JP4277530B2 - 画像処理装置および符号化装置とそれらの方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データの量子化制御に特徴を有する画像処理装置および符号化装置と、それらの方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像データとして取り扱い、その際、効率の高い情報の伝送、蓄積を目的とし、画像情報特有の冗長性を利用して、離散コサイン変換等の直交変換と動き補償により圧縮するMEPG(Moving Picture Experts Group)などの方式に準拠した装置が、放送局などの情報配信、及び一般家庭における情報受信の双方において普及しつつある。
【0003】
特に、MPEG2(ISO/IEC13818−2)は、汎用画像符号化方式として定義されており、飛び越し走査画像及び順次走査画像の双方、並びに標準解像度画像及び高精細画像を網羅する標準で、プロフェッショナル用途及びコンシューマー用途の広範なアプリケーションに現在広く用いられている。
MPEG2圧縮方式を用いることにより、例えば720×480画素を持つ標準解像度の飛び越し走査画像であれば4〜8Mbps、1920×1088画素を持つ高解像度の飛び越し走査画像であれば18〜22Mbpsの符号量(ビットレート)を割り当てることで、高い圧縮率と良好な画質の実現が可能である。
【0004】
MPEG2は主として放送用に適合する高画質符号化を対象としていたが、MPEG1より低い符号量(ビットレート)、つまりより高い圧縮率の符号化方式には対応していなかった。携帯端末の普及により、今後そのような符号化方式のニーズは高まると思われ、これに対応してMPEG4符号化方式の標準化が行われた。画像符号化方式に関しては、1998年12月にISO/IEC14496−2としてその規格が国際標準に承認された。
【0005】
さらに、近年、当初テレビ会議用の画像符号化を目的として、H. 26L(ITU−T Q6/16 VCEG)という標準の規格化が進んでいる。H.26LはMPEG2やMPEG4といった従来の符号化方式に比べ、その符号化、復号化により多くの演算量が要求されるものの、より高い符号化効率が実現されることが知られている。また、現在、MPEG4の活動の一環として、このH.26Lをベースに、H.26L規格ではサポートされない機能をも取り入れ、より高い符号化効率を実現する標準化がJoint Model of Enhanced−Compression Video Codingとして行われている。
【0006】
このようなMPEGおよびH.26L規格の符号化装置では、画像の局所的な情報を利用することにより、効率の良い符号化を実現している。
画像には、画像中で複雑な部分は、他の部分よりも量子化を粗くして符号化しても、肉眼では画質劣化が認識され難いという性質がある。
従って、上記符号化装置では、画像を複数の部分に分け、各部分について、画像の複雑度を検出し、その検出結果を基に、複雑な画像の部分は粗く量子化し、そうでない部分は細かく量子化して、画質劣化の影響を抑えながら、データ量を削減している。
このような画像の複雑度の情報は、アクティビティ(activity)と呼ばれている。
上記符号化装置では、量子化対象の画像データのアクティビティを算出し、当該アクティビティに基づいて、量子化スケールを規定する量子化パラメータを生成している。
【0007】
ところで、上述したMPEG方式やH.26L規格を発展させたものとしてJVT(Joint Video Team)符号化方式が提案されている。
JVT方式においては、1枚のフレームを、複数のスライス(モジュール)に
分割し、符号化並びに復号化処理を行うことが可能である。
この場合に、1枚のフレームを1スライスとして処理することも可能であるが、720×480や、1920×1088といった、大きな画枠サイズの画像をリアルタイム処理するためには、1枚のフレームを複数スライスに分割し、並列処理する必要が生じる。
【0008】
上述したJVT符号化方式が採用する、CABAC(Context−based Adaptive Binary Alrithmetic Coding)と呼ばれるエントロピー符号化方式、動きベクトル符号化、及びイントラ予測においては、複数の画素データから構成されるマクロブロック(単位画像データ)の処理を行う場合に、例えば、当該処理対象のマクロブロックの近傍の所定のマクロブロックの情報を用いて処理を行う。但し、この場合に、処理対象のマクロブロックの上記近傍の所定のマクロブロックが、当該処理対象のマクロブロックと異なるスライスに属する場合には、当該近傍の所定のマクロブロックの情報は用いずに、代替値を用いて処理を行う。このような代替値を用いた処理は、スライス境界に位置するマクロブロックについて生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように代替値を用いて処理を行うと、代替値を用いたことによる処理精度の劣化を、直交変換によって防ぐことができず、スライス境界付近で顕著な画質劣化を生じてしまうという問題がある。
特に量子化パラメータQPの値が小さい場合に、この影響が大きくなる。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、画質の顕著な劣化を抑制できる画像処理装置、符号化装置およびそれらの方法を提供することを目的とする。
【0011】
上記の目的を達成するため、第1の発明の画像処理装置は、1画像データを各々複数のマクロブロックを有する複数のスライスに分割された前記各々のスライスを予測符号化方式を用いて符号化処理するため、各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データと予測符号化した画像データとの差を直交変換し、当該直交変換した結果を量子化する、直交変換・量子化部と、前記直交変換・量子化部の処理結果を逆量子化し、当該逆量子化して復元した画像データについて動き予測補償処理を行い、前記直交変換・量子化部への差分信号として出力する動き予測補償部と、前記直交変換され量子化された結果を可逆符号化するとき、前記マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属する場合、当該マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行い、前記直交変換・量子化部の処理結果を可逆符号化する可逆符号化部と、前記可逆符号化部で符号化された画像データを記憶するバッファと、符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置するか否かを検出するスライス境界検出部と、前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データの量子化量を算出し、前記バッファのレート制御を行う量子化制御部と、を有し、前記量子化制御部は、前記スライス境界検出部が前記符号化対象のマクロブロックが前記スライスの境界に位置すると検出したとき、当該マクロブロックにおける画像の複雑度を示すアクティビティと当該マクロブロックにおける参照量子化スケールコードとを乗算して第1の量子化パラメータを算出し、当該第1の量子化パラメータを関数として、0から1の範囲の値をとる重み付け係数を算出し、当該算出した重み付け係数を前記第1の量子化パラメータに乗じて第2の量子化パラメータを求め、当該求めた第2の量子化パラメータを用いて前記直交変換・量子化部における量子化を制御して、前記バッファのレートを制御する。
【0012】
可逆符号化部は、直交変換され、量子化された結果を可逆符号化するとき、マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属する場合、マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行い、直交変換された処理結果を可逆符号化する。
スライス境界検出部は、符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置するか否かを検出する。
量子化制御部は、スライス境界検出部が符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置すると検出したとき、マクロブロックにおける画像の複雑度を示すアクティビティと、マクロブロックにおける参照量子化スケールコードとを乗算して第1の量子化パラメータを算出し、第1の量子化パラメータを関数として、0から1の範囲の値をとる重み付け係数を算出し、算出した係数を第1の量子化パラメータに乗じて第2の量子化パラメータを求め、求めた第2の量子化パラメータを用いて直交変換・量子化部における量子化を制御して、バッファのレートを制御する。
【0013】
第2の発明の画像処理方法は、1画像データを各々複数のマクロブロックを有する複数のスライスに分割された前記各々のスライスを予測符号化方式を用いて符号化処理するため、前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データの量子化量を算出し、符号化データを記憶するバッファのレート制御を行う量子化制御ステップと、前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データと予測符号化した画像データとの差を直交変換し、当該直交変換した結果を量子化する、直交変換・量子化ステップと、前記直交変換・量子化ステップでの処理結果を逆量子化し、当該逆量子化して復元した画像データについて動き予測補償処理を行い、前記直交変換・量子化部への差分信号として出力する動き予測補償ステップと、前記直交変換され量子化された結果を可逆符号化するとき、前記マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属する場合、当該マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行い、前記直交変換・量子化部の処理結果を可逆符号化する可逆符号化ステップと、符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置するか否かを検出するスライス境界検出ステップとを有し、前記量子化制御ステップにおいて、前記スライス境界検出ステップにより前記符号化対象のマクロブロックが前記スライスの境界に位置すると検出されたとき、当該マクロブロックにおける画像の複雑度を示すアクティビティと当該マクロブロックにおける参照量子化スケールコードとを乗算して第1の量子化パラメータを算出し、当該第1の量子化パラメータを関数とし、0から1の範囲の値をとる重み付け係数を算出し、当該算出した重み付け係数を前記第1の量子化パラメータに乗じて第2の量子化パラメータを求め、当該求めた第2の量子化パラメータによって前記直交変換・量子化ステップにおける量子化を制御して、前記バッファのレートを制御する。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔本発明の関連技術〕
図1は、本発明の関連技術に係わる符号化装置500の機能ブロック図である。
図1に示す符号化装置500において、入力となる画像信号は、まず、A/D変換回路501においてデジタル信号に変換される。次に、出力となる画像圧縮情報のGOP(Group of Pictures)構造に応じ、画面並べ替え回路502においてフレーム画像データの並べ替えが行われる。
そして、イントラ符号化が行われる画像に関しては、フレーム画像データの全体が直交変換回路504に入力され、直交変換回路504において離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換が施される。
直交変換回路504の出力となる変換係数は、量子化回路505において量子化処理される。
量子化回路505の出力となる、量子化された変換係数は、可逆符号化回路506に入力され、ここで可変長符号化、算術符号化等の可逆符号化が施された後、バッファ507に蓄積され、圧縮された画像データとして出力される。
【0018】
量子化回路505における量子化レートは、レート制御回路512によって制御される。同時に、量子化回路505の出力となる、量子化された変換係数は、逆量子化回路508において逆量子化され、続いて逆直交変換回路509において逆直交変換処理が施され、この過程でデブロックフィルタ513においてブロック歪みが除去されて復号された参照フレーム画像データが得られる。当該参照フレーム画像データは、フレームメモリ510に蓄積される。
ここで、レート制御回路512は、後述するようにQP算出回路541で生成された量子化パラメータQPを基に、量子化レートを制御する。
QP算出回路541は、例えば、MPEG2のTestModel5(以下、TM5とも記す)に従って、後述するように、量子化スケールコードmquantjを生成し、これを量子化パラメータQPとしてレート制御回路512に出力する。
【0019】
一方、インター符号化が行われる画像に関しては、画面並べ替え回路502から出力されたフレーム画像データが、動き予測・補償回路511に入力される。同時に参照フレーム画像データがフレームメモリ510より読み出され、動き予測・補償回路511によって動きベクトルが生成され、当該動きベクトルおよび参照フレーム画像データを用いて予測フレーム画像データが生成される。予測フレーム画像データが演算回路503に出力され、演算回路503において、画面並べ替え回路502からのフレーム画像データと、動き予測・補償回路511からの予測フレーム画像データとの差分を示す画像データが生成され、当該画像データが直交変換回路504に出力される。
また、動き補償・予測回路511は、動きベクトルを可逆符号化回路506に出力し、可逆符号化回路506において、動きベクトルが可変長符号化あるいは算術符号化といった可逆符号化処理され、画像信号のヘッダ部に挿入される。その他の処理はイントラ符号化を施される画像信号と同様である。
【0020】
図2は、図1に示す符号化装置500に対応する復号回路499の機能ブロック図である。
図2に示す復号回路499では、入力となる画像データがバッファ613に格納された後、可逆復号回路614に出力される。そして、可逆復号回路614において、フレーム画像データのフォーマットに基づき、可変長復号化、算術復号化等の処理が行われる。同時に、当該フレーム画像データがインター符号化されたものである場合には、可逆復号回路614において、フレーム画像データのヘッダ部に格納された動きベクトルMVも復号され、その動きベクトルMVが動き予測・補償回路620に出力される。
【0021】
可逆復号回路614の出力となる、量子化された変換係数は、逆量子化回路615に入力され、ここで逆量子化される。当該逆量子化された変換係数には、逆直交変換回路616において、定められたフレーム画像データのフォーマットに基づき、逆離散コサイン変換や逆カルーネン・レーベ変換等の逆直交変換が施される。当該フレーム画像データがイントラ符号化されたものである場合には、逆直交変換処理が施されたフレーム画像データは、デブロックフィルタ621でブロック歪みが除去された後に画面並べ替えバッファ618に格納され、D/A変換回路619によるD/A変換処理を経て出力される。
【0022】
一方、当該フレームがインター符号化されたものである場合には、動き予測・補償回路620において、動きベクトルMV及びフレームメモリ621に格納された参照フレーム画像データを基に予測フレーム画像データが生成され、この予測フレーム画像データと、逆直交変換回路616から出力されたフレーム画像データとが加算器617において加算される。その他の処理はイントラ符号化されたフレーム画像データと同様である。
【0023】
ところで、MPEG2のTM5で定められている符号量制御方式のステップ3においては、マクロブロック毎の適応量子化を行う方法が定められている。すなわち、以下に定める方法により、参照量子化スケールコードを、視覚的に劣化の目立ちにくい絵柄の複雑な部分でより粗く量子化するように、各マクロブロック毎のアクティビティを変化させている。
【0024】
以下では、MPEG2のTM5において定められているレート制御方式の、ステップ1〜ステップ3について述べる。
当該ステップ1〜ステップ3の処理は、例えば、図1に示すQP算出回路541で行われる。
ステップ1では、GOP(Group Of Pictures) 内の各ピクチャに対する割当ビット量を、割当対象ピクチャを含めて、まだ符号化されていないピクチャに対して、割当られるビット量Rを基にして配分する。この配分をGOP内の符号化ピクチャ順に繰り返す。その際、以下の2つの仮定を用いて、各ピクチャへの符号量割当を行っているのが特徴である。
第1の仮定は、各ピクチャを符号化する際に用いる、平均量子化スケールコードと発生符号量との積は、画面が変化しない限り、ピクチャタイプ毎に一定となるという仮定である。
そこで、各ピクチャを符号化した後、各ピクチャタイプ毎に、画面の複雑さを表す媒介変数XI,XP,XB(Global Complexity Measure)を下記(1−1)により更新する。
この媒介変数により、次のピクチャを符号化する際の量子化スケールコードと発生符号量の関係を推定できる。
【0025】
【数1】
【0026】
ここで、SI,SP,SBは、ピクチャ符号化時の発生符号化ビット、QI,QP,QBは、ピクチャ符号化時の平均量子化スケールコードである。
また、初期値は、目標符号量であるbit_rate[bits/sec]を用いて、下記(1−2),(1−3),(1−4)で示される値とする。
【0027】
【数2】
【0028】
【数3】
【0029】
【数4】
【0030】
第2の仮定は、Iピクチャの量子化スケールコードを基準としたP,Bピクチャの量子化スケールコードの比率KP ,KB が、下記(1−5)に定める値になる時、常に全体の画質が最適化されると仮定する。
【0031】
【数5】
【0032】
すなわち、Bピクチャの量子化スケールコードは、I,Pピクチャの量子化スケールコードの常に1.4倍としている。これは、BピクチャをI,Pピクチャに比較して多少粗めに量子化することにより、Bピクチャで節約できる符号量をI,Pピクチャに加えると、I,Pピクチャの画質が改善されるとともに、これを参照するBピクチャの画質をも向上させることを想定している。
【0033】
上記2つの仮定より、GOP中の各ピクチャに対する割当符号量(TI ,TP,TB )は、下記(1−6),(1−7),(1−8)で示される値となる。
下記(1−6)において、picture_rateは、(当該シーケンスにおける、1秒あたり表示されるピクチャの数)を示している。
【0034】
【数6】
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】
ここで、NP ,NB は、GOP内でまだ符号化されていない、P,Bピクチャの枚数である。
【0038】
すなわち、まず、GOP内の未符号化ピクチャのうち、割当対象となるピクチャと、異なるピクチャタイプのものに関しては、上述の画質最適化条件の元、そのピクチャの発生する符合量が、割当対象ピクチャの発生符号量の何倍となるかを推定する。
次に、未符号化ピクチャ全体の発生する推定発生符号量が、割当対象ピクチャの何枚分の符号量に相当するかを求める。
例えば、上記(1−6)の、第1引数の分母第2項、Np Xp /XI KP は、GOP内の、NP 枚の未符号化ピクチャが、Iピクチャに換算すると何枚分に換算するかを表すものであり、NP に、Pピクチャに対する発生符号量の、Iピクチャの発生符号量に対する割合SP /SI を乗じ、上記(1−1)、上記(1−5)を用いて、XI ,XP ,KB で表すことにより得られる。
【0039】
割当対象ピクチャに対するビット量は、未符号化ピクチャに対する割当ビット量Rを、この枚数で割ることによって得られる。但し、ヘッダなどに、固定的に必要となる符号量を考慮して、その値に下限を設定している。
このようにして求めた割当符号量を基にして、各ピクチャをステップ1,2に従って符号化する毎に、GOP内の未符号化ピクチャに対して割当られる符号量Rを、下記(1−9)により更新する。
【0040】
【数9】
【0041】
また、GOPの最初のピクチャを符号化する際には、以下の(1−10)により、Rを更新する。
【0042】
【数10】
【0043】
ここで、Nは、GOP内のピクチャ数である。また、シーケンス最初でのRの初期値は0とする。
次に、ステップ2について述べる。
ステップ2では、ステップ1で求めた、各ピクチャに対する割当ビット量(TI,TP ,TB )を、実際の符号量に一致させるため、各ピクチャタイプ毎に、独立に設定した3種類の仮想バッファの容量を基に、量子化スケールコードを、マクロブロック単位のフィードバック制御により求める。
まず、j番目のマクロブロック符号化に先立ち、仮想バッファの占有量を下記(1−11),(1−12),(1−13)により求める。
【0044】
【数11】
【0045】
【数12】
【0046】
【数13】
【0047】
d0I ,d0P ,d0Bは、各仮想バッファの初期占有量、Bj は、ピクチャの先頭からj番目のマクロブロックまでの発生ビット量、MBcntは、1ピクチャ内のマクロブロック数である。
【0048】
各ピクチャ符号化終了時の仮想バッファ占有量(dMBcntx I ,dMBcntx p ,dMBcntx B )は、それぞれ同一のピクチャタイプで、次のピクチャに対する仮想バッファ占有量の初期値(d0 I ,d0 P ,d0 B )として用いられる。
次に、j番目のマクロブロックに対する量子化スケールコードQj を下記(1−14)により算出する。
ここで、dj は、dj I ,dj P ,dj B を用いて下記式1−11〜式1−13のように定義される。
【0049】
【数14】
【0050】
rはリアクションパラメータと呼ばれるフィードバックループの応答速度を制御する媒介変数で、下記(1−15)により与えられる。
【0051】
【数15】
【0052】
なお、シーケンスの最初における仮想バッファ初期値は下記(1−16)により与えられる。
【0053】
【数16】
【0054】
次に、ステップ3について述べる。
アクティビティは、予測誤差でなく、原画の輝度信号画素値を用い、フレームDCTモードにおける4個の8×8ブロックと、フィールドDCT符号化モードにおける4個の8×8ブロックとの合計8個のブロックの画素値を用いて、下記(1−17),(1−18),(1−19)により与えられる。
下記(1−18)に示すvar_sblkは、各画素の画素データとその平均値との差分の自乗和であり、当該8×8ブロックの画像が複雑になるに従って値が大きくなる。
【0055】
【数17】
【0056】
【数18】
【0057】
【数19】
【0058】
ここでPk は原画の輝度信号ブロック内画素値である。上記(1−17)において最小値(min)を採るのは、16×16のマクロブロック内の一部だけでも平坦部分のある場合には量子化を細かくするためである。
さらに、以下の(1−20)により、その値が0.5〜2の範囲をとる正規化アクティビティNactj を求める。
【0059】
【数20】
【0060】
avg_actは、直前に符号化したピクチャでのactj の平均値である。
視覚特性を考慮した量子化スケールコードmquantj は、参照量子化スケールコードQj を基に下記(1−21)により与えられる。
【0061】
【数21】
【0062】
そして、前述したように、QP算出回路541が、量子化スケールコードmquantjを量子化パラメータQPとしてレート制御回路512に出力する。
ここで、上述したQP算出回路541では、例えば、図3に示すように、スライス境界に位置するマクロブロックについても、上述した手法で、スライス境界以外に位置するマクロブロックと同様に、量子化パラメータQPを生成している。
【0063】
ところで、図1に示す可逆符号化回路506では、上述したJVT符号化方式が採用する、CABACが規定するエントロピー符号化方式、動きベクトル符号化、及びイントラ予測においては、複数の画素データから構成されるブロックデータの処理を行う場合に、例えば、当該処理対象のブロックの近傍の所定のブロックの情報を用いて処理を行う。
但し、この場合に、処理対象のブロックの上記近傍の所定のブロックが、当該処理対象のブロックと異なるスライスに属する場合には、当該近傍の所定のブロックの情報は用いずに、代替値を用いて処理を行う。このような代替値を用いた処理は、スライス境界に位置するブロックについて生じる。
しかしながら、このように代替値を用いて処理を行うと、代替値を用いたことによる処理精度の劣化を、直交変換によって防ぐことができず、スライス境界付近で顕著な画質劣化を生じてしまうという問題がある。
特に量子化パラメータQPの値が小さい場合に、この影響が大きくなる。
【0064】
例えば、可逆符号化回路506においてCABACが規定するエントロピー符号化が行われるが、当該エントロピー符号化において、画像圧縮情報における任意のシンボル要素について、過去の履歴に応じて、当該シンボルに対する適切なモデルが選択される。この場合に、隣接するシンボルの状態に応じたモデル選択を行うコンテクストモデル化が採用されている。
このコンテクストモデル化では、例えば、図4に示すマクロブロックCについてのコンテキストを、マクロブロックCに隣接するマクロブロックA,Bのシンボルを用いて決定する。
従って、例えば、マクロブロックCがスライス境界に位置し、マクロブロックA,Bの少なくとも一方がブロックCが属するスライスとは異なるスライスに属する場合に、そのマクロブロックA,Bのシンボルを使用できず、マクロブロックCのコンテクスト決定に精度が劣化するという問題がある。
【0065】
また、可逆符号化回路506において、動きベクトルの符号化が行われる。
この場合に、可逆符号化回路506は、例えば、図5に示すように、動き補償ブロックEの予測動きベクトルを生成する場合に、動き補償ブロックA,B,C,Dを用いるが、これらのうち動き補償ブロックCが、動き補償ブロックEと異なるスライスに属する場合に、動き補償ブロックCの代替値として動き補償ブロックDを用いる。
そのため、動き補償ブロックEの予測動きベクトルの生成精度が劣化するという問題がある。
【0066】
また、可逆符号化回路506において、イントラ予測符号化が行われる。
可逆符号化回路506は、例えば、図6において、マクロブロックB1内の画素データa〜pの予測値Pを生成する場合に、画素データA〜Lを用いる。
この場合に、例えば、画素データE〜Hが、マクロブロックB1が属するスライスとは異なるスライスに属する場合に、画素データE〜Hの代替値として画素データDが用いられる。
そのため、予測値Pの生成精度が劣化するという問題がある。
【0067】
以下、上述した問題を解決するための本実施形態の画像処理装置およびその方法と符号化装置について説明する。
第1実施形態
図7は、本実施形態の通信システム1の概念図である。
図7に示すように、通信システム1は、送信側に設けられた符号化装置2と、受信側に設けられた復号装置499とを有する。
符号化装置2が発明の符号化装置に対応している。
符号化装置2および復号装置499は、上述したJVT符号化方式に基づいて符号化および復号を行なう。
復号回路499は、図2を用いて前述したものと同じである。
【0068】
通信システム1では、送信側の符号化装置2において、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換などの直交変換と動き補償によって圧縮したフレーム画像データ(ビットストリーム)を生成し、当該フレーム画像データを変調した後に、衛星放送波、ケーブルTV網、電話回線網、携帯電話回線網などの伝送媒体を介して送信する。
受信側では、受信した画像信号を復調した後に、上記変調時の直交変換の逆変換と動き補償によって伸張したフレーム画像データを生成して利用する。
なお、上記伝送媒体は、光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリなどの記録媒体であってもよい。
なお、本実施形態では、符号化装置2におけるレート制御回路32の量子化制御に特徴を有している。
【0069】
〔符号化装置2〕
図8は、図7に示す符号化装置2の全体構成図である。
図8に示すように、符号化装置2は、例えば、A/D変換回路22、画面並べ替え回路23、演算回路24、直交変換回路25、量子化回路26、可逆符号化回路27、バッファ28、逆量子化回路29、逆直交変換回路30、フレームメモリ31、レート制御回路32、動き予測・補償回路36、デブロックフィルタ37、スライス境界検出回路40およびQP算出回路41を有する。
【0070】
スライス境界検出回路40が本発明の検出手段に対応し、QP算出回路41が本発明のパラメータ生成手段に対応し、レート制御回路32が本発明の量子化制御手段に対応し、レート制御回路32および量子化回路26が本発明の量子化手段に対応し、可逆符号化回路27が本発明の符号化手段に対応している。
【0071】
符号化装置2は、上述したように、例えば、可逆符号化回路27において、CABACで規定されたエントロピー符号化方式、動きベクトル符号化、及びイントラ予測を行う。
本実施形態では、レート制御回路32が、スライス境界検出信号S40が処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置することを示す場合に、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPを用いて補正して、量子化をより細かく行うように新たな量子化パラメータQP1を生成することを特徴としている。
【0072】
以下、符号化装置2の構成要素について説明する。
A/D変換回路22は、入力されたアナログの輝度信号Y、色差信号Pb,Prから構成される画像信号をデジタルの画像信号に変換し、これを画面並べ替え回路23に出力する。
画面並べ替え回路23は、A/D変換回路22から入力した画像信号内のフレーム画像信号を、そのピクチャタイプI,P,BからなるGOP(Group Of Pictures) 構造に応じて、符号化する順番に並べ替えたフレーム画像データS23を演算回路24、動き予測・補償回路36、スライス境界検出回路40およびQP算出回路41に出力する。
【0073】
演算回路24は、フレーム画像データS23がインター(Inter) 符号化される場合には、フレーム画像データS23と、動き予測・補償回路36から入力した予測フレーム画像データS36aとの差分を示す画像データS24を生成し、これを直交変換回路25に出力する。
また、演算回路24は、フレーム画像データS23がイントラ(Intra) 符号化される場合には、フレーム画像データS23を画像データS24として直交変換回路25に出力する。
直交変換回路25は、画像データS24に離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換などの直交変換を施して画像データ(例えばDCT係数信号)S25を生成し、これを量子化回路26に出力する。
直交変換回路25は、例えば、4×4のブロックを単位として直交変換を行う。
量子化回路26は、レート制御回路32から入力した量子化スケールで、画像データS25を量子化して画像データS26を生成し、これを可逆符号化回路27および逆量子化回路29に出力する。
【0074】
可逆符号化回路27は、画像データS26をCABACで規定されたエントロピー符号化および、イントラ予測符号化して可変長符号化あるいは算術符号化した画像データをバッファ28に格納する。
また、可逆符号化回路27は、動き予測・補償回路36から入力した動きベクトルMVあるいはその差分を符号化してヘッダデータに格納する。
可逆符号化回路27は、複数のマクロブロック(本発明の単位画像データ)から構成されるピクチャが、図3に示すように複数のスライス(本発明のモジュール)に分割され、当該複数のスライスの符号化処理を独立して並列に行う。これにより、画像圧縮処理を実時間に行うことを可能とする。
【0075】
バッファ28に格納された画像データは、変調等された後に送信される。
可逆符号化回路27における上記エントロピー符号化では、画像データS26内の任意のシンボル要素について、過去の履歴に応じて、当該シンボルに対する適切なモデルが選択される。この場合に、隣接するシンボルの状態に応じたモデル選択を行うコンテクストモデル化が採用されている。
可逆符号化回路27は、例えば、前述した図4に示すマクロブロックCのコンテキストを、マクロブロックCに隣接するマクロブロックA,BがマクロブロックCと同じスライスに属している場合に、マクロブロックA,Bのシンボルを用いて用いて生成する。
また、可逆符号化回路27は、マクロブロックA,BがマクロブロックCと異なるスライスに属している場合には、マクロブロックA,Bのシンボルの代わりに所定の代替データを用いて、マクロブロックCのコンテキストを生成する。
【0076】
また、可逆符号化回路27は、例えば、図5に示すように、動き補償ブロックA,B,C,Dが動き補償ブロックEと同じスライスに属する場合に、動き補償ブロックA,B,C,Dを用いて補償ブロックEの予測動きベクトルを生成する。
一方、可逆符号化回路27は、例えば、動き補償ブロックCが動き補償ブロックEと異なるスライスに属する場合に、動き補償ブロックCの代替値データとして動き補償ブロックDを用いて、補償ブロックEの予測動きベクトルを生成する。
【0077】
また、可逆符号化回路27、例えば、図6に示すように、マクロブロックB1内の画素データa〜pの予測値Pを、イントラ予測符号化により、画素データA〜LがマクロブロックB1と同じスライスに属する場合に、これらを用いて生成する。
一方、可逆符号化回路27は、画素データE〜Hが、マクロブロックB1が属するスライスとは異なるスライスに属する場合に、画素データE〜Hの代替データとして画素データDを用いて、予測値Pを生成する。
【0078】
逆量子化回路29は、画像データS26を逆量子化したデータを生成し、これをデブロックフィルタ37に出力する。
逆直交変換回路30は、量子化され、デブロックフィルタ37でブロック歪みが除去された画像データに上記直交変換の逆変換を施して生成したフレーム画像データをフレームメモリ31に格納する。
【0079】
レート制御回路32は、バッファ28から読み出した画像データ、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQP、並びにスライス境界検出回路40から入力したスライス境界検出信号S40を基に、量子化回路26における量子化の量子化スケールS32を生成し、これを量子化回路26に出力する。
レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が、処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置することを示す場合に、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPを用いて、下記式(2−1)の演算を行って新たな量子化パラメータQP1を生成する。
そして、レート制御回路32は、量子化パラメータQP1を基に量子化スケールを決定し、当該量子化スケールにより量子化回路26の量子化を制御する。
なお、下記式(2−1)において、wは下記式(2−2)で示される。
また、下記式(2−1)は、wに量子化パラメータQPを乗じた値に対して、丸めによる整数化処理を行うことを示している。
【0080】
【数22】
【0081】
【数23】
【0082】
すなわち、レート制御回路32は、上記式(2−1)に示すように、スライス境界に位置するマクロブロックに対応する量子化パラメータQPに、上記式(2−2)で定義された重み係数wを乗じることで、他のマクロブロックに比してより低い量子化パラメータを割当て、これにより、より多くの符号量を割り当てる。これにより、スライス境界に位置するマクロブロックが、前述したように可逆符号化回路27において隣接するマクロブロックの情報を用いないで符号化処理されることによる画質劣化を最小限に抑えながら、スライス毎の符号化処理を可能とする。
一方、レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置しないことを示す場合に、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPをそのまま用いて量子化スケールを決定し、当該量子化スケールにより量子化回路26の量子化を制御する。
ここで、量子化パラメータが大きくなるに従って量子化スケールも大きくなり、量子化回路26による量子化も粗くなる。
【0083】
スライス境界検出回路40は、符号化対象のマクロブロックと、当該マクロブロックの符号化処理に用いられる他のマクロブロックとが同じスライスに属するか否かを判断し、同じスライスに属すると判断した場合には、スライス境界に位置することを示すスライス境界検出信号S40を生成し、異なるスライスに属すると判断した場合には、スライス境界に位置しないことを示すスライス境界検出信号S40を生成する。
例えば、本実施形態では、符号化対象のマクロブロックの符号化処理に用いられる他のマクロブロックのピクチャ上での位置が、当該符号化対象のマクロブロックの位置に対応して所定の位置関係がある。なお、マクロブロックの位置は、そのアドレスを基に規定される。
そのため、スライス境界検出回路40は、符号化対象のマクロブロックの位置が、当該マクロブロックに対応する上記他のマクロブロックの位置が、スライス境界を越えて位置するものであるか否かを基に、上記判断を行う。
一例として、スライス境界検出回路40は、図3において、マクロブロックが、ピクチャ上でスライス境界の一方の側(図3では下側)に隣接している場合に、スライス境界に位置すると判断し、そうでない場合に、スライス境界に位置しないと判断する。
【0084】
QP算出回路41は、本発明の関連技術において前述したように、MPEG2のTM5のステップ1〜ステップ3に従って、マクロブロック毎に量子化パラメータQPを生成し、これをレート制御回路32に出力する。
【0085】
動き予測・補償回路36は、フレームメモリ31からの画像データS31と、画面並べ替え回路23からの画像データとを基に動き予測・補償処理を行って、動きベクトルMVおよび参照画像データS36aを生成する。
動き予測・補償回路36は、動きベクトルMVを可逆符号化回路27に出力し、参照画像データS36aを演算回路24に出力する。
【0086】
次に、図8に示す符号化装置2の全体動作を説明する。
入力となる画像信号は、まず、A/D変換回路22においてデジタル信号に変換される。次に、出力となる画像圧縮情報のGOP構造に応じ、画面並べ替え回路23においてフレーム画像データの並べ替えが行われる。
そして、スライス境界検出回路40は、前述したように、図3において、符号化対象のマクロブロックが、ピクチャ上でスライス境界の一方の側(図3では下側)に隣接している場合に、スライス境界に位置すると判断し、そうでない場合に、スライス境界に位置しないと判断し、その結果を示すスライス境界検出信号S40をレート制御回路32に出力する。
また、QP算出回路41が、前述したように、MPEG2のTM5のステップ1〜ステップ3に従って、マクロブロック毎に量子化パラメータQPを生成し、これをレート制御回路32に出力する。
【0087】
イントラ符号化が行われるフレーム画像データに関しては、フレーム画像データ全体の画像情報が直交変換回路25に入力され、直交変換回路25において離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換が施される。
直交変換回路25の出力となる変換係数は、量子化回路26において量子化処理される。
量子化回路26は、レート制御回路32からの制御に基づいて、量子化パラメータQPを基に規定された量子化スケールで量子化を行う。
このとき、レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が、処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置することを示す場合に、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPを用いて、上記式(2−1)の演算を行って新たな量子化パラメータQP1を生成する。
そして、レート制御回路32は、量子化パラメータQP1を基に量子化スケールを決定し、当該量子化スケールにより量子化回路26の量子化を制御する。
【0088】
量子化回路26の出力となる、量子化された変換係数は、可逆符号化回路27に入力され、ここで可変長符号化、算術符号化等の可逆符号化が施された後、バッファ28に蓄積され、圧縮された画像データとして出力される。
同時に、量子化回路26の出力となる、量子化された変換係数は、逆量子化回路29に入力され、さらに逆直交変換回路30において逆直交変換処理が施されて、復号されたフレーム画像データとなり、そのフレーム画像データがフレームメモリ31に蓄積される。
【0089】
一方、インター符号化が行われる画像に関しては、先ず、そのフレーム画像データS23が動き予測・補償回路36に入力される。また、参照画像のフレーム画像データS31がフレームメモリ31より読み出され、動き予測・補償回路36に出力される。
そして、動き予測・補償回路36において、参照画像のフレーム画像データS31を用いて、動きベクトルMVおよび予測フレーム画像データS36aが生成される。
【0090】
そして、演算回路24において、画面並べ替え回路23からのフレーム画像データと、動き予測・補償回路36からの予測フレーム画像データS36aとの差分信号である画像データS24が生成され、当該画像データS24が直交変換回路25に出力される。
そして、可逆符号化回路27において、動きベクトルMVが可変長符号化あるいは算術符号化といった可逆符号化処理され、画像データのヘッダ部に挿入される。その他の処理はイントラ符号化を施される画像データと同様である。
【0091】
以上説明したように、符号化装置2によれば、レート制御回路32において、スライス境界に位置するマクロブロックについては、量子化パラメータQPに重み付け係数Qを乗じることで、より小さい量子化パラメータQP1を割り当て、これにより、当該マクロブロックにより多くの符号量を割り当て、細かく量子化を行う。
そのため、本発明の関連技術で説明したように、可逆符号化回路27において、当該マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属し、当該マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行っても、当該マクロブロックの符号化による画質劣化を抑制できる。すなわち、スライス境界での顕著な画質劣化を抑制でき、画像全体に渡って高品質な画像を提供できる。
【0092】
第2実施形態
ところで、スライス境界における画質劣化は、量子化パラメータQPが大きい時に生じ、逆に、量子化パラメータQPが小さい時には、前述した式(2−1)に示す処理を行うことで、逆に、後続のマクロブロックに割り当てる符号量を余計に使ってしまうことになり、画質劣化に繋がる場合がある。
そのため、本実施形態では、図9に示すように、上記式(2−1),(2−2)に示す重み付け係数wを、下記式(2−3)に示すように、量子化パラメータQPの関数として定義する。
レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置することを示す場合に、上記式(2−1),(2−2),(2−3)を基に、新たな量子化パラメータQP1を生成する。
【0093】
【数24】
【0094】
すなわち、レート制御回路32は、量子化パラメータQPが所定の閾値QPthreshold 以下である場合には、重み付け係数wを「1.0」とし、量子化パラメータQPが閾値QPthreshold を超えた場合には、その大きさに応じて重み付け係数wを単調減少させる。
【0095】
これにより、画質劣化に影響を及ぼす場合にのみ、スライス境界のマクロブロックに多くの符号量を割り当てられることができ、限りある符号量を有効に使用できる。
【0096】
第3実施形態
前述した第1実施形態では、レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置しないことを示す場合に、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPそのまま用いて量子化スケールを決定する場合を例示した。
本実施形態では、レート制御回路32は、スライス境界検出信号S40が処理対象のマクロブロックがスライス境界に位置しないことを示す場合に、下記式(2−4),(2−5)に示すように、QP算出回路41から入力した量子化パラメータQPに重み付け係数w’を乗じた値に対して丸めによる整数化処理を行って新たな量子化パラメータQP2を生成する。
【0097】
【数25】
【0098】
【数26】
【0099】
そして、レート制御回路32は、スライス境界に位置しないマクロブロックについて、量子化パラメータQP2を用いて量子化スケールを決定し、当該量子化スケールにより量子化回路26の量子化を制御する。
このように、スライス境界に位置しないマクロブロックについて、式(2−4)を基に生成された量子化パラメータQP2を用いて量子化を制御することで、画面(ピクチャ)全体に渡る発生符号量を増加させることなく、スライス境界における画質劣化を低減することが可能である。
ここで、式(2−4),(2−5)に示す重み付け係数w’も、式(2−1)に示す重み付け係数wと同様、量子化パラメータQPの関数として与えられる。w及びw’の、スライス全体に渡る平均値は1である。
【0100】
第4実施形態
本実施形態では、レート制御回路32が、上記式(2−1),(2−2)に代えて、下記式(2−6),(2−7)に従って、量子化パラメータQP3を生成する。
【0101】
【数27】
【0102】
【数28】
【0103】
図10は、本実施形態の量子化パラメータQP3の生成における重み付け係数kの規定方法を説明するための図であり、複数のスライスに分割されたピクチャを示している。
例えば、量子化パラメータQPが一定であるとすると、図10において、符号化対象のマクロブロックの位置のスライス境界からの距離(垂直方向距離)に応じて、近い順に、レベル0、レベル1、レベル2…とする。
レベルxのマクロブロックに対する重み係数kは、上記式(2−7)に示すように、lを引数とする関数Fとして与えられる。
ここで、xは、マクロブロックとスライス境界との距離に対応している。
【0104】
当該関数Fは、例えば、図11(A)に示すように、xに応じてkを単調増
加させるものでもよいし、図11(B)に示すように、xがある閾値xthreshold 以下の時には単調増加で、閾値xthreshold を越えた場合には、一定値を取るものでもよい。
いずれの場合も、スライス全体に渡るk(x)の平均値を1とすることで、画面全体に渡る符号量を増加させることなく、スライス境界における画質劣化を低減することが可能である。
【0105】
また、関数fは、量子化パラメータQPの関数でもあり、QPの値がある閾値を下回った場合には、その値kを1.0とする。
以上述べてきた方法を用いることにより、スライス境界における画質劣化を低減しながら、一画面を複数のスライスに分割し、並列処理を行うことで、実時間で動作することができる。
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、画質の顕著な劣化を抑制できる画像処理装置、符号化装置およびそれらの方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の関連技術に係わる符号化装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の関連技術に係わる復号装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、JVT符号化方式におけるスライスおよびマクロブロックの概念を説明するための図である。
【図4】図4は、JVT画像圧縮情報におけるエントロピー符号化を説明するための図である。
【図5】図5は、JVT符号化方式における動きベクトル符号化を説明するための図である。
【図6】図6は、JVT符号化方式におけるイントラ予測符号化を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態に係わる符号化装置を説明するための図である。
【図8】図8は、図7に示す符号化装置の構成図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態における量子化パラメータの決定方法を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態の量子化パラメータの生成方法を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の第4実施形態の量子化パラメータの生成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1…通信システム、2…符号化装置、22…A/D変換回路、23…画面並べ替え回路、24…演算回路、25…直交変換回路、26…量子化回路、27…可逆符号化回路、28…バッファ、29…逆量子化回路、30…逆直交変換回路、31…フレームメモリ、32…レート制御回路、36…動き予測・補償回路、40…スライス境界検出回路、41…QP算出回路
Claims (2)
- 1画像データを各々複数のマクロブロックを有する複数のスライスに分割された前記各々のスライスを予測符号化方式を用いて符号化処理するため、
各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データと予測符号化した画像データとの差を直交変換し、当該直交変換した結果を量子化する、直交変換・量子化部と、
前記直交変換・量子化部の処理結果を逆量子化し、当該逆量子化して復元した画像データについて動き予測補償処理を行い、前記直交変換・量子化部への差分信号として出力する動き予測補償部と、
前記直交変換され量子化された結果を可逆符号化するとき、前記マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属する場合、当該マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行い、前記直交変換・量子化部の処理結果を可逆符号化する可逆符号化部と、
前記可逆符号化部で符号化された画像データを記憶するバッファと、
符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置するか否かを検出するスライス境界検出部と、
前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データの量子化量を算出し、前記バッファのレート制御を行う量子化制御部と、
を有し、
前記量子化制御部は、前記スライス境界検出部が前記符号化対象のマクロブロックが前記スライスの境界に位置すると検出したとき、当該マクロブロックにおける画像の複雑度を示すアクティビティと当該マクロブロックにおける参照量子化スケールコードとを乗算して第1の量子化パラメータを算出し、当該第1の量子化パラメータを関数として、0から1の範囲の値をとる重み付け係数を算出し、当該算出した重み付け係数を前記第1の量子化パラメータに乗じて第2の量子化パラメータを求め、当該求めた第2の量子化パラメータを用いて前記直交変換・量子化部における量子化を制御して、前記バッファのレートを制御する
画像処理装置。 - 1画像データを各々複数のマクロブロックを有する複数のスライスに分割された前記各々のスライスを予測符号化方式を用いて符号化処理するため、
前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データの量子化量を算出し、符号化データを記憶するバッファのレート制御を行う量子化制御ステップと、
前記各々のスライス内の複数のマクロブロックの画像データと予測符号化した画像データとの差を直交変換し、当該直交変換した結果を量子化する、直交変換・量子化ステップと、
前記直交変換・量子化ステップでの処理結果を逆量子化し、当該逆量子化して復元した画像データについて動き予測補償処理を行い、前記直交変換・量子化部への差分信号として出力する動き予測補償ステップと、
前記直交変換され量子化された結果を可逆符号化するとき、前記マクロブロックとそれに隣接するマクロブロックとが異なるスライスに属する場合、当該マクロブロックの符号化をそれに隣接するマクロブロックのデータの代替データを用いて行い、前記直交変換・量子化部の処理結果を可逆符号化する可逆符号化ステップと、
符号化対象のマクロブロックがスライスの境界に位置するか否かを検出するスライス境界検出ステップと
を有し、
前記量子化制御ステップにおいて、前記スライス境界検出ステップにより前記符号化対象のマクロブロックが前記スライスの境界に位置すると検出されたとき、
当該マクロブロックにおける画像の複雑度を示すアクティビティと当該マクロブロックにおける参照量子化スケールコードとを乗算して第1の量子化パラメータを算出し、
当該第1の量子化パラメータを関数とし、0から1の範囲の値をとる重み付け係数を算出し、当該算出した重み付け係数を前記第1の量子化パラメータに乗じて第2の量子化パラメータを求め、
当該求めた第2の量子化パラメータによって前記直交変換・量子化ステップにおける量子化を制御して、前記バッファのレートを制御する
画像処理方法。
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