JP2011080877A - 位相差測定方法及び位相差測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の周波数の基準信号を生成するステップと、前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を前記基準信号に基づいて生成するステップと、前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する第1ステップと、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する第2ステップと、前記測定信号を用いて前記入力信号を生成する第3ステップと、第1ステップ、第2ステップ、及び第3ステップを所定回繰り返した後、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める第4ステップと、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
コンクリート対象物の劣化の原因として、コンクリート対象物中の塩分が挙げられる。塩分はコンクリート対象物の製造時に用いる砂などの中に含まれている。また、製造後にコンクリート対象物に塩分が浸入することもある。コンクリート対象物中の塩分は、鉄筋等の鋼材を腐食させ、これにより鉄筋等の鋼材が膨張し、コンクリートにひび割れや剥離が発生する。
コンクリート対象物の安全性を確保するためには、コンクリートの劣化が進行する前に、コンクリート対象物内の塩分濃度を測定することが必要である。
この方法は、コンクリートの複素誘電率の虚数成分からコンクリート対象物の塩分濃度を求めるものである。
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の位相差測定装置を適用して、測定対象物であるコンクリート中の塩分濃度を測定する装置及び方法について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態の位相差測定装置の概略構成を説明する。図1は、本実施形態の位相差測定装置の概略構成の一例を示す。本実施形態の位相差測定装置は、測定対象物となるコンクリートに電磁波を照射し、測定対象物で反射した反射波を受信し、測定信号を得る。さらに、測定信号に基づいて、コンクリートに照射する電磁波の生成に用いる入力信号を生成することにより、コンクリートに入力信号に基づいて生成した電磁波を繰り返し照射する。コンクリートに照射した電磁波に対する反射波の位相差が極めて小さい場合であっても、電磁波の照射を繰り返すことにより、位相差を測定することが可能となる。
ここで、図2を参照して、スイッチ回路114が出力する信号について説明する。図2(a)は、パワースプリッタ112からスイッチ回路114に供給される信号の一例を示す。図2(b)は、スイッチ回路114が出力する信号の一例を示す。図2(b)に示されるように、スイッチ回路114は、時刻t0〜t1の期間のみ、スイッチ回路114に供給された信号を出力する。そのため、スイッチ回路114は、所定の周波数の交流信号を一定期間出力する。時刻t0〜t1の期間は、例えば、50ns程度である。上述したように、基準信号の周波数は、例えば、1.5GHz〜10GHzであるため、時刻t0〜t1の期間に存在する波数は、例えば、75〜500となる。
なお、スイッチ回路114からパワーコンバイナ116に信号が供給される期間に、方向性結合器134からパワーコンバイナ116に信号が供給されることがないように、スイッチ回路114が信号を出力するタイミングと、信号を出力する期間は、制御部100により制御される。そのため、パワーコンバイナ116は、スイッチ回路114から信号が供給される期間には、スイッチ回路114から供給される信号を入力信号生成部120に供給し、方向性結合器134から信号が供給される期間には、方向性結合器134から供給される信号を入力信号生成部120に供給する。
参照信号生成回路122は、後述するように、パワーコンバイナ116から波形整形回路124に入力された信号の大小を比較する対象となる一定の大きさの参照信号を、波形整形回路124に供給する。波形整形回路124が出力する参照信号の大きさは、制御部100により制御される。
バンドパスフィルタ126は、波形整形回路124から供給されたパルス信号を入力とし、基準信号の周波数の信号を通過させ、測定対象物Tに照射する電磁波を生成するための入力信号を生成する。バンドパスフィルタ126で生成された入力信号は、電磁波照射部130に供給される。
本実施形態では、波形整形回路124が、パワーコンバイナ116から供給された信号に基づいてパルス信号を生成し、バンドパスフィルタ126がパルス信号に基づいて入力信号を生成する。そのため、波形に歪みが生じた測定信号に基づいて入力信号が生成されるのを抑制することができる。
受信部132は、測定対象物Tにより、電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する。より具体的には、受信部132は、電磁波照射部130から照射された電磁波が測定対象物Tで反射されることにより位相が変化した測定信号を受信する。受信部132は、例えば、電磁波を受信するアンテナである。受信部132で受信された測定信号は、方向性結合器134に供給される。
電磁波照射部130と受信部132は、いずれも指向性の高いアンテナであることが好ましい。
出力部160は、演算部140から供給された位相差の情報を出力する。出力部160は、例えば、表示装置である。
なお、経路長の差に起因して生じる基準信号と測定信号の位相差については、適宜、演算部140で補正される。
90°ハイブリッド144は、パワースプリッタ112から供給される基準信号を2つの信号に分割し、分割された2つの信号のうち1つの信号の位相を90°ずらす。図4に示される例では、90°ハイブリッド144で分割された信号の一方は、位相をずらさない信号であり、この信号はミキサ146に供給される。また、90°ハイブリッド144で分割された信号の他方は、位相を90°進めた信号であり、この信号はミキサ148に供給される。
IFフィルタ/アンプ150,152は、ミキサ146,148から供給された信号をフィルタリングし、増幅する。具体的には、IFフィルタ/アンプ150,152は、ミキサ146,148から供給された信号の高周波成分を取り除き、高周波成分を取り除かれた信号を増幅する。IFフィルタ/アンプ150,152でフィルタリングされ、増幅された信号は、A/D変換器154に供給される。
信号処理部156は、A/D変換器154から供給された信号を用いて、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差を求める。また、信号処理部156は、位相差を用いて測定対象物Tであるコンクリート中の塩分濃度を算出する。信号処理部156は、主に、CPUやメモリで構成される。信号処理部156で求められた位相差の情報は、出力部160に供給される。
次に、図5を参照して、第1の実施形態の位相差測定装置を用いた位相差測定方法について説明する。図5は、本実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。
まず、基準信号生成部110が、所定の周波数の基準信号を生成する(ステップS101)。基準信号生成部110により生成された基準信号は、パワースプリッタ112に供給される。パワースプリッタ112は、基準信号生成部110から供給された基準信号を分配し、スイッチ回路114と演算部140に供給する。
スイッチ回路114は、パワースプリッタ112から供給された信号を、所定の期間だけ出力する。そのため、上述したように、スイッチ回路114は、例えば、図2(b)に示される信号をパワーコンバイナ116に出力する。パワーコンバイナ116は、スイッチ回路114から供給された信号を入力信号生成部120に供給する。
なお、図3を参照して説明したように、制御部100は、参照信号がパワーコンバイナ116から供給される信号の振幅よりも小さくなるように、参照信号生成回路122を制御している。
次に、受信部132は、測定対象物Tにより、照射した電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する(ステップS104)。受信部132で受信された測定信号は、方向性結合器134に供給される。
本実施形態では、測定対象物Tであるコンクリートに照射された電磁波は、測定対象物Tで反射する。反射した電磁波(測定信号)の位相は、測定対象物Tに照射された電磁波の位相に対して、わずかに変化している。図6に示す例では、測定信号は、測定対象物Tに照射された電磁波に対し、Δθだけ位相が遅れている。なお、図6では説明の便宜上、位相差Δθを明確に示しているが、実際に測定される位相差Δθは極めて小さいため、測定信号から位相差Δθを直接測定することは困難である。
なお、繰り返しの回数は、例えば、ビットカウンタ(不図示)により計数してもよい。
基準信号生成部110が生成する基準信号をcos(ωt)とする。ωは、基準信号の角周波数である。上述したステップS102〜104をn回繰り返し、方向性結合器134から演算部140に供給される信号は、cos(ωt+nΔθ)となる。そのため、ミキサ146の出力、ミキサ148の出力は、それぞれ式(1)、式(2)のように表される。
なお、信号の伝送遅延や、電磁波の伝搬遅延は別途調整されているものとし、ここでは考慮しない。
次に、信号処理部156は、求めた位相差Δθを用いて測定対象物Tであるコンクリート中の塩分濃度を算出する。コンクリート中の塩分濃度の大きさによって、位相差Δθの大きさも変化するため、位相差Δθを求めることにより、コンクリート中の塩分濃度の大きさを求めることができる。
(位相差測定装置の構成)
次に、図8を参照して、第2の実施形態の位相差測定装置の概略構成を説明する。本実施形態の位相差測定装置の基本的な構成は、上述した第1の実施形態と同様であるため、重複する部分の説明は省略する。
図8に示されるように、本実施形態の位相差測定装置は、第1の実施形態で説明した構成に加えて、振幅調整部170を備える。受信部132で受信された測定信号は、振幅調整部170に供給される。振幅調整部170は、受信部132から供給された測定信号の振幅を調整する。具体的には、振幅調整部170は、波形整形回路124に入力される信号の振幅が一定となるように、受信部132から供給された測定信号の振幅を調整する。
本実施形態によれば、波形整形回路124に入力される信号の振幅を一定に保つことができる。そのため、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離を一定にすることが困難な場合であっても、測定対象物Tの異なる複数の位置において、位相差をより正確に測定することができる。
次に、図11を参照して、第2の実施形態の位相差測定装置を用いた位相差測定方法について説明する。図11は、本実施形態の位相差測定方法のフローチャートである。
まず、位相差測定装置は、振幅減衰率を測定する(ステップS201)。具体的には、電磁波照射部130が測定対象物Tに電磁波を照射する。次に、受信部132が測定信号を受信し、振幅調整部170で振幅を調整せずに、方向性結合器134を介して演算部140に測定信号を供給する。
これより、演算部140は、以下の式に基づき、振幅減衰率rを求める。
以上がステップS201に示す振幅減衰率rの測定方法である。測定された振幅減衰率rは、図4を参照して説明した演算部140の信号処理部156が備えるメモリに記録される。
ステップS202〜S205は、第1の実施形態で説明したステップS101〜S104と同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、第3の実施形態の位相差測定装置及び位相差測定方法について説明する。本実施形態の位相差測定装置の基本的な構成は、上述した第1又は第2の実施形態と同様である。
まず、位相差測定装置は、複数の周波数(設定周波数)に対して、第1の実施形態や第2の実施形態で説明した方法により、位相差を測定する(ステップS301)。具体的には、まず制御部100は、基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数をf1に制御する。その後、位相差測定装置は、周波数f1に対応する位相差を測定する。この位相差を複素数で表したものをZ1とする。次に、制御部100は、基準信号生成部110が生成する基準信号の周波数をf2に制御する。その後、位相差測定装置は、周波数f2に対応する位相差を測定する。この位相差を複素数で表したものをZ2とする。以後、同様にして、位相差測定装置は、周波数fNに対応する位相差まで測定する。この位相差を複素数で表したものをZNとする。Nは、10以上20以下であることが好ましい。なお、Ziは、|Zi|=1(1≦i≦N)と規格化されている。
演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差が予め分かっている場合、基準信号の周波数をfiとしたときに測定される位相差と、予め分かっている基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差とから、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることができる。
しかし、電磁波照射部130から測定対象物Tまでの距離が未知である場合、演算部140に入力される基準信号と測定信号の経路長の差に起因する位相差が分からないため、基準信号の周波数をfiとしたときに測定される位相差から、測定対象物Tに照射された電磁波に対する測定信号の位相差Δθを求めることができない。
遅延時間τは、周波数fiに依存しない定数である。
式(11)で表される分散σを最小とする条件から、遅延時間τを求めることができる。
まず、周波数fiを1.6GHz〜2.0GHzまで0.1GHzずつ変化させ、各周波数fiに対して、位相差Ziを測定する。下記の表1に、測定結果の一例を示す。
110 基準信号生成部
112 パワースプリッタ
114 スイッチ回路
116 パワーコンバイナ
120 入力信号生成部
122 参照信号生成回路
124 波形整形回路
126 バンドパスフィルタ
130 電磁波照射部
132 受信部
134 方向性結合器
140 演算部
142 パワースプリッタ
144 90°ハイブリッド
146,148 ミキサ
150,152 IFフィルタ/アンプ
154 A/D変換器
156 信号処理部
160 出力部
170 振幅調整部
172 制御電圧発生器
174 可変ゲインアンプ
T 測定対象物
Claims (10)
- 測定対象物に電磁波を照射したとき、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定方法であって、
所定の周波数の基準信号を生成するステップと、
前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を前記基準信号に基づいて生成するステップと、
前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する第1ステップと、
前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する第2ステップと、
前記測定信号を用いて前記入力信号を生成する第3ステップと、
第1ステップ、第2ステップ、及び第3ステップを所定回繰り返した後、前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める第4ステップと、を有することを特徴とする位相差測定方法。 - 第3ステップは、
入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成するステップと、
前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するステップと、
を有する、請求項1に記載の位相差測定方法。 - 第2ステップでは、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、
前記位相差測定方法は、前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整するステップを有する、請求項1又は2に記載の位相差測定方法。 - 複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数としたとき、
第4ステップは、
前記基準信号に対する前記測定信号の位相差を前記設定周波数毎に求めるステップと、
前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求めるステップと、
を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の位相差測定方法。 - 第4ステップは、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号との経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項4に記載の位相差測定方法。
- 測定対象物に電磁波を照射し、前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号と前記電磁波との位相差を測定する位相差測定装置であって、
所定の周波数の基準信号を生成する基準信号生成部と、
前記測定対象物に照射する電磁波の生成に用いる入力信号を生成する入力信号生成部と、
前記入力信号に基づき、前記測定対象物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記測定対象物により前記電磁波に対して位相が変化した測定信号を受信する受信部と、
前記基準信号と前記測定信号とを用いて、前記位相差を求める演算部と、を備え、
前記入力信号生成部は、前記基準信号又は前記測定信号のいずれかを用いて前記入力信号を生成することを特徴とする位相差測定装置。 - 前記入力信号生成部は、
入力された信号が予め定めた閾値を上回るタイミングで、単一のパルス信号を生成する波形整形回路と、
前記基準信号の周波数の信号を通過させることにより、前記入力信号を生成するバンドパスフィルタと、
を備える、請求項6に記載の位相差測定装置。 - 前記受信部は、前記測定信号として、前記電磁波が前記測定対象物で反射されることにより前記電磁波に対して位相が変化した信号を受信し、
前記位相差測定装置は、
前記測定対象物において反射された前記電磁波の振幅減衰率に基づき、前記測定信号の振幅を調整する振幅調整部を備える、請求項6又は7に記載の位相差測定装置。 - 前記基準信号生成部は、複数の異なる設定周波数のそれぞれを、前記所定の周波数として定めて前記基準信号を生成し、
前記演算部は、前記設定周波数毎に求めた前記基準信号に対応する前記測定信号の位相差を用いて、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項6乃至8のいずれかに記載の位相差測定装置。 - 前記演算部は、前記設定周波数の前記基準信号に対する前記測定信号の位相差の分散が最小となるようにして求めた位相差であって、前記基準信号と前記測定信号とが前記演算部に供給されるまでの経路長の差に起因する位相差を用いて、前記電磁波に対する前記測定信号の前記位相差を求める、請求項9に記載の位相差測定装置。
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