JP2011069337A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒劣化時の触媒下流空燃比センサによる空燃比フィードバック制御の過剰補正を防止し、実際の空燃比が触媒要求空燃比になる空燃比制御装置を提供する。
【解決手段】触媒43下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsは触媒の状態(酸素吸蔵状態)を表すので、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsに基づいて触媒流入ガスの空燃比を制御することにより、触媒流入ガスの空燃比を触媒流入ガス要求空燃比に一致させることができる。下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが増大しており且つ出力値Voxsの変化速度の絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であるとき触媒流入ガスの空燃比を第1リーン空燃比に設定し、出力値Voxsが減少しており且つ出力値Voxsの変化速度の絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であるとき触媒流入ガスの空燃比を第1リッチ空燃比に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気通路に三元触媒を備えた内燃機関の空燃比制御装置に関する。
従来より、内燃機関から排出される排ガスを浄化するために同機関の排気通路に三元触媒が配設されている。三元触媒は、周知のように、その三元触媒に流入するガスの成分に応じて酸素を吸蔵又は放出する「酸素吸蔵機能」を有する。以下、三元触媒は単に「触媒」とも称呼され、触媒に流入するガスは「触媒流入ガス」とも称呼される。
従来の空燃比制御装置(従来装置)は、機関の排気通路であって触媒の下流に配設された下流側空燃比センサを備える。従来装置は、気筒に吸入される空気量に基づいて「機関に供給される混合気の空燃比を理論空燃比に一致させるための基本燃料噴射量」を求め、その基本燃料噴射量を少なくとも下流側空燃比センサの出力値に基づいて補正するようになっている。
より具体的に述べると、下流側空燃比センサは図3に示した出力値Voxsを出力する。下流側空燃比センサは濃淡電池型の酸素濃度センサとも称呼される。この下流側空燃比センサの出力値Voxsは、触媒から流出するガス(以下、「触媒流出ガス」とも称呼される。)の空燃比が理論空燃比よりも小さい場合(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である場合)、即ち、触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていない場合、最大出力値Vmax又は最大出力値Vmax近傍の値となる。「触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていない場合」とは、触媒流出ガス中の「未燃物と酸素と」が結合した結果、酸素が不足し未燃物が残る場合(触媒流出ガス中の未燃物を総て酸化するのに必要な量よりも少ない量の酸素が触媒流出ガス中に含まれている場合)、及び、触媒流出ガス中に酸素が存在していない場合、のことである。
更に、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きい場合(理論空燃比よりもリーン側の空燃比である場合)、即ち、触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれている場合、最小出力値Vmin又は最小出力値Vmin近傍の値となる。「触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれている場合」とは、触媒流出ガス中の「未燃物と酸素と」が結合した結果、未燃物は消滅し酸素が残る場合(触媒流出ガス中の未燃物を総て酸化するのに必要な量よりも多い量の酸素が触媒流出ガス中に含まれている場合)、及び、触媒流出ガス中に未燃物が含まれていない場合、のことである。
このように、触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれていると出力値Voxsは最小出力値Vmin(例えば、0〜0.1V)となり、触媒流出ガスに過剰な酸素が含まれていなければ出力値Voxsは最大出力値Vmax(例えば、0.9〜1.0V)となる。そこで、出力値Voxsが「最大出力値Vmaxと最小出力値Vminとの中央の値Vmid(即ち、中央値Vmid=(Vmax+Vmin)/2)」に一致している場合、触媒流出ガスの空燃比は理論空燃比に一致していると考えられている。
そして、従来装置は、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「理論空燃比に相当する値(即ち、中央値Vmid)に設定された下流側目標値Voxsref」に一致するように空燃比のフィードバック量を比例・積分制御(PI制御)等に基づいて算出する。この空燃比のフィードバック量は、便宜上「サブフィードバック量」とも称呼される。従来装置は、「理論空燃比を得るための基本燃料噴射量」を「サブフィードバック量」により補正することにより、機関に供給される混合気の空燃比を制御し、以って、触媒流入ガスの空燃比を制御している。
一方、触媒が劣化するに従って触媒が吸蔵し得る酸素吸蔵量の最大値(最大酸素吸蔵量Cmax)が低下してくる。従って、触媒が劣化するほど、触媒流入ガスの空燃比の変化が触媒流出ガスの空燃比の変化となって現れるまでの時間が短くなる。その結果、触媒が劣化するほど、出力値Voxsの振幅及び変動周波数が大きくなる。そこで、従来装置は、出力値Voxsの軌跡長を求め、その軌跡長に基づいて触媒が劣化したか否かを判定している(例えば、特許文献1を参照。)。
特許第2570930号
図24は、「上述した従来装置」及び「本発明による空燃比制御装置」による空燃比制御の様子を破線及び実線によりそれぞれ表したタイムチャートである。図24に示した例においては、時刻t0にて、下流側空燃比センサの出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さい値から中央値Vmidよりも大きい値に変化している。前述したように、従来装置は、下流側目標値Voxsrefを中央値Vmidに設定している。
従って、時刻t0以降における出力値Voxsは中央値Vmidよりも大きくなるので、従来装置によって算出されるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を減少(減量補正)する値になる。これにより、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりもリーン側の空燃比へと制御される。以下、理論空燃比よりもリーン側の空燃比を、単に「リーン空燃比」とも称呼する。
この結果、触媒流入ガスには過剰な酸素が含まれるので、触媒に吸蔵されている酸素の量(以下、「酸素吸蔵量OSA」とも称呼する。)は増加する。触媒の酸素吸蔵量OSAが比較的小さい場合、触媒は酸素を効率良く吸蔵することができる。従って、時刻t0における酸素吸蔵量OSAが比較的小さい場合、時刻t0以降において触媒流入ガスに含まれる過剰な酸素の殆どは触媒に吸蔵される。その結果、触媒流出ガスに酸素が殆ど含まれていない状態が継続するので、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmaxに向けて増大し続ける。
その後、時刻t1において触媒の酸素吸蔵量OSAが所定の上限値CHiに到達すると、触媒は酸素を効率良く吸蔵することができなくなる。よって、触媒流出ガスに比較的多量の酸素が含まれ始める。この結果、時刻t1の直後の時点である時刻t2から下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vminに向けて減少し始める。
ところが、時刻t2からその後の時刻t5までの期間、出力値Voxsは中央値Vmid(従来装置の下流側目標値Voxsref)よりも大きいので、従来装置によるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を減少する値になり続ける。この結果、時刻t2以降においても酸素吸蔵量OSAは増大し続け、時刻t5よりも前の時刻t4にて最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する。
このとき、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりリーン側の空燃比であり、従って、機関に供給される混合気の空燃比も理論空燃比よりリーン側の空燃比である。このため、触媒流入ガスには多量のNOx(窒素酸化物)が含まれている。ところが、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達しているから、触媒はNOxを充分に浄化することができない。この結果、時刻t4から時刻t5までの期間において、比較的多量のNOxが触媒の下流に排出される場合がある。
このように、従来装置は、触媒による排気浄化作用にとって不必要な「燃料噴射量の減量補正」を行う場合がある(図24の触媒流入ガスの空燃比のハッチング部を参照。)。換言すると、従来装置によれば、触媒流入ガスの空燃比が「触媒の排気浄化効率を良好な値に維持するために必要とされる空燃比(以下、「触媒流入ガス要求空燃比」とも称呼する。)」よりもリーン側の空燃比に制御されてしまう場合が発生する。
一方、下流側空燃比センサの出力値Voxsが「中央値Vmidに設定された下流側目標値Voxsref」よりも小さくなると、従来装置によって算出されるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を増大(増量補正)する値となる。それにより、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に制御される。以下、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比を、単に「リッチ空燃比」とも称呼する。
この結果、触媒流入ガスには過剰な未燃物(CO、HC及びH等)が含まれるので、触媒に吸蔵されている酸素はその未燃物の浄化に使用される。従って、酸素吸蔵量OSAは減少する。しかしながら、従来装置によれば、下流側空燃比センサの出力値Voxsが下流側目標値Voxsrefよりも小さくなった直後等の時点において、酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmax近傍となっている(図24の時刻t5の直後等を参照。)。そのため、微量ではあるものの触媒流入ガスに含まれる酸素はそのまま触媒下流に流出する。更には、下流側空燃比センサの近傍又は下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する酸素を完全に消費するのに充分な量の未燃物が触媒下流に流出しない。その結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは下流側目標値Voxsrefよりも小さい値を維持する。
その後、触媒の酸素吸蔵量OSAが所定の下限値CLo(<CHi)にまで減少すると、触媒は触媒流入ガスに含まれる微量な酸素を効率良く吸蔵し始めるとともに触媒流入ガスに含まれる未燃物を完全には浄化できなくなる。よって、触媒流出ガスに酸素が含まれなくなるとともに、比較的多量の未燃物が含まれ始める。この未燃物により、下流側空燃比センサの近傍又は下流側空燃比センサの拡散抵抗層に残存する酸素が消費される。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmaxに向けて増大し始める。
ところが、その時点から暫くの間、出力値Voxsは下流側目標値Voxsref(中央値Vmid)よりも小さいから、従来装置によるサブフィードバック量は基本燃料噴射量を増大する値になり続ける。この結果、触媒の酸素吸蔵量OSAは減少し続け「0」に到達してしまう。
このとき、触媒流入ガスの空燃比は理論空燃比よりリッチ側の空燃比であり、従って、機関に供給される混合気の空燃比も理論空燃比よりリッチ側の空燃比である。このため、触媒流入ガスには多量の未燃物が含まれている。更に、酸素吸蔵量OSAが「0」に達しているから、触媒はその未燃物を充分に浄化することができない。この結果、多量の未燃物が触媒の下流に排出される場合がある。
このように、従来装置は、触媒による排気浄化作用にとって不必要な「燃料噴射量の増量補正」を行う場合がある。換言すると、従来装置によれば、触媒流入ガスの空燃比が「触媒流入ガス要求空燃比」よりもリッチ側の空燃比に制御されてしまう場合が発生する。
そこで、本発明者は、実際の触媒流入ガスの空燃比が「触媒流入ガス要求空燃比」に出来るだけ一致するように「機関に供給される混合気の空燃比」を制御することにより、エミッションを更に改善することができる内燃機関の空燃比制御装置を開発している。以下、この開発中の空燃比制御装置を「本発明装置」と称呼する。本発明装置によれば、触媒を廉価とするために触媒が担持する貴金属の量を予め低減することにより、新品の状態にある触媒の最大酸素吸蔵量Cmaxを低下させても、長期に渡って「エミッションが悪化することを回避すること」が可能である。
ここで、本発明装置の空燃比制御の概要について説明する。本発明装置は、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度ΔVoxsは触媒の状態(酸素吸蔵状態)を表すので、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsに基づいて「触媒流入ガスの空燃比(即ち、機関に供給される混合気の空燃比)」を制御することにより、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比」に一致させることができるとの知見に基づく。なお、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsとは、単位時間あたりの出力値Voxsの変化量、即ち、出力値Voxsの時間微分値(dVoxs/dt)に相当する値のことである。
以下、下流側空燃比センサの出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが「触媒の状態を表す」理由について場合分けしながら説明する。
(1)酸素吸蔵量OSAが上述した下限値CLo(即ち、「0」に近い所定値)以下である状態の触媒(酸素不足状態にある触媒、酸素不足触媒)に、リーン空燃比の燃焼ガス(排ガス)を供給した場合。
この場合、図4に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「微量の未燃物(HC等)」と「多量且つ過剰な酸素(O)」とが含まれている。酸素は触媒43中の酸素吸蔵材と結合することにより触媒43に吸蔵される。未燃物は「触媒流入ガス中の酸素又は触媒43に残存している酸素」と結合する。このように、触媒流入ガスに含まれる酸素は触媒43内において吸蔵又は消費されるので、触媒流出ガス中に酸素は殆ど存在しない。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍の値となる。
但し、リーン空燃比の触媒流入ガスに含まれる酸素の量はリッチ空燃比の触媒流入ガスに含まれる酸素の量よりも非常に多いので、このような酸素不足状態にある触媒にリーン空燃比の触媒流入ガスが流入すると、酸素が極微量ではあるが触媒から漏れ出す。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsは、最大出力値Vmaxよりも僅かに低下した値(但し、中央値Vmidよりもかなり大きい値)になる(図3の点P1を参照。)。
(2)触媒にリーン空燃比の燃焼ガスを供給し続けることにより、酸素吸蔵量OSAが上述した上限値CHi(即ち、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い所定値)以上となった場合。
この場合、図5に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「微量の未燃物」と「多量且つ過剰な酸素」とが含まれている。この状態において、触媒43の酸素を吸蔵する余力は小さくなっているので、触媒流入ガス中の酸素は、その一部が触媒43に吸蔵されるものの、残りの多くは触媒43の下流に流出し始める。未燃物は「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合する。従って、触媒流出ガスが過剰の酸素を含み始める。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍に向けて急激に減少し始め、その後、最小出力値Vminに到達する。
以上の説明から理解されるように、理論空燃比よりもリーン側の空燃比の燃焼ガスを触媒に供給している場合に下流側空燃比センサの出力値Voxsが減少を開始した時、触媒の酸素吸蔵量OSAは相当に大きくなっている。従って、この状態において、触媒に「理論空燃比よりもリーン側の空燃比のガス」を供給し続けることは適切でない。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが比較的迅速に減少している場合(即ち、出力値Voxsが減少しかつ出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値が所定の閾値よりも大きい場合)、たとえ出力値Voxsが中央値Vmidよりも大きくても、「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
(3)酸素吸蔵量OSAが上述した上限値CHi以上である状態の触媒(酸素過剰状態にある触媒、酸素過剰触媒)に、リッチ空燃比の燃焼ガスを供給した場合。
この場合、図6に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「多量且つ過剰な未燃物」と「微量の酸素」とが含まれている。未燃物は「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合するから、触媒43の下流に漏れ出さない。一方、触媒流入ガス中の微量な酸素は触媒43に吸蔵されることなく触媒43を通過し、触媒43の下流に流出する。この結果、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最小出力値Vmin近傍の値であって、最小出力値Vminよりも僅かに増大した値(但し、中央値Vmidよりはかなり小さい値)になる(図3の点P2を参照。)。
(4)触媒にリッチ空燃比の燃焼ガスを供給し続けることにより、酸素吸蔵量OSAが上述した下限値CLo(即ち、「0」に近い所定値)以下となった場合。
この場合、図7に模式的に示したように、燃焼ガスである触媒流入ガスには「多量且つ過剰な未燃物」と「微量の酸素」とが含まれている。このとき、それまでに吸蔵していた酸素を未燃物に対して与える「触媒43の余力」は小さくなっているので、触媒流入ガス中の未燃物は、その一部が「触媒43に吸蔵されている酸素」と結合し且つ他の一部が「触媒流入ガス中の酸素」と結合するものの、残りの多くは触媒43の下流に流出し始める。更に、触媒流入ガス中の酸素は触媒43に吸蔵される。従って、触媒流出ガスには酸素が含まれず、未燃物が含まれ始める。よって、下流側空燃比センサの出力値Voxsは最大出力値Vmax近傍に向けて急激に増大し、その後、最大出力値Vmaxに到達する。
以上の説明から理解されるように、理論空燃比よりもリッチ側の空燃比の燃焼ガスを触媒に供給している場合に下流側空燃比センサの出力値Voxsが増大を開始した時、触媒の酸素吸蔵量OSAは相当に小さくなっている。従って、この状態において、触媒に「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比のガス」を供給し続けることは適切でない。換言すると、下流側空燃比センサの出力値Voxsが比較的迅速に増大している場合、(即ち、出力値Voxsが増大しかつ出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値が所定の閾値よりも大きい場合)、たとえ出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さくても、「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
但し、出力値Voxsが最大出力値Vmax近傍の値である場合には、変化速度ΔVoxsに拘わらず触媒43の状態は酸素不足状態(酸素吸蔵量OSAが実質的に「0」である状態)であると考えられる。従って、その場合の「触媒流入ガス要求空燃比」は、理論空燃比又は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
同様に、出力値Voxsが最小出力値Vmin近傍の値である場合には、変化速度ΔVoxsに拘わらず触媒43の状態は酸素過剰状態(酸素吸蔵量OSAが実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである状態)であると考えられる。従って、その場合の「触媒流入ガス要求空燃比」は、理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
本発明装置は、このような知見に基づいてなされたものであり、触媒流出ガスに含まれる酸素の濃度(酸素分圧)に応じた出力値Voxsを出力する濃淡電池型の酸素濃度センサ(下流側空燃比センサ)と、その酸素濃度センサの出力値Voxsと変化速度ΔVoxsに基づいて「機関に供給される混合気の空燃比(機関の空燃比)」を制御する空燃比制御手段と、を備える。
より具体的には、前記空燃比制御手段は、
(A1)出力値Voxsが「所定の低側閾値」と「前記低側閾値よりも大きい所定の高側閾値」との間にある場合、以下に述べる第1期間において、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の所定の第1リーン空燃比となるように、機関の空燃比を制御する。
前記第1期間の開始時点は、前記出力値Voxsが増大しているときの前記出力値の変化速度の絶対値|ΔVoxs|が所定の第1変化速度閾値以上となった時点である。
前記第1期間の終了時点は、前記出力値Voxsが減少しているときの前記出力値の変化速度の絶対値|ΔVoxs|が所定の第2変化速度閾値以上となる時点、及び、前記出力値Voxsが前記高側閾値以上になる時点、の何れかである。
更に、前記空燃比制御手段は、
(A2)出力値Voxsが「前記低側閾値」と「前記高側閾値」との間にある場合、以下に述べる第2期間において、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の所定の第1リッチ空燃比となるように、機関の空燃比を制御する。
前記第2期間の開始時点は、前記出力値Voxsが減少しているときの前記出力値の変化速度の絶対値|ΔVoxs|が前記第2変化速度閾値以上となった時点である。
前記第2期間の終了時点は、前記出力値Voxsが増大しているときの前記出力値の変化速度の絶対値|ΔVoxs|が前記第1変化速度閾値以上となる時点、及び、前記出力値Voxsが前記低側閾値以下となる時点、の何れかである。
なお、前記低側閾値は前記中央値Vmidと前記最小出力値Vminとの間の所定値であり、前記高側閾値は前記中央値Vmidと前記最大出力値Vmaxとの間の所定値である。更に、前記第1変化速度閾値及び前記第2変化速度閾値は何れも正の所定値であり、両者は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前述したように、下流側空燃比センサ(酸素濃度センサ)の出力値Voxsが比較的迅速に増大している場合、たとえ下流側空燃比センサの出力値が中央値Vmidよりも小さいときであっても、触媒の酸素吸蔵量OSAは最大酸素吸蔵量Cmaxの近傍ではなく、寧ろ、「0」に近い値にまで減少している。従って、下流側空燃比センサの出力値が比較的迅速に増大している場合(より具体的には、下流側空燃比センサの出力値の変化速度ΔVoxsが正であり且つその絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値よりも大きいとき)、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりリーン側の空燃比である。
それ故、上記構成(A1)によれば、酸素吸蔵量OSAが「0」に到達する前の時点において「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを増大させ始めることができる(図24の時刻t7以降における実線を参照。)。即ち、本発明装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の増量補正を行わないので、多量の未燃物が排出されることを回避することができる。
加えて、前述したように、下流側空燃比センサ(酸素濃度センサ)の出力値Voxsが比較的迅速に減少している場合、たとえ下流側空燃比センサの出力値が中央値Vmidよりも大きいときであっても、触媒の酸素吸蔵量OSAは「0」近傍の量ではなく、寧ろ、最大酸素吸蔵量Cmaxに近い値にまで増大している。従って、下流側空燃比センサの出力値が比較的迅速に減少している場合(より具体的には、下流側空燃比センサの出力値の変化速度ΔVoxsが負であり且つその絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値よりも大きいとき)、触媒流入ガス要求空燃比は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
それ故、上記構成(A2)によれば、酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達する前の時点において「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に設定することができ、それにより酸素吸蔵量OSAを減少させ始めることができる(図24の時刻t3以降における実線を参照。)。即ち、本発明装置は、従来装置のように不必要な燃料噴射量の減量補正を行わないので、多量のNOxが触媒の下流に排出されることを回避することができる。
ところで、前述したように、前記高側閾値は、中央値Vmidと最大出力値Vmaxとの間の値に設定される。例えば、前記高側閾値は、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」であり且つ触媒の酸素吸蔵量OSAが増大している場合であって、「触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの出力値Voxs(上限値Vjogen)又はその上限値Vjogenよりも中央値Vmidに近い値となるように設定される。
触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」又は実質的に「0」である場合(触媒が酸素不足状態である場合)、酸素は触媒の下流に流出しないか(図7を参照。)又は酸素は極めて僅かな量だけ触媒の下流に流出する(図4を参照。)。従って、触媒が酸素不足状態であるとき、出力値Voxsは最大出力値Vmax又は最大出力値Vmax近傍の値となるので、出力値Voxsは前記高側閾値以上となる。
従って、そのような場合(出力値Voxsが前記高側閾値よりも大きい場合)には、「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」に設定しないほうがよい。換言すると、この場合の「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
そこで、前記空燃比制御手段は、更に、
(B)出力値Voxsが前記高側閾値以上である場合、
前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の第2リーン空燃比となるように、機関の空燃比を制御するように構成されている。
これによれば、例えば、触媒過熱防止及び出力確保等のための燃料増量が行われることにより酸素吸蔵量OSAが「0」に達し、その後、増量が不要となった場合において、酸素吸蔵量OSAを速やかに増大させることができる。更に、上記(A1)及び上記(A2)に従った空燃比の制御中において、出力値Voxsが高側閾値以上となった場合にも、酸素吸蔵量OSAを速やかに増大させ、出力値Voxsを高側閾値と低下側閾値との間に戻すことができる。
これに対し、前記低側閾値は、中央値Vmidと最小出力値Vminとの間の値に設定される。例えば、前記低側閾値は、「触媒流入ガスの空燃比」が「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比」であり且つ触媒の酸素吸蔵量OSAが減少している場合であって、「触媒流出ガスの空燃比」が「理論空燃比」であるときの出力値Voxs(下限値Vkagen)又はその下限値Vkagenよりも中央値Vmidに近い値となるように設定される。
触媒の酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmax又は実質的に最大酸素吸蔵量Cmaxである場合(触媒が酸素過剰状態である場合)、酸素が触媒の下流に多量に流出するか(図5を参照。)又は酸素が触媒の下流に少量だけ流出する(図6を参照。)。従って、触媒が酸素過剰状態であるとき、出力値Voxsは最小出力値Vmin又は最小出力値Vmin近傍の値となるので、出力値Voxsは前記低側閾値以下となる。
従って、そのような場合(出力値Voxsが前記低側閾値よりも小さい場合)には、「触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリーン側の空燃比」に設定しないほうがよい。換言すると、この場合の「触媒流入ガス要求空燃比」は理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
そこで、前記空燃比制御手段は、更に、
(C)出力値Voxsが前記低側閾値以下である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の第2リッチ空燃比となるように、機関の空燃比を制御するように構成されている。
これによれば、例えば、フューエルカット運転が行われることにより酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに達し、その後、フューエルカット運転が終了した場合において、酸素吸蔵量OSAを速やかに減少させることができる。更に、上記(A1)及び上記(A2)に従った空燃比の制御中において、出力値Voxsが低側閾値以下となった場合にも、酸素吸蔵量OSAを速やかに減少させ、出力値Voxsを高側閾値と低下側閾値との間に戻すことができる。
このような空燃比制御手段を有する本発明装置は、図8の(A)に示したように、触媒の劣化度が小さい場合、フューエルカット終了直後及び触媒過熱防止増量直後等を除く「通常のフィードバック制御中」、出力値Voxsが高側閾値と低側閾値との間において緩慢に変化するように機関の空燃比を制御することができる。即ち、本発明装置によれば、触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに到達しないように機関の空燃比を制御することができるので、エミッションを良好に維持することができる。
更に、本発明装置は、図8の(B)に示したように、触媒の劣化度が「劣化触媒であると判定すべき劣化度」にまで増大している場合(劣化度が中程度の場合)であっても、通常のフィードバック制御中、出力値Voxsが高側閾値と低側閾値との間において比較的緩慢に変化するように機関の空燃比を制御することができる。即ち、本発明装置によれば、触媒が多少劣化した場合であっても、触媒の酸素吸蔵量OSAが「0」又は最大酸素吸蔵量Cmaxに到達しないように機関の空燃比を制御することができるので、エミッションを良好に維持することができる。
ところで、触媒が更に劣化した場合(即ち、触媒の劣化度が極めて大きくなっていて最大酸素吸蔵量Cmaxが極めて小さくなっている場合)、触媒流入ガスの空燃比の変化は直ちに触媒流出ガスの空燃比の変化となって現れる。このため、例えば、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが正であってその絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値以上となると、上記構成(A1)により、触媒流入ガスの空燃比は第1リーン空燃比に設定され、その直後に、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsは負であってその絶対値が第2変化速度閾値以上となる。従って、上記構成(A2)により、触媒流入ガスの空燃比は直ちに第1リッチ空燃比に設定され、その直後に、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsは正であってその絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値以上となる。これにより、触媒流入ガスの空燃比は再び第1リーン空燃比に設定される。
このように、触媒の劣化度が極めて大きくなると、上述した空燃比のフィードバック制御は破綻し、出力値Voxsは、図8の(C)に示したように、その振幅及び変動周波数が非常に大きくなるように変化する。
このため、触媒劣化度と、出力値Voxsに基づいて算出される「触媒の劣化の程度を表す触媒劣化指標値」と、の関係は、図9の破線に示したように変化する。この触媒劣化指標値は、出力値Voxsの振幅及び変動周波数が大きくなるほど大きくなる値(図9に示した例においては後述する軌跡比、及び、出力値Voxsの軌跡長等)であってもよく、出力値Voxsの振幅及び変動周波数が大きくなるほど小さくなる値(例えば、出力値Voxsの軌跡長の逆数等)であってもよい。
図9において、劣化度が所定値Yよりも大きい触媒は「劣化したと判定すべき触媒(劣化触媒)」であり、劣化度が所定値Yよりも小さい触媒は「劣化していないと判定すべき触媒(非劣化触媒)」である。この図9の破線からも明らかなように、本発明装置によれば、劣化触媒であってもフィードバック制御が破綻しないので(図8の(B)を参照。)、触媒劣化度が所定値Yの近傍において増大しても触媒劣化指標値の増大量は非常に小さい。従って、触媒が劣化しているか否かの判定を触媒劣化指標値と劣化判定基準値R1との比較により行うと、その判定を精度良く行うことが難しい。
そこで、所定の触媒劣化判定実行条件が成立した場合、前記触媒劣化指標値を前記出力値Voxsに基づいて取得するとともに、その取得した触媒劣化指標値に基づいて前記触媒が劣化したか否かを判定する触媒劣化判定手段を、備える本発明装置において、
前記空燃比制御手段は、
前記触媒劣化判定実行条件が成立した場合、
前記第1変化速度閾値を前記触媒劣化判定実行条件が成立していない場合よりも小さい値に設定し、
前記第2変化速度閾値を前記触媒劣化判定実行条件が成立していない場合よりも小さい値に設定し、
前記第1期間における前記触媒流入ガスの空燃比が、前記第1リーン空燃比に代わる「理論空燃比よりもリーン側の所定の第3リーン空燃比であって同第3リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値が前記第1リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値よりも大きい第3リーン空燃比」となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御し、
且つ、
前記第2期間における前記触媒流入ガスの空燃比が、前記第1リッチ空燃比に代わる「理論空燃比よりもリッチ側の所定の第3リッチ空燃比であって同第3リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値が前記第1リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値よりも大きい第3リッチ空燃比」となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する。
これによれば、触媒劣化判定実行条件が成立した場合、出力値Voxsが増大し且つ変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が「通常のフィードバック時における第1変化速度閾値よりも小さい値」以上になったとき、触媒流入ガスが「第1リーン空燃比よりも、よりリーン側の第3リーン空燃比」へと変更される。即ち、触媒流入ガスの空燃比は、触媒劣化判定実行条件が成立していない場合に比べ、より早いタイミングにてより多量の酸素が触媒に供給されるように変更される。
更に、触媒劣化判定実行条件が成立した場合、出力値Voxsが減少し且つ変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が「通常のフィードバック時における第2変化速度閾値よりも小さい値」以上になったとき、触媒流入ガスが「第1リッチ空燃比よりも、よりリッチ側の第3リッチ空燃比」へと変更される。即ち、触媒流入ガスの空燃比は、触媒劣化判定実行条件が成立していない場合に比べ、より早いタイミングにてより多量の未燃物が触媒に供給されるように変更される。
この結果、触媒の劣化度が極めて大きくなくても、触媒の劣化度が所定値Y(触媒が劣化したと判定すべき劣化度)の近傍になったとき、触媒は「触媒流入ガスの空燃比の変化」を充分に吸収することができなく。従って、本発明装置は、触媒劣化判定実行条件が成立した場合、触媒の劣化度が極めて大きくなる前の時点から、触媒流入ガスの空燃比が直ちに触媒流出ガスの変化(即ち、出力値Voxsの変化)となって現れるようにすることができる。換言すると、本発明装置は、触媒劣化判定実行条件が成立した場合、触媒の劣化度が所定値Yの近傍になっているとき、「出力値Voxsを高側閾値と低側閾値との間にて変化させながら、酸素吸蔵量OSAを0よりも大きい値と最大酸素吸蔵量Cmaxよりも小さい値との間にて変化させる上述のフィードバック制御」を破綻させることができる。
これにより、触媒の劣化度が所定値Yの近傍に至ると、出力値Voxsは、図10の(B)に示したように、通常のフィードバック制御において触媒の劣化度が極めて大きくなっている場合と同様(図8の(C)を参照。)、その振幅及び変動周波数が非常に大きくなるように変化する。
よって、本発明装置によれば、触媒劣化判定を実行する際、図9の実線により示したように、触媒の劣化度が所定値Yの近傍に到達するにつれて触媒劣化指標値が急激に変化(増大又は減少)する。従って、本発明装置は、例えば、触媒劣化指標値と劣化判定基準値R2との比較により、触媒が劣化しているか否かの判定を精度良く行うことができる。このように、本発明装置は、通常時(触媒劣化判定時以外)においては触媒が多少劣化してもエミッションを良好に維持することができるとともに、触媒劣化判定時には触媒劣化判定を精度良く行うことができる。
更に、前記空燃比制御手段は、
前記触媒が劣化していると判定された時点以降において、前記第1リッチ空燃比及び前記第2リッチ空燃比の少なくとも一方が、前記触媒が劣化していると判定される前の時点における値よりもより理論空燃比に近い空燃比となり、
前記触媒が劣化していると判定された時点以降において、前記第1リーン空燃比及び前記第2リーン空燃比の少なくとも一方が、前記触媒が劣化していると判定される前の時点における値よりもより理論空燃比に近い空燃比となるように、
前記機関に供給される混合気の空燃比を制御するように構成されることが好適である。
これによれば、触媒が劣化したと判定されたときには、触媒が劣化したと判定される前に比較して、触媒流入ガスの空燃比の「理論空燃比との偏差」が小さくなる。即ち、触媒が劣化したと判定された時点以降、通常のフィードバック制御における空燃比の補正量の大きさが小さくなる。この結果、劣化した触媒にとって過剰な酸素又は過剰な未燃物がその触媒に流入し難くなるから、通常のフィードバック制御が破綻し難くなる。よって、本発明装置は、触媒が劣化した場合においても、エミッションを良好に維持することができる。
更に、前記空燃比制御手段は、
前記第1リーン空燃比が一定値であり、
前記第3リーン空燃比が前記出力値の変化速度の絶対値が大きいほど大きくなる値となり、
前記第1リッチ空燃比が一定値であり、
前記第3リッチ空燃比が前記出力値の変化速度の絶対値が大きいほど小さくなる値となるように、
前記機関に供給される混合気の空燃比を制御することが好ましい。
触媒が劣化するほど(最大酸素吸蔵量Cmaxが小さくなるほど)、触媒流出ガスの空燃比の変化(従って、出力値Voxsの変化)は、触媒流入ガスの空燃比の変化に敏感に追従する。従って、触媒が劣化するほど、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値は大きくなり易い。それ故、上記構成のように、第3リーン空燃比及び第3リッチ空燃比を出力値Voxsの変化速度の絶対値|ΔVoxs|に応じて変化させれば、第3リーン空燃比及び第3リッチ空燃比は、触媒が劣化するほど理論空燃比からの乖離が大きい空燃比となる。この結果、上記構成によれば、触媒が劣化するほど上述した空燃比フィードバック制御が破綻し易くなる。換言すると、触媒の劣化度が「触媒が劣化したと判定すべき劣化度」に近づいたとき、触媒劣化指標値の変化を急激に大きくすることができる。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第1制御装置)を適用した内燃機関の概略図である。 図1に示した上流側空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。 図1に示した下流側空燃比センサの出力電圧と空燃比との関係を示したグラフである。 酸素不足状態にある触媒にリーン空燃比(理論空燃比よりもリーン側の空燃比)のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。 酸素過剰状態にある触媒にリーン空燃比のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。 酸素過剰状態にある触媒にリッチ空燃比(理論空燃比よりもリッチ側の空燃比)のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。 酸素不足状態にある触媒にリッチ空燃比のガスが流入した場合における同触媒の作用を示した概念図である。 第1制御装置によって空燃比をフィードバック制御している場合(触媒劣化判定実行中以外)の下流側空燃比センサの出力値と触媒流入ガスの空燃比とを示したタイムチャートである。 触媒劣化度と、下流側空燃比センサの出力値に基づいて算出される触媒劣化指標値(軌跡比)と、の関係を示したグラフである。 第1制御装置によって空燃比をフィードバック制御している場合(触媒劣化判定実行中)の下流側空燃比センサの出力値と触媒流入ガスの空燃比とを示したタイムチャートである。 第1制御装置によって空燃比をフィードバック制御している場合の下流側空燃比センサの出力値と触媒流入ガスの空燃比とを示したタイムチャートである。 第1制御装置によって空燃比をフィードバック制御している場合の下流側空燃比センサの出力値と触媒流入ガスの空燃比とを示したタイムチャートである。 第1制御装置によって空燃比をフィードバック制御している場合の下流側空燃比センサの出力値と触媒流入ガスの空燃比とを示したタイムチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「触媒状態判定のためのルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「他の触媒状態判定のためのルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「空燃比制御ルーチン」を示した概略フローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「触媒劣化判定ルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「燃料噴射制御ルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「下流側空燃比センサの出力値の変化速度を取得するためのルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「メインフィードバック量算出ルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「メインフィードバック量制限ルーチン」を示したフローチャートである。 第1制御装置のCPUが実行する「サブフィードバック量算出ルーチン」を示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(第2制御装置)のCPUが実行する「サブフィードバック量算出ルーチン」の一部を示したフローチャートである。 従来の空燃比制御装置及び本発明による空燃比制御装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
以下、本発明の各実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る空燃比制御装置(以下、「第1制御装置」とも称呼する。)が適用される内燃機関10の概略構成を示している。機関10は、4サイクル・火花点火式・多気筒(本例において4気筒)・ガソリン燃料機関である。機関10は、本体部20、吸気系統30及び排気系統40を備えている。
本体部20は、シリンダブロック部とシリンダヘッド部とを備えている。本体部20は、ピストン頂面、シリンダ壁面及びシリンダヘッド部の下面からなる複数(4個)の燃焼室(第1気筒#1乃至第4気筒#4)21を備えている。
シリンダヘッド部には、各燃焼室(各気筒)21に「空気及び燃料からなる混合気」を供給するための吸気ポート22と、各燃焼室21から排ガス(既燃ガス)を排出するための排気ポート23と、が形成されている。吸気ポート22は図示しない吸気弁により開閉され、排気ポート23は図示しない排気弁により開閉されるようになっている。
シリンダヘッド部には複数(4個)の点火プラグ24が固定されている。各点火プラグ24は、その火花発生部が各燃焼室21の中央部であってシリンダヘッド部の下面近傍位置に露呈するように配設されている。各点火プラグ24は、点火信号に応答して火花発生部から点火用火花を発生するようになっている。
シリンダヘッド部には更に複数(4個)の燃料噴射弁(インジェクタ)25が固定されている。燃料噴射弁25は、各吸気ポート22に一つずつ(即ち、一つの気筒に対して一つ)設けられている。燃料噴射弁25は、噴射指示信号に応答し、「その噴射指示信号に含まれる指示噴射量の燃料」を対応する吸気ポート22内に噴射するようになっている。
更に、シリンダヘッド部には、吸気弁制御装置26が設けられている。この吸気弁制御装置26は、インテークカムシャフト(図示せず)とインテークカム(図示せず)との相対回転角度(位相角度)を油圧により調整・制御する周知の構成を備えている。吸気弁制御装置26は、指示信号(駆動信号)に基いて作動し、吸気弁の開弁タイミング(吸気弁開弁タイミング)を変更することができるようになっている。
吸気系統30は、インテークマニホールド31、吸気管32、エアフィルタ33、スロットル弁34及びスロットル弁アクチュエータ34aを備えている。
インテークマニホールド31は、各吸気ポート22に接続された複数の枝部と、それらの枝部が集合したサージタンク部と、を備えている。吸気管32の一端はサージタンク部に接続されている。インテークマニホールド31、吸気管32及び複数の吸気ポート22は、吸気通路を構成している。エアフィルタ33は吸気管32の他端に設けられている。スロットル弁34はエアフィルタ33とインテークマニホールド31との間の位置において吸気管32に回動可能に取り付けられている。スロットル弁34は、回動することにより吸気管32が形成する吸気通路の開口断面積を変更するようになっている。スロットル弁アクチュエータ34aは、DCモータからなり、指示信号(駆動信号)に応答してスロットル弁34を回動させるようになっている。
排気系統40は、エキゾーストマニホールド41、エキゾーストパイプ(排気管)42、上流側触媒43及び下流側触媒44を備えている。
エキゾーストマニホールド41は、各排気ポート23に接続された複数の枝部41aと、それらの枝部41aが集合した集合部(排気集合部)41bと、からなっている。エキゾーストパイプ42は、エキゾーストマニホールド41の集合部41bに接続されている。エキゾーストマニホールド41、エキゾーストパイプ42及び複数の排気ポート23は、排ガスが通過する通路を構成している。なお、本明細書において、エキゾーストマニホールド41の集合部41b及びエキゾーストパイプ42により形成される通路を、便宜上、「排気通路」と称呼する。
上流側触媒43は、セラミックからなる担持体に「触媒物質である貴金属」及び「酸素吸蔵材であるセリア(CeO2)」を担持していて、酸素吸蔵・放出機能(酸素吸蔵機能)を有する三元触媒である。上流側触媒43はエキゾーストパイプ42に配設(介装)されている。上流側触媒43は所定の活性温度に到達すると、「未燃物(HC、CO及びH等)と窒素酸化物(NOx)とを同時に浄化する触媒機能」及び「酸素吸蔵機能」を発揮する。上流側触媒43は、スタート・キャタリティック・コンバータ(SC)又は第1触媒とも称呼される。
下流側触媒44は、上流側触媒43と同様の三元触媒である。下流側触媒44は、上流側触媒43よりも下流においてエキゾーストパイプ42に配設(介装)されている。下流側触媒44は、車両のフロア下方に配設されているため、アンダ・フロア・キャタリティック・コンバータ(UFC)又は第2触媒とも称呼される。なお、本明細書において、単に「触媒」と言うとき、その「触媒」は上流側触媒43を意味する。
第1制御装置は、熱線式エアフローメータ51、スロットルポジションセンサ52、機関回転速度センサ53、水温センサ54、上流側空燃比センサ55、下流側空燃比センサ56及びアクセル開度センサ57を備えている。
熱線式エアフローメータ51は、吸気管32内を流れる吸入空気の質量流量を検出し、その質量流量(機関10の単位時間あたりの吸入空気量)Gaを表す信号を出力するようになっている。
スロットルポジションセンサ52は、スロットル弁34の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
機関回転速度センサ53は、インテークカムシャフトが5°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともにインテークカムシャフトが360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。機関回転速度センサ53から出力される信号は後述する電気制御装置60により機関回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、電気制御装置60は、機関回転速度センサ53及び図示しないクランク角センサからの信号に基いて、機関10のクランク角度(絶対クランク角)を取得するようになっている。
水温センサ54は、内燃機関10の冷却水の温度を検出し、冷却水温THWを表す信号を出力するようになっている。
上流側空燃比センサ55は、エキゾーストマニホールド41の集合部41bと上流側触媒43との間の位置においてエキゾーストマニホールド41及びエキゾーストパイプ42の何れか(即ち、排気通路)に配設されている。上流側空燃比センサ55は、例えば、特開平11−72473号公報、特開2000−65782号公報及び特開2004−69547号公報等に開示された「拡散抵抗層を備える限界電流式広域空燃比センサ」である。
上流側空燃比センサ55は、図2に示したように、上流側空燃比センサ55の配設位置を流れる排ガスの空燃比(触媒43に流入するガスである「触媒流入ガス」の空燃比、検出上流側空燃比abyfs)に応じた出力値Vabyfsを出力する。出力値Vabyfsは触媒流入ガスの空燃比が大きくなるほど(即ち、触媒流入ガスの空燃比がリーン側の空燃比になるほど)増大する。
電気制御装置60は、図2に示した空燃比変換テーブル(マップ)Mapabyfsを記憶している。電気制御装置60は、出力値Vabyfsを空燃比変換テーブルMapabyfsに適用することにより、実際の上流側空燃比abyfsを検出する(検出上流側空燃比abyfsを取得する)ようになっている。
再び、図1を参照すると、下流側空燃比センサ56は、上流側触媒43と下流側触媒44との間の位置においてエキゾーストパイプ42(即ち、排気通路)に配設されている。下流側空燃比センサ56は、周知の濃淡電池型の酸素濃度センサ(O2センサ)である。下流側空燃比センサ56は、例えば、固体電解質層と、固体電解質層の外側に形成された排ガス側電極層と、大気室(固体電解質層の内側)に露呈し且つ固体電解室層を挟んで排ガス側電極層と対向するように固体電解質層の内側に形成された大気側電極層と、排ガス側電極層を覆い且つ排ガスが接触する(排ガス中に晒されるように配置される)拡散抵抗層と、を備える。固体電解質層は試験管状であってもよく、板状であってもよい。下流側空燃比センサ56は、下流側空燃比センサ56の配設位置を流れる排ガス(即ち、触媒43から流出するガスである「触媒流出ガス」)の空燃比(下流側空燃比afdown)に応じた出力値Voxsを出力するようになっている。
下流側空燃比センサ56の出力値Voxsは、図3に示したように、触媒流出ガス(被検出ガス)の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比であって、触媒流出ガスの酸化平衡後のガスの酸素分圧が小さいとき最大出力値Vmax(例えば、約0.9〜1.0V)となる。即ち、下流側空燃比センサ56は、触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれていないときに最大出力値Vmaxを出力する。
また、出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比であって、触媒流出ガスの酸化平衡後のガスの酸素分圧が大きいとき最小出力値min(例えば、約0〜0.1V)となる。即ち、下流側空燃比センサ56は触媒流出ガスに過剰の酸素が含まれているとき最小出力値Vminを出力する
更に、この出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の空燃比からリーン側の空燃比へと変化する際に最大出力値Vmaxから最小出力値Vminへと急激に減少する。逆に、出力値Voxsは、触媒流出ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の空燃比からリッチ側の空燃比へと変化する際に最小出力値Vminから最大出力値Vmaxへと急激に増大する。なお、最小出力値Vminと最大出力値Vmaxとの平均値は中央値Vmid(=(Vmax+Vmin)/2)と称呼される。
図1に示したアクセル開度センサ57は、運転者によって操作されるアクセルペダルAPの操作量を検出し、アクセルペダルAPの操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置60は、「CPU、ROM、RAM、バックアップRAM、並びに、ADコンバータを含むインターフェース等」からなる「周知のマイクロコンピュータ」を含む回路である。
電気制御装置60が備えるバックアップRAMは、機関10を搭載した車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチの位置(オフ位置、始動位置及びオン位置等の何れか)に関わらず、車両に搭載されたバッテリから電力の供給を受けるようになっている。バックアップRAMは、バッテリから電力の供給を受けている場合、CPUの指示に応じてデータを格納する(データが書き込まれる)とともに、そのデータを読み出し可能となるように保持(記憶)する。バックアップRAMは、バッテリが車両から取り外される等によりバッテリからの電力供給が遮断されると、データを保持することができない。即ち、それまでに保持していたデータが消失(破壊)される。
電気制御装置60のインターフェースは、前記センサ51〜57と接続され、CPUにセンサ51〜57からの信号を供給するようになっている。更に、そのインターフェースは、CPUの指示に応じて、各気筒の点火プラグ24、各気筒の燃料噴射弁25、吸気弁制御装置26及びスロットル弁アクチュエータ34a等に指示信号(駆動信号)等を送出するようになっている。なお、電気制御装置60は、取得されたアクセルペダルの操作量Accpが大きくなるほどスロットル弁開度TAが大きくなるように、スロットル弁アクチュエータ34aに指示信号を送出するようになっている。
(第1制御装置による触媒状態の判定及び空燃比フィードバック制御の概要)
第1制御装置は、以下のように触媒の状態(酸素吸蔵状態)を判定するとともに、判定された触媒の状態に基づいて触媒流入ガスの空燃比(従って、機関に供給される混合気の空燃比)をフィードバック制御する。この制御において、第1制御装置は、少なくとも下流側空燃比センサ56の出力値Voxs及びその出力値Voxsの変化速度ΔVoxs(出力値Voxsの時間微分値に相当する値、単位時間あたりの出力値Voxsの変化量)を使用する。更に、第1制御装置は、低側閾値VLth、高側閾値VHth、第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thを使用する。
低側閾値VLthは、中央値Vmidと最小出力値Vminとの間の所定値である。
高側閾値VHthは、中央値Vmidと最大出力値Vmaxとの間の所定値である。
第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thは何れも正の所定値である。第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thは、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
<判定1>
(A1)第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間にある場合、出力値Voxsが増大しているときの「その出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が第1変化速度閾値ΔV1th以上となった時点から、出力値Voxsが減少しているときの「その出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が第2変化速度閾値ΔV2th以上となる時点までの期間、触媒43の状態が「酸素過剰状態にはない(リーン否定フラグXNOTlean=1)」と判定する。そして、第1制御装置は、この期間、触媒流入ガスの空燃比がリーン空燃比となるように機関の空燃比を制御する(図11の時刻t2〜t4及び時刻t6〜t8を参照。)。このときのリーン空燃比は便宜上「第1リーン空燃比」とも称呼される。
(A2)第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間にある場合、出力値Voxsが減少しているときの「その出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が第2変化速度閾値ΔV2th以上となった時点から、出力値Voxsが増大しているときの「その出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が第1変化速度閾値ΔV1thとなる時点までの期間、触媒43の状態が「酸素不足状態にはない(リッチ否定フラグXNOTrich=1)」と判定する。そして、第1制御装置は、この期間、触媒流入ガスの空燃比がリッチ空燃比となるように機関の空燃比を制御する(図11の時刻t4〜t6を参照。)。このときのリッチ空燃比は便宜上「第1リッチ空燃比」とも称呼される。
<判定2>
(B)第1制御装置は、出力値Voxsが高側閾値VHth以上である場合、触媒43の状態が酸素不足状態である(リッチフラグXCCROrich=1)と判定し、触媒流入ガスの空燃比がリーン空燃比となるように機関の空燃比を制御する。このときのリーン空燃比は便宜上「第2リーン空燃比」とも称呼される。
(C)第1制御装置は、出力値Voxsが低側閾値VLth以下である場合、触媒43の状態は酸素過剰状態である(リーンフラグXCCROlean=1)と判定し、触媒流入ガスの空燃比がリッチ空燃比となるように機関の空燃比を制御する。このときのリッチ空燃比は便宜上「第2リッチ空燃比」とも称呼される。
(D)第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間にある場合であって、上記(A1)及び上記(A2)により触媒の状態が判定されていないとき、出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さければ触媒は酸素過剰状態であると暫定的に判定する(暫定リーンフラグXZlean=1)。そして、第1制御装置は、触媒流入ガスの空燃比が第1リッチ空燃比又は第2リッチ空燃比となるように機関の空燃比を制御する。なお、このような場合は、例えば、出力値Voxsが低側閾値VLthよりも小さい値から低側閾値VLthよりも大きい値へと変化し、且つ、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1thを超えていない場合に発生する。
(E)第1制御装置は、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間にある場合であって、上記(A1)及び上記(A2)により触媒の状態が判定されていないとき、出力値Voxsが中央値Vmidよりも大きければ触媒は酸素不足状態であると暫定的に判定する(暫定リッチフラグXZrich=1)。そして、第1制御装置は、触媒流入ガスの空燃比が第1リーン空燃比又は第2リーン空燃比となるように機関の空燃比を制御する。なお、このような場合は、例えば、出力値Voxsが高側閾値VHthよりも大きい値から高側閾値VHthよりも小さい値へと変化し、且つ、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2thを超えていない場合に発生する。
これらの制御によれば、例えば、図12に示したように、フューエルカット運転が時刻t2以前において実行されることにより酸素吸蔵量OSAが最大酸素吸蔵量Cmaxに到達し、その後、フューエルカット運転が終了したとき、出力値Voxsは低側閾値VLth以下であるので(図12の時刻t2を参照。)、触媒流入ガスの空燃比はリッチ空燃比(第2リッチ空燃比)に設定される。その後、酸素吸蔵量OSAが減少を開始した後に相当に小さい値になったが「0」には至っていない時点(図12の時刻t5を参照。)にて変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1thを超えるので、触媒流入ガスの空燃比はリーン空燃比(第1リーン空燃比)に設定される。
更に、例えば、図13に示したように、触媒過熱防止のための燃料増量制御が時刻t1以前において実行されることにより酸素吸蔵量OSAが「0」に到達し、その後、燃料増量制御が終了したとき、出力値Voxsは高側閾値VHth以上であるので(図13の時刻t1を参照。)、触媒流入ガスの空燃比はリーン空燃比(第2リーン空燃比)に設定される。その後、酸素吸蔵量OSAが増大を開始した後に相当に大きい値になったが最大酸素吸蔵量Cmaxには至っていない時点(図13の時刻t3を参照。)にて変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2thを超えるので、触媒流入ガスの空燃比がリッチ空燃比(第1リッチ空燃比)に設定される。
なお、第1リーン空燃比及び第2リーン空燃比は、互いに同じ空燃比であってもよく、互いに異なる空燃比であってもよい。更に、これらは、一定値であってもよく、変化する値であってもよい。例えば、第1リーン空燃比は、変化速度ΔVoxsが増大している期間においてその変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど「第1リーン空燃比と理論空燃比との偏差の絶対値」が大きくなり、且つ、変化速度ΔVoxsが減少している期間において一定値となる空燃比であってもよい。第2リーン空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidの差の絶対値が大きいほど「第2リーン空燃比と理論空燃比との偏差の絶対値」が大きくなる値であってもよい。
第1リッチ空燃比と第2リッチ空燃比は、互いに同じ空燃比であってもよく、互いに異なる空燃比であってもよい。更に、これらは、一定値であってもよく、変化する値であってもよい。例えば、第1リッチ空燃比は、変化速度ΔVoxsが減少している期間においてその変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど「第1リッチ空燃比と理論空燃比との偏差の絶対値」が大きくなり、且つ、変化速度ΔVoxsが増大している期間において一定値となる空燃比であってもよい。第2リッチ空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidの差の絶対値が大きいほど「第2リッチ空燃比と理論空燃比との偏差の絶対値」が大きくなる値であってもよい。
(作動)
第1制御装置のCPUは、上述した触媒状態の判定を行うために、図14にフローチャートにより示したルーチンを所定時間が経過する毎に実行するようになっている。なお、以下に述べる下流側空燃比センサ56の出力値Voxs、各フラグ及び触媒流入ガスの空燃比等の変化は図11乃至図13に例示されている。
所定のタイミングになると、CPUは図14のステップ1400から処理を開始してステップ1405に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが高側閾値VHth以上であるか否かを判定する。そして、CPUは、出力値Voxsが高側閾値VHth以上であればステップ1410に進んでリッチフラグXCCROrichの値を「1」に設定し、出力値Voxsが高側閾値VHth未満であればステップ1415に進んでリッチフラグXCCROrichの値を「0」に設定する。なお、ステップ1405及びステップ1410の処理は、上述した判定2の(B)の機能を実現するステップである。
次に、CPUはステップ1420にて、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが低側閾値VLth以下であるか否かを判定する。そして、CPUは、出力値Voxsが低側閾値VLth以下であればステップ1425に進んでリーンフラグXCCROleanの値を「1」に設定し、出力値Voxsが低側閾値VLthよりも大きければステップ1430に進んでリーンフラグXCCROleanの値を「0」に設定する。なお、ステップ1420及びステップ1425の処理は、上述した判定2の(C)の機能を実現するステップである。
次に、CPUはステップ1435に進み、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値であるか否かを判定する。このとき、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値でなければ、CPUはステップ1435にて「No」と判定し、ステップ1495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値であると、CPUはステップ1435にて「Yes」と判定してステップ1440に進み、触媒劣化判定実行条件が成立しているか否かを判定する。
この触媒劣化判定条件は、例えば、以下の総ての判定条件が成立したとき成立する。なお、触媒劣化判定条件は、以下の条件のうちの任意の一つ以上が総て成立したときに成立する条件であってもよい。
判定条件1:今回の機関10の始動後において触媒劣化判定が実行されていない。
判定条件2:機関10の負荷(例えば、充填率KL又は筒内吸入空気量Mc)が所定範囲内である。
判定条件3:機関回転速度NEが所定範囲内である。
判定条件4:冷却水温THWが所定範囲内である。
いま、触媒劣化判定条件が成立していないと仮定する。この場合、CPUはステップ1440にて「No」と判定してステップ1445に進み、第1変化速度閾値ΔV1thに第1通常閾値ΔV1midを設定するとともに、第2変化速度閾値ΔV2thに第2通常閾値ΔV2midを設定する。第1通常閾値ΔV1mid及び第2通常閾値ΔV2midは、触媒の劣化度が「劣化した触媒であると判定すべき劣化度」を超えて極めて大きくなるまで、上述した空燃比のフィードバック制御が破綻しないような正の所定値に予め設定(選択)されている。即ち、第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thを第1通常閾値ΔV1mid及び第2通常閾値ΔV2midにそれぞれ設定すれば、後述する触媒劣化指標値(軌跡比)が図9の破線に示したように変化する。
一方、CPUがステップ1440の処理を行う時点において触媒劣化判定条件が成立していると、CPUはそのステップ1440にて「Yes」と判定してステップ1450に進み、第1変化速度閾値ΔV1thに第1判定用閾値ΔV1smallを設定するとともに、第2変化速度閾値ΔV2thに第2判定用閾値ΔV2smallを設定する。
第1判定用閾値ΔV1smallは第1通常閾値ΔV1midよりも小さい正の所定値である。
第2判定用閾値ΔV2smallは第2通常閾値ΔV2midよりも小さい正の所定値である。
第1判定用閾値ΔV1small及び第2判定用閾値ΔV2smallは、触媒の劣化度が「劣化した触媒であると判定すべき触媒の劣化度」の近傍となったとき、上述した空燃比のフィードバック制御が破綻し始めるような値に予め設定(選択)されている。即ち、第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thを第1判定用閾値ΔV1small及び第2判定用閾値ΔV2smallにそれぞれ設定すれば、後述する触媒劣化指標値(軌跡比)が図9の実線に示したように変化する。
次に、CPUはステップ1455に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが「0」以上であるか否かを判定する。即ち、CPUは出力値Voxsが増大しているか否かを判定する。変化速度ΔVoxsは、微小な所定時間tsが経過する毎に、「その所定時間tsが経過した時点における出力値Voxs(今回出力値Voxs)」から「その所定時間tsが経過する前の出力値Voxs(前回出力値Voxsold)」を減じることにより別途算出されている(図19を参照。)。
このとき、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが「0」以上であると、CPUはステップ1460に進んで「出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が上述したステップ1445又はステップ1450にて設定した第1変化速度閾値ΔV1th以上であるか否かを判定する。
そして、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th以上であれば、CPUはステップ1460にて「Yes」と判定し、ステップ1465に進んでリーン否定フラグXNOTleanの値を「1」に設定するとともに、ステップ1470に進んでリッチ否定フラグXNOTrichの値を「0」に設定する。
一方、CPUがステップ1460の処理を行う時点において、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第1変化速度閾値ΔV1th未満であれば、CPUはそのステップ1460にて「No」と判定し、ステップ1495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUがステップ1455の処理を行う時点において、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxsが「0」未満あると(即ち、出力値Voxsが減少していると)、CPUはステップ1475に進んで「出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|」が上述したステップ1445又はステップ1450にて設定した第2変化速度閾値ΔV2th以上であるか否かを判定する。
そして、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th以上であれば、CPUはステップ1475にて「Yes」と判定し、ステップ1480に進んでリーン否定フラグXNOTleanの値を「0」に設定するとともに、ステップ1485に進んでリッチ否定フラグXNOTrichの値を「1」に設定する。
他方、CPUがステップ1475の処理を行う時点において、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が第2変化速度閾値ΔV2th未満であれば、CPUはそのステップ1475にて「No」と判定し、ステップ1495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1435乃至ステップ1485の処理は、上述した判定1の(A1)及び(A2)の機能を実現するステップである。
更に、CPUは、所定時間が経過する毎に図15にフローチャートにより示したルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図15のステップ1500から処理を開始してステップ1505に進み、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値であるか否かを判定する。このとき、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値でなければ、CPUはそのステップ1505にて「No」と判定し、ステップ1595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ1505の処理を行う時点において、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値であると、CPUは、そのステップ1505にて「Yes」と判定してステップ1510に進み、リッチフラグXCCROrich、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及びリーン否定フラグXNOTleanの総てが「0」であるか否かを判定する。即ち、CPUは、出力値Voxsが低側閾値VLthと高側閾値VHthとの間の値であって、且つ、触媒状態が判定されていない状態であるか否かを判定する。
このとき、リッチフラグXCCROrich、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及びリーン否定フラグXNOTleanの総てが「0」であると、CPUはステップ1510にて「Yes」と判定してステップ1515に進み、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが中央値Vmid以上であるか否かを判定する。そして、出力値Voxsが中央値Vmid以上であると、CPUはステップ1520に進んで暫定リッチフラグXZrichの値を「1」に設定するとともに、ステップ1525にて暫定リーンフラグXZleanの値を「0」に設定する。
一方、CPUがステップ1515の処理を行う時点において、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsが中央値Vmidよりも小さいと、CPUはステップ1530に進んで暫定リッチフラグXZrichの値を「0」に設定するとともに、ステップ1535にて暫定リーンフラグXZleanの値を「1」に設定する。
更に、CPUがステップ1510の処理を実行する時点において、リッチフラグXCCROrich、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及びリーン否定フラグXNOTleanの何れかが「1」であると、CPUはステップ1540に進んで進んで暫定リッチフラグXZrichの値を「0」に設定するとともに、ステップ1545にて暫定リーンフラグXZleanの値を「0」に設定する。なお、図15のルーチンは、上述した判定2の(D)及び(E)の機能を実現するステップである。
加えて、CPUは、所定時間が経過する毎に図16にフローチャートにより示した「空燃比制御ルーチン」を実行するようになっている。なお、実際には、CPUは、図18〜図22に示したルーチンを実行することにより、図16に示したルーチンの機能を実現する。
所定のタイミングになると、CPUは図16のステップ1600から処理を開始してステップ1610に進み、現時点において触媒劣化判定実行条件が成立しているか否かを判定する。
そして、触媒劣化判定実行条件が成立していなければ、CPUはステップ1620に進み、各フラグの値に応じて以下に述べるように機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)を制御する。
(1)リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」のとき、CPUは機関の空燃比を第1リーン空燃比(一定の空燃比)に制御する。
(2)リッチフラグXCCROrich及び暫定リッチフラグXZrichの値のうちの一方が「1」であるとき、CPUは機関の空燃比を第2リーン空燃比(一定の空燃比)に制御する。
(3)リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」のとき、CPUは機関の空燃比を第1リッチ空燃比(一定の空燃比)に制御する。
(4)リーンフラグXCCROlean及び暫定リーンフラグXZleanの値のうちの一方が「1」であるとき、CPUは機関の空燃比を第2リッチ空燃比(一定の空燃比)に制御する。
第1リーン空燃比と第2リーン空燃比とは相違していても一致していてもよい。第1リーン空燃比及び第2リーン空燃比は可変であってもよい。例えば、第1リーン空燃比は、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど、より理論空燃比から離れたリーン空燃比であってもよい。第2リーン空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidとの差の大きさに比例したリーン空燃比であってもよい。
第1リッチ空燃比と第2リッチ空燃比とは相違していても一致していてもよい。第1リッチ空燃比及び第2リッチ空燃比は可変であってもよい。例えば、第1リッチ空燃比は、出力値Voxsの変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど、より理論空燃比から離れたリッチ空燃比であってもよい。第2リッチ空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidとの差の大きさに比例したリッチ空燃比であってもよい。
これに対し、CPUがステップ1610の処理を実行する時点において、触媒劣化判定実行条件が成立してると、CPUはステップ1630に進み、各フラグの値に応じて以下に述べるように機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)を制御する。
(5)リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」のとき、CPUは機関の空燃比を第3リーン空燃比に制御する。第3リーン空燃比は、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど理論空燃比との差が大きくなるリーン空燃比である。第3リーン空燃比は、「第3リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値」が「第1リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値」よりも大きいリーン空燃比となるように設定される。なお、第3リーン空燃比は一定の空燃比であってもよい。
(6)リッチフラグXCCROrich及び暫定リッチフラグXZrichの値のうちの一方が「1」であるとき、CPUは機関の空燃比を第4リーン空燃比に制御する。第4リーン空燃比は第2リーン空燃比以上のリーン空燃比である。即ち、第4リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値は、第2リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値以上である。第4リーン空燃比は一定の空燃比である。第4リーン空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidとの差の大きさに比例して変化するリーン空燃比であってもよい。なお、本例において、第4リーン空燃比と第2リーン空燃比は同じ空燃比である。
(7)リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」のとき、CPUは機関の空燃比を第3リッチ空燃比に制御する。第3リッチ空燃比は、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど理論空燃比との差が大きくなるリッチ空燃比である。第3リッチ空燃比は、「3リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値」が「第1リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値」よりも大きいリッチ空燃比となるように設定される。なお、第3リッチ空燃比は一定の空燃比であってもよい。
(8)リーンフラグXCCROlean及び暫定リーンフラグXZleanの値のうちの一方が「1」であるとき、CPUは機関の空燃比を第4リッチ空燃比に制御する。第4リッチ空燃比は第2リッチ空燃比以下のリッチ空燃比である。即ち、第4リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値は、第2リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値以上である。第4リッチ空燃比は一定の空燃比である。第4リッチ空燃比は、出力値Voxsと中央値Vmidとの差の大きさに比例して変化するリッチ空燃比であってもよい。なお、本例において、第4リッチ空燃比と第2リッチ空燃比は同じ空燃比である。
更に、CPUは、所定時間tsが経過する毎に図17にフローチャートにより示した「触媒劣化判定ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図17のステップ1700から処理を開始してステップ1705に進み、上述した触媒劣化判定実行条件が成立しているか否かを判定する。
このとき、触媒劣化判定実行条件が成立していなければ、CPUはステップ1705にて「No」と判定し、ステップ1795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1705の処理を実行する時点において、触媒劣化判定実行条件が成立していると、CPUはそのステップ1705にて「Yes」と判定してステップ1710に進み、触媒劣化判定条件が成立している状態が所定時間以上経過したか否かを判定する。
現時点において、触媒劣化判定条件が成立している状態が所定時間以上経過していなければ、CPUはステップ1710にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1715乃至ステップ1745の処理を順に行い、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1715:CPUは、現時点の下流側空燃比センサ56の出力値Voxsと前回の出力値Voxsoldsとの差の絶対値を、単位時間内軌跡長dVoxsとして求める。ここで、前回の出力値Voxsoldsは、本ルーチンを前回実行したときの(即ち、所定時間ts前の時点の)出力値Voxsである。なお、前回の出力値Voxsoldsは触媒劣化判定実行条件が不成立であるとき中央値Vmidに設定される。
ステップ1720:CPUは、現時点の出力値Voxsを前回の出力値Voxsoldsとして格納する。
ステップ1725:CPUは、現時点における下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsに、上記ステップ1715にて求めた単位時間内軌跡長dVoxsを加えることにより、下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsを更新する。なお、下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsは触媒劣化判定実行条件が不成立であるとき「0」に設定される。
ステップ1730:CPUは、上流側空燃比センサ55の出力値Vabyfsを図2に示したテーブルMapabyfsに適用することにより、検出上流側空燃比abyfsを取得する。
ステップ1735:CPUは、ステップ1730にて取得された現時点の検出上流側空燃比abyfsと前回の検出上流側空燃比abyfsoldとの差の絶対値を、単位時間内軌跡長dabyfsとして求める。ここで、前回の検出上流側空燃比abyfsoldは、本ルーチンを前回実行したときの(即ち、所定時間ts前の時点の)検出上流側空燃比abyfsoldである。なお、前回の検出上流側空燃比abyfsoldは触媒劣化判定実行条件が不成立であるとき理論空燃比に対応した値に設定される。
ステップ1740:CPUは、現時点の検出上流側空燃比abyfsを前回の検出上流側空燃比abyfsoldとして格納する。
ステップ1745:CPUは、現時点における上流側空燃比センサ出力値軌跡長(検出
上流側空燃比軌跡長)Labyfsに、上記ステップ1735にて求めた単位時間内軌跡長dabyfsを加えることにより、上流側空燃比センサ出力値軌跡長Labyfsを更新する。なお、上流側空燃比センサ出力値軌跡長Labyfsは触媒劣化判定実行条件が不成立であるとき「0」に設定される。
その後、触媒劣化判定実行条件が成立し続けると、触媒劣化判定実行条件が成立してからの経過時間が所定時間を超える。このとき、CPUがステップ1710の処理を実行すると、CPUはそのステップ1710にて「Yes」と判定してステップ1750に進み、下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsを上流側空燃比センサ出力値軌跡長Labyfsにより除した値(触媒劣化指標値LVoxs/Labyfsであり、軌跡比とも称呼される。)が、劣化判定基準値Rth以上であるか否かを判定する。
このとき、触媒劣化指標値LVoxs/Labyfsが劣化判定基準値Rth以上であると、CPUは触媒43が劣化していると判定し、ステップ1755に進んで触媒劣化検出フラグXrekkaの値を「1」に設定する。この触媒劣化検出フラグXrekkaの値は、バックアップRAMに格納される。その後、CPUはステップ1760にて触媒劣化判定実行フラグXHJの値を「1」に設定し、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ1750の処理を行う時点において、触媒劣化指標値LVoxs/Labyfsが劣化判定基準値Rthより小さいと、CPUは触媒43が劣化していないと判定する。そして、CPUはステップ1750からステップ1760へと直接進み、その後、ステップ1795に進んで本ルーチンを一旦終了する。第1制御装置は、以上のようにして触媒劣化判定を行う。
なお、本例において、触媒劣化指標値は、下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsを上流側空燃比センサ出力値軌跡長Labyfsにより除した値(軌跡比)であったが、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの振幅及び変動周波数が大きくなるほど大きくなる値、或いは、下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの振幅及び変動周波数が大きくなるほど小さくなる値であれば、特に限定されない。このような触媒劣化指標値としては、以下のような値が例示される。
・下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxs
・下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの周波数
・下流側空燃比センサ56の出力値Voxsと中央値Vmidとにより囲まれる面積
・下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsの逆数
・下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの反転周期
・下流側空燃比センサ56の出力値Voxsと中央値Vmidとにより囲まれる面積の逆数
・上流側空燃比センサ出力値軌跡長Labyfsを下流側空燃比センサ出力値軌跡長LVoxsにより除した値
(実際の詳細な作動)
次に、CPUの実際の詳細な作動について説明する。
<燃料噴射制御>
CPUは、図18にフローチャートにより示した最終燃料噴射量Fiの計算及び噴射指示を行うルーチンを、各気筒のクランク角が各気筒の吸気上死点前の所定クランク角度(例えば、BTDC90°CA)となる毎に、繰り返し実行するようになっている。従って、任意の気筒のクランク角度が上記所定クランク角度になると、CPUはステップ1800から処理を開始し、以下に述べるステップ1810乃至1860の処理を順に行ってステップ1895に進む。
ステップ1810:CPUは、テーブルMapMc(Ga,NE)に基づいて「今回の吸気行程を迎える気筒」に吸入される筒内吸入空気量Mc(k)を取得(推定・決定)する。今回の吸気行程を迎える気筒は「燃料噴射気筒」とも称呼される。Gaは、エアフローメータ51が計測している吸入空気量である。NEは、別途求められている機関回転速度である。筒内吸入空気量Mc(k)は、各気筒の吸気行程に対応されながらRAMに記憶されていく。なお、CPUは周知の「空気モデル」を用いて筒内吸入空気量Mc(k)を推定してもよい。
ステップ1820:CPUは、筒内吸入空気量Mc(k)を上流側目標空燃比abyfrで除することにより、機関の空燃比を上流側目標空燃比abyfrに一致させるための基本燃料噴射量Fbaseを求める。この場合、上流側目標空燃比abyfrは、理論空燃比stoich(本例においては14.7)に設定されている。従って、基本燃料噴射量Fbaseは機関の空燃比を理論空燃比に一致させるためのフィードフォワード量となる。
ステップ1830:CPUは、基本燃料噴射量Fbaseを、メインフィードバック量DFmain及びサブフィードバック量KFsubに基づいて補正することにより、最終燃料噴射量(指示噴射量)Fiを算出する。即ち、CPUは、基本燃料噴射量Fbaseにサブフィードバック量KFsubを乗じて得られる値にメインフィードバック量DFmainを加えることによって最終燃料噴射量Fiを求める。なお、メインフィードバック量DFmain及びサブフィードバック量KFsubは、基本燃料噴射量Fbaseを補正する補正量であるので、それぞれ単独で又は両者を合わせて「空燃比補正量」とも称呼される。
ステップ1840:CPUはフューエルカット(燃料供給遮断)条件が成立しているか否かを判定する。フューエルカット条件(FC条件)は、例えば、アクセルペダル操作量Accp又はスロットル弁開度TAが「0」であり、且つ、機関回転速度NEがフューエルカット回転速度NEFC以上であるときに成立する。更に、フューエルカット条件は、フューエルカット中(フューエルカット条件成立中)においてアクセルペダル操作量Accp又はスロットル弁開度TAが「0」でなくなるか、若しくは、機関回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEFK以下となったときに不成立となる。フューエルカット復帰回転速度NEFKは、フューエルカット回転速度NEFCよりも小さい。
CPUは、フューエルカット条件が成立しているとき、ステップ1840にて「Yes」と判定してステップ1850に進み、最終燃料噴射量Fiを「0」に設定してからステップ1860に進む。これに対し、フューエルカット条件が不成立であるとき、CPUはステップ1840にて「No」と判定してステップ1860に直接進む。
ステップ1860:CPUは、最終燃料噴射量(指示噴射量)Fiの燃料が燃料噴射気筒に対する燃料噴射弁25から噴射されるように、その燃料噴射弁25に対して噴射指示を行う。従って、フューエルカット条件が成立しているとき最終燃料噴射量Fiは「0」であるから、燃料噴射は実行されない。
<下流側空燃比センサの出力値の変化速度ΔVoxsの取得>
CPUは、所定時間tsが経過する毎に図19にフローチャートにより示した「下流側空燃比センサ出力値変化速度取得ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図19のステップ1900から処理を開始してステップ1910に進み、「現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxs」から「所定時間ts前の出力値Voxsである前回出力値Voxsold」を減じた値を「下流側空燃比センサ56の出力値Voxsの変化速度ΔVoxs」として取得する。
次に、CPUはステップ1920に進み、現時点における下流側空燃比センサ56の出力値Voxsを前回出力値Voxsoldとして記憶する。その後、CPUはステップ1995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
<メインフィードバック量の算出>
CPUは、所定時間が経過する毎に図20にフローチャートにより示した「メインフィードバック量算出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図20のステップ2000から処理を開始してステップ2005に進み、「メインフィードバック制御条件(上流側空燃比フィードバック制御条件)」が成立しているか否かを判定する。
メインフィードバック制御条件は以下の総ての条件が成立したときに成立する。
(A−1)上流側空燃比センサ55が活性化している。
(A−2)機関の負荷(負荷率)KLが閾値KLth以下である。
(A−3)フューエルカット中でない。
なお、負荷率KLは、KL=(Mc(k)/(ρ・L/4))・100%なる式により求められる。この式において、Mc(k)は筒内吸入空気量であり、ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは機関10の排気量(単位は(l))、「4」は機関10の気筒数である。なお、機関の負荷として、負荷率KLに代え、アクセルペダル操作量Accpが用いられても良い。
いま、メインフィードバック制御条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ2005にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ2010乃至ステップ2035の処理を順に行い、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ2010:CPUは、上流側空燃比センサ55の出力値Vabyfsを図2に示したテーブルMapabyfsに適用することにより、検出上流側空燃比abyfsを取得する。
ステップ2015:CPUは、「現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室21に実際に供給された燃料の量」である「筒内燃料供給量Fc(k−N)」を求める。即ち、CPUは、「現時点よりもNサイクル(即ち、N・720°クランク角)前の時点における筒内吸入空気量Mc(k−N)」を「検出上流側空燃比abyfs」にて除すことにより、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求める。このように、筒内燃料供給量Fc(k−N)を求めるために、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を検出上流側空燃比abyfsで除すのは、「燃焼室21内での混合気の燃焼により生成された排ガス」が上流側空燃比センサ55に到達するまでに「Nストロークに相当する時間」を要しているからである。
ステップ2020:CPUは、CPUは、現時点からNストローク前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を上流側目標空燃比abyfr(本例において、理論空燃比)で除すことにより、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を求める。目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)は、現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室21に供給されるべきであった燃料の量である。
ステップ2025:CPUは、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減じることにより、筒内燃料供給量偏差DFcを求める。この筒内燃料供給量偏差DFcは、Nストローク前の時点で筒内に供給された燃料の過不足分を表す量となる。
ステップ2030:CPUは、筒内燃料供給量偏差DFcに予め設定された比例ゲインGpを乗じることにより、メインフィードバック量DFmainを求める。これにより、検出上流側空燃比abyfsを上流側目標空燃比abyfrに一致させるための「メインフィードバック量DFmain」が算出される。
ステップ2035:CPUは、図21に示したルーチンを実行することによって、メインフィードバック量DFmainを「触媒流入ガス要求空燃比」に応じて補正(制限)する。図21に示したルーチンについては後述する。
以上により、メインフィードバック量DFmainが求められ、このメインフィードバック量DFmainが前述した図18のステップ1830の処理により最終燃料噴射量Fiに反映される。なお、CPUは、「筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFcに積分ゲインGiを乗じた積分項Gi・SDFc」を「上記比例項であるGp・DFc」に加えることにより、メインフィードバック量DFmainを求めてもよい。
一方、図20のステップ2005の判定時において、メインフィードバック制御条件が不成立であると、CPUはそのステップ2005にて「No」と判定してステップ2040に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了する。このように、メインフィードバック制御条件が不成立であるとき、メインフィードバック量DFmainは「0」に設定される。従って、基本燃料噴射量Fbaseのメインフィードバック量DFmainによる補正は行われない。
<メインフィードバック量の制限>
更に、前述したように、CPUは、図20のステップ2035に進んだとき、図21にフローチャートにより示した「メインフィードバック量制限(補正)ルーチン」を実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは図21のステップ2100から処理を開始してステップ2110に進み、メインフィードバック量DFmainが正であるか否かを判定する。即ち、CPUは、ステップ2110にて「メインフィードバック量DFmainが、基本燃料噴射量Fbaseを増量補正する値(「機関の空燃比と等しい触媒流入ガスの空燃比」を「理論空燃比よりもリッチ側の空燃比へと補正しようとする値」)」であるか否かを判定する。
このとき、メインフィードバック量DFmainの値が正であると(即ち、メインフィードバック量DFmainが触媒流入ガスの空燃比をリッチ空燃比に移行させようとする値であると)、CPUはステップ2110にて「Yes」と判定してステップ2120に進み、リッチフラグXCCROrich、リーン否定フラグXNOTlean及び暫定リッチフラグXZrichのうちの少なくとも一つが「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2120にて、触媒43の状態が「酸素不足状態」及び「酸素過剰状態でない状態」の何れかであって、触媒流入ガス要求空燃比がリーン空燃比であるか否かを判定する。
このとき、リッチフラグXCCROrich、リーン否定フラグXNOTlean及び暫定リッチフラグXZrichのうちの少なくとも一つが「1」であると、CPUはステップ2120にて「Yes」と判定してステップ2130に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainが、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比(この場合、リーン空燃比)」とは異なる空燃比(リッチ空燃比)に補正することがないように制限(補正)される。
なお、CPUはステップ2130にて、メインフィードバック量DFmainに「1」より小さい正の係数を乗じた値を最終的なメインフィードバック量DFmainとして設定してもよい。即ち、CPUはステップ2130にてメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくしてもよい。
これに対し、CPUがステップ2120に進んだとき、リッチフラグXCCROrich、リーン否定フラグXNOTlean及び暫定リッチフラグXZrichの総てが「0」であると、CPUはステップ2120にて「No」と判定し、ステップ2195に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、CPUがステップ2110に進んだとき、メインフィードバック量DFmainの値が負(又は0)であると(即ち、メインフィードバック量DFmainが触媒流入ガスの空燃比をリーン空燃比に移行させようとする値であると)、CPUはステップ2110にて「No」と判定してステップ2140に進み、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及び暫定リーンフラグXZleanのうちの少なくとも一つが「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2140にて、触媒43の状態が「酸素過剰状態」及び「酸素不足状態でない状態」の何れかであって、触媒流入ガス要求空燃比がリッチ空燃比であるか否かを判定する。
このとき、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及び暫定リーンフラグXZleanのうちの少なくとも一つが「1」であると、CPUはステップ2140にて「Yes」と判定してステップ2150に進み、メインフィードバック量DFmainの値を「0」に設定する。これにより、メインフィードバック量DFmainが、触媒流入ガスの空燃比を「触媒流入ガス要求空燃比(この場合、リッチ空燃比)」とは異なる空燃比(リーン空燃比)に補正することがないように制限(補正)される。
なお、CPUはステップ2150にて、メインフィードバック量DFmainに「1」より小さい正の係数を乗じた値を最終的なメインフィードバック量DFmainとして設定してもよい。即ち、CPUはステップ2150にてメインフィードバック量DFmainの大きさを小さくしてもよい。
これに対し、CPUがステップ2140に進んだとき、リーンフラグXCCROlean、リッチ否定フラグXNOTrich及び暫定リーンフラグXZleanの総てが「0」であると、CPUはステップ2140にて「No」と判定し、ステップ2195に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
<サブフィードバック量の算出>
CPUは、所定時間が経過する毎に図22にフローチャートにより示した「サブフィードバック量算出ルーチン」を実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは図22のステップ2200から処理を開始してステップ2205に進み、「サブフィードバック制御条件(下流側空燃比フィードバック制御条件)」が成立しているか否かを判定する。
サブフィードバック制御条件は以下の総ての条件が成立したときに成立する。
(B−1)メインフィードバック制御条件が成立している。
(B−2)下流側空燃比センサ56が活性化している。
(B−3)上流側目標空燃比abyfrが理論空燃比stoichに設定されている。
いま、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定し、更に、触媒劣化判定実行条件は成立していないと仮定して説明を続ける。この場合、CPUはステップ2205にて「Yes」と判定してステップ2210に進み、リッチフラグXCCROrich及び暫定リッチフラグXZrichのうちの少なくとも一つが「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2210にて、触媒43の状態が「酸素不足状態」であって、触媒流入ガス要求空燃比がリーン空燃比であるか否かを判定する。
このとき、リッチフラグXCCROrich及び暫定リッチフラグXZrichの両者が「0」であると、CPUはステップ2210にて「No」と判定し、ステップ2220に直接進む。
これに対し、リッチフラグXCCROrich及び暫定リッチフラグXZrichのうちの少なくとも一つが「1」であると、CPUはステップ2210にて「Yes」と判定してステップ2215に進み、サブフィードバック量KFsubの値を所定値A2に設定する。この所定値A2は、「0」よりも大きく「1」よりも小さい一定値であり、第2リーン空燃比(本例において、第4リーン空燃比と等しい。)に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2220に進む。
CPUはステップ2220にてリーン否定フラグXNOTleanの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、リーン否定フラグXNOTleanの値が「0」であると、CPUはステップ2220にて「No」と判定し、ステップ2240に直接進む。
これに対し、リーン否定フラグXNOTleanの値が「1」であると、CPUはステップ2220にて「Yes」と判定してステップ2225に進み、触媒劣化判定実行条件が成立しているか否かを判定する。上記仮定に従えば、触媒劣化判定実行条件は成立していない。従って、CPUはステップ2225にて「No」と判定し、ステップ2230に進んでサブフィードバック量KFsubの値を所定値A1に設定する。この所定値A1は、「0」よりも大きく「1」よりも小さい一定値であり、第1リーン空燃比に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2240に進む。なお、所定値A1と所定値A2とは等しい値であってもよい。
CPUはステップ2240において、リーンフラグXCCROlean及び暫定リーンフラグXZleanのうちの少なくとも一つが「1」であるか否かを判定する。換言すると、CPUはステップ2240にて、触媒43の状態が「酸素過剰状態」であって、触媒流入ガス要求空燃比がリッチ空燃比であるか否かを判定する。
このとき、リーンフラグXCCROlean及び暫定リーンフラグXZleanの両者が「0」であると、CPUはステップ2240にて「No」と判定し、ステップ2250に直接進む。
これに対し、リーンフラグXCCROlean及び暫定リーンフラグXZleanのうちの少なくとも一つが「1」であると、CPUはステップ2240にて「Yes」と判定してステップ2245に進み、サブフィードバック量KFsubの値を所定値B2に設定する。この所定値B2は、「1」よりも大きい一定値であり、第2リッチ空燃比(本例において、第4リッチ空燃比と等しい。)に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2250に進む。
CPUはステップ2250にてリッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」であるか否かを判定する。このとき、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「0」であると、CPUはステップ2250にて「No」と判定し、ステップ2295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、リッチ否定フラグXNOTrichの値が「1」であると、CPUはステップ2250にて「Yes」と判定してステップ2255に進み、触媒劣化判定実行条件が成立しているか否かを判定する。上記仮定に従えば、触媒劣化判定実行条件は成立していない。従って、CPUはステップ2255にて「No」と判定し、ステップ2260に進んでサブフィードバック量KFsubの値を所定値B1に設定する。この所定値B1は、「1」よりも大きい一定値であり、第1リッチ空燃比に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、所定値B1と所定値B2とは等しい値であってもよい。
このようにして求められたサブフィードバック量KFsubは、前述した図18のステップ1830の処理により、理論空燃比を得るための基本燃料噴射量Fbaseに乗じられる。従って、サブフィードバック量KFsubが「1」より大きいとき、機関の空燃比(従って、触媒流入ガスの空燃比)は「サブフィードバック量KFsubが大きいほどより理論空燃比との差の大きさが大きいリッチ空燃比」に制御される。また、サブフィードバック量KFsubが「1」より小さいとき、機関の空燃比は「サブフィードバック量KFsubが小さいほどより理論空燃比との差の大きさが大きいリーン空燃比」に制御される。
次に、サブフィードバック制御条件が成立していると仮定し、更に、触媒劣化判定実行条件が成立していると仮定して説明を続ける。この場合、CPUは、以下に述べる処理を除き、サブフィードバック制御条件が成立して且つ触媒劣化判定実行条件が成立していない場合と同じ処理を行う。
即ち、CPUはステップ2225に進んだとき、そのステップ2225にて「Yes」と判定してステップ2235に進み、サブフィードバック量KFsubに「変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|に正の微分ゲイン(正の定数)を乗じた値を、「1」から減算して得られる値(1−kd・|ΔVoxs|)」を設定する。
但し、値(1−kd・|ΔVoxs|)は、「0」よりも大きく所定値A1よりも小さくなるように制限される。値(1−kd・|ΔVoxs|)は、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど小さくなる。従って、ステップ2235にて設定されるサブフィードバック量KFsubによれば、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きくなるほど、基本燃料噴射量Fbaseは大きく減少補正されるので、機関の空燃比は「よりリーンな空燃比(理論空燃比との差の大きさがより大きい空燃比)」へと補正される。この値(1−kd・|ΔVoxs|)は、第3リーン空燃比に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2240に進む。
更に、CPUはステップ2255に進んだとき、そのステップ2255にて「Yes」と判定してステップ2265に進み、サブフィードバック量KFsubに「変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|に正の微分ゲイン(正の定数)を乗じた値を「1」に加算して得られる値(1+kd・|ΔVoxs|)」を設定する。
但し、値(1+kd・|ΔVoxs|)は、所定値B1よりも大きくなるように制限される。値(1+kd・|ΔVoxs|)は、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きいほど大きくなる。従って、ステップ2265にて設定されるサブフィードバック量KFsubによれば、変化速度ΔVoxsの絶対値|ΔVoxs|が大きくなるほど、基本燃料噴射量Fbaseは大きく増大補正されるので、機関の空燃比は「よりリッチな空燃比(理論空燃比との差の大きさがより大きいリッチ空燃比)」へと補正される。この値(1+kd・|ΔVoxs|)は、第3リッチ空燃比に相当する空燃比を実現する値である。その後、CPUはステップ2295に進んで、本ルーチンを一旦終了する。
このようにして求められたサブフィードバック量KFsubは、前述した図18のステップ1830の処理により、理論空燃比を得るための基本燃料噴射量Fbaseに乗じられる。。
一方、CPUがステップ2205の処理を行う時点において、サブフィードバック制御条件が成立していない場合、CPUはそのステップ2205にて「No」と判定してステップ2260に進み、サブフィードバック量KFsubを「1.0」に設定する。その後、CPUはステップ2295に進んで本ルーチンを一旦終了する。この結果、サブフィードバック制御条件が成立していないとき、基本燃料噴射量Fbaseはサブフィードバック量KFsubによって補正されない。

以上、説明したように、第1制御装置は、触媒劣化判定実行条件が成立している場合における第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thを、触媒劣化判定実行条件が成立していない場合における第1変化速度閾値ΔV1th及び第2変化速度閾値ΔV2thのそれぞれより、小さい値に設定する(図14のステップ1440乃至ステップ1445を参照。)。
更に、第1制御装置は、第3リーン空燃比及び第3リッチ空燃比を、第1リーン空燃比及び第1リッチ空燃比のそれぞれよりも、理論空燃比との差の大きさが大きい値となるように設定する(図16のステップ1630、図22のステップ2245及びステップ2265等を参照。)。
この結果、第1制御装置は、触媒劣化判定時において、触媒43の劣化の程度が「劣化していると判定すべき触媒の劣化の程度」に近づいていれば、触媒劣化指標値が触媒の劣化度が進むにつれてより大きく変化するように機関の空燃比を制御することができる。従って、触媒劣化判定をより精度よく実行することができる。
なお、CPUは、図14のステップ1415及び/又はステップ1430において、リーン否定フラグXNOTlean及びリッチフラグの値を「0」に設定してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の空燃比制御装置(以下、「第2制御装置」とも称呼する。)について説明する。第2制御装置は、触媒43が劣化していると判定された時点以降において、サブフィードバック量KFsub(空燃比補正量)による空燃比補正幅の大きさ(実際には、「1」とサブフィードバック量KFsubとの差の絶対値)を、触媒43が劣化していると判定されていない場合よりも小さくする点のみにおいて、第1制御装置と相違している。従って、以下、この相違点を中心として説明を加える。
第2制御装置のCPUは、第1制御装置のCPUが実行するルーチン(図22に示したルーチンを除く、図14、図15、図17〜図21に示したルーチン)と、図22のルーチンに図23に記載のステップを追加した「サブフィードバック量算出ルーチン」と、を所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、以下、このサブフィードバック量算出ルーチンにおける第1制御装置との相違点を中心として説明する。
CPUは図22のステップ2260又はステップ2265の処理の後、図23のステップ2310に進む(図中円内の1」を参照。)そして、CPUは触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」であるか否かを判定する。即ち、CPUは、触媒43が劣化していると判定されているか否かを判定する。
このとき、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であると、CPUはステップ2310にて「No」と判定し、図22のステップ2295に直接進んで本ルーチンを一旦終了する(図中○内の2」を参照。)。
これに対し、CPUがステップ2310の処理を実行する時点において、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」であると、CPUはステップ2310にて「Yes」と判定してステップ2320に進み、「その時点までに算出されたサブフィードバック量KFsubから「1」を減じた値(KFsub−1)」に定数kmを乗じた値を、「1」に加算して得られる値(1+km・(KFsub−1))を、最終的なサブフィードバック量KFsubとして設定する。定数kmは、「0」より大きく「1」より小さい値である(例えば、km=0.9)。
即ち、CPUは、触媒43が劣化したと判定された時点以降において、サブフィードバック量KFsubを「1」に近づける。例えば、その時点までに得られたサブフィードバック量KFsubが1+αであるとき、最終的に得られるサブフィードバック量KFsubは、1+km・αとなる。このことは、その時点までに得られたサブフィードバック量KFsubが、機関の空燃比を所定のリッチ空燃比AR1に補正する値(=1+α1、α1>0)であるとき、最終的に得られるサブフィードバック量KFsubは、そのリッチ空燃比AR1よりは理論空燃比に近いリッチ空燃比AR2を実現する値(1+km・α1)となる。同様に、その時点までに得られたサブフィードバック量KFsubが、機関の空燃比を所定のリーン空燃比AL1に補正する値(=1−α2、α2>0)であるとき、最終的に得られるサブフィードバック量KFsubは、そのリーン空燃比AL1よりは理論空燃比に近いリーン空燃比AL2を実現する値(1−km・α2)となる。
この結果、基本燃料噴射量Fbaseは、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」である場合、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であるときよりも、少ない量だけ補正させられる。
なお、第2制御装置は、図23のルーチンを追加しない図22のルーチンを実行するとともに、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」である場合、図22のステップ2230にて使用される所定値A1を、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であるときよりも、より「1」に近い値に補正してもよい。即ち、第2制御装置は、触媒43が劣化していると判定された時点以降において、第1リーン空燃比をより理論空燃比に近い空燃比に設定してもよい。また、第2制御装置は、図23のルーチンを追加しない図22のルーチンを実行するとともに、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」である場合、図22のステップ2215にて使用される所定値A2を、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であるときよりも、より「1」に近い値に補正してもよい。即ち、第2制御装置は、触媒43が劣化していると判定された時点以降において、第2リーン空燃比をより理論空燃比に近い空燃比に設定してもよい。
同様に、第2制御装置は、図23のルーチンを追加しない図22のルーチンを実行するとともに、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」である場合、図22のステップ2260にて使用される所定値B1を、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であるときよりも、より「1」に近い値に補正してもよい。即ち、第2制御装置は、触媒43が劣化していると判定された時点以降において、第1リッチ空燃比をより理論空燃比に近い空燃比に設定してもよい。また、第2制御装置は、図23のルーチンを追加しない図22のルーチンを実行するとともに、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「1」である場合、図22のステップ2245にて使用される所定値B2を、触媒劣化検出フラグXrekkaの値が「0」であるときよりも、より「1」に近い値に補正してもよい。即ち、第2制御装置は、触媒43が劣化していると判定された時点以降において、第2リッチ空燃比をより理論空燃比に近い空燃比に設定してもよい。
この第2制御装置によれば、触媒43が劣化したと判定されたときには、触媒43が劣化したと判定される前に比較して、触媒流入ガスの空燃比の「理論空燃比との偏差」が小さくなる。即ち、触媒43が劣化したと判定された時点以降、通常のフィードバック制御における空燃比の補正量の大きさ(1とサブフィードバック量KFsubとの差の絶対値)が小さくなる。この結果、劣化した触媒にとって過剰な酸素又は過剰な未燃物がその触媒に流入し難くなるから、通常のフィードバック制御が破綻し難くなる。よって、第2制御装置は、触媒43が劣化した場合においても、エミッションを良好に維持することができる。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る制御装置は、エミッションを良好に維持するとともに、触媒劣化判定を精度良く実行することができる。なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態は、暫定リッチフラグXZrich及び暫定リーンフラグXZleanを使用しているが、リッチフラグXCCROrichが「1」に設定された後はリッチ否定フラグXNOTrichが「1」に設定されるか又はリーンフラグXCCROleanが「1」に設定されるまで、リッチフラグXCCROrichの値を「1」に維持してもよい。同様に、リーンフラグXCCROleanが「1」に設定された後はリーン否定フラグXNOTleanが「1」に設定されるか又はリッチフラグXCCROrichが「1」に設定されるまで、リーンフラグXCCROleanの値を「1」に維持してもよい。
10…内燃機関、41…エキゾーストマニホールド、41b…集合部、42…エキゾーストパイプ、43…上流側触媒(三元触媒)、55…上流側空燃比センサ、56…下流側空燃比センサ(酸素濃度センサ)、60…電気制御装置。

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気通路に配設された三元触媒と、
    前記排気通路の前記触媒よりも下流に配設されるとともに同触媒から流出したガスに含まれる酸素の濃度に応じた出力値を出力する濃淡電池型の酸素濃度センサである下流側空燃比センサと、
    前記出力値に基づいて前記触媒に流入するガスである触媒流入ガスの空燃比を変更するように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、
    所定の触媒劣化判定実行条件が成立した場合、前記触媒の劣化の程度を表す触媒劣化指標値として前記出力値の振幅及び変動周波数が大きくなるほど大きくなるか又は小さくなる値を同出力値に基づいて取得するとともに同取得した触媒劣化指標値に基づいて前記触媒が劣化したか否かを判定する触媒劣化判定手段と、
    を備えた内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比制御手段は、
    前記出力値が所定の低側閾値と前記低側閾値よりも大きい所定の高側閾値との間にある場合、前記出力値が増大しているときの前記出力値の変化速度の絶対値が所定の第1変化速度閾値以上となった時点から前記出力値が減少しているときの前記出力値の変化速度の絶対値が所定の第2変化速度閾値以上となる時点又は前記出力値が前記高側閾値以上になる時点までの第1期間において前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の所定の第1リーン空燃比となるように、且つ、前記出力値が減少しているときの前記出力値の変化速度の絶対値が前記第2変化速度閾値以上となった時点から前記出力値が増大しているときの前記出力値の変化速度の絶対値が前記第1変化速度閾値以上となる時点又は前記出力値が前記低側閾値以下となる時点までの第2期間において前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の所定の第1リッチ空燃比となるように、
    前記出力値が前記高側閾値以上である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーン側の所定の第2リーン空燃比となるように、
    前記出力値が前記低側閾値以下である場合、前記触媒流入ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチ側の所定の第2リッチ空燃比となるように、
    前記機関に供給される混合気の空燃比を制御するとともに、
    前記触媒劣化判定実行条件が成立した場合、
    前記第1変化速度閾値を前記触媒劣化判定実行条件が成立していない場合よりも小さい値に設定し、
    前記第2変化速度閾値を前記触媒劣化判定実行条件が成立していない場合よりも小さい値に設定し、
    前記第1期間における前記触媒流入ガスの空燃比が、前記第1リーン空燃比に代わる、理論空燃比よりもリーン側の所定の第3リーン空燃比であって同第3リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値が前記第1リーン空燃比と理論空燃比との差の絶対値よりも大きい第3リーン空燃比、となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御し、且つ、
    前記第2期間における前記触媒流入ガスの空燃比が、前記第1リッチ空燃比に代わる、理論空燃比よりもリッチ側の所定の第3リッチ空燃比であって同第3リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値が前記第1リッチ空燃比と理論空燃比との差の絶対値よりも大きい第3リッチ空燃比、となるように前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する、
    ように構成された空燃比制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比制御手段は、
    前記触媒が劣化していると判定された時点以降において、前記第1リッチ空燃比及び前記第2リッチ空燃比の少なくとも一方が、前記触媒が劣化していると判定される前の時点における値よりもより理論空燃比に近い空燃比となり、
    前記触媒が劣化していると判定された時点以降において、前記第1リーン空燃比及び前記第2リーン空燃比の少なくとも一方が、前記触媒が劣化していると判定される前の時点における値よりもより理論空燃比に近い空燃比となるように、
    前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記空燃比制御手段は、
    前記第1リーン空燃比が一定値であり、
    前記第3リーン空燃比が前記出力値の変化速度の絶対値が大きいほど大きくなる値となり、
    前記第1リッチ空燃比が一定値であり、
    前記第3リッチ空燃比が前記出力値の変化速度の絶対値が大きいほど小さくなる値となるように、
    前記機関に供給される混合気の空燃比を制御する空燃比制御装置。
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