JP2011065840A - リチウムイオン二次電池用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の充放電時における活物質の膨張、および収縮に伴って生じる集電体からの活物質層の剥離を好適に防止し得るリチウムイオン二次電池用電極を提供する。
【解決手段】負極30は、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を含む負極活物質層33が表面32に形成された負極集電体31と、負極活物質層に設けられ、負極活物質層内において厚み方向に伸びる導電性部材35と、を有している。負極集電体の表面に密着する負極活物質層の集電体側部位34aと、負極集電体の表面から厚み方向に離れて位置する負極活物質層の電解質側部位34bとを、導電性部材を介して電気的に接続している。
【選択図】図3
【解決手段】負極30は、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を含む負極活物質層33が表面32に形成された負極集電体31と、負極活物質層に設けられ、負極活物質層内において厚み方向に伸びる導電性部材35と、を有している。負極集電体の表面に密着する負極活物質層の集電体側部位34aと、負極集電体の表面から厚み方向に離れて位置する負極活物質層の電解質側部位34bとを、導電性部材を介して電気的に接続している。
【選択図】図3
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用電極に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、および燃料電池車(FCV)の開発が進められている。これらのモータ駆動用電源としては繰り返し充放電可能な二次電池が適しており、特に高容量、高出力が期待できるリチウムイオン二次電池が注目を集めている。
リチウムイオン二次電池の充放電は、集電体の表面に形成された活物質層内の活物質がリチウムを吸蔵、放出することによって行う。活物質がリチウムンを吸蔵、放出すると、活物質の体積膨張、および収縮が発生する。活物質の膨張、および収縮に伴って活物質層内に応力が生じ、集電体からの活物質層の剥離が発生する。剥離が発生すると、リチウムイオン二次電池のサイクル特性の低下が引き起こされるという問題がある。
特許文献1に記載された技術にあっては、集電体の表面を粗くして集電体と活物質層との密着性を高めることによって剥離が生じることを防止している。
活物質層の膨張、および収縮が生じると、活物質層内において亀裂が発生する。亀裂が発生した状態で充放電を繰り返すと、集電体の表面に密着した活物質層が微細化、および崩壊する。これによって、上記の剥離が発生する。
集電体の表面を粗くして集電体と活物質層との密着性を高める特許文献1に記載された技術では、活物質層内に亀裂が発生することを防止することはできない。亀裂が発生した状態で充放電を繰り返すことになるため、集電体からの活物質層の剥離を十分に防止することができないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、リチウムイオン二次電池の充放電時における活物質の膨張、および収縮に伴って活物質層内に亀裂が発生した場合においても集電体から活物質層が剥離することを好適に防止し得るリチウムイオン二次電池用電極を提供することを目的とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を含む活物質層が表面に形成された集電体を有している。さらに、活物質層に設けられ、活物質層内において厚み方向に伸びる導電性部材を有している。そして、集電体の表面に密着する活物質層の集電体側部位と、集電体の表面から厚み方向に離れて位置する活物質層の電解質側部位とを、導電性部材を介して電気的に接続している。
本発明によれば、活物質の膨張、および収縮に伴って活物質層の内部に亀裂が発生した場合であっても、活物質層内に設けられた導電性部材が、集電体の表面に密着する活物質層の集電体側部位と、集電体の表面から厚み方向に離れて位置する活物質層の電解質側部位とを電気的に接続するため、活物質層の微細化、および崩壊を抑制して集電体からの剥離を好適に防止することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1および図3を参照して、実施形態にあっては、本発明のリチウムイオン二次電池用電極を、リチウムイオン二次電池10の負極30に適用している。実施形態に係る負極30を、正極40および電解質層53と積層して発電要素23を構成している。
図3を参照して、実施形態に係る負極30(リチウムイオン二次電池用電極に相当する)を概説すれば、リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を含む負極活物質層33(活物質層に相当する)が表面32に形成された負極集電体31(集電体に相当する)と、負極活物質層33に設けられ、負極活物質層33内において厚み方向(図中上下方向)に伸びる導電性部材35と、を有している。そして、負極集電体31の表面32に密着する負極活物質層33の集電体側部位34aと、負極集電体31の表面32から厚み方向に離れて位置する負極活物質層33の電解質側部位34bとを、導電性部材35を介して電気的に接続している。
まず、積層型のリチウムイオン二次電池10(積層型電池)の全体構造について説明する。
図1を参照して、リチウムイオン二次電池10は、充放電反応が進行する略矩形の発電要素23が、外装であるラミネートシート55の内部に封止された構造を有する。
発電要素23は、正極集電体41の両面に正極活物質層43が形成された正極40と、電解質層53と、負極集電体31の両面に負極活物質層33が形成された負極30とを複数個積層して構成している。より詳細には、正極活物質層43とこれに隣接する負極活物質層33とを、電解質層53を介して対向するように、正極40、電解質層53、負極30の順に積層している。
隣接する負極活物質層33、電解質層53、および正極活物質層43は、1つの単電池層21を構成する。発電要素23の最外層に位置する負極集電体31には、いずれも片面のみに負極活物質層33を形成している。なお、発電要素23の最外層に正極集電体41を配置し、その片面のみに正極活物質層33を形成させた構成とすることも可能である。
負極集電体31には負極集電板39を取り付け、正極集電体41には正極集電板49を取り付けている。集電板39、49は、ラミネートシート55の端部によって挟み込むようにして、ラミネートシート55の外部に導出させている。集電板39、49は、必要に応じて負極リード、および正極リード(図示せず)を介して、負極集電体31および正極集電体41のそれぞれに取り付けることが可能になっている。図示されるように複数の単電池層21を接続し、複数の単電池層21が電気的に並列接続された積層型のリチウムイオン二次電池10を構成している。
後述する負極30以外のリチウムイオン二次電池10の構成要素について説明する。
[正極集電体]
正極集電体41は、正極極活物質層43間と外部とを電気的に接続するための部材であって、導電性の材料から構成している。正極集電体41の具体的な形態について特に制限はない。導電性を有する限り、その材料、構造などは特に限定されず、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている従来公知の形態が採用され得る。正極集電体41の構成材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属を用いることができる。特に、電子伝導性、電池作動電位という観点からアルミニウムが好ましい。また、正極集電体41の構造も、箔状のほか、不織布状、多孔質状などの構造であり得る。場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。集電体の厚さも特に限定されるものではないが、5〜50μm程度であることが望ましい。集電体の大きさは、リチウムイオン二次電池の使用用途に応じて適宜決定することができる。
正極集電体41は、正極極活物質層43間と外部とを電気的に接続するための部材であって、導電性の材料から構成している。正極集電体41の具体的な形態について特に制限はない。導電性を有する限り、その材料、構造などは特に限定されず、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている従来公知の形態が採用され得る。正極集電体41の構成材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属を用いることができる。特に、電子伝導性、電池作動電位という観点からアルミニウムが好ましい。また、正極集電体41の構造も、箔状のほか、不織布状、多孔質状などの構造であり得る。場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。集電体の厚さも特に限定されるものではないが、5〜50μm程度であることが望ましい。集電体の大きさは、リチウムイオン二次電池の使用用途に応じて適宜決定することができる。
[正極活物質層]
正極活物質層43は、正極活物質を含み、必要に応じて他の添加剤を含み得る。正極活物質層43の構成要素のうち、正極活物質以外は、後述する負極活物質層33と同様の形態が採用され得るため、ここでは説明を省略する。正極活物質層43に含まれる成分の配合比および正極活物質層43の厚さについても特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
正極活物質層43は、正極活物質を含み、必要に応じて他の添加剤を含み得る。正極活物質層43の構成要素のうち、正極活物質以外は、後述する負極活物質層33と同様の形態が採用され得るため、ここでは説明を省略する。正極活物質層43に含まれる成分の配合比および正極活物質層43の厚さについても特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
正極活物質は、リチウムの吸蔵、放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質が利用され得る。
具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMn2O4などのLi−Mn系複合酸化物、LiNiO2などのLi−Ni系複合酸化物、LiNi0.5Mn0.5O2などのLi−Ni−Mn系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
[電解質層]
電解質層53は、正極活物質層43と負極活物質層33との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正極40、負極30間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層53は、正極活物質層43と負極活物質層33との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正極40、負極30間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層53を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられ得る。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などのカーボネート類が挙げられる。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)2、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSO3CF3などの電極の活物質層に添加され得る化合物を同様に用いることができる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体などが挙げられる。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解し得る。
なお、電解質層53が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層53にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層53が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上し得る。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮し得る。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
[集電板]
集電板39、49を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられ得る。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくは、アルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板49と負極集電板39には、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
集電板39、49を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられ得る。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくは、アルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板49と負極集電板39には、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[外装]
外装としては、例えば、ラミネートシート55が用いられ得る。ラミネートシート55は、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されたものを用いることができる。なお、場合によっては、従来公知の金属缶ケースを外装として用いることができる。
外装としては、例えば、ラミネートシート55が用いられ得る。ラミネートシート55は、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されたものを用いることができる。なお、場合によっては、従来公知の金属缶ケースを外装として用いることができる。
上記のリチウムイオン二次電池10を複数個接続して組電池を構成することが可能である。接続する個数や、電気的な接続形態は特に限定されるものではなく、電池の性能として求められる出力および容量に応じて適宜設定することが可能である。
リチウムイオン二次電池10や、リチウムイオン二次電池10を組み合わせて構成される組電池は、車両の駆動用電源として用いることが可能である。例えば、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車等に適用することが可能である。また用途は、自動車の駆動用電源に限定されるものではなく、例えば、電車などの移動体の各種電源等や、無停電電源装置などの載置用電源として幅広く適用することが可能である。
次に、負極集電体から負極活物質層が剥離する現象について説明する。
図2(A)を参照して、説明に供する負極60は、負極集電体61、および負極集電体61の表面62に形成された負極活物質層63を有している。負極活物質層63は、リチウムを吸蔵、放出自在な活物質、バインダ、導電助材から構成している。説明の簡単のために負極集電体61の片面のみに負極活物質層63を図示しているが、負極集電体61の両面に負極活物質層63が設けられている場合にも同様の現象が生じ得る。
リチウムイオン二次電池の充電を行うと、負極活物質はリチウムイオンを吸蔵し、膨張する。負極活物質の膨張に伴って負極活物質層63全体が膨張する。リチウムイオン二次電池の放電を行うと、負極活物質はリチウムを放出し、収縮する。負極活物質の収縮に伴って負極活物質層63全体が収縮する。負極活物質層63が膨張、および収縮することによって負極活物質層63に応力が発生する。負極集電体61の引張り、収縮強度が比較的小さい場合には負極集電体61の破断が生じるため、一般的には、破断を防止することが可能な所定の強度を有する負極集電体61を使用する。
負極活物質層63のうち負極集電体61の表面62に密着する部位64aには、負極集電体61の表面62との密着性の関係によって、負極集電体61の表面62から離れて位置する部位64bに生じる応力と異なる大きさの応力が発生する。したがって、負極集電体61の表面62と負極活物質層63との間における応力と、負極活物質層63内に生じる応力との間に応力差が生じる。このため、負極活物質層63には、負極集電体61の表面62と負極活物質層63とが密着している箇所周辺に集中してひずみが生じる。
図2(B)を参照して、充放電の度に膨張、および収縮が繰り返されると、上記の応力差によって負極活物質層63内部に亀裂cが発生し、応力差が生じる部位の周辺を境にして負極活物質層63が分断されてしまう。負極集電体61に密着した集電体側部位64aは密着した状態を維持して負極集電体61との導通を確保する。一方、集電体側部位64aから亀裂cを境にして離れて位置する電解質側部位64bは、負極集電体61との導通を確保することができない。完全に分離せず導通を保てたとしても、電解質側部位64bは抵抗が高くなり、負極集電体61の表面62において優先的にリチウムイオンの吸蔵、放出が起こる。
図2(C)を参照して、負極活物質層63が分断された状態で充放電を行うと、集電体側部位64aにおいて集中して充放電が行われる。これによって、集電体側部位64aの微細化、および崩壊が生じ、負極集電体61から負極活物質層63が剥離した状態となる。剥離が生じると、負極集電体61と負極活物質層63との間における抵抗がさらに増加し、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下するという問題が生じる。
次に、本実施形態に係る負極30について説明する。
図3を参照して、負極30は、負極集電体31と、負極集電体31の表面32に形成された負極活物質層33と、負極活物質層33の厚み方向に伸びる導電性部材35と、を有している。
[負極集電体]
負極集電体31は、負極活物質層33間と外部とを電気的に接続するための部材であって、上述した正極集電体41と同様の形態を採用し得る。電子伝導性、電池作動電位という観点から、材料には銅を用いているが、これに限定されるものではない。負極集電体31は、負極活物質層33の膨張、および収縮によって破断しない強度を備えていることが望ましい。負極活物質層33の膨張、および収縮によって負極集電体31の破断が生じると、破断とともに負極活物質層33の位置ずれが生じ得る。このような位置ずれに伴う電池性能の低下が招かれることを防止するためである。また、負極集電体31には、Liと合金化することのない材質のものを選択することが望ましい。負極集電体31がLiと合金化すると、負極集電体31自体の膨張、および収縮等の物理的変化が生じ得る。このような場合に、負極集電体31の破断や、負極活物質層33の膨張、収縮に伴う位置ずれが相乗的に発生することを防止するためである。
負極集電体31は、負極活物質層33間と外部とを電気的に接続するための部材であって、上述した正極集電体41と同様の形態を採用し得る。電子伝導性、電池作動電位という観点から、材料には銅を用いているが、これに限定されるものではない。負極集電体31は、負極活物質層33の膨張、および収縮によって破断しない強度を備えていることが望ましい。負極活物質層33の膨張、および収縮によって負極集電体31の破断が生じると、破断とともに負極活物質層33の位置ずれが生じ得る。このような位置ずれに伴う電池性能の低下が招かれることを防止するためである。また、負極集電体31には、Liと合金化することのない材質のものを選択することが望ましい。負極集電体31がLiと合金化すると、負極集電体31自体の膨張、および収縮等の物理的変化が生じ得る。このような場合に、負極集電体31の破断や、負極活物質層33の膨張、収縮に伴う位置ずれが相乗的に発生することを防止するためである。
[負極活物質層]
負極活物質層33は、負極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などをさらに含み得る。
負極活物質層33は、負極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、電解質(ポリマーマトリックス、イオン伝導性ポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)などをさらに含み得る。
負極活物質層33中に含まれる成分の配合比率は特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することによって調整され得る。また、負極活物質層33の厚さについても特に制限はなく、リチウムイオン二次電池10についての従来公知の知見が適宜参照され得る。
負極活物質は、リチウムを吸蔵、放出可能な材料からなるものであれば特に制限されないが、実施形態にあっては、リチウムと合金化する元素を含む形態としている。リチウムと合金化する元素を含む形態としては、リチウムと合金化し得る元素の単体、これらの元素を含む酸化物、および炭水化物等が挙げられる。
リチウムと合金化し得る元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。これらの中でも、容量およびエネルギー密度に優れた電池を構成できる観点から、負極活物質は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、SiまたはSnの元素を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。酸化物としては、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化スズ(SnO2)、一酸化スズ(SnO)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム金属等の金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:Li4Ti5O12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が使用可能である。場合によっては、これらの負極活物質が2種以上併用されてもよい。
ただし、容量を向上させるためには、リチウムと合金化し得る元素を含む負極活物質を多く活物質中に含むことが好ましい。より好ましい形態において、具体的には、負極活物質中、リチウムと合金化し得る元素を含む活物質が60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%含まれる。
負極活物質層33の全量100質量%に対する負極活物質の含有量は、通常40〜100質量%程度であり、好ましくは50〜90質量%であり、さらに好ましくは70〜90質量%であり、特に好ましくは75〜85質量%である。
導電助剤は、負極活物質層33の導電性を向上させることを目的として配合される。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、従来公知の形態が適宜参照され得る。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;気相成長炭素繊維(VGCF)等の炭素繊維;グラファイトなどの炭素材料が挙げられる。負極活物質層33が導電助剤を含むと、負極活物質層33の内部における電子ネットワークが効果的に形成されるため、リチウムイオン二次電池の出力特性が向上する。
負極活物質層33の全量100質量%に対する導電助剤の含有量は、通常0〜30質量%程度であり、好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは3〜7質量%である。
バインダは、以下に制限されることはないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ酢酸ビニル、およびアクリル樹脂、例えば、リキッドシリコーンラバー(LSR)などの熱可塑性樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、およびユリア樹脂などの熱硬化性樹脂、ならびにスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などのゴム系材料が挙げられる。
負極活物質層33の全量100質量%に対するバインダの含有量は、通常0〜50質量%程度であり、好ましくは5〜45質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%であり、特に好ましくは15〜20質量%である。
電解質としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、それらの共重合体などのリチウム塩を含むイオン伝導性ポリマー(固体高分子電解質)などが挙げられるが、これらに制限されることはない。
支持塩(リチウム塩)としては、以下に制限されないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩;LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩が挙げられる。これらの支持塩は、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
[導電性部材]
導電性部材35は、柱状の外形形状を有しており、負極活物質層33内において導電性部材35に接触する負極活物質同士を相互に導通させるために設けている。図示されるように、導電性部材35は、負極集電体31と一体にして形成している。このため、導電性部材53の集電体側の端部36aは、負極集電体31と電気的に接続された状態となっている。一方、導電性部材35の電解質側の端部36bは、負極集電体31の表面32から所定の距離だけ厚み方向に離れて位置している。したがって、負極活物質層33内において亀裂cが発生した場合においても、負極集電体31に密着した集電体側部位34aと、亀裂cを境にして集電体側部位34aよりも負極集電体31の表面32から離れて位置する電解質側部位34bとを、導電性部材35を介して電気的に接続することが可能になっている(図3(B)を参照)。
導電性部材35は、柱状の外形形状を有しており、負極活物質層33内において導電性部材35に接触する負極活物質同士を相互に導通させるために設けている。図示されるように、導電性部材35は、負極集電体31と一体にして形成している。このため、導電性部材53の集電体側の端部36aは、負極集電体31と電気的に接続された状態となっている。一方、導電性部材35の電解質側の端部36bは、負極集電体31の表面32から所定の距離だけ厚み方向に離れて位置している。したがって、負極活物質層33内において亀裂cが発生した場合においても、負極集電体31に密着した集電体側部位34aと、亀裂cを境にして集電体側部位34aよりも負極集電体31の表面32から離れて位置する電解質側部位34bとを、導電性部材35を介して電気的に接続することが可能になっている(図3(B)を参照)。
導電性部材35は、負極活物質同士を電気的に接続する電子伝導性、電池作動電位に耐えられる観点から、材料には銅が好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、金属材料や、その他グラファイトなどの炭素材料によって構成することができる。導電性部材35を負極集電体31と一体化して形成させているが、このような場合には、負極集電体31と同一の材質によって導電性部材53を形成させることができる。外形形状は特に限定されないが、負極活物質層33の膨張、および収縮が繰り返された場合においも、集電体側部位34aと、電解質側部位34bとの電気的な接続を維持することが可能となるように、比較的高い剛性を発揮し得る柱形状等に形成することが望ましい。設ける個数も特に限定されるものではなく、図示されるように1つの負極活物質層33中に複数の導電性部材35を設けることが可能である。
負極集電体31と導電性部材35とを電気的に接続している(図3(B)を参照)。
電解質側部位34bは、負極活物質層33内において亀裂cが発生した場合においても、導電性部材35を介して集電体側部位34aとの電気的な接続を維持する。ここで、負極集電体31と導電性部材35とを電気的に接続することによって、導電性部材35と接触する電解質側部位34bを、集電体側部位34aを介さずに負極集電体31と直接導通させることが可能になる。これによって、集電体側部位34aを介さずに負極集電体31と電気的に接続された電解質側部位34bを充放電に寄与させることが可能になる。このため、負極活物質層33の亀裂c、および分断によって招かれるサイクル特性の低下をより効果的に抑制することが可能になる。図示されるように、負極集電体31と導電性部材35との電気的な接続は、負極集電体31と導電性部材35とを一体化させることによって行っている。例えば、両者を別体にして設ける場合には、負極集電体31と導電性部材35との間に、導電性を備えた別部材を介在させて電気的に接続させることも可能である。
導電性部材35の高さhは、負極活物質層33の厚さtの1/2以下にしている(図3(B)を参照)。
導電性部材35の高さhを小さくすることによって、導電性部材35の利用に伴って生じる負極活物質層33内のエネルギー密度の低下を抑制することが可能になる。また、上述したように、負極活物質層33の膨張、および収縮に伴うひずみは、負極集電体31の表面32と負極活物質層33が密着している箇所周辺に集中して発生する。このため、亀裂cは負極集電体31の表面32付近に発生し易い。負極活物質層33の厚さtの1/2程度に高さhが形成された導電性部材35は、負極集電体31の表面32付近に発生した亀裂cを越えて集電体側部位34aと電解質側部位34bとを電気的に接続することを可能にする。
このように、導電性部材35の高さhを負極活物質層33の厚さtの1/2以下にすることによって、集電体側部位34aと電解質側部位34bとの導通を確保しつつ、負極活物質層33内のエネルギー密度の低下を効果的に抑制することができる。例えば、負極活物質層33の厚さtが20μm程度である場合には、導電性部材35の高さhが10μm程度であることが望ましい。ただし、導電性部材35の高さhが、負極活物質層33の厚さtの1/2以下であり、かつ、亀裂cを越えて集電体側部位34aと電解質側部位34bとに接触し得る寸法を有していれば、上記のような導通の確保、およびエネルギー密度の低下の抑制という効果を好適に発揮し得る。したがって、負極活物質層33の厚さt、および導電性部材35の高さhは、上記寸法例に限定されるものではなく適宜変更することが可能である。
負極集電体31と導電性部材35とを一体的に形成している。導電性部材35を負極活物質層33内に向けて突出した凸形状に形成している(図3(B)を参照)。
負極集電体31と一体的に形成された凸形状の導電性部材35は、負極集電体31の表面32から負極活物質層33内に伸びるように配置させる。負極活物質層33内に配置した導電性部材35は、いわゆるアンカー効果によって負極活物質層33内に生じるひずみを低減させる。これによって、亀裂cの発生を抑制する。また、負極活物質層33が、負極集電体31の平滑な表面32部分に面接触して配置されることになるため、より安定的に保持されて負極集電体31上に積層されることになる。負極活物質層33の膨張、および収縮に伴う位置ずれを防止でき、位置ずれによる電池性能の低下を未然に防止することが可能になる。
次に、実施形態に係る負極30の作用について説明する。
図3(A)を参照して、負極活物質層33内に設けた導電性部材35は、負極活物質層33内において導電性部材35に接触する負極活物質同士を相互に導通させる。
負極30が適用されたリチウムイオン二次電池10の充放電を行うと、負極活物質層33内の負極活物質がリチウムを吸蔵、および放出する。これに伴って、負極活物質層33の膨張、および収縮が発生することがある。
負極集電体31と一体的に形成された凸形状の導電性部材35を、負極集電体31の表面32から負極活物質層33内に伸びるように配置し、負極集電体31の平滑な表面32部分に面接触させて負極活物質層33を配置している。負極活物質層33内に配置した導電性部材35は、いわゆるアンカー効果によって負極活物質層33内に生じるひずみを低減させる。負極活物質層33を、負極集電体31の平滑な表面32部分に面接触して配置させることができるため、より安定的に保持して負極集電体31に積層させることができる。これによって、負極活物質層33の膨張、および収縮に伴う位置ずれを防止できる。
図3(B)を参照して、負極活物質層33が膨張、および収縮すると、負極活物質層33内に応力が発生する。負極集電体31の表面32と負極活物質層33との間における応力と、負極活物質層33内に生じる応力との間には、応力差が生じる。応力差によって負極活物質層33内に亀裂cが発生し、応力差が生じる部位の周辺を境にして負極活物質層33が分断されてしまう。負極活物質層33が分断された状態で充放電を行うと、集電体側部位34aにおいて優先的に集中して充放電が行われるため、負極集電体31に密着する集電体側部位34aが微細化、および崩壊し、負極集電体31から負極活物質層33が剥離した状態となってしまう。
ここで、活物質層の剥離を防止する技術として、集電体表面の表面粗さを大きくして集電体と活物質層との密着性を高める方法が提案されている。この方法では、活物質の膨張、および収縮に伴う活物質層の亀裂を防止することができない。活物質層内に亀裂が発生し、さらに亀裂が発生した状態で充放電を繰り返すことになるため、集電体からの活物質層の剥離を十分に防止することができない。このため、電池のサイクル特性の低下を招くことになる。
これに対して本実施形態に係る負極30にあっては、負極活物質層33の膨張、および収縮によって負極活物質層33内に亀裂cが生じた場合であっても、負極活物質層33内に設けられた導電性部材35が、負極集電体31の表面32に密着する集電体側部位34aと、負極集電体31の表面32から厚み方向に離れて位置する電解質側部位34bとの電気的な接続を確保する。したがって、亀裂cが発生した後に繰り返して行われる充放電の際に、集電体側部位34aのみに集中して充放電が行われることを防止できる。これによって、集電体側部位34aの微細化、および崩壊を抑制して、負極集電体31からの負極活物質層33の剥離を好適に防止することができる。この結果、リチウムイオン二次電池10のサイクル特性の低下を抑制することができる。
負極集電体31と導電性部材35とを電気的に接続しているため、集電体側部位34aを介さずに負極集電体31に直接接続された電解質側部位34bを充放電に寄与させることができる。これによって、負極活物質層33の亀裂c、および分断によって招かれるサイクル特性の低下をより効果的に抑制することができる。
導電性部材35の高さhを負極活物質層33の厚さtの1/2以下にしているため、集電体側部位34aと電解質側部位34bとの導通を確保しつつ、負極活物質層33内のエネルギー密度の低下を効果的に抑制することができる。
負極活物質が、リチウムと合金化し得る元素を含むため、従来の炭素材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量の電池性能を発揮させることができる。リチウムと合金化し得る元素を含む負極活物質は、電池の充放電時における膨張、および収縮に伴う体積変化が大きいが、本実施形態によれば、電池の充放電時における膨張、および収縮に伴って発生する剥離を好適に防止することが可能になっている。よって、充放電時の体積変化が大きくなる活物質を含む負極30をリチウムイオン二次電池10に適用することができる。
上述したように、本実施形態にあっては、負極活物質層33の膨張、および収縮によって負極活物質層33内に亀裂cが生じた場合であっても、負極活物質層33内に設けられた導電性部材35が、負極集電体31の表面32に密着する集電体側部位34aと、負極集電体31の表面32から厚み方向に離れて位置する電解質側部位34bとの電気的な接続を確保する。したがって、亀裂cが発生した後に繰り返して行われる充放電の際に、集電体側部位34aのみに集中して充放電が行われることを防止できる。これによって、集電体側部位34aの微細化、および崩壊を抑制して、負極集電体31からの負極活物質層33の剥離を好適に防止することができる。
負極集電体31と導電性部材35とを電気的に接続しているため、集電体側部位34aを介さずに負極集電体31と接続された電解質側部位34bを充放電に寄与させることができる。負極活物質層33の亀裂c、および分断によって招かれるサイクル特性の低下をより効果的に抑制することができる。
導電性部材35の高さhを負極活物質層33の厚さtの1/2以下にしているため、集電体側部位34aと電解質側部位34bとの導通を確保しつつ、負極活物質層33内のエネルギー密度の低下を効果的に抑制することができる。
負極集電体31と一体的に形成された凸形状の導電性部材35を負極集電体31の表面32から負極活物質層33内に伸びるように配置し、負極集電体31の平滑な表面32部分に面接触させて負極活物質層33を配置している。負極活物質層33内に配置した導電性部材35は、いわゆるアンカー効果によって負極活物質層33内に生じるひずみを低減させる。負極活物質層33を、負極集電体31の平滑な表面32部分に面接触して配置させることができるため、より安定的に保持して負極集電体31上に積層させることができる。これによって、負極活物質層33の膨張、および収縮に伴う位置ずれを防止できる。
負極活物質が、リチウムと合金化し得る元素を含むため、従来の炭素材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量の電池性能を発揮させることができる。充放電時の体積変化が大きくなる活物質を含む負極30をリチウムイオン二次電池10に適用することができる。
実施形態にあっては、負極集電体31と導電性部材35とが一体的に形成された形態の負極30を示したが、例えば、導電性部材35が負極集電体31と別体にして形成された負極を用いることも可能である。このような形態の負極であっても、導電性部材が集電体側部位と電解質側部位とを電気的に接続させる機能を発揮するため、負極活物質層の剥離を好適に防止することができる。
本発明の電極を、積層型のリチウムイオン二次電池10に適用した形態で説明したが、例えば、集電体の一方の面に負極活物質層を形成し、他方の面に正極活物質層を形成した双極型電極と、電解質層とを積層して構成される発電要素を備える双極型のリチウムイオン二次電池(双極型電池)に適用することも可能である。双極型のリチウムイオン二次電池に適用した場合にも、集電体からの活物質層の剥離を好適に防止することができる。
また、リチウムイオン二次電池10の負極30に適用した実施形態によって本願発明の電極の作用効果について説明したが、例えば、正極に含まれる正極活物質の膨張、および収縮に伴う正極活物質層の剥離を防止することを目的として正極に適用させた形態とすることも可能である。
以下、上述した実施形態に関する実施例について説明する。なお、本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、実施例において示される形態のみに限定されるものではない。
(実施例1−1)
負極活物質であるシリコン粒子、導電助剤であるケッチェンブラック、およびバインダであるポリイミドを、組成比が質量比で90:10:10(シリコン:ケッチェンブラック:ポリイミド)となるように混合し、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いて負極スラリーを調整した。
負極活物質であるシリコン粒子、導電助剤であるケッチェンブラック、およびバインダであるポリイミドを、組成比が質量比で90:10:10(シリコン:ケッチェンブラック:ポリイミド)となるように混合し、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いて負極スラリーを調整した。
図4(A)を参照して、負極集電体31には銅箔を用いた。導電性部材35は、負極集電体31と一体化して形成し、負極集電体31と同様の材質から構成した。
銅箔は、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:5μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:5μm、導電性部材の間隔d:15μmのものを準備した。
調整した負極スラリーを、ドクターブレードを用いて上記銅箔の片面に塗布した。塗布量(塗布部の膜厚)は、塗布する電極の密度等によって変化するため、適宜調整しつつ塗布した。真空乾燥、プレス後、再度真空化し、ポリイミドのイミド化が進行する200℃で再度焼成した。これによって、負極30(電極層(負極活物質層)厚さt3:20μm)を完成させた。
(実施例1−2)
図4(A)を参照して、負極集電体31には、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:10μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:5μm、導電性部材の間隔d:15μmの銅箔を準備した。
図4(A)を参照して、負極集電体31には、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:10μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:5μm、導電性部材の間隔d:15μmの銅箔を準備した。
実施例1−1と同様の手順によって、調整した負極スラリーを銅箔に塗布し、負極30(電極層厚さt3:20μm)を完成させた。
(比較例1)
図4(B)を参照して、比較例1の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:5μm)を用いた。
図4(B)を参照して、比較例1の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:5μm)を用いた。
実施例1−1で調整した負極スラリーを、ドクターブレードを用いて銅箔の片面に塗布し、乾燥させることによって負極活物質層73(電極層厚さt5:20μm)を形成した。このようにして、比較例1の負極70を完成させた。
(比較例2)
図4(B)を参照して、比較例2の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:10μm)を用いた。比較例1と同様の手順によって比較例2の負極70(電極層厚さt5:20μm)を完成させた。
図4(B)を参照して、比較例2の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:10μm)を用いた。比較例1と同様の手順によって比較例2の負極70(電極層厚さt5:20μm)を完成させた。
(比較例3)
図4(B)を参照して、比較例3の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:20μm)を用いた。比較例1と同様の手順によって比較例3の負極70(電極層厚さt5:20μm)を完成させた。
図4(B)を参照して、比較例3の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない平板状の銅箔(集電箔厚さt4:20μm)を用いた。比較例1と同様の手順によって比較例3の負極70(電極層厚さt5:20μm)を完成させた。
(電池作製例)
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3で作製した負極30、70を所定の形状に打ち抜き、120℃の真空オーブン中において8時間乾燥を行った。次いで、当該負極30、70と、セパレータとしてのポリエチレン製多孔質フィルム(厚さ:25μm)、および対極としてのリチウム箔を順に積層した。得られた積層体をアルミラミネートフィルムの外装体に入れ、電解液を注液し、真空封止することによって実施例、および比較例に係る評価用電池を作製した。
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3で作製した負極30、70を所定の形状に打ち抜き、120℃の真空オーブン中において8時間乾燥を行った。次いで、当該負極30、70と、セパレータとしてのポリエチレン製多孔質フィルム(厚さ:25μm)、および対極としてのリチウム箔を順に積層した。得られた積層体をアルミラミネートフィルムの外装体に入れ、電解液を注液し、真空封止することによって実施例、および比較例に係る評価用電池を作製した。
(電池評価例)
25℃雰囲気下にて、電池電圧0.05〜2.0V間で充放電サイクルテストを実施した。充放電時の電流密度は、1.0mA/cm2とし、50サイクルで評価した。
25℃雰囲気下にて、電池電圧0.05〜2.0V間で充放電サイクルテストを実施した。充放電時の電流密度は、1.0mA/cm2とし、50サイクルで評価した。
そして、充放電の2サイクル目における放電容量(初期容量)、5、10、および50サイクル目のそれぞれにおける放電容量を測定した。これらの値から各サイクル時における初期容量に対する容量維持率(%)を算出した。これらの結果を、下記の表1に示す。なお、容量維持率(%)が高いほど、電池の充放電に伴って生じる電池容量の低下率が小さく、よりサイクル特性が優れていることを示す。
表1に示す結果から、50サイクル目の容量維持率を比較すると、実施例1−1、1−2の電池はともに、比較例1〜3の電池よりも容量維持率が高いことが確認できる。実施例1−1、1−2の電池にあっては、負極活物質層33内に設けられた導電性部材35が、負極集電体31からの負極活物質層33の剥離を防止する機能を発揮するためであると考える。
また、実施例1−1、1−2を比較すると、負極集電体31の電極塗布部平滑面厚さ(t2)が大きい方が容量維持率が高いことが確認できる。これは、電極塗布部平滑面厚さ(t2)が大きい方が銅箔自体の強度が高くなるため、シリコンの膨張、および収縮に伴う銅箔のひずみを抑制することができるためだと考える。
(実施例2−1)
図4(A)を参照して、上記実施例1−1、1−2と同様に負極集電体31には銅箔を用いた。導電性部材35は、負極集電体31と一体化して形成し、負極集電体31と同様の材質から構成した。
図4(A)を参照して、上記実施例1−1、1−2と同様に負極集電体31には銅箔を用いた。導電性部材35は、負極集電体31と一体化して形成し、負極集電体31と同様の材質から構成した。
銅箔は、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:10μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:10μm、導電性部材の間隔d:15μmのものを準備した。
実施例1−1と同様の手順によって、調整した負極スラリーを銅箔に塗布し、負極30(電極層厚さt3:20μm)を完成させた。
(実施例2−2)
図4(A)を参照して、負極集電体31には、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:10μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:15μm、導電性部材の間隔d:15μmの銅箔を準備した。
図4(A)を参照して、負極集電体31には、集電箔厚さt1:20μm、電極塗布部平滑面厚さt2:10μm、導電性部材(柱形状の凸部)高さh:15μm、導電性部材の間隔d:15μmの銅箔を準備した。
実施例1−1と同様の手順によって、調整した負極スラリーを銅箔に塗布し、負極30(電極層厚さt3:20μm)を完成させた。
(比較例4)
図4(C)を参照して、比較例4の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない銅箔を用いた。
図4(C)を参照して、比較例4の負極集電体71には、導電性部材(柱形状の凸部)が形成されていない銅箔を用いた。
銅箔は、集電箔厚さt6:20μm、電極塗布部平滑面厚さt7:10μmのものを準備した。
実施例1−1で調整した負極スラリーを、ドクターブレードを用いて銅箔の片面に塗布し、乾燥させることによって負極活物質層73(電極層厚さt8:20μm)を形成した。このようにして、比較例4の負極70を完成させた。
(電池作製例)
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3に係る評価用電池の作製手順と同様の手順に従って、実施例2−1、2−2、および比較例4に係る評価用電池を作製した。
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3に係る評価用電池の作製手順と同様の手順に従って、実施例2−1、2−2、および比較例4に係る評価用電池を作製した。
(電池評価例)
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3に係る評価用電池に対して行った評価と同様の手順に従って容量維持率の評価を行った。各サイクル時における初期容量に対する容量維持率(%)を算出した結果を、下記の表2に示す。
上記の実施例1−1、1−2、および比較例1〜3に係る評価用電池に対して行った評価と同様の手順に従って容量維持率の評価を行った。各サイクル時における初期容量に対する容量維持率(%)を算出した結果を、下記の表2に示す。
表2に示す結果から、50サイクル目の容量維持率を比較すると、実施例2−1、2−2の電池はともに、比較例4の電池よりも容量維持率が高いことが確認できる。上述した、実施例1−1、1−2と同様に、負極活物質層33内に設けられた導電性部材35が負極集電体31からの負極活物質層33の剥離を防止する機能を発揮しているためであると考える。
また、実施例2−1、2−2を比較すると、柱状の凸部の高さ(h)が大きい実施例2−2の方が、容量維持率が小さいことが確認できる。この結果より、充電中のシリコン粒子の膨張によるひずみが、銅箔の表面と活物質層とが密着している箇所周辺に集中することなどから、少なくともその周辺部位において凸部が存在することによって導電性が確保されていれば、凸部の寸法に関わらず容量維持率の低下を抑制する効果を得ることができると推測できる。実施例2−1においては柱状の凸部の高さ(h)が10μmであり、電極層厚さ(t3)が20μmである。このことより、柱状の凸部の高さ(h)が電極層厚さ(t3)の1/2程度であれば、剥離を防止する機能を十分に発揮させることが可能であることを確認できた。
10 リチウムイオン二次電池、
21 単電池層、
23 発電要素、
30 負極(リチウムイオン二次電池用電極)、
31 負極集電体(集電体)、
32 集電体の表面、
33 負極活物質層(活物質層)、
34a 集電体側部位、
34b 電解質側部位、
35 導電性部材、
36a 集電体側の端部、
36b 電解質側の端部、
39 負極集電板、
40 正極、
41 正極集電体、
43 正極活物質層、
49 正極集電板、
53 電解質層、
55 ラミネートシート、
c 亀裂。
21 単電池層、
23 発電要素、
30 負極(リチウムイオン二次電池用電極)、
31 負極集電体(集電体)、
32 集電体の表面、
33 負極活物質層(活物質層)、
34a 集電体側部位、
34b 電解質側部位、
35 導電性部材、
36a 集電体側の端部、
36b 電解質側の端部、
39 負極集電板、
40 正極、
41 正極集電体、
43 正極活物質層、
49 正極集電板、
53 電解質層、
55 ラミネートシート、
c 亀裂。
Claims (5)
- リチウムを吸蔵、放出可能な活物質を含む活物質層が表面に形成された集電体と、
前記活物質層に設けられ、前記活物質層内において厚み方向に伸びる導電性部材と、を有し、
前記集電体の表面に密着する前記活物質層の集電体側部位と、前記集電体の表面から厚み方向に離れて位置する前記活物質層の電解質側部位とを、前記導電性部材を介して電気的に接続してなる、リチウムイオン二次電池用電極。 - 前記集電体と前記導電性部材とが電気的に接続された、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
- 前記導電性部材の高さが、前記活物質層の厚さの1/2以下である、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
- 前記集電体と前記導電性部材とが一体的に形成されており、
前記導電性部材は、前記活物質層内に向けて突出した凸形状を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。 - 前記活物質層がリチウムと合金化する元素を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
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JP2009214954A JP2011065840A (ja) | 2009-09-16 | 2009-09-16 | リチウムイオン二次電池用電極 |
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