JP2011064181A - 冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷媒圧縮機で使用されている摺動部材の基材の変形を抑制し、及び、基材の表面に形成した皮膜の密着性の向上を図る。
【解決手段】圧縮機構部の摺動部材15bは表面硬化処理された金属材料を基材24として形成されている。基材24の表面に、クロムの単一層からなる第1の層25、クロムとタングステンカーバイトとの合金層からなる第2の層26、タングステン及びタングステンカーバイトの少なくとも一方を含有した金属含有アモルファス炭素層からなる第3の層27、金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層からなる第4の層28を順に積層した皮膜が形成されている。第2の層26は、クロム含有率が第3の層27側より第1の層25側で高く、タングステンカーバイトの含有率が第1の層25側より第3の層27側で高い。第3の層27は、タングステン又はタングステンカーバイトの含有率が第4の層28側より第2の層26側が高い。
【選択図】 図4

Description

本発明は、冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置に関し、特に、耐摩耗性と密着性とに優れた皮膜を有する摺動部材を備えた冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置に関する。
冷媒圧縮機における冷媒を圧縮する圧縮機構部には、冷媒を圧縮するための摺動部材が使用されており、この摺動部材の耐摩耗性を向上させた冷媒圧縮機としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載された冷媒圧縮機の摺動部材(例えば、ベーン)は、基材(母材)の表面に窒化層を形成して基材を硬化し、その上に中間層と単層又は2層のアモルファス炭素層とを形成している。なお、アモルファス炭素層を2層形成した場合には、下層側(基材側)を水素含有アモルファス炭素層とし、上層側を金属含有アモルファス炭素層としている。
特開2007−32360号公報
特許文献1に記載された摺動部材は、基材の表面に窒化層を形成して基材を硬化させたことにより、高荷重作用時における基材の変形が抑制され、基材と中間層との密着性に優れている。しかし、中間層とアモルファス炭素層との間、アモルファス炭素層を2層にした場合にはそれらの2層のアモルファス炭素層の間の密着性に問題があり、繰返し応力を受けた場合には、中間層とアモルファス炭素層との間、又は、アモルファス炭素層が2層の場合にはそれらのアモルファス炭素層の間で剥離や割れが発生する場合がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、冷媒圧縮機で使用されている摺動部材に高荷重が作用した場合において、摺動部材の基材の変形を抑制し、及び、摺動部材の基材の表面に形成された皮膜の密着性の向上を図ることである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、冷凍サイクル中に使用される冷媒を圧縮する圧縮機構部を備えた冷媒圧縮機において、前記圧縮機構部の摺動部材の少なくとも1つが表面硬化処理された金属材料を基材として形成され、前記基材の表面に、クロムの単一層からなる第1の層と、クロムとタングステンカーバイトとの合金層からなる第2の層と、タングステン及びタングステンカーバイトの少なくとも一方を含有した金属含有アモルファス炭素層からなる第3の層と、金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層からなる第4の層とを順に積層した皮膜が形成され、前記第2の層は、クロム含有率が前記第3の層側より前記第1の層側で高く、かつ、タングステンカーバイトの含有率が前記第1の層側より前記第3の層側で高くなるように形成され、前記第3の層は、タングステン又はタングステンカーバイトの含有率が前記第4の層側より前記第2の層側が高くなるように形成されていることである。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、冷凍サイクル装置において、第1の特徴に係る冷媒圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを備えることである。
本発明によれば、冷媒圧縮機で使用されている摺動部材に高荷重が作用した場合において、摺動部材の基材の変形を抑制することができ、及び、摺動部材の基材の表面に形成した皮膜の密着性の向上を図ることができる。
本発明の第1の実施の形態の冷凍サイクル装置を示す模式図である。 冷媒圧縮機の内部構造を示す縦断正面図である。 圧縮機構部を構成するシリンダとローラとベーンとを示す斜視図である。 ベーンの先端部を示す断面図である。 実施例1と比較例1との皮膜強度の相対比較結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態における、基材の表面硬さと被膜の密着性との測定結果を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態のベーンの先端部を示す断面図である。 実施例3と比較例2と比較例1との皮膜強度の測定結果を示すグラフである。 実施例3と比較例2との基材における表面からの硬さを示すグラフである。 本発明の第4の実施の形態の軸受の表面部を示す断面図である。 実施例4と比較例3と比較例1との皮膜強度の測定結果を示すグラフである。 本発明の第5の実施の形態における、実施例5と比較例4と比較例1との皮膜強度の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1ないし図5に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る冷凍サイクル装置1を示すものである。
冷凍サイクル装置1は、密閉型回転式の冷媒圧縮機2と、四方弁3と、冷房運転時に凝縮器として機能するとともに暖房運転時には蒸発器として機能する室外熱交換器4と、膨張装置5と、冷房運転時に蒸発器として機能するとともに暖房運転時には凝縮器として機能する室内熱交換器6と、アキュムレータ7とをサイクル状に連通して形成されている。
この冷凍サイクル装置1において、冷房運転時には、冷媒圧縮機2から吐出された冷媒は、実線の矢印で示すように、四方弁3を介して室外熱交換器(凝縮器)4に供給され、ここで外気と熱交換して凝縮される。この凝縮された冷媒は、室外熱交換器4から流出して膨張装置5を介して室内熱交換器(蒸発器)6に流入し、室内熱交換器6内で室内空気と熱交換して蒸発し、室内空気を冷却する。室内熱交換器6から流出した冷媒は、四方弁3及びアキュムレータ7を介して冷媒圧縮機2内に吸い込まれる。
一方、暖房運転時には、冷媒圧縮機2から吐出された冷媒は、破線の矢印で示すように、四方弁3を介して室内熱交換器(凝縮器)6に供給され、ここで室内空気と熱交換して凝縮され、室内空気を加熱する。この凝縮された冷媒は、室内熱交換器6から流出して膨張装置5を介して室外熱交換器(蒸発器)4に流入し、室外熱交換器4内で室外空気と熱交換して蒸発する。この蒸発した冷媒は、室外熱交換器4から流出し、四方弁3及びアキュムレータ7を介して冷媒圧縮機2内に吸い込まれる。
以後、順次同様に冷媒が流れて冷凍サイクル装置1の運転が継続される。冷媒としては、HFC冷媒、HC(炭化水素系)冷媒、二酸化炭素冷媒等が用いられる。
冷媒圧縮機2は、図2に示すように2シリンダ型であり、密閉ケース2aを備えている。密閉ケース2a内には、電動機部8と圧縮機構部である回転圧縮機構部9とが収納され、電動機部8と回転圧縮機構部9とは偏心部10a、10bを有する回転軸10を介して連結されている。
電動機部8は、回転子8aと固定子8bとからなり、インバータで駆動されるブラシレスDC同期モータ、ACモータ、若しくは商用電源で駆動されるモータ等のいずれでもよい。
密閉ケース2aの底部には、回転圧縮機構部9を潤滑する冷凍機油11が貯留されている。冷凍機油11としては、POE(ポリオールエステル)、PVE(ポリビニルエーテル)、PAG(ポリアルキレングリコール)等が用いられる。
回転圧縮機構部9は、第1の圧縮機構部9aと第2の圧縮機構部9bとからなり、第1の圧縮機構部9aは、シリンダ室12aを形成するシリンダ13aを備え、第2の圧縮機構部9bは、シリンダ室12bを形成するシリンダ13bを備えている。シリンダ13b内には、ローラ14bと摺動部材であるベーン15bとが収納され、シリンダ13a内には、ローラ14aと摺動部材であるベーン15a(図示せず)とが収納されている。なお、図2は、ベーン15bの状態と吸込み管23の接続状態が分かるように、第1の圧縮機構部9aと第2の圧縮機構部9bの一部を異なる断面で示している。
ローラ14bは回転軸10の偏心部10bに嵌合され、回転軸10の回転に伴なってシリンダ室12b内で回転する。ローラ14aは回転軸10の偏心部10aに嵌合され、回転軸10の回転に伴なってシリンダ室12a内で回転する。
ベーン15bは、図3に示すように、シリンダ13bに形成された溝16bに摺動可能に嵌合されている。溝16b内には、ベーン15bの先端がローラ14bの外周面に摺接する向きにベーン15bを付勢するスプリング(図示せず)が収納されている。ベーン15aは、シリンダ13aに形成された溝(図示せず)に摺動可能に嵌合され、この溝内には、ベーン15aの先端をローラ14bの外周面に摺接する向きにベーン15aを付勢するスプリング(図示せず)が収納されている。
第1の圧縮機構部9aのシリンダ13aは、その両端部分が主軸受17と仕切り板18とで覆われ、内部にシリンダ室12aが形成されている。第2の圧縮機構部9bのシリンダ13bは、その両端部分が副軸受19と仕切り板18とで覆われ、内部にシリンダ室12bが形成されている。主軸受17には、シリンダ室12aと密閉ケース2a内とを連通する吐出孔20aとこの吐出孔20aを開閉させる吐出弁21aとが設けられている。副軸受19には、シリンダ室12bと密閉ケース2a内とを連通する吐出孔20bとこの吐出孔20bを開閉させる吐出弁21bとが設けられている。
密閉ケース2aの上面部には、密閉ケース2a内の圧縮された冷媒を四方弁3に向けて吐出させる吐出管22が接続されている。密閉ケース2aの側面下部側には、アキュムレータ7を経由した冷媒をシリンダ室12a、12b内に導く吸込み管23が接続されている。
図3は、第2の圧縮機構部9bを構成するシリンダ13bとローラ14bとベーン15bとを示す斜視図である。なお、第1の圧縮機構部9aは第2の圧縮機構部9bと同じ構成であり、第1の圧縮機構部9aはシリンダ13aとローラ14aとベーン15a等により構成されている。
図4は、ベーン15bの先端側の一部を示す断面図である。ベーン15bは、金属材料であるクロムモリブデン鋼を冷間鍛造して形成した基材24を用い、この基材24を浸炭焼入れによる表面硬化処理を行い、表面硬さをビッカース硬さで650としている。なお、この表面硬化処理は、基材24の表面のみを硬化するという意味ではなく、少なくとも基材24の表面を硬化するという意味であり、基材24の全体を硬化処理した場合も含まれる。
さらに、表面硬化処理を行った基材24の表面には、クロム(Cr)の単一層からなる第1の層25と、クロムとタングステンカーバイト(WC)との合金層からなる第2の層26と、タングステン(W)を含有するアモルファス炭素層からなる第3の層27と、金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層からなる第4の層28とを順に積層した皮膜29が形成されている。なお、第3の層27は、タングステンに代えてタングステンカーバイトを含有するアモルファス炭素層としてもよく、又は、タングステンとタングステンカーバイトとの双方を含有するアモルファス炭素層としてもよい。
第2の層26は、クロムの含有率が第3の層27より第1の層25側で高く、かつ、タングステンカーバイトの含有率が第1の層25側より第3の層27側で高くなるように含有成分を傾斜させて形成されている。
第3の層27は、タングステンの含有率が第4の層28側より第2の層26側が高くなるように含有成分を傾斜させて形成されている。
各層25〜28の厚さ寸法は、第1の層25が0.1μm、第2の層26が0.2μm、第3の層27が0.5μm、第4の層28が2.2μmであり、各層25〜28からなる皮膜29の全体の暑さ寸法が3μmとされている。
図5は、ベーン15bに形成した皮膜29と、特許文献1に記載されているベーンに形成されている皮膜との、破壊、剥離、損傷等に対する強度を測定した結果の相対評価を示すグラフである。この測定は、冷媒圧縮機2の回転圧縮機構部9にベーン15b(実施例1)又は特許文献1のベーン(比較例1)を取付け、回転圧縮機構部9に液冷媒を強制的に断続的に繰返し吸い込ませ、ベーン15bをローラ14bに激しく衝突させて行なった。この測定結果により、第1の実施の形態のベーン15bは、特許文献1のベーンに比べて、皮膜強度が20%程度高いことが判明した。
このような構成において、金属材料で形成したベーン15a、15bの基材24を、浸炭焼入れによる表面硬化処理を行うことにより、高荷重作用時における基材24の弾性変形を抑制することができる。このため、高荷重作用時における皮膜29の変形を抑制することができ、基材24と皮膜29との間、及び、皮膜29における各層25〜28間の密着性を高めることができる。
皮膜29を構成する4つの層25〜28に関しては、第1の層25をクロムの単一層とし、第2の層26をクロムとタングステンカーバイトの合金層とし、第3の層27をタングステン及びタングステンカーバイトの少なくとも一方を含有した金属含有アモルファス炭素層とし、第4の層28を金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層としている。さらに、第2の層26を、クロムの含有率が第3の層27より第1の層25側で高くなるように、かつ、タングステンカーバイトの含有率が第1の層25側より第3の層27側で高くなるように含有成分を傾斜させて形成している。また、第3の層27を、タングステンの含有率が第4の層28側より第2の層26側が高くなるように含有成分を傾斜させて形成している。
このため、第1の層25と第2の層26との間、第2の層26と第3の層27との間、及び、第3の層27と第4の層28との間の硬度差が小さくなり、これにより、これらの各層25〜28間の密着性を向上させることができ、及び、皮膜29内部での割れなどの発生を抑制することができる。
また、皮膜29の最も外側に位置する第4の層28が、金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層であるため、金属を含有するアモルファス炭素層よりも高硬度化が図られ、ベーン15bの耐摩耗性を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図6に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態のベーンの基本的な構造は第1の実施の形態で説明したベーン15a、15bと同じであり、ベーンの構造に関する部分は図4を用いて説明する。
図6は、ベーンの基材24の表面硬さを様々に変え、それぞれの場合における皮膜29の密着性について測定した結果を示す説明図である。具体的には、基材24に表面硬化処理を施すことにより、基材24の表面硬さを、ロックウェル硬さHRAで、70未満、70以上80未満、80以上とした。また、基材24の表面硬さを、ロックウェル硬さHRCで、25未満、25以上60未満、60以上とした。さらに、基材24の表面硬さを、ビッカース硬さで400未満、400以上800未満、800以上とした。
この測定は、第1の実施の形態で説明した測定と同様に、冷媒圧縮機2の回転圧縮機構部9にベーンを取付け、回転圧縮機構部9に液冷媒を強制的に断続的に繰返し吸い込ませ、ベーンがローラ14bに激しく衝突させて行なった。
また、表面硬さを様々に変えた基材24の表面に、特許文献1に記載された皮膜(公知例の皮膜)を形成したベーンを試作し、その試作品に対しても同様の測定を行なった。
この測定結果により、第2の実施の形態のベーンにおいては、基材24の表面硬さを、ロックウェル硬さHRAで70以上、又は、ロックウェル硬さHRCで25以上、又は、ビッカース硬さで400以上とすることにより、基材24と皮膜29との間、及び、皮膜29における各層26〜28間で十分な密着性が得られることが判明した。さらに、基材24の表面硬さを、ロックウェル硬さHRAで80以上、又は、ロックウェル硬さHRCで60以上、又は、ビッカース硬さで800以上とすることにより、より一層十分な密着性が得られることが判明した。
一方、基材24の表面に特許文献1に記載された皮膜を形成した場合には、ロックウェル硬さHRAで70以上80未満の場合と、ロックウェル硬さHRCで25以上60未満の場合と、ビッカース硬さで400以上800未満の場合とにおいて、十分な密着性が得られないことが判明した。
このような構成において、基材24の表面硬さを、ロックウェル硬さHRAで70以上、又は、ロックウェル硬さHRCで25以上、又は、ビッカース硬さで400以上とすることにより、高荷重作用時において基材24の変形を抑制することができるとともに皮膜29の変形を抑制することができる。このため、基材24と皮膜29との間、及び、皮膜29における各層26〜28間の密着性を高めることができ、耐久性のあるベーンを得ることができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図7ないし図9に基づいて説明する。
第3の実施の形態のベーン15Aの基本的構造は図4に示したベーン15bと同じであり、ベーン15Aは、金属材料であるステンレス鋼(SUS440C)で形成した基材24Aを用い、基材24Aの表面をラジカル窒化により表面硬化させ、基材24Aの表面側内部に窒素が拡散した拡散層30を形成して基材24Aの表面硬さをビッカース硬さで900とし、基材24Aの表面に窒素化合物層(所謂、白層)を形成しないようにしている。
さらに、この表面硬化処理が行われた後の基材24Aの表面に、4つの層25〜28からなる皮膜29が形成されている。
図8は、第3の実施の形態のベーン15A(実施例3)と、炭素鋼をラジカル窒化した基材に皮膜29を形成したベーン(比較例2)と、特許文献1に記載されたベーン(比較例1)との皮膜強度を相対比較した測定結果を示すグラフである。この測定は、第1の実施の形態で説明した測定と同様に行なった。
この測定結果により、ベーン15Aの皮膜強度は、比較例2及び比較例1より高いことが判明した。
図9は、実施例3のベーン15Aの基材24Aと、比較例2のベーンの基材との表面からの硬さを示すグラフである。実施例3では、ラジカル窒化による表面硬化の効果が大きく、基材24Aの変形が抑制される。
このような構成において、ステンレス鋼はラジカル窒化によって得られる硬さが高く、高荷重作用時における変形が抑制される。このため、基材24Aの表面に形成した皮膜29の変形も抑制され、基材24と皮膜29との間、及び、皮膜29における各層26〜28間の密着性を高めることができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を、図10及び図11に基づいて説明する。本実施の形態は、摺動部材である軸受31を、表面硬化処理するとともにその表面に皮膜29を形成したものである。なお、この軸受31は、第1の実施の形態の図2で説明した主軸受17と副軸受19とに相当するものである。
軸受31は、鉄と銅と炭素系の焼結合金を基材24Bとして用い、この基材24Bを水蒸気処理による表面硬化処理を行って基材24Bの表面に四三酸化鉄32を形成し、焼結時に基材24Bの表面に形成された空孔33を埋めている。なお、四三酸化鉄32を形成することにより、基材24Bの表面硬さをビッカース硬さで450としている。
さらに、この表面硬化処理が行われた後の基材24Bの表面に、4つの層25〜28からなる皮膜29が形成されている。
図11は、第4の実施の形態の軸受31(実施例4)と、四三酸化鉄32を形成しない基材24Bの表面に皮膜29を形成した軸受(比較例3)と、表面硬化処理をした基材に特許文献1に記載された皮膜を形成した軸受(比較例1)との皮膜強度を比較した測定結果を示すグラフである。この測定は、第1の実施の形態で説明した測定と同様に行なった。
この測定結果により、軸受31の皮膜強度は、比較例4及び比較例1より高いことが判明した。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態を、図12に基づいて説明する。本実施の形態は、摺動部材である回転軸(図2の回転軸10に相当する)を、球状黒鉛鋳鉄(FCD600)を基材として形成し、その表面を硬質クロムメッキによる表面硬化処理を行い、表面硬さをビッカース硬さで700としている。
さらに、この表面硬化処理が行われた後の基材の表面に、4つの層25〜28からなる皮膜29が形成されている。
図12は、第5の実施の形態の回転軸(実施例5)と、球状黒鉛鋳鉄からなる基材に硬質クロムメッキを施さずに皮膜29を形成した回転軸(比較例4)と、表面硬化処理をした基材に特許文献1に記載された皮膜を形成した回転軸(比較例1)との皮膜強度を相対比較した測定結果を示すグラフである。この測定は、第1の実施の形態で説明した測定と同様に行なった。
この測定結果によれば、実施例5の回転軸の皮膜強度は、比較例4及び比較例1より高いことが判明した。
なお、この実施の形態では、球状黒鉛鋳鉄を基材とした回転軸を例に挙げて説明しているが、回転軸の基材としては、片状黒鉛鋳鉄や、モリブデン、ニッケル、クロム等を添加した特殊片状黒鉛鋳鉄を用いてもよい。
また、表面硬化処理としては、硬質クロムメッキに代えて、オーステンパー処理や、深冷処理などの熱処理にて行ってもよい。
2 冷媒圧縮機、4 室外熱交換器(凝縮器、蒸発器)、5 膨張装置、6 室内熱交換器(蒸発器、凝縮器)、9 回転圧縮機構部(圧縮機構部)、15a、15b ベーン(摺動部材)、15A ベーン(摺動部材)、24 基材、24A 基材、24B 基材、25 第1の層、26 第2の層、27 第3の層、28 第4の層、29 皮膜、31 軸受(摺動部材)

Claims (4)

  1. 冷凍サイクル中に使用される冷媒を圧縮する圧縮機構部を備えた冷媒圧縮機において、
    前記圧縮機構部の摺動部材の少なくとも1つが表面硬化処理された金属材料を基材として形成され、
    前記基材の表面に、クロムの単一層からなる第1の層と、クロムとタングステンカーバイトとの合金層からなる第2の層と、タングステン及びタングステンカーバイトの少なくとも一方を含有した金属含有アモルファス炭素層からなる第3の層と、金属を含有せず炭素と水素とを含むアモルファス炭素層からなる第4の層とを順に積層した皮膜が形成され、
    前記第2の層は、クロム含有率が前記第3の層側より前記第1の層側で高く、かつ、タングステンカーバイトの含有率が前記第1の層側より前記第3の層側で高くなるように形成され、
    前記第3の層は、タングステン又はタングステンカーバイトの含有率が前記第4の層側より前記第2の層側が高くなるように形成されていることを特徴とする冷媒圧縮機。
  2. 前記基材の表面硬さを、ロックウェル硬さHRAで70以上、又は、ロックウェル硬さHRCで25以上、又は、ビッカース硬さで400以上としたことを特徴とする請求項1記載の冷媒圧縮機。
  3. 前記基材をステンレス鋼としたことを特徴とする請求項1記載の冷媒圧縮機。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一に記載の冷媒圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
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