JP2011060347A - ディスク・ドライブ - Google Patents

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博 内田
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勲 米田
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Kazuhisa Shishida
和久 宍田
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    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/58Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B5/596Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following for track following on disks
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Abstract

【課題】HDDにおいて、アクチュエータの振動を効果的に抑える。
【解決手段】本実施形態のHDDにおいて、HDC/MPU23は、サーボ・ループ上で動作しているアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の幅を零にセットする。さらに、幅を0に維持しながら、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の内部変数を参照して、アクチュエータ16の発振周波数の推定とその推定結果に応じた中心周波数の変更を繰り返し行う。HDC/MPU23は、発振周波数の推定と中心周波数の変更とが終了した後に、ノッチ・フィルタ233の幅を大きくする。
【選択図】図4

Description

本発明は、ディスク・ドライブに関し、特に、ヘッドのサーボ制御におけるアクチュエータの振動抑制技術に関する。
ディスク・ドライブとして、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはフレキシブル磁気ディスクなどの様々な態様のディスクを使用する装置が知られているが、その中で、ハードディスク・ドライブ(HDD)は、コンピュータ・システムの他、動画像記録再生装置やカーナビゲーション・システムなど、多くの電子機器において使用されている。
HDDで使用される磁気ディスクは、同心円状に形成された複数のデータ・トラックと複数のサーボ・トラックとを有している。各サーボ・トラックはアドレス情報を有する複数のサーボ・セクタから構成される。また、各データ・トラックには、ユーザ・データを含む複数のデータ・セクタから構成されている。円周方向に離間するサーボ・セクタの間に、データ・セクタが記録されている。
HDDは揺動するアクチュエータを有し、そのアクチュエータにヘッド・スライダが支持されている。HDDは、ヘッド・スライダによってサーボ・セクタのアドレス情報を読み出し、そのアドレス情報に従ってアクチュエータを制御する(サーボ制御)。これにより、HDDは、ヘッド・スライダを所望の半径位置(ターゲット・データ・トラック)に移動し(シーク)、さらに、その位置に位置決めする(フォロイング)することができる。ターゲット・データ・トラックに位置決めされたヘッド・スライダは、そのトラック内のターゲット・データ・セクタへのデータ書き込みあるいはデータ読み出しを行う。
アクチュエータはボイス・コイル・モータ(VCM)によって駆動される。一般に、アクチュエータは、幾つかの機構共振モードを有する。そして、それらによりサーボ系が不安定となり、特定の周波数(共振周波数)で機械的な発振を起こすことがある。
そこで、従来のHDDは、ヘッド・スライダのサーボ制御においてノッチ・フィルタを使用する。ノッチ・フィルタは、ヘッド・スライダのサーボ・ループ内においてコントローラの出力側に挿入されており、アクチュエータの共振周波数と同一の中心周波数を有している。ノッチ・フィルタは、制御信号に含まれる発振周波数のサーボ・ゲインを小さくし、ヘッド・スライダのサーボ制御を安定化させる。
HDDにおけるTPIの増加に伴い、サーボ帯域を上げることが、ヘッドの位置決め精度を維持するために求められている。サーボ帯域を上げることを阻む要因の一つは、ノッチ・フィルタによる位相遅れによる位相マージンの消費がある。位相マージンの消費を低減することができれば、サーボ帯域を上げることができる。
しかし、既に位相マージンの消費を抑えた上でメカ・パーツのバラツキや温度変化など様々な条件でもサーボ系において発振問題が発生しないようにノッチ・フィルタは設計されており、サーボ系の発振リスクを増やすことなく位相マージンの消費をさらに減らすことは難しい。そのため、メカ・パーツのバラツキを小さくすることや生産現場で個別にサーボ系を最適に設定することが期待される。しかし、共にコスト・アップの原因となるため、より簡便な方法が求められている。
また、一方、システム内でのHDDの固定方法により発振が起きる現象が見つかっている。システム内に実装して初めて起きる発振であるため、製造時の検査やHDD単体では発振が起きない。そのため、ノッチ・フィルタを予防的に加える対策しか取ることができず、位相マージンの消費を増やし、サーボ帯域を上げることをさらに難しくする。
そこで、発振してもその周波数を推定し、発振を止めるのに必要なノッチ・フィルタを生成する次技術が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1を参照)。これにより、発振確率が小さいメカ発振に対して予防的な意味で用いられていたノッチ・フィルタを省略する、あるいはその幅を狭くすることができる。また、位相マージンの消費が抑えられ、結果的にサーボ帯域を上げることができる。
特許文献1及び非特許文献1に開示されている技術は、周波数追従型のピーク・フィルタ(アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ)における技術を利用する。ピーク・フィルタは、主制御部と並列にサーボ・ループ内に配置されており、外部振動によるアクチュエータ(ヘッド・スライダ)の振動を抑制する働きがある。
上記文献に開示されているように、ピーク・フィルタの分母を使用して外部振動の周波数を推定することができる。アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタは、このように外部振動周波数を推定し、そのピーク周波数を徐々に外部振動周波数に近づける。ピーク・フィルタの分母は、ノッチ・フィルタの分子と同形である。従って、ノッチ・フィルタの分子を用いても、同様に、外部振動周波数を推定することができる。
特開2008−287815号公報 "周波数追従型ピーク・フィルタを使った適応ノッチ・フィルタ"(木坂、電気学会研究資料、IIC−06−136、2006)
しかし、ノッチ・フィルタが抑えることを目的とするのは、外部振動によるアクチュエータ振動ではなく、アクチュエータの発振による振動である。この外部振動と発振の相違により、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの既存の実装方法は、周波数追従型ノッチ・フィルタ(アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ)に、そのまま適用することはできないことが分かった。
上記先行文献に記載されているアダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタは、外部振動の周波数を推定し、その振動の周波数に近づくようにピーク周波数を更新する。この処理を繰り返すことで、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタのピーク周波数を外部振動周波数(外部振動によるアクチュエータ振動)に近づけ、最終的に、それらを一致させる。アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタの抑制対象は、外部振動によるアクチュエータ(ヘッド・スライダ)の振動である。ピーク・フィルタのピーク周波数が外部振動の周波数と一致しても、外部振動によるアクチュエータ振動が完全に停止することはない。従って、ピーク周波数を外部振動周波数に徐々に近づけ、その値に収束させることができる。
一方、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタは、アクチュエータの発振周波数を推定し、ノッチ・フィルタの中心周波数を発振周波数に徐々に近づける。外部振動と異なり、アクチュエータの発振による振動は、発振条件が取り除かれると、消失する。そのため、発振周波数が正しく推定される前に(ノッチ・フィルタの中心周波数が発振周波数と一致する前に)、ノッチ・フィルタの裾野により発振条件が除去されると、発振が止まる。
発振停止後に発振周波数を推定することはできず、最適なノッチ・フィルタを生成することができない。また、発振による振動が存在しないと、より小さい振動に対して周波数推定を行い、ノッチ・フィルタの中心周波数が移動し、発振を繰り返すという問題がある。従って、アクチュエータの発振周波数とノッチ・フィルタの中心周波数との差異を所望範囲内に設定してアクチュエータの振動を効果的に抑えることができるノッチ・フィルタの適応化技術が望まれる。
本発明の一態様のディスク・ドライブは、ディスクにアクセスするヘッドと、前記ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータと、前記ヘッドが前記ディスクから読み出したサーボ・データにより前記アクチュエータのサーボ制御を行うコントローラとを有する。前記コントローラは、サーボ制御システムにおいてフィルタ演算を行っているアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅を規定値以下に維持しながら、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの内部変数を参照して、前記アクチュエータの発振周波数の推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返し行う。さらに、前記コントローラは、前記中心周波数が前記発振周波数に収束した後に前記幅を大きくする。これにより、アクチュエータの発振周波数とノッチ・フィルタの中心周波数との差異を所望範囲内に設定してアクチュエータの振動を効果的に抑えることができる。
好ましい構成において、前記規定値は0である。これにより、ノッチ・フィルタの中心周波数をアクチュエータの発振周波数により適切に近づけることができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返し行うことで前記中心周波数を前記発振周波数に徐々に近づけ、前記中心周波数と前記発振周波数との大小関係が変化すると、前記発振周波数の推定と前記中心周波数の変更とを終了する。これにより、シンプルな構成により、アクチュエータの発振周波数とノッチ・フィルタの中心周波数との差異を所望範囲内に設定することができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返しにおいて、前記中心周波数の同一符号における変更の連続回数に応じて、前記中心周波数の変更量を大きくする。これにより、中心周波数の収束速度を速めることができる。
好ましい構成において、前記中心周波数の変更量の絶対値に対して最大値が規定されている。これにより、中心周波数が発振周波数を大きく通り過ぎることがない。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記発振周波数の推定の計算における値の大きさと閾値とを比較し、前記値が前記閾値よりも大きい場合に、前記発振周波数の推定及び前記中心周波数の変更を実行する。これにより、ノイズによる影響を低減することができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、位置誤差信号を変数とする前記アクチュエータの振動を表わす関数値を使用して前記アクチュエータの発振の停止を判定し、前記発振が停止する前記幅の値から、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅を決定する。これにより、発振停止する適切な幅を設定することができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記発振が停止する前記幅の値よりも大きい値Wminを、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅に決定する。これにより、より確実に発振を防ぐことができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記発振の停止の前記判定において、前記関数値と第1の閾値とを比較して前記発振の停止を判定し、前記関数値が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値と前記第1の閾値との間にあり、さらに、前記幅の値が前記値Wminよりも小さい場合に、前記幅を大きくする。これにより、ノッチ・フィルタにマージンを持たせることができる。
好ましい構成において、前記関数値が、前記第2の閾値以下である第3の閾値よりも小さく、前記幅の値が前期値Wminよりも大きい場合、前記コントローラは、前記幅を小さくする。これにより、アクチュエータの発振をより確実に防止する。
好ましい構成において、前記幅の上限値が規定されており、前記コントローラは、前記上限値以下となるように前記幅を決定する。これにより、サーボ・システムが不安定となることを避ける。
好ましい構成において、前記上限値は、前記中心周波数の関数で表わされる。これにより、より確実にサーボ・システムが不安定となることを避けることができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの適応化により決定したフィルタ係数を使用して、新たな固定ノッチ・フィルタを設定する。これにより、適切に固定ノッチ・フィルタを設定することができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記内部変数をシングル・サンプリング・レートのタイミングで参照し、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタは、マルチ・サンプリング・レートで動作する。これにより、シンプルな構成において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタにより発振を抑えることができる。
好ましい構成において、前記コントローラは、前記周波数推定において、同一内部変数のサンプリング時間が異なる値の差分を算出することによって、その内部変数におけるDC成分を除去する。これにより、シンプルな構成によって内部変数におけるDC成分を除去し、アクチュエータの発振周波数を適切に推定することができる。
本発明によれば、ディスク・ドライブにおいて、アクチュエータの振動を効果的に抑えることができる。
本実施形態におけるHDDの全体構成を模式的に示すブロック図である。 本実施形態のHDDにおけるサーボ制御システムをモデル化したブロック図である。 本実施形態において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタとその中心周波数の変更量とを表わす関数を示す図である。 本実施形態において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの適応化の処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの中心周波数の調整方法を示すフローチャートである。 本実施形態において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅の決定方法を示すフローチャートである。
以下に、本発明を適用した実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。以下においては、ディスク・ドライブの一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)において、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態のHDDは、そのサーボ制御システム(サーボ・ループ)内に、中心周波数可変のノッチ・フィルタを有している。ノッチ・フィルタにおける中心周波数はゲインが最も小さい周波数であり、フィルタ形状は中心周波数において対称あるいは非対称である。HDDは、アクチュエータの発振周波数を推定し、その周波数にノッチ・フィルタの中心周波数を近づける。HDDは、この発振周波数の推定と中心周波数の更新を繰り返して、中心周波数を発振周波数から所望範囲内に設定する。このように、本形態のノッチ・フィルタは、周波数追従型の適応ノッチ・フィルタ(アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ)である。
本形態は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの制御に特徴を有している。本形態におけるノッチ・フィルタ制御について詳細に説明を行う前に、その制御を行うHDDの全体構成を説明する。図1のブロック図において、HDD1は、エンクロージャ10内に、データを記憶するディスクである磁気ディスク11を有している。スピンドル・モータ(SPM)14は、磁気ディスク11を所定の角速度で回転する。磁気ディスク11の各記録面に対応して、磁気ディスク11にアクセスするヘッド・スライダ12が設けられている。アクセスは、リード及びライトの上位の概念である。
各ヘッド・スライダ12は、磁気ディスク上を飛行するスライダと、スライダに固定され磁気信号と電気信号との間の変換を行うヘッド素子部とを備えている。各ヘッド・スライダ12はアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はボイス・コイル・モータ(VCM)15に連結され、揺動軸を中心に揺動することによって、ヘッド・スライダ12を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。
アクチュエータ16は、揺動軸を挟んでヘッド・スライダ12の反対側にボイス・コイルを有しており、そのボイス・コイルはVCM15の一部を構成する。磁石による磁界内においてボイス・コイルに駆動電流を流すことで、ボイス・コイルに駆動力を与える。磁気ディスク11の外周端近くに、ランプ17がエンクロ−ジャ10内に固定されている。HDD1の電源がOFFのときやアイドル時に、アクチュエータ16は磁気ディスク11の外側においてランプ17上で停止している。典型的に、アクチュエータ16の先端突起がランプ17上を摺動する。なお、本発明は、アクチュエータ16が磁気ディスク11上の所定領域で着地、停止するCSS(コンタクト・スタート・アンド・ストップ)方式のHDDにも適用することができる。
エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20上には、回路素子が実装されている。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データに従って、SPM14及びVCM15を駆動する。RAM24は、リード・データ及びライト・データを一時的に格納するバッファとして機能する。エンクロージャ10内のアーム電子回路(AE)13は、複数のヘッド・スライダ12の中から磁気ディスク11へのアクセスを行うヘッド・スライダ12を選択し、その再生信号を増幅してリード・ライト・チャネル(RWチャネル)21に送る。また、RWチャネル21からの記録信号を選択したヘッド・スライダ12に送る。なお、本発明は一つのヘッド・スライダ12のみを有するHDDに適用することができる。
RWチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データとを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データ及びサーボ・データは、HDC/MPU23に転送される。また、RWチャネル21は、ライト処理において、HDC/MPU23から転送されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
コントローラであるHDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ・データを使用したヘッド・スライダ12(アクチュエータ16)のポジショニング制御(サーボ制御)、ホスト51との間のインターフェース制御、ディフェクト管理、エラーが発生した場合のエラー対応処理など、データ処理に関する必要な処理及びHDD1の全体制御を実行する。
好ましい構成において、HDC/MPU23は、ヘッド・スライダ12(アクチュエータ16)のサーボ・システムにおいて、直列に接続された複数のノッチ・フィルタを有している。HDC/MPU23は、これらノッチ・フィルタの内の一つもしくは複数のノッチ・フィルタの中心周波数をアクチュエータ16の発振周波数に応じて適応化する。つまり、中心周波数をアクチュエータ16の発振周波数に合わせる。これにより、HDD1の組み立てバラツキやHDD1が実装されているシステムによって変化しうるアクチュエータ16の発振を効果的に抑えることができる。
HDC/MPU23は、ホスト51からリード/ライトのコマンドを取得すると、シークを開始する。HDC/MPU23は、現在の半径位置からそのコマンドが示すアドレスのデータ・トラック(ターゲット・データ・トラック)にヘッド・スライダ12を移動する(シーク)。HDC/MPU23は、コマンドの指定アドレスをサーボ・アドレスに変換して、ターゲットの半径位置を特定する。シークが終了すると、HDC/MPU23は、ヘッド・スライダ12をターゲット・データ・トラック上に維持する(フォロイング)。
シーク及びフォロイングにおいて、HDC/MPU23は記録面から読み出したサーボ・データを使用して、アクチュエータ16(VCM15)を制御する。シーク制御は、一般に、サーボ・データを使用した速度制御と位置制御とによりアクチュエータ16(VCM15)を制御する。フォロイング制御において、HDC/MPU23は、ヘッド・スライダ12の現在半径位置(サーボ・アドレス)とターゲットの半径位置(サーボ・アドレス)と所定範囲内にあるように位置決め制御を行う。
サーボ・セクタは、記録面上において、円周方向に略等間隔で離間して形成されている。従って、ヘッド・スライダ12は一定の周期(サーボ・サンプリング周期)でサーボ・データを読み出し、HDC/MPU23は、そのサーボ・データが示す現在のサーボ・アドレスとターゲットのサーボ・アドレスとの位置誤差を示す位置誤差信号に応じてVCM15の駆動電流を制御する。
図2は、本形態のHDD1におけるサーボ制御システムをモデル化したブロック図である。それぞれのブロックは、伝達関数を示している。図2における制御対象31はHDC/MPU23のサーボ制御対象であり、モータ・ドライバ・ユニット22、VCM15、アクチュエータ16そしてヘッド・スライダ12を含む。制御対象31に対する操作量は、HDC/MPU23からモータ・ドライバ・ユニット22への制御データであって、VCM15の駆動電流値を表す。制御対象31からのフィードバックは、ヘッド・スライダ12が読み出したサーボ・データによる現在のヘッド半径位置を示す信号(データ)である。
本構成例において、HDC/MPU23内のサーボ制御システムは、主サーボ制御部231、固定ノッチ・フィルタ232、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ234、そして固定ピーク・フィルタ235を有している。ノッチ・フィルタ及びピーク・フィルタの種類及び数は適切に設計される。図2は、本実施形態の説明のために簡略化した構成例を示している。例えば、HDC/MPU23は、複数の固定ノッチ・フィルタ、複数のアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ、複数のアダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ、そして複数の固定ピーク・フィルタを有していてもよい。
あるいは、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタを有さず、固定ピーク・フィルタのみを有していてもよい。典型的には、これら機能要素はHDC/MPU23内のハードウェアで実現されるが、一部機能をMPUによる演算により実現してもよい。好ましい構成においては、上記ノッチ・フィルタ及びピーク・フィルタはハードウェアで構成されており、遅滞ない処理を実現する。
主サーボ制御部231は、位置誤差信号に応じてVCM電流値(を示す制御データ)を算出する。主サーボ制御部231による制御は基本的にPID制御であるため、制御の安定性を保ちつつヘッド・スライダ12(アクチュエータ16)の大きな振動に対応することが難しい。そのため、HDC/MPU23は、主サーボ制御部231の出力に直列に配置されたノッチ・フィルタ232、233と、主サーボ制御部231に並列に接続されたピーク・フィルタ234、235とを有している。
ノッチ・フィルタ232、233は、アクチュエータ16の発振を抑制する働きをする。主サーボ制御部231からの信号においてアクチュエータ16の発振周波数に対応する成分を小さくすることで、アクチュエータ16の発振周波数における大きな振動を抑えることができる。典型的に、ノッチ・フィルタの最大ゲインは1.0(0dB)である。ノッチ・フィルタは、中心周波数において最も小さいゲインを有する。そのゲインは、中心周波数から離れるにつれて増加する。フィルタ波形は、典型的には、中心周波数について対称であるが、非対称であってもよい。
固定ノッチ・フィルタ232のフィルタ波形は固定されている(時不変)。具体的には、中心周波数、半値幅そして中心周波数におけるゲインなど、フィルタ波形を規定する値は固定されている。アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233は、フィルタ波形が可変である。本構成例において、HDC/MPU23は、中心周波数と幅(典型的には半値幅)とを、アクチュエータ16の発振に応じて設定することができる。これら以外の値も設定可能であってもよい。ゲインは、半値幅及び/もしくは中心周波数の関数とする、あるいはゲインは一定であってもよい。
アクチュエータ16の発振周波数(大きな振動を示す周波数)の少なくとも一部は、設計において分かっている。そのため、それら発振周波数に対応する中心周波数を有する固定ノッチ・フィルタを用意することで、シンプルな構成でアクチュエータ16の振動を効果的に抑えることができる。固定ノッチ・フィルタの実装数は、HDD1の設計に従って適切な数が選択される。
アクチュエータ16の発振は、組み立てバラツキ、温度、あるいはHDD1が実装されているシステム内での固定状態などの条件によって変化することがある。そこで、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233をHDD1に実装する。HDC/MPU23は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233のフィルタ特性を適切な値に設定することで、それによりアクチュエータ16の発振を抑える。
ピーク・フィルタ234、235は、外乱によるヘッド・スライダ12(アクチュエータ16)振動を抑圧する働きをする。ここでの外乱は、ディスク偏心によるRRO(リピータブル・ラン・アウト)を含む。固定ピーク・フィルタ235は、ピーク周波数が予め分かっており、その周波数が一定の振動を抑制する働きをする。固定ピーク・フィルタ235の中心周波数(ピーク周波数)は固定である。一般に、そのピーク周波数、ゲイン及びフィルタ波形は一定である。固定ピーク・フィルタの実装数は、HDD1の設計により適切な値が選択される。
これに対して、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ234は、外部振動による周波数が不定の振動を抑圧する働きを有している。固定ピーク・フィルタ、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタの実装数は、HDD1の設計に従って適切な数が選択される。また、設計上不要であれば、これらの一方もしくは双方を省略してもよい。
制御対象31に含まれるヘッド・スライダ12が読み出したサーボ・データから、HDC/MPU23はヘッド・スライダ12の現在半径位置を示すデータ(信号)を生成する。HDC/MPU23は、ホスト51からのコマンドが指定するターゲット半径位置を示すデータを持っている。HDC/MPU23は、ターゲット半径位置と現在半径位置との差異である位置誤差信号(データ)を算出する。
主サーボ制御部231は、位置誤差信号に対して所定の演算処理を行い、ヘッド・スライダ12をターゲット半径位置に近づける(位置誤差を抑制する)ためのVCM電流値を算出する。位置誤差信号は、主サーボ制御部231と並列に接続されている複数のピーク・フィルタ234、235にも入力される。ピーク・フィルタ234、235のそれぞれは、そのピーク周波数において最大ゲインを有し、そのゲインがピーク周波数から離れるに従って大きく減少するフィルタ波形を有している。このため、位置誤差信号における特定周波数成分がフィルタ出力となる。
ピーク・フィルタ234、235からの出力は、主サーボ制御部231からの出力に加えられ、さらに、その加え合わされた値(信号)がノッチ・フィルタ232、233に与えられる。ノッチ・フィルタ232、233のそれぞれは、その中心周波数において最小ゲインを有し、そのゲインと位相特性は系が安定になるように設計されている。そのため、サーボ・ゲインはノッチ・フィルタの中心周波数及びその近傍において小さく、かつ安定となり、アクチュエータ16の発振を防止する。
本形態HDC/MPU23は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の制御に特徴を有している。固定ノッチ・フィルタ232は、サーボ・ループにおいて、常時動作している。一方、好ましい構成において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233は、発振が起きている場合にサーボ・ループにおいて動作し、発振が起きていない場合にはパス・スルーされる。これにより、不要なノッチ・フィルタをサーボ・ループから除き、不要なノッチ・フィルタによる位相マージンの消費が無くすことでサーボ制御の安定性を上げる。設計によっては、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233がサーボ制御において常時動作していてもよい。
本形態のHDC/MPU23は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の内部変数を参照して、発振周波数を推定する。図3は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233とその中心周波数の変更量とを表わす関数を示している。HDC/MPU23は、内部変数x、yを参照する。推定した発振周波数に応じた中心周波数をシフト量(更新量)は、dBであり、内部変数x、yの関数である。シフト量dBは中心周波数の増減量を示し、増加において正であり減少において負である。このように、シフト量dBは正負の符号を含む。図3に示すように、ノッチ・フィルタは、以下の式で表すことができる。
{K/(1−Ez−1−Fz−2)}×(1+Bz−1+Cz−2) (数式1)
ノッチ・フィルタ233の中心周波数は、数式1におけるBにより決まる。つまり、Bは、中心周波数を表わす値である。HDC/MPU23は、数式1における分子(1+Bz−1+Cz−2)への入力x及び出力yを使用して、発振周波数を推定する。具体的には、HDC/MPU23は、内部変数x、yによりノッチ・フィルタ233の現在の中心周波数と発振周波数の大小関係を判定することで発振周波数を推定する。そして、その推定に応じて中心周波数を変更する。
この周波数推定方法及びフィルタ周波数の変更方法は、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ235において使用する方法と同様である。ピーク・フィルタとノッチ・フィルタとは、二次のIIRフィルタとして、同一の一般式で表わすことができる。中心周波数を表す値は、ピーク・フィルタにおいて分母に現れ、ノッチ・フィルタにおいて分子に現れる。ピーク・フィルタの振動への適応処理及びそれ適応処理のノッチ・フィルタへの適用の基本的な手法は、上記特許文献1や非特許文献1に開示されており、本明細書における詳細な説明は省略する。
しかし、サーボ・システムにおいて、ノッチ・フィルタは、ピーク・フィルタと異なる特性を有しているため、ピーク・フィルタにおける周波数適応化の手法を、そのままノッチ・フィルタに適用することができない。一つはノッチ・フィルタとアダプティブ・フィルタとの間におけるサンプリング・レートの相違、他の一つはノッチ・フィルタの入出力におけるDC成分の存在、そして他の一つは振動原因の相違である。以下において、アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ235の適応化において、ノッチ・フィルタとアダプティブ・フィルタとの間における相違に応じた手法を順に説明する。
サンプリング・レートの相違及びDC成分の存在に対する解決手法から説明する。一般に、ノッチ・フィルタが対象としているアクチュエータ16の機構共振モードの共振周波数は、サーボ・サンプリング周波数よりも高いものを含む。そのため、典型的なHDDのサーボ・システムにおいて、ノッチ・フィルタの動作周波数は、サーボ・サンプリング周波数よりも高い。具体的には、ノッチ・フィルタの動作周波数は、サーボ・サンプリング周波数の整数倍(2以上の整数)である。
このように、ノッチ・フィルタ232、233は、マルチ・サンプリング・レートで動作する。一方、サーボ・システムにおいて、主サーボ制御部23やピーク・フィルタ234、235など、ノッチ・フィルタと異なる他の要素は、シングル・サンプリング・レートにおいて動作する。そのため、設計によっては、HDC/MPU23は、内部変数x、yを、シングル・サンプリング・レートでのみ参照することができ、マルチ・サンプリング・レートでは参照できないことがありうる。
また、ノッチ・フィルタ232、233の入出力は、VCM15の駆動電流を示すデータである。その入力及び出力の値は、DC成分を含む。アクチュエータ16にはバイアス力がかかっているため、そのバイアス力に対抗する駆動力をVCM15は生成することが必要であるからである。
内部変数x、yを使用した発振周波数の推定において、HDC/MPU23は、上記DC成分を除去することが必要である。DC成分が存在する場合、HDC/MPU23は、DC成分の周波数、つまり、0Hzにおいて発振が起きていると誤認識し、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を0Hzにあわせてしまう。
本形態のHDC/MPU23は、マルチ・サンプリング・レートで動作するアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の内部変数x、yをシングル・サンプリング・レートのタイミングで参照し、その参照した内部変数x、y使用して発振周波数を推定する。さらに、HDC/MPU23は、発振周波数の推定における内部変数x、yの演算において、上記DC成分を除去する。HDC/MPU23は、シンプルな演算により、シングル・サンプリング・レートでの発振周波数の推定演算と上記DC成分の除去と行うことが好ましい。
上記先行文献に記載されているように、HDC/MPU23は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の中心周波数のシフト量dB(n)を、次の数式2に従って決定することができる。
dB(n)=ΔB×x(n−1)×y(n) (数式2)
nはマルチ・レート・サンプリング・タイムである。ΔBは定数、または内部変数x、yの関数、あるいはその他の変数の関数である。
上記先行文献に説明されているように、x(n−1)×y(n)は、ノッチ・フィルタ233の中心周波数と発振周波数の大小関係が逆になると、その符号を変化させる。HDC/MPU23は、この特性を利用して、中心周波数が発振周波数と一致するように中心周波数を調整し、発振周波数を同定することができる。
数式2は、マルチ・サンプリング・レートにおける内部変数x、yを使用している。従って、HDC/MPU23が、シングル・サンプリング・レートにおいてのみ内部変数x、yを参照することができる場合、上記数式2の演算を使用することはできない。本構成において、HDC/MPU23は、次の数式3に従って決定するシフト量dB(m)を決定する。
dB(m)=ΔB×{(1−z−M)×x(m−1)}
×{(1−z−M)×y(m)} (数式3)
mはシングル・レート・サンプリング・タイムである。マルチ・サンプリング・レートがシングル・サンプリング・レートのM倍であり、m=M×nである。Mは2以上の整数であり、定数である。x(m−1)における「−1」は、マルチ・サンプリング・レートにおける1サンプリングの遅れを意味する。z−Mは(z−1であり、z−1はマルチ・サンプリング・レートにおいて、1サンプリング遅らせる演算子である。
dB(m)は、シングル・サンプリング・レートのタイミングで参照した内部変数x、yの値から算出される中心周波数のシフト量を示している。この中心周波数のシフト量dB(m)は、現在の中心周波数と発振周波数との差分の推定値と見なすことができる。HDC/MPU23は、数式3による発振周波数の推定と中心周波数の変更を繰り返して、徐々に中心周波数を発振周波数に近づける。
上記数式3においてmをM×nで置き換えると、次の数式4を得ることができる。
dB(m)=ΔB×{(1−z−M)×x(M×n−1)}
×{(1−z−M)×y(M×n)}
=(1−z−M×ΔB×x(M×n−1)×y(M×n) (数式4)
数式4は、次の数式5のように表わすことができる。
dB(n)=(1−z−M×ΔB×x(n−1)×y(n) IF n=m
dB(n)=0 IF n≠m
(数式5)
数式5と数式2との違いは、数式5が(1−z−Mの項を有していることと、内部変数x、yを取得するサンプリング・タイムである。(1−z−Mの演算(フィルタ)の結果は正であるので、この数式5は、数式2と同様に、発振周波数の推定に使用することができる。数式5による演算は、シングル・サンプリング・レートのタイミングで参照した内部変数x、yの値のみを使用して、中心周波数のシフト量の決定(中心周波数の推定)を可能としている。
アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233は二次のフィルタであるので、HDC/MPU23は、シングル・レート・サンプリング・タイムにおいて、一つの出力内部変数y(m)と、二つの入力内部変数x(m)、x(m−1)と、を得ることができる。x(m−1)は、マルチ・サンプリング・レートにおいて、x(m)よりも1サンプリング遅れた内部変数xの値である。数式3が示すように、HDC/MPU23は、シングル・サンプリング・レートのタイミングで参照する内部変数x(m−1)、y(m)を使用して発振周波数を推定することができる。
数式3は、{(1−z−M)×x(m−1)}と{(1−z−M)×y(m)}との積を算出する。z−Mは、マルチ・サンプリング・レートでMサンプリング遅らせる演算子である。つまり、それは、シングル・サンプリング・レートで1サンプリング遅らせる演算子である。数式3は、サンプリング時間が異なる内部変数xの値の差分{(1−z−M)×x(m−1)}と、サンプリング時間が異なる内部変数yの値の差分{(1−z−M)×y(m)}と、を算出している。これら減算処理は、内部変数x、yからDC成分を除去する。
このように、数式3に従った演算処理により、HDC/MPU23は、マルチ・サンプリング・レートで動作するアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の内部変数をシングル・サンプリング・レートのタイミングで参照して発振周波数の推定(及び中心周波数の変更)を行うことができる。また、数式3に従った演算処理により、HDC/MPU23は、内部変数x、yからDC成分を除去し、発振周波数を適切に推定することができる。
数式3は、1マルチ・レート・サンプリングずれた内部変数の差分を算出している。HDC/MPU23は、2以上のマルチ・レート・サンプリングだけずれた内部変数の差分を使用してもよい。つまり、z−Mの代わりにz−kMを使用してもよい。kは2以上の整数である。しかし、よりシンプルかつ正確な演算のためには、数式3の演算のように、1マルチ・レート・サンプリングずれた内部変数の差分を算出することでDC成分を除去することが好ましい。
このように、数式3の演算により、HDC/MPU23は、シンプルな演算(フィルタ構成)により、マルチ・サンプリング・レートで動作するアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の内部変数をシングル・サンプリング・レートにより参照することで、DC成分を除去し、発振周波数を推定することができる。
上述のように、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の適応化においては、その抑制対象がアクチュエータ16の発振であることに注意することが重要である。アクチュエータの発振による振動は、発振条件が取り除かれると消失する。アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233が発振周波数に近づくと、フィルタの裾野が発振周波数に重なり、発振が止まる。HDC/MPU23は、それ以上、発振周波数の推定を行うことができない。これにより、ノッチ・フィルタ233の中心周波数と発振周波数との間のずれが大きくなり、また、そのずれにより、フィルタの幅が必ずしも規定の最小値とならずに広くなる。
図4のフローチャートに示すように、好ましい構成においては、HDC/MPU23は、発振が起きている場合に(S11におけるY)、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233をサーボ・ループに挿入する(S12)。発振が起きていない場合は(S11におけるN)、ノッチ・フィルタ233をパス・スルーにセットする。
ノッチ・フィルタ233がパス・スルーされているとき、ノッチ・フィルタ233はサーボ・ループに存在していない(フィルタ計算されることなく入力がそのまま出力となる)、あるいは、ノッチ・フィルタ233の特性がサーボ・ループに存在していない状態と等価になるような係数が与えられている(入力と出力が等しくなるようなフィルタ計算)。発振の有無の判定は、PESを使用して行うことができる。
サーボ・ループ内にアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を挿入した後、HDC/MPU23は、ノッチ・フィルタ233の適応化を行う。つまり、発振周波数を推定し、その周波数にノッチ・フィルタ233の中心周波数を合わせる。サーボ・ループに挿入されるアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233は、その初期状態において、規定内の幅(半値幅)を有している。好ましい構成において、その幅は零である。幅が零であるとき、ノッチ・フィルタ233はサーボ・ループ状でフィルタの働きを示さない。
HDC/MPU23は、その幅を規定内に維持しながら(好ましくは零に維持しながら)、ノッチ・フィルタ233の発振周波数を推定する(S13)。HDC/MPU23は、上述のように、ノッチ・フィルタ233の内部変数をシングル・サンプリング・レートのタイミングで参照し、x(m−1)×y(m)の演算を使用して発振周波数の推定と中心周波数の変更を繰り返し行う。中心周波数が発振周波数に収束すると(S14におけるY)、HDC/MPU23はノッチ・フィルタ233の幅を広げる(S15)。発振周波数に収束している中心周波数は、発振周波数から所定範囲内にある。つまり、中心周波数と発振周波数との差異が予め設定された範囲内にある。
このように、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の幅を規定値内に維持しながら発振周波数の推定を行い、その推定が完了した後に幅を広げることで、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の中心周波数を発振周波数により近づけることができる。
工程S13における発振周波数の好ましい推定方法について、図5のフローチャートを参照して具体的に説明する。HDC/MPU23は、下の数式6で表わされるdS(m)を使用する。
dS(m)={(1−z−M)×x(m−1)}×{(1−z−M)×y(m)}
(数式6)
数式6の右辺は、数式3における右辺からΔBを除いたものである。
HDC/MPU23は、dS(m)の絶対値|dS(m)|が規定値dSminよりも大きい場合に(S131におけるY)、周波数推定及び中心周波数更新の計算を続ける。この条件において、アクチュエータ16の発振が続いている。|dS(m)|がdSmin以下の場合は(S131におけるN)、周波数推定処理を行わない。次に、HDC/MPU23は、dS(m)の符号を判定する(S132)。dS(m)が0よりも小さい場合(S132におけるY)、発振周波数が中心周波数よりも小さい。反対に、dS(m)が0よりも大きい場合(S132におけるN)、発振周波数は、中心周波数よりも大きい。数式1で表わさされるノッチ・フィルタにおいて、係数Bの値が大きいほどその中心周波数が低い。
以下においては、中心周波数が発振周波数よりも小さい場合の例を説明する。つまり、dS(m)が0よりも小さい場合(S132におけるY)である。HDC/MPU23は、中心周波数変更量dBを算出し、中心周波数を変更する(S133)。中心周波数変更量dBは、一つ前の変更量にdBincを加算した値である。dBincは正の数であり、定数である。中心周波数変更量dBの初期値は所定値であり、例えば零である。
次に、HDC/MPU23は、dBの符号を判定する(S134)。dBが0よりも小さい場合(S134におけるY)、HDC/MPU23は、dBを0にセットする(S136)。本例では、dBは零以上であるので(S134におけるN)、HDC/MPU23は、dBとして、工程S133で算出された値を維持する。HDC/MPU23は、dBを規定のdBmax以下に維持する(S136、S137)。dBmaxは、正の規定値である。
HDC/MPU23は、dBが0であるか否かを判定し(S138)、0でない場合(S138におけるN)、係数Bの更新処理を行う。一連の処理は、シングル・サンプリング・レートで、毎サーボ繰り返す。前回の中心周波数の更新後も、中心周波数が発振周波数よりも小さいものとする(工程S132におけるY)。HDC/MPU23は、前回の中心周波数変更量にdBincを加算して、今回の中心周波数変更量を算出する(S133)。このように、中心周波数変更量は、dBの符号が連続した回数に応じて増加する。上述のように、dBはdBmax以下に維持される(S136、S137)。dBは正であるので(S134におけるN)、HDC/MPU23は、dBとして、工程S133で算出された値を維持する。
次に、HDC/MPU23は、dBが0であるか否かを判定する(S138)。0でないので(S138におけるN)、HDC/MPU23は、係数Bの更新処理を行う(S145)。毎サーボ、工程S132〜工程S138を繰り返すことで、中心周波数は発振周波数に近づき、そして、それよりも大きな値となる。そのとき、dS(m)は0よりも大きい(S132におけるN)。HDC/MPU23は、前回の中心周波数変更量dBからdBincを減算して、今回の変更量を決定する(S139)。
HDC/MPU23は、dBの符号を判定する(S140)。本処理例においては、dBは0よりも大きいため(S140におけるY)、HDC/MPU23はdBを0にセットする(S141)。dBはdBminよりも大きいので(S142におけるN)、HDC/MPU23は、dBを0に維持する(工程S143をパス)。dBminは、負の規定値である。
HDC/MPU23は、dBが0であるか否かを判定する(S138)。dBが0であるので(S138におけるY)、HDC/MPU23は、幅Wの算出を行う(S144)。上記処理例において、発振周波数よりも小さかった中心周波数は徐々に増加し、最終的に発振周波数を超える。このとき、中心周波数と発振周波数とは、略一致していると見なすことができる(差が所望範囲内にある)。そこで、HDC/MPU23は、幅Wの算出を行う。中心周波数が発振周波数に略一致すると、dS(m)の符号は頻繁に変わる。符号が変わる度にdB=0となり、周波数推定処理の代わりに幅Wの算出が頻繁に行われるようになる。つまり、中心周波数が発振周波数に収束して周波数推定処理を終了した後、幅Wの算出処理が行われる。
中心周波数の初期値が発振周波数よりも大きい場合、HDC/MPU23による処理は、上記の処理とは逆になる。HDC/MPU23は、工程S132〜工程S143、工程S138を繰り返して、中心周波数を小さくする(S139)。このときの変更量dBは、dBmin以上の範囲に維持される(S142、S143)。中心周波数が発振周波数よりも小さくなると(S132におけるY)、その際dB=0となり、HDC/MPU23は、幅Wの算出を行う(S144)。中心周波数が発振周波数に略一致すると、dS(m)の符号は頻繁に変わり、その度にdB=0となる。そのため、周波数推定処理の代わりに幅Wの算出が頻繁に行われるようになる。つまり、実質的には周波数推定処理が終了後、幅Wの算出処理が行われる。
上述のように、HDC/MPU23は、|dS(m)|>dSminの場合のみ(工程S131におけるY)、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の計算を行う。|dS(m)|<dSminの場合、dS(m)の絶対値が小さいため、ノイズによりdS(m)の符号が容易に変化してしまう。そのため、HDC/MPU23は、|dS(m)|が大きい場合のみ、Bの更新を行う。また、発振が止まった後、ノイズによりBの値がずれて発振が再開することを防ぐ。つまり、発振が止まると|dS(m)|<dSminとなり、ノッチ・フィルタ233の迷走を防止する。
周波数推定計算において、中心周波数のシフト量dBの絶対値は、dSの符号が連続した回数に応じて大きくなる。このように、dBの絶対値が可変であるので、中心周波数の発振周波数に対する収束性が高まる。また、シフト量dBの可変範囲(シフト量の絶対値の最大値)が、dBmax、dBminにより規定されているため、過大なシフトにより中心周波数が発振周波数から大きくずれることを避けることができる。
上述のように、|dS(m)|>dSminの条件により、dSの値はノイズの影響を受けにくい。そのため、dSが符号を変えるのは発振周波数とノッチ・フィルタ233の中心周波数の大小関係が変わったときのみである。このとき、発振周波数と中心周波数の差は所望範囲内の小さい値であって、一致していると見なすことができる。このように、発振周波数を実質的に同定し、推定処理が完了した後に、HDC/MPU23は、ノッチ・フィルタ233の半値幅Wの計算を開始する。
以下において、ノッチ・フィルタ233の半値幅Wの好ましい算出方法を、図6のフローチャートを参照して説明する。HDC/MPU23は、幅Wの値を、周波数推定におけるWの値から徐々に増加さ、発振を停止させることができる所望の値にセットする。好ましくは、Wの初期値は0である。また、好ましい構成において、HDC/MPU23は、サーボ・サンプリングにおいて幅Wの値を更新する。つまり、HDC/MPU23は、サーボ・サンプリングにおいて、現在の幅Wに変化量dWを加算する。変化量dWは、正または負の値であり、符号を含む。
図6に示すように、好ましい本構成において、HDC/MPU23は、PESを使用して、発振の有無を判定する。本例では、HDC/MPU23は、PESの分散(PESsigma)を使用する。具体的には、PESsigma>PES2_activeであれば(S441におけるY)、HDC/MPU23は、発振が起きている(止まっていない)と判定する。PES2_activeは規定の定数である。
このとき、HDC/MPU23は、幅Wの変化量dWにdWincをセットする(S442)。dWincは、正の定数である。Wincは、何らかの変数の関数であってもよい。そのときも、その値は正の数である。HDC/MPU23は、PESの分散と異なるPESの関数値により発振の有無やアクチュエータ振動の大きさを判定してもよい。
PESsigmaがPES2_active以下であれば(S441におけるN)、HDC/MPU23は、発振が止まっていると判定する。しかし、PESsigmaがPES2_activeに近い値である場合、可能な範囲で幅Wをさらに大きくして、ノッチ・フィルタにマージンを持たせることが好ましい。
HDC/MPU23は、PESsigma>PES2_Wupであるとき(S443におけるY)、幅WがWminよりも小さければ(S444におけるY)、変化量dWにdWincをセットする(S442)。つまり、HDC/MPU23は、幅Wを増加させて、Wminに近づける。Wminは中心周波数の関数あるいは工程S441の条件を最初に満足した幅Wに規定の定数を加算した値とすることができる。このように、幅WをWminに近づくように増加させることで、ノッチ・フィルタにマージンを持たせることができる。
幅WがWmin以上である場合(S444におけるN)、HDC/MPU23は、変化量dWに0をセットする、つまり、幅Wを変化させずに維持する(S445)。幅Wを徒に大きくすることは、サーボ・システムにおける位相マージンが減りサーボ性能の低下の原因となるからである。
PES2_Wup≧PESsigmaであるとき(S443におけるN)、発振を防ぐためのマージンは確保されている。従って、HDC/MPU23は、幅Wを増加させることなく、その値を維持する(S445)、あるいは減少させる(S448)。工程S448におけるdWdecは、負の定数である。dWdecは、何らかの変数の関数であってもよい。そのときも、その値は負の数である。
具体的には、PES2_Wup≧PESsigma>PES2_Wdownであるとき(S443におけるN、かつ、S446におけるN)、HDC/MPU23は、dWに0をセットして現状の幅Wを維持する(S445)。S446におけるPES2_Wdownは、PES2_Wup以下の正の数であり、PES2_Wupと異なるあるいは同一の数である。
PES2_Wup≧PESsigmaであるとき、アクチュエータ16の発振は抑えられている。しかし、PESsigma>PES2_Wdownであるので、ノッチ・フィルタ233の幅Wを小さくすることは、アクチュエータ16の発振を引き起こす可能性を大きくする。従って、本構成のように、HDC/MPU23は、dWに0をセットして現状の幅Wを維持する(S445)ことが好ましい。
PESsigma<PES2_Wdownであり(S446におけるY)、かつ、W>Wminであるとき(S447におけるY)、HDC/MPU23は、dWにdWdecをセットして、幅Wを減少させる(S448)。PESsigma<PES2_Wdownであるとき、ノッチ・フィルタ233の幅Wは、十分は大きさを有している。さらに、W>Wminあるとき、HDC/MPU23は、幅Wを小さくしてWminに近づける。これにより、サーボ・システムにおける位相マージンを増加させ、サーボ・システムをより安定化させることができる。
ノッチ・フィルタ233WがWmin以下であるとき(S447におけるN)、幅Wはサーボ・システムの位相マージン確保のために十分に小さい。そのため、本構成例のように、アクチュエータ16の発振をより確実に防止するために、HDC/MPU23は、dWに0をセットして現状の幅Wを維持する(S445)ことが好ましい。
ノッチ・フィルタ233の幅Wが大きすぎると、サーボ・システムが不安定となる。従って、幅Wには上限値Wmaxを設定することが好ましい。HDC/MPU23は、サーボ・サンプリングで、図6を参照して説明した処理を行い、幅Wの変更量を決定する。HDC/MPU23は、現在の幅Wに変更量dWを加算するが、その値がWmaxよりも大きいときは、幅WにWmaxをセットする。
好ましくは、上限値Wmaxは、中心周波数の関数である。上限値Wmaxが中心周波数によらず定数であると、位相遅れ量が中心周波数によって変化する。そのため、サーボ・システムの位相マージンが所定の値より大きくなるようにノッチ・フィルタ233を生成することが難しい。上限値Wmaxが中心周波数の関数であると、HDC/MPU23は、生成するノッチ・フィルタ233による位相遅れ量に上限を与えることができる。そのため、サーボ・システムの位相マージンを所定の値より大きい範囲に容易に保つことができる。
次に、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の生成方法を説明する。上述の方法により、ノッチ・フィルタ233の中心周波数と幅(半値幅)が決まる。HDC/MPU23は、これらの値と中心周波数におけるゲインから、ノッチ・フィルタ233を生成する。上述のように、ノッチ・フィルタ233は、下の数式で表わすことができる。
{K/(1−Ez−1−Fz−2)}×(1+Bz−1+Cz−2) (数式1)
HDC/MPU23は、中心周波数を表わすB、幅W、そして、深さD(中心周波数におけるゲイン)により、ノッチ・フィルタ233の係数K、E、F、B、Cのそれぞれを生成する。好ましい例において、深さDを定数で与える。それぞれの係数は、下の数式により生成することができる。
K=1−W
C=1−2×D
E=−K×B
F=−C+2×W
(数式7)
深さDは、ノッチ・フィルタの中心周波数におけるゲインであるので、下の条件を満足する。Wが0であるとき、ノッチ・フィルタ233の特性はパス・スルーである。
1>>D≧0 (数式8)
また、幅Wの上限値Wmaxが中心周波数の関数で定義されているため、幅Wは下の条件を満足する。
1>>Wmax(B)≧W≧0 (数式9)
ここで、幅Wと深さDの一方が0のとき、他方は0よりも大きい値である。これにより、内部変数までのゲイン特性が無限大になることを防ぐ。
幅Wの好ましい中心周波数の関数(Bの関数)例は、以下の関数である。
Wmax(B)=w0+w1×(B0−B) B<B0
Wmax(B)=w0 B≧B0
(数式10)
ただし、1>>w0≧0が成立する。w0、w1、B0は定数である。
これまでの説明に従って、HDC/MPU23は、アクチュエータ16の発振周波数に応じた適切なアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を生成することができる。製品としてのHDD1に実装されたアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233は、それが実装されるシステムの状況や環境変化に応じて発生するアクチュエータ16の発振を効果的に抑えることができる。
HDD1は、生産工程において、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を利用することができる。HDD1の生産におけるテスト工程において、HDC/MPU23は、アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を適応化することで、アクチュエータ16の発振を止める。HDC/MPU23は、このアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の中心周波数と幅とを基に、新たな固定ノッチ・フィルタ(時不変のノッチ・フィルタ)を生成し、サーボ・システムに追加する。これにより、ドライブ毎のバラツキにより必要となるノッチ・フィルタを個別に設定することができる。
HDD1は、例えば、同一設計の全HDDに共通の一つもしくは複数の固定ノッチ・フィルタと、個別設定用の一つもしくは複数の固定ノッチ・フィルタ、そしてアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233を有する。個別設定用のノッチ・フィルタは、設定前は、パス・スルーされている。上述のように、HDC/MPU23は、アクチュエータ16の発振を止めるアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の係数を決定する。HDC/MPU23は、決定した係数から個別設定用のノッチ・フィルタ用の係数を決定し、それらを個別設定用のノッチ・フィルタにセットする。これにより、この固定ノッチ・フィルタは、サーボ・システムに挿入される。
好ましい方法において、HDC/MPU23は、発振を止めたアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ233の幅Wよりも大きい幅Wを個別設定用のノッチ・フィルタに設定する。これにより、マージンを確保する。また、ゲイン・マージンを確保したい周波数帯においては、HDC/MPU23は、発振促進用のフィルタでその周波数帯のゲインを確保したいマージンに相当する分高くする。HDC/MPU23は、個別設定用のノッチ・フィルタを設定した後に、発振促進用のフィルタを除く。これにより、確保したいマージンを確実に確保することができる。
以上、本発明を好ましい実施形態を例として説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ノッチ・フィルタを追加する領域は、HDDの設計により変化しうる。本発明は、HDD以外のディスク・ドライブに適用することができ、ディスクが筐体内に固定されているか否かを問わない。ノッチ・フィルタの中心周波数は、アクチュエータの発振周波数近傍にあることが重要だが、それに必ずしも一致しているとは限らない。
1 ハードディスク・ドライブ、10 エンクロージャ、11 磁気ディスク
12 ヘッド・スライダ、16 アクチュエータ、20 回路基板
21 リード・ライト・チャネル、23 モータ・ドライバ・ユニット、31 制御対象
51 ホスト、231 主サーボ制御部、232 固定ノッチ・フィルタ
233 アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタ
234 アダプティブ・チェイシング・ピーク・フィルタ
235 固定ピーク・フィルタ

Claims (15)

  1. ディスクにアクセスするヘッドと、
    前記ヘッドを前記ディスクの半径方向に移動するアクチュエータと、
    前記ヘッドが前記ディスクから読み出したサーボ・データにより前記アクチュエータのサーボ制御を行うコントローラと、を有し、
    前記コントローラは、
    サーボ制御システムにおいてフィルタ演算を行っているアダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅を規定値以下に維持しながら、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの内部変数を参照して、前記アクチュエータの発振周波数の推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返し行い、
    前記中心周波数が前記発振周波数に収束した後に前記幅を大きくする、
    ディスク・ドライブ。
  2. 前記規定値は0である、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  3. 前記コントローラは、
    前記推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返し行うことで前記中心周波数を前記発振周波数に徐々に近づけ、
    前記中心周波数と前記発振周波数との大小関係が変化すると、前記発振周波数の推定と前記中心周波数の変更とを終了する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  4. 前記コントローラは、前記推定とその推定結果に応じた前記中心周波数の変更を繰り返しにおいて、前記中心周波数の同一符号における変更の連続回数に応じて、前記中心周波数の変更量を大きくする、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  5. 前記中心周波数の変更量の絶対値に対して最大値が規定されている、
    請求項4に記載のディスク・ドライブ。
  6. 前記コントローラは、
    前記発振周波数の推定の計算における値の大きさと閾値とを比較し、
    前記値が前記閾値よりも大きい場合に、前記発振周波数の推定及び前記中心周波数の変更を実行する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  7. 前記コントローラは、位置誤差信号を変数とする前記アクチュエータの振動を表わす関数値を使用して前記アクチュエータの発振の停止を判定し、
    前記発振が停止する前記幅の値から、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅を決定する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  8. 前記コントローラは、前記発振が停止する前記幅の値よりも大きい値Wminを、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの幅に決定する、
    請求項7に記載のディスク・ドライブ。
  9. 前記コントローラは、
    前記発振の停止の前記判定において、前記関数値と第1の閾値とを比較して前記発振の停止を判定し、
    前記関数値が前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値と前記第1の閾値との間にあり、さらに、前記幅の値が前記値Wminよりも小さい場合に、前記幅を大きくする、
    請求項8に記載のディスク・ドライブ。
  10. 前記関数値が、前記第2の閾値以下である第3の閾値よりも小さく、前記幅の値が前期値Wminよりも大きい場合、前記コントローラは、前記幅を小さくする、
    請求項9に記載のディスク・ドライブ。
  11. 前記幅の上限値が規定されており、
    前記コントローラは、前記上限値以下となるように前記幅を決定する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  12. 前記上限値は、前記中心周波数の関数で表わされる、
    請求項11に記載のディスク・ドライブ。
  13. 前記コントローラは、前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタの適応化により決定したフィルタ係数を使用して、新たな固定ノッチ・フィルタを設定する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  14. 前記コントローラは、前記内部変数をシングル・サンプリング・レートのタイミングで参照し、
    前記アダプティブ・チェイシング・ノッチ・フィルタは、マルチ・サンプリング・レートで動作する、
    請求項1に記載のディスク・ドライブ。
  15. 前記コントローラは、前記周波数推定において、同一内部変数のサンプリング時間が異なる値の差分を算出することによって、その内部変数におけるDC成分を除去する、
    請求項14に記載のディスク・ドライブ。
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