JP2011065837A - 有機el表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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健 岡本
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Abstract

【課題】複数の第1電極を構成する各金属層を、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成する。
【解決手段】各第1電極16は少なくとも一部が金属層16stで構成され、基板10上には、隣り合う第1電極16を区画し、各金属層16stを内部に収容する複数の空間部21を有する第1電極隔壁20が設けられ、第1電極隔壁20の頂部には、各空間部21を隔壁外に開放するように、且つ各金属層16stに対応するように開口部22が形成され、各空間部21は奥広く形成されて、各金属層16stが第1電極隔壁20の基部から離間し、第1電極隔壁20上には各金属層16stと分離し各金属層16stと同一材料からなる分離金属層23が設けられ、第2電極18は、第1電極隔壁20及び分離金属層23を覆い、その一部が有機EL層17と共に各金属層16st上に積層されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置及びその製造方法に関するものである。
有機EL表示装置は、自発光型の表示装置であり、第1電極、有機EL層及び第2電極が順に積層された有機EL素子を画素毎に備え、各有機EL素子において、第1電極と第2電極との間に電流を流すことにより、その間に挟まれた有機EL層を電流に応じた強度で発光させて、画像表示を行うように構成されている。
第1電極を反射性を有する電極とする場合にその材料としては、銀やアルミニウム、銀合金などの金属が用いられる。なかでも特に、銀は、光反射率が高く且つ光透過率が低いため、反射性の電極材料として非常に有望である。
この第1電極は、一般的にフォトリソグラフィーによりパターニングして形成される。そして、第1電極をフォトリソグラフィーによってパターニングした後には、マスクとして用いたレジスト層をアッシングによって取り除き、次いで、有機EL層を形成する前にレジスト層の残渣やダスト或いは湿気などを除去するためにUV(UltraViolet)オゾン処理などの洗浄処理を行う必要がある。
しかし、第1電極を銀で形成した場合に、銀の表面は、フォトリソグラフィーによるパターニング処理やUVオゾン処理などの洗浄処理によって酸化されて酸化銀となり、それによって光反射率が低下すると共に電極特性が劣化しやすい。このため、銀からなる金属膜の表面にITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜を積層し、その後、それら金属膜及び透明導電膜をフォトリソグラフィーにより同時にパターニングすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−31324号公報
しかしながら、銀からなる金属膜上にITOなどの透明導電膜を積層した積層膜をエッチングによりパターニングする場合には、下層の銀が上層のITOなどの透明導電酸化物よりもエッチングレートが速く、第1電極のうち、銀で形成された下層のサイド部分が過剰にエッチングされるため、反射性の電極部分を精度良く所望の形状にすることが困難である。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の第1電極を構成する各金属層を、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、基板上で少なくとも一部が金属層からなる複数の第1電極を区画し各金属層を収容する複数の空間部を有する第1電極隔壁が設けられ、その第1電極隔壁の頂部に、各空間部を隔壁外に開放する開口部が各金属層に対応するように形成され、各空間部が奥広く形成されて、各金属層が第1電極隔壁の基部と離間するようにしたものである。
具体的に、本発明は、基板と、上記基板上に互いに分離して設けられた複数の第1電極と、上記各第1電極上に設けられた有機EL層と、上記有機EL層を介して上記各第1電極に重なる第2電極とを備えた有機EL表示装置を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
すなわち、第1の発明は、上記各第1電極は、少なくとも一部が金属層で構成され、上記基板上には、隣り合う上記第1電極を区画し、上記各金属層を内部に収容する複数の空間部を有する第1電極隔壁が設けられ、上記第1電極隔壁の頂部には、上記各空間部を上記第1電極隔壁外に開放するように、且つ上記各金属層に対応するように開口部が形成され、上記各空間部は、上記基板側の空間断面積が上記開口部側の空間断面積よりも広くなるように奥広く形成されて、上記各金属層が上記第1電極隔壁の基部から離間しており、上記第1電極隔壁上には、上記各金属層と分離し該各金属層と同一材料からなる分離金属層が設けられ、上記第2電極は、上記第1電極隔壁及び分離金属層を覆い、その一部が上記有機EL層と共に上記各金属層上に積層されていることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、上記第1電極隔壁は、基部から頂部に向かって次第に幅が広くなる断面逆テーパ状に形成されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記有機EL層は、上記第1電極毎に設けられ、上記複数の有機EL層は、発光層をそれぞれ有し、該発光層による発光色が互いに異なる2種以上の有機EL層を含み、上記第1電極隔壁の頂部には、該第1電極隔壁における壁厚方向の中央部分に狭幅突出壁が突設されていることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、上記狭幅突出壁は、基部から頂部に向かって次第に幅が狭くなる断面順テーパ状に形成されていることを特徴とする。
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記狭幅突出壁上にも上記分離金属層が設けられ、上記第1電極隔壁及び狭幅突出壁上における各分離金属層の表面には、上記有機EL層を構成する材料からなる有機EL材料層がそれぞれ設けられ、上記狭幅突出壁上の有機EL材料層は、上記第1電極隔壁上の有機EL材料層よりも薄いことを特徴とする。
第6の発明は、第1から第5の発明のいずれか1つの発明において、上記有機EL層から出射される光を上記第1電極と上記第2電極との間において所定の光学長の範囲内で繰り返し反射させることによって特定の波長の光を増強選択するマイクロキャビティ構造を備えることを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、上記各第1電極は、透明導電層及び半透明金属層がこの順に積層されて構成され、上記第2電極は、反射金属層で構成され、上記基板側から上記有機EL層の発光による光を取り出すボトムエミッション型であることを特徴とする。
第8の発明は、第6の発明において、上記各第1電極は、透明導電層及び反射金属層がこの順に積層されて構成され、上記第2電極は、半透明金属層及び透明導電層がこの順に積層されて構成され、上記基板とは反対側から上記有機EL層の発光による光を取り出すトップエミッション型であることを特徴とする。
第9の発明は、第1から第8の発明のいずれか1つの発明において、上記各金属層は、銀、或いは銀合金で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、基板と、上記基板上に互いに分離して設けられた複数の第1電極と、上記各第1電極上に設けられた有機EL層と、上記有機EL層を介して上記各第1電極に重なる第2電極とを備え、上記各第1電極の少なくとも一部が金属層で構成された有機EL表示装置の製造方法を対象としている。
そして、第10の発明は、隣り合う上記第1電極を区画し内部に複数の空間部を有する第1電極隔壁を、上記各空間部が開口部を介して隔壁外に開放するように、且つ上記各空間部における上記基板側の空間断面積が上記開口部側の空間断面積よりも広くなるように上記基板上に形成する隔壁形成ステップと、上記第1電極隔壁が形成された基板上に上記第1電極隔壁よりも薄い金属膜の成膜処理を気相成長法で行うことにより、上記第1電極隔壁の各開口部から露出する上記各空間部の基板上に上記金属層を上記第1電極隔壁の基部から離間するようにそれぞれ形成すると共に、上記第1電極隔壁上に上記各金属層と同一材料からなる分離金属層を上記各金属層と分離するように形成する金属層形成ステップと、上記各金属層上に有機EL層を形成する有機EL層形成ステップと、上記第1電極隔壁及び分離金属層を覆うように、且つ一部が上記有機EL層と共に上記第2電極上に積層されるように第2電極を形成する第2電極形成ステップとを含むことを特徴とする。
−作用−
次に、本発明の作用について説明する。
第1〜第9の発明によれば、基板上で少なくとも一部が金属層からなる複数の第1電極を区画し各金属層を内部に収容する複数の空間部を有する第1電極隔壁が設けられ、その第1電極隔壁の頂部に、各空間部を第1電極隔壁外に開放する開口部が各金属層に対応するように形成され、各空間部が奥広く形成されて、各金属層が第1電極隔壁の基部から離間しており、第1電極隔壁上には各金属層と同一材料で形成された分離金属層が各金属層と分離して形成されている。このような構成の有機EL表示装置は、第10の発明のように、隔壁形成ステップにおいて、複数の空間部を有する第1電極隔壁を、各空間部が開口部を介して隔壁外に開放するように、且つ各空間部が奥広くなるように基板上に形成し、次いで行う金属層形成ステップにて、第1電極隔壁よりも薄い金属膜の成膜処理を例えば真空蒸着法やスパッタリング法などの気相成長法で行うことにより、第1電極隔壁の各開口部から露出する各空間部の基板上に、第1電極隔壁の基部と離間すると共に、第1電極隔壁上に形成される分離金属層と分離するように金属層をそれぞれ形成して、製造することができる。
このように、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことなく金属膜の成膜処理のみで、第1電極隔壁により、各金属層をそのパターン間の分離金属層と分離して形成することが可能である。そのため、エッチングによるパターニング精度に影響されることなく、各金属層を精度良く所望の形状に形成することが可能になる。そして、各金属層を形成する際にフォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行う必要がなくなることから、UVオゾン処理などの洗浄処理も各金属層を形成する前に行うことが可能になり、そのようにすれば、各金属層の酸化が抑制される。したがって、各第1電極を構成する金属層を、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することが可能になる。
さらに、第2の発明によれば、第1電極隔壁が断面逆テーパ状に形成されているため、第1電極隔壁を断面T字状などの他のオーバーハング状に形成する場合に比べて、通常のフォトリソグラフィーによって簡易に第1電極隔壁を形成することが可能である。
ところで、有機EL層が第1電極毎に設けられ、それら複数の有機EL層が発光層による発光色が互いに異なる2種以上の有機EL層を含んでいる場合には、有機EL表示装置の製造において、互いに異なる発光色を呈する各発光層をシャドーマスクを用いて形成し分けることとなるが、このとき、第1電極隔壁上に先に形成された分離金属層や有機EL材料層がマスクの接触により削られ、その削り屑が第1電極隔壁における壁厚方向の両側から有機EL層に混入する虞がある。このように分離金属層や有機EL材料層の削り屑が有機EL層に混入されると、有機EL層の発光にダークスポットと呼ばれる非発光点が発生し、表示品位が著しく低下しやすくなる。
このことに対して、第3の発明によれば、第1電極隔壁における壁厚方向の中央部分に狭幅突出壁が突設されているため、互いに異なる発光色の各発光層を形成し分けるときに、狭幅突出壁上にマスクが接触することとなる。その際に、狭幅突出壁上にも分離金属層や有機EL材料層が設けられていて、これら分離金属層や有機EL材料層がマスクの接触により削られたとしても、その削り屑は第1電極隔壁における壁厚方向の両側部分に付着し、有機EL層に混入することが抑制される。これにより、ダークスポットの発生が抑制され、表示品位を向上させることが可能になる。
さらに、第4の発明によれば、上記狭幅突出壁が断面順テーパ状に形成されていることにより、狭幅突出壁上に形成される分離金属層や有機EL材料層の面積を小さくできるため、マスクの接触により発生する分離金属層や有機EL材料層の削り屑が少なくなる。したがって、有機EL層に削り屑が混入することが良好に抑制される。
また、第5の発明によれば、狭幅突出壁上の有機EL材料層が第1電極隔壁上の有機EL材料層よりも薄いため、マスクとの接触により発生する削り屑の最大量が減少する。したがって、有機EL層に削り屑が混入することが良好に抑制される。
また、第6の発明によれば、有機EL層から出射される特定の波長の光を増強選択するマイクロキャビティ構造を備えることにより、同構造がない場合よりも、有機EL層から発光された光のスペクトルが急峻になり、且つ正面への出射強度が大きく増大するため、色純度及び発光効率が向上する。
さらに具体的に、第7の発明によれば、上記のようなマイクロキャビティ構造を、各第1電極が透明導電層及び半透明金属層の積層体、第2電極が反射金属層でそれぞれ構成され、基板側から有機EL層の発光による光を取り出すボトムエミッション型で実現するので、各第1電極を構成する金属層を半透明状態にするためにその金属層を極薄に形成する必要がある。この極薄の各金属層をフォトリソグラフィーなどのパターニング処理により所望の形状に形成するのは非常に困難であるので、本発明が特に有効である。
また、第8の発明のように、各第1電極が透明導電層及び反射金属層の積層体、第2電極が半透明金属層及び透明導電層の積層体でそれぞれ構成され、基板とは反対側から有機EL層の発光による光を取り出すトップエミッション型である場合にも、上記マイクロキャビティ構造を実現することが可能である。
第9の発明によれば、銀或いは銀合金で形成された金属層は、化学変化を起こしやすく、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理やUVオゾン処理などの洗浄処理によって酸化されやすいので、本発明が特に有効である。
本発明によれば、基板上で少なくとも一部が金属層からなる複数の第1電極を区画し各金属層を収容する複数の空間部を有する第1電極隔壁が設けられ、その第1電極隔壁の頂部に、各空間部を隔壁外に開放する開口部が各金属層に対応するように形成され、各空間部が奥広く形成されて、各金属層が第1電極隔壁の基部から離間しているので、各金属層を、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行わずして、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することができる。その結果、各第1電極を構成する金属層が酸化されることによる有機EL層での発光効率の低下を抑制でき、且つ製造工程を簡略化してコストを低減できる。
実施形態1の有機EL表示装置を概略的に示す斜視図である。 有機EL表示装置における表示領域の一部を概略的に示す平面図である。 図2のIII−III線における断面図である。 実施形態1の有機EL表示装置の要部を概略的に示す断面斜視図である。 実施形態1の有機EL素子の形成工程における前半ステップ図であり、図3対応箇所を示す断面図である。 実施形態1の有機EL素子の形成工程における後半ステップ図であり、図3対応箇所を示す断面図である。 実施形態2の有機EL表示装置の表示領域の一部を概略的に示す図3対応箇所の断面図である。 実施形態2の有機EL素子の形成工程図であり、図7対応箇所の断面図である。 実施形態3の有機EL表示装置の表示領域の一部を概略的に示す図3対応箇所の断面図である。 実施形態3の有機EL素子の形成工程における前半ステップ図であり、図9対応箇所の断面図である。 実施形態3の有機EL素子の形成工程における後半ステップ図であり、図9対応箇所の断面図である。 実施形態4の有機EL表示装置の表示領域の一部を概略的に示す図3対応箇所の断面図である。 実施形態4の有機EL素子の形成工程図であり、図12対応箇所の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《発明の実施形態1》
図1〜図6は、本発明に係る有機EL表示装置の実施形態1を示している。図1は、本実施形態に係る有機EL表示装置Sを概略的に示す斜視図である。図2は、有機EL表示装置Sにおける表示領域Dの一部を概略的に示す平面図である。図3は、図2のIII−III線における断面図である。図4は、有機EL表示パネル1の要部を示す断面斜視図である。図5及び図6は、後述する有機EL表示装置Sの製造方法を説明するための図である。なお、便宜上、図3では保護膜及び封止板、図4では有機EL層17よりも上層の構造についてそれぞれ図示を省略している。
有機EL表示装置Sは、例えば、携帯電話やポータブルメディアプレーヤーなどのディスプレイなどに用いられる。
<有機EL表示装置Sの構成>
有機EL表示装置Sは、図1に示すように、TFT(Thin Film Transistor)基板上に所定配列で有機EL素子が複数設けられた有機EL表示パネル1に、それら複数の有機EL素子を封止する封止板2が貼り合わされた構造を有する。
有機EL表示パネル1及び封止板2は例えば矩形状に形成され、これら有機EL表示パネル1と封止板2とが重なり合う領域に上記複数の有機EL素子により画像表示を行う表示領域Dが設定されている。表示領域Dは、図2に示すように、画像の最小単位である画素Pがマトリクス状に複数配列して構成され、例えばRGBフルカラー表示を行う場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素p1を一組として各画素Pが構成されている。
なお、図2では3色の副画素p1が並置方式でストライプ状に並んでいる様子を示しているが、3色の副画素p1がデルタ配列やその他の並べ方で配置されていてもよい。
また、図1に示すように、有機EL表示パネル1は、封止板2よりも大面積に形成され、表示領域Dの外部に例えば一辺側が封止板2よりも突出した端子部Tを有している。この端子部Tには、図示省略のFPC(Flexible Printed Circuit)が接続され、そのFPCを介して画像表示のための各種信号などが表示パネル1に入力されるようになっている。
<TFT基板の構成>
TFT基板10は、図3に示すガラス基板などの絶縁性材料からなる基板11を有し、その基板11上に、図示省略するが、例えば、互いに並行して延びる複数のゲート配線、各ゲート配線に沿うように延びる複数の電流供給配線、各ゲート配線及び電流供給配線に交差する方向に延びる複数のソース配線がそれぞれ設けられている。ここで、ゲート配線及びソース配線は、絶縁層(後述の窒化シリコン層)を介して互いに絶縁され、全体として各副画素p1を区画するように格子状に形成されている。そして、各副画素p1にはゲート配線及びソース配線の信号に基づき電流供給配線から電流を供給するTFT12が設けられており、それら各配線及び各TFT12を覆うように層間絶縁膜13が設けられている。
層間絶縁膜13には、各TFT12に対応する位置にコンタクトホール13hがそれぞれ形成されており、これら各コンタクトホール13hを介してTFT基板10の表面から各TFT12まで導通することが可能になっている。この層間絶縁膜13は、例えば窒化シリコン層及びアクリル系樹脂層が順に積層された積層体であり、アクリル系樹脂層が平坦化層として機能する。アクリル系樹脂層は、表面の凹凸が100nm以下であることが好ましく、そのために例えば8μm程度の厚さで形成されている。
この層間絶縁膜13上には、複数の有機EL素子15と、これら複数の有機EL素子15を構成するTFT基板10側の各電極16を取り囲むようにこれら隣り合う電極16を区画する第1電極隔壁20とが設けられている。
<有機EL素子15及び第1電極隔壁20の構成>
各有機EL素子15は、各副画素p1に対応して設けられている。これら各有機EL素子15は、図3に示すように、第1電極16と、第1電極16上に設けられた有機EL層17と、有機EL層17を介して第1電極16に重なる第2電極18とを備え、第1電極16と第2電極18との間に電流を流すことにより有機EL層17が対応する副画素p1の色(赤色、緑色又は青色)で発光する。本実施形態の各有機EL素子15は、マイクロキャビティ構造を取り入れており、有機EL層17の発光による光をTFT基板10側から取り出すボトムエミッション型である。
各第1電極16は、層間絶縁膜13の表面に、各有機EL素子15毎に互いに分離して島状パターンに設けられてると共に、層間絶縁膜13に形成されたコンタクトホール13hを介してTFT12に電気的に接続されている。各第1電極16は、陽極を構成し、有機EL層17に正孔(ホール)を注入する機能を有する。これら各第1電極16は、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電層16t、及び銀(Ag)からなる半透明金属層16stがこの順に積層されて構成されている。透明導電層16tは110nm程度の厚さである。半透明金属層16stは、10〜20nm程度の厚さで極薄に形成され、これにより、高い光反射性及び光透過性を併せ持っている。この半透明金属層16stは、透明導電層16tよりも小面積に形成されて、その透明導電層16tの中央部に配置されている。
なお、透明導電層16tはITO、半透明金属層16stは銀でそれぞれ形成されているとしているが、透明導電層16tは、IZO(Indium Zinc Oxide)やGZO(Galium Zinc Oxide)などの他の透明導電材料で形成されていてもよく、半透明金属層16stは、アルミニウム(Al)や銀合金(MgAg、APC(AgPdCu)等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)など、極薄に形成することで高い光反射性及び光透過性を併せ持つ半透明の層にできる他の金属材料で形成されていてもよい。
これら複数の第1電極16を区画する第1電極隔壁20は、図3及び図4に示すように、各第1電極16下層の透明導電層16tの周縁部を覆っており、第1電極16と第2電極18とが短絡するのを防止するいわゆるエッジカバーとして機能している。この第1電極隔壁20は、例えば、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂などの絶縁性の有機材料で構成され、高さが1μm程度である。
第1電極隔壁20は、各半透明金属層16stを内部に収容する複数の空間部(図3中に2点鎖線で囲む空間)21を有し、これら各空間部21を第1電極隔壁20外に開放する開口部22が頂部に形成されている。これら各開口部22は、各半透明金属層16stに対応するように形成されている。そして、第1電極隔壁20は、基部から頂部に向かって次第に幅が広くなる断面順テーパ状に形成されている。そのことにより、各空間部21は、TFT基板10側の空間断面積が開口部22側の空間断面積よりも広くなるように奥広く形成されており、各半透明金属層16stが第1電極隔壁20の基部から離間している。
また、第1電極隔壁20上には、各半透明金属層16stと同一材料で形成された分離金属層23が各半透明金属層16stと分離して設けられている。さらに、分離金属層23上には、有機EL層17を構成する材料からなる有機EL材料層24が設けられている。この有機EL材料層24は、発光色が互いに異なる隣り合う有機EL層17の間において、第1電極隔壁20の壁厚方向の中央部分に沿って延びるように、後述する正孔輸送層及び発光層が積層されていない分だけ薄く形成された溝部24dを有している。
有機EL層17は、各第1電極16毎に半透明金属層16st上に形成され、第1電極16側から正孔輸送層、発光層、バッファ層、電子輸送層、電子注入層が順に積層された5層構造を有する。
正孔輸送層は、第1電極16から発光層への正孔輸送効率を高める機能を有する。この正孔輸送層は、例えば、ベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリフェニル(又はアリール)アミン誘導体、ヒドラゾン誘導体などで形成されている。本実施形態における正孔輸送層は、マイクロキャビティ構造を実現するために、発光色が異なる有機EL層17毎に互いに異なる厚さで形成されており、例えば、赤色発光の有機EL層17で60nm程度、緑色発光の有機EL層17で70nm程度、青色発光の有機EL層17で100nm程度の厚さである。
発光層は、第1電極16側から注入された正孔と第2電極18側から注入された電子とを再結合させて、この再結合により発光する機能を有する。この発光層は、対応する副画素p1の色の発光色(赤色、緑色又は青色)を呈する、低分子蛍光色素やアントラセン類、金属錯体などの発光効率の高い材料で形成されている。発光層の厚さは、発光色に関わらず、30nm程度である。
バッファ層は、正孔が電子輸送層側に侵入することをブロックする機能を有する。このバッファ層は、例えば、バソキュプロイン(BCP)誘導体などで形成されており、厚さが10nm程度である。
電子輸送層は、電子注入層から発光層への電子輸送効率を高める機能を有する。この電子輸送層は、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール及びその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などで形成されており、厚さが30nm程度である。
電子注入層は、第2電極18から電子輸送層への電子注入効率を高める機能を有する。電子注入層は、例えばリチウム(Li)などのアルカリ金属、フッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム(LiO)、リチウム錯体、アルカリ金属ドープ有機物などで形成されており、厚さが0.5nm程度である。
なお、本実施形態では、有機EL層17が5層構造であるとしているが、正孔輸送層、バッファ層、電子輸送層、電子注入層は必要に応じて設けられていればよく、有機EL層17は発光層を含む4層以下の構造であってもよい。また、有機EL層17は、必要に応じて、第1電極16と正孔輸送層との間に正孔注入層が設けられた6層以上の構造であっても構わない。
また、上述した例では、正孔輸送層の厚さを有機EL層17の発光色毎に変えることでマイクロキャビティ構造を実現しているが、発光領域が発光層中の正孔輸送層側にある場合には、発光層の厚さを発光色毎に変えることでマイクロキャビティ構造を実現することが可能である。
第2電極18は、陰極を構成し、図3に示すように、第1電極隔壁20上の分離金属層23及び有機EL材料層24を覆い、その一部が各有機EL層17と共に各半透明金属層16stに積層されて、複数の有機EL素子15に亘って共通して一体に形成されている。第2電極18は、有機EL層17に電子を注入する機能を有する。この第2電極18は、アルミニウム(Al)からなる反射金属層で構成されており、厚さが1μm程度である。
なお、第2電極18は、アルミニウム(Al)で形成されているとしているが、銀(Ag)や銀合金(MgAg、APC等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)などの高い光反射率を有する金属材料で形成されていてもよい。
これら各有機EL素子15が採用するマイクロキャビティ構造は、第1電極16と第2電極18との間での光の共振効果を利用しており、有機EL層17の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の光の波長はそれぞれ異なるため、各色の発光スペクトルピーク波長に第1電極16と第2電極18との間の光路長を合わせるべく、例えば、各色の発光スペクトルピーク波長をλ、発光層及び正孔輸送層の屈折率をそれぞれn1,n2、発光層中の発光領域から正孔輸送層までの発光層厚さをd1、正孔輸送層の厚さをd2としたとき、(n1×d1)+(n2×d2)=m(λ÷4)(mは奇数)を満たすように、異なる発光色を呈する有機EL層17毎に正孔輸送層の厚さを設定することで、各発光色において最も強い光を取り出すようになっている。これにより、有機EL層17から出射される光は、第1電極16と第2電極18との間で所定の光学長の範囲内で反射を繰り返し、光路長の合った特定の波長の光を共振させて増強選択する一方、光路長のずれた波長の光を弱め、外部に取り出される発光スペクトルが急峻で高強度になり、輝度及び色純度が向上する。
なお、発光層の厚さを発光色毎に変えることでマイクロキャビティ構造を実現する場合には、発光層の厚さを赤色(R)が一番厚く、青色(B)が一番薄く、緑色(B)がその中間の厚さになるようにそれぞれ設定することにより、各発光色において最も強い光を取り出すことが可能になる。
<有機EL素子15の封止構造>
第2電極18上には、図示は省略するが、二酸化ケイ素(SiO)などからなる保護膜が例えば0.5μm程度の厚さで設けられている。そして、この保護膜に接触するように封止板2が貼り合わせられている。封止板2は、例えばガラス板で構成され、有機EL表示パネル1における表示領域D外側の額縁領域(非表示領域)に周縁部が溶接されている。
なお、封止板2は、有機EL表示パネル1に周縁部を溶接して貼り合わせられているとしているが、エポキシ樹脂などの接着材を介して保護膜上に貼り合わせられていてもよい。また、第2電極18が比較的厚いことにより、有機EL層17への水分や酸素の侵入を防ぐ十分な封止機能が得られる場合には、第2電極18上の保護膜は設けられていなくてもよい。
<有機EL表示装置Sの作動>
上記構成の有機EL表示装置Sでは、各副画素p1において、ゲート配線からのゲート信号に基づき、ソース配線からのソース信号に応じた電流がTFT12を介して電流供給配線から有機EL素子15に流れる。そして、有機EL表示装置Sでは、各画素Pにおいて、有機EL層17に流れる電流の大きさによって3色(赤色、緑色及び青色)の有機EL素子15の発光強度をそれぞれ調整することにより、所望の画像が表示される。
−製造方法−
次に、上記有機EL表示装置Sを製造する方法について、図5及び図6を参照しながら、一例を挙げて説明する。図5は有機EL素子15の形成工程における前半ステップ図であり、図6は有機EL素子15の形成工程における後半ステップ図である。これら図5及び図6は、図3に対応する箇所をそれぞれ示している。
本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法は、TFT基板作製工程と、有機EL素子形成工程と、封止工程とを含んでいる。
<TFT基板作製工程>
まず、TFT基板10の基板11として、ガラス基板を準備する。なお、基板11としては、ガラス基板に限らず、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるプラスチック基板など、透明性を有する他の基板であってもよい。
次いで、ガラス基板11上に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シリコン半導体膜を成膜し、そのシリコン半導体膜に結晶化処理を施して多結晶シリコン半導体膜を得る。続いて、多結晶シリコン半導体膜をフォトリソグラフィーによるエッチング処理でパターニングして、各TFTを構成する島状パターンの半導体層を形成する。そして、半導体層が形成された基板上に、ゲート絶縁膜と、ゲート配線(ゲート電極)及び電流供給配線とを順次形成し、さらに各半導体層にドーピングを行うことによりソース領域及びドレイン領域を形成して、各TFT12を形成する。
その後、各TFT12を覆うように層間絶縁膜13を形成する。まず、プラズマCVD法により窒化シリコン膜を成膜し、その窒化シリコン膜及びゲート絶縁膜をフォトリソグラフィーによるエッチング処理でパターニングして、半導体層のソース領域及びドレイン領域に通じる各コンタクトホールを形成する。次いで、コンタクトホールを介してソース領域に接続するようにソース配線を形成し、続いて、窒化シリコン膜を覆うようにスピンコーターを用いてアクリル系樹脂層を8μm程度の厚さに形成する。このように形成したアクリル系樹脂層表面の凹凸の大きさは、例えば最大で48nm程度である。樹脂層表面の凹凸は、触針式段差計を用いて計測することができる。
そして、ゲート絶縁膜及び窒化シリコン膜に穿孔したドレイン領域へのコンタクトホールの位置と対応するように、アクリル系樹脂層にドレイン領域に通じるコンタクトホール13hを形成する。このようにして、TFT基板10を作製することができる。
<有機EL素子形成工程>
有機EL素子形成工程は、隔壁形成ステップと、金属層形成ステップと、有機EL層形成ステップと、第2電極形成ステップとを含む。
まず、TFT基板10上に、スパッタリング法により、ITO膜を成膜し、そのITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングすることで、図5(a)に示すように、各透明導電層16tを島状パターンに形成する。次いで隔壁形成ステップを行う。
(隔壁形成ステップ)
透明導電層16tが形成された基板上に、スピンコート法或いはスリットノズルでの全面塗布によりネガ型の有機絶縁材料を塗布して、その有機絶縁材料に対し、マスクを介しての露光処理、アルカリ溶液による現像処理、及び焼成処理を行う通常のフォトリソグラフィーにより、図5(b)に示すように、隣り合う透明導電層16tを区画し内部に複数の空間部21を有する第1電極隔壁20を、各空間部21が透明導電層16t表面を露出する開口部22を介して隔壁外に開放するように、且つ各空間部21が奥広くなるように断面逆テーパ状に1μm程度の高さに形成する。この第1電極隔壁20の高さは、有機絶縁材料の塗布条件及び焼成処理の条件により制御することができる。このように、断面逆テーパ状の第1電極隔壁20は、断面T字状などの他のオーバーハング状に第1電極隔壁を形成する場合に比べて、通常のフォトリソグラフィーにより簡易に形成することができる。
その後、第1電極隔壁20が形成された基板に、基板上の絶縁膜13、隔壁20などの水分を蒸発させる目的で真空ベーク処理(例えば120℃程度で5時間程度)を行い、それに続き、有機EL層17の蒸着前に基板表面のダストなどを取り除くため、及び蒸着する際の基板表面の改質のためにUVオゾン処理を行う。第1電極16や有機EL層17の形成部分にダストなどが存在すると、その部分で発光が阻害されて輝度が低下するのみならず、ダストなどが存在する部分から有機EL層17が電流をリークしやすくなったり、発光を行わないダークスポットとなる虞があるためである。
UVオゾン処理は、具体的には、基板上をUV及びUVで生成したオゾンで洗浄する処理である。このとき、例えば、処理温度は約25℃であり、処理時間は約0.5〜5分である。このUVオゾン処理は、例えば水銀ランプやエキシマーランプなどの装置を用いて行うことができる。
なお、UVオゾン処理の他、酸素プラズマ処理を行って、基板表面からダストなどを除去してもよい。酸素プラズマ処理は、具体的には、酸素ガス雰囲気下でプラズマ放電することにより基板上を軽くエッチングする処理である。これらUVオゾン処理及び酸素プラズマ処理は、両方を行ってもよく、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
(金属層形成ステップ)
洗浄処理された基板上に、抵抗加熱源を用いた真空蒸着法により、第1電極隔壁20の壁高さよりも薄い10〜20nm程度の厚さになるように銀膜の成膜処理を行うことで、図6(a)に示すように、第1電極隔壁20の各開口部22から露出する透明導電層16a表面に半透明金属層16stをそれぞれ形成する。このとき、第1電極隔壁20上にも銀膜が成膜されるが、第1電極隔壁20が断面逆テーパ状に形成されて各空間部21が奥広くなっていることにより、各半透明金属層16stは第1電極隔壁20の基部から離間するように形成されるため、第1電極隔壁20上に成膜された銀膜は第1電極隔壁20における壁厚方向の両端部で各半透明金属層16stと分断され、それら各半透明金属層16stと分離して分離金属層23が形成される。このようにして、透明導電層16t及び半透明金属層16stで構成された各第1電極16を形成できる。
(有機EL層形成ステップ)
まず、第1電極16が形成された基板上に、シャドーマスクを用いた真空蒸着法により、α−ナフチルジアミン(α−NPD)膜を1Å/s程度の蒸着速度で、赤色発光の有機EL層17を形成する領域に60nm程度、緑色発光の有機EL層17を形成する領域に70nm程度、青色発光の有機EL層17を形成する領域に100nm程度の厚さにそれぞれ成膜することで、各半透明金属層16st上に異なる厚さの正孔輸送層を形成し分ける。このとき、分離金属層23上にも、正孔輸送層と同一材料の有機層が第1電極隔壁20の端部で分断され各正孔輸送層と分離して形成される。そして、各色で発光する有機EL層17の形成領域へのα−NPDの成膜時に、正孔輸送層を形成し分ける各領域が互いに重ならないように成膜した場合には、正孔輸送層と同一材料の有機層に中央部が低くなる段差ができる。一方、正孔輸送層を形成し分ける各領域が第1電極隔壁20上で互いに一部重なるように成膜した場合には、正孔輸送層と同一材料の有機層に中央部が高くなる段差ができる(不図示)。
次に、正孔輸送層が形成された基板上に、シャドーマスクを用いた共蒸着により、赤色発光、緑色発光及び青色発光の各発光層を順に形成する。このシャドーマスクを用いた共蒸着では、蒸着源として、ホスト材料と、例えば赤色(R)、緑色(G)又は青色(B)のドーパント色素とをそれぞれ別個のるつぼに入れておき、真空引きした真空環境下で各るつぼを加熱し、それら各るつぼ内のホスト材料及びドーパント色素を所定のシャドーマスクを介して同時に蒸着させることにより、選択した色(例えば赤色)の発光層を形成する。さらに、他の2色(例えば緑色及び青色)の発光層についても、マスクをずらして同様な工程を繰り返し行うことにより形成して、各色の発光層を形成する。このとき、分離金属層23上にも、マスクが重ならない領域に各色の発光層と同一材料からなる有機層が各発光層と分離して積層される。
赤色発光の発光層は、例えば、ホスト材料としての4,4−ビス(カルバゾール−9−イル)−ビフェニル(CBP)と、赤色燐光ドーパント色素としてのビス(2−(2’−ベンゾ[4、5−a]チエニル)ピリジナト−N、C3’)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)(Btp2Ir(acac))とを共蒸着することにより、30nm程度の厚さに形成する。このとき、例えば、CBPの蒸着速度が1Å/s程度であり、Btp2Ir(acac)の蒸着速度が0.1Å/s程度である。
緑色発光の発光層は、例えば、ホスト材料としてのCBPと、緑色発光ドーパント色素としてのトリスフェニルピリジアナトリウム(III)錯体(Ir(ppy))とを共蒸着することにより、30nm程度の厚さに形成する。このとき、例えば、CBPの蒸着速度が1Å/s程度であり、Ir(ppy)の蒸着速度が0.1Å/s程度である。
また、青色発光の発光層は、例えば、ホスト材料としての9−(4−tert−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)と、青色発光ドーパント色素としてのビス[2−(4,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N、C’]イリジウム(III)ピコリレート(FIr(Pic))とを共蒸着することにより、30nm程度の厚さに形成する。このとき、例えば、CzSiの蒸着速度が1Å/s程度であり、FIr(Pic)の蒸着速度が0.1Å/s程度である。
続いて、発光層が形成された基板上に、真空蒸着法により、1Å/s程度の蒸着速度で10nm程度の厚さにBCP膜を成膜することで、バッファ層を形成する。このとき、分離金属層23上にも、バッファ層と同一材料からなる有機層がバッファ層と分離して積層される。
そして、バッファ層が形成された基板上に、真空蒸着法により、1Å/s程度の蒸着速度で30nm程度の厚さにAlq膜を成膜することで、電子輸送層を形成する。このとき、分離金属層23上にも、電子輸送層と同一材料からなる有機層が電子輸送層と分離して積層される。
最後に、電子輸送層が形成された基板上に、真空蒸着法により、1Å/s程度の蒸着速度で0.5nm程度の厚さにLiF膜を成膜することで、電子注入層を形成する。このとき、分離金属層23上にも、電子注入層と同一材料からなる無機層が電子注入層と分離して積層される。このようにして、図6(b)に示すように、各有機EL層17を形成すると共に、分離金属層23上に複数の有機層と無機層との積層体で構成された有機EL材料層24が形成される。
(第2電極形成ステップ)
有機EL層17が形成された基板上に、真空蒸着法により、第1電極隔壁20の壁高さよりも高くなるように例えば1μm程度の厚さにアルミニウム膜を成膜することで、第1電極隔壁20及び分離金属層23を覆うように、且つ一部が各有機EL層17と共に各半透明金属層16st上に積層されるように第2電極18を形成する。
このようにして、第1電極16が互いに分離されて個別に駆動制御可能な有機EL素子15を各副画素p1毎に形成することができる。その後に封止工程を行う。
<封止工程>
まず、有機EL素子15が形成された基板上に、蒸着法により、第2電極18を覆うように0.5μm程度の厚さでSiOからなる保護膜を成膜することで、有機EL表示パネル1が作製される。そして、その有機EL表示パネル1に対してレーザー溶接により封止板2の周縁部を溶接して、複数の有機EL素子15を封止するように有機EL表示パネル1と封止板2とを貼り合わせる。
以上の工程を行って、有機EL表示装置Sを製造することができる。
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1の有機EL表示装置Sによると、TFT基板10上で複数の第1電極16を区画しそれら各第1電極16上層の半透明金属層16stを内部に収容する複数の空間部21を有する第1電極隔壁20が設けられ、その第1電極隔壁20の頂部に、各半透明金属層16stに対応するように開口部22が形成され、各空間部21が奥広く形成されて、各半透明金属層16stが第1電極隔壁20の基部から離間しており、第1電極隔壁20上には各半透明金属層16stと同一材料で形成された分離金属層23が各半透明金属層16stと分離して形成されている。このような構成の有機EL表示装置Sは、上述の製造方法に例示したように、隔壁形成ステップにおいて、隣り合う透明導電層16tを区画し複数の空間部21を有する第1電極隔壁20を、各空間部21が開口部22を介して隔壁外に開放するように、且つ各空間部21が奥広くなるようにTFT基板10上に形成し、次いで行う金属層形成ステップにて、第1電極隔壁20よりも薄い金属膜の成膜処理を真空蒸着法などの気相成長法で行うことにより、第1電極隔壁20の各開口部22から露出する透明導電層16t表面に、第1電極隔壁20の基部と離間すると共に、第1電極隔壁20上に形成される分離金属層23と分離するように半透明金属層16stをそれぞれ形成して、製造することができる。
このように、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことなく銀膜の成膜処理のみで、第1電極隔壁20により、各半透明金属層16stをそのパターン間の分離金属層23と分離して形成できる。そのため、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理では所望の形状に非常に形成困難な銀からなる極薄の各半透明金属層16stを精度良く所望の形状に形成できる。そして、UVオゾン処理などの洗浄処理を各半透明金属層16stを形成する前に行うので、各半透明金属層16stの酸化を抑制できる。したがって、各第1電極16上層の半透明金属層16stを、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することができる。その結果、各半透明金属層16stが酸化されることによる有機EL層17での発光効率の低下を抑制でき、且つ製造工程を簡略化してコストを低減できる。
《発明の実施形態2》
図7及び図8は、本発明に係る有機EL表示装置の実施形態2を示している。なお、以降の各実施形態では、図1〜図6と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図7は、本実施形態の有機EL表示装置Sにおける表示領域Dの一部であり、図4に対応する箇所を示す断面図である。図8は、後述する本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法を説明するための図である。
本実施形態の有機EL表示装置Sでは、図7に示すように、第1電極隔壁20の頂部に、その第1電極隔壁20の頂部表面よりも狭い幅の狭幅突出壁25が突設されている。狭幅突出壁25は、第1電極隔壁20における壁厚方向の中央部分に設けられ、基部から頂部に向かって次第に幅が狭くなる断面順テーパ状に形成されている。狭幅突出壁25は、例えば、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリル樹脂などの絶縁性の有機材料で構成されている。
この狭幅突出壁25上にも、分離金属層23及び有機EL材料層24が順に積層されている。この狭幅突出壁25上の有機EL材料層24は、正孔輸送層及び発光層が設けられていない分だけ第1電極隔壁20上の有機EL材料層24よりも薄くなっている。そして、第2電極18は、狭幅突出壁25を分離金属層23及び有機EL材料層24と共に覆って、上記実施形態1と同様に、複数の有機EL素子15に亘って共通して一体に設けられている。また、本実施形態の有機EL表示装置Sのその他の構成についても、上記実施形態1と同様である。
−製造方法−
次に、上記有機EL表示装置Sの製造方法について、図8を参照しながら、一例を挙げて説明する。図8は、有機EL素子15の形成工程図であり、図7に対応する箇所を示す断面図である。
本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法も、TFT基板作製工程と、有機EL素子形成工程と、封止工程とを含んでいる。ここで、TFT基板作製工程及び封止工程については、上記実施形態1と同様なので、その説明は省略する。
<有機EL素子形成工程>
まず、TFT基板作製工程で作製されたTFT基板10上に、上記実施形態1と同様にして、ITOからなる各透明導電層16tを島状パターンに形成する。次いで、隔壁形成ステップを行う。
(隔壁形成ステップ)
まず、上記実施形態1と同様にして、透明導電層16tが形成された基板上に、フォトリソグラフィーにより、隣り合う透明導電層16tを区画し内部に複数の空間部21を有する第1電極隔壁20を、各空間部21が各半透明金属層16st表面を露出する開口部22を介して隔壁外に開放するように、且つ各空間部21が奥広くなるように断面逆テーパ状に形成する。
次に、第1電極隔壁20が形成された基板上に、スピンコート法或いはスリットノズルでの全面塗布によりポジ型の有機絶縁材料を塗布して、その有機絶縁材料に対し、マスクを介しての露光処理、アルカリ溶液による現像処理、及び焼成処理を行う通常のフォトリソグラフィーにより、図8(a)に示すように、狭幅突出壁25を断面順テーパ状に形成する。このように、狭幅突出壁25を断面順テーパ状に形成することにより、狭幅突出壁25の頂面を小さくできるため、後に行う金属層形成ステップ及び有機EL層形成ステップで狭幅突出壁25上に形成される分離金属層23及び有機EL材料層24の面積を小さくできる。その後、真空ベーク処理及びそれに続くUVオゾン処理を行う。
(金属層形成ステップ)
上記実施形態1と同様にして、図8(b)に示すように、第1電極隔壁20の各開口部22から露出する透明導電層16t表面に半透明金属層16stをそれぞれ形成し、透明導電層16t及び半透明金属層16stで各第1電極16を構成する。このとき、第1電極隔壁20及び狭幅突出壁25上に、各半透明金属層16stと分離して分離金属層23がそれぞれ形成される。
(有機EL層形成ステップ)
上記実施形態1と同様にして、正孔輸送層、発光層、ブロック層、電子輸送層、電子注入層を半透明金属層16st上に順に形成して、有機EL層17を形成する。このとき、第1電極隔壁20及び狭幅突出壁25上の各分離金属層23表面に、各有機EL層17と分離して有機EL材料層24がそれぞれ形成される。
その後に、上記実施形態1と同様な第2金属層形成ステップ及びそれに続く封止工程を行うことにより、本実施形態の有機EL表示装置Sを製造することができる。
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によると、上記実施形態1と同様の構成(第1電極隔壁20)を有しているので、上記実施形態1と同様に、第1電極16上層の銀からなる極薄の各半透明金属層16stを、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成できる。
さらに、第1電極隔壁20における壁厚方向の中央部分に断面順テーパ状の狭幅突出壁25が突設されているため、有機EL層形成ステップにおいて、互いに異なる発光色の各有機EL層17を形成する領域毎に、正孔輸送層及び発光層を形成し分けるときに、狭幅突出壁25上にシャドーマスクが接触することとなる。その際に、狭幅突出壁25上に設けられた分離金属層23や有機EL材料層24がマスクの接触により削られたとしても、その削り屑は、量が少なく、しかも第1電極隔壁20における壁厚方向の両側部分に付着するため、有機EL層17に混入することを抑制できる。これにより、ダークスポットの発生を抑制でき、表示品位を向上させることができる。
《発明の実施形態3》
図9〜図11は、本発明に係る有機EL表示装置の実施形態3を示している。図9は、本実施形態の有機EL表示装置Sにおける表示領域Dの一部であり、図3に対応する箇所を示す断面図である。図10及び図11は、後述する本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法を説明するための図である。
上記実施形態1及び2では、ボトムエミッション型の有機EL素子15を備えた有機EL表示装置Sについて説明したが、本実施形態の有機EL表示装置Sは、トップエミッション型の有機EL素子30を備えている。本実施形態の有機EL表示装置Sは、有機EL素子30及び第1電極隔壁20上の積層構造以外の構成について上記実施形態1と同様である。
なお、本実施形態では、通常のトップエミッション型の有機EL素子30を例に挙げて説明するが、陽極と陰極とを逆転させた、いわゆる逆構造のトップエミッション型の有機EL素子であっても構わない。
本実施形態の各有機EL素子30も、図9に示すように、第1電極31、有機EL層32及び第2電極33を備えており、第1電極31が陽極、第2電極33が陰極をそれぞれ構成している。そして、各有機EL素子30も、上記実施形態1と同様に、マイクロキャビティ構造を採用しており、これによって、外部に取り出される発光スペクトルが急峻で高強度となり、輝度及び色純度が向上する。
第1電極31は、ITOからなる透明導電層31t、及び銀からなる反射金属層31rがこの順に積層されて構成されている。透明導電層31tは110nm程度の厚さであり、反射金属層31rは100nm程度の厚さである。反射金属層31rは、透明導電層31tよりも小面積に形成されて、その透明導電層31tの中央部に配置されている。
有機EL層32は、例えば、上記実施形態1と同様に、正孔輸送層、発光層、ブロック層、電子輸送層、正孔注入層が順に積層された5層構造を有している。
第2電極33は、銀からなる半透明金属層33st、及びITOからなる透明導電層33tがこの順に積層されて構成されている。半透明金属層33stは、10〜20nm程度の厚さで極薄に形成されて、高い光反射性及び光透過性を併せ持っている。透明導電層33tの厚さは10μm程度である。
また、第1電極隔壁20上には、反射金属層31rと同一材料の分離金属層35、有機EL層32を構成する材料からなる有機EL材料層36、半透明金属層33stと同一材料からなる金属層37が、反射金属層31r、有機EL層32及び半透明金属層33stとそれぞれ分離して順に積層されている。有機EL材料層36は、上記実施形態1同様な溝部36dを有している。そして、分離金属層35、有機EL材料層36及び金属層37を覆うように、且つ一部が各半透明金属層33stに積層するように複数の有機EL素子30に亘って共通して一体に透明導電層33tが設けられている。
−製造方法−
次に、上記有機EL表示装置Sの製造方法について、図10及び図11を参照しながら、一例を挙げて説明する。図10は本実施形態の有機EL素子30の形成工程における前半ステップ図であり、図11は本実施形態の有機EL素子30の形成工程における後半ステップ図である。これら図10及び図11は、図9に対応する箇所をそれぞれ示している。
本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法も、TFT基板作製工程と、有機EL素子形成工程と、封止工程とを含んでおり、TFT基板作製工程及び封止工程については、上記実施形態1と同様なので、その説明を省略する。
なお、上記実施形態1,2では、TFT基板作製工程において、TFT基板10の基板11として、ガラス基板などの透明性を有する基板を用いたが、本実施形態では、有機EL素子30がTFT基板10とは反対側から光を取り出すトップエミッション型であるために基板11に透明性を必要としないので、基板11としてシリコンウェーハなどの半導体基板を用いてもよい。
<有機EL素子形成工程>
まず、TFT基板作製工程で作製されたTFT基板10上に、上記実施形態1と同様にしてITOからなる各透明導電層31tを島状パターンに形成し、次いで、隔壁形成ステップを行う。
(隔壁形成ステップ)
上記実施形態1と同様にして、透明導電層16tが形成された基板上に、フォトリソグラフィーにより、隣り合う透明導電層16tを区画し内部に複数の空間部21を有する第1電極隔壁20を、各空間部21が透明導電層31t表面を露出する開口部22を介して隔壁外に開放するように、且つ各空間部21が奥広くなるように断面逆テーパ状に形成する。その後、真空ベーク処理及びそれに続くUVオゾン処理を行う。
(金属層形成ステップ)
洗浄処理された基板上に、抵抗加熱源を用いた真空蒸着法により、第1電極隔壁20の壁高さよりも薄い100nm程度の厚さになるように銀膜の成膜処理を行うことで、図10(a)に示すように、第1電極隔壁20の各開口部22から露出する透明導電層16a表面に反射金属層31rをそれぞれ形成し、透明導電層31t及び反射金属層31rで各第1電極31を構成する。このとき、第1電極隔壁20上に、各反射金属層31rと分離して分離金属層35が形成される。
(有機EL層形成ステップ)
第1電極31が形成された基板上に、上記実施形態1と同様にして、正孔輸送層、発光層、ブロック層、電子輸送層、電子注入層を各反射金属層31r上に順に形成して、図10(b)に示すように、各有機EL層32を形成する。このとき、分離金属層35上に、各有機EL層32と分離して有機EL材料層36が形成される。本実施形態のように通常のトップエミッション型におけるマイクロキャビティ構造は、上記実施形態1と同様に、正孔輸送層の厚さを調整することで実現できる。また、いわゆる逆構造のトップエミッション型におけるマイクロキャビティ構造は、例えば電子輸送層の厚さを調整することで実現できる。
(第2電極形成ステップ)
まず、有機EL層32が形成された基板上に、真空蒸着法により、銀膜を10nm程度の厚さに成膜することにより、図11に示すように、各半透明金属層33stを形成する。このとき、有機EL材料層36上に、各半透明金属層33stと分離して金属層37が形成される。続いて、スパッタリング法により、半透明金属層33stを覆うようにITO膜を10μm程度の厚さに成膜することで、分離金属層35、有機EL材料層36及び金属層37を覆うように、且つ一部が各半透明金属層33stに積層するように透明導電層33tを形成する。このようにして、半透明金属層33st及び透明導電層33tで構成された第2電極33を形成する。
その後に、上記実施形態1と同様な封止工程を行うことにより、本実施形態の有機EL表示装置Sを製造することができる。
−実施形態3の効果−
したがって、この実施形態3によると、各第1電極31上層の反射金属層31rを、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することができ、その結果、各反射金属層31rが酸化されることによる有機EL層17での発光効率の低下を抑制でき、且つ製造工程を簡略化してコストを低減できる。
《発明の実施形態4》
図12及び図13は、本発明に係る有機EL表示装置の実施形態4を示している。図12は、本実施形態の有機EL表示装置Sにおける表示領域Dの一部であり、図3に対応する箇所を示す断面図である。図13は、後述する本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法を説明するための図である。
本実施形態の有機EL表示装置Sは、図12に示すように、上記実施形態2と同様に第1電極隔壁20の頂部に狭幅突出壁25が突設されており、この狭幅突出壁25上の有機EL材料層36は正孔輸送層及び発光層が設けられていない分だけ第1電極隔壁20上の有機EL材料層36よりも薄くなっている。本実施形態の有機EL表示装置Sのその他の構成については、上記実施形態3と同様であり、各有機EL素子がマイクロキャビティ構造を採用したトップエミッション型の有機EL素子30である。
−製造方法−
次に、上記有機EL表示装置Sの製造方法について、図13を参照しながら、一例を挙げて説明する。図13は、本実施形態の有機EL素子30の形成工程図であり、図12に対応する箇所を示す断面図である。
本実施形態の有機EL表示装置Sの製造方法も、TFT基板作製工程と、有機EL素子形成工程と、封止工程を含み、TFT基板作製工程及び封止工程については上記実施形態1と同様である。
<有機EL素子形成工程>
まず、TFT基板作製工程で作製されたTFT基板10上に、上記実施形態1と同様にしてITOからなる各透明導電層31tを島状パターンに形成し、次いで、隔壁形成ステップを行う。
(隔壁形成ステップ)
上記実施形態2と同様にして、透明導電層31tが形成された基板上に、フォトリソグラフィーにより、断面逆テーパ状に第1電極隔壁20を形成し、続いて、第1電極隔壁20上に、フォトリソグラフィーにより、断面順テーパ状に狭幅突出壁25を形成する。その後、真空ベーク処理及びそれに続くUVオゾン処理を行う。
(金属層形成ステップ)
洗浄処理された基板上に、上記実施形態3と同様にして、第1電極隔壁20の壁高さよりも薄い100nm程度の厚さになるように銀膜の成膜処理を行うことで、図13(a)に示すように、第1電極隔壁20の各開口部22から露出する透明導電層31t表面に反射金属層31rをそれぞれ形成し、透明導電層31t及び反射金属層31rにより第1電極31を構成する。このとき、第1電極隔壁20及び狭幅突出壁25上に、各反射金属層31rと分離して分離金属層35がそれぞれ形成される。
(有機EL層形成ステップ)
上記実施形態1と同様にして、図13(b)に示すように、正孔輸送層、発光層、ブロック層、電子輸送層、電子注入層を反射金属層31r上に順に形成して、有機EL層32を形成する。このとき、第1電極隔壁20及び狭幅突出壁25上の各分離金属層35表面に、各有機EL層17と分離して有機EL材料層36がそれぞれ形成される。
その後に、上記実施形態3と同様な第2金属層形成ステップ、及びそれに続く封止工程を行うことにより、本実施形態の有機EL表示装置Sを製造することができる。
−実施形態4の効果−
したがって、この実施形態4によると、上記実施形態3と同様に、各第1電極31上層の反射金属層31rを、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することができ、それに加えて、上記実施形態2と同様に、狭幅突出壁25により、シャドーマスクの接触による分離金属層35や有機EL材料層36の削り屑の有機EL層32への混入を抑制できるので、ダークスポットの発生を抑制でき、表示品位を向上させることができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、第1電極隔壁20が断面逆テーパ状に形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、第1電極隔壁20は、断面T字状などの他のオーバーハング形状に形成されていてもよく、その頂部に各金属層16st,31rに対応するように開口部22が形成され、各空間部21が奥広くなるように形成されていればよい。
上記各実施形態では、第1電極16,31が透明導電層16t,31tと半透明金属層16st又は反射金属層31rとが積層されて構成されているとしたが、本発明はこれに限られず、第1電極16,31は、半透明金属層16stや反射金属層31r上にさらに金属層や透明導電層などが積層されて構成されていてもよく、また、銀、アルミニウム、又は銀合金などからなる単層の金属層で構成されていてもよい。
上記各実施形態では、各第1電極16,31毎に有機EL層17,32が形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、有機EL層17,32は、第1電極隔壁20の壁高さよりも厚く形成されて、発光層を除いて第1電極隔壁20及び分離金属層23を覆うように、且つ一部が各金属層16st,31rに重なるように複数の有機EL素子15,30に亘って共通して一体に形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明は、有機EL表示装置及びその製造方法について有用であり、特に、複数の第1電極を構成する各金属層を、酸化を抑制しながら、精度良く所望の形状に形成することが要望される有機EL表示装置及びその製造方法に適している。
S 有機EL表示装置
10 TFT基板(基板)
16,31 第1電極
16t,31t,33t 透明導電層
16st,33st 半透明金属層
31r 反射金属層
17,32 有機EL層
18,33 第2電極
20 第1電極隔壁
21 空間部
22 開口部
23 分離金属層
24 有機EL材料層
25 狭幅突出壁

Claims (10)

  1. 基板と、
    上記基板上に互いに分離して設けられた複数の第1電極と、
    上記各第1電極上に設けられた有機EL層と、
    上記有機EL層を介して上記各第1電極に重なる第2電極とを備えた有機EL表示装置であって、
    上記各第1電極は、少なくとも一部が金属層で構成され、
    上記基板上には、隣り合う上記第1電極を区画し、上記各金属層を内部に収容する複数の空間部を有する第1電極隔壁が設けられ、
    上記第1電極隔壁の頂部には、上記各空間部を上記第1電極隔壁外に開放するように、且つ上記各金属層に対応するように開口部が形成され、
    上記各空間部は、上記基板側の空間断面積が上記開口部側の空間断面積よりも広くなるように奥広く形成されて、上記各金属層が上記第1電極隔壁の基部から離間しており、
    上記第1電極隔壁上には、上記各金属層と分離し該各金属層と同一材料からなる分離金属層が設けられ、
    上記第2電極は、上記第1電極隔壁及び分離金属層を覆い、その一部が上記有機EL層と共に上記各金属層上に積層されている
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  2. 請求項1に記載の有機EL表示装置において、
    上記第1電極隔壁は、基部から頂部に向かって次第に幅が広くなる断面逆テーパ状に形成されている
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  3. 請求項1又は2に記載の有機EL表示装置において、
    上記有機EL層は、上記第1電極毎に設けられ、
    上記複数の有機EL層は、発光層をそれぞれ有し、該発光層による発光色が互いに異なる2種以上の有機EL層を含み、
    上記第1電極隔壁の頂部には、該第1電極隔壁における壁厚方向の中央部分に狭幅突出壁が突設されている
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  4. 請求項3に記載の有機EL表示装置において、
    上記狭幅突出壁は、基部から頂部に向かって次第に幅が狭くなる断面順テーパ状に形成されている
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  5. 請求項3又は4に記載の有機EL表示装置において、
    上記狭幅突出壁上にも上記分離金属層が設けられ、
    上記第1電極隔壁及び狭幅突出壁上における各分離金属層の表面には、上記有機EL層を構成する材料からなる有機EL材料層がそれぞれ設けられ、
    上記狭幅突出壁上の有機EL材料層は、上記第1電極隔壁上の有機EL材料層よりも薄い
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の有機EL表示装置において、
    上記有機EL層から出射される光を上記第1電極と上記第2電極との間において所定の光学長の範囲内で繰り返し反射させることによって特定の波長の光を増強選択するマイクロキャビティ構造を備える
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  7. 請求項6に記載の有機EL表示装置において、
    上記各第1電極は、透明導電層及び半透明金属層がこの順に積層されて構成され、
    上記第2電極は、反射金属層で構成され、
    上記基板側から上記有機EL層の発光による光を取り出すボトムエミッション型である
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  8. 請求項6に記載の有機EL表示装置において、
    上記各第1電極は、透明導電層及び反射金属層がこの順に積層されて構成され、
    上記第2電極は、半透明金属層及び透明導電層がこの順に積層されて構成され、
    上記基板とは反対側から上記有機EL層の発光による光を取り出すトップエミッション型である
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の有機EL表示装置において、
    上記各金属層は、銀、或いは銀合金で形成されている
    ことを特徴とする有機EL表示装置。
  10. 基板と、上記基板上に互いに分離して設けられた複数の第1電極と、上記各第1電極上に設けられた有機EL層と、上記有機EL層を介して上記各第1電極に重なる第2電極とを備え、上記各第1電極の少なくとも一部が金属層で構成された有機EL表示装置を製造する方法であって、
    隣り合う上記第1電極を区画し内部に複数の空間部を有する第1電極隔壁を、上記各空間部が開口部を介して隔壁外に開放するように、且つ上記各空間部における上記基板側の空間断面積が上記開口部側の空間断面積よりも広くなるように上記基板上に形成する隔壁形成ステップと、
    上記第1電極隔壁が形成された基板上に上記第1電極隔壁よりも薄い金属膜の成膜処理を気相成長法で行うことにより、上記第1電極隔壁の各開口部から露出する上記各空間部の基板上に上記金属層を上記第1電極隔壁の基部から離間するようにそれぞれ形成すると共に、上記第1電極隔壁上に上記各金属層と同一材料からなる分離金属層を上記各金属層と分離するように形成する金属層形成ステップと、
    上記各金属層上に有機EL層を形成する有機EL層形成ステップと、
    上記第1電極隔壁及び分離金属層を覆うように、且つ一部が上記有機EL層と共に上記第2電極上に積層されるように第2電極を形成する第2電極形成ステップとを含む
    ことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
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