JP2011066592A - 符号化モード選択方法,符号化モード選択装置および符号化モード選択プログラム - Google Patents

符号化モード選択方法,符号化モード選択装置および符号化モード選択プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】少ない処理演算量で動画像符号化におけるフレーム符号化/フィールド符号化を適応的に選択して切り替えることができるようにする。
【解決手段】入力画像についてフィールドを組み合わせたフレーム画像およびフィールド分割部10でフィールドを分割したフィールド画像のそれぞれに対して,低域フィルタ処理部141で垂直方向に低域フィルタをかけ,フィルタをかける前の映像とフィルタをかけた後の映像との間のPSNR等の誤差情報から,動き検出を行うことなく,符号化モードを選択する。
【選択図】図1

Description

本発明は,動画像符号化においてピクチャ単位またはブロック単位にフレーム符号化とフィールド符号化とを適応的に選択する方法とその装置に関する。
H.264/AVCなどの映像符号化規格では,高効率的な符号化を実現するため,以下の4つの符号化方式がある。
(1)1ピクチャを1フレームとみなして符号化を行うフレーム符号化,
(2)1ピクチャをトップフィールドとボトムフィールドに分けて符号化を行うフィールド符号化,
(3)ピクチャごとにフィールド/フレーム符号化を切り替えて符号化を行うピクチャレベルフィールドフレーム適応符号化,
(4)マクロブロックペア単位でフィールド/フレーム符号化を切り替えて符号化するマクロブロックレベルフィールドフレーム適応符号化。
(1)のフレーム符号化方式は,動きの少ない動画像を符号化するのに適しており,(2)のフィールド符号化方式は,動きのある動画像を符号化するのに適しているが,1つの動画像シーケンスの中にも動きの少ないシーン,動きのあるシーンが混在している。そのため,(3)のピクチャレベルでフィールド/フレーム符号化を適応的に切り替える符号化方式が用意されている。
また,1つのピクチャ内にも動きの少ない領域と動きのある領域とが混在しており,これに対応するために,(4)の決まった領域レベル(マクロブロックレベル)でフィールド/フレーム符号化を適応的に切り替える符号化方式がある。
一般的に,(3)や(4)の適応切替え符号化方式を用い,ピクチャまたはマクロブロック毎に符号化効率が高くなる方式を選択することにより,符号化を改善することができる。
それに対し,特許文献1や特許文献2に記載されているような動き情報を用いたフィールド/フレーム符号化の切替え方法が知られている。しかし,動き情報の導出,すなわち動き検出処理は演算量が大きく,また動き検出誤差の影響を受けるという問題があり,できる限り軽い演算量で,切替え処理で用いる情報に含まれる誤差による影響が小さい処理が望ましい。
また,(3),(4)のいずれが高効率となるかは,ピクチャに依存する。例えば,全体的に動きのあるピクチャに対し符号化を行う場合,(3)で選択されるピクチャフィールド符号化が最も高効率となるが,(4)を用いると,ヘッダー情報が増加するため効率は低下する。一方,局所的に動きのあるピクチャに対し符号化を行う場合,(4)で領域毎に選択されるフレームまたはフィールド符号化が最も高効率となるが,(3)を用いると,予測誤差が大きくなるため符号化効率は低下する。以上の観点から(3)と(4)とを組み合わせ,ピクチャによって適応的に切り替えることが望ましい。
図8は,従来の符号化モード選択方法を用いる動画像符号化装置の一例を示す図である。以下,図8に従って,従来の符号化モードを適応的に選択して切り替える方法の例を説明する。
まず,原画像データを入力すると,フィールド分割部50は,トップフィールド画像とボトムフィールド画像のフィールド画像に分割する。符号化モード判定基準算出部51は,原画像データのフレーム画像と,フィールド分割部50で分割した2つのフィールド画像とを入力し,ブロック分割部511によりそれぞれの画像を符号化単位のブロックに分割する。分割されたフレームブロック画像,フィールドブロック画像のそれぞれについて,フレーム/フィールド動き検出部512により,動き情報と,平均二乗誤差(MSE)等の所定の評価関数による評価関数値が算出される。また,ブロック単位でフレーム画像の評価関数値とフィールド画像の評価関数値との差分Difが算出される。動きベクトルなどの動き情報は,動きベクトル格納メモリ56に保存される。
ブロック数カウント部52は,1つのピクチャについて評価関数値の差分Difがある閾値以上のブロック数をカウントし,そのブロック数のフレーム内ブロック総数に対する割合Rを算出する。この割合Rがある範囲内であれば,ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部54が選ばれ,そうでなければ,ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部53が選ばれる。
ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部53は,割合Rの値によって,ピクチャ単位フレーム符号化かピクチャ単位フィールド符号化の符号化モードを選択し,スイッチSWを切り替えて,原画像データを符号化部60のピクチャ単位フレーム符号化部602またはピクチャ単位フィールド符号化部603へ送る。ピクチャ単位フレーム符号化部602は,動きベクトル格納メモリ56に格納している動き情報を用いて,ピクチャ単位でフレーム符号化を行う。また,ピクチャ単位フィールド符号化部603は,同様に動きベクトル格納メモリ56に格納している動き情報を用いて,ピクチャ単位でフレーム符号化を行う。
ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部54は,上記割合Rの値を判定して,ピクチャ内に動きの大きい部分と小さい部分とが混在しているような場合に,ブロックレベルの適応符号化を行うため,フレーム画像の評価関数値とフィールド画像の評価関数値との差分Difが,ある閾値以上であるかどうかによって,ブロック(マクロブロックペア)単位にフィールド符号化を行うかフレーム符号化を行うかを決定し,その符号化モードの選択情報を符号化モード格納メモリ55に格納する。このとき,原画像データは,ブロック単位符号化部601へ送られ,ブロック単位符号化部601では,符号化モード格納メモリ55に格納された符号化モードに従って,動きベクトル格納メモリ56に格納している動き情報を用いて,ブロック単位にフレーム符号化モードまたはフィールド符号化モードによる符号化を行う。
以上の従来技術では,フレーム/フィールド動き検出部512にて,符号化モードの選択前に,フレーム画像およびフィールド画像の全部について,必ず動き検出の処理を実行しなければならないので,その演算の負荷が大きい。
特開平5−308627号公報 特開平5−95545号公報
本発明は,上記問題を解決するために提案されたもので,その目的は,ピクチャの持つ周波数特性をもとに,少ない処理演算量で動画像符号化におけるフレーム符号化/フィールド符号化を適応的に切替え選択すること,すなわち適切な符号化のモード選択を,短時間で実施できるようにすることにある。
上記の課題を解決するため,本発明は,動き検出時に計算される平均二乗誤差(MSE)等の評価関数値をモード選択に用いる代わりに,入力画像についてフィールドを組み合わせたフレーム画像およびフィールド分割部でフィールドを分割したトップフィールド画像,ボトムフィールド画像のそれぞれに対して,垂直方向に低域フィルタをかけ,フィルタをかける前の映像とフィルタをかけた後の映像との間のPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)等の誤差情報から符号化モードを選択することを最も主要な特徴とする。
すなわち,本発明は,インターレース映像に対してフレーム符号化とフィールド符号化とを適応的に選択して符号化する動画像符号化において,入力画像をトップフィールドおよびボトムフィールドのフィールドピクチャ(フィールド画像ともいう)に分割し,入力画像に対して所定の帯域幅により,フレームピクチャ単位およびフィールドピクチャ単位でそれぞれフィルタ処理を行う。また,入力画像を符号化単位の複数画素で構成されるブロックに分割し,フィルタ処理後のフレームピクチャ(フレーム画像ともいう)と入力画像との誤差情報(例えばPSNR)をブロック単位で算出するとともに,フィルタ処理後のフィールドピクチャと入力画像のフィールドピクチャとの誤差情報をブロック単位で算出し,そのフレームピクチャとフィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分を符号化モード判定基準として算出する。算出した符号化モード判定基準を用いて,ピクチャ単位フレーム符号化,ピクチャ単位フィールド符号化,ブロック単位フレーム符号化またはブロック単位フィールド符号化のいずれか複数を含む符号化モードの中から一つの符号化モードを選択する。
また,上記発明において,符号化モードを選択する過程では,フレームピクチャとフィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分が,所定の閾値以上となるブロック数をカウントし,そのカウントしたブロック数の総ブロック数に対する割合を算出し,その割合からピクチャ単位フレーム符号化およびピクチャ単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する。
また,上記発明において,符号化モードを選択する過程では,フレームピクチャとフィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分と,所定の閾値との大小をブロック単位で比較することにより,ブロック単位フレーム符号化またはブロック単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する。
上記発明において,量子化パラメータまたは目標符号量または発生符号量によって符号化モードの選択に用いる閾値を大きくしたり小さくしたり制御する実施も好適である。
本発明によれば,ピクチャの持つ周波数特性をもとに,少ない処理演算量で動画像符号化におけるフレーム符号化/フィールド符号化を適応的に切替え選択することができるため,高速かつ高効率な符号化を行うことが可能となる。
本発明の第1および第2の例に係る符号化モード選択方法を用いる動画像符号化装置の構成例を示す図である。 符号化モード判定基準算出部の構成例を示す図である。 ブロック単位符号化部の構成例を示す図である。 ピクチャ単位フレーム符号化部の構成例を示す図である。 第1の例の処理フローチャートである。 第2の例の処理フローチャートである。 第3の例に係る符号化モード選択方法を用いる動画像符号化装置の構成例を示す図である。 従来の符号化モード選択方法を用いる動画像符号化装置の一例を示す図である。
以下,図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
<動画像符号化装置の構成例>
図1は,後述する第1の例および第2の例におけるフレーム符号化,フィールド符号化を適応的に選択する符号化モード選択方法を用いる動画像符号化装置の構成例を示したブロック図であり,図1に示す動画像符号化装置は,フィールド分割部10と,符号化モード判定基準算出部14と,ブロック数カウント部15と,ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部16と,ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部17と,符号化モード格納メモリ18と,符号化部20とを備える。
符号化モード判定基準算出部14は,原画像のフィールドを組み合わせたフレーム画像11,およびフィールド分割部10で分離したトップフィールド画像(図では,1stフィールド画像と表記)12とボトムフィールド画像(図では,2ndフィールド画像と表記)13とにそれぞれ低域フィルタ処理を施す低域フィルタ処理部141,これらの画像を符号化単位の複数画素からなるブロックに分割するブロック分割部142,また,誤差情報・差分情報算出部143を備える。誤差情報・差分情報算出部143は,フィルタ処理後のフレーム画像と入力画像との誤差情報(例えばPSNR)をブロック単位で算出する処理,フィルタ処理後のフィールド画像と入力画像のフィールド画像との誤差情報をブロック単位で算出する処理,そのフレーム画像とフィールド画像とのブロック単位誤差情報の差分を符号化モード判定基準として算出する処理を行う。
符号化部20は,ブロックレベル適応符号化のときにブロック単位でフィールド符号化とフレーム符号化とを切り替えて符号化するブロック単位符号化部200と,ピクチャ単位フレーム符号化モードのときに,ピクチャ単位でフレーム符号化を行うピクチャ単位フレーム符号化部300と,ピクチャ単位フィールド符号化モードのときに,ピクチャ単位でフィールド符号化を行うピクチャ単位フィールド符号化部400とを備える。
図1に示す装置が,従来技術と違うところは,主に符号化モード判定基準算出部14と,符号化部20であり,符号化モード判定基準算出部14では,演算負荷の大きい動き検出を行わないで符号化モード判定基準を算出する点と,符号化部20では,符号化時に必要なフィールド画像またはフレーム画像に対する動き検出だけを行って符号化する点が従来技術と異なる。
図2は,図1に示す符号化モード判定基準算出部14の構成例を示している。図1に示す低域フィルタ処理部141は,フレーム画像11に対して所定の帯域幅rの低域フィルタをかける低域フィルタ処理部1411,1stフィールド画像12に対して所定の帯域幅rの低域フィルタをかける低域フィルタ処理部1412,2ndフィールド画像13に対して所定の帯域幅rの低域フィルタをかける低域フィルタ処理部1413から構成される。
図1に示すブロック分割部142は,フィルタ処理後のフレームフィルタ画像,1stフィールドフィルタ画像,2ndフィールドフィルタ画像をそれぞれブロックに分割するブロック分割部1421,1422,1423から構成される。
図1に示す誤差情報・差分情報算出部143は,誤差情報としてブロック単位でフレーム画像と原画像との間のPSNRを算出するSNR算出部1431と,1stフィールド画像と原画像との間のPSNRを算出するSNR算出部1432と,2ndフィールド画像と原画像との間のPSNRを算出するSNR算出部1433と,SNR算出部1432の出力とSNR算出部1433の出力との平均値を算出する平均値算出部1434と,SNR算出部1431の出力と平均値算出部1434の出力との差分を算出し,符号化モード判定基準とする誤差差分情報を出力する減算器1435から構成される。
図3は,図1に示すブロック単位符号化部200の構成例を示している。ブロック単位符号化部200は,原画像データを入力すると,まず,ブロック分割部201において符号化モード格納メモリ18に格納されている符号化モードからフレームモードでブロックを分割するかフィールドモードでブロックを分割するかを決め,原画像データをブロックに分割する。その後の処理は,通常の動き補償を用いる符号化処理と同様であり,まず,動き検出部202で動きベクトルを検出し,その動きベクトルとローカルデコード画像208とから予測部203により予測信号を生成する。
減算器220は,ブロック分割された原画像の信号と予測信号との差分である予測残差信号を算出し,DCT変換部204は,予測残差信号に対して離散コサイン変換の直交変換を行う。量子化部205は,直交変換係数を量子化し,可変長符号化部209と逆量子化部206に出力する。可変長符号化部209は,量子化の結果をエントロピ符号化する。多重化部210では,ブロック単位で符号化モードの符号化データと,直交変換係数を量子化した結果の符号化データと,動きベクトルの符号化データとを多重化し,バッファ部211に格納する。バッファ部211に格納された符号化データは,符号化ストリームとして出力される。制御部212は,バッファ部211に格納された符号化データの発生符号量と目標符号量とから量子化部205における発生符号量の制御を行う。
逆量子化部206は,量子化部205の出力を逆量子化し,逆直交変換部207は,逆量子化により得られた直交変換係数を逆直交変換して予測残差信号を算出する。この結果と予測信号とを加算器221により加算することにより,ローカルデコード画像208を生成して,後の予測符号化で参照画像として用いるためにメモリに格納する。
図4は,図1に示すピクチャ単位フレーム符号化部300の構成例を示している。図3に示すブロック単位符号化部200では,ブロック単位にフレーム符号化とフィールド符号化を切り替えるブロックレベルの適応符号化を行っていたが,ピクチャ単位フレーム符号化部300では,現在のピクチャの全体に対して,すなわちピクチャ内の全ブロックに対してフレーム符号化を行う。そのため,多重化部310では,図3の多重化部210と異なり,ブロック単位に符号化モードの符号化データを多重化することは行わない。他の部分の基本的な機能・動作は,図2に示すブロック単位符号化部200と同様である。
図1に示すピクチャ単位フィールド符号化部400は,原画像データの入力画像に対して,ピクチャ単位でトップフィールドとボトムフィールドのそれぞれのフィールド符号化を行うこと以外は,図4のピクチャ単位フレーム符号化部300の構成とまったく同様であるため,図を用いた説明は省略する。
<第1の例>
図5は,図1に示す動画像符号化装置の第1の例の処理フローチャートである。第1の例では,符号化部20として,ブロック単位符号化部200とピクチャ単位フィールド符号化部400とを用い,ピクチャ単位フレーム符号化部300は用いない。すなわち,第1の例は,ピクチャ単位フレーム符号化モードを選択しない場合の例である。
まず,ステップS100では,原画像データB_oを入力し,ステップS101では,フィールド分割部10において,原画像データB_oをトップフィールド画像データB_tfl と,ボトムフィールド画像データB_bfl に分割する。
ステップS102では,分割されたフィールド画像を低域フィルタ処理部141へ入力し,所定の帯域幅rでフィルタ処理を行い,各フィールドフィルタ画像データB_tfl _fil およびB_bfl _fil を生成する。一方,分割をしないフレーム画像データB_frは,原画像データB_oそのものであり,それを直接,低域フィルタ処理部141へ入力し,上記帯域幅と同じrでフィルタ処理を行い,フレームフィルタ画像データB_fr_fil を生成する。
ステップS103では,得られた各フィルタ画像データと原画像データをそれぞれブロック分割部142においてブロック単位に分割する。続いて,ステップS104では,分割されたブロックの誤差情報(例えばPSNRなど)を誤差情報・差分情報算出部143において算出する。ここで,Nを分割したブロックに与えるブロック番号とし,トップフィールドフィルタ画像データ,ボトムフィールドフィルタ画像データおよびフレームフィルタ画像データのブロック単位誤差情報を,それぞれP_tfl [N],P_bfl [N]およびP_fr[N]とする。また,P_fl[N]= (P_tfl [N]+P_bfl [N]) /2とする。これら誤差情報の差分Db=P_fr[N]−P_fl[N]を算出する。すなわち,この誤差情報の差分Dbは,ブロック単位でフレーム画像のPSNRからフィールド画像のPSNR(トップフィールド画像のPSNRとボトムフィールド画像のPSNRの平均値)を引いた値である。この差分Dbが大きいということは,フィルタ処理によるフィールド画像の画質劣化の程度が,フレーム画像の画質劣化の程度に比べてかなり大きいということである。
ステップS105では,ブロック数カウント部15において,以下の条件を満たすブロックの数をMとする。
Db≧Th1 …(a)
ここで,Th1は,閾値として与えられた定数であり,入力画像サイズ,用いるフィルタの特性などにより異なる値となる。Mのカウント結果から,ピクチャに含まれるブロックの総数に対する条件(a) を満たすブロックMの比率(割合)であるRを算出する。
R=M/ブロック総数
ステップS106では,Rがある閾値Tr以上かどうかを判定し,Rが閾値Trより小さい場合,ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部16において,ピクチャ単位フィールド符号化を選択し,ステップS107で,ピクチャ単位フィールド符号化部400によるピクチャ単位符号化を行う。Rが閾値Trより小さいということは,符号化対象ピクチャの全ブロックに対してフィールド符号化を行っても,画像品質の劣化は小さいと考えられるからである。なお,後述するように誤差情報としてPSNRではなく,例えば原画像とフィルタ後の画像との平均二乗誤差(MSE)等を用いることもでき,この場合には,閾値との大小関係がPSNRを用いる場合と逆になる。これは,以下に説明する他の例においても同様である。
ステップS106の判定において,Rが閾値Tr以上の場合,第1の例では,ステップS108へ進み,ブロックレベル適応符号化を選択する。ブロックレベル適応符号化の場合,ブロックレベル単位フィールド/フレーム符号化選択部17が動作し,ステップS109により,誤差情報・差分情報算出部143で算出したフィールドフィルタ画像のブロック単位誤差情報およびフレームフィルタ画像のブロック単位誤差情報を参照して,以下の条件を満たすか否かを判定して,ブロック単位フレーム符号化またはブロック単位フィールド符号化のいずれかを選択する。
Db≧Th2 …(b)
ここで,Th2は閾値として与えられた定数であり,条件(a) のTh1と同様に入力画像サイズ,用いるフィルタの特性などにより異なる値となる。この条件(b) を満たす場合には,ブロック単位フレーム符号化を選択し,その符号化モードの情報を符号化モード格納メモリ18に格納する。また,条件(b) を満たさない場合には,ブロック単位フィールド符号化を選択し,その符号化モードの情報を符号化モード格納メモリ18に格納する。
ブロック単位符号化部200は,符号化対象のピクチャに対し,ブロックごとの符号化モードにより,ブロック単位フレーム符号化のときには,ステップS110により対象ブロックについてフレーム符号化を行い,ブロック単位フィールド符号化のときには,ステップS111により対象ブロックについてフィールド符号化を行う。
以下では,上記第1の例の手法について具体例を用いて説明する。原画像の画像サイズを1920×1080とし,フィルタの帯域幅をr=0.5(水平垂直方向に対し周波数成分を半分にカットするローパスフィルタ),定数Th1=1,Th2=2,Tr=0.8とする。
まず,原画像をフィールド分割部10において,トップ(1st)フィールド,ボトム(2nd)フィールドに分割し,フィールド画像(1920×540)とする。これらを低域フィルタ処理部141へ入力し,0.5の帯域幅でフィルタ処理を行い,各フィールドフィルタ画像B_tfl _fil およびB_bfl _fil を得る。一方,原画像をフレーム画像とする場合,そのまま低域フィルタ処理部141へ入力し,0.5の帯域幅でフィルタ処理を行い,フレームフィルタ画像B_fr_fil を得る。
次に,ブロック分割部142において,各フィールドフィルタ画像およびフレームフィルタ画像を16×16,16×32にそれぞれ分割し,誤差情報・差分情報算出部143において,例えば誤差情報として各フィルタ画像の原画像に対するPSNRを測定する。その結果が,P_tfl [1]=26(dB),P_tfl [2]=25(dB),……,P_bfl [1]=24(dB),P_bfl [2]=23(dB),……,P_fr[1]=27(dB),P_fr[2]=25(dB),……であったとする。なお,上記の場合の分割数は,120×34=4080となる。
次に,ブロック数カウント部15において,これらを条件(a) に当てはめる。条件(a) を満たすブロック数Mが3000であったとする。この場合,R(=3500/4080)がTr(=0.8)未満となるため,ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部16において,ピクチャ単位フィールド符号化を選択し,符号化部20にて符号化を行い,処理を終了する。
一方,ブロック数Mが3500であった場合,RがTr以上となるため,以下の処理を進める。先に誤差情報・差分情報算出部143において算出した誤差情報の差分Dbを参照し,ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部17において,各ブロックごとに,条件(b) に当てはめる。そうすると,1番目のブロックでは条件が満たされるためブロック単位フレーム符号化を,2番目のブロックでは条件が満たされないためブロック単位フィールド符号化を選択し,以降のブロックについても同様に選択し,ブロック単位符号化部200においてブロックレベルの適応符号化を行い,処理を終了する。
<第2の例>
図6は,図1に示す動画像符号化装置の第2の例の処理フローチャートである。第2の例では,符号化部20として,ブロック単位符号化部200とピクチャ単位フィールド符号化部400の他に,ピクチャ単位フレーム符号化部300に用いる。すなわち,第2の例は,ピクチャ単位フレーム符号化モードについてもモード選択の対象とする場合の例である。
図6のステップS201からS207までの処理は,図5に示す第1の例のステップS101からS107までの処理と同様である。第2の例が第1の例と異なるのは,フレーム内のブロック総数に対する条件(a) を満たすブロック数Mの割合Rと比較する閾値が,Tr1とTr2の2つ用意されており,第2の例では,RとTr2の比較によって(ステップS208),R≦Tr2ではない場合に,対象ピクチャに対してピクチャ単位フレーム符号化を行う(ステップS209)という点である。以降のブロックレベル適応符号化の処理は,前述した第1の例と同様である。
なお,閾値Tr1は,第1の例の閾値Trと同じであり,Tr2は,Tr1より大きい値をとる閾値である(Tr2>Tr1)。
すなわち,符号化モードは次のように選択される。
・R<Tr1の場合:
ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部16によって,ピクチャ単位フィールド符号化が選択され,ピクチャ単位フィールド符号化部400によって,対象ピクチャに対し,フィールド動き検出処理を含むピクチャ単位フィールド符号化が行われる。
・R>Tr2の場合:
ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部16によって,ピクチャ単位フレーム符号化が選択され,ピクチャ単位フレーム符号化部300によって,対象ピクチャに対し,フレーム動き検出処理を含むピクチャ単位フレーム符号化が行われる。
・Tr1≦R≦Tr2の場合:
ブロックレベル適応符号化が選択され,ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部17によって,ブロック単位に誤差情報の差分Dbと閾値Th2との比較により,ブロック単位フレーム符号化,ブロック単位フィールド符号化の選択を行う。すなわち,Db≧Th2であれば,対象ピクチャにおけるそのブロックに対し,ブロック単位フレーム符号化を選択し,Db<Th2であれば,対象ピクチャにおけるそのブロックに対し,ブロック単位フィールド符号化を選択して,ブロック単位符号化部200で符号化を行う。
<第3の例>
図7は,第3の例におけるフレーム符号化,フィールド符号化を適応的に選択する動画像符号化装置の一例を示したブロック図である。図1の動画像符号化装置に対して,さらに量子化パラメータ適応部19が設けられている。他の部分については,図1で説明した動画像符号化装置と同様であるので,説明を省略する。
第3の例は,量子化パラメータ適応部19を設けることにより,各符号化モードの選択に用いる閾値Th1,Th2およびTr(またはTr1,Tr2)を量子化パラメータに応じて可変とするものである。この第3の例は,つまり第1の例および第2の例で用いる閾値を量子化パラメータに応じて変化させることにより,より一層の高精度化を可能とする。
この量子化パラメータ適応部19は,各モード選択の直前で閾値を適応的に変化させるようにしてもよいし,また,処理の最初の部分で各閾値を一括して決めるようにしてもよい。
量子化パラメータが小さい場合,画像を細かく量子化することになる。細かく量子化することでその分だけ画質は向上する。すなわち,量子化パラメータが小さいと発生符号量は大きくなる。この前提のもとで,例えば閾値を次のように決める。
・Th1およびTh2について
フィールド画像は,垂直方向に1ライン飛ばしとなっているため,フレーム画像に比べて相関が低く,垂直方向に同一帯域幅のフィルタを施した場合には,一般的にフレーム画像よりもSN比は悪くなる。このことからTh1およびTh2を符号化効率を考慮して適切な値に決める。この値については,量子化パラメータが変化しても影響は小さいため,量子化パラメータによって変化させなくてもよい。
・Tr(Tr1,Tr2)について
ブロック単位でフレーム/フィールド符号化を切り替えた場合,フレーム単位で切り替えるよりも符号化効率は高くなる。しかし,どちらの符号化を実施するかを示すための情報をブロック単位に付加する必要があり,この付加情報が増加することで全体的な情報量が増加し,符号化効率が低下する可能性がある。そのため,Trは,大きめに設定するほうが効率が高い(例えばTr=0.8等)。ただし,量子化パラメータが小さい(画質が良い)場合,符号量が多くなるため,全体の情報量に占める付加情報の割合が小さくなる。そのため,Trは,量子化パラメータが小さい場合には,小さめに設定するほうがよい。
<他の例について>
前述した例において,条件(a) の左辺はトップフィールド,ボトムフィールドの平均誤差情報値としているが,フィールド間での相関は高いため,どちらか一方の誤差情報値だけを用いて算出しても同様の効果を奏する。また,誤差情報としてPSNRを用いているが,平均二乗誤差などを用いる場合にも同様の効果を奏する。なお,モード選択における誤差差分情報などと閾値との比較では,誤差情報として何を用いるかによって大小関係が変わる。
さらに,フィルタ処理で用いる帯域幅rは,0<r<1の値をとることができ,その値によってフィルタ特性は異なり,フィルタ定数もそれに応じ異なるものとなるが,同様の効果を奏する。フィルタ処理も垂直および水平方向に同じ帯域幅で行っているが,垂直水平方向で別々の帯域幅を用いたり,どちらか一方,特に垂直方向のみにフィルタ処理を施す場合にも同様の効果を奏する。
また,Rはブロック比率としているが,画像サイズ(解像度)とブロック数との関係を示す表などを用いる場合にも同様の効果を奏する。また,ブロック分割部142,誤差情報・差分情報算出部143およびブロック数カウント部15を経た結果により,ピクチャ単位フィールド符号化であるか否かを選択しているが,フィールドフィルタ画像およびフレームフィルタ画像の誤差情報(各ブロック単位誤差情報の平均値)のみからピクチャ単位フィールド符号化を選択する場合にも同様の効果を奏する。また,第3の例における量子化パラメータ適応部19においては,量子化パラメータの代わりに,目標符号量や発生符号量などを用いる場合にも同様の効果を奏する。
さらに,低域フィルタ処理部141におけるフィルタ処理をノイズ除去や符号化効率の改善を目的としたプレフィルタ処理とすることにより,プレフィルタ処理を具備する符号化装置プレフィルタ処理とフィールド/フレーム選択処理を一括して行うことができるため,非常に整合性が高く,演算量を増やすことなく高機能化が可能となり,有益なものとなる。
以上の符号化モード選択処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによっても実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
10 フィールド分割部
11 フレーム画像
12 1stフィールド画像
13 2ndフィールド画像
14 符号化モード判定基準算出部
15 ブロック数カウント部
16 ピクチャ単位フィールド/フレーム符号化選択部
17 ブロック単位フィールド/フレーム符号化選択部
18 符号化モード格納メモリ
19 量子化パラメータ適応部
20 符号化部
141 低域フィルタ処理部
142 ブロック分割部
143 誤差情報・差分情報算出部
200 ブロック単位符号化部
300 ピクチャ単位フレーム符号化部
400 ピクチャ単位フィールド符号化部

Claims (9)

  1. インターレース映像に対してフレーム符号化とフィールド符号化とを適応的に選択して符号化する動画像符号化における符号化モード選択方法において,
    入力画像をトップフィールドおよびボトムフィールドのフィールドピクチャに分割する過程と,
    入力画像に対して所定の帯域幅によりフレームピクチャ単位でフィルタ処理を行う過程と,
    入力画像に対して所定の帯域幅によりフィールドピクチャ単位でフィルタ処理を行う過程と,
    入力画像を符号化単位の複数画素で構成されるブロックに分割する過程と,
    フィルタ処理後のフレームピクチャと入力画像との誤差情報をブロック単位で算出する過程と,
    フィルタ処理後のフィールドピクチャと入力画像のフィールドピクチャとの誤差情報をブロック単位で算出する過程と,
    前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分を符号化モード判定基準として算出する過程と,
    前記符号化モード判定基準を用いて,ピクチャ単位フレーム符号化,ピクチャ単位フィールド符号化,またはブロックレベル適応符号化におけるブロック単位フレーム符号化もしくはブロック単位フィールド符号化のいずれか複数を含む符号化モードの中から一つの符号化モードを選択する過程とを有する
    ことを特徴とする符号化モード選択方法。
  2. 請求項1に記載の符号化モード選択方法において,
    前記符号化モードを選択する過程では,前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分が,所定の閾値以上となるブロック数をカウントし,そのカウントしたブロック数の総ブロック数に対する割合を算出し,その割合からピクチャ単位フレーム符号化またはピクチャ単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する
    ことを特徴とする符号化モード選択方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の符号化モード選択方法において,
    前記符号化モードを選択する過程では,前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分と,所定の閾値との大小をブロック単位で比較することにより,ブロックレベル適応符号化におけるブロック単位フレーム符号化またはブロック単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する
    ことを特徴とする符号化モード選択方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の符号化モード選択方法において,
    量子化パラメータまたは目標符号量または発生符号量によって前記符号化モードの選択に用いる閾値を制御する過程を有する
    ことを特徴とする符号化モード選択方法。
  5. インターレース映像に対してフレーム符号化とフィールド符号化とを適応的に選択して符号化する動画像符号化における符号化モード選択装置において,
    入力画像をトップフィールドおよびボトムフィールドのフィールドピクチャに分割する手段と,
    入力画像に対して所定の帯域幅によりフレームピクチャ単位でフィルタ処理を行う手段と,
    入力画像に対して所定の帯域幅によりフィールドピクチャ単位でフィルタ処理を行う手段と,
    入力画像を符号化単位の複数画素で構成されるブロックに分割する手段と,
    フィルタ処理後のフレームピクチャと入力画像との誤差情報をブロック単位で算出する手段と,
    フィルタ処理後のフィールドピクチャと入力画像のフィールドピクチャとの誤差情報をブロック単位で算出する手段と,
    前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分を符号化モード判定基準として算出する手段と,
    前記符号化モード判定基準を用いて,ピクチャ単位フレーム符号化,ピクチャ単位フィールド符号化,またはブロックレベル適応符号化におけるブロック単位フレーム符号化もしくはブロック単位フィールド符号化のいずれか複数を含む符号化モードの中から一つの符号化モードを選択する手段とを備える
    ことを特徴とする符号化モード選択装置。
  6. 請求項5に記載の符号化モード選択装置において,
    前記符号化モードを選択する手段は,前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分が,所定の閾値以上となるブロック数をカウントし,そのカウントしたブロック数の総ブロック数に対する割合を算出し,その割合からピクチャ単位フレーム符号化またはピクチャ単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する
    ことを特徴とする符号化モード選択装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の符号化モード選択装置において,
    前記符号化モードを選択する手段は,前記フレームピクチャと前記フィールドピクチャとのブロック単位誤差情報の差分と,所定の閾値との大小をブロック単位で比較することにより,ブロックレベル適応符号化におけるブロック単位フレーム符号化またはブロック単位フィールド符号化のいずれかの符号化モードを選択する
    ことを特徴とする符号化モード選択装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の符号化モード選択装置において,
    量子化パラメータまたは目標符号量または発生符号量によって前記符号化モードの選択に用いる閾値を制御する手段を備える
    ことを特徴とする符号化モード選択装置。
  9. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の符号化モード選択方法を,コンピュータに実行させるための符号化モード選択プログラム。
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