JP2011066971A - 回転機 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁シートの変位により異なる極に属する導線が接触することを防止するとともに、スロットに導線を配置する作業を容易にした固定子を有する回転機を提供する。
【解決手段】回転機1は、スロットSoを有する固定子コア30と、スロットSo内に配置され1又は複数の導線33を含む第1群導線33aおよび第2群導線33bと、第1群導線33aと第2群導線33bとを隔離する位置に配置される絶縁シート32とにより固定子3を構成する。この固定子コア30に係るスロットSoの内壁(スロット内壁31)に、絶縁シート32との係合により絶縁シート32が第1群導線33aと第2群導線33bとを隔離する位置から変位することを規制する係合部5を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、回転子および固定子で発生させた磁界の相互作用により回転自在に支持した回転子を回転させる回転機に関する。
発電機や電動機等の回転機は、固定子と、この固定子に対して回転自在に支持された回転子とを含んで構成され、固定子および回転子で発生させた磁界を通じて固定子および回転子の間に反発力や吸引力等を作用させて回転子を回転させるものである。
従来の回転機には、略円管形状である固定子コアの内周面に設けられた開口する空間であるスロット内に導線を巻回配置して固定子を形成したものが知られている。
この回転機の一例として特許文献1には、スロット内部に配置される複数の導線のうち、一部の導線を第1グループ(第1群)に属するものとし、他の導線を第2グループ(第2群)に属するものとし、一グループを一極として一つのスロットで複数の極を実現する固定子を備えた回転機が開示されている。
特開平6−141512号公報
上記の複数の極を実現する従来の固定子の具体的な一例を図6及び図7を用いて説明する。固定子1003は、図6に示すように、回転子1002の回転軸を中心軸Cnとし、中心軸方向を長手方向とした略円筒形状の固定子コア1030と、この固定子コア1030の内周面に形成され中心軸Cnの径方向内側へ開口するスロットSo内に配置された複数の導線1033とを含んで構成されている。これら複数の導線1033は、第1極に属する第1群導線1033aと、第2極に属する第2群導線1033bとを含み、第1群導線1033aがスロットSo内の径方向外側に配置され、第2群導線1033bがスロットSo内の径方向内側に配置されている。
これら複数の導線1033にはエナメル銅線を用いており、エナメル銅線の被覆が振動等の外力により破損した場合であっても異なる極の導線1033同士、すなわち属する群が異なる導線1033同士を絶縁しなければならないので、第1群導線1033aと第2群導線1033bとの間、すなわち両導線(1033a、1033b)とを隔離する位置に絶縁シート1032を介在する構成が通例である。
この固定子1003のスロットSoに導線1033を配置する作業は、スロットSoの径方向内側(奥側)から径方向外側へ向けて、第1群導線1033a、絶縁シート1032、第2群導線1033bを順に敷き詰める作業であり、個々の導線1033が動きやすく、この導線1033の動きに伴い絶縁シート1032も変位して、図7に示すように、両導線(1033a、1033b)を隔離する位置から絶縁シート1032が変位して、両導線が接触し、運転中の振動等で被覆が損傷しショート短絡してしまうことがある。
また、スロットSoに導線1033を配置する作業には熟練を要すると共に、導線1033の短絡防止を期するため作業が困難になるという問題もある。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、絶縁シートの変位により異なる群に属する導線が接触することを防止するとともに、スロットに導線を配置する作業を容易にした固定子を構成する回転機を提供することである。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係る回転機は、スロットを有する固定子コアと、当該スロット内に配置され1又は複数の導線を含む第1群導線および第2群導線と、前記第1群導線と前記第2群導線とを隔離する位置に配置される絶縁シートとにより固定子を構成する回転機であって、前記スロットの内壁に、前記絶縁シートとの係合により前記絶縁シートが前記第1群導線と前記第2群導線とを隔離する位置から変位することを規制する係合部を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、係合部と絶縁シートとが係合することにより、第1群導線と第2群導線とを隔離する位置から絶縁シートが変位して両導線同士が接触することを防止することができる。これに伴ってスロット内に導線を配置する作業の熟練度に拘わらず第1群に導線と第2群導線との接触が防止されるため、スロットに導線を配置する作業の平易化を図ることができる。
このような係合部を容易に実現しつつ、導線をガイドして纏まりやすくするためには、前記係合部は、前記スロット内壁に設けられ前記絶縁シートと接触する突部であることが挙げられる。
絶縁シートの多方向への変位に対して対応するためには、前記係合部は、前記スロット内壁に設けられ前記絶縁シートが挿入されるスリットであることが望ましい。
本発明は、以上説明した構成であるから、絶縁シートの変位を止めて異なる極に属する第1群導線と第2群導線とが接触することを防止するとともに、スロットに導線を配置する作業を平易化し、導線の配置不良の低減を通じて製品品質の向上および製造効率の向上に資することができる。
本発明の一実施形態に係る回転機を示す概略模式図。 同回転機の固定子を斜め上から見た斜視図。 図2のA−A断面図。 同固定子のスロットに導線を配置する作業を示す断面図。 本実施形態の変形例として他の実施形態に係る固定子のスロットを示す断面図。 従来の回転機に係る固定子のスロット内部に導線が良好な状態で配置された場合の断面図。 従来の回転機に係る固定子のスロット内部に導線が好ましくない状態で配置された場合の断面図。
以下、本発明の一実施形態に係る回転機を、図面を参照して説明する。
発電機や電動機等の回転機1は、図1に示すように、ケーシング4と、ケーシング4に固定され磁界を発生させる固定子3と、固定子3に対して回転可能な状態でケーシング4に支持され磁界を受けて回る回転子2とを有しており、固定子3への通電制御により磁界を変化させ、固定子3と回転子2との間に反発力や吸引力等を作用させて回転子2を回転させ、電気エネルギーから回転動力を得る若しくはその逆を行う装置である。
本実施形態の回転機1も上記従来例と同様に、図2及び図3に示すように、固定子3が、回転子2の回転軸を中心軸Cnとし、中心軸方向を長手方向とした略円筒形状の固定子コア30と、この固定子コア30の内周面に形成され中心軸Cnの径方向内側へ開口するスロットSoの内部に配置された複数の導線33とを含んで構成されている。なお、図2では導線33の図示を省略している。
固定子コア30は、図3に示すように、内部に回転子2を納める円柱空間が形成されているとともに、この円柱空間より径方向外側の部位において中心軸方向に貫通するスロットSoが円周方向に沿って複数配置され、円柱空間とスロットSoとが連通しスロットSoが径方向内側へ開口した形状をなしている。固定子コア30は、円柱状部材からこれら円柱空間とスロットSoとに相当する部位を打ち抜くことにより一体成型されたものである。
図3に示すように、固定子コア30のうちスロットSoを形成するスロット内壁31の径方向中央部位には、スロットSoへ突出する係合部5としての突部31aが中心軸方向に沿って対をなして形成されている。
この固定子コア30に対して、複数の導線33は、第1極に属する第1群導線33aと、第2極に属する第2群導線33bとを含み、第1群導線33aがスロットSo内の径方向外側に配置され、第2群導線33bがスロットSo内の径方向内側に配置されている。
第1群導線33aと第2群導線33bとの間には、両導線を隔離する絶縁シート32が介在されている。絶縁シート32は、紙状ないし薄板状をなしており、スロット内壁31のうちの対をなす突部31aに接触、すなわち係合しつつ、両突部31a間に亘って配置されている。なお、本実施形態では絶縁シート32を突部31aの径方向外側部位に接触させているが、絶縁シート32を突部31aの径方向内側部位に接触させるものであってもよい。第2群導線33bより径方向内側には、スロットSoの開口を塞ぐように蓋部Capが配置されている。固定子コア30のうちスロットSoを形成するスロット内壁31と、導線33との間には、これらを絶縁する外側絶縁シートが配置されているが、図3等では説明の簡素化のため図示していない。
ここで、この固定子コア30のスロットSoに導線33を配置して固定子3とする回転機1を製造する方法を説明する。
まず、図4(a)に示すように、固定子コア被覆工程を行う。この工程では、スロットSo内に配置されるべき導線33と固定子コア30とを絶縁するために、スロットSoを形成するスロット内壁31に外側絶縁シートOutを被覆する。
次に、図4(b)に示すように、第2群導線配置工程を行う。この工程では、第2群導線33bを固定子コア30の円柱空間からスロットSo内に移動させ、スロットSo内の径方向外側に第2群導線33bを敷き詰める。
次に、図4(c)に示すように、絶縁シート配置工程を行う。この工程では、絶縁シート32を固定子コア30の中心軸方向から挿入し、絶縁シート32の端部を突部31aと第2群導線33bとの間に配置して係合部5としての突部31aと接触した状態にする。
次に、図4(d)に示すように、第1群導線配置工程を行う。この工程では、第2群導線33bの場合と同様に、第1群導線33aを固定子コア30の円柱空間からスロットSo内に移動させ、スロットSo内の径方向内側に第1群導線33aを敷き詰める。
以上のように、本実施形態に係る回転機1は、スロットSoを有する固定子コア30と、スロットSo内に配置され1又は複数の導線33を含む第1群導線33aおよび第2群導線33bと、第1群導線33aと第2群導線33bとを隔離する位置に配置される絶縁シート32とにより固定子3を構成する回転機1であって、スロットSoの内壁(スロット内壁31)に、絶縁シート32との係合により絶縁シート32が第1群導線33aと第2群導線33bとを隔離する位置から変位することを規制する係合部5を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、導線33の動きに伴って絶縁シート32が変位しようとする際に係合部5と絶縁シート32とが係合することにより絶縁シート32の変位が抑制されるので、第1群導線33aと第2群導線33bとを隔離する位置から絶縁シート32が変位することを規制して両導線同士が接触することを防止することができる。これに伴ってスロットSo内に導線を配置する作業の熟練度に拘わらず第1群導線33aと第2群導線33bとの接触が防止されるため、スロットSoに導線33を配置する作業の平易化を図ることができる。
特に係合部5が、スロット内壁31に設けられ絶縁シート32と接触する突部31aであるので、上記の係合部5の作動を容易に実現できるとともに、スロットSo内方へ突出する突部31aを通じて導線33がスロットSo内方に寄せられて纏まりやすくなる。これに伴って絶縁シート32を配置する際に絶縁シート32の挿入位置を突部31aでガイドして絶縁シート32を容易に配置することが可能となり、製造効率の向上ひいては製品品質の向上に資することができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、図5(a)に示すように、係合部5として、固定子コア130のスロットSoを形成するスロット内壁131に突部131aを形成し、さらに突部131aに絶縁シート32が挿入されるスリットSiを形成してもよい。このようにすると、スリットSiを形成するスリット内壁131bで絶縁シート32を挟んで絶縁シート32がスリットSiから抜けにくくなるので、絶縁シートが多方向に変位しようとする場合であっても的確に絶縁シートの変位を防止することができる。
また、図5(b)に示すように、係合部5として、固定子コア230のスロットSoを形成するスロット内壁231に絶縁シート32が挿入されるスリットSiを形成する構成、すなわちスロット内壁に突部を設けずにスリットSiのみを形成する構成も挙げられる。
また、図5(c)に示すように、係合部5として、固定子コア330のスロットSoを形成するスロット内壁331に突部331aを形成し、第2群導線33bを包囲するように絶縁シート332を袋状に配置してもよい。この場合も絶縁シート332の底部が突部331aにより支持され絶縁シート332の変位が規制されるので、確実に第1群導線33aおよび第2群導線33bの接触による短絡を防止することができる。
なお、固定子コア130(230、330も同様)のうちスロットSoを形成するスロット内壁131(231、331も同様)と導線33との間には、これらを絶縁する外側絶縁シートが配置されているが、図3と同様に図5(a)、(b)、(c)でも説明の簡素化のため図示していない。
また、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、本実施形態では、第1群導線33a及び第2群導線33bはそれぞれ複数の導線33からなるが、第1群導線33a及び第2群導線33bそれぞれが単一の導線33からなるものであってもよい。
1………回転機
3………固定子
30、130、230、330…固定子コア
32、332……絶縁シート
33……導線
33a…第1群導線(第1極)
33b…第2群導線(第2極)
5………係合部
So……スロット
31、131、231、331…スロット内壁
31a、131a、331a…突部
Si……スリット
131b、231b…スリット内壁

Claims (3)

  1. スロットを有する固定子コアと、当該スロット内に配置され1又は複数の導線を含む第1群導線および第2群導線と、前記第1群導線と前記第2群導線とを隔離する位置に配置される絶縁シートとにより固定子を構成する回転機であって、
    前記スロットの内壁に、前記絶縁シートとの係合により前記絶縁シートが前記第1群導線と前記第2群導線とを隔離する位置から変位することを規制する係合部を設けたことを特徴とする回転機。
  2. 前記係合部は、前記スロット内壁に設けられ前記絶縁シートと接触する突部である請求項1に記載の回転機。
  3. 前記係合部は、前記スロット内壁に設けられ前記絶縁シートが挿入されるスリットである請求項1又は2に記載の回転機。

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