JP2011079472A - モーターの回転トルク伝達機構および該機構を有する車両用シート - Google Patents

モーターの回転トルク伝達機構および該機構を有する車両用シート Download PDF

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Abstract

【課題】モーターの共用化を図り、共用化に起因するモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することが可能な車両用シート向けのモーターの回転トルク伝達機構およびモーターの回転トルク伝達機構を備えた車両用シートを提供する。
【解決手段】単一のモーター44と、モーターの回転トルクを車両用シートの複数の被駆動部品に遮断可能に伝達するクラッチユニット46と、複数の被駆動部品のいずれに回転トルクを伝達するかを選択可能に切り替えるスイッチユニット48とを有し、スイッチユニット48は、軸方向に略直交する向きに外表面62の周方向に周溝を備え、軸方向に可動シャフト50を有し、クラッチユニット46は、可動シャフト50に対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する複数の入力軸で、1つが前記モーターの回転シャフトに連結、軸方向に隣合う入力軸が端面を対向させて連結されて回転トルクを伝達する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モーターの回転トルク伝達機構および該機構を有する車両用シートに関し、より詳細には、モーターの共用化を図りつつ、共用化に伴ってモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することが可能なモーターの回転トルク伝達機構および該機構を有する車両用シートに関する。
従来、車両用シートのクッションシートには、クッションシートに要求される機能性から、種々のモーターが付設されている。
このような車両用シートのクッションシートの例を説明すれば、車両用シートは、クッションシートとバックシートとからなり、クッションシートは、クッションシートフレーム構造と、クッションシートフレーム構造を覆うように設けられたパッドと、クッションシートフレーム構造およびパッドを覆うように設けられた袋状の表皮材とからなり、一方バックシートは、バックシートフレーム構造と、バックシートフレーム構造を覆うように設けられたパッドと、バックシートフレーム構造およびパッドを覆うように設けられた袋状の表皮材とからなり、クッションシートフレーム構造は、車両の前後方向に延びる一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームの前部同士を連結する前部フレームと、一対のサイドフレームの後部同士を連結する後部フレームとを有し、一方バックシートフレーム構造は、車両の上下方向に延びる一対のサイドフレームと、一対のサイドフレームの下部同士を連結する下部フレームと、一対のサイドフレームの上部同士を連結する上部フレームとを有する。
図21に示すように、バックシートBがクッションシートCに対して車両の前後方向に傾動可能なようにクッションシートCの後部とバックシートCの下部との間にリクライナー機構Rが設けられ、このリクライナー機構Rには、バックシートBをクッションシートCに対して傾動するのにリクライナー用モーターR1が、クッションシートフレーム構造の一方のサイドフレームの後端部に設けられる。
また、クッションシートCには、搭乗者の要求に応じてその着座位置を車両の前後方向に調整可能なようにスライド機構Sが設けられ、このスライド機構Sには、クッションシートFを車両の前後方向に駆動するのにスライド用モーターR2がクッションシートフレーム構造の前端に設けられる。
さらに、クッションシートCには、搭乗者の要求に応じてその着座高さを調整可能なように、リフター機構Lが設けられ、このリフター機構Lには、クッションシートCを車両の上下方向に駆動するのにリフター用モーターR3がクッションシートフレーム構造の車両前後方向のほぼ中央に設けられる。
加えて、クッションシートには、搭乗者の要求に応じてその前部の傾斜角度を調整可能なように前チルト機構Tが設けられ、この前チルト機構Tには、クッションシートCの前部を傾斜させるのに前チルト用モーターR4が、クッションシートフレーム構造の一方のサイドフレームの前端部に設けられる。
以上のように、昨今、クッションシートには、リクライナー用モーターR1、リフター用モーターR2、スライド用モーターR3および前チルト用モーターR4の計4基のモーターが、クッションシートCの様々な位置に設置されていた。
このことに起因して、以下に示すような技術的問題点が引き起こされていた。
すなわち、モーターは、重量部品要素であり、複数のモーターの設置に伴い車両シート自体の重量化が増大し、昨今の車両軽量化による燃費低減に逆行する点である。
複数のモーターの存在により、それだけ故障、あるいは不具合のリスクを分散することが可能であるとしても、そのうちの1つでも故障あるいは不具合を生じれば、シートフレーム構造に固定されたモーターにアクセスするのに、車両シートの表皮材を剥がし、パッドを取り外す等の大掛かりな作業が必要となる。
この点、昨今のモーター関連技術の進歩により、モーターに対する信頼性は格段に向上しており、個別にモーターを設けることにより、故障あるいは不具合のリスクを分散する必要性は減じている。
このような背景から、昨今では、複数のモーターを共用化することにより、車両用シートの軽減化を達成することが要望されている。
かといって、前述のように、クッションシートの種々の離れた位置に設置されている複数のモーターの共用化を実現しようとすれば、共用化に伴ってモーターの回転トルク伝達機構が必要となるが、共用化による重量低減が回転トルク伝達機構の重量増大により相殺されては問題の解決とはならない。
そこで、上記技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、モーターの共用化を図りつつ、共用化に起因するモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することが可能なモーターの回転トルク伝達機構およびモーターの回転トルク伝達機構を備えた車両用シートを提供することにある。
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートのモーターの回転トルク伝達機構は、
単一のモーターと、
該モーターの回転トルクを車両用シートの複数の被駆動部品に遮断可能に伝達するクラッチユニットと、
複数の被駆動部品のいずれに回転トルクを伝達するかを選択可能に切り替えるスイッチユニットとを有し、
前記スイッチユニットは、
外表面に軸方向に略直交する向きに周方向全体に亘って設けられた周溝を備え、軸方向に可動な可動シャフトを有し、
前記クラッチユニットは、
それぞれ、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する複数の入力軸であって、1つが前記モーターの回転シャフトに連結され、軸方向に隣合う入力軸が互いに端面を対向させて連結される複数の入力軸と、
それぞれが、前記可動シャフトに対して同心状に設けられ、内周面全体に亘って内歯が設けられ、対応する前記入力軸の前記端面側で前記可動シャフトの軸方向を中心に回転可能に支持された複数の環状歯車と、
それぞれが、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌し、対応する前記環状歯車に連結される一方、前記複数の被駆動部品の対応する部品に連結されて回転トルクを伝達する複数の出力軸と、
それぞれが、対応する前記環状歯車の環状スペース内に配置された複数のラッチであって、それぞれ、軸方向に延びるピンによって枢支され、ラッチの一方の先端が前記周溝に陥ることにより、他方の先端が前記内歯と噛み合う回転トルク伝達位置と、ラッチの一方の先端が前記可動シャフトの前記外表面に係合することにより、他方の先端が前記内歯との噛み合いが解除される回転トルク非伝達位置との間で該ピンを中心に回転可能に、対応する前記入力軸の前記端面に設けられた複数のラッチと、
それぞれが、対応する前記ラッチを前記回転トルク伝達位置に向かって付勢する複数の捩じりばねとを有し、
前記スイッチユニットは、
さらに、選択した前記複数の被駆動部品のいずれかに対応する前記複数のラッチの1つの軸方向位置に前記周溝を位置決め可能なように、前記可動シャフトをその軸方向に移動する可動シャフト移動手段を有する、構成としている。
以上の構成を有するモーターの回転トルク伝達機構によれば、モーターの回転シャフトに連結された1つの入力軸からの回転トルクは、互いに連結される他の入力軸に伝達され、それぞれの入力軸の端面に固定されるとともに、軸方向に延びるピンにより枢支されるラッチは、対応する入力軸と一体で、可動シャフトの軸方向を中心として回転する。
その際、スイッチユニットを通じて、シャフト移動手段により可動シャフトを軸方向に移動することにより、可動シャフトの外表面に設けた周溝を、車両用シートの複数の被駆動部品のうち選択した1つに対応するラッチの軸方向位置に移動する。
可動シャフトの軸方向を中心として回転するラッチは、捩じりばねにより回転トルク伝達位置に常時付勢されているが、一方の先端が可動シャフトの表面に係合することにより、他方の先端は内歯との噛み合いが解除される回転トルク非伝達位置とされているところ、一方の先端が可動シャフトの周溝に陥ることにより、ピンを中心に回転し、それによりラッチの他方の先端が対応する環状歯車の内歯と噛み合い、回転トルク非伝達位置から回転トルク伝達位置に切り替わる。
これにより、環状歯車は、可動シャフトの軸方向を中心として回転するラッチを通じて可動シャフトの軸方向を中心に回転し、環状歯車に連結した出力軸に回転トルクが伝達される。
以上のように、入力軸、ラッチ、環状歯車の内歯、環状歯車に連結された出力軸を通じて、選択した被駆動部品を駆動することが可能であり、別の被駆動部品を駆動する場合には、スイッチユニットにより周溝が別の被駆動部品に対応するラッチの軸方向位置まで可動シャフトを軸方向に移動させればよい。
かくして、車両用シートの複数の被駆動部品を駆動するのに、他の被駆動部品に対応するラッチを回転トルク非伝達位置に維持しつつ、選択した1つの被駆動部品に対応するラッチを回転トルク伝達位置に切り替えることが可能であり、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することにより、車両用シートの軽量化を達成することが可能となる。
また、前記スイッチユニットは、さらに、前記可動シャフトが嵌合する固定シャフトと、前記可動シャフトを前記固定シャフトから離れる向きに軸方向に付勢する付勢手段とを有するのがよい。
さらにまた、前記クラッチユニットは、それぞれが、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する環状ブラケットであって、その一方の面に前記可動シャフトの軸方向に突出する前記ピンを備えた複数の環状ブラケットをさらに有し、
前記複数の環状歯車はそれぞれ、対応する前記環状ブラケットの前記一方の面の側に設けられ、
前記ラッチは、対応する前記複数の環状ブラケットの前記一方の面に設けられるのがよい。
加えて、前記複数の出力軸は、前記リクライナー機構用の出力軸、前記リフター機構用の出力軸、前記スライド機構用の出力軸、前記チルト用の出力軸を有し、これらの出力軸は、前記可動シャフトの軸方向にこの順に配置されるのがよい。
さらに、前記環状ブラケットは、前記一方の面の反対面同士を背中合わせに当接する形態で一対設けられ、該一対の環状ブラケットに対応して、1つの周溝が設けられ、該周溝の軸方向の溝長さは、前記一対の環状ブラケットの一方に対応する前記ラッチが回転トルク伝達位置にあるとき、前記一対の環状ブラケットの他方に対応する前記ラッチが回転トルク非伝達位置にあることが可能な長さであるのがよい。
さらにまた、前記一対の環状ブラケットにはそれぞれ、前記ピンが貫通する貫通穴が設けられ、対応する貫通穴が整列するように配置されて、前記ピンが前記一対のフランジ付ブラケットを貫通するように設けられるのがよい。
さらに、前記クラッチユニットは、前記一対の環状ブラケットの背中合わせ面に関して略対称なユニット構成とされるのがよい。
さらにまた、前記クラッチユニットは、前記可動シャフトに対して直列に複数設けられ、隣合う前記クラッチユニット同士は、隣接するそれぞれの前記入力軸同士の前記端面の反対側の端面同士を突き合わせて、前記可動シャフトの軸方向を中心に一体で回転可能にピン結合されるのがよい。
加えて、前記スイッチユニットは、回転ノブと、回転ノブの外表面に付設された並進ノブとを有し、該回転ノブは、その回転位置に応じて前記周溝の位置を位置決めし、該並進ノブは、その並進方向に応じて前記モーターの回転方向を選択し、前記シャフト移動手段は、前記回転ノブと前記クラッチユニットとの間に配置され、かつ前記回転ノブに連結され、前記可動シャフトの軸方向を中心に回転可能な螺旋状の傾斜面を有するカムを有し、該傾斜面は、前記可動シャフトの端面に係合するのがよい。
さらに、前記出力軸は、対応する前記環状歯車に対してスプリングピンにより前記可動シャフトの軸方向に一体に回転するように固定され、かつ周方向全体に亘って外歯を備えた環状歯車を有し、該環状歯車は、ニードルベアリングを介して前記可動シャフトの軸方向に回転可能に対応する前記入力軸によって支持されるのがよい。
加えて、前記ピンは、対応する前記ラッチを貫通し、対応する前記入力軸の前記端面におよぶ長さを有し、前記端面は、前記ピンの先端を受け入れる穴を有し、前記ラッチは、前記ピンにより前記端面に固定されるのがよい。
さらに、前記環状ブラケットは、前記一方の面の側においてその周縁に亘って対応する前記入力軸の前記端面に向かって延びるフランジを有し、対応する前記環状歯車は、前記フランジの内周面によって支持されるのがよい。
さらにまた、前記周溝は、対応する前記ラッチが回転トルク伝達位置にあるとき、前記ラッチの前記一方の先端が前記周溝に対して非係合であるような深さを有するのがよい。
加えて、前記周溝は、対応する前記ラッチが回転トルク非伝達位置と回転トルク伝達位置との間で移動中に前記周溝によって案内されるように、前記可動シャフトの軸方向の断面が、最深点に向かって傾斜する形状を有するのがよい。
さらに、前記周溝は、前記可動シャフトの軸方向の断面が、くの字の形状を有するのがよい。
加えて、前記環状歯車は、それぞれが前記可動シャフトの軸方向に向けられ、互いに前記可動シャフトの周方向に角度間隔を隔てて配置された複数のローラーベアリングを介して、対応する前記出力軸によって支持されるのがよい。
さらにまた、前記複数のラッチそれぞれは、くの字状であり、くの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の回転方向遅れ側に位置し、
前記一方の先端は、前記内歯の隣り合う前記入力軸の回転方向遅れ側の面および回転方向進み側の面それぞれに当接する当接面を有し、
前記内歯の前記入力軸の回転方向遅れ側の面が前記ねじりばねによる付勢力の受け面、一方前記内歯の前記入力軸の回転方向進み側の面が前記入力軸による回転トルクの伝達面を構成するのがよい。
さらに、前記複数のラッチそれぞれにおいて、くの字状でありくの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の一回転方向遅れ側に位置するラッチと、くの字状でありくの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の前記一回転方向と逆回転方向遅れ側に位置するラッチと、を有するのがよい。
加えて、前記複数のラッチそれぞれは、三角形状であり、三角形状の1つの頂点で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記頂点が前記ラッチの他の2つの頂点より前記入力軸の回転方向遅れ側に位置し、
前記一方の先端は、前記内歯の隣り合う前記入力軸の回転方向遅れ側の面および回転方向進み側の面それぞれに当接する当接面を有し、
前記内歯の前記入力軸の回転方向遅れ側の面が前記ねじりばねによる付勢力の受け面、一方前記内歯の前記入力軸の回転方向進み側の面が前記入力軸による回転トルクの伝達面を構成するのがよい。
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートは、請求項1ないし請求項15いずれか1項に記載のモーターの回転トルク伝達機構を有する構成としている。
上記課題を達成するために、本発明に係るモーターの回転トルク伝達機構は、
単一のモーターと、
1つが前記モーターの回転シャフトに連結され、隣合う入力軸が互いに端面を対向させて軸方向に直列に整列する複数の入力軸と、
前記複数の入力軸の軸方向に隣合う入力軸同士の間で回転トルクを伝達する第1回転トルク伝達媒体とを有し、
それにより、前記複数の入力軸が一体で軸方向を中心に回転可能であり、
それぞれ、前記複数の入力軸の対応する入力軸に対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌し、複数の被駆動部品の対応する部品に連結されて、前記モーターによる回転トルクを対応する部品に伝達する複数の出力軸と、
それぞれ、前記複数の入力軸の各々の端面に設けられ、先端が前記端面の周縁から突出することにより前記複数の出力軸の対応する出力軸に回転トルクを伝達する回転トルク伝達位置と、先端が前記端面の周縁から内方に引っ込むことにより、対応する出力軸に回転トルクを伝達しない回転トルク非伝達位置との間で可動であって、前記対応する出力軸に回転トルクを伝達する複数の第2回転トルク伝達媒体と、をさらに有する構成としている。
以上の構成を有するモーターの回転トルク伝達機構によれば、単一のモーターの回転により複数の入力軸の1つがその軸方向を中心として回転し、第1回転トルク伝達媒体により隣合う入力軸同士の間で回転トルクが伝達されるので、複数の入力軸が一体で軸方向を中心に回転可能である。
複数の入力軸それぞれの端面には第2回転トルク伝達媒体が設けられているので、複数の入力軸が一体で軸方向を中心に回転することにより、第2回転トルク伝達媒体も同様に、軸方向を中心に回転する。
複数の被駆動部品のうち、単一のモーターによる回転トルクにより駆動を所望する被駆動部品を選択したら、その被駆動部品が連結される出力軸を複数の出力軸から選択し、その出力軸に対応する入力軸の端面に設けられた第2回転トルク伝達媒体を回転トルク非伝達位置から回転トルク伝達位置に移動させる。それにより、第2回転トルク伝達媒体の先端は、端面の周縁から突出することにより対応する出力軸に回転トルクを伝達することが可能であり、以てその出力軸に連結される被駆動部品を駆動することができる。他の被駆動部品を選択する場合には、それに応じて出力軸、かくしてそれに対応する第2回転トルク伝達媒体を回転トルク非伝達位置から回転トルク伝達位置に移動させることにより、選択した被駆動部品を駆動することができる。
以上より、単一のモーターにより、複数の被駆動部品を駆動することが可能であり、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することが可能となる。
さらに、前記第1回転トルク伝達媒体は、隣合う入力軸の前記端面同士を連結する軸方向に延びるピンであり、前記第2回転トルク伝達媒体は、該ピンにより枢支され、該ピンを中心に前記回転トルク伝達位置と前記回転トルク非伝達位置との間で回転可能であるのがよい。
さらにまた、前記複数の入力軸が同心状に外嵌する軸方向に可動な可動シャフトをさらに有し、
該可動シャフトは、軸方向に略直交する向きに外表面の周方向全体に亘って設けられた周溝を備え、
前記第2回転トルク伝達媒体は、くの字状のラッチにより構成され、該ラッチは、くの字の中心位置で前記ピンによって枢支され、該ラッチの一方の先端が前記周溝に陥ることにより、他方の先端が前記出力軸に係止する前記回転トルク伝達位置と、ラッチの一方の先端が前記可動シャフトの前記外表面に係合することにより、他方の先端が前記出力軸と係止解除する前記回転トルク非伝達位置との間で、該ピンを中心に回転可能であるのがよい。
本発明に係る車両用シートのモーターの回転トルク伝達機構およびモーターの回転トルク伝達機構を備えた車両用シートによれば、車両用シートの複数の被駆動部品を駆動するのに、可動シャフトの周溝を選択した1つの被駆動部品に対応するラッチの軸方向位置に移動することを通じて、他の被駆動部品に対応するラッチを回転トルク非伝達位置に維持しつつ、選択した1つの被駆動部品に対応するラッチを回転トルク伝達位置に切り替えることが可能であり、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することにより、車両用シートの軽量化を達成することが可能となる。
本発明に係るモーターの回転トルク伝達機構によれば、単一のモーターによる回転トルクにより駆動を所望する被駆動部品を選択したら、その被駆動部品が連結される出力軸を複数の出力軸から選択し、その出力軸に対応する入力軸の端面に設けられた第2回転トルク伝達媒体を回転トルク非伝達位置から回転トルク伝達位置に移動させることにより、第2回転トルク伝達媒体の先端が、端面の周縁から突出し、それにより対応する出力軸に回転トルクを伝達することを通じて、その出力軸に連結される被駆動部品を駆動することが可能であり、それにより、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することができる。
本発明に係る車両用シート10の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用シートの全体斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の全体斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の別の方向から見た全体斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構が車両用シートに設置された状況を示す全体斜視図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構が車両用シートに設置された状況を別の方向を見た全体斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の可動シャフトおよび固定シャフトの分解斜視図である。図7は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の断面図である。図8は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構のスイッチユニットのスイッチノブの平面図である。図9は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構のクラッチユニットの分解斜視図である。図10は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチが回転トルク伝達位置にある状態を示す断面図である。図11は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチが回転トルク非伝達位置にある状態を示す断面図である。図12は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチ、ピン、および環状歯車の位置関係を示す部分模式図である。図13は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、入力軸のある回転方向に対して、くの字ラッチが回転トルク伝達位置にある状態を示す部分概略図である。図14は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、可動シャフトの周溝の詳細を示す図である。図15は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、リクライナー駆動位置にある状態を示す、スイッチノブ、ラッチと周溝との位置関係、およびラッチと環状歯車との位置関係を示す図であり、図15(A)は、スイッチノブの回転ノブの正面図、図15(B)は、図15(A)の回転ノブの位置に応じた可動シャフトの軸方向位置を示す概略側面図、図15(C)は、図15(B)の線A−Aから見た、スライダー用ラッチ88bの位置を示す図である。図16は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、スライド駆動位置にある状態を示す、図15と同様な図である。 図17は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、スライド駆動位置から前チルト駆動位置に移動する状態を示す、図15と同様な図である。図18は、本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、前チルト駆動位置にある状態を示す、図15と同様な図である。
図1に示すように、車両用シート10は、従来と同様に、クッションシート11とバックシート13とからなり、クッションシート11は、クッションシートフレーム構造12と、クッションシートフレーム構造12を覆うように設けられたパッド(図示せず)と、クッションシートフレーム構造12およびパッドを覆うように設けられた袋状の表皮材(図示せず)とからなり、一方バックシート13は、バックシートフレーム構造14と、バックシートフレーム構造14を覆うように設けられたパッド(図示せず)と、バックシートフレーム構造14およびパッドを覆うように設けられた袋状の表皮材(図示せず)とからなり、クッションシートフレーム構造12は、車両の前後方向に延びる一対のサイドフレーム16a,bと、一対のサイドフレーム16a,bの前部同士を連結する前部フレーム18と、一対のサイドフレーム16a,bの後部同士を連結する後部フレーム20とを有し、一方バックシートフレーム構造14は、車両の上下方向に延びる一対のサイドフレーム22a,bと、一対のサイドフレーム22a,bの下部同士を連結する下部フレーム24と、一対のサイドフレーム22a,bの上部同士を連結する上部フレーム26とを有する。
バックシート13がクッションシート11に対して車両の前後方向に傾動可能なようにクッションシート11の後部とバックシート13の下部との間にリクライナー機構28が設けられ、このリクライナー機構28は、後に説明する単一のモーター44により駆動される。
また、クッションシート11には、搭乗者の要求に応じてその着座位置を車両の前後方向に調整可能なようにスライド機構32が設けられ、このスライド機構32は、後に説明する単一のモーター44により駆動される。
さらに、クッションシート11には、搭乗者の要求に応じてその着座高さを調整可能なように、リフター機構36が設けられ、このリフター機構36は、後に説明する単一のモーター44により駆動される。
加えて、クッションシート11には、搭乗者の要求に応じてその前部の傾斜角度を調整可能なように前チルト機構40が設けられ、この前チルト機構40は、後に説明する単一のモーター44により駆動される。
図2および図3に示すように、モーターの回転トルク伝達機構200は、単一のモーター44と、モーター44の回転トルクを車両用シート10の複数の被駆動部品に遮断可能に伝達するクラッチユニット46と、複数の被駆動部品のいずれに回転トルクを伝達するかを選択可能に切り替えるスイッチユニット48とから概略構成されている。この場合、複数の被駆動部品は、リクライナー機構28、リフター機構36、スライド機構32、および前チルト機構40である。
図4および図5に示すように、モーターの回転トルク伝達機構200は、車両シート前部であって、クッションシート11と車床との間のスペース201に設置され、このスペース201内で後に説明するスイッチユニット48の一部を構成する可動シャフト50を車両の幅方向に向けて、同様にスイッチユニット48の一部を構成する、可動シャフト50の一端に装着されたスイッチノブ52が車両シートの側部に配置される。
単一のモーター44は、従来既知の電動タイプであり、モーター44の回転シャフトと、後に説明する入力軸54との間には、従来既知の減速機構(図示せず)が設けられ、電気系統接続ライン203により単一のモーター44が電気駆動されるようになっている。
図6に示すように、スイッチユニット48は、一端にスイッチノブ52が連結された可動シャフト50と、可動シャフト50が嵌合する固定シャフト56と、可動シャフト50を固定シャフト56から離れる向きに、スイッチノブ52に向けて軸方向に付勢するバネ58とから概略構成されている。
図6および図7に示すように、可動シャフト50は、その外表面62に軸方向に略直交する向きに設けられた周溝60を備える。より詳細には、後に説明する2組のクラッチユニット46a,bそれぞれに対応する2つの周溝60a,bが設けられ、この2つの周溝60a,bはそれぞれ、可動シャフト50の外表面62の周方向全体に亘って設けられ、互いに可動シャフト50の軸方向に所定間隔を隔て、後に説明するスイッチノブ52を操作することにより、可動シャフト50がバネ58の付勢力に抗してその軸方向に移動し、以て2つの周溝60a,bを2組のクラッチユニット46a,bとの関係で、所望の軸方向位置に位置決めできるようにしている。
図2に示すように、スイッチノブ52は、回転ノブ64と、回転ノブ64の外表面に付設された並進ノブ66とを有し、回転ノブ64は、その回転位置に応じて周溝60の位置を位置決めし、並進ノブ66は、その並進方向に応じてモーター44の回転方向を選択するようにしてある。
図3に示すように、回転ノブ64は、その回転軸線が可動シャフト50の軸方向と平行となるように配置され、回転ノブ64と可動シャフト50の一端との間には、歯車減速機71を介して可動シャフト50の軸方向を中心に回転可能な螺旋状の傾斜面68を有するカム70が設けられ、傾斜面68は、可動シャフト50の端面に係合する。可動シャフト50は、バネ58により常時カム70の傾斜面68に対して押し付けられているところ、回転ノブ64を回転することにより、カム70が可動シャフト50の軸方向を中心に回転し、それに応じて可動シャフト50の端面が係合する傾斜面68の軸方向位置が変動し、可動シャフト50に設けた周溝60の軸方向位置が移動するようにしている。
図8に示すように、回転ノブ64の回転位置は、リクライナー駆動位置74、リフター駆動位置76、スライダー駆動位置78、および前チルト駆動位置80を有し、それぞれの駆動位置に回転ノブ64を回転することにより、それに応じて2つの周溝60a,bが軸方向に移動し、たとえばリクライナー駆動位置74の場合には、後に説明する2組のクラッチユニット46a,bのうち、クラッチユニット46aのリクライナー用出力軸93aにのみモーターの回転トルクが伝達されるようにしている。
より詳細には、図8に示すように、スライダー駆動位置78は、回転ノブ64の角度が水平であり、リフター駆動位置76は、回転ノブ64の角度が鉛直であり、チルト駆動位置は、車両の前から後に向かって下方に傾斜し、リクライナー駆動位置74は、車両の前から後に向かって上方に傾斜する。このように、回転ノブ64の各回転位置を駆動する部品であるリクライナー機構28、リフター機構36、スライダー機構32、および前チルト機構40の動きに合わせることにより、搭乗者が移動を望む駆動部品に対応する回転ノブ64の位置を目視確認することなく、感覚的に操作することが可能となる。
一方、並進ノブ66は、単一のモーター44の電気系統に接続され、回転ノブ64を所望の回転位置に回転させた状態で、並進ノブ66を並進させることにより、並進の向きに応じて、モーターの回転方向を選択することを可能としている。たとえば、回転ノブ64をリフター駆動位置76に回転させた状態で、並進ノブ66を並進させる際、リフター機構36によりクッションシート11を上昇させる場合には、一方向に並進させ、リフター機構36によりクッションシート11を下降させる場合には、逆方向に並進させ、並進させている時間の間、モーター44を駆動し、以てクッションシート11を上昇、あるいは下降させ続けることが可能としてある。
次に、図7および図9(図9は、2組のクラッチユニットの一方のみ示す)を参照しながら、クラッチユニット46について説明すれば、クラッチユニット46は、前述のように、可動シャフト50の軸方向に直列で2組設けられており、一組目のクラッチユニット46aは、スライド機構32およびリクライナー機構28に選択可能に連結され、二組目のクラッチユニット46bはリフター機構36および前チルト機構40に選択可能に連結され、二組目のクラッチユニット46bが、スイッチノブ52に近い側に設置されている。隣合うクラッチユニット46a,b同士は、隣接するそれぞれの入力軸54c,b同士の端面同士を突き合わせて、可動シャフト50の軸方向を中心に一体で回転可能にピン205により結合されている。
各クラッチユニット46a,bは、同様な構造を有するので、そのうちの1つクラッチユニット46aについて以下に説明する。
クラッチユニット46aは、可動シャフト50に対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する一対の環状ブラケット82a,bを有し、一対の環状ブラケット82a,bは、互いに背中合わせ状態で突き合わせて配置されている。一対の環状ブラケット82a,bそれぞれには、可動シャフト50と同心円状の周方向に90度の等角度間隔を隔てて4つの貫通穴84が設けられ(図9参照)、一対の環状ブラケット82a,bは、対応する貫通穴84同士が整列するように配置されて、一対の環状ブラケット82a,bの対応する貫通穴84同士には、可動シャフト50の軸方向に延びるピン86が貫通し、それにより、一対の環状ブラケット82a,bは可動シャフト50の軸方向を中心にして一体で回転するようにしている。貫通穴84の可動シャフト50の回転軸線からの半径方向距離は、ピン86により枢支されるくの字状ラッチ88(後に説明する)が、回転トルク伝達位置と回転トルク非伝達位置との間で回転可能なように設定すればよい。一対の環状ブラケット82a,bはそれぞれ、その周縁に亘って対応する入力軸54の端面に向かって延びるフランジ83を有し、後に説明する対応する環状歯車92は、フランジ83の内周面85によって支持される。
クラッチユニット46aは、一対の環状ブラケット82a,bの背中合わせ面に関して略対称なユニット構成とされるので、その一方について説明する。
一対の環状ブラケット82a,bの一方82aにおいて、背中合わせ面と反対の一方の面90の側には、可動シャフト50に対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する入力軸54aと、入力軸54aの一方の端面55aに設けられたくの字状のラッチ88a(a1ないし a4)と、可動シャフト50に対してその軸方向を中心として回転可能に配置され、くの字状のラッチ88a(a1ないし a4)と噛み合い可能な環状歯車92aと、可動シャフト50に対してその軸方向を中心として回転可能に配置され、環状歯車92aに連結する出力軸93aとが概略設けられている。
一対の環状ブラケット82a,b、入力軸54a、くの字状のラッチ88a、可動シャフト50、固定シャフト56、環状歯車92a、および出力軸93aはそれぞれ、軽量化の観点から、金属製でなく樹脂製とすることが好ましく、たとえば、強度の高いエンジニアリングプラスチック製がよい。
入力軸54aの一方の端面55aは、対応する環状ブラケット82aの一方の面90aと所定の間隔を隔てて対向するように配置され、入力軸54aの一方の端面55aと環状ブラケット82aの一方の面90aとの間に、後に説明するくの字状のラッチ88a(a1ないし a4)が配置される。入力軸54aの一方の端面55aは、ピン86の先端を受け入れる穴94aを有し、ピン86は、くの字状のラッチ88aを貫通して、入力軸54aの一方の端面の穴94aに嵌るようにしている。
これにより、入力軸54aが可動シャフト50の軸方向を中心として回転することにより、ピン86を通じて入力軸54aの端面55aに設けられたくの字状のラッチ88a(a1ないし a4)および環状ブラケット82aは、入力軸54aと一体で回転するように構成され、さらに一対の環状ブラケット82a,bは、ピン86を通じて一体に回転するので、クラッチユニット46a全体として、一方の入力軸54aが回転することにより、他方の入力軸54bまで一体に回転するようにされている。
入力軸54aの他方の端部は、ギア300を通じてモーター44に連結され、モータ44の駆動力により入力軸54aが可動シャフト50の軸線方向を中心に回転可能とされている。
以上より、1組目のクラッチユニット46aの一方の入力軸54aがモーター44の回転トルクにより回転することにより、この入力軸54aの端面55aに設けられたくの字状のラッチ88a(a1ないしa4)、およびピン86を通じてこの入力軸54aに連結された一対の環状ブラケット82a,b、および他方の入力軸54bは、この一方の入力軸54aと一体で、可動シャフト50の軸方向を中心として回転するように構成され、さらに1組目のクラッチユニット46aと2組目のクラッチユニット46bとは、軸方向に延びるピン205を通じて連結されていることから、2組目のクラッチユニット46bについても同様に、両入力軸54c,d、一対の環状ブラケット82c,d、一対の環状ブラケット82c,d それぞれに設けられたくの字状のラッチ88c(c1ないしc4), 88d(d1ないしd4)は、可動シャフト50の軸方向を中心として回転するようにしてある。
なお、1組目のクラッチユニット46aの一方の入力軸54aは、固定シャフト56の拡径部207の軸方向にスイッチノブ52の遠位側の肩部と当たる係止部209を有し、それにより、この入力軸54a、かくして軸方向に整列する他の入力軸54b,c,dが、軸方向に固定されている。
図10および図11を参照して、くの字状のラッチ88a(a1ないしa4)について説明すれば、くの字状のラッチ88aは、可動シャフト50の軸方向を中心として、周方向に90度の等角度間隔を隔てて4つ設けられ、対応する環状歯車92a の環状スペース内に配置される。それぞれのくの字状のラッチ88aは、くの字の中心位置で軸方向に延びるピン86によって枢支され、ラッチ88aの一方の先端96aが周溝60に陥ることにより、他方の先端98aが内歯100aと噛み合う回転トルク伝達位置と(図10参照)、ラッチ88aの一方の先端96aが可動シャフト50の外表面62に係合することにより、他方の先端98aが内歯100aとの噛み合いが解除される回転トルク非伝達位置と(図11参照)の間で、ピン86を中心に回転可能である。ラッチ88aには、ラッチ88aを回転トルク伝達位置に向かって常時付勢する複数の捩じりバネ99aが設けられている。
くの字の開き角度αは、ラッチ88aが回転トルク伝達位置と回転トルク非伝達位置との間を円滑に回転可能であるように、適宜設定すればよいが、たとえば90度以上180度以下であるのが好ましい。
図12は、1つのくの字状ラッチ88aについて、一方向(図中で時計方向T)に回転するくの字状ラッチ88aにより内歯100aに回転トルクを伝達するために、ピン中心からのラッチの腕の長さd、ピン径c、およびラッチの先端のピン中心からのオフセット量eが満たすべき関係を検討するための模式図である。くの字状ラッチ88aの一方の先端の面308により内歯100aの回転方向進み側の傾斜面304に回転トルクを伝達するためには、ピンからラッチが受ける抗力Rおよび摩擦力μRとの合力Fと、内歯100aからラッチが受ける抗力Rおよび摩擦力μRとの合力Fとが釣り合う必要があることから、力およびモーメントの釣り合い条件から、以下の式が導き出される。なお、内歯100aの回転方向遅れ側の傾斜面302がねじりばね99aにより付勢力の受け面となるが、付勢力は抗力R、Rに比べて小さいので、無視している。

μ=tanθ=e/(c+d) (1)
ピン、ラッチおよび内歯の材質によって定まる摩擦係数μに対して、上式を満たすように、ピン中心からのラッチの腕の長さd、ピン径c、およびラッチの先端のピン中心からのオフセット量eを定めることにより、くの字状ラッチ88aにより内歯100aに回転トルクを伝達することが可能となる。なお、T方向と逆方向の回転トルクを図12の構造により内歯に伝達しようとすると、T方向の場合と異なり、ラッチ自体が逆向きの回転方向に回転してしまうことから困難であり、正逆回転方向の回転トルクを内歯100aに伝達するためには、図12の配置と逆向き、すなわち図12において、ラッチがくの字の開放部が下向きに配置されているのに対して、ラッチのくの字の開放部を上向きにして、一方の先端の面306により内歯100aの面302に回転トルクを別途伝達する必要があることがわかる。
その観点から、図10および図11に示すように、4つのくの字状のラッチ88(a1ないしa4)は、そのうちの1組ずつが、くの字の開放側を互いに対向させた状態で配置され、一方向の回転に対して、一方の組の一方のラッチ88a1と、他方の組のそれと直径方向反対側に配置された一方のラッチ88a3とが回転トルク伝達に寄与し、それに対し、逆方向の回転に対して、一方の組の他方のラッチ88a2と、他方の組のそれと直径方向反対側に配置された他方のラッチ88a4とが回転トルク伝達に寄与するようにしてある。
より詳細には、図13(くの字状のラッチ88a1およびa2のみ示す)に示すように、4つのくの字状のラッチ88a(a1ないしa4)のうち、直径方向反対側に配置されたラッチ88a1とラッチ88a3とはそれぞれ、図13に示す入力軸の回転方向T1に対して入力軸54aから出力軸93aへの回転トルク伝達媒体として機能し、くの字の中心位置で軸方向に延びるピン86によって枢支され、中心位置がラッチの両方の先端より入力軸54aの回転方向遅れ側に位置し、一方の先端98aは、内歯100aの互いに周方向に隣り合う入力軸54aの回転方向遅れ側の傾斜面302および回転方向進み側の傾斜面304それぞれに当接する当接面306、308を有し、内歯100aの入力軸54aの回転方向遅れ側の傾斜面302が、ねじりばね99aによる付勢力の受け面、一方内歯100aの入力軸54aの回転方向進み側の傾斜面304が入力軸54aによる回転トルクの伝達面を構成する。それに対して、4つのくの字状のラッチ88a(a1ないしa4)のうち、直径方向反対側に配置されたラッチ88a2とラッチ88a4とはそれぞれ、上述とは逆方向の図に示す入力軸の回転方向T2に対して入力軸54aから出力軸93aへの回転トルク伝達媒体として機能し、くの字の中心位置で軸方向に延びるピン86によって枢支され、中心位置がラッチの両方の先端より入力軸54aの回転方向遅れ側に位置し、一方の先端98aは、内歯100aの周方向に隣り合う入力軸54aの回転方向遅れ側の傾斜面302および回転方向進み側の傾斜面304それぞれに当接する当接面306、308を有し、内歯100aの入力軸54aの回転方向遅れ側の傾斜面302がねじりばね99aによる付勢力の受け面、一方内歯100aの入力軸54aの回転方向進み側の傾斜面304が入力軸54aによる回転トルクの伝達面を構成する。
変形例として、たとえば4つのくの字状のラッチ88のくの字の開放側を同じ側に向けて配置してもよい。
図14を参照しながら、周溝60aについて、詳細に説明すれば、一対の環状ブラケット82a,bに対応して、1つの周溝60aが設けられ、周溝60aの軸方向の溝長さLは、一対の環状ブラケット82a,bの一方に対応するラッチ88(a1ないしa4)または(b1ないしb4)が回転トルク伝達位置にあるとき、一対の環状ブラケット82a,bの他方に対応するラッチ88が回転トルク非伝達位置にあることが可能な長さである。
いずれかの組のクラッチユニット46の一対の環状ブラケット82のいずれかのラッチ88が回転トルク伝達位置にあるとき、他の組のクラッチユニット46の一対の環状ブラケット82のいずれのラッチ88も回転トルク非伝達位置にあるように、一組目のクラッチユニット46aに対応する周溝60aと二組目のクラッチユニット46bの周溝60bとの軸方向の間隔lを設定する。
周溝60aと周溝60bとは、同様な構造であるので、周溝60aについてのみ以下説明する。周溝60aは、対応するくの字状のラッチ88a,bのいずれかが回転トルク伝達位置にあるとき、そのくの字状のラッチ88の一方の先端96が周溝60aに対して非係合であるような深さDを有する。周溝60aは、対応するくの字状のラッチ88が回転トルク非伝達位置と回転トルク伝達位置との間で移動中に周溝60aによって案内されるように、可動シャフト50の軸方向の断面が、最深点に向かって傾斜する形状を有し、可動シャフト50の軸方向の断面が、くの字の形状を有する。より詳細には、最深点に対して右側に右傾斜部71a、左側に左傾斜部73aを有し、図14において、いずれかのくの字状のラッチ88が回転トルク伝達位置にあるとき、可動シャフト50を軸方向に左側に移動することにより、くの字状のラッチ88の一方の先端96が右傾斜部71aに当たり、一方の先端96が右傾斜部71aによって、可動シャフト50の外表面62まで案内され、それにより回転トルク非伝達位置に達することが可能であり、一方、可動シャフト50を軸方向に右側に移動することにより、くの字状のラッチ88の一方の先端96が左傾斜部73aに当たり、一方の先端96が右傾斜部73aによって、可動シャフト50の外表面62まで案内され、それにより回転トルク非伝達位置に達することが可能である。
図7に示すように、環状歯車92aは、可動シャフト50に対して同心状に設けられ、内周面全体に亘って内歯100aが設けられ(図10および図11参照)、入力軸54a の端面55a側で可動シャフト50の軸方向を中心に回転可能に支持されている。より具体的には、環状歯車92aは、それぞれが可動シャフト50の軸方向に向けられ、互いに可動シャフト50の周方向に角度間隔を隔てて配置された複数のスプリングピン102aを介して、出力軸93aによって支持される。内歯100の歯数、歯の高さ等は、内歯とラッチの一方の先端とが円滑に噛み合い可能となるように適宜選択すればよい。
出力軸93aは、リクライナー機構28に回転トルクを出力するものであり、それぞれ、入力軸54aに対して軸方向と直交する向きに固定された固定環状ブラケット101aと入力軸54aの肩部211aとの間で軸方向に延びるように支持され、軸方向を中心に周方向に等角度間隔を隔てて配置された複数のローラーベアリング103aを介して入力軸54aによって支持され、これにより、出力軸93aは環状歯車92aと一体で、入力軸54aとは独立に、軸方向を中心に回転可能になっている。
出力軸93aは、外周面に周方向全体に亘る外歯を備えた環状歯車113aを有し、この環状歯車113aは、歯車減速機構およびトルクケーブル(いずれも図示せず)を介して、リクライナー機構28に連結され、リクライナー機構28に回転トルクを伝達するようにしてある。
クラッチユニット46a の環状ブラケット82a の側は、以上のような構成を有し、クラッチユニット46a の環状ブラケット82b の側の構造は、出力軸93b が、スライド機構32に回転トルクを出力するものである一方、入力軸54b が、モーター44の回転シャフトに連結されていない点を除き、環状ブラケット82a の側の構造と同様である。さらに、二組目のクラッチユニット46bについても同様であり、出力軸93c が、前チルト機構40に回転トルクを出力するものである一方、出力軸93dが、リフター機構36に回転トルクを出力するものである以外、クラッチユニット46bの環状ブラケット82cの側の構造とクラッチユニット46bの環状ブラケット82dの側の構造とは、対称的であり、入力軸54cと入力軸54dとは、ともにモーター44の回転シャフトに直接連結されていない。
なお、車両シートのフレーム構造に固定するための固定ブラケット(図示せず)をさらに有し、固定ブラケットは、可動シャフト50に外嵌し、可動シャフト50の軸方向に直交する向きに設けられる。
以上の構成を有するモーターの回転トルク伝達機構200の作用を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
ここでは、リクライナー駆動位置にある回転ノブ64を前チルト駆動位置に移動する場合を例に説明する。
なお、可動シャフト50に設けた第1周溝60aおよび第2周溝60bそれぞれにおいて、溝の軸方向の長さLを適宜に調整することにより、軸方向に隣合うリクライナー用ラッチ88aおよびスライド用ラッチ88b、軸方向に隣合う前チルト用ラッチ88cおよびリフター用ラッチ88dそれぞれについて、いずれか一方のラッチ88が回転トルク伝達位置にあるとき、他方のラッチ88は回転トルク非伝達位置にあるようにし、さらに第1周溝60aと第2周溝60bとの間の軸方向の間隔lを適宜に調整することにより、リクライナー用ラッチ88aおよびスライド用ラッチ88bのいずれかが回転トルク伝達位置にあるとき、前チルト用ラッチ88cおよびリフター用ラッチ88dはいずれも回転トルク非伝達位置にあるようにし、一方前チルト用ラッチ88dおよびリフター用ラッチ88dのいずれか回転トルク伝達位置にあるとき、リクライナー用ラッチ88aおよびスライド用ラッチ88bはいずれも回転トルク非伝達位置にあるようにしている。
これにより、4種類のラッチ88、すなわち、リクライナー用ラッチ88a、スライド用ラッチ88b、前チルト用ラッチ88cおよびリフター用ラッチ88dのうち、いずれか1つが回転トルク伝達位置にあるときは、他の3つは、回転トルク非伝達位置にあるようにしている。この場合、各ラッチにおいて、入力軸の回転方向が図面上時計まわりのときは、ラッチ88a1およびラッチ88a3が回転トルク伝達媒体として機能し、一方入力軸の回転方向が図面上時計反対まわりのときは、ラッチ88a2およびラッチ88a4が回転トルク伝達媒体として機能する。
単一のモーター44の回転トルクが、入力軸54aに伝達され、それによりくの字状のラッチ88aないし88d、および他の入力軸54bないし54dが一体で、可動シャフト50の軸方向を中心として回転しているとする。
図15(A)に示すように、回転ノブ64は、リクライナー駆動位置にあり、リクライナー用ラッチ88aそれぞれの一方の先端96aが対応するねじりばね99aにより回転トルク伝達位置へ付勢されることにより、リクライナー用ラッチ88aの他方の先端98aがリクライナー用環状歯車92aと噛み合い、それによりモーター44の回転トルクがリクライナー用環状歯車92a、かくしてリクライナー用出力軸93aに伝達されるようになっている一方、図15(B)および(C)に示すように、スライダー用ラッチ88b、前チルト用ラッチ88cおよびリフター用ラッチ88dそれぞれの一方の先端96b,96c,96dは、可動シャフト50の外表面62に係合することにより、スライダー用ラッチ88b、前チルト用ラッチ88cおよびリフター用ラッチ88dそれぞれの他方の先端98b,98c,98dが対応する環状歯車92b,92c,92dと噛み合い解除され、それによりモーターの回転トルクがスライダー用出力軸93b、前チルト用出力軸93c、およびリフター用出力軸93dに伝達されないようになっている。
ここで、図16(A)に示すように、回転ノブ64をリクライナー駆動位置からスライド駆動位置に回転させる。それにより、カム70の螺旋状の傾斜面68の位置が移動し、図16(B)の矢印に示すように、可動シャフト50が図面上左に移動して、リクライナー用ラッチ88aそれぞれの一方の先端96aが可動シャフト50の外表面62に係合することにより、リクライナー用ラッチ88aそれぞれの他方の先端98aが、リクライナー用環状歯車92aと噛み合い解除される回転トルク非伝達位置まで、捩じりバネ58の付勢力に抗してピン86を中心に回転する一方、スライド用ラッチ88bそれぞれの一方の先端96bが対応する第1周溝60aに陥ることにより、スライド用ラッチ88bの他方の先端98bがスライド用環状歯車92bと噛み合い、それによりモーターの回転トルクがスライド用環状歯車92b、かくしてスライド用出力軸93bに伝達される。
より詳細には、第1周溝60aの最深部に位置していたリクライナー用ラッチ88aの一方の先端96aは、可動シャフト50が図面上左に移動することにより、第1周溝60aの右傾斜面71に当たり、右傾斜面71により押し上げられながら可動シャフト50の外表面62に係合する。それに対して、可動シャフト50の外表面62に係合していたスライド用ラッチ88bの一方の先端96bは、回動シャフトが図面上左に移動することにより、第1周溝60aの左傾斜面73に当たり、第1周溝60aの最深部に至る。
この場合、図16(C)に示すように、スライド用ラッチ88bの一方の先端96bが第1周溝60aの最深部に至るまでに、スライド用環状歯車92bの尖端部と干渉することがある。このような干渉が原因で、可動シャフト50の図面上左への移動、かくして回転ノブ64のスライド駆動位置への回転がロックされる事態が想定される。しかしながら、図16(B)に示すように、スライド用ラッチ88bの一方の先端96bと第1周溝60aの最深部との間にクリアランスを確保しておくことにより、このようなロックを回避して、可動シャフト50をスライド駆動位置まで円滑に移動することが可能となる。
次いで、図17(A)に示すように、回転ノブ64をスライド駆動位置から前チルト駆動位置に回転させる。それにより、カム70の螺旋状の傾斜面68の位置が移動し、図17(B)の矢印に示すように、可動シャフト50が図面上左に移動して、図17(C)に示すように、スライド用ラッチ88bそれぞれの一方の先端96bが可動シャフト50の外表面62に係合することにより、スライド用ラッチ88bそれぞれの他方の先端98bが、スライド用環状歯車92bと噛み合い解除される回転トルク非伝達位置まで、捩じりバネ58の付勢力に抗してピン86を中心に回転する。
次いで、図18(A)に示すように、回転ノブ64が前チルト駆動位置に達すると、図18(B)に示すように、前チルト用ラッチ88cそれぞれの一方の先端96cが対応する第2周溝60bに陥ることにより、前チルト用ラッチ88cの他方の先端98cが前チルト用環状歯車92cと噛み合い、それによりモーター44の回転トルクが前チルト用環状歯車92c、かくして前チルト用出力軸93cに伝達される。
この場合、前述のスライド駆動位置の場合と同様に、前チルト用ラッチ88cの一方の先端96cが第2周溝60bの最深部に至るまでに、前チルト用環状歯車92cの尖端部と干渉することがあるが、前チルト用ラッチ88cの一方の先端96cと第2周溝60bの最深部との間にクリアランスを確保しておくことにより、このような干渉によるロックは回避されるようになっている。
以上の構成を有するモーターの回転トルク伝達機構200によれば、モーター44の回転シャフトに連結された1つの入力軸54からの回転トルクは、互いに連結される他の入力軸54に伝達され、それぞれの入力軸54の端面55に設けられるとともに、軸方向に延びるピン86により枢支されるくの字状のラッチ88は、対応する入力軸54と一体で、可動シャフト50の軸方向を中心として回転する。
その際、スイッチユニット48を通じて、シャフト移動手段により可動シャフト50を軸方向に移動することにより、可動シャフト50の外表面62に設けた周溝60を、車両用シート10の複数の被駆動部品のうち選択した1つに対応するくの字状のラッチ88の軸方向位置に移動する。
可動シャフト50の軸方向を中心として回転するラッチ88は、捩じりばね99により回転トルク伝達位置に常時付勢されているが、一方の先端96が可動シャフト50の表面62に係合することにより、他方の先端98は内歯100との噛み合いが解除される回転トルク非伝達位置とされているところ、一方の先端96が可動シャフト50の周溝60に陥ることにより、ピン86を中心に回転し、それによりラッチ88の他方の先端98が対応する環状歯車92の内歯100と噛み合い、回転トルク非伝達位置から回転トルク伝達位置に切り替わる。
これにより、環状歯車92は、可動シャフト50の軸方向を中心として回転するくの字状のラッチ88を通じて可動シャフト50の軸方向を中心に回転し、環状歯車92に連結した出力軸93に回転トルクが伝達される。
以上のように、入力軸54、くの字状のラッチ88、環状歯車92の内歯100、環状歯車92に連結された出力軸93を通じて、選択した被駆動部品を駆動することが可能であり、別の被駆動部品を駆動する場合には、スイッチユニット48により周溝60が別の被駆動部品に対応するくの字状のラッチ88の軸方向位置まで可動シャフト50を軸方向に移動させればよい。
かくして、車両用シート10の複数の被駆動部品を駆動するのに、他の被駆動部品に対応するくの字状のラッチ88を回転トルク非伝達位置に維持しつつ、選択した1つの被駆動部品に対応するくの字状のラッチ88を回転トルク伝達位置に切り替えることが可能であり、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構200の重量増大を抑制することにより、車両用シート10の軽量化を達成することが可能となる。
本発明の第2実施形態を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図19は、本発明の第2実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、図10と同様な図である。図20は、本発明の第2実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、図11と同様な図である。第1実施形態と同様な構成要素には、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、ラッチの形態にある。より詳細には、第1実施形態においては、図10および図11に示すように、4つのくの字状のラッチ88を採用し、円周方向に隣合うラッチ88が、くの字の開放部を互いに対向させて配置したのに対して、本実施形態においては、2つのラッチ88を採用し、各ラッチ88の形状は、ほぼ三角形の板状であり、三角形の一頂点を回転中心とし、他の2頂点それぞれについて、一方が内歯100と噛み合い、他方が可動シャフト50の外周面62と係合するようにしている。
より詳細には、図19および図20に示すように、ラッチ88a1は、図に示す入力軸の回転方向T1に対して入力軸54から出力軸93への回転トルク伝達媒体として機能し、軸方向に延びるピンによって枢支され、回転中心位置がラッチ88の両方の先端より入力軸54の回転方向遅れ側に位置し、一方の先端98は、内歯100の隣り合う入力軸54の回転方向遅れ側の傾斜面302および回転方向進み側の傾斜面304それぞれに当接する当接面306、308を有し、内歯100の入力軸54の回転方向遅れ側の傾斜面302がねじりばね99による付勢力の受け面、一方内歯100の入力軸54の回転方向進み側の傾斜面304が入力軸54による回転トルクの伝達面を構成する。それに対して、ラッチ88a2は、上述とは逆方向の図に示す入力軸54の回転方向T2に対して入力軸54から出力軸93への回転トルク伝達媒体として機能し、軸方向に延びるピン86によって枢支され、回転中心位置がラッチ88の両方の先端より入力軸54の回転方向遅れ側に位置し、一方の先端98は、内歯100の隣り合う入力軸54の回転方向遅れ側の傾斜面302および回転方向進み側の傾斜面304それぞれに当接する当接面306、308を有し、内歯100の入力軸54の回転方向遅れ側の傾斜面302がねじりばね99による付勢力の受け面、一方内歯100の入力軸54の回転方向進み側の傾斜面304が入力軸54による回転トルクの伝達面を構成する。
ラッチ88により回転トルクを伝達するのに、第1実施形態の式(1)を満たす必要がある点は、第1実施形態と同様である。
図19に示すように、両ラッチ88は、一方の先端96が可動シャフト50の溝60に嵌ることにより、他方の先端98が内歯100と噛み合って回転トルクを伝達し、一方、図20に示すように、両ラッチ88は、一方の先端96が可動シャフト50の外表面62に係合することにより、他方の先端98が内歯100から係合解除され、回転トルクを伝達しないようにしている。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施形態においては、車両用シート10の駆動部品を駆動するモーターの回転トルク伝達機構として説明したが、それに限定されることなく、たとえばバックミラー、サンルーフを車両の駆動部品として、バックミラーの開閉駆動、サンルーフのチルト駆動を単一のモーターにより行ってもよい。
さらに、本実施形態においては、車両用シート10の駆動部品として、リクライナー機構28、スライド機構32、前チルト機構40、およびリフター機構36の4つを対象として説明したが、それに限定されることなく、4つの駆動部品それぞれにモーターを設置せず、4つの駆動部品のうち少なくとも2つの駆動部品のモーターの共用化をする限り、本発明の範囲内である。
また、本実施形態においては、2組のクラッチユニット46それぞれに1つの周溝60を対応させて説明したが、それに限定されることなく、2組のクラッチユニット46に共通の単一の周溝60を対応させてもよい。
さらに、本実施形態においては、2組のクラッチユニット46の各クラッチユニット46を一対の環状ブラケット82a,bの背中合わせ面に関して対称なユニット構成として説明したが、それに限定されることなく、一対の環状ブラケット82a,bを背中合わせで配置せずに、入力軸54の端面ごとに単一の環状ブラケット82を配置し、その環状ブラケット82の環状スペース内にくの字状ラッチ88を設け、複数の環状ブラケット82同士を軸方向に離間させてもよい。
さらに、本実施形態においては、各クラッチユニット46において、環状ブラケット82を設ける場合を説明したが、それに限定されることなく、軸方向に隣接する入力軸の端面同士の間に、1つの出力軸に対応する1組のくの字状のラッチを設ける場合には、隣接する入力軸の端面同士に及ぶピンにより対応するくの字状のラッチを枢支することにより、環状ブラケット82を省略してもよい。
さらにまた、本実施形態においては、単一のモーター44の回転シャフトに連結する入力軸54を、2組のクラッチユニット46のうち、スイッチノブ52から最も遠い側に固定シャフト56の側に配置したが、それに限定されることなく、可動シャフト50の途中の入力軸54を回転シャフトと連結してもよい。
本発明に係るモーターの回転トルク伝達機構およびモーターの回転トルク伝達機構を備えた車両用シートによれば、重量部品であるモーターの共用化をしつつ、共用化に伴うモーターの回転トルク伝達機構の重量増大を抑制することにより、車両用シートの軽量化を達成することが可能であり、車両の低燃費化に資する点において、産業上有用である。
本発明の第1実施形態に係る車両用シートの全体斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の全体斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の別の方向から見た全体斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構が車両用シートに設置された状況を示す全体斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構が車両用シートに設置された状況を別の方向を見た全体斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の可動シャフトおよび固定シャフトの分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構の断面図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構のスイッチユニットのスイッチノブの平面図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構のクラッチユニットの分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチが回転トルク伝達位置にある状態を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチが回転トルク非伝達位置にある状態を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、くの字ラッチ、ピン、および環状歯車の位置関係を示す部分模式図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、入力軸のある回転方向に対して、くの字ラッチが回転トルク伝達位置にある状態を示す部分概略図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、可動シャフトの周溝の詳細を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、リクライナー駆動位置にある状態を示す、スイッチノブ、ラッチと周溝との位置関係、およびラッチと環状歯車との位置関係を示す図であり、図15(A)は、スイッチノブの回転ノブの正面図、図15(B)は、図15(A)の回転ノブの位置に応じた可動シャフトの軸方向位置を示す概略側面図、図15(C)は、図15(B)の線A−Aから見た、スライダー用ラッチ88bの位置を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、スライド駆動位置にある状態を示す、図15と同様な図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、スライド駆動位置から前チルト駆動位置に移動する状態を示す、図15と同様な図である。 本発明の第1実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、前チルト駆動位置にある状態を示す、図15と同様な図である。 本発明の第2実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、図10と同様な図である。 本発明の第2実施形態に係るモーターの回転トルク伝達機構において、図11と同様な図である。 従来のクッションシートのフレーム構造の斜視図である。
L 周溝の長さ
D 周溝の深さ
l 周溝間の距離
α くの字の開き角度
10 車両用シート
11 クッションシート
13 バックシート
16 サイドフレーム
22 サイドフレーム
28 リクライナー機構
32 スライド機構
36 リフター機構
40 前チルト機構
44 単一モーター
46 クラッチユニット
48 スイッチユニット
50 可動シャフト
54 入力軸
55 端面
56 固定シャフト
58 捩じりバネ
60 周溝
62 外表面
64 回転ノブ
66 並進ノブ
68 螺旋状傾斜面
70 カム
71 右傾斜面
73 左傾斜面
82 環状ブラケット
83 フランジ
85 内周面
86 ピン
88 ラッチ
92 環状歯車
93 出力軸
94 穴
96 一方の先端
98 他方の先端
100 内歯
101 固定ブラケット
102 スプリングピン
103 ローラーベアリング
104 環状歯車
200 回転トルク伝達機構
203 電気系統接続ライン
205 ピン
207 拡径部
209 係止部
302 回転方向遅れ側傾斜面
304 回転方向進み側傾斜面
306 当接面
308 当接面

Claims (22)

  1. 単一のモーターと、
    該モーターの回転トルクを車両用シートの複数の被駆動部品に遮断可能に伝達するクラッチユニットと、
    複数の被駆動部品のいずれに回転トルクを伝達するかを選択可能に切り替えるスイッチユニットとを有し、
    前記スイッチユニットは、
    軸方向に略直交する向きに外表面の周方向全体に亘って設けられた周溝を備え、軸方向に可動な可動シャフトを有し、
    前記クラッチユニットは、
    それぞれ、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する複数の入力軸であって、1つが前記モーターの回転シャフトに連結され、軸方向に隣合う入力軸が互いに端面を対向させて連結される複数の入力軸と、
    それぞれが、前記可動シャフトに対して同心状に設けられ、内周面全体に亘って内歯が設けられ、対応する前記入力軸の前記端面側で前記可動シャフトの軸方向を中心に回転可能に支持された複数の環状歯車と、
    それぞれが、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌し、対応する前記環状歯車に連結される一方、前記複数の被駆動部品の対応する部品に連結されて回転トルクを伝達する複数の出力軸と、
    それぞれが、対応する前記環状歯車の環状スペース内に配置された複数のラッチであって、それぞれ、軸方向に延びるピンによって枢支され、ラッチの一方の先端が前記周溝に陥ることにより、他方の先端が前記内歯と噛み合う回転トルク伝達位置と、ラッチの一方の先端が前記可動シャフトの前記外表面に係合することにより、他方の先端が前記内歯との噛み合いが解除される回転トルク非伝達位置との間で該ピンを中心に回転可能に、対応する前記入力軸の前記端面に設けられた複数のラッチと、
    それぞれが、対応する前記ラッチを前記回転トルク伝達位置に向かって付勢する複数の捩じりばねとを有し、
    前記スイッチユニットは、
    さらに、選択した前記複数の被駆動部品のいずれかに対応する前記複数のラッチの1つの軸方向位置に前記周溝を位置決め可能なように、前記可動シャフトをその軸方向に移動する可動シャフト移動手段を有する、
    ことを特徴とするモーターの回転トルク伝達機構。
  2. 前記スイッチユニットは、さらに、前記可動シャフトが嵌合する固定シャフトと、前記可動シャフトを前記固定シャフトから離れる向きに軸方向に付勢する付勢手段とを有する、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  3. 前記クラッチユニットは、それぞれが、前記可動シャフトに対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌する環状ブラケットであって、その一方の面に前記可動シャフトの軸方向に突出する前記ピンを備えた複数の環状ブラケットをさらに有し、
    前記複数の環状歯車はそれぞれ、対応する前記環状ブラケットの前記一方の面の側に設けられ、
    前記ラッチは、対応する前記複数の環状ブラケットの前記一方の面に設けられる、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  4. 前記環状ブラケットは、前記一方の面の反対面同士を背中合わせに当接する形態で一対設けられ、該一対の環状ブラケットに対応して、1つの前記周溝が設けられ、該周溝の軸方向の溝長さは、前記一対の環状ブラケットの一方に対応する前記ラッチが回転トルク伝達位置にあるとき、前記一対の環状ブラケットの他方に対応する前記ラッチが回転トルク非伝達位置にあることが可能な長さである、請求項3に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  5. 前記一対の環状ブラケットにはそれぞれ、前記ピンが貫通する貫通穴が設けられ、対応する貫通穴が整列するように配置されて、前記ピンが前記一対の環状ブラケットを貫通するように設けられる、請求項3に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  6. 前記クラッチユニットは、前記一対の環状ブラケットの背中合わせ面に関して略対称なユニット構成とされる、請求項4に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  7. 前記クラッチユニットは、前記可動シャフトに対して直列に複数設けられ、隣合う前記クラッチユニット同士は、隣接するそれぞれの前記入力軸同士の前記端面の反対側の端面同士を突き合わせて、前記可動シャフトの軸方向を中心に一体で回転可能にピン結合される、請求項6に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  8. 前記スイッチユニットは、回転ノブと、回転ノブの外表面に付設された並進ノブとを有し、該回転ノブは、その回転位置に応じて前記周溝の位置を位置決めし、該並進ノブは、その並進方向に応じて前記モーターの回転方向を選択し、
    前記シャフト移動手段は、前記回転ノブと前記クラッチユニットとの間に配置され、かつ前記回転ノブに連結され、前記可動シャフトの軸方向を中心に回転可能な螺旋状の傾斜面を有するカムを有し、該傾斜面は、前記可動シャフトの端面に係合する、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  9. 前記出力軸は、対応する前記環状歯車に対してスプリングピンにより前記可動シャフトの軸方向に一体に回転するように固定され、かつ周方向全体に亘って外歯を備えた環状歯車を有し、該環状歯車は、ニードルベアリングを介して前記可動シャフトの軸方向に回転可能に対応する前記入力軸によって支持される、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  10. 前記ピンは、対応する前記ラッチを貫通し、対応する前記入力軸の前記端面におよぶ長さを有し、前記端面は、前記ピンの先端を受け入れる穴を有し、前記ラッチは、前記ピンにより前記端面に固定される、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  11. 前記環状ブラケットは、前記一方の面の側においてその周縁に亘って対応する前記入力軸の前記端面に向かって延びるフランジを有し、対応する前記環状歯車は、前記フランジの内周面によって支持される、請求項3に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  12. 前記周溝は、対応する前記ラッチが回転トルク伝達位置にあるとき、前記ラッチの前記一方の先端が前記周溝に対して非係合であるような深さを有する、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  13. 前記周溝は、対応する前記ラッチが回転トルク非伝達位置と回転トルク伝達位置との間で移動中に前記周溝によって案内されるように、前記可動シャフトの軸方向の断面が、最深点に向かって傾斜する形状を有する、請求項12に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  14. 前記周溝は、前記可動シャフトの軸方向の断面が、くの字の形状を有する、請求項13に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  15. 前記環状歯車は、それぞれが前記可動シャフトの軸方向に向けられ、互いに前記可動シャフトの周方向に角度間隔を隔てて配置された複数のローラーベアリングを介して、対応する前記出力軸によって支持される、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  16. 請求項1ないし請求項15いずれか1項に記載のモーターの回転トルク伝達機構を有する車両用シート。
  17. 単一のモーターと、
    1つが前記モーターの回転シャフトに連結され、隣合う入力軸が互いに端面を対向させて軸方向に直列に整列する複数の入力軸と、
    前記複数の入力軸の軸方向に隣合う入力軸同士の間で回転トルクを伝達する第1回転トルク伝達媒体とを有し、
    それにより、前記複数の入力軸が一体で軸方向を中心に回転可能であり、
    それぞれ、前記複数の入力軸の対応する入力軸に対してその軸方向を中心として回転可能に同心状に外嵌し、複数の被駆動部品の対応する部品に連結されて、前記モーターによる回転トルクを対応する部品に伝達する複数の出力軸と、
    それぞれ、前記複数の入力軸の各々の端面に設けられ、先端が前記端面の周縁から突出することにより前記複数の出力軸の対応する出力軸に回転トルクを伝達する回転トルク伝達位置と、先端が前記端面の周縁から内方に引っ込むことにより、対応する出力軸に回転トルクを伝達しない回転トルク非伝達位置との間で可動であって、前記対応する出力軸に回転トルクを伝達する複数の第2回転トルク伝達媒体と、をさらに有することを特徴とするモーターの回転トルク伝達機構。
  18. 前記第1回転トルク伝達媒体は、隣合う入力軸の前記端面同士を連結する軸方向に延びるピンであり、前記第2回転トルク伝達媒体は、該ピンにより枢支され、該ピンを中心に前記回転トルク伝達位置と前記回転トルク非伝達位置との間で回転可能である、請求項17に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  19. さらに、前記複数の入力軸が同心状に外嵌する軸方向に可動な可動シャフトをさらに有し、
    該可動シャフトは、軸方向に略直交する向きに外表面の周方向全体に亘って設けられた周溝を備え、
    前記第2回転トルク伝達媒体は、くの字状のラッチにより構成され、該ラッチは、くの字の中心位置で前記ピンによって枢支され、該ラッチの一方の先端が前記周溝に陥ることにより、他方の先端が前記出力軸に係止する前記回転トルク伝達位置と、ラッチの一方の先端が前記可動シャフトの前記外表面に係合することにより、他方の先端が前記出力軸と係止解除する前記回転トルク非伝達位置との間で、該ピンを中心に回転可能である、請求項18に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  20. 前記複数のラッチそれぞれは、くの字状であり、くの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の回転方向遅れ側に位置し、
    前記一方の先端は、前記内歯の隣り合う前記入力軸の回転方向遅れ側の傾斜面および回転方向進み側の傾斜面それぞれに当接する当接面を有し、
    前記内歯の前記入力軸の回転方向遅れ側の傾斜面が前記ねじりばねによる付勢力の受け面、一方前記内歯の前記入力軸の回転方向進み側の傾斜面が前記入力軸による回転トルクの伝達面を構成する、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  21. 前記複数のラッチそれぞれにおいて、くの字状でありくの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の一回転方向遅れ側に位置するラッチと、くの字状でありくの字の中心位置で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記中心位置が前記ラッチの両方の先端より前記入力軸の前記一回転方向と逆回転方向遅れ側に位置するラッチと、を有する請求項20に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
  22. 前記複数のラッチそれぞれは、三角形状であり、三角形状の1つの頂点で軸方向に延びる前記ピンによって枢支され、前記頂点が前記ラッチの他の2つの頂点より前記入力軸の回転方向遅れ側に位置し、
    前記一方の先端は、前記内歯の隣り合う前記入力軸の回転方向遅れ側の傾斜面および回転方向進み側の傾斜面それぞれに当接する当接面を有し、
    前記内歯の前記入力軸の回転方向遅れ側の傾斜面が前記ねじりばねによる付勢力の受け面、一方前記内歯の前記入力軸の回転方向進み側の傾斜面が前記入力軸による回転トルクの伝達面を構成する、請求項1に記載のモーターの回転トルク伝達機構。
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