JP2011066249A - 荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法 Download PDF

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Abstract

【課題】描画精度を低下させる要因毎の補正係数を効率よく求めて、精度よく描画することのできる荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法を提供する。
【解決手段】近接した小パターン1〜4からなる複数のパターン10a〜10dを準備する。ステージを加減速しながら移動させて試料に第1の小パターン1のみをX方向に順に描画した後、同様にして第2の小パターン2のみを−X方向に順に描画する。次に、ステージを等速で移動させながら試料に第3の小パターン3のみをX方向に順に描画した後、同様にして第4の小パターン4のみを−X方向に順に描画する。描画した小パターン1〜4の各位置情報を用いて次式から速度補正係数αと加速度補正係数βを算出する。
−P=2αV(P)、(P+P)−(P+P)=2βA(P)
【選択図】図3

Description

本発明は、荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭くなっている。半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)を用い、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。こうした微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細パターンを描画可能な電子ビーム描画装置が用いられる。また、レーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発も試みられている。尚、電子ビーム描画装置は、ウェハに直接パターン回路を描画する場合にも用いられる。
電子ビーム描画装置は、ステージに載置されたマスクに描画するパターンを主偏向で偏向可能な幅の複数のフレームに分割すると共に、各フレームを多数のサブフィールドに分割し、ステージをフレームの幅方向に直交する方向に移動させつつ、電子ビームを主偏向により各サブフィールドに位置決めし、副偏向によりサブフィールドの所定位置に電子ビームをショットして図形を描画するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、電子ビーム描画装置は、パターンを複数のフレームに分割する処理、フレームを多数のサブフィールドに分割する処理、サブフィールド内の図形の形状、大きさ、位置を決定する処理、図形を1回のショットで描画できる複数部分に分割する処理等を行って描画のための制御データ(ショットデータ)を作成し、この制御データに基づいて描画を行う。その後、描画済みのマスクを検査装置に移し替えて、描画精度低下の有無を検査し、描画精度の低下があったときは、その後の描画で描画精度低下を生じないように必要な補正をかけている。
描画精度が低下する要因の1つに、ステージの移動速度の変動が挙げられる。
電子ビーム描画装置では、スループットの向上を図るため、図形密度が疎の部分ではステージの移動速度を速くして描画時間を短縮することが行われる。このため、ステージ速度を一定として描画を行うと、描画パターンに位置ずれを生じる。そこで、ステージの位置ずれ量を偏向器にフィードバックし、さらにステージの移動速度から補正演算に要する時間中のステージの移動量を予想してビーム位置の補正を行うトラッキング補正が行われている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2008−34439号公報 特開2003−86485号公報
しかしながら、描画精度を低下させる要因は、ステージの移動速度の変動に限らない。
ステージの位置は、レーザ測長計を用い、ステージに固定したステージミラーにレーザ光を入反射させることにより測定する。ここで、ステージの移動速度を上記の如く図形密度が疎の領域で速くすると、この領域の始端部でステージが加速され、この領域の終端部でステージが減速されることになる。このとき、ステージの加減速によってステージミラーが慣性力で撓んで変形する。すると、ステージの位置を正確に測定することができなくなるので、描画精度の低下を生じやすくなる。
ところで、従来は、速度補正と加速度補正とを別々に行っていた。すなわち、ステージの移動速度の変動については、所定の等速でパターンを描画した後、速度を振って同様に等速でパターンを描画することにより、補正係数を求めていた。また、加速度については、ステージを加減速させながら上記とは別のパターンを描画して補正係数を求めていた。
しかしながら、このように要因毎に異なる方法で補正係数を求めたのでは、時間を要することになり手間でもあった。
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、描画精度を低下させる要因毎の補正係数を効率よく求めて、精度よく描画することのできる荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、荷電粒子ビームを照射する照射部と、
荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
試料を載置して移動するステージと、
荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正して偏向器を制御する偏向制御部とを有し、
偏向制御部は、ステージ上での位置に応じた照射位置のずれが無視できる程度に近接した第1〜第4の小パターンからなる複数のパターンについて、ステージを加減速しながら移動させて試料に第1の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを加減速しながら移動させて第1の小パターンに隣接する第2の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画して得られた各小パターンの位置情報を取得し、式(I)から速度補正係数αを算出するとともに、
ステージを等速で移動させながら試料に第3の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを等速で移動させながら第3の小パターンに隣接する第4の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画して得られた各小パターンの位置情報を取得し、式(II)から加速度補正係数βを算出することを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置に関する。
−P=2αV(P) (I)
但し、Pは第1の小パターンの位置、Pは第2の小パターンの位置、V(P)はステージの速度関数を表す。
(P+P)−(P+P)=2βA(P) (II)
但し、Pは第3の小パターンの位置、Pは第4の小パターンの位置、A(P)はステージの加速度関数を表す。
速度補正係数αは、式(I)をステージの移動方向の位置とステージの速度との関係にフィッティングして算出されることが好ましい。
加速度係数βは、式(II)をステージの移動方向の位置とステージの加速度との関係にフィッティングして算出されることが好ましい。
本発明の第2の態様は、ステージ上に載置された試料に荷電粒子ビームを用いて所定のパターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、
ステージ上での位置に応じた荷電粒子ビームの照射位置のずれが無視できる程度に近接した第1〜第4の小パターンからなる複数のパターンを準備する工程と、
ステージを加減速しながら移動させて試料に第1の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを加減速しながら移動させて第1の小パターンに隣接する第2の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する工程と、
ステージを等速で移動させながら試料に第3の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを等速で移動させながら第3の小パターンに隣接する第4の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する工程と、
描画した小パターンのそれぞれの位置情報を取得する工程と、
位置情報を用いて式(1)と式(II)から速度補正係数αと加速度補正係数βを算出する工程と、
速度補正係数αと加速度補正係数βを用いて荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正する工程とを有することを特徴とするものである。
−P=2αV(P) (I)
但し、Pは第1の小パターンの位置、Pは第2の小パターンの位置、V(P)はステージの速度関数を表す。
(P+P)−(P+P)=2βA(P) (II)
但し、Pは第3の小パターンの位置、Pは第4の小パターンの位置、A(P)はステージの加速度関数を表す。
速度補正係数αは、式(I)をステージの移動方向の位置とステージの速度との関係にフィッティングして算出され、
加速度係数βは、式(II)をステージの移動方向の位置とステージの加速度との関係にフィッティングして算出されることが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、描画精度を低下させる要因毎の補正係数を効率よく求めて、精度よく描画することのできる荷電粒子ビーム描画装置が提供される。
本発明の第2の態様によれば、描画精度を低下させる要因毎の補正係数を効率よく求めて、精度よく描画することのできる荷電粒子ビーム描画方法が提供される。
本実施の形態の電子ビーム描画装置の構成図である。 実施形態の電子ビーム描画装置によるパターンの描画方法を示す説明図である。 本実施の形態で補正係数の算出に用いられる描画パターンの一例である。 本実施の形態で補正係数算出のための描画時の速度プロファイルの一例である。 本実施の形態で補正係数算出のための描画時の加速度プロファイルの一例である。
図1は、本実施の形態の荷電粒子ビーム描画装置の一例である電子ビーム描画装置の構成図である。
電子ビーム描画装置101は、描画部103と制御部104とで構成される。描画部103は、描画室300と、描画室300の天井部に設けた電子鏡筒301とを備えている。描画室300内には、互いに直交するX方向とY方向に移動自在なステージ302が設けられており、ステージ302上に試料Wが載置される。試料Wは、例えば、ガラス基板上にクロム膜等の遮光膜とレジスト膜とが積層されたマスクである。
電子鏡筒301内には、上から順に、電子銃303と、照明レンズ304と、ブランキング偏向器305と、ブランキングアパーチャ306と、第1成形アパーチャ307と、投影レンズ308および成形偏向器309と、第2成形アパーチャ310と、主偏向器311と、対物レンズ312と、副偏向器313とが配置されている。
電子銃303から発せられた電子ビームBは、照明レンズ304により第1成形アパーチャ307に照射されるが、ブランキングオン時(非描画期間)には、ブランキング偏向器305により偏向されてブランキングアパーチャ306上に照射され、第1成形アパーチャ307には照射されない。
第1成形アパーチャ307には矩形状の開口が形成されている。そして、電子ビームBは、第1成形アパーチャ307を透過する際に、その断面形状が矩形に成形され、投影レンズ308により第2成形アパーチャ310上に投影される。この際、成形偏向器309により第2成形アパーチャ310への電子ビームBの投影場所を変化させ、電子ビームBの形状と寸法を制御する。
第2成形アパーチャ310を透過した電子ビームBの焦点は、対物レンズ312により試料Wに合わせられる。そして、主偏向器311による電子ビームBの主偏向と副偏向器313による電子ビームBの副偏向とで、試料Wに対する電子ビームBのショット位置が制御される。
試料W上に描画されるパターン5は、図2に示すように、主偏向で偏向可能なY方向幅の短冊状の複数のフレーム51に分割され、さらに、各フレーム51は、行列状の多数のサブフィールド52に分割される。そして、パターン5の描画に際しては、ステージ302をフレーム51の幅方向に直交するX方向に連続移動させつつ、電子ビームBを主偏向により各サブフィールド52に位置決めし、副偏向によりサブフィールド52の所定位置に電子ビームBをショットして図形53を描画する。そして、1つのフレーム51の描画を終了すると、ステージ302をY方向にステップ移動させてから次のフレーム51の描画を行い、これを繰り返して試料W全体にパターン5を描画する。尚、図形53の寸法が大きいときは、図形53を複数部分に分割し、各部分に順に電子ビームBをショットする。描画中は、ステージ302が一方向に連続的に移動しているので、描画原点がステージ302の移動に追従するように、主偏向器311によってサブフィールド52の描画原点をトラッキングさせている。
このように、電子ビームBは、主偏向器311と副偏向器313によって偏向され、連続的に移動するステージ302に追従しながら、照射位置を決められる。X方向のステージ移動を連続的に行うとともに、電子ビームBのショット位置をステージ移動に追従させることで、描画時間の短縮を図ることができる。但し、本実施の形態においては、ステージ302を停止させた状態で1つの主偏向領域の描画を行い、次の領域へ移動するときには描画を行わないステップアンドリピート方式の描画方法であってもよい。
制御部104は、電子ビーム描画装置101の各種制御を行う制御計算機400を備えている。制御計算機400には、ステージ302の駆動部401と、ステージ302に固定したステージミラー302aへのレーザ光の入反射でステージ302の位置を測定するレーザ測長計402とが接続されている。また、制御計算機400には、偏向制御部403が接続されており、ブランキング偏向器305、成形偏向器309、主偏向器311および副偏向器313を偏向制御部403により各偏向器用アンプ305a、309a、311a、313aを介して制御する。
制御部104は、さらに、パターンデータ(CADデータ)を電子ビーム描画装置101で処理可能なフォーマットに変換した描画データを記憶する記憶装置404を備えている。また、制御部104は、ショットデータ生成部405を備えている。ショットデータ生成部405は、描画データで規定されるパターン5を複数のフレーム51に分割する処理、各フレーム51をサブフィールド52に分割する処理、各サブフィールド52内の図形53の形状、大きさ、位置を決定する処理、図形53を1回のショットで描画できる複数部分に分割する処理等を行ってショットデータを生成する。このショットデータは記憶装置406に記憶される。そして、試料Wにパターン5を描画する際には、制御計算機400がショットデータを読み出して、ステージ302の移動制御と、上記各偏向器305、309、311、313の制御とを行う。制御計算機400はまた、図形密度が疎の部分でステージ302の移動速度を速くして描画時間の短縮を図っている。
尚、電子ビーム描画装置101で試料Wにパターン5を描画し終えると、試料Wは描画検査装置に移し替えられる。そして、パターンの描画精度が検査される。描画検査装置は、例えば、電子顕微鏡と、電子顕微鏡の下で試料WをX方向およびY方向に移動させるステージとを備えており、ステージにより試料Wを所定の位置に移動し、電子顕微鏡の電子ビームを試料Wに対し走査するようにしている。電子顕微鏡にはCPUが接続されており、試料Wに描画された図形の寸法と位置を電子顕微鏡からの信号に基づいてCPUで算出し、モニタ画面に表示する。そして、描画検査装置の記憶装置に記憶させたパターンデータで規定される図形の寸法と位置を比較し、描画されたパターンが、所望の精度内に収まっているか否かを判別する。
ステージ302の移動速度を図形密度が疎の領域で速くすると、ステージ302の速度が一定でなくなる。また、この領域の始端部でステージ302が加速され、この領域の終端部でステージ302が減速されることになるので、ステージ302に設けたステージミラー302aが慣性力で撓んで変形する。こうした要因によって試料Wに描画されるパターンの精度が低下するので、電子ビームが適正な位置に照射されるように補正することが必要になる。
ところで、パターンの描画精度の低下には、マスクが自重で撓むことによって起こるものもある。
ステージ302上に載置された試料Wの表面が平面であれば、試料W上の任意の1点の高さを測定し、この高さに電子ビームBの焦点を合わせることで、所望のパターンを描画できる。しかし、実際の試料Wは、完全な平面ではなく、僅かながら変形している。具体的には、試料Wは自重によって撓んだ状態となっている。このため、電子ビームBの焦点を試料W上の1点を基準に決めたのでは、試料W上に焦点のない部分が生じてしまい、所望のパターンを描画することができなくなる。ここで、試料Wの撓みによる変形量は試料Wの面内における位置に依存するので、描画精度が低下する割合も位置に依存したものになる。
マスクの撓みに起因する描画精度の低下は、例えば、次のようにして補正する。
まず、マスクに電子ビームを照射して得られた信号を検出し、マスクに形成されたパターンの位置情報を得る。また、マスク表面の高さを測定してマスクの撓みを求める。得られた撓みに基づいて、パターンの位置情報を補正する。このとき、マスクの撓みに起因するX方向とY方向の位置補正量は、表面形状を記述する関数の係数を最小自乗法で求めることにより算出されるが、マップ補正によっても求められる。前者の場合、複数の異なる位置で高さを測定して得られたデータを用い、マスク上の位置(x、y)に対して測定した高さをzとすると、表面形状は、次式からなる関数の係数a〜a14で表わされる。
z=a0+a1x+a2
+a3+a4xy+a52
+a63+a72y+a8xy2+a93
+a104+a113y+a1222+a13xy3+a144
マスクの撓みによる描画精度低下の補正は、上述した速度補正や加速度補正とは別に行う必要がある。そして、従来は、速度補正係数と加速度補正係数とをそれぞれ異なる方法で求めていたので、補正係数の算出に時間を要していた。そこで、本実施の形態においては、図3に示すようなパターン10を準備し、このパターン10を描画することで速度補正係数と加速度補正係数を効率よく求めることを特徴とする。
図3の例においては、パターン10は、パターン10a〜10dからなり、さらにパターン10a〜10dは、それぞれ小パターン1〜4からなる。本実施の形態においては、小パターン1〜4をステージ上での位置に応じた電子ビームの照射位置のずれが無視できる程度に近接して配置する。具体的には、試料Wの撓みによる影響が無視できる距離、例えば、数μm〜数十μmの距離とする。このようにすることにより、描画後のパターンの位置ずれ要因からマスクの撓みを排除して、要因をステージの移動速度と加速度に限定することが可能となる。
また、図3では、パターン10を4つのパターン(パターン10a〜10d)で構成しているが、正確な補正係数を求める点からはこれらの数が多い方が好ましい。さらに、小パターン1〜4の形状は矩形に限られるものではなく、例えば鉤形であってもよい。また、必要なパターンの長さLは、次式で与えられる。但し、ステージを可変速させたときの加速度をA、最大速度をV、加速時間をTSとする。
L=V×(V+TS×A)/A
本実施の形態においては、図3に示す矩形パターンの一辺の長さを例えば1μmとすることができる。
まず、速度を変えながら図3のX方向に第1の小パターン1のみを端から順に描画する。全て描画し終えたら、次に速度を変えながら同様にして−X方向に第2の小パターン2のみを描画する。X方向と−X方向の各速度プロファイルは、例えば図4のようにすることができる。図4において、可変速FWDはX方向の速度プロファイルを表し、可変速BWDは−X方向の速度プロファイルを表す。尚、第1の小パターン1を−X方向に描画してから、第2の小パターン2をX方向に描画することもできる。
次に、ステージをY方向に移動し、所定の等速でX方向に第3の小パターン3のみを端から順に描画する。全て描画し終えたら所定の等速で−X方向に第4の小パターン4のみを描画する。尚、第3の小パターン3を−X方向に描画してから、第4の小パターン4をX方向に描画することもできる。
X方向と−X方向の各速度プロファイルは、例えば図4のようにすることができる。図4において、等速FWDはX方向の速度プロファイルを表し、等速BWDは−X方向の速度プロファイルを表す。ここで、横軸はX方向における原点からの距離であり、縦軸はステージの移動速度である。
図5は、上記描画時の加速度プロファイルであり、横軸はX方向における原点からの距離、縦軸はステージの加速度をそれぞれ表している。
以上のようにして描画をし終えた後は、試料Wを電子ビーム描画装置101から図示しない描画検査装置に移し替え、描画したパターンのX方向の位置を測定する。ここで、パターンデータで規定される図形の理想的な位置をI(x)、速度補正係数をα、加速度補正係数をβ、可変速をする場合の速度関数をV(x)、等速の場合の速度関数をVconst(x)、加速度関数をA(x)、マスクの撓みによる位置ずれを表す関数をG(x)とすると、描画後における小パターン1〜4のX方向の位置はそれぞれ次式で表される。尚、小パターン1〜4は近接して配置されているので、これらのマスクの撓みによる位置ずれを表す関数は全てG(x)で表せる。

FWD(x)=I(x)+αV(x)+βA(x)+G(x) (1)
BWD(x)=I(x)+αV(−x)+βA(x)+G(x) (2)
FWDconst(x)=I(x)+αVconst(x)+G(x) (3)
BWDconst(x)=I(x)+αVconst(−x)+G(x) (4)

(1)は、第1の小パターン1のX方向の位置を表す式であり、(2)は、第2の小パターン2のX方向の位置を表す式である。同様に、(3)は、第3の小パターン3のX方向の位置を表す式であり、(4)は、第4の小パターン4のX方向の位置を表す式である。
式(1)と式(2)の差を求めると、次のようになる。

FWD(x)−BWD(x)
={I(x)+αV(x)+βA(x)+G(x)}
−{I(x)+αV(−x)+βA(x)+G(x)}
=αV(x)−αV(−x)
=2αV(x) (∵αV(−x)=−αV(x))
上記より、FWD(x)−BWD(x)=2αV(x)である。したがって、この関係を用いて、図4の速度プロファイルに第1の小パターン1と第2の小パターン2のX方向の測定位置の差をフィッティングすることで速度補正係数αが求められる。ここで、本明細書におけるフィッティングとは、離散的な値に対し、連続的な関数の最良フィッティングパラメータまたは係数を決定するための数学的最適化法として理解される。この用語は、一般に、曲線フィッティング計算についての全ての数学的方法を包含する。こうした曲線フィッティング計算の目的は、データに対して最もよくフィットする関数を導出する点にある。
一方、式(1)と式(2)の和、式(3)と式(4)の和をそれぞれ求め、これらの差を計算すると次のようになる。

{FWD(x)+BWD(x)}−{FWDconst(x)+BWDconst(x)}
=[{I(x)+αV(x)+βA(x)+G(x)}
+{I(x)+αV(−x)+βA(x)+G(x)}]
−[{I(x)+αVconst(x)+G(x)}
+{I(x)+αVconst(−x)+G(x)}]
=2βA(x) (∵αV(−x)=−αV(x)、
αVconst(−x)=−αVconst(x))
上記より、{FWD(x)+BWD(x)}−{FWDconst(x)+BWDconst(x)}=2βA(x)である。したがって、この関係を用いて、図5の加速度プロファイルに小パターン1〜4のX方向の位置測定結果から求められた値をフィッティングすることで加速度補正係数βが求められる。
尚、ステップアンドリピート方式による描画の場合にも同様にして補正係数を求めることができる。但し、この場合、αVconst(x)とαVconst(−x)の項はいずれもゼロになる。
本実施の形態において、パターン10はY方向に沿って配置されていてもよい。この場合は、Y方向(または−Y方向)に描画してから−Y方向(またはY方向)に描画することになる。
以上をまとめると、本発明は次のように表現できる。
まず、ステージ上での位置に応じた電子ビームの照射位置のずれが無視できる態度に近接した第1〜第4の小パターンを組とした複数組のパターンを準備する。次に、ステージを加減速しながら移動させて試料に第1の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを加減速しながら移動させて第1の小パターンに隣接する第2の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する。また、ステージを等速で移動させながら試料に第3の小パターンのみを一方向に順に描画した後、ステージを等速で移動させながら第3の小パターンに隣接する第4の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する。そして、描画した小パターンのそれぞれの位置情報を取得し、これらの位置情報を用いて式(1)と式(II)から速度補正係数αと加速度補正係数βを算出する。
−P=2αV(P) (I)
但し、Pは第1の小パターンの位置、Pは第2の小パターンの位置、V(P)はステージの速度関数を表す。
(P+P)−(P+P)=2βA(P) (II)
但し、Pは第3の小パターンの位置、Pは第4の小パターンの位置、A(P)はステージの加速度関数を表す。
その後、算出した速度補正係数αと加速度補正係数βを用いて電子ビームの照射位置のずれを補正する。
このように、本実施の形態によれば、1回の描画処理で速度係数と加速度係数を求めることができる。すなわち、描画精度を低下させる要因毎の補正係数が効率よく求められる。また、これらの係数は速度プロファイルおよび加速度プロファイルを用いたフィッティングによって求めるので、所定数の測定結果から求める従来法に比べると補正の精度を高めることができる。したがって、本実施の形態によれば、精度よく描画することのできる描画方法および描画装置が提供される。
本実施の形態における速度係数αおよび加速度係数βの算出は、図1の偏向制御部403で行われる。つまり、描画した小パターンの各位置情報は偏向制御部403に入力される。そして、偏向制御部403は、算出した補正係数に基づいて電子ビームBの描画位置が補正されるように、偏向器用アンプ305a、309a、311a、313aを介し、ブランキング偏向器305、成形偏向器309、主偏向器311および副偏向器313をそれぞれ制御する。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、電子ビームを用いたが、イオンビームなどの他の荷電粒子ビームを用いた場合にも適用可能である。
W 試料
B 電子ビーム
101 電子ビーム描画装置
103 描画部
104 制御部
5 パターン
51 フレーム
52 サブフィールド
53 図形
300 描画室
301 電子鏡筒
302 ステージ
303 電子銃
304 照明レンズ
305 ブランキング偏向器
306 ブランキングアパーチャ
307 第1成形アパーチャ
308 投影レンズ
309 成形偏向器
310 第2成形アパーチャ
311 主偏向器311
312 対物レンズ
313 副偏向器
400 制御計算機
401 駆動部
402 レーザ測長計
403 偏向制御部
404、406 記憶装置
405 ショットデータ生成部

Claims (5)

  1. 荷電粒子ビームを照射する照射部と、
    前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
    試料を載置して移動するステージと、
    前記荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正して前記偏向器を制御する偏向制御部とを有し、
    前記偏向制御部は、前記ステージ上での位置に応じた前記照射位置のずれが無視できる程度に近接した第1〜第4の小パターンからなる複数のパターンについて、前記ステージを加減速しながら移動させて前記試料に第1の小パターンのみを一方向に順に描画した後、前記ステージを加減速しながら移動させて前記第1の小パターンに隣接する第2の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画して得られた各小パターンの位置情報を取得し、式(I)から速度補正係数αを算出するとともに、
    前記ステージを等速で移動させながら前記試料に第3の小パターンのみを一方向に順に描画した後、前記ステージを等速で移動させながら前記第3の小パターンに隣接する第4の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画して得られた各小パターンの位置情報を取得し、式(II)から加速度補正係数βを算出することを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
    −P=2αV(P) (I)
    (但し、Pは第1の小パターンの位置、Pは第2の小パターンの位置、V(P)はステージの速度関数を表す。)
    (P+P)−(P+P)=2βA(P) (II)
    (但し、Pは第3の小パターンの位置、Pは第4の小パターンの位置、A(P)はステージの加速度関数を表す。)
  2. 前記速度補正係数αは、式(I)を前記ステージの移動方向の位置と前記ステージの速度との関係にフィッティングして算出されることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  3. 前記加速度係数βは、式(II)を前記ステージの移動方向の位置と前記ステージの加速度との関係にフィッティングして算出されることを特徴とする請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  4. ステージ上に載置された試料に荷電粒子ビームを用いて所定のパターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、
    前記ステージ上での位置に応じた前記荷電粒子ビームの照射位置のずれが無視できる程度に近接した第1〜第4の小パターンからなる複数のパターンを準備する工程と、
    前記ステージを加減速しながら移動させて前記試料に第1の小パターンのみを一方向に順に描画した後、前記ステージを加減速しながら移動させて前記第1の小パターンに隣接する第2の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する工程と、
    前記ステージを等速で移動させながら前記試料に第3の小パターンのみを一方向に順に描画した後、前記ステージを等速で移動させながら前記第3の小パターンに隣接する第4の小パターンのみを前記方向とは逆方向に順に描画する工程と、
    描画した前記小パターンのそれぞれの位置情報を取得する工程と、
    前記位置情報を用いて式(1)と式(II)から速度補正係数αと加速度補正係数βを算出する工程と、
    −P=2αV(P) (I)
    (但し、Pは第1の小パターンの位置、Pは第2の小パターンの位置、V(P)はステージの速度関数を表す。)
    (P+P)−(P+P)=2βA(P) (II)
    (但し、Pは第3の小パターンの位置、Pは第4の小パターンの位置、A(P)はステージの加速度関数を表す。)
    前記速度補正係数αと前記加速度補正係数βを用いて前記荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正する工程とを有することを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。
  5. 前記速度補正係数αは、式(I)を前記ステージの移動方向の位置と前記ステージの速度との関係にフィッティングして算出され、
    前記加速度係数βは、式(II)を前記ステージの移動方向の位置と前記ステージの加速度との関係にフィッティングして算出されることを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子ビーム描画方法。







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