JP2011073998A - 軟骨増大促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
変形性関節症などの軟骨の減少が原因で発症する軟骨疾患に安全に使用でき、且つBPIBよりもさらに軟骨の増大や軟骨細胞の増殖を促進することで軟骨疾患の治療期間を短縮することができる軟骨増大促進剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
以下に示すA又はBを少なくとも一つを含むことを特徴とする軟骨増大促進剤を提供する。
A 4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド又はその水和物
B 2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン又はその水和物
【選択図】図2

Description

本発明は、4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド(以下D4476と称する)又はその水和物、2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン(TGF-βType I Receptor Kinase Inhibitor II、以下TGF−βRI KI IIと称する)又はその水和物を含有する軟骨増大促進剤に関する。
尚、本明細書中に用いられる「軟骨」の語は、軟骨細胞と軟骨基質を含む器官をいい、軟骨分化の過程で発生する軟骨原基を含む。また、「軟骨」には、例えば、硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨を含む。軟骨細胞には、軟骨芽細胞を含む。「軟骨増大」の語は、軟骨細胞増殖、軟骨マトリクス産生の増加、軟骨周囲組織からの細胞の供給等によって軟骨が増大する場合を包含する。また、「軟骨増殖」の語は、軟骨が増殖、増加、増大、あるいは成長することを含み、終局的には軟骨が修復、再生されることを包含する。
変形性関節症は、50歳以上の人口の2〜3割が罹患しているとされ、患者数が最も多い関節疾患である。特に近年、高齢化社会の進行に伴い、患者数は増加傾向にあり、多くの患者が不自由な生活を余儀なくされている。この疾患は、加齢および遺伝的要因による関節構成要素の変性、あるいは肥満、労働、スポーツによる関節への負荷などが原因として考えられている。実際には、骨端表面に存在し骨動を担う軟骨が減少し、変形あるいは消失することにより関節が滑らかに動かなくなることで発症すると説明される。
軟骨は、血管や神経細胞がなく、一旦損傷を受ければ自然に復元することは困難である。症状が軽度の場合、温熱療法やけん引といった理学療法、あるいは鎮痛薬や抗炎症薬を用いた緩和療法がとられるが、症状が重い場合には、ヒアルロン酸の関節への注入や手術による人工関節置換が実施される。しかし、本疾患の理想的治療は、変形あるいは消失した軟骨を修復あるいは再生することによる根治治療である。
軟骨および骨の形成を誘導する因子としては、骨形成蛋白質(bone morphogenic protein以下、BMPと称する。)が知られている。(非特許文献1、2参照)。しかし、BMPは最終的には骨形成を誘導する蛋白性因子であり、単独で異所性骨形成シグナルとして作用するサイトカインである。
従って、BMPを有効成分とする医薬品が海外の一部国で承認されているが、骨を対象とした医療用治療剤である。また、大量に生産する方法が確立されていないこともあって、臨床での使用の妨げになっている。従って、現在のところBMPは軟骨の治療に用いられるには至っていない。
BMPの他に、骨形成及び軟骨形成の促進因子としてTGF−βが知られている(非特許文献3参照)。TGF−βは多くの細胞の増殖や分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカインの一種であり、TGF−βスーパーファミリーを形成し、約40種類が報告されている。
骨形成及び軟骨形成におけるTGF−βの作用としては、骨膜下(subperiosteal)多機能性細胞を刺激して窮極的には軟骨形成細胞に分化させることが報告されている。(非特許文献3、4参照)。また、TGF−βスーパーファミリーのうちの1因子をコード化する遺伝子を、哺乳動物の靭帯、軟骨、腱、骨、及び滑膜を含む結合組織に導入し、該結合組織を再生する方法も知られている(特許文献1参照)。よって、軟骨再生には、TGF−βを活性化させることが望ましいと考えられていた。その一方で、TGF−βには軟骨原基の増大を抑制する効果があることも報告されている(非特許文献5、6参照)。
本願発明者らはマウスから採取した軟骨原基培養系にTGF−β阻害活性を有する4−(5−ベンゾール[1,3]ジオキソール−5−イル−4−ピリジン−2−イル−1H−イミダゾ−ル−2−イル)−ベンズアミド(以下BPIBと称する)を添加したところ、軟骨原基を増大させる効果を奏することを見出し、BPIBを含有することを特徴とする軟骨再生促進剤について既に出願している(特願2008−149804号)。
しかし、軟骨細胞が減少することによって発症する疾患の治療のためには、BPIBよりもさらに速く軟骨を増大させたり、軟骨細胞を増殖させる物質の開発が望まれていた。
また、既に軟骨を誘導することが知られているBMPと組み合わせて用いることで相乗効果により軟骨原基の増大や、軟骨細胞の増殖を促進させる物質の開発も望まれていた。
特許第4188986号公報
Ozkaynak et al., EMBO J, 第9巻、p.2085-2093、1990年 Sampath and Rueger, Complications in ortho、 p.101-107、1994年 Joyce et al., J Cell Biology, 第110巻、p.2195-2207、1990年 Miettinen et al., J Cell Biology, 第127巻、第6号、p.2021-2036、1994年 Alvarez, J., Horton, J., Sohn, P., and Serra, R. (2001). The perichondrium plays an important role in mediating the effects of TGF-beta1 on endochondral bone formation. Dev. Dyn. 221, 311-321 Alvarez, J., and Serra, R. (2004). Unique and redundant roles of Smad3 in TGF-beta-mediated regulation of long bone development in organ culture. Dev. Dyn. 230, 685-699.)
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり変形性関節症などの軟骨の減少が原因で発症する軟骨疾患に安全に使用でき、且つBPIBよりもさらに軟骨の増大や軟骨細胞の増殖を促進することで軟骨疾患の治療期間を短縮することができる軟骨増大促進剤を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、以下に示すA又はBを少なくとも一つを含むことを特徴とする軟骨増大促進剤に関する。
A 4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド又はその水和物
B 2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン又はその水和物
請求項2に係る発明は、BMPと以下のA乃至Cを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする軟骨増大促進剤に関する。
A 4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド又はその水和物
B 2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン又はその水和物
C 4−(5−ベンゾ−ル[1,3]ジオキソール−5−イル)−4−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンズアミド又はその水和物
請求項3に係る発明は、局所投与用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項4に係る発明は、注射剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項5に係る発明は、経口投与剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項6に係る発明は、軟骨の減少が原因で発症する疾患もしくは障害の予防または治療用であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項7に係る発明は、前記疾患または障害が、変形性関節症、慢性関節リウマチ、離断性骨軟骨炎、関節軟骨の損傷、関節軟骨石灰化症、椎間板変性、無耳症、小耳症軟骨欠損、軟骨形成不全症、補綴具周囲の骨溶解、顎関節症および歯槽骨の溶解又は破壊を伴う歯周病、骨折、難治性骨折、小人症(四肢短縮型)から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項6記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項8に係る発明は、骨欠損部へのインプラント生着促進用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項9に係る発明は、培養軟骨または培養軟骨細胞増殖用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤に関する。
請求項10に係る発明は、請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤と軟骨を接触させて軟骨を増大させることを特徴とする軟骨増大方法に関する。
請求項11に係る発明は、接触濃度が、0.001〜4000μMであることを特徴とする請求項10に記載の軟骨増大方法に関する。
請求項12に係る発明は、請求項10又は11に記載の方法で作製された軟骨に関する。
請求項13に係る発明は、自己培養軟骨移植手術用であることを特徴とする請求項12に記載の軟骨に関する。
請求項1に係る発明によれば、D4476もしくはTGF−βRI KI IIの少なくとも1つを含む軟骨増大促進剤であることによって、手術をすることなく疾病、スポーツ又は怪我などで損傷し又は減少した軟骨を増大させるとともに、軟骨細胞を増殖、増加させ、再生させることができる。また、手術を行った場合でも手術中に投与することで治癒速度を促進することができる。
請求項2に係る発明によれば、BMPとD4476、TGF−βRI KI II、BPIBの少なくとも一つを用いることで、相乗効果により、夫々を単独で用いるよりも軟骨の増大速度および軟骨細胞の増殖速度を速めることができ、軟骨を修復もしくは再生するまでの期間を短縮することができる。
請求項3または4に係る発明によれば、軟骨増大促進剤を幹部局所に直接投与することができるため、少ない薬剤で高い効果が得られる軟骨増大促進剤を提供することができる。また、投与部以外での軟骨の増大や軟骨細胞の増殖を抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、軟骨増大促進剤を含む経口投与剤を提供することができるので、日常的に軟骨増大促進効果のある化合物を体内に取り入れやすくなり、軟骨の減少が原因で発症する疾患を治療もしくは予防することができる。
請求項6に係る発明によれば、軟骨の減少が原因で発症する疾患もしくは障害の予防することができ、また治療の際は治療期間を短縮することができる安全な軟骨増大促進剤を提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、変形性関節症、慢性関節リウマチ、離断性骨軟骨炎、関節軟骨の損傷、関節軟骨石灰化症、椎間板変性、無耳症、小耳症軟骨欠損、軟骨形成不全症、補綴具周囲の骨溶解、顎関節症および歯槽骨の溶解又は破壊を伴う歯周病、骨折、難治性骨折、小人症(四肢短縮型)等に施術される脚延長術に有効であり、かつ安全で治療期間を短縮することができる軟骨増大促進剤を提供することができる。
請求項8に係る発明によれば、インプラントとともに用いることで,インプラントの生着を促進させ、治療期間を短縮できる軟骨増大促進剤を提供することができる。
請求項9に係る発明によれば、軟骨又は軟骨細胞の培養期間を短縮することができる。
請求項10に係る発明によれば、軟骨と接触させて培養することにより、軟骨の増大を促進させて、培養期間をより短縮することができる。
請求項11に係る発明によれば、接触させる軟骨増大促進剤の濃度が0.001〜4000μMであることにより、軟骨の増大に最適な濃度であるので、培養期間をより短縮することができる。
請求項12に係る発明によれば、請求項10又は11に記載の方法で作製された軟骨であるので、わずかな軟骨から増大した軟骨を得ることができるため、軟骨の移植等に用いることができる。
請求項13に係る発明によれば、自己の軟骨を培養して移植することができるので拒絶反応を起こさない軟骨を得ることができる。
中足骨軟骨原基面積増加率とTGF−βシグナル阻害剤のシグナル阻害作用を比較した図である。 BPIBとD4476,TGF−βRI KI IIの中足骨軟骨原基面積増加率の比較及びBPIB、D4476、TGF−βRI KI IIにBMPの一種であるrhGDF−5を加えた時の中足骨軟骨原基面積増加率の相乗効果について表わした図である。 BPIB、D4476、TGF−βRI KI IIにrhGDF−5を加えた場合と加えていない場合の中足骨軟骨原基を写した写真である。 BPIBとrhBMP−2の中足骨軟骨原基面積増加率における相乗効果を表わした図と該中足骨軟骨原基を写した写真である。 水分散BPIBとrhGDF-5の中足骨軟骨原基面積増加率における相乗効果を表わした図と該中足骨軟骨原基を写した写真である。
本発明の軟骨増大促進剤によって増大する軟骨は、例えば、硝子軟骨、繊維軟骨、弾性軟骨等が挙げられる。硝子軟骨としては、例えば、関節軟骨、成長軟骨、気管軟骨、甲状軟骨などが挙げられる。繊維軟骨としては、例えば、椎間円板、恥骨結合、関節半月、関節円板などが挙げられる。弾性軟骨としては、例えば耳介軟骨や咽喉蓋の軟骨などが挙げられる。本発明の軟骨増大促進剤によって増大する軟骨として特に好ましくは、関節に存在する硝子軟骨、成長軟骨(小人症の脚延長促進)である。
本発明に係る軟骨増大促進剤は、陸生または水生の脊椎動物に使用できる。陸生の脊椎動物としては、例えばヒト、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、フェレット、マウスおよびラットなどを含む哺乳動物、ニワトリ、ガチョウおよびシチメンチョウを含む鳥類、有袋類または爬虫類などが挙げられる。水生の脊椎動物としては、例えば、魚類や両性類などが挙げられる。
本発明に使用される化合物について説明する。
本発明に使用される化合物はBPIBと同様にTGF-βシグナル阻害作用を有しており、単独で用いた場合にはBPIBよりも軟骨の増大作用が大きい化合物である。
また、本発明に係る化合物及びBPIBはBMPと共に用いると相乗効果によって単独で用いるよりも極めて軟骨の増大作用が大きくなる。
尚、本発明に使用される化合物とBPIBはTGF−βシグナル阻害作用を有しているが、TGF−βシグナル阻害作用の大きさと軟骨増大作用の大きさには相関関係がないことについては実施例を挙げて後述する。
本発明に使用されるD4476(4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド)は下記式(化1)により示される常温で固体の生理活性物質で分子量398.4の低分子化合物である。
Figure 2011073998
TGF−βRI KI II(2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン)は下記式(化2)により示される常温で固体の生理活性物質で分子量287.3の低分子化合物である。
Figure 2011073998
BPIB(4−(5−ベンゾ−ル[1,3]ジオキソール−5−イル)−4−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンズアミド)は下記式(化3)によって示される。常温で固体の生理活性物質で、分子量384.4の低分子化合物である。
Figure 2011073998
BPIBの化合物別名(シノニム)としては、4−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−(2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド(4−[4−(1,3−Benzodioxol−5−yl)−5−(2−pyridinyl)−1H−imidazol−2−yl]−benzamide)、4−[4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−5−(2−ピリジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−ベンズアミド(4−[4−(3,4−Methylenedioxyphenyl)−5−(2−pyridyl)−1H−imidazol−2−yl]−benzamide)が挙げられる。BPIBは、公知の方法で製造することができ、また、BPIBは、市販のSB431542 hydrate(SIGMA社製;Product Number S4317)などを使用することもできる。
D4476、TGF−βRI KI II、BPIBの水和物としては水分子1分子以上と開合または結合した状態のものが好ましく挙げられる。具体的な水和物としては、例えば、1水和物、2水和物、3水和物、4水和物、5水和物などが挙げられる。
これらの化合物は、公知の方法で製造することができ、また、市販品などを使用することもできる。
これらの化合物は、製薬学的に許容できる、塩、異性体、プロドラッグ、水和物または溶媒和物であってもよい。製薬学的に許容できる塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリエチルアミン、リジン、アルギニン等の有機アミンの塩、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸塩、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸塩などが挙げられる。
本発明に用いられるBMPは軟骨及び骨の形成を誘導する骨形成蛋白質であれば限定されない。例えば、OP−1、OP−2、OP−3、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−15、BMP−16、BMP−17、BMP−18、DPP、Vg1、Vgr、60Aタンパク質、GDF−1、GDF−2、GDF−3、GDF−5、GDF−6、GDF−7、GDF−8、GDF−9、GDF−10、GDF−11、GDF−12、CDMP−1、CDMP−2、CDMP−3、NODAL、UNIVIN、SCREW、ADMP、NEURALこれらのフラグメント及びアミノ酸配列改変体を挙げられる。中でもBMP−2及びGDF−5がD4476、TGF−βRI KI II及びBPIBと併用した時の相乗効果が大きいため好ましい。
D4476及びTGF−βRI KI IIは単独で用いてもBPIBよりも強い軟骨増大作用を有するが、BMPと用いることで相乗効果によりさらに軟骨増大作用が増す。
本発明に係る軟骨増大促進剤の使用態様について説明する。
本発明に係る軟骨増大促進剤は、薬理学的に許容される担体と共に、公知の方法により種々の製剤に製造できる。前記製剤の形態としては、錠剤(トローチ剤、舌下錠、チュアブル剤等を含む)、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセル等を含む)等の経口固形製剤、例えばエリキシル剤またはシロップ剤などの経口液剤、例えば注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等を含む)、外用剤(軟膏剤、パップ剤、クリーム剤、パスタ剤、ローション剤、リニメント剤等を含む)の非経口製剤等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤等の放出制御製剤(例えば、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。前記製剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法などにより製造することができる。
前記薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用される各種有機または無機担体物質などが挙げられ、製剤の種類に適した担体を適宜選択することが好ましい。
製剤に含まれるD4476、TGF−βRI KI IIの含有量は、疾患、剤型によって異なるが、一般に製剤に対して0.00001〜80重量%が好ましく、0.0001〜0.5重量%がより好ましい。
本発明に係る軟骨増大促進剤は、種々の投与方法、例えば、経口的にまたは非経口的に投与することができる。本発明に係る軟骨増大促進剤の適用部位が局所である場合、局所投与が好ましい。局所投与は、投与部位以外での軟骨の増大や軟骨細胞の増殖などを抑制できる。局所投与用の軟骨増大促進剤としては、軟骨組織が存在する部位の投与用が好ましく、例えば、関節腔内投与用が特に好ましく挙げられる。関節としては、例えば、顎関節、肩関節、肘関節、股関節、膝関節、骨折部(骨折で仮骨のできる部位)などが挙げられる。
注射剤を製造する場合の担体としては、例えば、界面活性剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤または緩衝剤などが挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、無痛化剤などの添加物を用いることもできる。界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。溶剤としては、例えば、注射用水、生理食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
局所投与および注射におけるD4476、TGF−βRI KI IIの投与量は、軟骨の減少が原因で発症する疾患および障害の度合いや体重、性別、年齢、部位、関節サイズなどにより異なるものであり、使用に際して適当な量を症状に応じて決めることが望ましい。通常、局所投与および注射の場合、有効成分としてのD4476、TGF−βRI KI IIの投与量は、疾患部位あたり通常1ng〜1gが好ましく、さらに60〜120mgが好ましい。
また、BMPと共に用いる場合はBMPの投与量は疾患部位あたり0.1〜100mgが好ましく、さらに6〜12mgが好ましい。
経口固形製剤を製造する場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤などが挙げられる。賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。結合剤としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、コロイドシリカ、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
経口液剤を製造する場合の担体としては、溶剤、粘稠化剤、矯味剤、甘味剤、着色剤などが挙げられる。溶剤としては、例えば精製水などが好ましく挙げられる。粘稠化剤としては、例えば、スクロース、グルコース、マルトースデキストロースおよびフルクトースなどの糖類、ソルビトール、マンニトール、キシリトールおよびマルチトールなどの水素アルコール、及びポリデキストロース、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、カラゲナン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、マルトデキストリン、カルボマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)などのポリマーなどが挙げられる。矯味剤としては、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例えば、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例えば、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例えば、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ)などが挙げられる。
本発明に係る軟骨増大促進剤を外用剤として製造する場合、製剤の種類に適した基剤、例えば軟膏基剤、ゲル基剤、乳剤用基剤、懸濁用基剤、パップ用基剤または担体を適宜選択することが好ましい。軟膏基剤としては、例えば、一般に疎水性基剤としての油脂類、ロウ、炭化水素化合物などを用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーンなどの鉱物性基剤、ミツロウ、動植物性油脂などの動植物性基剤などが挙げられる。
ゲル基剤としては、ヒドロゲル基剤としてのカルボキシビニルポリマー、ゲルベース、無脂肪性軟膏、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。乳剤用基剤としては、親水軟膏、バニシングクリームなどの水/油型基剤、親水ワセリン、精製ラノリン、アクアホール、オイセリン、ネオセリン、加水ラノリン、コールドクリーム、親水プラスチベースなどの油/水型基剤などが挙げられる。
懸濁用基剤としては、ステアリルアルコール、セチルアルコールなどの微粒子をプロピレングリコール中に懸濁させたFAPG基剤(Fatty alcohol-propylene glycol)、すなわちリオゲル基剤などが挙げられる。パップ剤用基剤としては、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、カオリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、グリセリン、プロピレングリコール、水などが挙げられる。ローション剤は、活性成分を水性の液中に微細に
均質分散した製剤である。懸濁化剤としては、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナインなどが挙げられる。
乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステルなどを用いることができる。リニメント剤は、油性溶液型、アルコール溶液型、乳化型および懸濁型に分類することができる。リニメント剤には、水、エタノール、脂肪油、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤、その他添加剤などを用いることができ、例えば、硬パラフィン、軟パラフィン、液パラフィン、グリセリン、パラフィン油、蜜蝋、金属石鹸、粘液(mucilage)、天然油[例:アーモンド油、コーン油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、またはそれらの誘導体(例えば、ポリオキシルヒマシ油)]、羊脂若しくはその誘導体、脂肪酸および/またはエステル(例えばステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル)などが挙げられる。
本発明に係る軟骨増大促進剤は、軟骨再生促進効果が有効に利用可能である限り、種々の用途に制限無く用いることが可能である。
例えば、軟骨または軟骨細胞を培養する際に本発明に係る軟骨増大促進剤を培養液に添加することで、軟骨または軟骨細胞と本発明に係る軟骨増大促進剤が接触するので培養期間を短縮することができる。
さらに、培養液に本発明に係る軟骨増大促進剤を添加した場合は軟骨の増大速度が促進されるため、少ない軟骨や軟骨細胞から短期間で増大した軟骨や増殖した軟骨細胞を提供することができる。
また、本発明に係る軟骨増大促進剤は軟骨の減少に伴う変性、または損傷もしくは破壊による機能不全を伴う軟骨に係る疾患、あるいは先天的な軟骨の低形成や奇形の治療にも有用である。このような疾患の例としては、例えば、変形性関節症、慢性関節リウマチ、離断性骨軟骨炎、関節軟骨の損傷、関節軟骨石灰化症、椎間板変性、無耳症、小耳症軟骨欠損、軟骨形成不全症(小人症)、補綴具周囲の骨溶解、顎関節症、歯槽骨の溶解または破壊を伴う歯周病などが挙げられる。また、スポーツや交通事故での外傷性軟骨欠損や離断性骨軟骨炎などが挙げられる。
また、病気やけがにより失われた組織や器官にインプラント装着する場合に、インプラント生着を促進させるために、インプラントとともに用いることもできる。インプラントは、軟骨移植片、軟骨移植組織、軟骨細胞を包埋して培養した医療用コラーゲン(例えば、アテロコラーゲンゲルなど)などの移植物、埋め込剤および差し歯などを含む。
さらに、本発明に係る軟骨増大促進剤は、軟骨欠損部への軟骨移植による軟骨修復において、移植用の軟骨または軟骨細胞とともに用いることもできる。
また、自己培養軟骨移植術においては、移植に用いる自己の軟骨または軟骨細胞を本発明に係る軟骨増大促進剤を添加した培養液で培養することが好ましい。軟骨又は軟骨細胞と本発明に係る軟骨増大促進剤が接触することによって軟骨の増大または軟骨細胞の増殖が促進され、短い培養期間で移植用の軟骨または軟骨細胞を提供することができるからである。また、該方法によって作製された軟骨または軟骨細胞は自己のものであるため、拒絶反応が起こらず移植に好適に用いることができる。
自己培養軟骨移植術に使用される軟骨は、例えば、関節や耳介の軟骨、あるいは肋軟骨などが含まれる。軟骨の採取は、約2〜10m四方が好ましい。培養液は、市販の軟骨細胞培養用の培養液を好適に使用できる。培養液に添加される本発明に係る軟骨増大促進剤の濃度は、約0.001〜4000μMが好ましく、さらに約0.1〜40μMが好ましい。
培養液には、さらに患者血清(自己血清)および抗生物質が添加されることが好ましい。また、培養は、例えば、軟骨欠損部の形状に合わせた医療用コラーゲンなどに軟骨細胞を包埋して培養される形態を含む。培養期間は、通常2日以上、好ましくは、約1〜5週間、さらに好ましくは約2〜3週間程度である。
培養された軟骨または軟骨細胞は、軟骨欠損部に移植される。培養された軟骨または軟骨細胞は、そのまま移植されてもよいが、例えば、骨膜などに包んで移植されるか、骨膜でパッチされるように移植されることが好ましい。
この発明に係る軟骨増大促進剤は、当該軟骨増大促進剤を収納および投与するための容器、および患者に投与するための指示書をさらに備えることを特徴とするキットとしても提供され得る。
以下に実施例をあげてこの発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(基礎培地)
本実施例における軟骨の培養には、表1に示す成分からなる骨器官培養用培地を用いた。
Figure 2011073998
(軟骨組織)
本実施例に用いる軟骨は、成長が早いために効果を短期間で確認できる利点を有するマウス(ddy種)胎児の中足骨軟骨原基を試料として用いた。
妊娠14日目のマウスから胎児を取り出し、骨器官培養培地中で顕微鏡下、第3中足骨軟骨原基をピンセットで摘出し、実験に供した。培地は、1試料あたり500μLとし、48時間ごとに交換した。
(TGF−βシグナル阻害活性と軟骨増大作用の関係について)
本発明係る化合物はTGF−βシグナル阻害活性を有する。そこでTGF−βシグナル阻害活性と軟骨増大作用の関係について調べた。
被験化合物にはTGF−βシグナル阻害活性を有する以下の化合物を用いた。
・SB431542(BPIB):4−(4−ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド(SIGMA社製,カタログNo.S4317)
・SB505124:2−(2−tert−ブチル−4(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1H−イミダゾール−5−イル)−6−メチルピリジン(SIGMA社製,カタログNo.S4696)
・SB220025:4−(4−(4−フルオロフェニル)−1−ピペリジンー4−イル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリミジン−2−アミン(Calbiochem社, カタログNo.559396)
・TGF−βRI KI II:2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン(Calbio社製,カタログNo.616452)
・SB525334:6−(2−tert−ブチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)キノキサリン(SIGMA社製,カタログNo.S8822)
・SD-208:2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−N−(ピリジン−4−イル)ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(SIGMA社製カタログNo.S7071)
・A-83-01:3−(6−メチルピリジン−2−イル)−N−フェニル−4−(キノリン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−カルボチオアミド(SIGMA社製,カタログNo.A5480)
・D4476:4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド(SIGMA社製,カタログNo.D1944)
・LY364947:3−(3−(ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)キノリン(SIGMA社製,カタログNo.L6293)
(TGF−βシグナル阻害作用の測定方法)
TGF−βシグナル阻害作用の測定はマウスの前駆軟骨細胞株ATDC−5に、TGF−β responsive elementにルシフェラーゼ遺伝子を結合したp3TP−luxレポーターコンストラクトを導入し、培地中にTGF−β1を終濃度2ng/mL、上記各化合物が、終濃度10μMになるように添加し、ルシフェラーゼの活性を測定することによって行った。つまり、ルシフェラーゼ活性が高い方がTGF−βシグナル阻害作用が小さいこととなる。試料数はBPIBのみ3個で他は4個とした。
(各化合物の中足骨軟骨原基面積増加率の測定方法)
上記基礎培地に上記各化合物を終濃度40μMになるように添加して、培養液中で7日間培養した。試料数は各条件でSB505124, SB220025のみ4個で他は6個とした。面積の増加率は培養7日目の面積を培養1日目の面積で割って、百分率で表わした。
(結果)
結果を図1に示す。図1の上段は各化合物の軟骨原基面積増加率を示しており、下段はTGF−βシグナル阻害作用の大きさを示している。尚、TGF−βシグナル阻害作用のコントロールとしてジメチルスルホキシド(DMSO)を加えたものの値は0.52±0.087であった。
図1によるとSB505124や、A−83−01はTGF−βシグナル阻害作用は大きいが、中足骨軟骨原基の面積増加率は大きいものではない。それに対して、SB431542、TGF−βRI KI II、D4476はSB505124や、A−83−01よりもTGF−βシグナル阻害作用が小さいが、中足骨軟骨原基の面積増加率が大きいことが分かった。
従って、TGF−βシグナル阻害作用の大きさと中足骨軟骨原基面積増加率には相関関係がないことが示された。
(rhGDF−5との相乗効果について)
中足骨軟骨原基の面積増加率の大きかった、SB431542、D4476やTGF−βRI KI IIの濃度を10μMとして中足骨軟骨原基の面積増加率を測定した。
対照としてDMSOを用いた。
また、上記被験化合物との相乗効果を測定するために用いたBMPはrecombinant humanGDF−5(以下rhGDF−5と称する)を用い、培地中400ng/mLとなるように添加した。
培養期間は7日間とし、試料数は各条件で3個とした。面積の増加率は培養7日目の面積を培養1日目の面積で割って、百分率で表わしたものである。
(結果)
結果を表2及び図2に示した。被験化合物を添加した培養液中で培養した中足骨軟骨原基は、対照に比べて、明らかな面積の増加が観察された。また、被験化合物に加えてrhGDF−5を添加した場合はさらに面積の増加率が高かった。尚、いずれの中足骨軟骨原基においても石灰化は抑制されていた。
図3は表2のそれぞれの中足骨軟骨原基の写真を表わしている。
Figure 2011073998
(BPIBとrhBMP−2の相乗効果について)
前述の基礎培地と軟骨組織を用いて、BMPの一種であるrhBMP−2(recombinant humanBMP-2)とSB431542(BPIB)の中足骨軟骨原基の面積増加率に対する相乗効果について調べた。rhBMP−2は培地中500ng/mLになるように添加した。対照にはDMSOを用い、培養期間は7日間とし、試料数は各条件で3個とした。結果を表3及び図4に示す。面積の増加率は培養7日目の面積を培養1日目の面積で割って、百分率で表わしたものである。
rhBMP−2または、SB431542(BPIB)を添加した培養液中で培養した中足骨軟骨原基は、対照に比べて、明らかな面積の増加が観察された。更にrhBMP−2及びSB431542(BPIB)を添加した場合は相乗効果により面積の増加率がさらに高かった。
Figure 2011073998
(水分散BPIBとrhGDF−5の相乗効果について)
前述の基礎培地と軟骨組織を用いて、水に分散したSB434512(BPIB)とrhGDF−5の中足骨軟骨原基の面積増加率に対する相乗効果について調べた。
rhGDF−5は培地中400ng/mLになるように添加した。
対照には水を用い、培養期間は7日間とし、試料数は各条件で3個とした。
結果を表4及び図5に示す。面積の増加率は培養7日目の面積を培養1日目の面積で割って、百分率で表わしたものである。
表4及び図5より、水分散のSB434512(BPIB)またはrhGDF−5を添加した培養液中で培養した中足骨軟骨原基は対照に比べて明らかな面積の増加が観察された。しかし、SB434512(BPIB)とrhGDF−5を添加したものの中足骨軟骨原基の面積の増加率はさらに高く、相乗効果が見られた。
Figure 2011073998
本発明に係る軟骨増大促進剤は、BPIBよりも軟骨増大作用や軟骨細胞の増殖促進効果が高いため、変形性関節症等の軟骨の減少が原因で発症する疾患や障害を治療するために用いると、治療期間を短縮することができ、さらに定期的に体内に摂取することで、軟骨の減少が原因で発症する疾患を予防することができる。
加えて、インプラントと共に用いることでインプラントの生着を促進する効果もある。
また、軟骨を培地で培養する際に、本発明に係る軟骨増大促進剤を用いると培養期間を短縮することができため、自己培養軟骨移植の際も、拒絶反応を起こさない自己の軟骨を短期間で作製することができる。

Claims (13)

  1. 以下に示すA又はBの少なくとも一つを含むことを特徴とする軟骨増大促進剤。
    A 4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド又はその水和物
    B 2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン又はその水和物
  2. BMPと以下のA乃至Cを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする軟骨増大促進剤。
    A 4−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−7−イル)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ベンズアミド又はその水和物
    B 2−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン又はその水和物
    C 4−(5−ベンゾ−ル[1,3]ジオキソール−5−イル)−4−(ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−ベンズアミド又はその水和物
  3. 局所投与用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤。
  4. 注射剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の軟骨増大促進剤。
  5. 経口投与剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤。
  6. 軟骨の減少が原因で発症する疾患もしくは障害の予防または治療用であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の軟骨増大促進剤。
  7. 前記疾患または障害が、変形性関節症、慢性関節リウマチ、離断性骨軟骨炎、関節軟骨の損傷、関節軟骨石灰化症、椎間板変性、無耳症、小耳症軟骨欠損、軟骨形成不全症、補綴具周囲の骨溶解、顎関節症および歯槽骨の溶解又は破壊を伴う歯周病、骨折、難治性骨折、小人症(四肢短縮型)から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項6記載の軟骨増大促進剤。
  8. 骨欠損部へのインプラント生着促進用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤。
  9. 培養軟骨または培養軟骨細胞増殖用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤。
  10. 請求項1又は2に記載の軟骨増大促進剤と軟骨を接触させて軟骨を増大させることを特徴とする軟骨増大方法。
  11. 接触濃度が、0.001〜4000μMであることを特徴とする請求項10に記載の軟骨増大方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法で作製された軟骨。
  13. 自己培養軟骨移植手術用であることを特徴とする請求項12に記載の軟骨。
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