JP2011078918A - 外構および外構用コーティング液 - Google Patents

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信 早川
Junji Kameshima
順次 亀島
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聡 北崎
Koji Hyofu
浩二 表敷
Takeshi Ikeda
猛 池田
Mitsumasa Sugano
充誠 菅野
Akira Shimai
曜 島井
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Abstract

【課題】 基材、特に有機基材への浸食を防止しながら、種々の特性、とりわけ有害ガス分解性および長期に亘る光触媒親水性に基づくセルフクリーニング性の維持性と耐候性とに優れた外構の提供。
【解決手段】基材と、該基材上に設けられた光触媒層とを備えてなる外構であって、前記光触媒層が、該光触媒層全体を100質量%としたときに、3質量%を超え5質量%未満の光触媒粒子と、85質量%を超え97質量%未満の無機酸化物粒子と、を主成分として含むものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、外構および外構用コーティング液に関する。
酸化チタンなどの光触媒が、特に太陽光の利用できる屋外用途において近年広く利用されている。光触媒の利用により、光エネルギーを利用して種々の有害物質を分解したり、あるいは、光触媒が塗布された基材表面を親水化して表面に付着した汚れを容易に水で洗い流すことが可能となる。
例えば、バインダー成分としてのシリカゾルと光触媒性二酸化チタンとを含有する塗膜を基体に形成して光触媒体を得る技術が知られている(例えば、特開平11−169727号公報(特許文献1))。この技術にあっては、シリカゾルの添加量がSiO基準で二酸化チタンに対して20〜200重量部であるとされている。
このような光触媒層を基材表面に形成する構成において、基材が有機材料であると、光触媒の光触媒活性により有機材料が分解または劣化するおそれがある。この問題に対処するため、光触媒層と担体との間にシリコン変性樹脂等の接着層を設け、下地の担体を光触媒作用による劣化から保護する技術が知られている(国際公開第97/00134号(特許文献2))。この先行技術にあっては、光触媒量が20重量%を超える量の例が具体的に開示され、また基材の分解または劣化が有効に防止されたとしている。
さらに、光触媒層と、基材との間に、シリコーン変性樹脂と有機防カビ剤とを含む中間層を設け、基剤の分解または劣化を防止する提案もなされている(特許第4092434号(特許文献3))。
光触媒層における光触媒量が少なければ、上述の基材の分解または劣化の可能性は小さくなるが、その結果、光触媒による諸作用も小さくなるおそれがある。従って、国際公開第98/03607号(特許文献4)、特開2004−51644号(特許文献5)などには、光触媒量が5重量%以下とされた光触媒層の開示があるが、これらは、諸特性、とりわけ有害ガス分解性に関して適切な組成または構造とされているとは言い難い。例えば、国際公開第98/03607号にあっては、光触媒量に対してシリカ粒子の存在量が本発明のそれよりも極めて少なく、また特開2004−51644号は疎水性樹脂の添加において本発明と相違する。
特開平11−169727号公報 国際公開第97/00134号パンフレット 特許第4092434号公報 国際公開第98/03607号パンフレット 特開2004−51644号
本発明者らは、今般、光触媒粒子と無機酸化物粒子とを特定の比率で含み、なおかつ加水分解性シリコーンを含まないかまたは極力少量に抑えた特定の組成で光触媒層を構成することにより、種々の特性、とりわけ良好な有害ガス分解性と、有機基材から生じると思われる成分の浸み出しによる親水性に基づくセルフクリーニング性への悪影響を抑制し、優れた耐候性を発現できるとの知見を得た。
したがって、本発明は、種々の特性、とりわけ有害ガス分解性および長期に亘る光触媒親水性に基づくセルフクリーニング性の維持性と耐候性とに優れた外構および外構用コーティング液の提供をその目的としている。
そして、本発明による外構は、基材と、該基材上に設けられた光触媒層とを備えてなる。光触媒層は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、3質量%を超え5質量%未満の光触媒粒子と、85質量%を超え97質量%未満の無機酸化物粒子と、0質量%以上10質量%未満のバインダーを含んでなる。
また、本発明による外構用コーティング液は、上記外構の製造に用いられるものであって、外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、溶媒と、3質量%を超え5質量%未満の光触媒粒子と、85質量%を超え97質量%未満の無機酸化物粒子と、0質量%以上10質量%未満のバインダーを含んでなる。
本発明による外構は、基材、特に有機基材への浸食を有効に防止しながら、種々の特性、とりわけ有害ガス分解性および長期に亘る光触媒親水性に基づくセルフクリーニング性の維持および耐候性とに優れる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、所望の各種被膜特性(透明性、膜強度等)にも優れた外構が提供される。
外構
本発明の一形態によれば、外構は、基材と、該基材上に設けられた光触媒層とを備えてなる。光触媒層は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、3.0質量%を超え5.0質量%未満の光触媒粒子と、85.0質量%を超え97.0質量%未満の無機酸化物粒子と、0質量%以上10.0質量%未満のバインダーを含んでなる。
本発明による光触媒層は、従来、光触媒塗装体に対して一般的に必要と認識されてきた光触媒の量、さらには無機酸化物粒子に対する量に比較して、かなり少ない光触媒量を含んでなる。このような少ない光触媒量により、光触媒と基材との直接的な接触を抑えることができ、それにより基材の分解または浸食が有効に抑制されると考えられる。一方で、高い耐候性が実現されながら、光触媒活性、とりわけ有害ガス分解性は、光触媒量が少ない量にもかかわらず、維持されあるいはむしろ改善が図られており、このことは当業者にとり意外な事実であるといえる。さらに本発明者らの得た知見によれば、光触媒塗装体の劣化には、基材である有機材料から、光触媒の作用または紫外線の作用による分解産物、例えば高分子が分解されたモノマー成分が少なからず影響していた。特に、この成分が疎水性の成分であると、光触媒塗装体の親水性の発現にも悪影響をあたえる。本発明の光触媒層によれば、この基材から浸みだした成分の影響を抑え、優れた光触媒親水性能を長期に亘り維持できる。
すなわち、本発明の外構においては、長期に亘り意匠外観を維持しながら、優れた有害ガス分解性を有する。
本発明による外構の上述のような意外な作用効果が得られる理由は定かではないが、それは以下の通りと考えられる。しかし、以下の説明はあくまで仮説であり、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
まず、本発明において光触媒層は、光触媒粒子および無機酸化物粒子の二種類の粒子から基本的に構成されるため、粒子間の隙間が豊富に存在する。光触媒層のバインダーとして広く用いられる加水分解性シリコーンを多量に使用した場合にはそのような粒子間の隙間を緻密に埋めてしまうため、ガスの拡散を妨げるものと考えられる。本発明において光触媒層は加水分解性シリコーンを含まないか、含むとしても該光触媒層全体を100質量%としたときに、その量に対して少ない量であるため、粒子間の隙間を十分に確保することができる。そして、この隙間によってNOxやSOx等の有害ガスが光触媒層中に拡散しやすい構造が実現され、その結果、有害ガスが光触媒粒子と効率良く接触して光触媒活性により分解されるのではないかと考えられる。さらに、光触媒層に存在する光触媒量が、基材からの浸みだし成分を効率よく分解しているものと思われ、光触媒親水性能を長期に亘り維持できるものと考えられる。
上記のような作用効果および特性ゆえ、本発明による外構は、特に低緯度の熱帯、亜熱帯地方などの紫外線量が多く、かつ高温・多湿の気象条件下においても、優れた光触媒分解機能に基づく有害ガス除去機能および光触媒親水機能に基づくセルフクリーニング機能を長期に亘り発揮することが可能である。
基材
本発明において、基材はその表面が有機物質を含む樹脂を含有しているのが好ましい。
特に、アクリル成形体、ポリカーボネート成形体等の樹脂成形体やエナメル塗装やクリア塗装を有する塗装板、意匠性フィルムを有する積層板等が好適に利用できる。
用途の観点からみた基材の好ましい例としては、門構、フェンス及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等といった外構全般が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、基材は、基材の表面が、有機物質を含む樹脂を含有しているのが好ましい。基材全体が有機材料で構成されているものであってもよく、また無機材料で構成された基材の表面が有機材料で被覆されたもの(例えば化粧板)であってもよい。さらに、有機材料を含む樹脂以外に無機顔料や無機質の体質顔料等が添加されていてもよい。本発明による外構は、光触媒活性により損傷を受けやすい有機材料を浸食し難いものであることから、中間層を介在させることなく、光触媒層という一つの層で優れた機能を有する外構を製造することができる。
従来、外構にあっては、光触媒層の光触媒活性による基材への影響を、シリコーン系樹脂からなる層を基材との間に設けることで抑えることが一般的に行われてきた。本発明によれば、このような従来一般的に設けられてきたシリコーン系樹脂ではなく、有機材料からなる基材に直接光触媒層を設けることが出来る。その結果、本発明は、その利用、適用範囲が大きく拡大されるとの点で極めて有利となる。
外構の光触媒層
本発明の一形態によれば、光触媒層は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、3.0質量%を超え5.0質量%未満の光触媒粒子と、85.0質量%を超え97.0質量%未満の無機酸化物粒子と、0質量%以上10.0質量%未満のバインダーを含んでなる。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子を3.1質量%以上4.9質量%以下、無機酸化物粒子を85.1質量%以上96.9質量%以下としてなるものが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒層は0.5μm以上3μm以下の膜厚を有するのが好ましい。より好ましい膜厚の範囲は0.5μm以上3.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上2.0μm以下である。このような範囲内であると、光触媒層と基材の界面に到達する紫外線が充分に減衰されるので耐候性が向上する。また、無機酸化物粒子よりも含有比率が低い光触媒粒子を膜厚方向に増加させることができるので、有害ガス分解性も向上する。さらには、透明性、膜強度においても優れた特性が得られる。
本発明に用いる光触媒粒子は、光触媒活性を有する粒子であれば特に限定されないが、その好ましい例としては、酸化チタン(TiO)、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Bi、Feのような金属酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくは酸化チタン粒子、最も好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。また、酸化チタンはバンドギャップエネルギーが高く、従って、光励起には紫外線を必要とし、光励起の過程で可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こらない点で有利である。酸化チタンは、粉末状、ゾル状、溶液状など様々な形態で入手可能であるが、光触媒活性を示すものであれば、いずれの形態でも使用可能である。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子は10nm以上100nm以下の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が好ましいが、略円形や楕円形でもよく、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明に用いる無機酸化物粒子は、光触媒粒子と共に層を形成可能な無機酸化物の粒子であれば特に限定されず、その好ましい例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、無定型チタニア、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の複合酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子である。
本発明の無機酸化物粒子は、平均粒径が5nmを超え100nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上50nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明の光触媒層は、加水分解性シリコーンの乾燥物、加水分解性シランの乾燥物、無定形の無機酸化物、樹脂バインダー、アルカリシリケートの群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを含むことができ、これらの物質はバインダーとして光触媒層の強度向上に寄与する。しかしながら、場合によって、その存在が光触媒活性の発現または有害ガス分解性に有利な間隙の形成に影響を与えることがある。従って、本発明にあっては、有害ガス分解性を確保できる程度であれば上記バインダーを任意成分として含有することは許容されるが、またその添加は控えるまたは少量とすることが好ましい。場合により全く含まないことが好ましい。具体的には、上記バインダー成分の含有量は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、0質量%以上10.0質量%未満であり、好ましくは5.0質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
ここで、加水分解性シリコーン及び/又は加水分解性シランとしては、4官能シリコーン化合物及び/又は4官能シランがよく使用され、例えば、エチルシリケート40(オリゴマー、Rがエチル基)、エチルシリケート48(オリゴマー、Rがエチル基)メチルシリケート51(オリゴマー、Rがメチル基)(いずれもコルコート社製)、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランの形で市販されている。これらの加水分解性シリコーン及び/又は加水分解性シランは、外構用コーティング液を塗布後、乾燥に伴い縮合が進み、乾燥物となる。
上述したように、加水分解性シランモノマーとしては、テトラアルコキシシラン等の4官能性のシランモノマーが親水機能の面から好ましいが、トリアルコキシオルガノシラン等の3官能性モノマーやジアルコキシジオルガノシラン等の2官能性モノマーも利用できる。加水分解性シリコーンとしてもテトラアルコキシシラン等の4官能性のシランモノマーの加水分解・縮重合物が親水機能の面から好ましいが、2〜4官能加水分解性シラン単位を少なくとも1つ含む加水分解・縮重合物であれば好適に利用できる。
ここで、無定形の無機酸化物としては、粒子形状を伴わない無定形酸化チタン、無定形シリカ、無定形アルミナ等が好適に利用可能である。
また、樹脂バインダーとしては、フッ素樹脂バインダー、シリコーン変性アクリルバインダー、シリコーン変性エポキシバインダー、シリコーン変性ウレタンバインダー、シリコーン変性ポリエステルバインダー等の耐候性の強いバインダーが好ましいが、場合によっては、アクリルバインダー、エポキシバインダー等も利用可能である。
樹脂バインダーの一形態として樹脂エマルジョン重合体が好適に利用できる。樹脂エマルジョン重合体としても、シリコーンエマルジョン重合体、フッ素樹脂エマルジョン重合体、アクリルシリコーンエマルジョン重合体、シリコーン変性エマルジョン重合体、シリコーン変性ウレタンエマルジョン重合体、シリコーン変性ポリエステルエマルジョン重合体等の耐候性の強い重合体が好ましいが、場合によっては、アクリルエマルジョン重合体等も利用可能である。
アルカリシリケートとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等が好適に利用できる。
さらに、本発明の光触媒層には、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、銅、銀、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属又は金属化合物を添加することにより、さらに高い抗菌・防カビ性能を発現させることができる。ただし、その存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましく、従って、その添加量は微量でよく、またその作用の発現に必要な量は微量である。具体的には、光触媒に対して、0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%程度の添加量が好ましい。また、金属化合物としては、例えば、上記金属のグルコン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、キレート等が好適に利用できる。
本発明の光触媒層には、光触媒粒子と、無機酸化物粒子と、任意成分としてのバインダーと、に加えてさらに、難水溶性又は非水溶性の無機塩や樹脂粒子が含有されて良く、その添加量は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%未満であり、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%で含有されていてもよい。ただし、 その存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましい。
難水溶性又は非水溶性の無機塩としては、例えば、水酸化アルミニウム、ベーマイト、炭酸カルシウム等が好適に利用できる。
樹脂粒子としては、球状、板状等の粒子を利用することで意匠上艶調整が可能な場合があり、光触媒性能や耐候性を妨げない範囲での添加が可能である。
その他、本発明の光触媒層には、光触媒粒子と、無機酸化物粒子と、任意成分としてのバインダーと、に加えてさらに、紫外線遮蔽剤や有機防カビ剤等が添加されていても良く、その添加量は、該光触媒層全体を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%未満であり、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%で含有されていてもよい。ただし、その存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましい。
本発明では、外構に設けられた光触媒層表面に1mW/cmに調整したBLB光(輝線スペクトルの波長が351nmのものを使用)下に光触媒塗装面を上にして8日間放置した後の、前記塗装体表面の水との接触角が20°未満であることが好ましい。そうすることで、長期に亘り安定的に、低緯度の熱帯、亜熱帯地方などの紫外線量が多くかつ高温・多湿の気象条件下においても、優れた光触媒親水機能に基づくセルフクリーニング機能を発揮することが可能である。
本発明の光触媒層中の空隙率は、20体積%以上35体積%以下が好ましい。
空隙率は、大塚電子株式会社製の反射分光膜厚計:FE-3000を用いて1試料当たり5点以上、好ましくは10点以上測定しその平均値を求める。基材にガラス板を用い、光触媒層の形成成分がTiO2およびSiO2の場合における空隙率の測定手順を以下に示す。
手順1.ガラス板の屈折率決定
1−1.ガラス板の波長230〜800nmにおける反射率を以下の条件で計測する。
測定手法 絶対反射率
レンズ Refrec.25X
標準反射板 Al-S-13
フィルター なし
スリット 0.2mm×2mm
サンプリングタイム 1000msec
積算回数 9回
ゲイン ノーマル
1−2.ガラス板の波長230〜800nmにおける反射率を、構成媒質=空気、ガラス板、光の入射角φ=0°とし、空気側から入射した光をガラス板で反射させた時の空気/ガラス板界面でのフレネル振幅反射係数と、n-Cauchyの分散式[nm=Cm1+Cm22+Cm34(ただし、nmはガラス板の屈折率、λは波長、Cm1、Cm2、Cm3は定数)]により算出する。なお、n-Cauchyの分散式においては、定数(Cm1、Cm2、Cm3)の初期値をそれぞれ、Cm1=1.5、Cm2=0、Cm3=0とし、空気の屈折率を1、空気の消衰係数を0とする(小檜山光信,“光学薄膜の基礎理論”p1〜70, (2003, オプトロニクス社))。
1−3.実測反射率(1-1)と計算反射率(1-2)を比較し、二乗残差の和が最小になる時のCm1、Cm2、Cm3を求めた。その際、二乗残差の和の上限を0.02とする。
1−4.1−3で求めたCm1、Cm2、Cm3をn-Cauchyの分散式に代入し、ガラス板の屈折率nmを決定する。
手順2.光触媒層の空隙率の決定
2−1.光触媒層の波長230〜800nmにおける反射率を以下の条件で計測する。
測定手法 絶対反射率
レンズ Refrec.25X
標準反射板 Al-S-13
フィルター なし
スリット 0.2mm×2mm
サンプリングタイム 1000msec
積算回数 9回
ゲイン ノーマル
2−2.構成媒質=空気、光触媒層=単層薄膜、ガラス板、光の入射角φ=0°とし、空気側から入射した光を単層薄膜で反射した光と、単層薄膜内部に透過した光が単層薄膜の上下面(空気/単層薄膜界面、単層薄膜/ガラス板界面)で多重繰り返し反射した光を合計した時の空気/単層薄膜界面でのフレネル振幅反射係数と、Bruggemanの近似式
[C1{(ε1-ε)/(ε1+2ε)}+C2{(ε2-ε)/(ε2+2ε)}+C3{(ε3-ε)/(ε3+2ε)}=0、C1+C2+C3=1、(ただし、εは単層薄膜の誘電率、ε1はSiO2の誘電率、ε2はTiO2の誘電率、ε3は空気の誘電率、C1はSiO2の体積分率、C2はTiO2の体積分率、C3は空気の体積分率)]により、光触媒層の波長230〜800nmにおける反射率を算出する(小檜山光信,“光学薄膜の基礎理論”p1〜70, (2003, オプトロニクス社、D. E. Aspnes, Thin Solid Films, 89, 249 (1982))。
なお、C1(SiO2の体積分率)、C2(TiO2の体積分率)、C3(空気の体積分率)の初期値は、それぞれ、二乗残差の和が最小値に収束するような値を設定する。また、空気の屈折率を1とし、空気の消衰係数を0とする。SiO2、TiO2の屈折率(n1、n2)、消衰係数(k1、k2)は、E. D. Palik , “Handbook of Optical Constants of Solids”, (1998, Academic Press, San Diego)より引用する。
2−3.膜厚d、SiO2、TiO2、空気の体積分率C1、C2、C3の値を変えながら実測反射率(2-1)と計算反射率(2-2)を比較し、二乗残差の和が最小になった時のC1、C2、C3を求める。二乗残差の和が0.02未満、かつ最小となった時のC3を空隙率として採用する。その他の条件は以下の通りである。
膜厚検索方法 最適化法
検索範囲(波長) 400〜800nm
検索範囲(膜厚) 0〜2000nm
膜厚ステップ 10nm
ここで求めたCを本発明の光触媒層中の空隙率(体積%)とする。
外構用コーティング液
本発明の他の形態によれば、外構用コーティング液は、上述の本発明による外構の形成のために使用するものであり、外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、溶媒と、3.0質量%を超え5.0質量%未満の光触媒粒子と、85.0質量%を超え97.0質量%未満の無機酸化物粒子と、0質量%以上10.0質量%未満のバインダーを含んでなる。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子を3.1質量%以上4.9質量%以下、前記無機酸化物粒子を85.1質量%以上96.9質量%以下としてなる組成がさらに好ましい。
本発明に用いる光触媒粒子は、光触媒活性を有する粒子であれば特に限定されないが、その好ましい例としては、酸化チタン(TiO)、ZnO、SnO、SrTiO、WO、Bi、Feのような金属酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくは酸化チタン粒子、最も好ましくはアナターゼ型酸化チタン粒子である。また、酸化チタンはバンドギャップエネルギーが高く、従って、光励起には紫外線を必要とし、光励起の過程で可視光を吸収しないので、補色成分による発色が起こらない点で有利である。酸化チタンは、粉末状、ゾル状、溶液状など様々な形態で入手可能であるが、光触媒活性を示すものであれば、いずれの形態でも使用可能である。
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子は10nm以上100nm以下の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が好ましいが、略円形や楕円形でもよく、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明に用いる無機酸化物粒子は、光触媒粒子と共に層を形成可能な無機酸化物の粒子であれば特に限定されず、その好ましい例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、無定型チタニア、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の複合酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子である。
本発明の無機酸化物粒子は、平均粒径が5nmを超え100nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上50nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明の外構用コーティング液は、加水分解性シリコーン、加水分解性シラン、無定形の無機酸化物、無定形の無機酸化物を形成するための前駆体、樹脂バインダー、アルカリシリケートの群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを実質的に含まないのが好ましく、より好ましくは全く含まない。これの物質はバインダーとして光触媒層の強度向上に寄与する。しかしながら、場合によって、その存在が光触媒活性の発現または有害ガス分解性に有利な間隙の形成に影響を与えることがある。従って、本発明にあっては、有害ガス分解性を確保できる程度であれば上記バインダーを任意成分として含有することは許容されるが、またその添加は控えるまたは少量とすることが好ましい。具体的には、上記バインダー成分の含有量は、外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに0質量%以上10質量%未満、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
ここで、加水分解性シリコーン及び/又は加水分解性シランとしては、4官能シリコーン化合物及び/又は4官能シランがよく使用され、例えば、エチルシリケート40(オリゴマー、Rがエチル基)、エチルシリケート48(オリゴマー、Rがエチル基)メチルシリケート51(オリゴマー、Rがメチル基)(いずれもコルコート社製)、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランの形で市販されている。これらの加水分解性シリコーン及び/又は加水分解性シランは、外構用コーティング液を塗布後、乾燥に伴い縮合が進み、乾燥物となる。
上述したように、加水分解性シランモノマーとしては、テトラアルコキシシラン等の4官能性のシランモノマーが親水機能の面から好ましいが、トリアルコキシオルガノシラン等の3官能性モノマーやジアルコキシジオルガノシラン等の2官能性モノマーも利用できる。加水分解性シリコーンとしてもテトラアルコキシシラン等の4官能性のシランモノマーの加水分解・縮重合物が親水機能の面から好ましいが、2〜4官能加水分解性シラン単位を少なくとも1つ含む加水分解・縮重合物であれば好適に利用できる。
ここで、酸化物換算の無定形の無機酸化物については、粒子形状を伴わない無定形酸化チタン、無定形シリカ、無定形アルミナ等が好適に利用可能である。無定形の無機酸化物を形成するための前駆体としては、チタンアルコキシド、過酸化チタン等が好適に利用できる。
また、樹脂バインダーとしては、フッ素樹脂バインダー、シリコーン変性アクリルバインダー、シリコーン変性エポキシバインダー、シリコーン変性ウレタンバインダー、シリコーン変性ポリエステルバインダー等の耐候性の強いバインダーが好ましいが、場合によっては、アクリルバインダー、エポキシバインダー等も利用可能である。
樹脂バインダーとして樹脂エマルジョンを利用すると水に分散しやすく好ましい。樹脂エマルジョンとしては、例えば、シリコーンエマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、アクリルシリコーンエマルジョン、シリコーン変性エマルジョン、シリコーン変性ウレタンエマルジョン、シリコーン変性ポリエステルエマルジョン等の耐候性の強いエマルジョンが好ましいが、場合によっては、アクリルエマルジョン等も利用可能である。
アルカリシリケートとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等が好適に利用できる。
さらに、本発明の外構用コーティング液には、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、銅、銀、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属又は金属化合物を添加することにより、さらに高い抗菌・防カビ性能を発現させることができる。ただしその存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましく、従って、その添加量は微量でよく、またその作用の発現に必要な量は微量である。具体的には、光触媒に対して、0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%程度の添加量が好ましい。また、、金属化合物としては、例えば、上記金属のグルコン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、キレート等が好適に利用できる。
さらに、本発明の外構用コーティング液には、光触媒粒子と、無機酸化物粒子と、任意成分としてのバインダーと、に加えてさらに、難水溶性又は非水溶性の無機塩や樹脂粒子が含有されて良く、その添加量は、外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%未満であり、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%で含有されていてもよい。 ただし、その存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましい。
難水溶性又は非水溶性の無機塩としては、例えば、水酸化アルミニウム、ベーマイト、炭酸カルシウム等が好適に利用できる。
樹脂粒子としては、球状、板状等の粒子を利用することで意匠上艶調整が可能な場合があり、光触媒性能や耐候性を妨げない範囲での添加が可能である。
本発明による外構用コーティング液は、光触媒層において記載した各成分を、上記質量比率で溶媒中に分散または溶解して製造される。ここで、酸化チタンは、粉末状、ゾル状、溶液状などいずれであってもよい。また、無機酸化物粒子は、水を分散媒とした水性コロイド;またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、もしくはエチレングリコールなどの親水性溶媒にコロイド状に分散させたオルガノゾルの形態であるのが好ましく、特に好ましくはコロイダルシリカである。
その他、本発明の外構用コーティング液には、光触媒粒子と、無機酸化物粒子と、任意成分としてのバインダーと、に加えてさらに、紫外線遮蔽剤、有機防カビ剤、界面活性剤、消泡剤、PH調整剤、色素、増粘剤等が添加されていても良く、その添加量は、該外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%未満であり、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%で含有されていてもよい。ただし、その存在は、上述の光触媒粒子および無機酸化物粒子による粒子間の間隙の形成に影響を与えないことが望ましい。
本発明による外構用コーティング液は、任意成分として界面活性剤を含んでよく、その添加量は、外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、0質量%以上10質量%未満であり、好ましくは0質量%以上8質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上6質量%以下である。界面活性剤の添加により、レベリングすなわち塗工表面の平滑化、均一化を図ることが出来る。また、界面活性剤は外構用コーティング液の濡れ性を改善するために有効な成分であるが、濡れ性を問題にしないのであれば界面活性剤は実質的にあるいは一切含まないことが好ましい場合がある。
界面活性剤は、光触媒や無機酸化物粒子の分散安定性、中間層上に塗布した際の濡れ性を勘案し適宜選択されてよいが、非イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、ポリアルキレングリコール非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤、シリコン系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
溶媒は、上記構成成分を適切に分散または溶解可能なあらゆる溶媒が使用可能であり、水および/または有機溶媒であってよい。本発明による外構用コーティング液に適用可能な溶媒としては、環境に与える影響が小さい水を用いることが好ましい。さらに、成膜時におけるレベリング性向上や乾燥性の調整を目的に、有機溶媒を利用してもよい。有機溶媒の好ましい例としては、アルコール類、エーテル類、アセトン、2−ブタノン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジプロピルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族、芳香族、脂環式の炭化水素、石油類等の一般的な溶媒が挙げられ、これらを単独、もしくは混合して用いることができ、特に水溶性溶媒が好ましい。水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、変性エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、トリメチレングリコール、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類やエーテル類、および、ケトン類などが挙げられ、これらを単独で、あるいは複数種類を混合して用いることができる。
また、本発明の外構用コーティング液の固形分濃度は特に限定されないが、1〜10質量%とするのが塗布し易さにおいて好ましい。なお、光触媒コーティング組成物中の構成成分の分析は、コーティング液を限外ろ過によって粒子成分と濾液に分離し、それぞれを赤外分光分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、蛍光X線分光分析などで分析し、スペクトルを解析することによって評価することができる。
外構の製造方法
本発明の外構は、本発明の外構用コーティング液を基材上に塗布することにより製造することができる。塗装方法は、刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。しかし、焼結が進むまで加熱すると粒子間の空隙が減少し十分な光触媒活性を得ることができなくなるおそれがあるため、空隙形成に影響を与えないあるいは影響が少なくなる温度および時間を選択することが好ましい。例えば、乾燥温度は10℃以上500℃以下であり、基材の少なくとも一部に樹脂が含まれる場合、樹脂の耐熱温度等を考慮し、例えば好ましい乾燥温度は10℃以上200℃以下である。
本発明による外構は、上述のとおり、基材との間に中間層を介在させる必要がないため、その製造に要する時間やコストを削減できるとの点で有利である。
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、基材として50mmX100mmの平板状の着色有機塗装体を用意した。この着色有機塗装体は、シーラー処理した窯業系サイディング基材上にカーボンブラック粉末を添加した汎用シリコーン変性アクリル塗料(シリコーン変性アクリル樹脂中のケイ素原子含有量1質量%)を塗布して、十分に乾燥および硬化させたものである。
次いで、外構用コーティング液を用意した。この外構用コーティング液は、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分の質量比が3.10:96.90となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液である。
得られた外構用コーティング液をあらかじめ加熱した上記着色有機塗装体上に20g/mスプレー塗布し、常温で乾燥した。こうして、光触媒層を形成させて、外構を得た。
(実施例2)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が4.60:95.40となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた点、および着色有機塗装体上への外構用コーティング液の塗布量を30g/mとした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
なお、空隙率測定のために、基材をガラス板とし、また塗布後の乾燥を90℃で行った以外は、上と同様にして塗装体試料を得た。空隙率は28体積%であった。
(実施例3)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:10nm、酸性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、酸性、アルミナ被覆)と、テトラエトキシシランの重縮合物(SiO換算濃度:40質量%。溶媒:エタノール、水)とを、TiOの固形分とコロイダルシリカの固形分とテトラエトキシシランの重縮合物中のSiO換算の乾燥質量との質量比が4.60:90.40:5.00となるように溶媒に水とエタノールとを用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例2と同様の条件で試料を作製した。
なお、空隙率測定のために、基材をガラス板とし、また塗布後の乾燥を90℃で行った以外は、上と同様にして塗装体試料を得た。空隙率は21体積%であった。
(実施例4)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が4.90:95.10となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例3と同様の条件で試料を作製した。
(実施例5)
まず、基材として50mmX100mmの平板状の着色有機塗装体を用意した。この着色有機塗装体は、シーラー処理した窯業系サイディング基材上に白色顔料を添加したアクリル塗料(シリコンなし)を下地が隠ぺいされるまで塗布した後、常温で十分に乾燥および硬化させたものである。
次いで、外構用コーティング液を用意した。この外構用コーティング液は、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分の質量比が3.10:96.90となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液である。
得られた外構用コーティング液をあらかじめ加熱した上記着色有機塗装体上に20g/mスプレー塗布し、常温で乾燥した。こうして、光触媒層を形成させて、外構を得た。
(実施例6)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が4.60:95.40となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた点、および着色有機塗装体上への外構用コーティング液の塗布量を30g/mとした以外は、実施例5と同様の条件で試料を作製した。
(実施例7)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:10nm、酸性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、酸性、アルミナ被覆)と、テトラエトキシシランの重縮合物(SiO換算濃度:40質量%。溶媒:エタノール、水)とを、TiOの固形分とコロイダルシリカの固形分とテトラエトキシシランの重縮合物中のSiO換算の乾燥質量との質量比が4.60:90.40:5.00となるように溶媒に水とエタノールとを用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例6と同様の条件で試料を作製した。
(実施例8)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が4.90:95.10となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例6と同様の条件で試料を作製した。
(比較例1)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が0.60:99.40となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例2と同様の条件で試料を作製した。
なお、空隙率測定のために、基材をガラス板とし、また塗布後の乾燥を90℃で行った以外は、上と同様にして塗装体試料を得た。空隙率は15体積%であった。
(比較例2)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:10nm、酸性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、酸性、アルミナ被覆)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が2.00:98.00となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた点、および着色有機塗装体上への外構用コーティング液の塗布量を15g/mとした以外は、実施例1と同様の条件で試料を作製した。
(比較例3)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:10nm、酸性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、酸性、アルミナ被覆)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が10.00:90.00となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、比較例2と同様の条件で試料を作製した。
なお、空隙率測定のために、基材をガラス板とし、また塗布後の乾燥を90℃で行った以外は、上と同様にして塗装体試料を得た。空隙率は37体積%であった。
(比較例4)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:42nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、塩基性)とを、TiOの固形分とSiOの固形分との質量比が0.60:99.40となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた以外は、実施例6と同様の条件で試料を作製した。
(比較例5)
外構用コーティング液として、アナターゼ型チタニア水分散体(平均粒径:10nm、酸性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:14nm、酸性、アルミナ被覆)とを、TiOの固形分とコロイダルシリカの固形分との質量比が2.00:98.00となるように溶媒に水を用いて混合し、固形分濃度5.5質量%に調整した外構用コーティング液を用いた点、および着色有機塗装体上への外構用コーティング液の塗布量を15g/mとした以外は、実施例5と同様の条件で試料を作製した。
(評価実験A)
実施例1〜8、および比較例1〜5について、NOx分解性試験を以下の通りの方法で行った。まず上記試料を前処理として1mW/cmのBLB光(輝線スペクトルの波長が351nmのものを使用)で5hr以上照射した。次いでJIS R 1701−1に記載の反応容器内に塗装体サンプルを2枚セットした。25℃、50%RHに調整した空気に約1000ppbになるようにNOガスを混合し、遮光した反応容器内に流量1.5l/minで20分供給した。その後ガスを導入したままで1mW/cmに調整したBLB光(輝線スペクトルの波長が351nmのものを使用)を20分間照射した。その後ガスを導入した状態で再度反応容器を遮光した。NOx除去量は、BLB光照射前後でのNO、NO濃度から下記の式に従って計算した。
NOx除去量(ppb)=[NO(照射後)−NO(照射時)]−[NO(照射時)−NO(照射後)]
実施例1〜4および比較例1〜3の結果は表1に、また実施例5〜8および比較例4〜6の結果は表2に示されるとおりであった。
(評価実験B)
実施例1〜4、比較例3について、宮古島にてJIS K 5600−7−6に規定される暴露架台を用い南面に向けて水平より20°の角度で屋外暴露を行った。12ヶ月後に外観を目視で確認した。
得られた結果は表2に示される通りであった。ここで、表中のGはほとんど変化しなかったことを、NGはわずかに白華が生じたことを示す。
(評価実験C)
実施例5〜8、比較例4、5について、以下の通り基材からのブリードアウトによる親水阻害防止性の評価を行った。評価方法は、各試料を暗所にて1日間養生した後に、1mW/cmに調整したBLB光(輝線スペクトルの波長が351nmのものを使用)下に光触媒塗装面を上にして8日間放置後、試料表面の水との接触角を接触角計(協和界面科学製 CA−X150型)にて測定した。
結果は表2に示される通りであった。ここで、表中のGは水との接触角が20°未満、NGは20°以上を示す。
Figure 2011078918
Figure 2011078918

Claims (16)

  1. 基材と、該基材上に設けられた光触媒層とを備えてなる外構であって、
    前記光触媒層が、該光触媒層全体を100質量%としたときに、
    3質量%を超え5質量%未満の光触媒粒子と、
    85質量%を超え97質量%未満の無機酸化物粒子と、
    0質量%以上10質量%未満のバインダーを含んでなる、外構。
  2. 前記光触媒層が、該光触媒層全体を100質量%としたときに、前記光触媒粒子を3.1質量%以上4.9質量%以下、前記無機酸化物粒子を85.1質量%以上96.9質量%以下としてなる、請求項1に記載の外構。
  3. 前記基材の表面が、有機物質を含む樹脂を含有し、該表面に前記光触媒層が設けられてなる、請求項1または2に記載の外構。
  4. 1mW/cmに調整した輝線スペクトルの波長が351nmのBLB光下に光触媒塗装面を上にして8日間放置した後の、前記塗装体表面の水との接触角が20°未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外構。
  5. 前記光触媒粒子が酸化チタン粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外構。
  6. 前記無機酸化物粒子が、シリカ粒子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の外構。
  7. 前記光触媒粒子が、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定することにより算出される、が、10nm以上100nm以下の個数平均粒子径を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の外構。
  8. 前記無機酸化物粒子が、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定することにより算出される、5nmを超え100nm以下の個数平均粒径を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の外構。
  9. 外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、
    溶媒と、
    3質量%を超え5質量%未満の光触媒粒子と、
    85質量%を超え97質量%未満の無機酸化物粒子と、
    0質量%以上10質量%未満のバインダーを含んでなる
    外構用コーティング液。
  10. 外構用コーティング液の乾燥物質量を100質量%としたときに、前記光触媒粒子を3.1質量%以上4.9質量%以下、前記無機酸化物粒子を85.1質量%以上96.9質量%以下としてなる、請求項9に記載の外構用コーティング液。
  11. 基材に塗装して使用される外構用コーティング液であって、前記基材の表面が樹脂を含有してなるものである、請求項9または10のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
  12. 基材に塗装して光触媒層が形成された外構を作製するために使用する外構用コーティング液であって、1mW/cmに調整した輝線スペクトルの波長が351nmのBLB光下に光触媒塗装面を上にして8日間放置した後の、前記塗装体表面の水との接触角が20°未満である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
  13. 前記光触媒粒子が酸化チタン粒子である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
  14. 前記無機酸化物粒子がシリカ粒子である、請求項9〜13のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
  15. 前記光触媒粒子が、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定することにより算出される、10nm以上100nm以下の個数平均粒子径を有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
  16. 前記無機酸化物粒子が、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定することにより算出される、5nmを超え100nm以下の個数平均粒径を有する、請求項9〜15のいずれか一項に記載の外構用コーティング液。
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