JP2011080587A - 作動油の省電力効果評価装置及びこれを用いた省電力効果評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルタンク、オイルタンクから送油される作動油を昇圧する油圧ポンプとその油圧ポンプを作動させる電動機からなる油圧発生部分、及び油圧ポンプから送油される昇圧された作動油により作動するアクチュエーター部分とそのアクチュエーター部分に負荷を与える負荷部分からなる作動部分を有し、かつオイルタンクと油圧ポンプ、油圧ポンプとのアクチュエーター部分がそれぞれ作動油送油用配管で直接的または間接的に接続されている油圧装置であって、油圧発生部分の電動機消費電力を測定するための電力メーターを備えている作動油の省電力効果評価装置。
【選択図】図1
Description
このため、作動油の省電力評価方法として、実機による方法が考えられる。
そこで、実機を模擬した装置による作動油の省電力評価方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また、本発明は、上記作動油の省電力効果評価装置において、(C)のアクチュエーター部分が油圧モータであり、(C)の負荷部分が動力計である作動油の省電力効果評価装置を提供するものである。
また、本発明は、上記作動油の省電力効果評価装置において、(C)のアクチュエーター部分が油圧モータであり、(C)の負荷部分が動力計である作動油の省電力効果評価装置を提供するものである。
また、本発明は、上記の作動油の省電力効果評価装置を用いて、オイルタンクから送油される作動油を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油によりアクチュエーター部分を負荷部分で負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求め、求めたトルク伝達効率により作動油の省電力効果を評価することを特徴とする作動油の省電力効果評価方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の作動油の省電力効果評価装置を用いて、オイルタンクから送油される作動油を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油によりアクチュエーター部分を負荷部分で負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求め、求めた仕事量伝達効率により作動油の省電力効果を評価することを特徴とする作動油の省電力効果評価方法を提供するものである。
(A)のオイルタンクは、評価する作動油を貯蔵するものであり、このオイルタンクから作動油が(B)の油圧ポンプに供給される。
オイルタンクは、開放系であってもよいし、閉鎖系であってもよい。
オイルタンクの容量は、特に制限ないが、作動油の収容量が好ましくは1〜300Lであり、より好ましくは7〜220Lであり、特に好ましくは15〜150Lである。
油圧ポンプとしては、種々の油圧ポンプが使用でき、例えば、ベーンタイプの油圧ポンプ、ピストンタイプの油圧ポンプ、ギヤタイプの油圧ポンプなどが挙げられる。
なお、ポンプの型式、材質等により異なるが、一般に、ベーンタイプ、ギヤタイプより、ピストンタイプの油圧ポンプの方がより高圧状態での使用が可能である。よって、20MPa以上の高圧状態での省電力効果を評価する際には、ピストンタイプの油圧ポンプを使用することが好ましい。
油圧ポンプのサイズは特に限定はしないが、油圧ポンプサイズが大きくなると必要試験油量が多くなる傾向にある。
油圧ポンプの発生圧力は、模擬する実機の種類、運転方法によって、適宜選定することが可能である。例えば、射出成形機を模擬する場合、圧力条件として、0〜30MPaが挙げられる。また、工作機械を模擬する場合、圧力条件として、1〜10MPaが挙げられる。
油圧ポンプの流量は、好ましくは0.01〜150L/minであり、より好ましくは0.5〜100L/minであり、さらに好ましくは1〜50L/minである。
油圧ポンプの軸動力は、0.3〜55kWが好ましく、0.8〜45kWがより好ましい。
油圧ポンプの発生圧力、流量、軸動力は、油圧ポンプが作動している間、一定であってもよいし、経時的に変動してもよい。実機では、油圧ポンプの発生圧力、流量、軸動力は、経時的に変動するので、油圧ポンプの発生圧力、流量、軸動力も、経時的に変動することが好ましい。油圧ポンプの発生圧力、流量、軸動力は、油圧ポンプの回転数や後述するアクチュエーター部分に与える負荷を変動させることにより、変動させることができる。
油圧ポンプの軸動力より小さい出力の電動機を使用すると、油圧ポンプを作動させることができない。
一方、油圧ポンプの軸動力より極端に大きい出力の電動機を使用すると、電動機を作動させるために必要な電力が大きくなり、用いた作動油の省電力効果の差が表れにくくなる傾向にある。
電動機の出力は、通常0.4〜60kWが好ましく、0.75〜55kWがより好ましく、1.5〜37kWがさらに好ましい。また、電動機の出力は、油圧ポンプの軸動力の100〜120%の範囲にあるものが好ましい。
図1や図2には図示されていないが、電動機には、消費電力を測定するための電力メーターが備えられている。
また、電動機と油圧ポンプの間には、トルクメーターを取り付けることが好ましい。トルクメーターは、油圧ポンプの発生トルクに見合った定格トルクを有するものが好ましい。油圧ポンプのトルク値と、後述する(C)のアクチュエーター部分のトルク値により、トルク伝達効率を測定することができ、作動油の省電力効果評価の指標にすることができる。 また、油圧ポンプのトルク値と、後述する(C)のアクチュエーター部分のトルク値により、油圧ポンプ及びアクチュエーター部分の仕事量を算出し、算出した仕事量より仕事量伝達効率を求めることができ、求めた仕事量伝達効率を作動油の省電力効果の指標にすることができる。
アクチュエーター部分には、油圧ポンプから送油される昇圧された作動油が導入され、導入された作動油の圧力によりアクチュエーター部分が作動し、アクチュエーター部分を作動させた後の作動油は、アクチュエーター部分から排出される。
油圧シリンダーは、鋼製の油圧シリンダーに取り付けられているシール材が長時間の作動により、劣化することが多く、試験を重ねるにつれて、トルク値が変動したり、アクチュエーター部分の作動量が変動したりするので、好ましくない。これに対し、油圧モータは、回転翼により作動するものであり、アクチュエーター部分の作動量が変動し難いので、好ましい。
油圧モータとしては、ピストンタイプの油圧モータ、ベーンタイプの油圧モータ、ギヤタイプの油圧モータなどが挙げられる。
負荷部分は、アクチュエーターの出力に見合った吸収トルクを有するものが好ましい。
負荷部分としては、特に制限しないが、水動力計、渦電流動力計などの電気動力計、摩擦式動力計、ACダイナモ、低慣性ACダイナモ、油圧モータなどの動力計が好ましい。
動力計を使うことにより、アクチュエーター部分に与える負荷をより正確に制御することが可能である。これにより、消費電力(=入力エネルギー)、油圧ポンプのトルク値とアクチュエーター部分のトルク値、及びこれらのトルク値から算出されるトルク伝達効率及び仕事量伝達効率をより正確に測定することができ、作動油の省電力効果をより精度良く評価することができる。
負荷部分によりアクチュエーター部分に与える負荷は、アクチュエーター部分が作動している間、一定の負荷であってもよいし、経時的に変動した負荷であってもよい。実機では、作動部に与えられる負荷は、経時的に変動するので、アクチュエーター部分に与える負荷も、経時的に変動した負荷が好ましい。負荷部分によりアクチュエーター部分に与える負荷としては、例えば、図3に示す消費電力に対応する負荷パターンが挙げられる。図3に示す消費電力に対応する負荷パターンは、負荷を与え続ける時間帯と、負荷を与えない時間帯を繰り返し、その負荷の強さを小さいもの、大きいもの、中くらいのものに変えた3種の負荷を1サイクルとして、そのサイクルを繰り返すパターンである。この負荷パターンは、実機の作動部の負荷パターンに応じて負荷を与え続ける時間、負荷を与えない時間、負荷の強さなどを、適宜選定すればよい。
負荷部分とアクチュエーター部分の間に、トルクメーターを取り付けることが好ましい。(C)のアクチュエーター部分のトルク値と、前述した油圧ポンプのトルク値により、トルク伝達効率を測定することができ、作動油の省電力効果評価の指標にすることができる。また、(C)のアクチュエーター部分のトルク値と、前述した油圧ポンプのトルク値により、アクチュエーター部分及び油圧ポンプの仕事量を算出し、その仕事量より仕事量伝達効率を、求めることができ、その仕事量伝達効率を作動油の省電力効果の指標にすることができる。
トルクメーターは、油圧モータの発生トルクに見合った定格トルクを有するものが好ましい。
ここで、間接的に接続されているとは、フローメーター、バルブ、フィルターなどの他の部品を介して配管で接続されていることを意味する。
図1や図2に示されているように、(A)のオイルタンクと(B)の油圧ポンプの間にある配管Aは、作動油の流量に応じて適宜選定すればよい。
配管Aにおける作動油流速は、2m/s以下であることが好ましく、1.5m/s以下であることがより好ましく、1m/s以下であることがさらに好ましい。上記流速になるよう、配管Aの内径を適宜選定することが好ましい。
配管Aの長さは、適宜選定すればよいが、通常50〜200cmであるものが好ましく、80〜180cmであるものがより好ましい。
配管Bにおける作動油流速は、6m/s以下であることが好ましく、4m/s以下であることがより好ましく、2m/s以下であることがさらに好ましい。上記流速になるよう、配管Bの内径を適宜選定することが好ましい。作動油流速を6m/s以下とすることで、配管Bにおける圧損失を低減することができ、油圧ポンプ及びアクチュエーター部分由来の損失を評価しやすい傾向にある。
配管Bの長さは、圧損失などを考慮し適宜選定すればよいが、通常50〜300cmであるものが好ましく、80〜280cmであるものがより好ましい。
配管Cの長さは、適宜選定すればよいが、通常100〜800cmであるものが好ましく、200〜700cmであるものがより好ましい。
配管Aには、図1や図2に示されているように、サクションフィルターを設けることが好ましい。サクションフィルターを設けることにより、作動油中の異物を除去することができる。
油圧損失増大部としては、直管、又は直管と屈折管や分岐管、湾曲管などを組み合わせた長配管、流量制御弁や方向制御弁などのバルブなどが挙げられる。バルブを簡単に模擬する方法として、直管内部にオリフィスを設置する方法が挙げられる。
また、本発明の作動油の省電力効果評価装置においては、図1や図2に示されているように、油圧ポンプの前後や、アクチュエーター部分の前後や、油圧損失増大部の前後に、圧力計、圧力センサー、温度センサー、フローメーターなどを取り付けることが好ましい。油圧ポンプの前後や、アクチュエーター部分の前後や、油圧損失増大部の前後の作動油の圧力、温度、流量を測定することにより、各部分の省電力効果を把握することができる。
オイルタンクは、図1や図2に図示しているように、温度計、液面計などの機器を設けることが好ましい。温度計を設けることにより、オイルタンク内の作動油の温度を測定し、オイルクーラーなどで作動油の温度を調節することができる。オイルタンク内の作動油の温度は、一定にすることが好ましく、また、実機のオイルタンク内の作動油の温度と同等にすることが好ましく、実機のオイルタンク内の作動油の温度は、工業用作動油においては、通常30〜60℃であり、多くは40〜50℃である。
なお、オイルタンクには、通常、図1や図2に示されているように、外部からオイルタンク内に入る空気中の汚れや湿気を除去するためのエアーブリーザ−や、オイルタンク内の作動油の量を調節するための液面計が設けられていてもよい。
なお、アクチュエーター部分がピストンタイプの油圧モータである場合は、その内部で作動油のリークを生じさせるため、リーク分を回収するために、通常、図1や図2に点線で図示しているように、作動油回収用配管が設けられており、ここに設けられたフローメーターで、作動油のリークの量を把握できるようになっている。
また、評価する作動油を変える毎に、評価の終わった作動油の抜き取りなどを行うために、本発明の作動油の省電力効果評価装置の必要な箇所にドレインバルブをつけても良い。
本発明の作動油の省電力効果評価方法は、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を電力メーターにより測定し、測定した電動機消費電力により作動油の省電力効果を評価する方法と、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求め、作動油の省電力効果を評価する方法がある。また、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求め、求めた仕事量伝達効率により作動油の省電力効果を評価する方法もある。
動力計などの負荷部分による負荷は特に限定されるものではなく、通常0.1〜1000N・mの範囲から適宜選定すればよいが、最大吸収トルクの20%以上であることが好ましく、最大吸収トルクの30%以上であることがより好ましい。動力計負荷を最大吸収トルクの20%以上とすることで、より誤差の少ない試験とすることができる傾向にある。
なお、未使用の油圧ポンプを使用する場合、慣らし運転を行うことによって、精度良くデータを取得できる傾向にある。慣らし運転は、使用する油圧ポンプの定格圧力、回転数にて、トルク値が一定となるまで行うことが好ましい。
また、本発明の作動油の省電力効果評価方法は、使用する作動油の量も少なくてよい。作動油の使用量は、油圧ポンプや、アクチュエーター部分の大きさにもよるが、例えば、1〜200Lであれば、本発明により評価することができる。
本発明の作動油の省電力効果評価装置及び評価方法は以上のようなものであって、さまざまな実機の運転条件を模擬することが可能である。負荷変動の大きい油圧機器、例えば射出成形機を模擬する場合には、油圧ポンプの回転数と動力計の吸収トルクを変動させる運転条件が挙げられる。また負荷変動の少ない油圧機器、例えば圧延機を模擬する場合には、油圧ポンプの回転数一定、動力計の吸収トルクを変動させる運転条件が挙げられる。
実施例及び参考例において、試験油として、下記の試験油1、試験油2、試験油3を用いた。
<試験油>
試験油1:40℃動粘度が46.0mm2/s、粘度指数が130の鉱油系作動油
試験油2:40℃動粘度が46.0mm2/s、粘度指数が109の鉱油系作動油
試験油3:40℃動粘度が32.0mm2/s、粘度指数が109の鉱油系作動油
作動油の省電力効果評価装置の各部分の使用機器として、下記の機器を有する、図1に示す作動油の省電力効果評価装置を使用して、下記の試験条件で、作動油として試験油2を用い、次の手順で、作動油の省電力効果評価を行った。
先ず、(A)のオイルタンクから送油される試験油2を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された試験油2によりアクチュエーター部分を、負荷部分で図3に示す消費電力のパターンと同様のパターンの負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を電力メーターにより測定し、また、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求めた。また、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求めた。
試験油2の測定した電動機消費電力を基準として、試験油1の測定した電動機消費電力により試験油1の省電力効果を評価し、また、試験油2のトルク伝達効率を基準として、試験油1のトルク伝達効率により、試験油1の省電力効果を評価した。また、試験油2の仕事量伝達効率を規準として、試験油1の仕事量伝達効率により、試験油1の省電力効果を評価した。
油圧ポンプ :油研工業株式会社 ベーンポンプ PV-2R-1-19
電動機 :三菱電機株式会社 インバータ専用モータ SF-HRCA
出力18.5kW
油圧モータ :ボッシュレックスロス株式会社 ピストンモーター
A2FM16
トルクメーター:株式会社小野測器 SS-101
動力計 :株式会社テークスグループ W-100形渦電流式動力計
最大吸収動力100kW、最大吸収トルク 300Nm
電力メーター:日置電機株式会社 3168クランプオンパワーハイテスタ
油圧ポンプと油圧モータ間の配管B:外径27.2mm、内径19.4mm、長さ150cm
油圧モータと油圧タンク間の配管C:外径27.2mm、内径19.4mm、長さ600cm
オイルタンク内の作動油の温度:40℃
油圧ポンプ圧力:0.4〜15.2MPa
油圧ポンプ回転数:100〜1200rpm
油圧ポンプが送り出す作動油の流量:2〜23L/min(平均9.2L/min)
油圧モータ回転数:110〜1320rpm
動力計が与える負荷:0〜30N・m(図3に示す消費電力に対応する負荷パターンを与えた。)
<実施例における各配管内の作動油流速>
配管A:0.07〜0.8m/s (平均0.3m/s)
配管B:0.1〜1.3m/s (平均0.5m/s)
配管C:配管Bと同じ。
上記方法による評価結果を、表1に示す。
[{(試験油2の消費電力)−(試験油1の消費電力)}/(試験油2の消費電力)]×100(%)
※2:(試験油1のトルク伝達効率による省電力効果)=
[(試験油1のトルクの伝達効率)−(試験油2のトルクの伝達効率)]
※3:(油圧ポンプ仕事量) =
{2π ×(油圧ポンプ平均トルク値)(N・m)×(油圧ポンプ平均回転数)(rpm)} / 60000 (kW)
油圧モータ仕事量も同様にして下記のように算出した。
(油圧モータ仕事量) =
{2π ×(油圧モータ平均トルク値)(N・m)×(油圧モータ平均回転数)(rpm)} / 60000 (kW)
※4:(トルクの伝達効率)=
{(油圧モータ平均トルク値)(N・m)/(油圧ポンプ平均トルク値)
(N・m)}×100 (%)
※5:(仕事量の伝達効率) =
{(油圧モータ仕事量)(kW)/(油圧ポンプ仕事量)(kW)}
×100 (%)
※6:(試験油1の仕事量伝達効率による省電力効果)=
[(試験油1の仕事量の伝達効率)−(試験油2の仕事量の伝達効率)](%)
作動油の省電力効果評価装置の各部分の使用機器として、下記の機器を有する、図2に示す作動油の省電力効果評価装置を使用して、下記の試験条件で、作動油として試験油2を用い、次の手順で、作動油の省電力効果評価を行った。なお、ここでは油圧ポンプとしてベーンポンプを用いた。
先ず、(A)のオイルタンクから送油される試験油2を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された試験油2によりアクチュエーター部分を、負荷部分で図3に示す消費電力のパターンと同様のパターンの負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を電力メーターにより測定し、また、また、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求めた。また、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求めた。
試験油2の測定した電動機消費電力を基準として、試験油1の測定した電動機消費電力により試験油1の省電力効果を評価し、また、試験油2のトルク伝達効率を基準として、試験油1のトルク伝達効率により、試験油1の省電力効果を評価した。また、試験油2の仕事量伝達効率を規準として、試験油1の仕事量伝達効率により、試験油1の省電力効果を評価した。
実施例1と同じ。ただし、図2に示す作動油の省電力効果評価装置は、図1に示す作動油の省電力効果評価装置に比べて、配管Bに長配管部が設置されている点のみが異なるものであり、その他の部分は、図1に示す作動油の省電力効果評価装置と同様である。各配管の寸法を下記に示した。
油圧タンクと油圧ポンプ間の配管A:外径34.0mm、内径25.0mm、長さ100cm
油圧ポンプと長配管部間の配管B:外径27.2mm、内径19.4mm、長さ120cm
長配管部の配管:外径21.7mm、内径16.1mm、長さ1000cm
長配管部と油圧モータ間の配管:外径27.2mm、内径19.4mm、長さ150cm
油圧モータと油圧タンク間の配管C:外径27.2mm、内径19.4mm、長さ600cm
実施例1と同じ。
<実施例における各配管内の作動油流速>
長配管の流速を以下に記載したものにした他は、実施例1と同じ。
長配管:0.2〜1.9m/s (平均0.8m/s)
上記方法による評価結果を、表2に示す。
※1:(試験油1の省電力効果)=
[{(試験油2の消費電力)−(試験油1の消費電力)}/(試験油2の消費電力)]×100(%)
※2:(試験油1のトルク伝達効率による省電力効果)=
[(試験油1のトルクの伝達効率)−(試験油2のトルクの伝達効率)]
※3:(油圧ポンプ仕事量) =
{2π×(油圧ポンプ平均トルク値)(N・m)×(油圧ポンプ平均回転数)(rpm)} / 60000 (kW)
油圧モータ仕事量も同様にして下記のように算出した。
(油圧モータ仕事量) =
{2π×(油圧モータ平均トルク値)(N・m)×(油圧モータ平均回転数)(rpm)} / 60000 (kW)
※4:(トルクの伝達効率)=
{(油圧モータ平均トルク値)(N・m)/(油圧ポンプ平均トルク値)
(N・m)}×100 (%)
※5:(仕事量の伝達効率) =
{(油圧モータ仕事量)(kW)/(油圧ポンプ仕事量)(kW)}
×100 (%)
※6:(試験油1の仕事量伝達効率による省電力効果)=
[(試験油1の仕事量の伝達効率)−(試験油2の仕事量の伝達効率)](%)
作動油の省電力効果評価装置の各部分の使用機器として、下記の機器を有する、図2に示す作動油の省電力効果評価装置を使用して、下記の試験条件で、作動油として試験油2を用い、次の手順で、作動油の省電力効果評価を行った。なお、ここでは油圧ポンプとしてピストンポンプを用いた。
先ず、(A)のオイルタンクから送油される試験油2を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された試験油2によりアクチュエーター部分を、負荷部分で下記に示す一定の負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を電力メーターにより測定し、また、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求めた。また、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求めた。
試験油2の測定した電動機消費電力を基準として、試験油3の測定した電動機消費電力により試験油3の省電力効果を評価し、また、試験油2のトルク伝達効率を基準として、試験油3のトルク伝達効率により試験油3の省電力効果を評価した。また、試験油2の仕事量伝達効率を規準として、試験油3の仕事量伝達効率により、試験油3の省電力効果を評価した。
なお、本実施例で使用した省電力効果評価装置は、実施例2で用いた図2に示す作動油の省電力効果評価装置の油圧ポンプを以下のピストンポンプに代えたものを用いた。その他の部分は、各配管の寸法も含め、実施例2の作動油の省電力効果評価装置と同様である。
油圧ポンプ :油研工業株式会社 ピストンポンプ A16
※他は実施例2と同じ。
<試験条件>
オイルタンク内の作動油の温度:40℃
油圧ポンプ圧力:4.8 MPa
油圧ポンプ回転数:1200rpm
油圧ポンプが送り出す作動油の流量:19.2L/min
動力計が与える負荷:8.9N・m
配管A:0.7m/s
配管B:1.1m/s
配管C:配管Bと同じ。
長配管:1.7m/s
上記方法による評価結果を、表3に示す。
※1:(試験油3の省電力効果)=
[{(試験油2の消費電力)−(試験油3の消費電力)}/(試験油2の消費電力)]×100(%)
※2:(油圧ポンプ仕事量) =
{2π ×(油圧ポンプトルク値)(N・m)×(油圧ポンプ回転数)
(rpm)} / 60000 (kW)
油圧モータ仕事量も同様にして下記のように算出した。
(油圧モータ仕事量) =
{2π ×(油圧モータトルク値)(N・m)×(油圧モータ平均回転数)
(rpm)} / 60000 (kW)
※3:(トルクの伝達効率) =
{(油圧モータトルク値)(N・m)/(油圧ポンプトルク値)(N・m)}
×100 (%)
※4:(仕事量の伝達効率) =
{(油圧モータ仕事量)(kW)/(油圧ポンプ仕事量)(kW)}
×100 (%)
※5:(試験油3のトルク伝達効率による省電力効果)=
[(試験油3のトルクの伝達効率)−(試験油2のトルクの伝達効率)](%)
※6:(試験油3の仕事量伝達効率による省電力効果)=
[(試験油3の仕事量の伝達効率)−(試験油2の仕事量の伝達効率)](%)
上記実施例と実機との相関性を見るために、実機として射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、射出成形機FN−1000)を用いて、原料のポリプロピレン樹脂から成形品のカラーチップを成形し、タンク油温40℃での消費電力を測定した。なお、電力メーターは、日置電機株式会社製3168クランプオンパワーハイテスタを用いた。その結果を表4に示す。
※1:(試験油1の省電力効果)=
[{(試験油2の消費電力)―(試験油1の消費電力)}/(試験油2の消費電力)]×100(%)
Claims (8)
- (A)オイルタンク、
(B)前記オイルタンクから送油される作動油を昇圧する油圧ポンプとその油圧ポンプを作動させる電動機からなる油圧発生部分、及び
(C)前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油により作動するアクチュエーター部分とそのアクチュエーター部分に負荷を与える負荷部分からなる作動部分を有し、かつ
(A)のオイルタンクと(B)の油圧ポンプ、(B)の油圧ポンプと(C)のアクチュエーター部分がそれぞれ作動油送油用配管で直接的または間接的に接続されている油圧装置であって、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を測定するための電力メーターを備えていることを特徴とする作動油の省電力効果評価装置。 - (C)のアクチュエーター部分が油圧モータであり、(C)の負荷部分が動力計である請求項1に記載の作動油の省電力効果評価装置。
- (A)オイルタンク、
(B)前記オイルタンクから送油される作動油を昇圧する油圧ポンプとその油圧ポンプを作動させる電動機からなる油圧発生部分、及び
(C)前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油により作動するアクチュエーター部分とそのアクチュエーター部分に負荷を与える負荷部分からなる作動部分を有し、かつ
(A)のオイルタンクと(B)の油圧ポンプ、(B)の油圧ポンプと(C)のアクチュエーター部分がそれぞれ作動油送油用配管で直接的または間接的に接続されている油圧装置であって、(B)の油圧ポンプと電動機の間、及び(C)のアクチュエーター部分と負荷部分の間にそれぞれ(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクを測定するためのトルクメーターを備えていることを特徴とする作動油の省電力効果評価装置。 - (C)のアクチュエーター部分が油圧モータであり、(C)の負荷部分が動力計である請求項3に記載の作動油の省電力効果評価装置。
- (B)の油圧ポンプと(C)のアクチュエーター部分を接続している配管の一部に油圧損失増大部を有する請求項3又は4に記載の作動油の省電力効果評価装置。
- 請求項1又は2に記載の作動油の省電力効果評価装置を用いて、オイルタンクから送油される作動油を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油によりアクチュエーター部分を負荷部分で負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧発生部分の電動機消費電力を電力メーターにより測定し、測定した電動機消費電力により作動油の省電力効果を評価することを特徴とする作動油の省電力効果評価方法。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の作動油の省電力効果評価装置を用いて、オイルタンクから送油される作動油を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油によりアクチュエーター部分を負荷部分で負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定した両トルク値により(B)から(C)へのトルク伝達効率を求め、求めたトルク伝達効率により作動油の省電力効果を評価することを特徴とする作動油の省電力効果評価方法。
- 請求項3〜5のいずれかに記載の作動油の省電力効果評価装置を用いて、オイルタンクから送油される作動油を油圧ポンプにより昇圧し、前記油圧ポンプから送油される昇圧された作動油によりアクチュエーター部分を負荷部分で負荷を与えながら作動させ、(B)の油圧ポンプのトルク及び(C)のアクチュエーター部分のトルクをトルクメーターにより測定し、測定したトルク値により(B)及び(C)の仕事量を算出し、算出した両仕事量により、(B)から(C)への仕事量伝達効率を求め、求めた仕事量伝達効率により作動油の省電力効果を評価することを特徴とする作動油の省電力効果評価方法。
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