以下、本発明のデータ伝送システムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例によるデータ伝送システムの具体的な構成を示すブロック図である。このシステムには、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)や携帯通信網、専用線の使用によるワイド・エリア・ネットワーク(WAN)等にて構成されるネットワーク1と、ネットワーク1を経由して音声データの送受信を行う例えば、パーソナル・コンピュータ、携帯電話、インターホン機器等にて構成される複数の音声通信装置2a、2b、2c、2dとが設けられている。なお、同実施例によれば、複数の音声通信装置として、4台の音声通信装置2a、2b、2c、2dを適用しているが、この台数に限定されるものではなく、任意で複数の台数を設けることもできる。
複数の音声通信装置2a、2b、2c、2dは、それぞれ同様な構成であり所定のアドレス、ここでは、「a」、「b」、「c」、「d」が割り当てられており、操作部20、音声送受信部21、メモリ22、制御部23及びインターフェース24を有している。
この音声通信装置2a、2b、2c、2dにおいて、操作部20は、制御部23により操作検出され、例えば、呼出元の使用者による呼出操作、呼出相手先の使用者による応答操作(や終話操作)等が行われるものであり、各種の押圧ボタンやキーボード等にて構成される。
音声送受信部21は、制御部23により制御され、マイク21a及びスピーカ21bを有している。ここで、マイク21aは、送話音声である音声データを音響入力するためのものである。また、スピーカ21bは、受話音声である音声データを音響出力するためのものであり、呼出報知時においては、呼出音や音声メッセージを音響出力することもできる。
メモリ22は、制御部23により制御(保存・読み出し制御)され、カウンタ保存部22a、計時部22b、音声保存部22c及び補完データ保存部22dを有しており、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成される。ここで、カウンタ保存部22aは、送信側の当該音声通信装置からネットワーク1に一定の周期で送信される音声データの順序を確認するための送信側内部カウンタC1、及び当該送信側内部カウンタが付加されてネットワーク1を経由し伝送されてくる音声データの順序を確認するための受信側内部カウンタC2を保存するものであり、計時部22bは、その周期T1、T2を計時するためのものである。また、音声保存部22cは、受信側の当該音声通信装置において、ネットワーク1を経由して受信した音声データを、一定の周期で更新される送信側内部カウンタC1の順序で後述する所定のバッファ領域Bに保存するためのものである。さらに、補完データ保存部22dは、音声保存部22cが有するバッファ領域Bから読み出され音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力された音声データを、補完用データとして保存するためのものである。
制御部23は、当該音声通信装置の構成各部を制御するためのものである。また、インターフェース24は、制御部23及びネットワーク1の間で例えば、音声データや制御データが付加されたパケット信号の送受信、すなわち、パケット通信を行うためのものである。
このように構成されたデータ伝送システムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。ここでは、図1に示すネットワーク1を経由して接続される複数の音声通信装置2a、2b、2c、2dのうち、送信側である音声通信装置2aの音声送受信部21からネットワーク1を経由して受信側である音声通信装置2bの音声送受信部21までの信号伝送ライン(パケット信号伝送ライン)が予め形成されている場合の動作について説明する。
図1に示す送信側の音声通信装置2aにおいて、送話音声である音声データS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、・・・を音声送受信部21のマイク21aに順次音響入力するにあたり、最初の音響入力を検出した制御部23は、図2(A)の模式図に示すように、メモリ22のカウンタ保存部22aに予め保存されている送信側内部カウンタC1のうち、音声データS1が最初の当該音声データであることを示す所定の当該内部カウンタ、ここでは、送信側内部カウンタC1=5を読み出し、その後、計時部22bにて計時される例えば、20ミリ秒毎の周期(送信側の周期)T1毎、すなわち、送信側の周期T1=20、40、60、80、100、120、140、160、・・・ミリ秒毎に、連番であるC1=6、7、8、9、10、11、12、13、・・・を順次読み出すことができる。
また、音声通信装置2aの制御部23は、図2(B)のフォーマット図に示すように、ヘッダ領域Z1に音声通信装置2bを指定するためのアドレスbを、カウンタ領域Z2にメモリ22のカウンタ保存部22aから読み出した送信側内部カウンタC1=5、6、7、8、9、10、11、12、13、・・・を、音声データ領域Z3に音声送受信部21のマイク22aに順次音響入力された音声データS1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、・・・をそれぞれ付加し、パケット化したパケット信号S1a、S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9a、・・・を生成する。これらパケット信号S1a、S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9a、・・・は、通常、制御部23の制御によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=20ミリ秒毎のタイミングで、インターフェース24、ネットワーク1、送信側の音声通信装置2aを除く他の音声通信装置2b、2c、2dのインターフェース24を経由して制御部23にそれぞれ伝送される。
音声通信装置2b、2c、2dの制御部23はそれぞれ、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてきた最初のパケット信号S1aのヘッダ領域Z1に付加されているアドレスと、自装置に予め設定されているアドレスとを比較し、当該アドレスが一致した場合のみ、パケット信号S1a及び、その後、伝送されてくるパケット信号S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9a、・・・が有効であると判断する。ここでは、音声通信装置2bの制御部23のみ当該アドレスが一致し、これを検出した制御部23は、有効であると判断されたパケット信号S1aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS1を、図3の模式図に示すように、同様にカウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=5に割り当ててメモリ22の音声保存部22cが有するバッファ領域Bに保存する。なお、図3及び後述する図4乃至図6の各模式図において、バッファ領域Bへの図示は、保存される当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1(の値)のみ表示するものとする。
すなわち、音声通信装置2bの制御部23は、同様に有効であると判断されるパケット信号S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9a、・・・の音声データ領域Z3から取り出した音声データS2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9、・・・を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=6、7、8、9、10、11、12、13、・・・に割り当ててメモリ22の音声保存部22bが有するバッファ領域Bに順次保存することができる。なお、バッファ領域Bは、1領域毎に100ミリ秒の音声データ、すなわち、5パケット分の当該音声データを保存することができるものとし、一度のタイミングで8パケット分以上の当該音声データを保存した場合には、オーバーフローが発生するものとする。
次に、受信側の音声通信装置2bによる具体的な動作を説明するにあたり、図3に示すように、メモリ22の音声保存部22cが有するバッファ領域Bへの音声データS5の保存時、すなわち、送話側の周期T1=80ミリ秒のタイミング(図2を参照。)において、バッファ領域Bを満たすデータ量、すなわち、20ミリ秒の当該音声データが5パケット分となるデータ量に達すると、これを検出した制御部23は、バッファ領域Bの先頭に保存されている音声データS1に割り当てられた送信側内部カウンタC1=5を、受信側内部カウンタC2として代入し、カウンタ保存部22aに保存するとともに、計時部22bにて計時される周期(受信側の周期)T2として、前述の送信側の周期T1に依存せず、独立したタイミングである20ミリ秒毎の計時を開始することにより、送信側の音声通信装置2aと受信側の音声通信装置2bとで相互に絶対時刻の整合を行う時計合わせのような煩雑な作業が不要となるばかりでなく、データ送信中において、ネットワーク1の輻輳による遅延の影響が軽減され、安定したデータ出力が可能となる。また、制御部23は、バッファ領域Bの先頭に保存されている音声データS1を読み出し、音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力させるとともに、この音声データS1をバッファ領域Bから破棄し、さらには、補完用データとして補完データ保存部22dに保存する。
この後、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒後のタイミングにおいて、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「5」→「6」に更新するとともに、音声データS2が先頭に音声データS3、S4、S5の順序で予め保存されている音声保存部22cが有するパケット領域Bに、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S6aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS6を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=10に割り当てて保存し、このパケット領域Bの先頭に保存されている音声データS2に割り当てられた送信側内部カウンタC1=6と更新された受信側内部カウンタC2=6とを比較する。
ここでは、第1の比較結果として、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S6aに欠落・破損や遅延が発生していない場合、当該内部カウンタが「6」で一致するため、これを検出した音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22のカウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「6」→「7」に更新するとともに、当該内部カウンタが「6」で一致する音声データS2を音声保存部22cが有するバッファ領域Bから読み出し、音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力させる。また、制御部23は、バッファ領域Bからから読み出した音声データS2を破棄するとともに、補完用データとして予め保存されている音声データS1に上書きして補完データ保存部22dに保存する。
前述までの説明から明らかなように、第1の比較結果に伴う動作によれば、送信側の音声通信装置2aの制御部23によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=20ミリ秒毎のタイミングで遅延なく、ネットワーク1を経由して受信側の音声通信装置2bにパケット信号S1a、S2a、S3a、S4a、S5a、S6a、S7a、S8a、S9a、・・・が欠落・破損せずに伝送されてくると、受信側の音声通信装置2bでは、メモリ22の音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1と、カウンタ保存部22aに保存され受信側の周期T2=20ミリ秒毎で更新される受信側内部カウンタC2とが、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、・・・でそれぞれ一致するため、一致した当該内部カウンタで送信された音声データS1、S2、S3、S4、S5、・・・を順次読み出して音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力でき、リアルタイム性を有する音響出力が可能となる。
次に、前述のように送信側の音声通信装置2aの制御部23の制御によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=0〜80ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1に送信されたパケット信号S1、S2、S3、S4、S5には欠落・破損や遅延が発生せず、その後、送信側の周期T1=100ミリ秒のタイミングでネットワーク1に送信されたパケット信号S6に欠落・破損が発生し、受信側の音声通信装置2bの制御部23にて(正常に)受信されなかった場合の動作について、図4の模式図を参照して説明する。
この事由が発生したとき、音声通信装置2bの制御部23は、図4に示すように、メモリ22のカウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎に、「5」→「6」→「7」→「8」→「9」に順次更新し、音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1と、カウンタ保存部22aに保存され計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎で順次更新される受信側内部カウンタC2とが、「6」、「7」、「8」、「9」でそれぞれ一致するため、一致した当該内部カウンタで送信された音声データS2、S3、S4、S5を、バッファ領域Bから順次読み出して音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力でき、リアルタイム性を有する音響出力が可能となり、さらには、補完用データとしても補完データ保存部22dに上書き保存できるものの、送信側の音声通信装置2aの制御部23の制御によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=180ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1に送信されたパケット信号S10aを受信したとき、バッファ領域Bの先頭には音声データS7が保存され、この音声データS7に割り当てられた送信側内部カウンタC1=11は、受信側内部コネクタC2=10と比較して大きくなる。
この第2の比較結果を検出した音声送受信装置2bの制御部23は、当該内部カウンタが一致した直前の受信側の周期T2=80ミリ秒のタイミングで音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力された音声データであって、メモリ22の補完データ保存部22dに予め保存されている音声データS5を読み出し、当該内部カウンタが「11」で一致するまでの間、すなわち、計時部22bにて計時される受信側の周期T2が、パケット信号S11aを受信する120ミリ秒となるまでの間、(継続して)スピーカ21bから音響出力させる。
この後、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=120ミリ秒後のタイミングにおいて、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「11」→「12」に更新するとともに、音声データS7が先頭に音声データS8、S9、S10の順序で予め保存されている音声保存部22cが有するパケット領域Bに、送信側の音声通信装置2aから周期T1=200ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S11aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS11を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=15に割り当てて保存し、このパケット領域Bの先頭に保存されている音声データS7に割り当てられた送信側内部カウンタC1=11と更新された受信側内部カウンタC2=11とを比較する。ここでは、当該内部カウンタが「11」で一致することから、前述の第1の比較結果に伴う動作が行われることになる。
前述までの説明から明らかなように、第2の比較結果に伴う動作によれば、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して受信側の音声通信装置2bに伝送される当該パケット信号に欠落・破損が発生し、受信側である音声通信装置2bの制御部23にて比較される送信側内部カウンタC1が受信側内部カウンタC2と比較して大きい場合であっても、音声送受部21のスピーカ21bから音響出力される音声データを、メモリ22の補完データ保存部22dから読み出される音声データを用いることで、無音となるような音切れの発生が防止され、リアルタイム性を確保することができる。
次に、前述のように送信側の音声通信装置2aの制御部23の制御によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=0〜80ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1に送信されたパケット信号S1、S2、S3、S4、S5には欠落・破損や遅延が発生せず、その後、送信側の周期T1=100ミリ秒のタイミングでネットワーク1に送信されたパケット信号S6に例えば、当該ネットワークの輻輳により120ミリ秒の遅延が発生し、その後のパケット信号S7、S8、S9、・・・についても同様な遅延が発生した場合の動作について、図5の模式図を参照して説明する。
この事由が発生したとき、音声通信装置2bの制御部23は、図5に示すように、メモリ22のカウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎に、「5」→「6」→「7」→「8」→「9」に順次更新し、音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1と、カウンタ保存部22aに保存され計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎で順次更新される受信側内部カウンタC2とが、「6」、「7」、「8」、「9」でそれぞれ一致するため、一致した当該内部カウンタで送信された音声データS2、S3、S4、S5を、バッファ領域Bから順次読み出して音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力でき、リアルタイム性を有する音響出力が可能となり、さらには、補完用データとしても補完データ保存部22dに上書き保存できるものの、受信側内部カウンタC2が「10」→「11」と更新される受信側の周期T2=100、120ミリ秒のときには、バッファ領域Bに保存すべき音声データが存在しなくなる。
これを検出した音声送受信装置2bの制御部23は、当該内部カウンタが一致した直前の受信側の周期T2=80ミリ秒のタイミングで音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力された音声データであって、メモリ22の補完データ保存部22dに予め保存されている音声データS5を読み出し、スピーカ21bから音響出力させる。これにより、受信側の周期T2=100、120ミリ秒のそれぞれのタイミングで無音となるような音切れの発生が防止され、リアルタイム性を確保することができる。
また、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=140ミリ秒(のタイミング)を検出したとき、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1に送信されたパケット信号S6a、S7a、S8a、S9a、S10a、S11a、S12aをそれぞれ受信することになり、音声保存部22cが有するバッファ領域Bには、音声データS6を先頭に、音声データS7、S8、S9、S10、S11、S12の順序で当該バッファ領域の閾値を超える7パケット分の当該音声データが保存され、先頭の音声データS10に割り当てられた送信側内部カウンタC1=10が受信側内部カウンタC2=12と比較して小さくなる。
この第3の比較結果を検出した音声通信装置2bの制御部23は、音声送受信部22の音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている音声データS6、S7をそれぞれ破棄するとともに、当該内部カウンタ「12」に割り当てられた音声データS8を読み出し、スピーカ21bから音響出力させるとともに、この音声データS8を、補完用データとして予め保存されている音声データS5に上書きして補完データ保存部22dに保存することができ、この動作を当該内部カウンタが「12」で一致するまでの間繰り返して行う。
この後、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=160ミリ秒後のタイミングにおいて、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「12」→「13」に更新するとともに、音声データS9が先頭に音声データS10、S11、S12の順序で予め保存されている音声保存部22cが有するパケット領域Bに、音声通信装置2aから送信側の周期T1=240ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S13aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS13を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=17に割り当てて保存し、このパケット領域Bの先頭に保存されている音声データS9に割り当てられた送信側内部カウンタC1=13と更新された受信側内部カウンタC2=13とを比較する。ここでは、当該内部カウンタが「13」で一致することから、前述の第1の比較結果に伴う動作が行われることになる。
前述までの説明から明らかなように、第3の比較結果に伴う動作によれば、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して受信側の音声通信装置2bに伝送される当該パケット信号に例えば、当該ネットワークの輻輳により遅延が発生し、音声通信装置2bの制御部23にて比較される送信側内部カウンタC1が受信側内部カウンタC2と比較して小さい場合であっても、音声送受部21のスピーカ21bから音響出力される音声データを、メモリ22の補完データ保存部22dから読み出される音声データを用いることで、無音となるような音切れの発生が防止され、リアルタイム性を確保することができる。
次に、前述のように送信側の音声通信装置2aの制御部23の制御によりメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=0〜80ミリ秒のタイミング(図2を参照。)でネットワーク1に送信されたパケット信号S1、S2、S3、S4、S5には欠落・破損や遅延が発生せず、その後、送信側の周期T1=100ミリ秒のタイミングでネットワーク1に送信されたパケット信号S6に例えば、当該ネットワークの輻輳により140ミリ秒の大幅な遅延が発生し、その後のパケット信号S7、S8、S9、・・・についても同様な遅延が発生した場合の動作について、図6の模式図を参照して説明する。
この事由が発生したとき、音声通信装置2bの制御部23は、図6に示すように、メモリ22のカウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎に、「5」→「6」→「7」→「8」→「9」に順次更新し、音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1と、カウンタ保存部22aに保存され計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎で順次更新される受信側内部カウンタC2とが、「6」、「7」、「8」、「9」でそれぞれ一致するため、一致した当該内部カウンタで送信された音声データS2、S3、S4、S5を、バッファ領域Bから順次読み出して音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力でき、リアルタイム性を有する音響出力が可能となり、さらには、補完用データとしても補完データ保存部22dに上書き保存できるものの、受信側内部カウンタC2が「10」→「11」と更新される受信側の周期T2=100、120、140ミリ秒のときには、バッファ領域Bに保存すべき音声データが存在しなくなる。
これを検出した音声送受信装置2bの制御部23は、当該内部カウンタが一致した直前の周期T2=80ミリ秒のタイミングで音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力された音声データであって、メモリ22の補完データ保存部22dに予め保存されていた音声データS5を読み出し、スピーカ21bから音響出力させることができる。これにより、受信側の周期T2=100、120、140ミリ秒のそれぞれのタイミングで無音となるような音切れの発生が防止され、リアルタイム性を確保することができる。
また、送信側の音声通信装置2aの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される周期T2=160ミリ秒(のタイミング)を検出したとき、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1に送信されたパケット信号S6a、S7a、S8a、S9a、S10a、S11a、S12a、S13aをそれぞれ同一のタイミングで受信することになり、メモリ22の音声保存部22cが有するバッファ領域Bには、音声データS6を先頭に、音声データS7、S8、S9、S10、S11、S12、S13の順序で当該バッファ領域の閾値を超える8パケット分の当該音声データが保存され、オーバーフローが発生する。これを検出した制御部23は、オーバーフロー状態のバッファ領域Bの初期化を行うとともに、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2の初期化、及び補完データ保存部22dに保存される補完データの初期化をそれぞれ行う。
この後、音声通信装置2bの制御部23は、前述の初期化を行った後のタイミングであって、送信側の周期T1=260、280、300、320、340ミリ秒のタイミング(図2を参照。)で音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S14a、S15a、S16a、S17a、S18aに前述のような欠落・破損や遅延が発生せず、正常に受信し、メモリ22の音声受信部22bが有するパケット領域Bに5パケット分の当該音声データとして順次保存し、その保存終了を検出すると、先頭に保存されている音声データS14に割り当てられた送信側内部カウンタC1=18を、受信側内部カウンタC2として代入し、カウンタ保存部22aに保存するとともに、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒の計時を再開する。また、制御部23は、バッファ領域Bの先頭に保存されている音声データS18を読み出し、音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力させるとともに、この音声データS18をバッファ領域Bから破棄し、さらには、補完用データとして補完データ保存部22dに保存する。
また、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒後のタイミングで、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「18」→「19」に更新するとともに、音声データS15が先頭に音声データS16、S17、S18の順序で予め保存されている音声保存部22cが有するパケット領域Bに、送信側の周期T1=360ミリ秒のタイミング(図2を参照。)で音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S19aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS19を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=19に割り当てて保存し、このパケット領域Bの先頭に保存されている音声データS15に割り当てられた送信側内部カウンタC1=19と更新された受信側内部カウンタC2=19とを比較する。ここでは、当該内部カウンタが「19」で一致することから、前述の第1の比較結果に伴う動作が行われることになる。
前述までの説明から明らかなように、送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して受信側の音声通信装置2bに伝送されるパケット信号に大幅な遅延が発生し、音声通信装置2bのメモリ22の音声送受信部22bが有するバッファ領域Bがオーバーフローとなった場合であっても、バッファ領域Bの初期化、カウンタ保存部22aに保存する受信側内部カウンタC2の初期化、及び補完データ保存部22dに保存する補完用データの初期化をそれぞれ行うことで、データ伝送時の大幅なバラツキが軽減され、安定したデータ出力が可能となる。
次に、音声通信装置2aのメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=20ミリ秒毎のカウンタに誤差が発生し、音声通信装置2bのメモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎のカウンタよりも遅れていた場合、例えば、送信側の周期T1が誤差によって周期T1=30ミリ秒となっていた場合について、図7の模式図を参照して説明する。
この事由が発生したとき、音声通信装置2bの制御部23は、図7に示すように、メモリ22のカウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎に、「19」→「20」→「21」→「22」→「23」に順次更新し、音声保存部22cが有するバッファ領域Bの先頭に保存されている当該音声データに割り当てられた送信側内部カウンタC1と、カウンタ保存部22aに保存され計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎で順次更新される受信側内部カウンタC2とが、「19」、「20」、「21」、「22」「23」でそれぞれ一致するため、一致した当該内部カウンタで送信された音声データS15、S16、S17、S18、S19を、バッファ領域Bから順次読み出して音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力でき、リアルタイム性を有する音響出力が可能となり、さらには、補完用データとしても補完データ保存部22dに上書き保存できるものの、受信側内部カウンタC2が「23」→「24」と更新される受信側の周期T2=380ミリ秒のときには、バッファ領域Bに保存すべき音声データが存在しなくなり、アンダーフローが発生する。これを検出した制御部23は、アンダーフロー状態のバッファ領域Bの初期化を行うとともに、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2の初期化、及び補完データ保存部22dに保存される補完データの初期化をそれぞれ行う。
この後、音声通信装置2bの制御部23は、前述の初期化を行った後のタイミングで音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S20a、S21a、S22a、S23a、S24a、・・・に前述のような欠落・破損や遅延が発生せず、正常に受信し、メモリ22の音声受信部22bが有するパケット領域Bに5パケット分の当該音声データとして順次保存し、その保存終了を検出すると、先頭に保存されている音声データS20に割り当てられた送信側内部カウンタC1=24を、受信側内部カウンタC2として代入し、カウンタ保存部22aに保存するとともに、計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒の計時を再開する。また、制御部23は、バッファ領域Bの先頭に保存されている音声データS20を読み出し、音声送受信部21のスピーカ21bから音響出力させるとともに、この音声データS20をバッファ領域Bから破棄し、さらには、補完用データとして補完データ保存部22dに保存する。
また、音声通信装置2bの制御部23は、メモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒後のタイミングで、カウンタ保存部22aに保存される受信側内部カウンタC2を、「24」→「25」に更新するとともに、音声データS21が先頭に音声データS22、S23、S24の順序で予め保存されている音声保存部22cが有するパケット領域Bに、音声通信装置2aからネットワーク1を経由して伝送されてくるパケット信号S25aの音声データ領域Z3から取り出した音声データS25を、カウンタ領域Z2から取り出した送信側内部カウンタC1=29に割り当てて保存し、このパケット領域Bの先頭に保存されている音声データS21に割り当てられた送信側内部カウンタC1=25と更新された受信側内部カウンタC2=25とを比較する。ここでは、当該内部カウンタが「25」で一致することから、前述の第1の比較結果に伴う動作が行われることになる。
前述までの説明から明らかなように、カウンタの誤差によって送信側の音声通信装置2aからネットワーク1を経由して受信側の音声通信装置2bに伝送されるパケット信号に継続した遅延が発生し、音声通信装置2bのメモリ22の音声送受信部22bが有するバッファ領域Bがアンダーフローとなった場合であっても、バッファ領域Bの初期化、カウンタ保存部22aに保存する受信側内部カウンタC2の初期化、及び補完データ保存部22dに保存する補完用データの初期化をそれぞれ行うことで、データ伝送時の大幅なバラツキが軽減され、安定したデータ出力が可能となる。
なお、図7の模式図に示すようなアンダーフローが発生する態様において、音声通信装置2aのメモリ22の計時部22bにて計時される送信側の周期T1=20ミリ秒毎のカウンタに誤差が発生し、音声通信装置2bのメモリ22の計時部22bにて計時される受信側の周期T2=20ミリ秒毎のカウンタよりも進んでいた場合、例えば、送信側の周期T1が誤差により周期T1=10ミリ秒となっていた場合には、図6の模式図に示す態様と同様、オーバーフローが発生するが、その動作についての説明は省略するものとする。
なお、本発明のデータ伝送システムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
例えば、本発明の実施例によれば、複数の音声通信装置2a、2b、2c、2dにおいて、送信側内部カウンタC1及び受信側内部カウンタC2を保存するカウンタ保存部22aと、当該カウンタが更新される周期T1、T2のタイミングを計時する計時部22bとを、メモリ22に備える態様について説明したが、この態様に限定されるものではなく、カウンタ保存部22a及び計時部22bが有する機能を制御部23に備える態様であっても同様な効果を奏することができる。