JP2011061044A - 多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 多層基板に実装される電子部品を外来のサージから保護し、かつ多層基板を小形化することができる多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器を提供する。
【解決手段】 多層基板21は、端子接続部29、外部接続部28、接地電位部27、第1電極部24を含む。外部接続部28と端子接続部29とは、第1面方向Xに間隔ΔL4をあける。外部接続部28は、第1電極部24に接続される。第1電極部24と接地電位部27とは、厚み方向Zに間隔ΔL4よりも小さい間隔ΔL5をあける。外部接続部28に入力された外来のサージは、外部接続部28から第1電極部24に進み、さらに第1電極部24から接地電位部27に放電される。多層基板21は、端子接続部29に接続される電子部品35を、外来のサージから保護することができる。また第1電極部24を多層基板21内に形成するので、多層基板21を小形化することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】 多層基板21は、端子接続部29、外部接続部28、接地電位部27、第1電極部24を含む。外部接続部28と端子接続部29とは、第1面方向Xに間隔ΔL4をあける。外部接続部28は、第1電極部24に接続される。第1電極部24と接地電位部27とは、厚み方向Zに間隔ΔL4よりも小さい間隔ΔL5をあける。外部接続部28に入力された外来のサージは、外部接続部28から第1電極部24に進み、さらに第1電極部24から接地電位部27に放電される。多層基板21は、端子接続部29に接続される電子部品35を、外来のサージから保護することができる。また第1電極部24を多層基板21内に形成するので、多層基板21を小形化することができる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、外部から多層基板に侵入するサージによって多層基板に実装される電子部品の誤動作および破壊などを防止することができる多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器に関する。
車両に搭載される車載用電子機器は、設置面積の制約などによって小形化が求められている。車載用電子機器内の基板には、複数の電子部品、たとえば集積回路(Integrated
Circuit:略称「IC」)、コネクタ、抵抗素子およびコンデンサなどが、基板の面方向に近接して実装される。
Circuit:略称「IC」)、コネクタ、抵抗素子およびコンデンサなどが、基板の面方向に近接して実装される。
図1は、第1の従来技術に係る車載用電子機器1の断面図である。車載用電子機器1は、コネクタ2と、コネクタ端子3と、IC4と、基板5と、筐体6とを備える。基板5を小形化するために、基板5にはコネクタ端子3とIC4とが、基板5の面方向に間隔ΔL1をあけて、近接して実装されている。
車載用電子機器1は、コネクタ2を介して図示しない外部機器と電気的に接続される構成であるので、外部で発生したサージがコネクタ2に入力されることがある。サージとは、短時間内に激しく動揺する電圧のことであり、静電気放電(Electrostatic Discharge:略称「ESD」)などによって発生する。コネクタ2に入力されたサージは、コネクタ2からコネクタ端子3に伝わり、さらにコネクタ端子3からコネクタ端子3に近接するIC4に放電されることがある。IC4などの電子部品は、サージが伝わると動作不良を起こす、または破壊することがある。
図2は、第2の従来技術に係る有機ELモジュール11の断面図である。第2の従来技術である特許文献1に記載の有機ELモジュール11は、基板12と、内部封止体13と、外部封止体14と、電子部品である回路素子15と、有機EL構造体16と、電磁シールド17と、グランドパターン18とを備える。電磁シールド17は、接地されるグランドパターン18に電気的に接続されているので、サージおよびノイズを遮断することができる。ノイズとは、サージよりも低電圧かつ高周波の過電圧のことをいう。電磁シールド17は、回路素子15と有機EL構造体16との間に配置される。これによって、電磁シールド17は、有機EL構造体16から発生するノイズが、回路素子15に入力されることを防止する。
しかし、特許文献1に記載の電磁シールド17は、図1に示した車載用電子機器1のように、基板5上に複数の電子部品が面方向に近接して実装されている場合、すなわち電子部品間に電磁シールド17を設置する領域がない場合に、電子部品をサージから保護することができない。
また、特許文献1に記載の有機ELモジュール11は、基板12上に電磁シールド17を実装する構成であるので、基板12の面積および体積が増大する。したがって、特許文献1に記載の電磁シールド17を用いる構成では、基板12を小形化することができない。
本発明の目的は、多層基板に実装される電子部品を外来のサージから保護し、かつ多層基板を小形化することができる多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器を提供することである。
本発明(1)は、多層基板に設けられる複数の配線層のうち第1の配線層を構成する配線の一部によって構成され、前記多層基板に実装される電子部品の端子に電気的に接続される端子接続部と、
前記端子接続部との間に多層基板の面方向に予め定める第1の間隔をあけて、前記配線の一部とは異なる前記配線の他の一部によって構成される外部接続部であって、前記多層基板外の外部機器と接続するための入出力部品の端子に電気的に接続される外部接続部と、
前記第1の配線層とは異なる第2の配線層を構成する配線の一部によって構成され、接地される接地電位部と、
前記接地電位部との間に前記第1の間隔よりも小さい予め定める第2の間隔を多層基板の厚み方向にあけて形成され、前記外部接続部に電気的に接続される電極部とを含むことを特徴とする多層基板のサージ除去構造である。
また本発明(3)は、前記多層基板のサージ除去構造を備える車載用電子機器である。
前記端子接続部との間に多層基板の面方向に予め定める第1の間隔をあけて、前記配線の一部とは異なる前記配線の他の一部によって構成される外部接続部であって、前記多層基板外の外部機器と接続するための入出力部品の端子に電気的に接続される外部接続部と、
前記第1の配線層とは異なる第2の配線層を構成する配線の一部によって構成され、接地される接地電位部と、
前記接地電位部との間に前記第1の間隔よりも小さい予め定める第2の間隔を多層基板の厚み方向にあけて形成され、前記外部接続部に電気的に接続される電極部とを含むことを特徴とする多層基板のサージ除去構造である。
また本発明(3)は、前記多層基板のサージ除去構造を備える車載用電子機器である。
本発明(1)によれば、多層基板のサージ除去構造は、端子接続部と、外部接続部と、接地電位部と、電極部とを含んで構成される。端子接続部は、多層基板に設けられる複数の配線層のうち第1の配線層を構成する配線の一部によって構成される。端子接続部は、多層基板に実装される電子部品の端子に電気的に接続される。外部接続部は、端子接続部との間に多層基板の面方向に予め定める第1の間隔をあけて構成される。外部接続部は、前記配線の一部とは異なる前記配線の他の一部によって構成される。外部接続部は、多層基板外の外部機器と接続するための入出力部品の端子に電気的に接続される。接地電位部は、第1の配線層とは異なる第2の配線層を構成する配線の一部によって構成される。接地電位部は、接地される。電極部は、接地電位部との間に第1の間隔よりも小さい予め定める第2の間隔を多層基板の厚み方向にあけて形成される。電極部は、外部接続部に電気的に接続される。
多層基板外において、ESDなどによってサージが発生することがある。サージとは、短時間内に激しく動揺する電圧のことである。サージは、入出力部品を介して、多層基板内の外部接続部に入力されることがある。外部接続部に入力されたサージは、外部接続部から電極部に進み、さらに電極部から厚み方向の接地電位部に向けて放電される。サージ除去構造は、外部から多層基板内に入力されたサージを、多層基板の外部に放出することができる。
これによって、サージ除去構造は、端子接続部に電気的に接続される電子部品に、サージが伝わることを防止することができる。サージが電子部品に入力すると電子部品が誤作動を起こす、または破壊することがあるけれども、サージ除去構造は、ICなどの電子部品が誤作動を起こす、または破壊することを防止し、ICなどの電子部品をサージから保護することができる。
また、電極部は、入力されたサージを、電極部の厚み方向に設けられる接地電位部に確実に放電することができる。仮に多層基板の面方向に電子部品と入出力部品とが互いに近接して実装されているとしても、多層基板は、サージが電子部品に伝わることを防止することができる。したがって、サージ除去構造によって、多層基板の配線層上に複数の電子部品および入出力部品を面方向に近接して実装することができ、多層基板の小形化を図ることができる。
また本発明(3)によれば、車載用電子機器は、前記多層基板のサージ除去構造を備える。人が車両に触れたときに、人と車両との間の電位差によって、ESDが発生することがある。このESDによるサージの電圧値は、約2000ボルト(volt:略号「V」)以上にもなり、ICなどの電子部品の誤作動および破壊などの原因となる。
サージは、入出力部品を介して、多層基板内の外部接続部に入力されることがある。外部接続部に入力されたサージは、外部接続部から電極部に進み、さらに電極部から厚み方向の接地電位部に向けて放電される。車載用電子機器は、外部から多層基板内に入力されたサージを、多層基板の外部に放出することができる。
これによって、サージ除去構造は、端子接続部に電気的に接続される電子部品に、サージが伝わることを防止することができる。サージがICなどの電子部品に入力すると電子部品が誤作動を起こす、または破壊することがあるけれども、サージ除去構造を備える車載用電子機器は、電子部品が誤作動を起こす、または破壊することを防止し、ICなどの電子部品をサージから保護することができる。
また、電極部は、入力されたサージを、電極部の厚み方向に設けられる接地電位部に確実に放電することができる。仮に多層基板の面方向に電子部品と入出力部品とが互いに近接して実装されているとしても、多層基板は、サージが電子部品に伝わることを防止することができる。したがって、サージ除去構造によって、多層基板上に複数の電子部品および入出力部品を面方向に近接して実装することができ、多層基板の小形化を図ることができる。これによって、車載用電子機器を小形化することができる。
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態に係るサージ除去構造31を含む多層基板21の断面図である。多層基板21は、配線層22と、絶縁層23と、第1電極部24と、ビアホール(via hole)25とを含んで構成される。配線層22には、接地電位部27と、外部接続部28と、端子接続部29とが形成される。多層基板21には、入出力部品であるコネクタ33と、電子部品35とが実装される。
図3は、本発明の第1実施形態に係るサージ除去構造31を含む多層基板21の断面図である。多層基板21は、配線層22と、絶縁層23と、第1電極部24と、ビアホール(via hole)25とを含んで構成される。配線層22には、接地電位部27と、外部接続部28と、端子接続部29とが形成される。多層基板21には、入出力部品であるコネクタ33と、電子部品35とが実装される。
多層基板21は、サージ除去構造31を含み、サージ除去構造31は、第1電極部24と、接地電位部27と、外部接続部28と、端子接続部29とを含んで構成される。サージ除去構造31は、外部から多層基板21内に入力されるサージを、多層基板21の外部に放出する。サージとは、短時間内に激しく動揺する電圧のことをいう。
多層基板21は、外形が大略的に板状に形成され、複数の配線層22が積層して構成される。多層基板21において複数の配線層22が積層される方向を、厚み方向Zとする。厚み方向Zに含まれる2つの向きのうち、一方の向きを第1方向Z1とし、他方の向きを第2方向Z2とする。厚み方向Zに垂直な方向を、面方向とする。面方向のうち、コネクタ33から電子部品35に向かう方向を、第1面方向Xとする。厚み方向Zと第1面方向Xとに垂直な方向を、第2面方向Yとする。
配線層22は、第1配線層41と、第2配線層42と、第3配線層43と、第4配線層44とから構成される。第1〜第4配線層41〜44には、導電性の金属などによって配線32が形成される。配線層22は、厚み寸法L2がたとえば18マイクロメートル(
micrometer:略号「μm」)に形成される。配線層22の厚み方向Zの間隔L3は、たとえば66μmである。
micrometer:略号「μm」)に形成される。配線層22の厚み方向Zの間隔L3は、たとえば66μmである。
第1配線層41は、第1〜第4配線層41〜44のうち、最も第1方向Z1側に配置される配線層である。第1配線層41に形成される配線32は、外部接続部28と、端子接続部29とを含んで構成される。外部接続部28および端子接続部29は、第1配線層41の配線32の一部によって構成される。
外部接続部28は、厚み方向Zに見て、大略的に矩形に形成される。外部接続部28の各辺の方向は、第1面方向X、または第2面方向Yと一致する。外部接続部28は、コネクタ33の端子であるコネクタ端子34に電気的に接続される。
コネクタ33は、多層基板21外の図示しない外部機器と接続するための入出力部品である。コネクタ33には、たとえばケーブルなどの図示しない通信線が接続される。コネクタ33と外部機器とは、通信線を介して互いに電気的に接続されて、電気信号などの通信が可能となる。
多層基板21に実装される電子部品35は、多層基板21に電気的に接続するための端子である電子部品端子36を複数有する。電子部品35は、たとえば信号処理系の集積回路(Integrated Circuit:略称「IC」)もしくは電源用ICなどのIC、マイコン、抵抗素子、またはコンデンサなどである。複数の電子部品端子36は、第1配線層41に形成される配線に電気的に接続される。電子部品35は、第1配線層41に実装されることによって、配線層22から電気信号などが入出力され、電子部品35の機能に基づく予め定める動作を行う。
電子部品端子36に電気的に接続される第1配線層41の複数の配線32のうち、外部接続部28に最も面方向に近接する配線32を、端子接続部29とする。端子接続部29は、厚み方向Zに見て矩形に形成される。端子接続部29の各辺の方向は、第1面方向X、または第2面方向Yに一致する。端子接続部29は、電子部品35の端子である電子部品端子36に電気的に接続される。
絶縁層23は、絶縁性の材料、たとえばプリプレグ、ガラスエポキシなどによって形成される。絶縁層23は、厚み方向Zに第1〜第4配線層41〜44の間に形成されて、第1〜第4配線層41〜44を互いに絶縁する。
ビアホール25は、第1〜第4配線層41〜44のうち少なくとも2つの配線層を、厚み方向Zに互いに電気的に接続する。ビアホール25は、絶縁層23内で円柱状に形成される。この円柱の高さの方向は、厚み方向Zに一致する。ビアホール25は、直径D1の寸法がたとえば0.1〜0.5ミリメートル(millimeter:略号「mm」)に形成される。
ビアホール25は、次のように作成される。多層基板21は、複数の基板を積層して形成される。このときに、多層基板21の全体を厚み方向Zに貫通する孔、または特定の配線層22間のみを厚み方向Zに貫通する穴を、基板に形成する。その後、形成された孔または穴に対して、メッキ処理、または導電性のペーストを充填する処理などが行われて、ビアホール25が作成される。
第1電極部24は、厚み方向Zに見て外部接続部28が形成される位置において厚み方向Zに形成される。第1電極部24は、外部接続部28から厚み方向Zに形成される。第1電極部24は、絶縁層23内で円錐台状に形成される。第1電極部24の軸線は、厚み方向Zに一致する。この円錐台の2つの底面のうち面積の大きい底面は、面積の小さい底面よりも、第1方向Z1側に配置される。第1電極部24は、第1方向Z1の端部が、外部接続部28に電気的かつ物理的に接続される。仮に、配線層22上に第1電極部24を別途実装する構成であるとするならば、配線層上に電極部を実装する領域を設ける必要があるけれども、本実施形態では、第1電極部24が絶縁層23内に形成される構成であるので、多層基板21を小形化することができる。
第1電極部24は、前述したビアホール25と同様に作成される。まず、厚み方向Zに、外部接続部28から第3配線層43に穴を形成する。この穴は、レーザ加工などによって形成される。その後、形成された穴に対して、メッキ処理、または導電性のペーストを充填する処理などが行われて、第1電極部24が作成される。
他の実施形態において、第1電極部24を、円柱状、または円錐状に形成してもよい。第1電極部24を円柱状に形成する場合は、ビアホール25と同様の作成方法によって、第1電極部24を形成することができる。これによって、第1電極部24を容易に作成することができる。また、第1電極部24を円錐状に形成する場合は、円錐の底面を円錐の頂点よりも第1方向Z1側に配置し、かつ円錐の底面を外部接続部28に当接させて配置する。これによって、後に詳述する第1電極部24から接地電位部27へのサージの放電をさらに確実に行うことができる。
第3配線層43に形成される配線32は、接地される接地電位部27を含んで構成される。接地電位部27は、第3配線層43の配線32の一部によって構成される。接地電位部27は、厚み方向Zに第1電極部24と対向して形成される。接地電位部27の少なくとも一部は、厚み方向Zに見て、第1電極部24と重なる位置に形成される。接地電位部27は、たとえば多層基板21が搭載される電子機器の筐体などに電気的に接続されることによって、接地電位、すなわち予め定める基準電圧に維持される。
図4は、図3に示した多層基板21の一部を拡大して示す断面図である。外部接続部28は、端子接続部29との間に、間隔ΔL4を第1面方向Xにあけて形成される。
外部接続部28とコネクタ端子34との間、および端子接続部29と電子部品端子36との間は、たとえば半田または導電性接着剤によって電気的かつ物理的に接続される。
第1電極部24は、2つの底面のうち第1方向Z1側に位置する底面の直径D2の寸法が、たとえば0.2〜0.5mmに形成され、第2方向Z2側に位置する底面の直径D3の寸法が、たとえば0.1〜0.4mmに形成される。
第1電極部24は、接地電位部27との間に、間隔ΔL4よりも小さい間隔ΔL5を、厚み方向Zにあけて形成される。この間隔ΔL5は、第1電極部24の第2方向Z2に臨む端面と、接地電位部27との間の寸法である。間隔ΔL5は、60〜100μmに形成される。
第1電極部24と接地電位部27との間には、円柱状の空間30が厚み方向Zに形成される。この円柱状の空間30は、軸線が厚み方向Zに沿って形成される。空間30は、前述した第1電極部24を作成するときに、厚み方向Zに貫通する穴を絶縁層23に開けて形成される。第1電極部24と接地電位部27とは、空間30内の空気層によって互いに絶縁される。第1電極部24と接地電位部27との間の静電容量は、数ピコファラド(
pico farad:略号「pF」)である。
pico farad:略号「pF」)である。
他の実施形態において、絶縁性の樹脂などを空間30内に充填することによって、第1電極部24と接地電位部27との間を絶縁する構成としてもよい。絶縁性の樹脂と空気とは比誘電率が異なるので、空間30内に絶縁性の樹脂を充填すると、第1電極部24と接地電位部27との間の静電容量が異なる値となる。この静電容量は、第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5、第1電極部24の第2方向Z2に臨む端面の面積、および第1電極部24と接地電位部27との間の誘電率などによって定まる。第1電極部24の直径D2、および第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5を調整して、第1電極部24と接地電位部27との間の静電容量を、数pFとする。これによって、空間30内に絶縁性の樹脂などを充填する構成であっても、空間30内を空気層にする構成と同様の効果を奏することができる。
図5は、図3に示した多層基板21の一部を拡大して示す平面図である。多層基板21には、外部接続部28および第1電極部24が、複数形成される。外部接続部28は、第2面方向Yに互いに隣接して形成される。
第1電極部24は、第2面方向Yに互いに隣接して形成される。第1電極部24の個数と外部接続部28の個数とは、一致する。各第1電極部24は、各外部接続部28と1対1で互いに電気的かつ物理的に接続される。端子接続部29は、第1配線層41に複数形成される。端子接続部29は、第2面方向Yに互いに隣接して形成される。
接地電位部27は、厚み方向Zに見て帯状に形成される。接地電位部27の長手方向は、第2面方向Yに一致する。接地電位部27を第1電極部24に対向して形成することによって、接地電位部27と第1電極部24との間隔ΔL5を、全て同一の寸法にする。
本実施形態の多層基板21では、外部接続部28、端子接続部29および第1電極部24を複数形成する構成であるけれども、他の実施形態において、外部接続部28、端子接続部29および第1電極部24は、1以上の任意の数で構成してもよい。たとえば、外部接続部28は、多層基板21に実装されるコネクタ33のコネクタ端子34と同じ数で構成することができる。
このように、多層基板21のサージ除去構造31は、端子接続部29と、外部接続部28と、接地電位部27と、第1電極部24とを含んで構成される。端子接続部29は、多層基板21に設けられる複数の配線層22のうち第1配線層41を構成する配線32の一部によって構成される。端子接続部29は、多層基板21に実装される電子部品35の電子部品端子36に電気的に接続される。外部接続部28は、端子接続部29との間に多層基板21の面方向に予め定める第1の間隔をあけて構成される。外部接続部28は、前記配線32の一部とは異なる前記配線32の他の一部によって構成される。外部接続部28は、多層基板21外の外部機器と接続するための入出力部品であるコネクタ33のコネクタ端子34に電気的に接続される。接地電位部27は、第1配線層41とは異なる配線層22を構成する配線32の一部によって構成される。接地電位部27は、接地される。第1電極部24は、接地電位部27との間に第1の間隔よりも小さい予め定める第2の間隔を多層基板21の厚み方向Zにあけて形成される。第1電極部24は、外部接続部28に電気的に接続される。
多層基板21外において、静電気放電(Electrostatic Discharge:略称「ESD」)などによって、サージが発生することがある。サージは、コネクタ33を介して、多層基板21内の外部接続部28に入力されることがある。外部接続部28に入力されたサージは、外部接続部28から第1電極部24に進み、さらに第1電極部24から厚み方向Zの接地電位部27に向けて放電される。この放電は、コロナ放電または火花放電による電荷の移動である。第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5は、60〜100μmであり、数pFの静電容量がある。
第1電極部24と接地電位部27との間は、空気層によって絶縁されているけれども、予め定める電圧値、たとえば2000ボルト(volt:略号「V」)を超えるサージが入力されると、第1電極部24と接地電位部27との間で放電が起こる。外部接続部28と端子接続部29との間隔ΔL4よりも、第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5が小さいので、サージは、外部接続部28から端子接続部29ではなく、第1電極部24から接地電位部27へと放電される。サージ除去構造31は、外部から多層基板21内に入力されたサージを、多層基板の外部に放出することができる。
これによって、サージ除去構造31は、端子接続部29に電気的に接続される電子部品35に、サージが伝わることを防止することができる。サージが電子部品35に入力すると電子部品35が誤作動を起こす、または破壊することがあるけれども、サージ除去構造31は、ICおよびマイコンなどの電子部品35が誤作動を起こす、または破壊することを防止し、電子部品35をサージから保護することができる。
また、第1電極部24は、入力されたサージを、第1電極部24の第2方向Z2に設けられる接地電位部27に確実に放電することができる。仮に多層基板21の面方向に電子部品35とコネクタ33とが互いに近接して実装されているとしても、多層基板21は、サージが電子部品35に伝わることを防止することができる。したがって、サージ除去構造31によって、多層基板21の配線層22上に複数の電子部品35およびコネクタ33を面方向に近接して実装することができ、多層基板21の小形化を図ることができる。
さらに、第1電極部24は、外部接続部28から厚み方向Zに形成される。したがって、サージ除去構造31は、配線層22上に新たに第1電極部24を設ける領域を必要としないので、多層基板21のさらなる小形化を図ることができる。
さらに、外部接続部28および第1電極部24は、複数形成される。第1電極部24は、各外部接続部28と1対1で互いに電気的に接続される。したがって、複数の外部接続部28のうち、いずれの外部接続部28にサージが入力されたとしても、サージ除去構造31は、サージが電子部品35に伝わることを確実に防止することができる。これによって、サージ除去構造31は、電子部品35が誤作動および破壊することを防止し、電子部品35をサージから保護することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るサージ除去構造31を含む多層基板21の断面図である。接地電位部27は、第4配線層44の一部によって構成される。第4配線層44は、第1〜第4配線層41〜44のうち最も第2方向Z2側に配置される配線層である。接地電位部27は、さらに第2電極部48を含んで構成される。
図6は、本発明の第2実施形態に係るサージ除去構造31を含む多層基板21の断面図である。接地電位部27は、第4配線層44の一部によって構成される。第4配線層44は、第1〜第4配線層41〜44のうち最も第2方向Z2側に配置される配線層である。接地電位部27は、さらに第2電極部48を含んで構成される。
第2電極部48は、複数形成され、第2面方向Yに隣接して形成される。第2電極部48は、第4配線層44から第1方向Z1に向けて形成される。各第2電極部48は、厚み方向Zに各第1電極部24に対向して形成される。第2電極部48は、厚み方向Zに見て第1電極部24が形成される位置と重なる位置に形成される。第2電極部48は、絶縁層23内で円錐台状に形成される。この円錐台の2つの底面のうち面積の大きい底面は、第2方向Z2に配置される。第2電極部48は、前述した第1電極部24の作成方法と同様に作成される。
第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5、すなわち第1電極部24の第2方向Z2の端面と第2電極部48の第1方向Z1の端面との間隔ΔL5は、第1実施形態と同様に形成される。第2電極部48は、接地電位、すなわち予め定める基準電圧に維持される。
他の実施形態において、第2電極部48を、円柱状、または円錐状に形成してもよい。第2電極部48を円柱状に形成する場合は、ビアホール25と同様の作成方法によって、第2電極部48を作成することができる。これによって、第2電極部48を容易に作成することができる。また、第2電極部48を円錐状に形成する場合は、円錐の頂点を第1方向Z1に向けて形成する。これによって、第1電極部24から第2電極部48へのサージの放電をさらに確実に行うことができる。
このように、接地電位部27は、第2電極部48を含んで構成される。第2電極部48は、第1電極部24に対向して厚み方向Zに形成される。これによって、第2電極部48は、第1電極部24と対になって、外部接続部28に入力されたサージを確実に放電させることができる。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る車載用電子機器40に搭載される多層基板21の断面図である。サージ除去構造31を含む多層基板21は、車載用電子機器40、たとえば電子制御ユニット(electronic control unit:略称「ECU」)、車載用音響機器、車載用ナビゲーション装置などに搭載される。
図7は、本発明の第3実施形態に係る車載用電子機器40に搭載される多層基板21の断面図である。サージ除去構造31を含む多層基板21は、車載用電子機器40、たとえば電子制御ユニット(electronic control unit:略称「ECU」)、車載用音響機器、車載用ナビゲーション装置などに搭載される。
多層基板21は、さらに第5配線層45、および第6配線層46を含んで構成される。第5配線層45は、第4配線層44よりも第2方向Z2側に形成され、第6配線層46は、第5配線層45よりも第2方向Z2側に形成される。絶縁層23は、第4配線層44、第5配線層45および第6配線層46の間において、第4〜第6配線層44〜46を互いに絶縁する。
第1電極部24は、第1配線層41と第3配線層43との間に形成される。第1電極部24の軸線は、厚み方向Zに一致する。接地電位部27は、第6配線層46に形成される。接地電位部27は、さらに第2電極部48を含んで構成される。第2電極部48は、第6配線層46と第4配線層44との間に形成される。第2電極部48の軸線は、厚み方向Zに一致する。
第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5、すなわち第1電極部24の第2方向Z2の端面と第2電極部48の第1方向Z1の端面との間隔ΔL5は、第1および第2実施形態と同様に、約60〜100μmに形成される。
接地電位部27は、車載用電子機器40の図示しない筐体などに電気的に接続されて接地される。これによって、第1電極部24から接地電位部27に放電されたサージは、多層基板21外に放出される。
第1および第2実施形態では、多層基板21が4層の配線層からなる構成を示し、第3実施形態では、多層基板21が6層の配線層からなる構成を示したけれども、他の実施形態において多層基板21は、2層以上の任意の数の配線層22からなる構成によって実現されてもよい。また、接地電位部27は、第1方向Z1に臨む第1配線層41以外の任意の配線層に形成することができる。多層基板21がいずれの構成であっても、第1電極部24と接地電位部27との間隔ΔL5を、60〜100μmに形成することによって、第1および第2実施形態の多層基板21と同様の効果を奏することができる。
このように、車載用電子機器40は、前記多層基板21のサージ除去構造31を備える。人が車両に触れたときに、人と車両との間の電位差によって、ESDが発生することがある。このESDによるサージの電圧値は、約2000V以上にもなり、ICなどの電子部品35の誤作動および破壊などの原因となる。ESDなどのサージは、コネクタ33を介して、多層基板21内の外部接続部28に入力されることがある。外部接続部28に入力されたサージは、外部接続部28から第1電極部24に進み、さらに第1電極部24から厚み方向Zの接地電位部27に向けて放電される。車載用電子機器40は、外部から多層基板21内に入力されたサージを、多層基板の外部に放出することができる。
これによって、サージ除去構造31は、端子接続部29に電気的に接続される電子部品35に、サージが伝わることを防止することができる。サージがICおよびマイコンなどの電子部品35に入力すると電子部品35が誤作動を起こす、または破壊することがあるけれども、サージ除去構造31を備える車載用電子機器40は、電子部品35が誤作動を起こす、または破壊することを防止し、電子部品35をサージから保護することができる。
また、第1電極部24は、入力されたサージを、第1電極部24の第2方向Z2に設けられる接地電位部27に確実に放電することができる。仮に多層基板21の面方向に電子部品35とコネクタ33とが互いに近接して実装されているとしても、多層基板21は、サージが電子部品35に伝わることを防止することができる。したがって、サージ除去構造31によって、多層基板21上に複数の電子部品35およびコネクタ33を面方向に近接して実装することができ、多層基板21の小形化を図ることができる。これによって、車載用電子機器40を小形化することができる。
また、車載用電子機器40は、第1および第2実施形態に係る多層基板21を搭載する構成であってもよい。これによって、車載用電子機器40は、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
また他の実施形態において、サージ除去構造31を含む多層基板21を、車載用以外の電子機器、たとえばデジタルカメラ、またはビデオカメラなどに搭載する構成としてもよい。これによって、電子機器は、車載用電子機器40と同様の効果を奏することができる。
1 車載用電子機器
2 コネクタ
3 コネクタ端子
4 IC
5 基板
6 筐体
11 有機ELモジュール
12 基板
13 内部封止体
14 外部封止体
15 回路素子
16 有機EL構造体
17 電磁シールド
18 グランドパターン
21 多層基板
22 配線層
23 絶縁層
24 第1電極部
25 ビアホール
27 接地電位部
28 外部接続部
29 端子接続部
30 空間
31 サージ除去構造
32 配線
33 コネクタ
34 コネクタ端子
35 電子部品
36 電子部品端子
40 車載用電子機器
41 第1配線層
42 第2配線層
43 第3配線層
44 第4配線層
45 第5配線層
46 第6配線層
48 第2電極部
2 コネクタ
3 コネクタ端子
4 IC
5 基板
6 筐体
11 有機ELモジュール
12 基板
13 内部封止体
14 外部封止体
15 回路素子
16 有機EL構造体
17 電磁シールド
18 グランドパターン
21 多層基板
22 配線層
23 絶縁層
24 第1電極部
25 ビアホール
27 接地電位部
28 外部接続部
29 端子接続部
30 空間
31 サージ除去構造
32 配線
33 コネクタ
34 コネクタ端子
35 電子部品
36 電子部品端子
40 車載用電子機器
41 第1配線層
42 第2配線層
43 第3配線層
44 第4配線層
45 第5配線層
46 第6配線層
48 第2電極部
Claims (3)
- 多層基板に設けられる複数の配線層のうち第1の配線層を構成する配線の一部によって構成され、前記多層基板に実装される電子部品の端子に電気的に接続される端子接続部と、
前記端子接続部との間に多層基板の面方向に予め定める第1の間隔をあけて、前記配線の一部とは異なる前記配線の他の一部によって構成される外部接続部であって、前記多層基板外の外部機器と接続するための入出力部品の端子に電気的に接続される外部接続部と、
前記第1の配線層とは異なる第2の配線層を構成する配線の一部によって構成され、接地される接地電位部と、
前記接地電位部との間に前記第1の間隔よりも小さい予め定める第2の間隔を多層基板の厚み方向にあけて形成され、前記外部接続部に電気的に接続される電極部とを含むことを特徴とする多層基板のサージ除去構造。 - 前記電極部は、前記外部接続部から厚み方向に形成されることを特徴とする請求項1に記載の多層基板のサージ除去構造。
- 請求項1または2に記載の多層基板のサージ除去構造を備える車載用電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009209778A JP2011061044A (ja) | 2009-09-10 | 2009-09-10 | 多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器 |
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JP2009209778A JP2011061044A (ja) | 2009-09-10 | 2009-09-10 | 多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器 |
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ID=43948324
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JP2009209778A Withdrawn JP2011061044A (ja) | 2009-09-10 | 2009-09-10 | 多層基板のサージ除去構造および車載用電子機器 |
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JP (1) | JP2011061044A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012190825A (ja) * | 2011-03-08 | 2012-10-04 | Tdk Corp | 配線基板及びその製造方法 |
US10903177B2 (en) | 2018-12-14 | 2021-01-26 | Samsung Electronics Co.. Ltd. | Method of manufacturing a semiconductor package |
-
2009
- 2009-09-10 JP JP2009209778A patent/JP2011061044A/ja not_active Withdrawn
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US11594500B2 (en) | 2018-12-14 | 2023-02-28 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Semiconductor package |
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