JP2011073215A - 平版印刷版原版及び平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版及び平版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、機上現像性、耐刷性及び感度のいずれもが良好な機上現像可能な平版印刷版原版及び平版印刷方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、下記(A)〜(C)を含有する画像記録層を有し、印刷機上で湿し水及びインキによる現像が可能な平版印刷版原版。
(A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂
(B)赤外線吸収剤
(C)ラジカル重合開始剤
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版原版及びそれを用いる平版印刷方法に関する。詳しくは、露光後、印刷機上で湿し水及びインキを用いて現像可能であり、現像性、耐刷性及び感度の改良された平版印刷版原版並びに平版印刷方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来は、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)を用い、PS版にリスフィルムなどのマスクを通した露光を行った後、アルカリ性現像液などによる現像処理を行い、画像部に対応する画像記録層を残存させ、非画像部に対応する不要な画像記録層を溶解除去して、平版印刷版を得ていた。
この分野の最近の進歩によって、現在、平版印刷版は、CTP(コンピュータ・トゥ・プレート)技術によって得られるようになっている。すなわち、レーザーやレーザーダイオードを用いて、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版原版を走査露光し、現像して平版印刷版が得られる。
上記進歩に伴って、平版印刷版原版に関わる課題は、CTP技術に対応した画像形成特性、印刷特性、物理特性などの改良へと変化してきている。また、地球環境への関心の高まりから、平版印刷版原版に関わるもう一つの課題として、現像処理などの湿式処理に伴う廃液に関する環境課題がクローズアップされている。
上記の環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化や無処理化が指向されている。簡易な製版方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
また、簡易現像の方法としては、画像記録層の不要部分の除去を、従来の高アルカリ性現像液ではなく、pHが中性に近いフィニッシャー又はガム液によって行う「ガム現像」と呼ばれる方法も行われている。
上述のような製版作業の簡易化においては、作業のしやすさの点から明室又は黄色灯下で取り扱い可能な平版印刷版原版及び光源を用いるシステムが好ましいので、光源としては、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー及びYAGレーザー等の固体レーザーが用いられる。また、UVレーザーを用いることができる。
機上現像可能な平版印刷版原版としては、例えば特許文献1及び2には、親水性支持体上に、ラジカル重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む画像記録層(感熱層)を有する平版印刷版原版が記載されている。また、特許文献3には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤とラジカル重合性化合物とを含有する画像記録層(感光層)を設けた平版印刷版原版が記載されている。更に、特許文献4には、支持体上に、ラジカル重合性化合物と、ポリエチレンオキシド鎖を側鎖に有するグラフトポリマー又はポリエチレンオキシドブロックを有するブロックポリマーを含有する画像記録層を設けた機上現像可能な平版印刷版原版が記載されている。特許文献5には、エチレンオキシ基を有するバインダーを用いた平版印刷版が記載されている。
このように重合反応を用いる方法は、画像部の化学結合密度が高いため画像強度が比較的良好であるという特徴を有するが、実用的な観点から見ると、機上現像性、耐刷性及び感度のいずれも未だ不十分であった。
また、特許文献6には、エポキシ樹脂のα,β−不飽和モノカルボン酸付加体に、多価カルボン酸若しくはその無水物が付加された、不飽和基及びカルボキシル基含有エポキシ樹脂からなるアルカリ可溶性樹脂を用いた青紫色レーザー感光性組成物が、平版印刷版に使用できることが記載されている。
特許文献7には、重合性不飽和基と非プロトン型オニウム塩基を有する芳香族エポキシ樹脂誘導体を用いた光重合性組成物が記載されている。
特許文献8には、分子中に2ケ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)とジメチロールプロピオン酸と不飽和基含有モノカルボン酸(b)との反応物(I)の不飽和二重結合の一部に、少なくとも一つ以上の活性水素を有するアミノ基を持つ化合物(c)を付加させて得られる化合物を中和して得られる反応物(A)を含有するエネルギー線硬化性樹脂組成物が記載されている。
特許文献9には、第二級アミンを付加したノボラック型エポキシ樹脂に、不飽和基含有イソシアナート化合物を反応させて得られる樹脂を含有する光重合性組成物が記載されている。
特許文献10には、エポキシ化合物と不飽和二重結合を有する化合物とから誘導される化合物の不飽和二重結合の一部に、少なくとも一つ以上の活性水素を有するアミノ基を持つ化合物を付加させて得られる化合物を中和して得られる樹脂Aを含んで成るエネルギー線硬化性樹脂組成物が記載されている。
上記技術も機上現像性、耐刷性及び感度のいずれもが優れた平版印刷版原版を得るには不十分であった。
特開2001−277740号公報 特開2001−277742号公報 特開2002−287334号公報 米国特許出願公開第2003/0064318号明細書 特開2007−055224号公報 特開2004−117857号公報 特許第3481316号公報 特開平2−1858号公報 特許第2864070号明細書 特開平5−339330号公報
本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、機上現像性、耐刷性及び感度のいずれもが良好な機上現像可能な平版印刷版原版及び平版印刷方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂を用いることによって上記課題を達成できた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.支持体上に、下記(A)〜(C)を含有する画像記録層を有し、印刷機上で湿し水及びインキによる現像が可能な平版印刷版原版。
(A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂
(B)赤外線吸収剤
(C)ラジカル重合開始剤
2.親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂が、エチレン性不飽和基を有することを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.親水性官能基が、ポリアルキレンオキシド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミド基、アンモニウム基及びアミノ基から選択される少なくとも一つの基であることを特徴とする前記1又は2に記載の平版印刷版原版。
4.前記変性エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−1)であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
5.前記変性エポキシ樹脂が、(1)エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂に、(2)変性エポキシ樹脂中の置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−2)であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
6.前記変性エポキシ樹脂が、変性エポキシ樹脂(A−1)に、更に、該樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−3)であることを特徴とする前記1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
7.エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基が、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基及び酸無水物基から選択される基であることを特徴とする前記4〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
8.変性エポキシ樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基が、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基及び酸無水物基から選択される基であることを特徴とする前記6に記載の平版印刷版原版。
9.前記変性エポキシ樹脂が、質量平均モル質量(Mw)3,000〜300,000の樹脂であることを特徴とする前記1〜8のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
10.前記画像記録層が更に、(D)ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする前記1〜9のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
11.前記画像記録層が更に、(E)ポリマー微粒子を含有することを特徴とする前記1〜10のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
12.該ポリマー微粒子が、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を内包するマイクロカプセルであることを特徴とする前記11に記載の平版印刷版原版。
13.該ポリマー微粒子が、アクリロニトリルをモノマー単位として含むポリマーの微粒子であることを特徴とする前記11に記載の平版印刷版原版。
14.画像記録層の上に更に保護層を有することを特徴とする前記1〜13のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
15.保護層が、親水性樹脂を含有することを特徴とする前記14に記載の平版印刷版原版。
16.保護層が、無機質層状化合物を含有することを特徴とする前記14に記載の平版印刷版原版。
17.前記1〜16のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光した後、印刷機上に設置してそのまま印刷することを特徴とする平版印刷方法。
18.前記1〜16のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を、印刷機に設置後、画像様に露光してそのまま印刷することを特徴とする平版印刷方法。
本発明によれば、機上現像性、耐刷性及び感度のいずれもが良好な機上現像可能な平版印刷版原版及び平版印刷方法を提供できる。
〔平版印刷版原版〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、下記(A)〜(C)の成分を含有する画像記録層を有し、印刷機上で湿し水及びインキによって現像可能である。
(A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂
(B)赤外線吸収剤
(C)ラジカル重合開始剤
以下では、本発明の平版印刷版原版の構成要素及び成分について詳細に説明する。
(画像記録層)
本発明に用いられる画像記録層は、機上現像可能なラジカル重合型画像記録層である。機上現像可能な画像記録層の代表的な態様としては、(1)(A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂、(B)赤外線吸収剤、(C)ラジカル重合開始剤、及び、(D)ラジカル重合性化合物を含有する態様、(2)(A)親水性官能基及びエチレン性不飽和基を有する変性エポキシ樹脂、(B)赤外線吸収剤、及び(C)ラジカル重合開始剤を含有する態様、並びに、(3)(A)親水性官能基及びエチレン性不飽和基を有する変性エポキシ樹脂、(B)赤外線吸収剤、(C)ラジカル重合開始剤、及び、(D)ラジカル重合性化合物を含有する態様をあげることができる。更に、上記(1)(2)(3)の態様に(E)ポリマー微粒子を含有させてもよい。
以下に、画像記録層に含有できる各成分について、順次説明する。
(A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂
本発明に用いられる、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂は、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物を変性して得られる親水性官能基を有する樹脂であれば何れも好適に使用することが出来る。
なお、以下では、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂を、簡略化して、変性エポキシ樹脂(A)又は樹脂(A)ともいう。
上記の、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物は、公知のエポキシ樹脂であれば何れも好適に使用することができる。本発明に用いることができるエポキシ樹脂の具体例としては、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール等の各種アルキルフェノール;ナフトール等の縮環芳香族フェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との反応生成物であるノボラック樹脂とエピハロヒドリンとの反応によって得られるノボラック型エポキシ樹脂:ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、臭素化ビスフェノールA、等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの反応によって得られるビスフェノール型エポキシ樹脂:水素添加ビスフェノールA、グリセロール、ビフェノール、ビキシレノール等のポリオールとエピハロヒドリンとの反応によって得られるポリオール型エポキシ樹脂:ビスフェノール型エポキシ樹脂及び/又はポリオール型エポキシ樹脂とビスフェノール類、ビフェノール、ビキシレノール、水素添加ビスフェノールA、グリセロール等のポリヒドロキシ化合物を反応して得られるエポキシ樹脂及びそのエピハロヒドリン変性体:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂:テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂:脂肪族エポキシ樹脂:脂環式エポキシ樹脂:1級又は2級アミンとエピハロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸トリグリシジルとポリヒドロキシ化合物を反応して得られるイソシアヌル酸型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂及び又はポリオール型エポキシ樹脂とポリヒドロキシ化合物を縮合して得られるエポキシ樹脂及びそのエピハロヒドリン変性体、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂がより好ましい。
これらエポキシ樹脂の中でも、下記一般式(1)又は(2)で示されるユニットを有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
Figure 2011073215
式中、Aは2価の連結基を表し、R〜Rは各々独立して1価の置換基を表し、*はユニットの連結部を表す。ベンゼン環とAとR〜Rの任意の2つで環を形成しても良く、ベンゼン環とRとRで環を形成してもよい。
Aの具体例としては、単結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−S−、−SO−、及び下記一般式(3)で表される連結基が挙げられる。
〜Rとして好ましいのは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、炭素原子数6〜24のアリール基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基である。
Figure 2011073215
式(3)中、Ra、RbはRと同義であり、*部で式(1)中のベンゼン環に連結する。
〜Rの具体例としては、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、炭素原子数2〜12のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−OR、−SR、−NR、−COOR、−COR(但し、R、Rは各々独立して水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数2〜12のアルケニル基、炭素原子数2〜12のアルキニル基を表す)が挙げられる。
以下に本発明に用いられるエポキシ樹脂の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、具体例中、Gは水素原子又はグリシジル基を表す。
Figure 2011073215
Figure 2011073215
Figure 2011073215
Figure 2011073215
また、市販のエポキシ樹脂として、「jER1002」、「jER1055」、「jER1009」、「jER1010」、「jER4007P」、「jER4110」、「jER4210」、「jER1256」、「jER4250」、「jER4275」、「jER154」、「jER157S70」、「jER1031S」、「jER872」、「jERYX8034」、「jERYX4000シリーズ」、「jERYL6677」(ジャパンエポキシレジン(株)製)、「スミエポキシESCNシリーズ」(住友化学工業(株)製)、「EOCNシリーズ」、「EPPNシリーズ」(日本化薬(株)製)、「YDCNシリーズ」、「YDPNシリーズ」、「エポトートYDシリーズ」、「YDFシリーズ」、「YDBシリーズ」、「STシリーズ」、「YH−300シリーズ」、「YH−434シリーズ」(東都化成(株)製)、「エピクロンシリーズ」「エピクロンN−600シリーズ」、「エピクロンN−700シリーズ」、「エピクロンN−800シリーズ」、「EPICLON EXA−4710」、「EPICLON EXA−4816・EXA−4822」、「EPICLON EXA−4850シリーズ」(大日本インキ化学工業(株)製)、「アラルダイトECN−1200」、「アラルダイトEPN−1100シリーズ」(チバガイギー(株)製)、D.E.N.400シリーズ(ダウ・ケミカル日本(株)製)、SR−BBS、SR−TBA−400(坂本薬品工業(株)製)、「NER−1302」(日本化薬(株)製)、「アデカレジンEP−4100シリーズ」、「アデカレジンEP−4900シリーズ」、「アデカレジンEP−5100シリーズ」、「アデカレジンEPUシリーズ」、「アデカレジンEPRシリーズ」、「アデカレジンEP−6000シリーズ」(ADEKA(株)製)等も好適に使用することができる。これらエポキシ樹脂の中で、分子内に芳香族環を少なくとも1つ有するエポキシ樹脂であることが好ましく、2つ以上有することが特に好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂の質量平均モル質量(Mw)としては、何れの質量平均モル質量のエポキシ樹脂でも使用できるが、200以上500,000以下が好ましく、300以上400,000以下がより好ましく、500以上300,000以下が特に好ましい。また、エポキシ当量としては、樹脂1kgに対して0.1モル以上であることが好ましい。これらエポキシ樹脂は1種類のみを使用してもよいし、2種以上を併用しても良い。
本発明に使用される変性エポキシ樹脂(A)は、上記のようなエポキシ樹脂を変性して親水性官能基を付与した樹脂であれば何れも好適に使用することが出来るが、(1)上記のようなエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物(a)を反応させて得られる樹脂(A−1)、(2)上記のようなエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物(b)を反応させて得られる樹脂(C’)に、該樹脂(C’)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物(c)を反応させて得られる樹脂(A−2)、(3)上記のような樹脂(A−1)に、該樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物(d)を反応させて得られる樹脂(A−3)、のいずれかであることが好ましい。(2)又は(3)の反応の後に、繰り返し(2)又は(3)の反応を行ってもよい。
本発明に用いられる「エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物(a)」は、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基(ア)と親水性官能基(イ)を有する化合物であれば何れも好適に使用することが出来る。
官能基(ア)としては、エポキシ樹脂中に存在するエポキシ基又は置換基(例:ヒドロキシ基、エステル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基、カルボキシ基等)と反応する置換基であれば何れも好適に使用することが出来るが、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基、酸無水物基、エポキシ基が好ましく、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、酸無水物基が更に好ましい。
親水性官能基(イ)としては、変性エポキシ樹脂に親水性を付与できる官能基であれば何れも好適に使用することが出来るが、ポリアルキレンオキシド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミド基、アンモニウム基、アミノ基が親水性の点で好ましく、ポリアルキレンオキシド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミド基が特に好ましい。ポリアルキレンオキシド基は、炭素原子数が4以上200以下のポリエチレンオキシド基、炭素原子数が6以上300以下のポリプロピレンオキシド基が特に好ましい。アミド基は、−CONR1112(R11、R12は各々独立して水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表し、両者で環を形成しても良い)で表される官能基が好ましい。アンモニウム基は、−N131415(R13、R14、R15は各々独立して水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数2以上4以下のアルケニル基を表し、任意の2つで環を形成しても良い)で表される官能基であることが好ましい。アミノ基は、−NR1617(R16、R17は各々独立して水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表し、両者で環を形成しても良い)で表される官能基が好ましい。
本発明に用いられる化合物(a)は、上記の如き官能基(ア)と官能基(イ)を分子内に少なくとも1つづつ有する化合物であれば何れも好適に使用することができる。以下に化合物(a)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
Figure 2011073215
Figure 2011073215
本発明に用いられる化合物(a)は、1種類のみを使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる「エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物(b)」は、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基(ア)を少なくとも1つ有する化合物であれば何れも好適に使用することが出来る。
官能基(ア)としては、上述の官能基が挙げられ、カルボキシ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基が更に好ましい。
化合物(b)の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、2−エチルへキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、オレイン酸、リノール酸、コハク酸モノエチル、クエン酸ジメチル、桂皮酸、サリチル酸、メタノール、イソプロピルアルコール、ステアリルアリルアルコール、ブチルイソシアネート、トリメチル−1,6−ジイソシアナトへキサン、フェニルイソシアネート、ドデシルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
本発明に用いられる化合物(b)は、1種類のみを使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる「エポキシ樹脂と上記化合物(b)を反応させて得られる樹脂(C’)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物(c)」は、樹脂(C’)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基(ウ)と親水性官能基(イ)を分子内に少なくとも一つづつ有する化合物であれば何れも好適に使用することができる。
官能基(ウ)としては、樹脂(C’)中に存在するエポキシ基又は置換基(例:ヒドロキシ基、エステル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基等)と反応する置換基であれば何れも好適に使用することが出来るが、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基、酸無水物基、エステル基、酸ハロゲン化物基が好ましく、カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、酸無水物基、メルカプト基、1,3−ジケト基が更に好ましい。
親水性官能基(イ)としては、上述の官能基が挙げられ、ポリアルキレンオキシド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミド基が特に好ましい。
化合物(c)の具体例としては、上述の(a−1)〜(a−28)の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。本発明に用いられる化合物(c)は、1種類のみを使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる「変性エポキシ樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物(d)」は、樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基(エ)を分子内に少なくとも一つ有する化合物であれば何れも好適に使用することができる。
官能基(エ)としては、樹脂(A−1)中に存在する置換基(例:ヒドロキシ基、エステル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基等)と反応する置換基であれば何れも好適に使用することが出来るが、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基、エステル基、酸無水物基、酸ハロゲン化物基が好ましく、カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、エステル基、メルカプト基、1,3−ジケト基が更に好ましい。化合物(d)の具体例としては、前述の化合物(b)の具体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
本発明に用いられる化合物(d)は、1種類のみを使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)は、エチレン性不飽和基を有することが好ましい。該エチレン性不飽和基としては、ラジカルによって重合反応を起こす炭素炭素二重結合であれば何れも好適に使用することができるが、以下の一般式(4)〜(6)で表される官能基が特に好ましい。
Figure 2011073215
式中、Rcは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、−OR14基、−SR14基、−OCOR14基、−OCONR1415基、−OCOOR14基、−OSO14基、−OPO(OR14)(OR15)基、−OPOR14(OR15)基、−COR14基、−COOR14基、−NR1415基、−NR14COR15基、−NR14COOR15基、−NR14CONR1516基、−NR14SO15基、−n(SO14)(SO15)基、−n(COR14)(COR15)基、−SO14基、−SO14基、−PO(OR14)(OR15)基(R14、R15、R16は、各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基を表す)等の1価の置換基が挙げられ、水素原子、メチル基、−CHX’がラジカル重合反応性の点で好ましい。
なお、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基は、構造中に置換基を有していても良く、該置換基としては、上述したRcの1価の置換基が挙げられる。また、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は分岐していても環を形成していても良い。
X’としては、上述したRcの1価の置換基が挙げられ、ハロゲン原子、シアノ基、−OR14基、−OCOR14基、−OCONR1415基、−OCOOR14基、−NR1415基、−NR14COR15基、−NR14COOR15基、−NR14CONR1516基、−SR14基、−COOR14基が特に好ましい。
Rd、Reとしては、各々独立して上述したRcの1価の置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基、−COOR14基がラジカル重合反応性の点で好ましい。
Xとしては、−O−、−S−、−NR14−が挙げられ、−O−、−NR14−が特に好ましい。R14としては上述の官能基が挙げられる。
*は式(4)で表されるエチレン性不飽和基が樹脂(A)に連結する部位を表す。
式(4)中のR、Rd、Re、Xの任意の2つで環を形成しても良い。
Figure 2011073215
式(5)中、Rf、Rgとしては、上述したRcの1価の置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
Rh、Ri、Rjとしては、上述したRcの1価の置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基、−COOR14基、−CONR1415基がラジカル重合反応性の点で好ましい。
Yとしては、−O−、−S−、−NR14−、−CR1415−が挙げられ、−O−、−NR14−が特に好ましい。R14、R15は上述のRcにおけるR14、R15と同義である。
*は式(5)で表されるエチレン性不飽和基が樹脂(A)に連結する部位を表す。
式(5)中のRf〜Rj、Yの任意の2つで環を形成しても良い。
Figure 2011073215
式(6)中、Rk、Rl、Rmとしては、上述したRcの1価の置換基が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、−COOR14基、−CONR1415基がラジカル重合反応性の点で好ましい。
Zとしては−O−、−S−、−NR14−、−C−が挙げられ、−O−、−C−がラジカル重合反応性の点で好ましい。
*は式(6)で表されるエチレン性不飽和基が樹脂(A)に連結する部位を表す。
式(6)中のRk〜Rm、Zの任意の2つで環を形成しても良い。
本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)に上記のエチレン性不飽和基を導入する方法としては、上記のエチレン性不飽和基を更に有する前述の化合物(a)〜(d)のいずれかを使用して導入することが好ましい。
以下に本発明に用いられるエチレン性不飽和基を有する化合物(a)〜(d)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011073215

Figure 2011073215
Figure 2011073215

本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)中のエチレン性不飽和基の導入量としては、樹脂(A)1kgあたり0.1モル以上30モル以下であることが好ましく、0.2モル以上20モル以下であることがより好ましく、0.3モル以上10モル以下であることが特に好ましい。また、エチレン性不飽和基は2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)は、従来公知の方法により、具体的には、前述のエポキシ樹脂をアセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、スルホラン、プロピレンカーボネート、1−メトキシ−2−プロパノール等の有機溶剤に溶解させ、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、又は、テトラメチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムトシレート、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン等の燐化合物、又は、トリフェニルスチビン等のスチビン類、等の触媒存在下、必要によりハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、p−ベンゾキノン、等の熱重合禁止剤の共存下に、前記の化合物(a)を加えて、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度で付加反応させて得られる。更に上述のようにして得られた樹脂を、有機溶剤に溶解させて、必要により熱重合禁止剤の共存下に、前記の化合物(d)を反応させても得られる。
また、前述のエポキシ樹脂に前述の化合物(b)を同様にして反応させて樹脂(C’)を合成し、そのまま、或いは樹脂(C’)を貧溶媒から再沈したり、溶媒を蒸発留去するなどして取り出した後、別の溶剤に溶解させ、必要により熱重合禁止剤の共存下に、前記の化合物(c)を反応させて得ることもできる。
本発明に用いられる樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算質量平均モル質量(Mw)は、3000以上30万以下が好ましく、4000以上25万以下がより好ましく、5000以上20万以下が特に好ましい。
本発明に用いられる樹脂(A)は、実質的にエポキシ基、−COOM1基、−OPO(OM1)(OM2)基、−PO(OM1)(OM2)基[M1、M2は各々独立して水素原子又はナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオン若しくはアンモニウムイオンを表す。]を持たないことが好ましい。これら官能基の含率は、0.3mol/kg以下であることが好ましく、0.1mol/kg以下であることがより好ましい。これらの官能基を有すると現像性が低下する。
本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)は2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる変性エポキシ樹脂(A)の画像記録層における含有率は、1質量%以上99質量%以下が好ましく、2質量%以上95質量%以下がより好ましく、5質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
(B)赤外線吸収剤
本発明の赤外線吸収剤は赤外線吸収染料が好ましい。赤外線吸収染料は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述の重合開始剤に電子移動及び/又はエネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収染料は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料である。
赤外線吸収染料としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0058]〜[0087]に記載されている化合物を用いることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2011073215
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R)(R10)、−X−L又は以下に示す基を表す。ここで、R及びR10は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子を表し、またRとR10とが互いに結合して環を形成してもよい。なかでもフェニル基が好ましい。Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。以下に示す基において、Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2011073215
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−023360号公報の段落番号[0012]〜[0021]、特開2002−040638号公報の段落番号[0012]〜[0037]に記載されたものを挙げることができる。
また、これらの(B)赤外線吸収剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、顔料等の赤外線吸収染料以外の赤外線吸収剤を併用してもよい。顔料としては、特開2008−195018号公報[0072]〜[0076]に記載の化合物が好ましい。
本発明における画像記録層中の赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全固形分の0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量%である。
(C)ラジカル重合開始剤
本発明に用いられる(C)ラジカル重合開始剤としては、ラジカル重合性化合物等の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明において使用しうるラジカル重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができる。
本発明におけるラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸塩化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物、が挙げられる。
(a)有機ハロゲン化物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0022]〜[0023]に記載の化合物が好ましい。
(b)カルボニル化合物としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0024]に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0025]に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0026]に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0027]に記載の化合物が好ましい。
(h)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2002−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0028]〜[0030]に記載の化合物が好ましい。
(k)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、米国特許出願公開第2008/0311520号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号、特開2008−195018号の各公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩、特開2008−195018号公報に記載のアジニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
上記の中でもより好ましいものとして、オニウム塩、なかでもヨードニウム塩、スルホニウム塩及びアジニウム塩が挙げられる。以下に、これらの化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
ヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウム塩が好ましく、特に電子供与性基、例えばアルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩が好ましく、更に好ましくは非対称のジフェニルヨードニウム塩が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=テトラフェニルボラートが挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナートが挙げられる。
アジニウム塩の例としては、1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−シクロヘキシルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−クロロ−1−シクロヘキシルメチルオキシピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−エトキシ−4−シアノピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、3,4−ジクロロ−1−(2−エチルヘキシルオキシ)ピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−ベンジルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−フェネチルオキシ−4−フェニルピリジニウム=ヘキサフルオロホスファート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=p−トルエンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ペルフルオロブタンスルホナート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=ブロミド、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−フェニルピリジニウム=テトラフルオロボラートが挙げられる。
ラジカル重合開始剤の含有量は、画像記録層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
(D)ラジカル重合性化合物
本発明に用いることができる(D)ラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態をもつ。
具体例としては、特開2008−195018号公報の段落番号[0089]〜[0098]に記載の化合物が挙げられる。なかでも好ましいものとして、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)とのエステルが挙げられる。別の好ましいラジカル重合性化合物としては特開2005−329708号公報に記載のイソシアヌル酸構造を有する重合性化合物が挙げられる。
上記の中でも、機上現像性に関与する親水性と耐刷性に関与する重合能のバランスに優れる点から、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸エチレンオキシド変性アクリレート類が特に好ましい。
本発明において、(D)ラジカル重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは15〜75質量%の範囲で使用される。
(E)ポリマー微粒子
本発明では、機上現像性を向上させるため、ポリマー微粒子を用いることができる。本発明におけるポリマー微粒子としては、疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、熱反応性ポリマー微粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び架橋ポリマー微粒子(ミクロゲル)から選ばれる少なくともひとつの微粒子が好ましい。
本発明においては、ポリマー微粒子がポリオキシアルキレン構造を有することが機上現像性の観点から好ましい。特にオキシアルキレン基がオキシエチレン基であり、オキシエチレン基の繰り返し単位数が、12〜250であるポリオキシエチレン基であることが好ましい。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子とは、1992年1月のResearch Disclosure No.333003、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載されているように赤外線レーザー露光の際に発生する熱により融着することで疎水化する微粒子を意味する。
疎水性熱可塑性ポリマー微粒子の具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリオキシアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。なかでも、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル及びポリオキシエチレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートから選ばれるモノマーのホモポリマー又はコポリマーが好ましい。ポリマー微粒子の合成は、上記モノマーを乳化重合又は懸濁重合する公知の方法で行うことができる。
熱反応性ポリマー微粒子とは、熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられ、これらは、熱反応による架橋、及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する微粒子を意味する。熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
熱反応性官能基及びポリオキシアルキレン構造のポリマー微粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
本発明で用いられるマイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の全て又は一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。更に、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
本発明においては、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中及び/又は表面に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができ、特に、(C)重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
ポリオキシアルキレン構造のマイクロカプセル又はミクロゲルへの導入は、例えば、多官能イソシアネートを用いる界面重合の成分にポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルなどを加える方法など、公知の方法で、マイクロカプセル及びミクロゲルに関する上記説明の応用として行うことができる。
上記のポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmが更に好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
ポリマー微粒子の含有量としては、画像記録層全固形分の5〜90質量%の範囲であることが好ましい。
(F)その他の成分
本発明における画像記録層には、必要に応じて、更に他の成分を含有することができる。
(1)低分子親水性化合物
本発明における画像記録層は、耐刷性を低下させることなく機上現像性を向上させるために、低分子親水性化合物を含有してもよい。
低分子親水性化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、アルキルスルファミン酸等の有機スルファミン酸類及びその塩、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等の有機硫酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩、ベタイン類、等が挙げられる。
本発明においてはこれらの中でも、ポリオール類、有機硫酸塩類、有機スルホン酸塩類、ベタイン類の群から選ばれる少なくとも一つを含有させることが好ましい。
有機スルホン酸塩の具体的な化合物としては、n−ブチルスルホン酸ナトリウム、n−ヘキシルスルホン酸ナトリウム、2−エチルヘキシルスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルスルホン酸ナトリウム、n−オクチルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;5,8,11−トリオキサペンタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、13−エチル−5,8,11−トリオキサヘプタデカン−1−スルホン酸ナトリウム、5,8,11,14−テトラオキサテトラデコサン−1−スルホン酸ナトリウムなどのエチレンオキシド鎖を含むアルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム、1−ナフチルスルホン酸ナトリウム、4−ヒドロキシナフチルスルホン酸ナトリウム、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸トリナトリウムなどのアリールスルホン酸塩などが挙げられる。塩は、カリウム塩、リチウム塩でもよい。
有機硫酸塩としては、ポリエチレンオキシドのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又は複素環モノエーテルの硫酸塩が挙げられる。エチレンオキシド単位は1〜4であるのが好ましく、塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩が好ましい。
ベタイン類としては、窒素原子への炭化水素置換基の炭素原子数が1〜5である化合物が好ましく、具体例としては、トリメチルアンモニウムアセタート、ジメチルプロピルアンモニウムアセタート、3−ヒドロキシ−4−トリメチルアンモニオブチラート、4−(1−ピリジニオ)ブチラート、1−ヒドロキシエチル−1−イミダゾリオアセタート、トリメチルアンモニウムメタンスルホナート、ジメチルプロピルアンモニウムメタンスルホナート、3−トリメチルアンモニオ−1−プロパンスルホナート、3−(1−ピリジニオ)−1−プロパンスルホナートなどが挙げられる。
上記の低分子親水性化合物は、疎水性部分の構造が小さくて界面活性作用がほとんどないため、湿し水が画像記録層露光部(画像部)へ浸透して画像部の疎水性や皮膜強度を低下させることがなく、画像記録層のインキ受容性や耐刷性を良好に維持できる。
これら低分子親水性化合物の画像記録層への添加量は、画像記録層全固形分量の0.5質量%以上25質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以上15質量%以下である。この範囲で良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(2)感脂化剤
本発明の画像記録層には、着肉性を向上させるために、画像記録層にホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマーなどの感脂化剤を用いることができる。特に、保護層に無機質の層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機質の層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機質の層状化合物による印刷途中の着肉性低下を防止する。
好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナートなどが挙げられる。
上記含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。またイミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。なかでも、第4級アンモニウム塩類、及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファートなどが挙げられる。
上記アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すれば如何なるものでもよいが、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5〜80モル%含有するポリマーが好ましい。
上記アンモニウム塩含有ポリマーは、下記の測定方法で求められる還元比粘度(単位:cSt/g/ml)の値で、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。
<還元比粘度の測定方法>
30%ポリマー溶液3.33g(固形分として1g)を、20mlのメスフラスコに秤量し、N−メチルピロリドンでメスアップする。この溶液をウベローデ還元粘度管(粘度計定数=0.010cSt/s)に入れ、30℃にて流れ落ちる時間を測定し、計算式(「動粘度」=「粘度計定数」×「液体が細管を通る時間(秒)」)を用いて定法により算出した。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80)
(9)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート/2−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシプロピルメタクリレート共重合体(モル比15/80/5)
上記感脂化剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20.0質量%、1〜15質量%が更に好ましい。
(3)その他
更にその他の成分として、界面活性剤、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、無機質層状化合物、及び共増感剤若しくは連鎖移動剤などを添加することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落番号[0114]〜[0159]、特開2006−091479号公報の段落番号[0023]〜[0027]、米国特許出願公開第2008/0311520号明細書[0060]に記載の化合物及び添加量が好ましい。
(G)画像記録層の形成
本発明における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落番号[0142]〜[0143]に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、これを支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することで形成される。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
(下塗り層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある)を設けることが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性を損なわず現像性を向上させるのに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ。
下塗り層に用いる化合物としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が挙げられる。より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載のごとき、支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基、及び架橋性基を有する高分子樹脂が挙げられる。この高分子樹脂は、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。より具体的には、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−、−COCHCOCHなどの吸着性基を有するモノマーと、親水性のスルホ基を有するモノマーと、更にメタクリル基、アリル基などの重合性の架橋性基を有するモノマーとの共重合体である高分子樹脂が挙げられる。この高分子樹脂は、高分子樹脂の極性置換基と、対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
下塗り層用高分子樹脂中の不飽和二重結合の含有量は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。
本発明の下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時における汚れ防止のため、キレート剤、第2級又は第3級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物等(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)を含有することができる。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/mであるのが好ましく、1〜30mg/mであるのがより好ましい。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体としては、公知の支持体が用いられる。なかでも、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
また、上記アルミニウム板は必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、及び米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートあるいは米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行うことができる。
支持体は、中心線平均粗さが0.10〜1.2μmであるのが好ましい。
本発明の支持体には必要に応じて、裏面に、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平5−45885号公報に記載されているケイ素のアルコキシ化合物を含むバックコート層を設けることができる。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることが好ましい。保護層は酸素遮断によって画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性の保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。保護層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
また、保護層には酸素遮断性を高めるため、特開2005−119273号公報に記載のように天然雲母、合成雲母等の無機質の層状化合物を含有することが好ましい。
また、保護層には、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御する無機微粒子など公知の添加物を含むことができる。また、画像記録層の説明に記載した感脂化剤を保護層に含有させることもできる。
保護層は、公知の方法で塗布される。保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
〔平版印刷方法〕
本発明の平版印刷版原版の製版は機上現像方法で行うことが好ましい。機上現像方法は、平版印刷版原版を画像露光する工程と、露光後の平版印刷版原版になんらの現像処理を施すことなく、油性インキと水性成分とを供給して、印刷する印刷工程とを有し、該印刷工程の途上において平版印刷版原版の未露光部分が除去されることを特徴とする。画像様の露光は平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で行ってもよいし、プレートセッターなどで別途行ってもよい。後者の場合は、露光済み平版印刷版原版は現像処理工程を経ないでそのまま印刷機に装着される。その後、該印刷機を用い、油性インキと水性成分とを供給してそのまま印刷することにより、印刷途上の初期の段階で機上現像処理、すなわち、未露光領域の画像記録層が除去され、それに伴って親水性支持体表面が露出され非画像部が形成される。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキと湿し水が用いられる。
以下、更に詳細に説明する。
本発明において画像露光に用いられる光源としては、レーザーが好ましい。本発明に用いられるレーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を照射する固体レーザー及び半導体レーザーなどが好適に挙げられる。
赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10〜300mJ/cmであるのが好ましい。レーザーにおいては、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
露光された平版印刷版原版は、印刷機の版胴に装着される。レーザー露光装置付きの印刷機の場合は、平版印刷版原版を印刷機の版胴に装着したのち画像露光される。
画像様に露光した平版印刷版原版に湿し水と印刷インキとを供給して印刷すると、画像記録層の露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する印刷インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された湿し水及び/又は印刷インキによって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。その結果、湿し水は露出した親水性の表面に付着し、印刷インキは露光領域の画像記録層に着肉して印刷が開始される。
ここで、最初に版面に供給されるのは、湿し水でもよく、印刷インキでもよいが、湿し水が除去された画像記録層成分によって汚染されることを防止する点で、最初に印刷インキを供給するのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(A)の合成例]
変性エポキシ樹脂(AA−1)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量(Mw):10,000、エポキシ当量:0.3mol)、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸:89g(0.5mol)をメチルエチルケトン:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾した。その後、室温減圧下で質量が一定になるまで乾燥を続け、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−1):152gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−1)の質量平均モル質量は11,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−2)の合成
具体例(4)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:15,000、エポキシ当量:0.55mol)、化合物(a−1):20g(0.064mol)、メタクリル酸:8.6g(0.1mol)、p−ベンゾキノン:1.6mgをメチルエチルケトン:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸:30g(0.5mol)を加えて、再び攪拌しながら3時間還流した。3時間後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−2):121gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−2)の質量平均モル質量は17,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−3)の合成
具体例(9)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:5,500、m/n=8/2、エポキシ当量:0.43mol)、メタクリル酸:43g(0.5mol)、p−ベンゾキノン:10mgをメチルエチルケトン:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。得られた樹脂全量をメチルエチルケトン:500gに再溶解し、化合物(a−3):20g(0.033mol)、ジブチル錫ジラウレート:1gを加えて50℃にて6時間攪拌した。6時間後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル:500gを加えて反応液を希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液:500mL、飽和食塩水:500mLで反応液を洗浄した。反応液を硫酸マグネシウムで乾燥後、p−ベンゾキノン:10mgを加えて溶媒を減圧濃縮し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−3):155gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−3)の質量平均モル質量は6,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−4)の合成
具体例(1)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:2,500、エポキシ当量:0.34mol)、アクリル酸:36g(0.5mol)、p−ベンゾキノン:10mgをメチルエチルケトン:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、ブチルイソシアネート:30g(0.3mol)、ジブチル錫ジラウレート:3gを加えて50℃にて6時間攪拌した。6時間後、反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。得られた樹脂全量をアセトニトリル:500gに溶解し、p−ベンゾキノン:10mg、トリエチルアミン:4g(0.04mol)、化合物(a−11):3.4g(0.02mol)を加えて室温にて5時間攪拌した。5時間後、反応液を5℃以下に氷冷し、1Nのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド:20mLを1時間かけて加え、氷冷したまま更に1時間攪拌した。1時間後、溶媒とトリエチルアミンを減圧濃縮し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−4):165g(固形分濃度:90質量%)を得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−4)の質量平均モル質量は3,200であった。
変性エポキシ樹脂(AA−5)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:10g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.03mol)、化合物(a−23):1g(0.0025mol)、テトラメチルアンモニウムアイオダイド:0.1gを加えて、攪拌しながら170℃にて3時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、反応混合物をアセトニトリル:50mLに溶解させ、2−エチルへキサン酸:1.4g(0.01mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を加熱したまま酢酸:3g(0.05mol)を加えて、更に5時間還流を続けた。室温まで冷却した反応液から、過剰の酢酸と溶媒を減圧下にて除去し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−5):9gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−5)の質量平均モル質量は10,500であった。
変性エポキシ樹脂(AA−6)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、化合物(a−16):59g(0.5mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾した。その後、室温減圧下で質量が一定になるまで乾燥を続け、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−6):143gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−6)の質量平均モル質量は10,700であった。
変性エポキシ樹脂(AA−7)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、化合物(a−25):14g(0.06mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を加熱したまま酢酸:30g(0.5mol)を加えて、更に5時間還流を続けた。室温まで冷却した反応液から、過剰の酢酸と溶媒を減圧下にて除去し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−7):115gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−7)の質量平均モル質量は10,300であった。
変性エポキシ樹脂(AA−8)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、化合物(a−27):10g(0.1mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を加熱したまま酢酸:30g(0.5mol)を加えて、更に5時間還流を続けた。室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾した。その後、室温減圧下で質量が一定になるまで乾燥を続けた。得られた樹脂をアセトニトリルに溶解し、溶液を攪拌して5℃以下に冷却した後、カンファースルホン酸:21g(0.09mol)を液温が5℃を越えないように少量づつ加えた。全量を添加した後、5℃以下で30分間攪拌を続けた。反応液から溶媒を減圧除去して、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−8):135gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−8)の質量平均モル質量は11,100であった。
変性エポキシ樹脂(AA−9)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、化合物(a−4):15g(0.032mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸:30g(0.5mol)を加えて、再び攪拌しながら3時間還流した。3時間後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾し、その後室温減圧下にて質量が変化しなくなるまで乾燥した。こうして親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−9):114gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−9)の質量平均モル質量は10,900であった。
変性エポキシ樹脂(AA−10)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、化合物(a−2):10g(0.005mol)、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)をN−メチルピロリドン:500gに溶解し、攪拌しながら150℃にて5時間加熱した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、酢酸:30g(0.5mol)を加えて、再び攪拌しながら150℃にて3時間加熱した。3時間後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾し、その後室温減圧下にて質量が変化しなくなるまで乾燥した。こうして親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−10):111gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−10)の質量平均モル質量は13,100であった。
変性エポキシ樹脂(AA−11)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、アクリル酸:36g(0.5mol)、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)、p−ベンゾキノン:10mgをメチルエチルケトン:500gに溶解し、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。得られた樹脂をアセトニトリル:500gに溶解し、p−ベンゾキノン:10mg、トリエチルアミン:3gを加え、室温にて攪拌した。この混合液に化合物(a−8):20g(0.02mol)を1時間かけて加えて、添加終了後75℃にて3時間攪拌した。3時間後、反応液からアセトニトリルとトリエチルアミンを減圧留去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。こうして親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−11):132gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−11)の質量平均モル質量は12,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−12)の合成
具体例(2)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:10,000、エポキシ当量:0.3mol)、アクリル酸:36g(0.5mol)、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)、p−ベンゾキノン:10mgをメチルエチルケトン:500gに溶解し、攪拌しながら5時間還流した。5時間後、反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。得られた樹脂をアセトニトリル:500gに溶解し、p−ベンゾキノン:10mg、トリエチルアミン:3gを加え、室温にて攪拌した。この混合液に化合物(a−9):20g(0.02mol)を1時間かけて加えて、添加終了後75℃にて3時間攪拌した。3時間後、反応液からアセトニトリルとトリエチルアミンを減圧留去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。こうして親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−12):132gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−12)の質量平均モル質量は12,100であった。
変性エポキシ樹脂(AA−13)の合成
具体例(15)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:1,800、エポキシ当量:0.39mol)、アクリル酸:36g(0.5mol)、p−ベンゾキノン:10mgをアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。乾燥した樹脂をアセトニトリル:500gに溶解し、p−ベンゾキノン:10mg、化合物(a−21):43g(0.2mol)とネオスタンU−600(日東化成(株)製):1gを加えて50℃にて6時間加熱攪拌した。その後、アセトニトリルを減圧留去し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−13):150g(固形分濃度:91質量%)を得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−13)の質量平均モル質量は2,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−14)の合成
具体例(9)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:3,500、m/n=6/4、エポキシ当量:0.55mol)、イタコン酸モノアミド:65g(0.5mol)、p−ベンゾキノン:10mgをアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lに反応液をゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。こうして親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−14):123gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−14)の質量平均モル質量は3,900であった。
変性エポキシ樹脂(AA−15)の合成
具体例(6)の構造を持つエポキシ樹脂:100g(質量平均モル質量:4,000、m/n=8/2、エポキシ当量:0.5mol)、以下の化合物:51g(0.25mol)、p−ベンゾキノン:10mgをアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸:30g(0.5mol)を加えて、更に3時間還流した。室温まで冷却した反応液を、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lにをゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−15):141gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−15)の質量平均モル質量は4,500であった。
Figure 2011073215
変性エポキシ樹脂(AA−16)の合成
jER1256(ジャパンエポキシレジン(株)製エポキシ樹脂)100g(質量平均モル質量:50,000、エポキシ当量:0.013mol)、化合物(a−6):51g(0.05mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lにゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した粘調固体を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った粘調固体に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った粘調固体をシャーレ上に広げて1昼夜風乾した。その後、室温減圧下において質量が変化しなくなるまで乾燥して、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−16):111gを得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−16)の質量平均モル質量は51,000であった。
変性エポキシ樹脂(AA−17)の合成
EPICLON EXA−4850−150(大日本インキ化学工業(株)製エポキシ樹脂)100g(質量平均モル質量:900、エポキシ当量:0.22mol)、アジピン酸:2g(0.015mol)をアセトニトリル:500gに溶解させ、テトラエチルアンモニウムブロミド:7.2g(0.034mol)を加えて、攪拌しながら5時間還流した。反応液を室温まで冷却した後、メタクリル酸:43g(0.5mol)、p−ベンゾキノン:10mgを加えて、攪拌しながら更に5時間還流した。反応液を激しく攪拌した1mol/L炭酸水素ナトリウム水溶液:5Lにゆっくりと注いだ。30分間攪拌を続けた後、攪拌を停止して析出した化合物を容器の底に沈降させ、上澄みを注意して除いた。残った化合物に水:2Lを加え、30分間攪拌を続けた後、同様にして上澄み液を除去し、残った化合物をシャーレ上に広げて2昼夜風乾した。得られた樹脂をアセトニトリル:500gに溶解し、p−ベンゾキノン:10mg、化合物(a−21):22g(0.1mol)、ネオスタンU−600(日東化成(株)製):1gを加えて、50℃にて6時間加熱攪拌した。その後、減圧下においてアセトニトリルを留去してから、酢酸エチル:1Lに溶解した。得られた酢酸エチル溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液:500mL、飽和食塩水:500mLで洗浄してから、硫酸マグネシウムにて乾燥した。酢酸エチル溶液をろ過した後、減圧下において濃縮し、親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂(AA−17):147g(固形分濃度:88質量%)を得た。得られた変性エポキシ樹脂(AA−17)の質量平均モル質量は3,100であった。
変性エポキシ樹脂(AA−18)の合成
エポキシ樹脂の質量平均モル質量を5000に変更した以外は、変性エポキシ樹脂(AA−1)と同様にして変性エポキシ樹脂(AA−18)を合成した。得られた変性エポキシ樹脂(AA−18)の分子量は、5100であった。
変性エポキシ樹脂(AA−19)の合成
エポキシ樹脂の質量平均モル質量を2500に変更した以外は、変性エポキシ樹脂(AA−1)と同様にして変性エポキシ樹脂(AA−19)を合成した。得られた変性エポキシ樹脂(AA−19)の分子量は、2600であった。
[実施例1〜6及び比較例1]
(1)平版印刷版支持体(1)の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、この板に15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体(1)を作製した。
その後、非画像部の親水性を確保するため、支持体(1)に2.5質量%3号ケイ酸ソーダ水溶液を用いて60℃で10秒間、シリケート処理を施し、その後、水洗して支持体(2)を得た。Siの付着量は10mg/mであった。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(2)下塗り層の形成
次に、上記支持体(2)上に、下記下塗り層用塗布液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布して、以下の実験に用いる下塗り層を有する支持体を作製した。
<下塗り層用塗布液(1)>
・下記構造の下塗り層用化合物(1) 0.18g
・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸 0.10g
・メタノール 55.24g
・水 6.15g
Figure 2011073215
(3)画像記録層の形成
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(1)>
・変性エポキシ樹脂(A)〔表1記載〕 0.432g
・赤外線吸収染料(1)〔下記構造〕 0.030g
・ラジカル重合開始剤(1)〔下記構造〕 0.162g
・低分子親水性化合物(1)〔下記構造〕 0.050g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF塩 0.018g
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー
[下記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔下記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
<ミクロゲル液(1)>
・ミクロゲル(1) 2.640g
・蒸留水 2.425g
上記の、赤外線吸収染料(1)、ラジカル重合開始剤(1)、低分子親水性化合物(1)、アンモニウム基含有ポリマー、及びフッ素系界面活性剤(1)の構造は、以下に示す通りである。
Figure 2011073215
−ミクロゲル(1)の合成−
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井化学ポリウレタン(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、これを前記ミクロゲル(1)とした。ミクロゲルの平均粒径を光散乱法により測定したところ、平均粒径は0.2μmであった。
(4)保護層の形成
上記画像記録層上に、更に下記組成の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して実施例1〜6用と比較例1用の平版印刷版原版を得た。
<保護層用塗布液(1)>
・無機質層状化合物分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製CKS50、スルホン酸変性、
けん化度99モル%以上、重合度300)6質量%水溶液 0.55g
・ポリビニルアルコール((株)クラレ製PVA−405、
けん化度81.5モル%、重合度500)6質量%水溶液 0.03g
・日本エマルジョン(株)製界面活性剤
(エマレックス710)1質量%水溶液 0.86g
・イオン交換水 6.0g
(無機質層状化合物分散液(1)の調製)
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散粒子のアスペクト比は100以上であった。
4.平版印刷版原版の評価
(1)機上現像性
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、レーザー出力70%、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とValues−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10000枚の印刷速度で、特菱アート(76.5kg)紙に印刷を100枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。結果を表1に示す。
(2)耐刷性
上述した機上現像性の評価を行った後、更に印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン50%網点の網点面積率をグレタグ濃度計で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2011073215
比較例1用樹脂C−1
下記に示す構成繰返し単位の、不飽和基及びカルボキシ基含有エポキシ樹脂(酸価50KOH・mg/g、質量平均モル質量5,000、昭和高分子社製「PR−300」)
Figure 2011073215
表1から明らかなように、本発明の樹脂を使用すると従来公知のエポキシ樹脂に比較して、機上現像性と耐刷に優れる。
[実施例7〜15及び比較例2]
1.平版印刷版原版の作製
下塗り層を有する上記の支持体に、下記の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.6g/mの画像記録層を作製し、実施例7〜15用と比較例2用の平版印刷版原版を得た。
<画像記録層塗布液(2)>
・ポリマー微粒子水分散液(1) 20.0g
・赤外線吸収染料(2)[下記構造] 0.2g
・ラジカル重合開始剤 Irgacure250
(チバスペシャリティケミカルズ製) 0.5g
・ラジカル重合性化合物 SR−399(サートマー社製) 1.50g
・メルカプト−3−トリアゾール 0.2g
・Byk336(Byk Chimie社製) 0.4g
・KlucelM(Hercules社製) 4.8g
・表2記載の変性エポキシ樹脂(A) 0.25g
・n−プロパノール 55.0g
・2−ブタノン 17.0g
なお、上記組成中の商品名で記載の化合物は下記の通りである。
・Irgacure 250:(4−メトキシフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート(75質量%プロピレンカーボナート溶液)
・SR−399:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
・Byk 336:変性ジメチルポリシロキサン共重合体(25質量%キシレン/メトキシプロピルアセテート溶液)
・Klucel M:ヒドロキシプロピルセルロース(2質量%水溶液)
・ELVACITE 4026:高分岐ポリメチルメタクリレート(10質量%2−ブタノン溶液)
Figure 2011073215
(ポリマー微粒子水分散液(1)の製造)
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA エチレングリコールの平均の繰返し単位は50)10g、蒸留水200g及びn−プロパノール200gを加えて内温が70℃となるまで加熱した。次に予め混合されたスチレン(St)10g、アクリロニトリル(AN)80g及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8gの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4gを添加し、内温を80℃まで上昇させた。続いて、0.5gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを6時間かけて添加した。合計で20時間反応させた段階でポリマー化は98%以上進行しており、質量比でPEGMA/St/AN=10/10/80のポリマー微粒子水分散液(1)が得られた。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径150nmに極大値を有していた。
ここで、粒径分布は、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
2.平版印刷版原版の評価
上記のようにして得られた平版印刷版原版について、実施例1と同様に(1)機上現像性と(2)耐刷を評価した。また、以下に示す方法により(3)感度を評価した。結果を表2に示す。
(3)感度
得られた平版印刷版原版それぞれについて、赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1000rpm、解像度2400dpiの条件で、レーザー出力を10%〜100%まで10%刻みで変化させて露光した版10枚を作製した。露光画像にはベタ画像及び20μmドットFMスクリーンの50%網点チャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を上記と同様に100枚印刷を行った。100枚印刷時に50%網点画像が残存しているレーザー出力を感度として評価した。従って、出力が弱いほど感度が高いことを示す。
Figure 2011073215
Figure 2011073215
表2から明らかなように、本発明の樹脂を用いると、予期せぬことに従来の樹脂に比較して高い感度と機上現像性と耐刷性が得られる。
[実施例16〜19及び比較例3]
1.平版印刷版原版の作製
上記のようにして形成された下塗り層上に、下記組成の画像記録層塗布液(3)をバー塗布した後、100℃60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。画像記録層塗布液(3)は下記感光液(3)及び上記ミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
<感光液(3)>
・表3記載の変性エポキシ樹脂(A) 0.240g
・赤外線吸収染料(1)〔上記構造〕 0.030g
・ラジカル重合開始剤(1)〔上記構造〕 0.162g
・ラジカル重合性化合物
トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
(NKエステルA−9300、新中村化学(株)製) 0.192g
・低分子親水性化合物
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート 0.062g
・低分子親水性化合物(1)〔上記構造〕 0.050g
・感脂化剤 ホスホニウム化合物(1)〔下記構造〕 0.055g
・感脂化剤
ベンジル−ジメチル−オクチルアンモニウム・PF塩 0.018g
・感脂化剤 アンモニウム基含有ポリマー
[上記構造、還元比粘度44cSt/g/ml] 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1)〔上記構造〕 0.008g
・2−ブタノン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
Figure 2011073215
上記画像記録層上に、更に上記の保護層塗布液(1)をバー塗布した後、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/mの保護層を形成して実施例16〜19用及び比較例3用の平版印刷版原版を得た。
2.平版印刷版原版の評価
得られた平版印刷版原版を実施例7と同様にして機上現像性と耐刷性と感度を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2011073215
表3から明らかなように本発明の印刷版は、機上現像性と耐刷性と感度に優れる。
[実施例20〜21及び比較例4]
<平版印刷版原版の作製と評価>
実施例1に記載されている下塗り層を有する支持体上に、以下に記載する画像記録層塗布液(4)を塗布して、乾燥塗布量2g/mの画像記録層を形成した。
<画像記録層塗布液(4)>
DESMODUR(登録商標)N100とアクリル酸ヒドロキシエチル
及びペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物*1 3.74質量部
表4記載の変性エポキシ樹脂(A) 3.53質量部
Sartomer 355*2 0.78質量部
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−2−トリアジン 0.42質量部
アニリノ−N,N−2酢酸 0.23質量部
赤外線吸収染料(3)*3 0.09質量部
Byk 307*4 0.02質量部
n−プロパノール 72.95質量部
水 18.24質量部
*1 DESMODUR(登録商標)100:479g、ジブチル錫ジラウレート触媒、安定剤2,6-ジ-tertブチル-4-メチルフェノールを40℃のメチルエチルケトン中に溶解し;不揮発性成分の最終濃度が約30質量%になるように、メチルエチルケトンの量を選択した。次いで、温度が42℃を超えないように、アクリル酸ヒドロキシエチル:174g及びペンタエリスリトールトリアクリレート:447gを添加した。2時間の撹拌の後、温度を60℃まで高め、更に2時間にわたってこれを維持した。反応を、赤外線分光分析によって監視し、終了時にまだ存在するイソシアネートを、適量のメタノールでクエンチした。
これを30リッターの攪拌した水に、ゆっくりと加え、析出した成分を取り出し、乾燥させた。1080gの析出物を得た。
*2 Sartomer 355は、Sartomer Co.,Inc.から入手可能な多官能アクリルモノマーである。
*3 赤外線吸収染料(3)は、2−[2−[2−フェニルチオ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウム塩化合物である。
*4 Byk 307は、Byk Chemieから入手可能な変性ポリシロキサンである。
得られた画像記録層上に、ポリビニルアルコール(5.26部)及びポリビニルイミダゾール(0.93部)をイソプロパノール(3.94部)及び水(89.87部)に溶かした保護層塗布液を塗布して、乾燥塗布量2g/mの保護層を有する平版印刷版原版を得た。
こうして得られた平版印刷版原版を、Creo Trendsetter 3244xで250mJ/cmで画像形成した以外は、実施例1と同様にして機上現像性と耐刷性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2011073215
比較例4の樹脂C−3(グラフトコポリマー1)は下記のようにして合成された。
(1)マクロマー(Macromer)1の合成
Figure 2011073215
トルエン(266g)を500mLフラスコに入れ、その後窒素雰囲気中で、ポリ(エチレングリコールモノメチルエーテル)(80g)(Mn 2000)及び塩化メタクリロイル(4.2g)を添加した。その後、反応温度を30℃に維持しながら、トリエチルアミン(4.52g)を20分間にわたり添加した。更に2時間過ぎた後、反応混合物の温度を50℃に上げ、その温度で更に2時間保った。その後、反応混合物を室温に冷却し、濾過して、理論量で得られたトリエチルアミン塩酸塩を除去した。濾液に石油エーテルを添加してマクロマー1を沈殿させ、これを濾過により収集し、室温の真空炉内で乾燥させた。この反応を上記スキームに示す。nの平均値は約45であることが好ましい。
(2)グラフトコポリマー1の合成
マクロマー1(7.5g)、水(48g)、及び1−プロパノール(192g)を500mLフラスコに入れ、これを80℃に加熱した。スチレン(66.9g)及びアゾビスイソブチロニトリル(0.48g)(Vazo−64、DuPont de Nemours Coから)を別のビーカー内で混合し、この溶液の一部(12g)をマクロマー溶液に添加すると、約10分以内で濁った。その後、残りの溶液を30分間かけて添加した。更に3時間後、グラフトコポリマー1への変換は、不揮発分%の測定の基づくと約97質量%であった。スチレン:マクロマー1の質量比は、グラフトコポリマー1において約90:10であった。

Claims (18)

  1. 支持体上に、下記(A)〜(C)を含有する画像記録層を有し、印刷機上で湿し水及びインキによる現像が可能な平版印刷版原版。
    (A)親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂
    (B)赤外線吸収剤
    (C)ラジカル重合開始剤
  2. 親水性官能基を有する変性エポキシ樹脂が、エチレン性不飽和基を有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 親水性官能基が、ポリアルキレンオキシド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、アミド基、アンモニウム基及びアミノ基から選択される少なくとも一つの基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記変性エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−1)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記変性エポキシ樹脂が、(1)エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂に、(2)変性エポキシ樹脂中の置換基と反応しうる官能基と親水性官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−2)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記変性エポキシ樹脂が、変性エポキシ樹脂(A−1)に、更に、該樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られる変性エポキシ樹脂(A−3)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  7. エポキシ樹脂中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基が、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基及び酸無水物基から選択される基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  8. 変性エポキシ樹脂(A−1)中のエポキシ基又は置換基と反応しうる官能基が、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、1,3−ジケト基及び酸無水物基から選択される基であることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記変性エポキシ樹脂が、質量平均モル質量(Mw)3,000〜300,000の樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記画像記録層が更に、(D)ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  11. 前記画像記録層が更に、(E)ポリマー微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  12. 該ポリマー微粒子が、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を内包するマイクロカプセルであることを特徴とする請求項11に記載の平版印刷版原版。
  13. 該ポリマー微粒子が、アクリロニトリルをモノマー単位として含むポリマーの微粒子であることを特徴とする請求項11に記載の平版印刷版原版。
  14. 画像記録層の上に更に保護層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の平版印刷版原版。
  15. 保護層が、親水性樹脂を含有することを特徴とする請求項14に記載の平版印刷版原版。
  16. 保護層が、無機質層状化合物を含有することを特徴とする請求項14に記載の平版印刷版原版。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光した後、印刷機上に設置してそのまま印刷することを特徴とする平版印刷方法。
  18. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の平版印刷版原版を、印刷機に設置後、画像様に露光してそのまま印刷することを特徴とする平版印刷方法。
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