JP2011075041A - 油圧クラッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クラッチ制御モータ101を電気的に制御し作動油の油圧でクラッチを切断制御するクラッチアクチュエータ71を備えた車両の油圧クラッチ装置において、クラッチアクチュエータ71は、クラッチ制御モータ101がフェールした場合に、クラッチを強制的に切断するクラッチ切断機構225を有する。
【選択図】図5
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アクチュエータが故障した場合であっても、クラッチを切り、車両を移動させることができるようにすることを目的とする。
この構成によれば、作動油の油圧を発生させるアクチュエータが作動不能になるなどのフェール時に、クラッチ切断機構によってクラッチを強制的に切断できる。このため、停車状態にある車両を押し歩きするなどして、車両を移動させることができる。
この場合、アクチュエータがフェールした場合に、電気的に制御弁を切り替えることができる。
また、フェール時にクラッチ作動油を戻し溜めるクラッチ作動油戻し機構を備えても良い。
この場合、アクチュエータがフェールした場合であっても、クラッチ作動油戻し機構にクラッチ作動油が戻り、油圧を下げることができるため、クラッチの断・接を操作できる。
この場合、フェールからの回復時には、クラッチ作動油戻し機構によってクラッチ作動油を油路中に戻すことができるため、新たな作動油を必要とすることなく、クラッチ作動油戻し機構に溜められたクラッチ作動油を再利用できる。
さらに、前記制御弁が作動していない時には、スプリングに付勢されることにより、作動油が油路に戻されても良い。
この場合、スプリングの付勢力による機械的な力によって作動油が油路に戻るため、電気的に制御することなく、簡単な構造で作動油を油路中に戻すことができる。
この場合、制御弁をクラッチ作動油戻し機構に直交させることで、制御弁及びクラッチ作動油戻し機構を複雑な構造にすることなく簡単な構造で構成できる。例えば、制御弁とクラッチ作動油戻し機構とを互いに平行に設けた場合、制御弁とクラッチ作動油戻し機構との間の油路を延ばす必要がある。
また、油圧を検出する油圧センサを備え、該油圧センサと前記クラッチ作動油戻し機構とは互いの長手方向が略平行となるように配置されても良い。
この場合、油圧センサとクラッチ作動油戻し機構とを長手方向が略平行となるように配置したため、油圧センサとクラッチ作動油戻し機構とが直交になるように配置した場合と較べて、油圧センサ及びクラッチ作動油戻し機構をコンパクトに配置できる。
この場合、過剰油吸収機構が油圧センサ及びクラッチ作動油戻し機構の短手方向に突出しないため、過剰油吸収機構をコンパクトに配置できる。
この場合、フェール状態の検出を、油圧センサと前記回転センサとの2つの手段で検知できるので、確実にフェール状態を検出できると共に、一方のセンサが故障した場合であっても、フェール状態を検知できる。
さらにまた、前記クラッチ切断制御機構は、ボールねじでクラッチ作動油を調整するボールねじタイプであっても良い。
この場合、ボールねじによって、簡単な構成で油圧を調整でき、部品点数を削減できる。例えば、回転するクランクによって油圧を調整する場合に較べて構成を簡単にできる。
また、電気的に制御弁を切り替えることができる。
また、アクチュエータがフェールした場合であっても、クラッチ作動油戻し機構にクラッチ作動油が戻り、油圧を下げることができるため、クラッチの断・接を操作できる。
さらにまた、スプリングによる機械的な力によって作動油が油路に戻るため、電気的に制御することなく、簡単な構造で作動油を油路中に戻すことができる。
また、制御弁をクラッチ作動油戻し機構に直交させることで、制御弁及びクラッチ作動油戻し機構を複雑な構造にすることなく簡単な構造で構成できる。
また、油圧センサとクラッチ作動油戻し機構とを長手方向が略平行となるように配置したため、油圧センサ及びクラッチ作動油戻し機構をコンパクトに配置できる。
さらにまた、油圧センサと前記回転センサとの2つの手段によって確実にフェール状態を検出できると共に、一方のセンサが故障した場合であっても、フェール状態を検知できる。
また、ボールねじによって簡単な構成で油圧を調整でき、部品点数を削減できる。
図1及び図2において、100は自動二輪車を示す。自動二輪車100の車体フレーム111は、車体前部に位置するヘッドパイプ112と、このヘッドパイプ112から車体中央まで後方に延びる左右一対のメインフレーム114と、メインフレーム114の後端部から下方に延びる左右一対のピボットプレート115と、メインフレーム114の後端部から車両後部まで延びるリヤフレーム(不図示)とを備えている。
ヘッドパイプ112には、フロントフォーク116が回動自在に取り付けられ、このフロントフォーク116の下端に前輪117が回転自在に支持されている。また、ヘッドパイプ112の上部には、操舵用ハンドル118が取り付けられている。
パワーユニットPは、前後V型4気筒のエンジンEを備え、該エンジンEは、図2に示すように、平面視で両メインフレーム114内に配置されている。該エンジンEは、クランクシャフト2(図1参照)を左右水平方向に指向し横置き配置であって、OHC型の水冷式で、クランクケース3を備え、該クランクケース3から2気筒ずつ前後に傾いたフロントバンクBfと、リヤバンクBrとがV型に構成され、互いのバンク角が90度よりも小さい狭角V型エンジンである。
また、リヤフォーク122と車体フレーム111との間には、リヤフォーク122からの衝撃を吸収するリヤクッション124が掛け渡されている。パワーユニットPの後部には、車体を停めるためのスタンド125が設けられ、パワーユニットPの左側面の下部には、サイドスタンド126が設けられている。
シリンダヘッド4fの各気筒には、シリンダボア3fの中心軸線であるシリンダ軸線C1上に、プラグ差込孔15が形成されており、このプラグ差込孔15には点火プラグ16(右側の気筒の点火プラグは不図示)がその先端を燃焼室20内に臨ませて配置されている。6はピストン、7fは連接棒である。
クランクシャフト2の図中右端側には、クランクシャフト2の回転を出力するカムシャフト駆動スプロケット17が設けられている。エンジンEのカムシャフト駆動スプロケット17側には、各バンクBf,Br内で上下に延在するカムチェーン室35が設けられ、カムシャフト25と一体に回転する従動スプロケット36は、カムシャフト25の一端に固定されてカムチェーン室35内に位置している。従動スプロケット36とカムシャフト駆動スプロケット17には、カムチェーン37が巻き回され、カムシャフト25はカムチェーン37及び従動スプロケット36を介して、クランクシャフト2の回転の半分の回転速度で回転されている。また、クランクシャフト2の図中左端側には、発電機としてのジェネレータ18が設けられている。
クランクケース3内には、クランクシャフト2とそれぞれ平行にメイン軸41、カウンタ軸42、及び出力軸43が設けられている。クランクシャフト2を含むこれらの軸41,42,43は、クランクシャフト2の回転をメイン軸41、カウンタ軸42、及び出力軸43の順に伝達する歯車伝達機構を備えている。
クランクシャフト2のカムチェーン室35側の端には、メイン軸41を回転させるクランク側駆動歯車2Bが固定され、クランク側駆動歯車2Bはメイン軸41のメイン軸側被動歯車41Aと噛み合っている。メイン軸41は、両端に設けられた軸受41Cを介して支持されている。メイン軸側被動歯車41Aは、メイン軸41上にメイン軸41と相対回転自在に設けられるとともに、クラッチ機構(油圧クラッチ装置)44に接続されており、このクラッチ機構44の作動によってクランクシャフト2とメイン軸41との間の動力の伝達が断続可能となっている。また、メイン軸側被動歯車41Aには、オイルポンプ(不図示)を駆動するオイルポンプ駆動歯車41Bが設けられている。
最も変速比の大きい1速歯車対m1,n1はメイン軸側被動歯車41Aが支持されるメイン軸41の一端側に配置され、2速歯車対m2,n2はメイン軸41の他端側に配置されている。1速歯車対m1,n1と2速歯車対m2,n2との間には、一端側から順に、5速歯車対m5,n5、4速歯車対m4,n4、3速歯車対m3,n3、及び6速歯車対m6,n6が配置されている。
出力軸43の略中央には、ばね受け部材53が固定され、円筒部材52とばね受け部材53との間にコイルばね54が設けられ、円筒部材52が被動歯車43Aに向けて付勢されている。カム式トルクダンパ51は、円筒部材52、ばね受け部材53及びコイルばね54を備えて構成されている。出力軸43の左端部には駆動傘歯車48が一体的に設けられ、この駆動傘歯車48は、車体の前後方向に延びるドライブシャフト49の前端に一体に設けられた被動傘歯車49Aに噛み合う。これによって、出力軸43の回転がドライブシャフト49に伝達される。
シフタとなるメイン軸41上の3速駆動歯車m3及び4速駆動歯車m4と、カウンタ軸42上の5速被動歯車n5及び6速被動歯車n6とは、図3の最下部に示した変速切換機構47によって移動して変速がなされる。
上述した変速歯車対は、変速切換機構47のシフトフォーク47B1,47C1を移動させることによって変更され、この変更された変速歯車対を介して、メイン軸41の回転動力がカウンタ軸42へと伝達される。
シフトドラム47Aは、シフトドラム47Aの回転量を制御するラチェット機構47Dを介してシフトスピンドル47Eに連結されている。
シフトスピンドル47Eの図中左端には、シフト制御装置61が連結され、シフト制御装置61はシフトモータ62を有し、シフトモータ62にはギヤ列63を介してシフトスピンドル47Eが連結されている。
メイン軸41には軸方向に中空部41Dが貫通し、中空部41Dには、クラッチリフターロッド66が配置されている。クラッチリフターロッド66の図中左端には、クラッチピストン67が固着され、ピストン67の背面部には、クラッチスレーブシリンダ68が設けられている。該クラッチスレーブシリンダ68には、油圧ホース74を介して、クラッチスレーブシリンダ68内に作動油を供給するクラッチアクチュエータ(クラッチ切断制御機構)71が接続されている。クラッチアクチュエータ71は、油圧発生装置72と、油圧制御装置73とを備え、図1及び図2に示すように、メインフレーム114の前端部の車体左側壁面に配置、固定され、油圧ホース74が、メインフレーム114に沿って車体後方に延出し、図3に示すように、メイン軸41の図中左端の上記クラッチスレーブシリンダ68に接続されている。小型車両に対し、簡易な構造で、クラッチアクチュエータ71とクラッチスレーブシリンダ68とを固定できる。
図3において、クラッチアクチュエータ71(油圧発生装置72と油圧制御装置73)が作動すると、クラッチスレーブシリンダ68に一定の油圧力が作用し、クラッチアクチュエータ71が作動しないとき、クラッチスレーブシリンダ68には一定の油圧力が作用しない。クラッチスレーブシリンダ68に一定の油圧力が作用しない状態では、図4に示すように、戻しスプリング93が、プレッシャープレート85を常に左方に押圧し、プレッシャープレート85が、図中左端の駆動摩擦板81Bから離れ、駆動摩擦板81Bと被動摩擦板83Bとが断となる。これによりクラッチアウタ81とクラッチインナ83とが断となり、メイン軸側被動歯車41Aからの回転動力が、クラッチアウタ81に伝達されても、クラッチアウタ81が空回りし、メイン軸側被動歯車41Aからメイン軸41への回転動力の伝達が断たれる。
図5は、クラッチアクチュエータ71を示す系統図、図6は、図5のVI−VI断面図である。図5において、クラッチアクチュエータ71は、クラッチ操作のための油圧を発生する油圧発生装置72と、その油圧を必要により制御するための油圧制御装置73とを備えている。油圧発生装置72は、クラッチ制御モータ(アクチュエータ)101を有し、クラッチ制御モータ101の出力軸102には、減速ギヤ列103を介して、駆動ギヤ104が連結されている。駆動ギヤ104には、偏心したクランク受け104Aが形成され、クランク受け104Aには、クランク105が嵌合し、クランク105と駆動ギヤ104が一体化されている。クランク105と駆動ギヤ104は、回転軸106から距離L1、偏心した偏心軸107を持ち、偏心軸107の外周には軸受け108が嵌合する。軸受け108の外周にはクランク室109内でピストン(油圧ピストン)110が当接し、ピストン110はシリンダ211内を延出し、ばね212で軸受け108に向けて付勢されている。これらクラッチ制御モータ101、出力軸102、減速ギヤ列103、駆動ギヤ104、クランク受け104A、クランク105、回転軸106、偏心軸107、及び軸受け108は、油圧ピストン駆動部213を構成している。
このように、クラッチ制御モータ101とクランク105との間に減速ギヤ列103を設けたため、クラッチ制御モータ101を変更することなく減速ギヤ列103を変更するだけで、多機種でクラッチアクチュエータ71を利用でき、汎用性が向上する。
そして、油圧発生装置72の油圧経路218から、油圧制御装置73の油圧経路219を経て、油圧ホース74、及び上記クラッチスレーブシリンダ68に至るまでの油圧経路は、閉じた油圧経路となっており、該油圧経路内の一定の油圧は、油圧発生装置72の上記ピストン110の作動によって発生する。
油圧ケース本体310は、ブロック状に形成された本体部311と、本体部311から膨出した膨出部312とを有し、油圧ケース本体310の内部には、本体部311の長手方向に延びる一側面311Aと平行に直線状に延びるメイン油路313が形成されている。また、油圧ケース本体310には、膨出部312の隣でメイン油路313の側に窪んだ段部314が形成され、この段部314には、柱状の油圧センサ222がメイン油路313に直交するように配置されている。油圧センサ222は、自動二輪車100に設けられた制御部としてのECU(不図示)に接続され、メイン油路313の油圧を検知する。
センサ接続部315Aに対向して一側面311A側には、入口接続部315Bが形成され、この入口接続部315Bには、入口ジョイント221からつながる油路R1と油圧ケース本体310とを接続する入口ボルト227が螺合されている。
入口ボルト227内には、側部から先端に貫通する略L字状の油路R2が形成され、入口ボルト227の側部に連結された油路R1と接続孔315とが油路R2によって連通されている。
膨出部312には、制御弁接続穴316に直交して制御弁接続穴316に貫通する戻しピストン収容穴317が形成され、ピストン収容穴317には、作動油戻し機構301が配置される。
なお、油圧経路219は、上流側から、油路R1,R2、接続孔315、メイン油路313、接続孔318、及び油路R3,R4を備えて構成されている。
また、入口ジョイント221及び出口ジョイント224を、一側面311Aにまとめて配置したため、入口ジョイント221及び出口ジョイント224の着脱の作業性が良く、さらに、油圧経路219及び油圧ホース74の配管の取り回しが容易になる。
これに加え、入口ジョイント221及び出口ジョイント224を、内部に油路R2,R3を備えるボルト227,228によって油圧ケース本体310に接続したため、入口ジョイント221及び出口ジョイント224の油路R1,R4を油圧ケース本体310の油路(接続孔315,318)に簡単に連通できる。
他側面312Aには、スプリング収納部318A2の縁部が突出した突出部312A1が形成されており、この突出部312A1にリテーナ223Cが嵌合されている。付勢スプリング223Bは、一端が段部318A3に当接するとともに、他端がリテーナ223Cに保持されている。付勢スプリング223Bの弾性力は、クラッチ接続に必要な油圧以上で過剰油吸収ピストン223Aが作動し始めるように設定される。
ところで、給油口214から供給される作動油は、クラッチ機構44の磨耗を考慮して、初期状態でクラッチ接続に必要な油量よりも多く設定されている。本実施の形態では、過剰油吸収機構223が設けられているため、過剰な油によって圧力が異常に上昇することを抑制できる。
図5及び図7に示すように、制御弁302は、円筒状に延びるホルダー320を有し、このホルダー320に、作動油戻し機構301への作動油の流れを規制するチェック弁126Aと、チェック弁126Aを開閉するクラッチ作動油戻し弁機構226とを備えて構成されている。チェック弁126Aはホルダー320の先端に一体に設けられ、クラッチ作動油戻し弁機構226はホルダー320の後端に固定され、制御弁302は、先端のチェック弁126Aがメイン油路313の後端に望む向きで、ホルダー320が制御弁接続穴316に係合されて固定されている。
チェック弁126Aは、ホルダ油路320Bに連通する戻し油路333によって戻しピストン収容穴317に接続されている。戻し油路333は、制御弁接続穴316の長手方向に直交して設けられている。
チェック弁126Aは、ソレノイド126Bが作動していないソレノイド126Bの非通電時に、開放ばね126Eによって付勢された弁棒126Cによってボール321がシート面320Aから離されてメイン油路313側に押し退けられることで開状態となり、戻し油路333をメイン油路313に連通させる。開放ばね126Eはメイン油路313に生じる最大油圧に抗してボール321を押し退け可能な付勢力に設定されており、ソレノイド126Bの非通電時には、常にチェック弁126Aの開状態が維持されている。
また、チェック弁126Aは、ソレノイド126Bの通電時に、開放ばね126Eの付勢力に抗してソレノイド126Bの側に弁棒126Cが引き寄せられ、ボール321がメイン油路313内の作動油の油圧によってシート面320Aに押し付けられて孔320Cを塞いで閉状態となり、戻し油路333を閉じる。
また、チェック弁126Aは、自動二輪車100の電源がオフの状態、及び、クラッチ制御モータ101が後述するフェール状態になった場合を除いては、常にソレノイド126Bに通電されており、閉状態が維持されている。
戻しばね336は、軸受け108が図6の位置Bにある状態で生じるピストン110による油圧を受けると戻しピストン335と共に蓋337の側に押し退けられ、また、軸受け108が位置Aにあり、ピストン110による油圧が生じない状態では、頂部335Aが戻しピストン収容穴317の底部に当接するように、その付勢力が設定されている。ただし、チェック弁126Aが閉じられている状態では、メイン油路313の油圧は戻しばね336に伝達されないため、通常時には、頂部335Aは戻しピストン収容穴317の底部に当接している。
クラッチアクチュエータ71が機能すると、上記多板クラッチ80(図4)が断・接される。すなわち、多板クラッチ80の接続時には、クラッチ制御モータ101を正回転する。すると、減速ギヤ列103を介して、駆動ギヤ104とクランク105が一体になって、図6に示すように、位置A〜Bへ反時計方向に回動し、軸受け108がピストン110を押し退けて、該経路内の油圧力を一定の圧力まで上昇する。
これが上昇すると、油圧制御装置73の油圧経路219、油圧ホース74を経て、クラッチスレーブシリンダ68に一定の圧力の作動油が供給され、クラッチリフターロッド66を右方に押動(図4)し、多板クラッチ80が接続される。
油圧力を一定の圧力まで上昇する場合、軸受け108は、位置Aから、上死点の位置Cを越えて、位置Bでストッパ113に当たって停止するため、軸受け108は、クラッチ制御モータ101で逆回転されない限り、位置Bでその位置を保持される。従って、クラッチ制御モータ101の作動電流をゼロにしても、クランク105が押し戻されることがなく、軸受け108が逆回転することはない。従って、クラッチ制御モータ101の電流を停止して、クラッチ制御モータ101に使用する電流を抑えることができる。
これが下降すると、クラッチスレーブシリンダ68内に一定の油圧力が立たなくなり、クラッチリフターロッド66は、図4を参照し、戻しスプリング93のばね力により、プレッシャープレート85、ホルダ88、及びリフタ91を介して、左方に移動する。これにより、プレッシャープレート85が、図中左端の駆動摩擦板81Bから離れ、多板クラッチ80が断とされる。
従って、この常時開放型クラッチ構造では、従来のように、クラッチレバー等のクラッチリリース機構などを設けることなく、自動二輪車の停止時に、電源がオフされても、自動二輪車の押し歩きが可能である。
本実施の形態では、クラッチアクチュエータ71の油圧制御装置73がクラッチ切断機構225を備え、クラッチ制御モータ101がフェール状態となった場合にも、クラッチスレーブシリンダ68の油圧を低下させることで多板クラッチ80を切断状態にすることができる。
以下、クラッチ切断機構225の動作について説明する。
ここで、クラッチ制御モータ101のフェール状態とは、クラッチ制御モータ101自体の故障だけでなく、油圧ピストン駆動部213が故障等により作動不能になり、ピストン110を下げることができない状態を指す。
また、自動二輪車100の電源をユーザが手動でオフにした場合にもソレノイド126Bへの通電が停止されるため、ユーザが電源を切ることによっても、自動二輪車100を押し歩き可能な状態にすることができる。
さらに、自動二輪車100のECUを含む電装系に不具合が生じた場合においても、ソレノイド126Bが非通電状態となり、多板クラッチ80を切断できるため、自動二輪車100を押し歩きできる。
また、クラッチ作動油戻しソレノイド226の接続部126Dは、油圧発生装置72とは別系統に設けられ、上記ECUに接続されているため、油圧発生装置72の故障によりクラッチ制御モータ101がフェール状態であっても、ソレノイド126Bを制御できる。
また、クラッチ切断機構225は、電気的に制御されるソレノイド126Bにより駆動されるため、クラッチ制御モータ101がフェールした場合であっても、電気的に制御弁302のチェック弁126Aを切り替えることができる。
さらに、フェールからの回復時には、作動油戻し機構301によって、ピストン収容穴317に溜められた作動油をメイン油路313中に戻すことができるため、新たな作動油を必要とすることなく、作動油戻し機構301に溜められた作動油を再利用できる。
さらにまた、戻しばね336の付勢力による機械的な力によって戻しピストン335が駆動され、戻しピストン収容穴317内の作動油がメイン油路313に戻るため、作動油戻し機構301を電気的に制御することなく、簡単な構造で作動油をメイン油路313中に戻すことができる。
また、油圧センサ222と作動油戻し機構301とを各々の長手方向が略平行となるように配置したため、油圧センサ222と作動油戻し機構301とが直交になるように配置した場合と較べて、油圧センサ222及び作動油戻し機構301をコンパクトに配置できる。
さらにまた、クラッチ制御モータ101のフェール状態の検出を、油圧センサ222と位置センサ231との2つの手段で検知するので、確実にフェール状態を検出できると共に、一方のセンサが故障した場合であっても、フェール状態を検知できる。
クラッチ制御モータ101が正回転すると、減速ギヤ列103を介して、ギヤ244が正回転し、ボールねじ143に螺合した上記ねじ軸145が上昇し、ピストン110を上方に押し退ける。これにより、油圧系統の圧力が上昇し、上述したように、多板クラッチ80が接とされる。クラッチ制御モータ101が逆回転すると、減速ギヤ列103を介して、ギヤ244が逆回転し、ボールねじ143に螺合した上記ねじ軸145が下降し、ばね212のばね力で、ピストン110が押し下げられる。これにより、油圧系統の圧力が低下し、多板クラッチ80が断とされる。
また、上記実施の形態では、制御弁302は、電気的に制御されるソレノイド126Bによって駆動されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザにより操作されるケーブル等によって、機械的に制御弁を駆動して油圧を降下させ、多板クラッチ80を切断するように構成しても良い。
71 クラッチアクチュエータ(クラッチ切断制御機構)
80 多板クラッチ(クラッチ)
100 自動二輪車(車両)
101 クラッチ制御モータ(アクチュエータ)
105 クランク
110 ピストン(油圧ピストン)
213 油圧ピストン駆動部
222 油圧センサ
223 過剰油吸収機構
225 クラッチ切断機構
231 位置センサ(回転センサ)
301 作動油戻し機構(クラッチ作動油戻し機構)
301A 戻し機構
302 制御弁
336 戻しばね(スプリング)
Claims (10)
- アクチュエータを電気的に制御し作動油の油圧でクラッチを切断制御するクラッチ切断制御機構を備えた車両の油圧クラッチ装置において、
前記クラッチ切断制御機構は、前記アクチュエータがフェールした場合に、前記クラッチを強制的に切断するクラッチ切断機構を有すること、
を特徴とする油圧クラッチ装置。 - 前記クラッチ切断機構は、電気的に制御される制御弁を有すること、
を特徴とする請求項1記載の油圧クラッチ装置。 - フェール時にクラッチ作動油を戻し溜めるクラッチ作動油戻し機構を備えたこと、
を特徴とする請求項1または2記載の油圧クラッチ装置。 - フェールからの回復時に前記クラッチ作動油を油路中に戻す戻し機構を備えたこと、
を特徴とする請求項3記載の油圧クラッチ装置。 - 前記制御弁が作動していない時には、スプリングに付勢されることにより、作動油が油路に戻されること、
を特徴とする請求項3または4記載の油圧クラッチ装置。 - 前記制御弁と前記クラッチ作動油戻し機構とは、直交する方向に配置されること、
を特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の油圧クラッチ装置。 - 油路の油圧を検出する油圧センサを備え、該油圧センサと前記クラッチ作動油戻し機構とは互いの長手方向が略平行となるように配置されたこと、
を特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の油圧クラッチ装置。 - 前記アクチュエータから余分に供給されるクラッチ作動油を吸収する過剰油吸収機構が、前記油圧センサと前記クラッチ作動油戻し機構との間に設けられ、前記過剰油吸収機構の長手方向が、前記油圧センサ及び前記クラッチ作動油戻し機構の長手方向と略平行に設けられたこと、
を特徴とする請求項7記載の油圧クラッチ装置。 - 前記アクチュエータと該アクチュエータにより駆動されて油圧ピストンを駆動するクランクとを有し、前記アクチュエータにより前記油圧ピストンを制御する油圧ピストン駆動部と、
前記油圧ピストン駆動部に取り付けられた前記クランクの回転を検知する回転センサとを備え、
前記フェールの検知は、前記油圧センサまたは前記回転センサによりなされること、
を特徴とする請求項7または8記載の油圧クラッチ装置。 - 前記クラッチ切断制御機構は、ボールねじでクラッチ作動油を調整するボールねじタイプであること、
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の油圧クラッチ装置。
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