JP2011065130A - 非線形光学ガラス - Google Patents

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【課題】非線形感受率χ(3)が10−12esu以上と非線形光学特性に優れ、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下であって、良好な非線形性を示す波長帯域が可視波長全域と広く、しかも光吸収が小さく、耐久性に優れ、光強度の減衰が小さく、光応答性の高い、非線型光学ガラスを提供する。
【解決手段】800nmにおける3次の非線形感受率χ(3)の値が1×10−12esu以上で、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下となる、Bi、B及びTeOを必須成分とする非線形光学ガラスであって、好ましくは、酸化物基準のmol%で、Bi:12〜48、B:15〜60、TeO:5〜60、P:0〜15、SiO:0〜20、Nb+Ta:0〜5、ZnO:0〜10、TiO:0〜15、GeO:0〜10を含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好な光透過特性と高屈折率を有し、かつ光学非線形性及び低非線形吸収性に優れた非線形光学ガラスに関する。
光学非線形性とは、光の強度によって、物質の持つ屈折率が変化し、それによって、透過又は反射する光の性質が変化する現象である。変化する光の性質の具体例として、偏光、波長、位相などがある。光学非線形性を利用すれば、光のオン・オフや強度変調をパラメータとして、偏光などの光の性質を制御できる。光学非線形性の応用例として、コーヒレント広帯域光源、赤外光を緑色に変換して用いるグリーンレーザーポインタ、偏光面回転や波長変換をスイッチング機能に応用する光通信用非線形デバイスなどがある。
光学非線形性を示す材料としては、単結晶材料と、光学ガラスがあり、前者は、光学非線形性が強いため波長変化用非線形素子などで広く応用されている。一方、光学ガラスは、成形性・加工性に優れ、しかも製造コストも低く、光ファイバーや導波路への応用が期待されているものの、単結晶材料に比べて光学非線形性が弱く、光ファイバー等への応用に際して、伝搬距離を長くする、又は光強度を強くする等の対策が必要となり、実用上の問題となっていた。そこで、単結晶材料と同等の光学非線形性を示すガラス材料が望まれている。光学非線形性としては、3次の光学非線形性を示す、非線形感受率χ(3)が、代表的な特性であり、単結晶材料では、略10−12esu以上であることから、同レベルのガラス材料が求められている。
非線形性感受率を単結晶材料と同レベルにしたガラス材料として、特許文献1には、ハロゲン化銅粒子を分散させたガラスが提案されている。提案されてる微粒子分散ガラスでは、微粒子を分散させているため、非線形感受率χ(3)が10−6〜10−8esuと極めて高いものの、一方で、良好な非線形性が発現できる波長帯域が狭く、特定波長のみで機能するデバイスに応用が限定される問題点があるほか、光吸収が大きいため、相互作用長を長くとれず光ファイバーへの応用が困難であるなどの問題点がある。
環境への負荷が大きい鉛又は微粒子のいずれも含まずに、ガラス材料そのもので高い光学非線形性を示すものとして、非特許文献1に、非線形感受率χ(3)が2×10−11esuを示すBi−B系(但し、TeO非含有)が提案されているが、透過率が5%となる吸収端波長が550nm付近のため赤黒く着色し、可視波長域全体で利用できるものではない。これ以外に、鉛又は微粒子を含まず非線形感受率χ(3)が10−12〜10−11esu程度の光学非線形性を示すガラスとして、カルコゲンガラスがあるが、上記ビスマス系ガラスと同様に、透過率が5%となる吸収端波長が520nm以上にあり着色が激しいために、可視域での使用に問題があるほか化学的耐久性の点でも難がある。したがって、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下と高い光透過特性も重要である。
また、非線形光学素子は、光学非線形性を活用するため光強度が瞬間的に高い状況で使用されることが多い。ガラスの非線形吸収が大きいと、熱吸収などで材料の損傷が発生しやすく耐久性に問題があるほか、光強度の減衰が大きく、光応答性が低下し、1ps以下の超高速応答が必要とされる超高速光スイッチングデバイスへの応用に際して問題となる。非線形吸収を示す指標である非線形吸収係数βは、概略、ガラスの透過率が5%を示す吸収端波長と使用する光の波長との差に依存し、透過率が5%を示す吸収端波長が短波長である程好ましい。
また、高屈折率と高透過率を両立したガラスでは、吸収端近傍の屈折率が極めて高く、さらにその波長依存性が極めて大きな波長領域での使用が可能である。このような材料は、大きな波長分散を有しているため、分光用の光学素子や、光パルスのストレッチャー、また光遅延回路に応用可能である。
以上のような応用上有益な特性を示す、非線形感受率χ(3)が10−12esu以上と、光学非線形性が単結晶材料と同程度で、透過率が5%を示す吸収端波長が450nm以下であって、良好な非線形性を示す波長帯域が可視波長全域と広く、しかも光吸収が小さく、耐久性に優れ、光強度の減衰が小さく、光応答性の高い、非線形光学ガラスが求められているが、いまだ提案されていない。
特開平10−142644号公報
Optics Communications 巻250 頁411、2005年
本発明は、非線形感受率χ(3)が10−12esu以上と単結晶材料と同程度の非線形光学特性を有し、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下であって、良好な非線形性を示す波長帯域が可視波長全域と広く、しかも光吸収が小さく、耐久性に優れ、光強度の減衰が小さく、光応答性の高い、非線型光学ガラスの提供を目的とする。
本発明は、800nmにおける3次の非線形感受率χ(3)の値が1×10−12esu以上で、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下となる、Bi、B及びTeOを必須成分とする非線形光学ガラスを提供する。
さらに、本発明は、800nmにおける3次の非線形感受率χ(3)の値が1×10−12esu以上で、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下となり、酸化物基準のmol%で、Bi:12〜48、B:15〜60、TeO:5〜60、P:0〜15、SiO:0〜20、Nb+Ta:0〜5、ZnO:0〜10、TiO:0〜15、GeO:0〜10を含有する非線形光学ガラスを提供する。
本発明の非線形光学ガラス(以下、本ガラスと略す)は、光との非線形相互作用の強いBi及びTeOを必須成分として含むことによって、非線形感受率χ(3)が1×10−12esu以上と優れた非線形性有し、非線形光学素子とした場合に、光の伝播距離を短くでき、かつ、光強度を低くできる。また、本ガラスは、特許文献1のような微粒子を分散させずに優れた非線形性を有していることから、使用可能な波長帯域が広く、光吸収も小さく、しかも光成形性・加工性に優れるため、非線形性を有する光ファイバー又は導波路として有用である。
本ガラスは、Bi及びTeO以外にガラス形成能を有するBを必須成分として含むことにより、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下にでき、光の透過特性にも優れていることから、可視波長域全体で特段の問題なく使用できる。
さらに、本ガラスは、P、SiO、Nb、Ta、ZnO及びTiOを必須成分ではないが、含有できる。P、SiO及びZnOは非線形吸収を小さくでき、熱吸収などで材料の損傷が発生しにくくし、ガラスに耐久性を付与できる。Nb、Ta及びTiOは光強度の減衰が小さいまま、光非線形性をもたせることができ、超高速応答が必要な超高速光スイッチングデバイスなどへの応用上有益である。
非線形吸収係数βの測定結果 入射光パルススペクトル 本発明のガラスの波長分散特性
本発明は、高い光学非線形性を有し、かつ可視域に高い光透過特性を有するビスマス系非線形光学ガラスの提供を目的に種々検討を行った結果に基づくものである。本ガラスはBi、B、及びTeOを必須成分かつ主成分として含み、SiO、P、Nb又はZnOを必須成分ではないが好ましい成分として含むことを特徴とする。
検討の結果、主に光学非線形性に寄与する、Bi及びTeOを含有し、これに主にガラス形成能と光透過特性に寄与するBを加えることで、熱的及び化学的安定性に優れ、かつガラス高い光学非線形性と、良好な可視域の光光透過特性を両立させたものである。本発明において、SiO及びPは必須成分ではないが、含有させることにより本ガラスの光透過特性を高めることができる。また、必須成分ではないが、Nb及びTiOをさらに含有させることにより光学非線形性を、また、ZnOをさらに含有させることによりガラスの安定形成を、それぞれ高めることができる。
本ガラスの各成分範囲を設定した理由は、以下のとおりである。なお、本明細書では、以下、特に断りのない限り%はmol%を意味するものとする。また、化学組成は、酸化物基準とする。さらに、光学非線形性とは、特に断りのない限り、3次の光学非線形性を意味するものとする。
本ガラスにおいて、Biは必須成分であり、ガラスの光学非線形性を高める効果がある。含有量が少なすぎると前記効果が不充分となるおそれがあることから、本ガラスのBi含有量は12%以上であると好ましい。Bi含有量が20、25、30%以上であると含有量が多くなる程より好ましく、Bi含有量が31%以上であると特に好ましい。
一方、Bi含有量が多くなると可視域の光透過特性が低下するとともにガラスが不安定になることから、本ガラスのBi含有量は48%以下であると好ましい。Bi含有量が47%以下であるとより好ましく、Bi含有量が46%以下であると特に好ましい。
本ガラスにおいて、Bは、必須成分であり、ガラスを形成する主成分である。含有量が少なすぎるとガラスが不安定になるおそれがあることから、本ガラスのB含有量は15%以上であると好ましい。B含有量が18%以上であるとより好ましく、B含有量が20%以上であると特に好ましい。一方、B含有量が多すぎると光学非線形性が低下するので、本ガラスでは、B含有量は60%以下であると好ましい。B含有量が55、50、34%以下であるとその順により好ましく、B含有量が33%以下であると特に好ましい。
本ガラスにおいて、TeOは必須成分であり、良好な光透過特性を維持しながらガラスの光学非線形性を高める効果がある。含有量が少なすぎると前記効果が不充分となるおそれがあることから、本ガラスのTeO含有量は5%以上であると好ましい。TeO含有量が10%以上であるとより好ましく、TeO含有量が11%以上であると特に好ましい。一方、TeOは原価の高い原料であり、しかもTeO含有量が多くなるとガラスが不安定化するおそれがあることから、TeO含有量は60%以下であると好ましい。TeO含有量が55、50、25、23%以下であるとその順により好ましく、TeO含有量が22%以下であると特に好ましい。
本ガラスにおいて、Pは必須成分ではないがガラス形成と光透過特性の向上とに効果のある成分である。含有する場合は、P含有量を1%以上であり、さらに好ましくは2%以上である。一方、P含有量が多くなると光学非線形性が大きく下がるとともにガラスが不安定になってしまうため、本ガラスではP含有量は、15%以下である。特に光学非線形性の維持のためにはP含有量が10%以下であると好ましい。
本ガラスにおいて、SiOは必須成分ではないが、ガラスの安定形成と、光透過性の向上に効果がある成分である。含有する場合には、その効果を高めるためには1%以上の含有が好ましく、含有量が2%以上であるとさらに好ましい。一方、SiO含有量が多くなると光学非線形性を著しく下げるため、含有する場合には、20%以下とするのが好ましく、より好ましくは17%以下である。
Nb及びTaは必須成分ではないが、良好な光透過特性を維持しつつ光非線形性を高めるのに効果的な成分である。Nb及びTaを含む場合は両者の合計が1%以上であると好ましく、1.5%以上であるとさらに好ましい。一方、Nb及びTaは、それらを多く含有すると本ガラスの安定性が著しく損なわれるので、含有する場合には、それらの合計が5%以下であることが好ましく、さらに3%以下であるとさらに好ましい。
本ガラスにおいて、ZnOは、必須の成分ではないがガラスの安定形成効果がある成分である。本ガラスにおいて、ZnOを含有する場合は、1%以上含有することが好ましく、1.5%以上の含有がさらに好ましい。一方、ZnOを多く含むと、本ガラスの光学非線形性を低下させてしまうため、10%以下の含有が好ましく、さらに8%以下の含有がさらに好ましい。
本ガラスにおいて、TiOは必須成分ではないが、非線形性を高めるのに効果がある成分である。含有する場合には、その効果を高めるためには1%以上の含有が好ましく、含有量が2%以上であるとさらに好ましい。一方、TiO含有量が多くなると光透過特性を著しく下げるため、含有する場合には、12%以下とするのが好ましく、より好ましくは9%以下である。
本ガラスにおいて、GeOは必須成分ではないが、ガラスの熱的安定性と、光透過特性の向上に効果がある成分である。含有する場合には、その効果を高めるためには2%以上の含有が好ましく、含有量が4%以上であるとさらに好ましい。一方、GeO含有量が多くなると光学非線形性を著しく下げるため、含有する場合には、10%以下とするのが好ましく、より好ましくは8%以下である。
また、本ガラスにおいては、PbO、F、Asを実質的に含有しないことが、成形温度の観点や環境面への影響等から好ましい。なお、本明細書において、「実質的に含有しない」とは、含有量が不純物レベル以下という意味であり、具体的には、0.1mol%以下であれば、「実質的に含有しない」とみなせる。
本ガラスにおいて、NaO、KO、LiO、CaO、BaO及びSrOを実質的に含有しないことが良好な光透過特性を確保するため好ましい。本ガラスにおいて、Sbは、必須成分ではないがガラス溶融の際の清澄剤として添加できる。その含有量としては、1%以下が好ましく、0.5%以下であるとさらに好ましく、0.3%以下であると特に好ましい。
本ガラスにおいて、化学成分としては、不可避的な不純物を除いて、Bi、B、TeO、P、SiO、Nb、Ta、ZnO、TiO、又はGeOから構成されると、良好な光学非線形性及び良好な光透過特性とが両立しやすいため好ましい。
本ガラスの非線形感受率χ(3)は、800nmにおいてχ(3)が1×10−12esu以上である。非線形感受率χ(3)は短波長側で単調に増加するため、400nm〜800nmの波長に代表される可視域では常に非線形感受率χ(3)が1×10−12esu以上となる。本ガラスの800nmにおける非線形感受率χ(3)が1.2×10−12esu以上であると同様の理由で好ましく、800nmにおける非線形感受率χ(3)が1.5×10−12esu以上であるとさらに好ましい。
本ガラスの透過率が5%となる吸収端波長(λ)は450nm以下である。非線形光吸収の低減のためには前記吸収端波長(λ)がより短波長であることが望まれるため、前記吸収端波長(λ)が430nm以下であると好ましく、420nm以下であるとさらに好ましい。
本ガラスの800nmにおいて非線形吸収係数βは、0.5cm/GW以下であると好ましい。これは、高強度光照射下での損傷閾値が高いことを意味し、また、超高速光学応答に優れていることを意味している。本ガラスの800nmにおいて非線形吸収係数βが0.2cm/GW以下であるとさらに好ましい。
本ガラスのd線(588nm)における屈折率nが1.9以上であると、光学素子を高性能化しやすいため好ましい。屈折率nが2.05以上であるとさらに好ましく、屈折率nが2.1以上であると特に好ましい。
本ガラスの製造法としては、特に制限されるものではなく、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の通常の光学ガラスで用いられる原料を秤量・混合し、白金ルツボ、金ルツボ、石英ルツボ、アルミナルツボ等通常光学ガラスで用いられるルツボに入れて、約800〜1200℃で2〜10時間溶融、清澄、撹拌後、300〜450℃に予熱した金型に鋳込等した後、徐冷して製造できる。
また、本ガラスを光学素子に成形する方法としては、特に制限されるものではないが、精密プレス成形法、ファイバー製造法などが適宜、採用できる。また、光学素子としてはファイバー、導波路、などが好ましいものとして挙げられる。
以下、本発明の実施例等を説明する。表中、例1〜例9及び例11〜例21が本願の実施例であり、例10が本願の比較例である。表中、「−」は測定データがないことを表す。なお、本願発明は、これら実施例に限定されるものではない。
[化学組成・試料作製法]
表1〜2に示す化学組成(%)となるように原料を秤量した。各ガラスの原料は、Pの場合はBPOを、Bの場合はHBO又はBPOを、Bi、TeO、SiO、Nb、Ta、ZnO、TiO、GeO、Ga、BaO、In、CeOの場合は酸化物を、それぞれ使用した。秤量した原料を混合し、内容積約300ccの金ルツボ内に入れて、約800〜1000℃で1〜3時間溶融、清澄、撹拌後、およそ300から450℃に予熱した縦50mm×横50mmの長方形のモールドに鋳込み後、約1℃/分で徐冷してサンプルとした。
[評価方法]
・非線形感受率χ(3)と非線形吸収係数βは、Ti:Sapphireレーザーを光源としたZ−Scan法により、波長800nmにて測定を行った。Z−Scan法の詳細は、非特許文献1に記載されている方法に準じた。レーザーの集光点近傍で厚さ1mmの板状サンプルをスライドさせ、後方に配置したアパーチャーを透過する光強度の変化をモニターすることにより、所定波長、ここでは800nmでの非線形感受率χ(3)と非線形吸収係数βを評価できる。実施例である例1と比較例である例10とについての非線形吸収係数βの測定結果を図1に示す。非線形吸収が存在する場合、サンプルが焦点位置(図のz=0mm付近)で透過光強度が減少する。図中、Aが例1であり、Bが例10である。Bには明瞭な非線形吸収が確認されたが、Aでは、非線形吸収は測定分解能以下であった。
・屈折率nは、例1〜例9においては、ヘリウムd線に対する屈折率であり、屈折率計(カルニュー光学工業社製、商品名:KPR−2)で測定した。屈折率の値は、小数点以下第4位まで測定し、小数点以下第4位を四捨五入して少数点以下第3位として記載した。比較例である例10は、吸収端波長が575nmでありd線での測定が困難であったため、プリズムカプラ法による633nmの値を示す。
・例11〜例21の屈折率nは、まず、プリズムカプラ法にて測定した633nm、1304nm、及び1550nmでの屈折率を求めた。これらの波長と屈折率を(1)式のセルマイヤー多項式に代入し、係数p1、p2及びp3を求め、求め係数p1、p2及びp3をセルマイヤー多項式に代入して、588nmでの屈折率を算出した。
n(λ)=1+p1/((1/p2)−(1/λ))−p3×λ・・(1)
・吸収端波長λは10mm厚板の分光光透過特性(表面反射損失を含む)を日本光学硝子工業会規格JOGIS02−2003に準じて測定し、その測定結果から求めたものである。
・ガラスの溶解性等については、上記サンプル作製時に目視で観察した結果、すべての実施例について、溶解性に問題がないこと、得られたガラスサンプルには泡や脈理のないことを確認した。
Figure 2011065130
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[ガラスファイバーの作製と非線形光学効果の確認]
実施例である例21のガラスをリドロー成形してガラスファイバーを作製した。具体的には、直径15mm、長さ150mmのガラスロッドを作製し、電気炉内で412℃まで加熱、機械的に延伸し、直径3mmのガラス棒を得た。このガラス棒をさらに430℃で加熱、線引きすることにより、直径がそれぞれ、364、123、88及び48μmのガラスファイバーが得られた。なお、ガラスファイバーの直径は、顕微鏡観察で求めた。直径300μm未満のファイバーは、強度が充分ではないため、樹脂で被覆し、切断後の断面を測定した。
直径364μm、長さ20mmのファイバーに、中心波長800nm、パルス幅100fs、1パルスあたりのエネルギー2μJのパルスレーザー光を入射したところ、出射光のスペクトルが顕著に拡大していることが確認された。これは3次の光非線形性によるものであって自己位相変調効果によるものである。図2に、入射光パルススペクトル(Sheedと略記)と出射光(Waveguide Outと表記)の比較を示す。
[波長分散性]
例21のガラスの波長分散を図3に示す。前述のプリズムカプラにより、633、1304、1550nmでの屈折率を測定し、その値から、例21のガラスの屈折率の波長依存性を前述の(1)式のセルマイヤー多項式によって表す。例21の場合、計算の際の波長単位をμmとすれば、p1=104.073、p2=0.162、p3=0.017である。
(1)式で求めたn(λ)を(2)式に代入して波長分散D(λ)を求めた。
D(λ)=−(λ/c)×(dn(λ)/dλ)・・(2)
ただし、式中、c:光の速度、dn(λ)/dλは、n(λ)をλで2回微分したものである。例21のガラスでは、D(450nm)=−5869、D(500nm)=−3965、D(550nm)=−2817、D(600nm)=−2078、D(650nm)=−1579、D(700nm)=−1228、(ps/nm/km)となった。波長分散の波長依存性を図3に示す。
なお、本ガラスの透過率5%となる吸収端波長(λ)から800nmの波長範囲における波長分散が−500(ps/nm/km)以下であると、非線形用途の光学素子として有用であるため好ましい。前記波長分散が−750(ps/nm/km)以下であるとさらに好ましく、前記波長分散が−1000(ps/nm/km)以下であると特に好ましい。
本ガラスは、良好な光透過特性を有し、かつ光学非線形性及び低非線形吸収性に優れており、しかも成形性にも優れた非線形光学ガラスとして有用である。したがって、ファイバー等に有用な非線形光学ガラスである。

Claims (6)

  1. 800nmにおける3次の非線形感受率χ(3)の値が1×10−12esu以上で、透過率が5%となる吸収端波長が450nm以下となる、Bi、B及びTeOを必須成分とする非線形光学ガラス。
  2. 波長800nmにおける非線形吸収係数βが0.5cm/GW以下である請求項1記載の非線形光学ガラス。
  3. 屈折率nが1.9以上である請求項1又は2記載の非線形光学ガラス。
  4. 酸化物基準のmol%で、
    Bi:12〜48、
    :15〜60、
    TeO:5〜60、
    :0〜15、
    SiO:0〜20、
    Nb+Ta:0〜5、
    ZnO:0〜10、
    TiO:0〜15、
    GeO:0〜10、
    を含有する請求項1、2又は3記載の非線形光学ガラス。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非線形光学ガラスを使用することを特徴とする光学素子。
  6. 透過率5%となる吸収端波長(λ)から800nmの波長範囲における波長分散が−500(ps/nm/km)以下である請求項5記載の光学素子。
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