大きさを制御するために、参照信号生成回路122を制御する。また、制御部100は、演算部140が測定対象物Tへ照射された電磁波に対する測定信号の位相差を算出するタイミングを示すトリガ信号を、演算部140に供給する。
基準信号生成部110は、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための基準となる基準信号を生成する。基準信号生成部110は、例えば、電圧制御発振器(VCO)である。基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数は、制御部100により制御される。基準信号は、例えば、正弦波信号であり、基準信号の周波数は、例えば、1.5GHz〜10GHzである。基準信号生成部110により生成された基準信号は、パワースプリッタ112に供給される。
パワースプリッタ112は、基準信号生成部110から供給された基準信号を分配し、スイッチ回路114と演算部140に供給する。パワースプリッタ112が基準信号をスイッチ回路114と演算部140に供給するのは、後述するように、方向性結合器134から演算部140に供給される測定信号と基準信号との位相差を求めるための基準とするためである。
スイッチ回路114は、パワースプリッタ112から供給された信号を、所定の期間だけ出力する。スイッチ回路114が信号を出力するタイミングと、信号を出力する期間は、制御部100により制御される。スイッチ回路114は、例えば、FETスイッチ回路である。スイッチ回路114から出力された信号は、パワーコンバイナ116に供給される。
ここで、図2を参照して、スイッチ回路114が出力する信号について説明する。図2(a)は、パワースプリッタ112からスイッチ回路114に供給される信号の一例を示す。図2(b)は、スイッチ回路114が出力する信号の一例を示す。図2(b)に示されるように、スイッチ回路114は、時刻t〜tの期間のみ、スイッチ回路114に供給された信号を出力する。そのため、スイッチ回路114は、所定の周波数の交流信号を一定期間出力する。時刻t〜tの期間は、例えば、50ns程度である。上述したように、基準信号の周波数は、例えば、1.5GHz〜10GHzであるため、時刻t〜tの期間に存在する波数は、例えば、75〜500となる。
図1に戻り、パワーコンバイナ116について説明する。パワーコンバイナ116は、スイッチ回路114から供給される信号と、方向性結合器134から供給される信号を合成する。パワーコンバイナ116により合成された信号は、入力信号生成部120に供給される。
なお、スイッチ回路114からパワーコンバイナ116に信号が供給される期間に、方向性結合器134からパワーコンバイナ116に信号が供給されることがないように、スイッチ回路114が信号を出力するタイミングと、信号を出力する期間は、制御部100により制御される。そのため、パワーコンバイナ116は、スイッチ回路114から信号が供給される期間には、スイッチ回路114から供給される信号を入力信号生成部120に供給し、方向性結合器134から信号が供給される期間には、方向性結合器134から供給される信号を入力信号生成部120に供給する。
入力信号生成部120は、パワーコンバイナ116から供給された信号に基づき、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための入力信号を生成する。図1に示されるように、入力信号生成部120は、参照信号生成回路122と、波形整形回路124と、バンドパスフィルタ126と、を備える。
参照信号生成回路122は、後述するように、パワーコンバイナ116から波形整形回路124に入力された信号の大小を比較する対象となる一定の大きさの参照信号を、波形整形回路124に供給する。波形整形回路124が出力する参照信号の大きさは、制御部100により制御される。
波形整形回路124は、パワーコンバイナ116から供給された信号が、予め定めた閾値(参照信号)を横切って上回るタイミング毎に、単一のパルス信号を生成する。波形整形回路124で生成されたパルス信号は、バンドパスフィルタ126に供給される。
バンドパスフィルタ126は、波形整形回路124から供給されたパルス信号を入力とし、基準信号の周波数の信号を通過させ、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための入力信号を生成する。バンドパスフィルタ126で生成された入力信号は、電磁波照射部130に供給される。
ここで、図3を参照して、入力信号生成部120が生成する入力信号について説明する。図3(a)は、波形整形回路124に供給される信号の一例を示す図である。図3(a)に示されるように、波形整形回路124には、参照信号生成回路122からの参照信号と、パワーコンバイナ116からの信号が供給される。なお、図3(a)においては、参照信号は、パワーコンバイナ116から供給される信号の振幅よりも小さい値に設定されている。図3(b)は、波形整形回路124が出力するパルス信号の一例を示す図である。図3(b)に示されるように、波形整形回路124は、パワーコンバイナ116から供給された信号が、参照信号を横切って上回るタイミング毎に、単一のパルス信号を生成する。そのため、パワーコンバイナ116から供給された信号が正弦波信号である場合、波形整形回路124は、正弦波信号の周期と同一の周期でパルス信号を生成する。図3(c)は、バンドパスフィルタ126が出力する信号(入力信号)の一例を示す図である。図3(c)に示されるように、入力信号は、理想的には波形整形回路124に供給される信号と同一の周波数の正弦波信号となる。しかし、パワーコンバイナ116からの信号が複数の周波数成分を有する場合には、入力信号は、複数の周波数の正弦波信号を重ね合わせた信号となる。
本実施形態の入力信号生成部120は、波形整形回路124を用いてパルス信号を生成し、このパルス信号を用いて入力信号を生成するが、入力信号生成部120は、パルス信号を用いることなく、方向性結合器134からパワーコンバイナ116に供給された信号(測定信号)に基づいて、入力信号を生成することも可能である。しかし、測定信号に基づく入力信号の生成を繰り返す回数が多くなるにつれて、測定信号の波形に歪みが生じることを効果的に抑制するためには、入力信号生成部120が方向性結合器134からパワーコンバイナ116に供給された信号(測定信号)に基づいて、パルス信号を生成することが好ましい。
本実施形態では、波形整形回路124が、パワーコンバイナ116から供給された信号に基づいてパルス信号を生成し、バンドパスフィルタ126がパルス信号に基づいて入力信号を生成する。そのため、波形に歪みが生じた測定信号に基づいて入力信号が生成されるのを抑制することができる。
図1に戻り、電磁波照射部130について説明する。電磁波照射部130は、入力信号生成部120で生成された入力信号に基づき、測定対象物Tに電磁波を照射する。電磁波照射部130は、例えば、電磁波を照射するアンテナである。
受信部132は、測定対象物Tにより、電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する。より具体的には、受信部132は、電磁波照射部130から照射された電磁波が測定対象物Tで反射されることにより位相が変化した測定信号を受信する。受信部132は、例えば、電磁波を受信するアンテナである。受信部132で受信された測定信号は、方向性結合器134に供給される。
電磁波照射部130と受信部132は、いずれも指向性の高いアンテナであることが好ましい。
方向性結合器134は、受信部132から供給された測定信号を分離し、パワーコンバイナ116と演算部140に供給する。受信部132から供給された測定信号をパワーコンバイナ116に供給するのは、後述するように、入力信号生成部120が測定信号を用いて入力信号を生成し、測定対象物Tへの電磁波の照射を繰り返すためである。また、受信部132から供給された測定信号を演算部140に供給するのは、後述するように、演算部140が測定対象物Tへ照射された電磁波に対する測定信号の位相差を算出するためである。
演算部140は、パワースプリッタ112から供給される基準信号と方向性結合器134から供給される測定信号を用いて、測定対象物Tへ照射された電磁波に対する測定信号の位相差を求める。演算部140で求められた位相差の情報は、出力部160に供給される。
出力部160は、演算部140から供給された位相差の情報を出力する。出力部160は、例えば、表示装置である。
なお、経路長の差に起因して生じる基準信号と測定信号の位相差については、適宜、演算部140で補正される。
ここで、図4を参照して、演算部140の構成について説明する。図4に示されるように、演算部140は、パワースプリッタ142と、90°ハイブリッド144と、ミキサ146,148と、IFフィルタ/アンプ150,152と、A/D変換器154と、信号処理部156と、を備える。
パワースプリッタ142は、方向性結合器134から供給される測定信号を分配し、ミキサ146とミキサ148に供給する。
90°ハイブリッド144は、パワースプリッタ112から供給される基準信号を2つの信号に分割し、分割された2つの信号のうち1つの信号の位相を90°ずらす。図4に示される例では、90°ハイブリッド144で分割された信号の一方は、位相をずらさない信号であり、この信号はミキサ146に供給される。また、90°ハイブリッド144で分割された信号の他方は、位相を90°進めた信号であり、この信号はミキサ148に供給される。
ミキサ146,148は、90°ハイブリッド144から供給される信号と、パワースプリッタ142から供給される測定信号とを乗算する。ミキサ146で乗算された信号は、IFフィルタ/アンプ150に供給される。また、ミキサ148で乗算された信号は、IFフィルタ/アンプ152に供給される。
IFフィルタ/アンプ150,152は、ミキサ146,148から供給された信号をフィルタリングし、増幅する。具体的には、IFフィルタ/アンプ150,152は、ミキサ146,148から供給された信号の高周波成分を取り除き、高周波成分を取り除かれた信号を増幅する。IFフィルタ/アンプ150,152でフィルタリングされ、増幅された信号は、A/D変換器154に供給される。
A/D変換器154は、IFフィルタ/アンプ150,152から供給された信号を、デジタル信号に変換する。なお、A/D変換器154には、測定対象物Tへ照射された電磁波に対する測定信号の位相差を算出するタイミングを示すトリガ信号が制御部100から供給される。A/D変換器154で生成されたデジタル信号は、信号処理部156に供給される。
信号処理部156は、A/D変換器154から供給された信号を用いて、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差を求める。また、信号処理部156は、位相差を用いて測定対象物Tであるコンクリート中の塩分濃度を算出する。信号処理部156は、主に、CPUやメモリで構成される。信号処理部156で求められた位相差の情報は、出力部160に供給される。
(位相差測定方法)
次に、図5を参照して、第1の実施形態の位相差測定装置を用いた位相差測定方法について説明する。図5は、本実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。
まず、基準信号生成部110が、所定の周波数の基準信号を生成する(ステップS101)。基準信号生成部110により生成された基準信号は、パワースプリッタ112に供給される。パワースプリッタ112は、基準信号生成部110から供給された基準信号を分配し、スイッチ回路114と演算部140に供給する。
スイッチ回路114は、パワースプリッタ112から供給された信号を、所定の期間だけ出力する。そのため、上述したように、スイッチ回路114は、例えば、図2(b)に示される信号をパワーコンバイナ116に出力する。パワーコンバイナ116は、スイッチ回路114から供給された信号を入力信号生成部120に供給する。
次に、入力信号生成部120は、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための入力信号を基準信号に基づいて生成する(ステップS102)。具体的には、パワーコンバイナ116から供給された信号は、波形整形回路124に入力される。図3を参照して説明したように、波形整形回路124は、パワーコンバイナ116から供給された信号が、参照信号を横切って上回るタイミング毎に、単一のパルス信号を生成する。波形整形回路124で生成されたパルス信号は、バンドパスフィルタ126に供給される。
なお、図3を参照して説明したように、制御部100は、参照信号がパワーコンバイナ116から供給される信号の振幅よりも小さくなるように、参照信号生成回路122を制御している。
バンドパスフィルタ126は、波形整形回路124から供給されたパルス信号を入力とし、基準信号の周波数の信号を通過させ、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための入力信号を生成する。バンドパスフィルタ126で生成された入力信号は、電磁波照射部130に供給される。
次に、電磁波照射部130は、入力信号に基づき、測定対象物Tに電磁波を照射する(ステップS103)。
次に、受信部132は、測定対象物Tにより、照射した電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する(ステップS104)。受信部132で受信された測定信号は、方向性結合器134に供給される。
ここで、図6を参照して、電磁波照射部130が照射する電磁波と受信部132が受信する測定信号との関係について説明する。図6(a)は、電磁波照射部130が測定対象物Tに照射する電磁波の一例を示し、図6(b)は、受信部132が受信する測定信号の一例を示す。
本実施形態では、測定対象物Tであるコンクリートに照射された電磁波は、測定対象物Tで反射する。反射した電磁波(測定信号)の位相は、測定対象物Tに照射された電磁波の位相に対して、わずかに変化している。図6に示す例では、測定信号は、測定対象物Tに照射された電磁波に対し、Δθだけ位相が遅れている。なお、図6では説明の便宜上、位相差Δθを明確に示しているが、実際に測定される位相差Δθは極めて小さいため、測定信号から位相差Δθを直接測定することは困難である。
次に、方向性結合器134は、受信部132から供給された測定信号をパワーコンバイナ116と演算部140に供給する。方向性結合器134からパワーコンバイナ116に供給された信号は入力信号生成部120に供給され、入力信号生成部120は、測定信号を用いて入力信号を生成する。以後、上述したステップS102〜104を所定回数繰り返す。以下の説明では、説明の便宜上、繰り返しの回数を5回とする例を用いて説明するが、実際には、例えば、100回〜1000回程度繰り返すことができる。ステップS102〜104を所定回数繰り返した後にトリガ信号が演算部140に供給されるように、制御部100はトリガ信号を出力するタイミングを制御する。
なお、繰り返しの回数は、例えば、ビットカウンタ(不図示)により計数してもよい。
上述したステップS102〜104を所定回数繰り返すと、制御部100は、参照信号の大きさがパワーコンバイナ116から供給される信号の振幅よりも高くなるように、参照信号生成回路122を制御する。これにより、上述したステップS102〜104の繰り返しは終了する。
ここで、図7を参照して、上述したステップS102〜104を繰り返すことにより、位相差が蓄積されることを説明する。図7(a)は、基準信号の一例を示す図であり、図7(b)は、測定信号の一例を示す図であり、図7(c)は、参照信号の一例を示す図である。図7に示されるように、上述したステップS102〜104を繰り返す毎に、基準信号と測定信号の位相差がΔθずつ増加する。すなわち、上述したステップS102〜104をn回繰り返すと、基準信号と測定信号の位相差がnΔθとなる。そのため、Δθが極めて小さく、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを直接測定することは困難である場合であっても、上述したステップS102〜104を繰り返すことにより、基準信号と測定信号の位相差nΔθを測定することが可能となる。
次に、演算部140は、基準信号と測定信号とを用いて、電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求める(ステップS105)。以下、演算部140が位相差Δθを求める方法について、具体的に説明する。
基準信号生成部110が生成する基準信号をcos(ωt)とする。ωは、基準信号の角周波数である。上述したステップS102〜104をn回繰り返し、方向性結合器134から演算部140に供給される信号は、cos(ωt+nΔθ)となる。そのため、ミキサ146の出力、ミキサ148の出力は、それぞれ式(1)、式(2)のように表される。

なお、信号の伝送遅延や、電磁波の伝搬遅延は別途調整されているものとし、ここでは考慮しない。
次に、IFフィルタ/アンプ150,152により、式(1)、式(2)の高周波成分が取り除かれる。IFフィルタ/アンプ150の出力をx、IFフィルタ/アンプ150の出力をyとすると、x,yは以下のように表される。
IFフィルタ/アンプ150,152の出力x,yは、A/D変換器154でデジタル信号に変換され、信号処理部156に供給される。信号処理部156は、A/D変換器154から供給された信号x,yを用いて、以下の式に基づき、位相差Δθを求める。

次に、信号処理部156は、求めた位相差Δθを用いて測定対象物Tであるコンクリート中の塩分濃度を算出する。コンクリート中の塩分濃度の大きさによって、位相差Δθの大きさも変化するため、位相差Δθを求めることにより、コンクリート中の塩分濃度の大きさを求めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、微小な位相変化を精度よく測定することができる。そのため、簡易な方法で、コンクリート対象物の塩分濃度を求めることができる。
なお、本実施形態では、測定対象物で反射した測定信号の位相が変化する場合に、入力信号に対する位相差を測定する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、測定対象物を透過した測定信号の位相が変化する場合にも、本発明を適用することができる。測定対象物を透過した測定信号の位相が変化する場合として、例えば、ガスなどの極めて低い誘電率の測定や、採取したコンクリート試験片を用いて、塩分濃度をより高精度に測定する場合などがある。
<第2の実施形態>
(位相差測定装置の構成)
次に、図8を参照して、第2の実施形態の位相差測定装置の概略構成を説明する。本実施形態の位相差測定装置の基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、重複する部分の説明は省略する。
図8に示されるように、本実施形態の位相差測定装置は、第1の実施形態で説明した構成に加えて、振幅調整部170を備える。受信部132で受信された測定信号は、振幅調整部170に供給される。振幅調整部170は、受信部132から供給された測定信号の振幅を調整する。具体的には、振幅調整部170は、波形整形回路124に入力される信号の振幅が一定となるように、受信部132から供給された測定信号の振幅を調整する。
次に、図9を参照して、振幅調整部170の詳細な構成について説明する。図9に示されるように、振幅調整部170は、制御電圧発生器172と、可変ゲインアンプ174と、を備える。制御電圧発生器172は、制御部100から供給される信号に基づき、可変ゲインアンプ174のゲインを調整するための制御電圧を、可変ゲインアンプ174に供給する。可変ゲインアンプ174は、制御電圧発生器172から供給された制御電圧に基づき、受信部132から供給された測定信号のゲインを調整する。可変ゲインアンプ174は、例えば、PINダイオードアッテネータとRFアンプにより構成することができる。
ここで、図10を参照して、測定信号の振幅の違いにより生ずる位相差の誤差について説明する。図10(a)は、測定対象物Tに照射される電磁波の一例を示す図であり、図10(b)は、振幅が大きい測定信号の一例を示す図であり、図10(c)は、振幅が小さい測定信号の一例を示す図である。
一般に、測定対象物Tに電磁波を照射した場合、測定対象物Tの表面形状、反射率、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離などによって、受信部132で受信される測定信号の振幅は変化する。図10(b),(c)に示されるように、振幅の大きい測定信号が波形整形回路124に入力された場合に、振幅の大きい測定信号が参照信号を上回るタイミングと、振幅の小さい測定信号が波形整形回路124に入力された場合に、振幅の小さい測定信号が参照信号を上回るタイミングは異なる。このように、波形整形回路124に入力される測定信号の振幅が異なると、位相差を正確に測定することが難しくなる。
本実施形態では、後述するように、測定対象物Tの表面形状、反射率、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離などに起因する測定信号の振幅の減衰率(以下、「振幅減衰率」と呼ぶ。)が予め測定される。また、振幅調整部170は、振幅減衰率に基づき、測定信号の振幅を調整する。
本実施形態によれば、波形整形回路124に入力される信号の振幅を一定に保つことができる。そのため、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離を一定にすることが困難な場合であっても、測定対象物Tの異なる複数の位置において、位相差をより正確に測定することができる。
(位相差測定方法)
次に、図11を参照して、第2の実施形態の位相差測定装置を用いた位相差測定方法について説明する。図11は、本実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。
まず、位相差測定装置は、振幅減衰率を測定する(ステップS201)。具体的には、電磁波照射部130が測定対象物Tに電磁波を照射する。次に、受信部132が測定信号を受信し、振幅調整部170で振幅を調整せずに、方向性結合器134を介して演算部140に測定信号を供給する。
次に、演算部140は、方向性結合器134を介して供給された測定信号と基準信号を用いて、振幅減衰率を求める。ここで、振幅減衰率をr(r<1)とすると、IFフィルタ/アンプ150,152の出力x,yは、それぞれ以下のように表される。

これより、演算部140は、以下の式に基づき、振幅減衰率rを求める。

以上がステップS201に示す振幅減衰率rの測定方法である。測定された振幅減衰率rは、図4を参照して説明した演算部140の信号処理部156が備えるメモリに記録される。
次に、基準信号生成部110が、所定の周波数の基準信号を生成する(ステップS202)。次に、入力信号生成部120は、測定対象物Tに照射する電磁波の生成に用いる入力信号を基準信号に基づいて生成する(ステップS203)。次に、電磁波照射部130は、入力信号に基づき、測定対象物Tに電磁波を照射する(ステップS204)。次に、受信部132は、測定対象物Tにより、電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する(ステップS205)。
ステップS202〜S205は、第1の実施形態で説明したステップS101〜S104と同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、振幅調整部170は、ステップS201において測定した振幅減衰率rに基づき、受信部132から供給された測定信号の振幅を調整する(ステップS206)。具体的には、まず、制御部100が、演算部140に記録された振幅減衰率rの値を読み出す。次に、制御部100は、振幅調整部170が、受信部132から供給された測定信号の振幅を1/r倍するように、振幅調整部170を制御する。より具体的には、制御部100は、制御電圧発生器172が生成する制御電圧の大きさを制御する。これにより、波形整形回路124に入力される信号の振幅を一定に保つことができる。
以後、上述したステップS203〜206を所定回数繰り返す。上述したステップS203〜206を所定回数繰り返すと、制御部100は、参照信号がパワーコンバイナ116から供給される信号の振幅よりも高くなるように、参照信号生成回路122を制御する。これにより、上述したステップS203〜206の繰り返しは終了する。次に、演算部140は、基準信号と前記測定信号とを用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の位相差Δθを求める(ステップS207)。ステップS207は、第1の実施形態で説明したステップS105と同じであるため、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態によれば、波形整形回路124に入力される信号の振幅を一定に保つことができる。そのため、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離を一定にすることが困難な場合であっても、測定対象物Tの異なる複数の位置において、位相差をより正確に測定することができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の位相差測定装置及び位相差測定方法について説明する。本実施形態の位相差測定装置の基本的な構成は、上述した第1又は第2の実施形態と同様である。
本実施形態の演算部140は、複数の異なる周波数(設定周波数)毎に、基準信号に対応する測定信号の位相差を求める。また、演算部140は、基準信号と測定信号とが演算部140に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差を求める。ここで、経路長とは、電磁波照射部130から測定対象物Tを経由した受信部132までの距離や、回路中のケーブルの長さなどを含む。また、演算部140は、複数の異なる周波数(設定周波数)の基準信号に対応する測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた、基準信号と測定信号とが演算部140に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を求める。
図12を参照して、本実施形態の位相差測定方法について説明する。図12は、本実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。
まず、位相差測定装置は、複数の周波数(設定周波数)に対して、第1の実施形態や第2の実施形態で説明した方法により、位相差を測定する(ステップS301)。具体的には、まず制御部100は、基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数をfに制御する。その後、位相差測定装置は、周波数fに対応する位相差を測定する。この位相差を複素数で表したものをZとする。次に、制御部100は、基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数をfに制御する。その後、位相差測定装置は、周波数fに対応する位相差を測定する。この位相差を複素数で表したものをZとする。以後、同様にして、位相差測定装置は、周波数fに対応する位相差まで測定する。この位相差を複素数で表したものをZとする。Nは、10以上20以下であることが好ましい。なお、Zは、|Z|=1(1≦i≦N)と規格化されている。
次に、演算部140は、測定した位相差を複素数で表示したZの分散を最小とする遅延時間を算出する(ステップS302)。次に、測定した位相差を複素数で表示したZの分散を最小とする遅延時間を用いて、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求める(ステップS303)。
以下、まず、上述したステップS302について、具体的に説明する。
演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差が予め分かっている場合、基準信号の周波数をfとしたときに測定される位相差と、予め分かっている基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差とから、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることができる。
しかし、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離が未知である場合、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差が分からないため、基準信号の周波数をfとしたときに測定される位相差から、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることができない。
ここで、周波数をfとしたときに、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差をθとする。また、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する遅延時間をτとする。このとき、以下の関係式が成り立つ。

遅延時間τは、周波数fに依存しない定数である。
遅延時間τを考慮して、複素数で表示した位相差Zを補正した場合、補正後の位相差の平均値、分散σは、それぞれ以下の式(10)、式(11)のように表される。

式(11)で表される分散σを最小とする条件から、遅延時間τを求めることができる。
以下、複数の周波数fに対して位相差Zを測定した結果から、遅延時間τを求める方法を具体的に説明する。
まず、周波数fを1.6GHz〜2.0GHzまで0.1GHzずつ変化させ、各周波数fに対して、位相差Zを測定する。下記の表1に、測定結果の一例を示す。
表1に示される測定結果を複素数平面上にプロットすると、図13(a)のようになる。図13(a)に示されるように、表1に示される測定結果には、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する遅延時間τが含まれているため、この測定結果から直接、電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることはできない。
本実施形態では、表1に示される測定結果と式(11)を用いて、分散σを最小とする遅延時間τを求める。図13(b)は、表1に示される測定結果を式(11)に代入して得られる、分散σと遅延時間τの関係を示す図である。本実施形態では、τ=2.62nsにおいて、分散σが最小となる。分散σを最小とする遅延時間τを用いることにより、式(10)から電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることができる。
以上説明したように、本実施形態では、複数の異なる周波数毎に基準信号に対応する測定信号の位相差を求め、基準信号と測定信号とが演算部140に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求める。そのため、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離が未知である場合であっても、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する遅延時間τを求めることができ、遅延時間τに起因する位相差を補正することが可能となる。
以上、本発明の位相差測定装置及び方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
100 制御部
110 基準信号生成部
112 パワースプリッタ
114 スイッチ回路
116 パワーコンバイナ
120 入力信号生成部
122 参照信号生成回路
124 波形整形回路
126 バンドパスフィルタ
130 電磁波照射部
132 受信部
134 方向性結合器
140 演算部
142 パワースプリッタ
144 90°ハイブリッド
146,148 ミキサ
150,152 IFフィルタ/アンプ
154 A/D変換器
156 信号処理部
160 出力部
170 振幅調整部
172 制御電圧発生器
174 可変ゲインアンプ
T 測定対象物

Claims (10)

  1. 測定対象物に電磁波を照射したとき、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定方法であって、
    所定の周波数の基準信号を生成するステップと、
    前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を前記基準信号に基づいて生成するステップと、
    前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する第1ステップと、
    前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する第2ステップと、
    前記測定信号を用いて前記入力信号を生成する第3ステップと、
    第1ステップ、第2ステップ、及び第3ステップを所定回繰り返した後、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める第4ステップと、を有することを特徴とする位相差測定方法。
  2. 第3ステップは、
    入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成するステップと、
    前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するステップと、
    を有する、請求項1に記載の位相差測定方法。
  3. 第2ステップでは、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、
    前記位相差測定方法は、前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整するステップを有する、請求項1又は2に記載の位相差測定方法。
  4. 複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数としたとき、
    第4ステップは、
    前記基準信号に対する前記測定信号の位相差を前記設定周波数毎に求めるステップと、
    前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めるステップと、
    を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の位相差測定方法。
  5. 第4ステップは、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項4に記載の位相差測定方法。
  6. 測定対象物に電磁波を照射し、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定装置であって、
    所定の周波数の基準信号を生成する基準信号生成部と、
    前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を生成する入力信号生成部と、
    前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
    前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する受信部と、
    前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める演算部と、を備え、
    前記入力信号生成部は、前記基準信号又は前記測定信号のいずれかを用いて前記入力信号を生成することを特徴とする位相差測定装置。
  7. 前記入力信号生成部は、
    入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成する波形整形回路と、
    前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するバンドパスフィルタと、
    を備える、請求項6に記載の位相差測定装置。
  8. 前記受信部は、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、
    前記位相差測定装置は、
    前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整する振幅調整部を備える、請求項6又は7に記載の位相差測定装置。
  9. 前記基準信号生成部は、複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数として定めて前記基準信号を生成し、
    前記演算部は、前記設定周波数毎に求めた前記基準信号に対応する前記測定信号の位相差を用いて、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項6乃至8のいずれかに記載の位相差測定装置。
  10. 前記演算部は、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項9に記載の位相差測定装置。
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