JP2011058841A - 表面電荷分布の測定方法および表面電荷分布の測定装置 - Google Patents

表面電荷分布の測定方法および表面電荷分布の測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電位状態に伴う走査領域の歪曲や電位の深さを適切に補正し、電位分布をミクロンオーダーの高分解能で、短時間で測定する表面電荷分布の測定方法および表面電荷分布の測定装置を得る。
【解決手段】表面電荷分布を有する試料の裏面に既知である電極電位を与えて荷電粒子ビームを走査し、試料の表面電荷分布を測定する。既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定することで電子軌道シミュレーション計算データを算出し、この計算データを、計測された検出信号データと照合しながら試料上の電荷密度を決定して、表面電荷分布を計測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、従来技術ではきわめて困難であった、誘電体の表面に生じている電荷分布あるいは電位分布をミクロンオーダーの高分解能で測定する方法および測定装置に関するもので、特に、電子写真用感光体上に電子写真プロセスで起こるのと同等の条件で静電潜像を形成させ、その静電潜像を測定するのに有用なものである。
電荷は、厳密には試料内に空間的に散らばっていることは周知の通りである。このため、ここで述べる「表面電荷」とは、電荷分布状態が、厚さ方向に比べて、面内方向に大きく分布している状態を指すものとする。また、電荷には、電子だけでなく、イオンも含める。
また、表面に導電部分があり、導電部分に電圧が印加されることにより、試料表面あるいはその近傍に電位分布が生じている状態であってもよい。
電子ビームによる静電潜像の観察方法としては、特許文献1に記載されている方法などがあるが、試料としては、LSIチップや静電潜像を記憶・保持できる試料に限定されている。すなわち、暗減衰を生じる通常の電子写真用感光体は測定することができない。通常の誘電体は電荷を半永久的に保持することができるので、電荷分布を形成後、時間をかけて測定を行っても、測定結果に影響を与えることはない。しかしながら、画像形成装置などに用いられている電子写真用感光体の場合は、抵抗値が無限大ではないので、電荷を長時間保持することができず、暗減衰が生じて時間とともに表面電位が低下してしまう。感光体が電荷を保持できる時間は、暗室であってもせいぜい数十秒である。従って、帯電・露光後に電子顕微鏡(SEM)内で観察しようとしても、その準備段階で静電潜像は消失してしまう。また、特許文献2に記載されている装置においては、使用波長が電子写真用感光体の使用波長に対して4桁以上異なる上に、任意のラインパターンや、所望のビーム径およびビームプロファイルの潜像を形成することは不可能であり、本発明の目的を達成することができない。
そこで、我々は、暗減衰を生じる感光体試料であっても静電潜像を測定することができる方法および測定装置を考案した(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。その原理は以下のとおりである。試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器に到達する量が減少する。従って、電界強度が強い部分は暗く、弱い部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じたコントラスト像を検出することができる。従って、露光した場合には、露光部が黒、非露光部が白となるので、こうして形成された静電潜像を測定することができる。
さらに我々は、入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で潜像プロファイルを測定する方法を発明した(例えば、特許文献5参照)。この方法を用いることにより、従来困難であった潜像プロファイルをミクロンオーダーで可視化することが可能となる。しかし、一方で、通常のSEMと異なり、表面電荷による空間電界の変化で入射電子の軌道が変わるため、高い精度で計測するためには、入射電子の起動変化を補正することが望ましい。
その他の従来技術としては、特許文献6、特許文献7、特許文献8に記載されている発明などのように、試料への印加電圧による影響を予め予測し、偏向条件を変える方法がある。しかし、測定対象物である試料が帯電あるいは電位分布を有していることによる入射電子軌道の曲がりは未知数であるため、予め予測することができない。
そこで我々は、電子軌道を計算して、高精度計測を可能とする方法および装置を提案した(例えば、特許文献9、特許文献10参照)。これまでの電子軌道計算では、構造体モデルおよび3次元空間を有限の大きさの小さなセルサイズに区切り、電位境界条件においてラプラス変換をして、表面電荷を電位に変換し、次に空間電位ポテンシャルを算出する。その空間電位ポテンシャルから、空間電界を算出して電子軌道を計算していた。
この場合、空間電位ポテンシャルの算出、そして空間電界計算過程での精度が悪い。空間の任意の点の電界は、電子軌道を計算する際に使用されるため、その電子軌道の計算精度は電界の計算精度に大きく依存している。
有限の大きさを小さなセルサイズに区切る方法では、空間の電界は、(2)式のように、空間の2点間の電位の差分をその2点間の距離で割ることにより求められる。すなわち、空間電界をE、座標rでの電位ポテンシャルをφ(r)とすると、
E={φ(r+Δr)−φ(r)}/Δr (2)
となる。計算精度を向上させるために2点間の距離Δrを小さくすればするほど分母が小さくなるので、発散しやすくなり、その差から求められる電界は、数値計算法で最も厄介な計算誤差とされている「桁落ち誤差」を含み、その結果、電界の計算精度は大きく低下する。よって、このような手法で空間の電界を求めると、原理的に「桁落ち誤差」の影響から逃れることができなかった。
計算精度を上げてこの問題を解決するには、セルサイズやメッシュを細かく分割する必要があるため、計算ステップが多くなり、例えば1回の計算で数日かかるなど、計算時間が膨大になるという問題があった。
本発明は、従来きわめて困難であった試料の電位状態に伴う走査領域の歪曲や電位の深さを適切に補正し、電位分布をミクロンオーダーの高分解能で、かつ、短時間で測定することができる表面電荷分布の測定方法および表面電荷分布の測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、表面電荷分布を有する試料の裏面に既知である電極電位を与えて荷電粒子ビームを走査し、上記試料の表面電荷分布を測定する方法であって、既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定することで電子軌道シミュレーション計算データを算出し、算出された電子軌道シミュレーション計算データを、計測された検出信号データと照合しながら試料上の電荷密度を決定することにより、表面電荷分布を計測することを最も主要な特徴とする。
本発明は、上記構成において、解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置からなる係数マトリクスを決定し、係数マトリクスと導体の電位および誘電体界面上の電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度を求めるようにするとよい。
本発明は、上記構成において、裏面に加える電極電位を複数設定し、それぞれの電極電位において荷電粒子ビームを走査して得られた複数の検出結果と、複数のシミュレーション結果を照合することで表面電荷分布を測定する方法であって、電極電位条件を変えて電気軌道を計算する際に、ひとつの電極電位条件で算出した係数マトリクスを繰り返し利用することにより、見かけの電荷密度を求めるようにするとよい。
本発明は、上記構成において、構造体モデルは、2重積分で表現した平面、円筒面、円錐面、円板面、球面、トーラス面の一部あるいは全部の組み合わせからなる構成にするとよい。
本発明は、上記構成において、2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行し、残りの1回の積分だけを数値積分を用いて求めるとよい。
本発明は、上記構成において、見かけの電荷密度から荷電粒子の運動方程式を解く電子軌道計算として、起点をP0としたときに、時間間隔をΔtに設定して電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P1と、時間間隔を1/2×Δtに設定して電子軌道を計算したときの座標P2を新たな起点としてもう一度時間間隔1/2×Δtで電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P3との値の相対誤差を算出し、その判定結果をもとに刻み時間を決定して電子軌道を計算するようにするとよい。
本発明は、上記構成において、1次荷電粒子が加速電圧Vacc(<0)で試料面からz0離れた初期座標から試料に入射するシミュレーション条件のもとにおいて、試料裏面の印加電圧をVsubとしたとき、1次荷電粒子の軌道が試料に到達することなく反転するか、試料に到達するかを判定し、その境界となる1次荷電粒子の初期座標(x0,y0,z0)を確定し、
Vth(x0,y0)=Vacc−Vsub (1)
として、境界領域を決定すると共に信号検出による測定結果と比較し、シミュレーションによるVth分布と計測によるVth分布の差を補正することにより、試料上の電荷密度を決定するとよい。
本発明は、上記構成において、1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する領域と、試料に到達する領域の境界を検出することにより、電子軌道計算から、試料反転領域と試料到達領域の境界値を算出する方法として、1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する条件での試料面に平行な入射開始座標をxi、1次荷電粒子が試料に到達する条件での試料面に平行な入射開始座標をxjとしたときに、xiとxjの中間点(xi+xj)/2を入射開始座標として電子軌道を計算する操作を繰り返し、境界値を決定するとよい。
本発明に係る表面電荷分布の測定装置は、表面電荷を有する試料面を荷電粒子ビームで2次元的に走査する荷電粒子ビーム走査手段と、1次荷電粒子が試料に到達することなく反転する領域と試料に到達する領域の境界を検出する手段と、試料裏面にバイアス電位を印加するバイアス電位印加手段と、バイアス電位印加手段により印加されるバイアス電位を変化させるバイアス電位可変手段と、既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として見かけの電荷密度に変換させる手段と、変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定する手段と、算出された電子軌道シミュレーション計算データを計測されたデータと照合する手段と、を備え、試料上の電荷密度を決定することで表面電荷分布を計測することを特徴とする。
本発明は、上記構成において、真空装置内で試料を帯電させる手段と、荷電粒子ビームが通過する領域外に露光用の光路が設定されている露光手段と、波長400nm〜800nmの露光光源の光量および露光時間を制御する光源制御手段と、を有する表面電荷形成手段を備えているとよい。
本発明によれば、表面電荷分布を有する試料の裏面に既知である電極電位を与えて荷電粒子ビームを走査し、上記試料の表面電荷分布を測定する方法であって、既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定することで電子軌道シミュレーション計算データを算出し、算出された電子軌道シミュレーション計算データを、計測された検出信号データと照合しながら試料上の電荷密度を決定することにより、表面電荷分布を計測するようにしたため、従来はきわめて困難であった試料の電位状態に伴う走査領域の歪曲や電位の深さを適切に補正し、電位分布をミクロンオーダーの高分解能で測定することが可能となる。
従来の技術によれば、表面電荷を電位に変換して空間電位ポテンシャルを計算し、空間電界は、空間の2点間の空間電位ポテンシャルの差分をその2点間の距離で割ることにより求めることができる。しかし、その計算精度を向上させるために2点間の距離を小さくすればするほど、2点間の電位の値は非常に近づいた値となり、その差から求められる電界は、数値計算法で最も厄介な計算誤差を生じていた。
本発明では、空間の電位をから求めるのではなく、導体の電極電位を誘電体と試料裏面電極の境界面での見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、導体および誘電体界面上の見かけの電荷密度から、直接、空間電界の解として求める計算手法であるため、計算精度が高く、なおかつ極めて短時間での計算が可能となった。
本発明の別の実施形態のように、解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置からなる係数マトリクスを決定するようにすれば、行列演算を実行することで、見かけの電荷密度を求めることが可能となるため、正確な演算が短時間で実現できる。
従来、電界電位の係数マトリクスを印加電圧設定毎に計算していたため、膨大な時間を要していた。
本発明では、構造物モデルが変わらないので、係数マトリクスを繰り返し利用することができ、計算時間を大幅に短縮することができる。
基本要素を三角形要素などの多角形要素の集合体としてグローバル座標系で近似する場合、非常に複雑になるだけでなく、モデル化するときの誤差を原理的に生じていた。
本発明での基本モデルを表現する関数は、その基本モデルに付随したローカル座標系を用いて表されるため、電位係数および電界係数は、非常に簡単な式として表すことができる。
従来、2重積分をそのまま使っていたので、計算時間が膨大であった。
その点本発明によれば、2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行可能であり、残りの1回の積分だけを数値積分を用いて求めるだけでよくなり、その結果、計算速度を飛躍的に向上させることに成功している。
電位係数や電界係数の被積分関数は、本来2重積分として表されるが、本発明に係る方法では、基本モデルを表現する関数は、その基本モデルに付随したローカル座標系を用いて表されるため、その被積分関数は比較的簡単な式、なおかつ幾何学的配置のみで決定される式として表されるため、その2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行可能であり、残りの1回の積分だけを数値積分を用いて求めるだけでよい。これにより、計算速度を飛躍的に向上させることができる。
通常、サブルーチンとして用意されている「ルンゲ・クッタ・ギル法」の多くは、独立変数tの刻み幅Δtを一度定めたら、計算が終了するまでその間隔のままである。これは計算時間の点で大きな問題が生じる可能性がある。
本発明で取り扱われるような問題の場合、誘電体の表面近傍では特に電界が集中しているが、誘電体表面より遠く離れた場所では、ほとんど電界が存在しないフィールドフリーな空間である。このような問題を取り扱う場合、通常、電子の軌道計算を精度良く実行するために、最も電界が集中する箇所を想定して、独立変数tの刻み幅Δtを設定する。しかしながら、このように設定してしまうと、その刻み幅Δtは非常に小さな値となるため、誘電体表面より遠く離れた電界がほとんど存在しない場所でも、この非常に小さく設定された刻み幅Δtで軌道計算を実行しなければならず、このことが原因で必要以上に多くの計算時間を消費してしまうことになる。
本発明に係る測定方法を用いることにより、空間電界の勾配が大きい領域は小さな刻み時間で計算し、空間電界の勾配が小さいすなわち変化がわずかな領域では大きな刻み時間で計算することにより、計算精度の向上と計算時間の短縮化を両立する最適配分が可能となる。
入射電子が誘電体表面に到達するか否かで、1次荷電粒子が試料に到達することなく反転する領域と、試料に到達する領域の境界を検出して決定し、以下の式
Δ(x、y)=Vth_s(x,y)−Vth_m(x,y)
を適用して差を算出する手段と、差が減少するように表面の電荷分布データあるいは電位分布データを修正する手段と、修正された電荷分布データを逐次電子軌道計算する手段を有することにより、電位反転が生ずるような、電界強度が高い電位分布であっても、精度良く測定することができる。
また、試料の電位状態によって発生する走査電子の走査位置座標変動を補正する手段を有することにより、走査領域の歪曲を抑え、精度良く表面電荷分布を測定することができる。
1次荷電粒子が試料に到達することなく反転する領域と、試料に到達する領域の境界を検出することにより、電子軌道計算から、試料反転領域と試料到達領域の境界値を算出する場合、従来は、一方側から1点ずつ軌道計算しており、軌道計算本数が膨大になっていた。
本発明に係る測定方法によれば、1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する条件での試料面に平行な入射開始座標をxi、1次荷電粒子が試料に到達する条件での試料面に平行な入射開始座標をxjとしたときに、xiとxjの中間点(xi+xj)/2を入射開始座標として電子軌道を計算する操作を繰り返し、境界値を絞り込むことにより、n画素の判定にlog2n回の計算で境界値を決定することができ、計算時間を大幅に短縮できる。
表面電荷分布あるいは表面電位分布を有する試料に対して、荷電粒子ビームを照射し、この照射によって得られる検出信号により試料の電荷分布あるいは電位分布の状態を測定する方法において、入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような状態が存在する条件下で走査してその反転粒子を計測し、電荷分布試料に対して荷電粒子ビームを走査することで得られる信号検出結果と、電荷分布試料モデルに対し電磁場解析により電子軌道を計算して算出された検出信号結果とを比較することにより、従来はきわめて困難であった試料の電位状態の伴う走査領域の歪曲や電位の深さを適切に補正し、電位分布測定をミクロンオーダーの高分解能かつ高速で行うことができる測定方法および測定装置を提供することができる。
本発明によれば、静電潜像を形成するための必要な帯電手段と露光手段を有することにより、リアルタイム測定が可能となり、時間とともに表面電荷量が減衰する感光体の静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
特にVCSELなどの複数光源を用いる露光方式の場合、単一光源に比べて、潜像形成及び潜像形成メカニズムが複雑になる。このため、VCSELなどの複数光源での静電潜像計測に有効である。
また感光体の静電潜像を測定して、設計にフィードバックすることにより、各工程のプロセスクォリティが向上するため、高画質、高耐久、高安定、省エネルギー化が実現できる。
本発明に係る表面電荷分布の測定方法の概要を示すフローチャートである。 本発明に係る表面電荷分布の測定方法および装置に使用することができる信号検出装置部の例を示すモデル図である。 上記信号検出装置部を斜め上方から見たモデル図である。 上記信号検出装置部を側面から見たモデル図である。 本発明に係る表面電荷分布の測定方法における電極電位の見かけ電荷密度変換を説明するためのモデル図である。 本発明に係る表面電荷分布の測定方法に適用される係数マトリックスを示す図である。 本発明に係る表面電荷分布の測定方法における背面電極電位の見かけ電荷密度変換を説明するためのモデル図である。 本発明に使用される信号検出装置の例を示すモデル図である。 本発明が利用している入射電子と資料との関係を示すモデル図である。 試料の電荷分布状態を示すスレッショールド電位Vthの算出手順を示すフローチャートである。 試料を2次元的に走査したときの検出信号強度と上記スレッショールド電位Vthの関係を示すグラフおよびモデル図である。 潜像の中心からの距離に対する電位の例を示すグラフである。 試料の電位分布による入射電子の曲がりおよび走査領域の歪曲の例を示す線図である。 本発明において使用される構造体モデルの基本モデル面を示すモデル図である。 位置判定とベクトル絶対値判定の様子を示すグラフおよび入射電子軌道解析を示すフローチャートである。 電子が試料に到達するか否かの境界値判定の様子を示す線図である。 上記境界値算出の事例を示すグラフである。 本発明に係る表面電荷分布の測定方法のより具体的な例を示すフローチャートである。 加速電圧と帯電の関係および加速電圧と帯電電位の関係を示すグラフである。 本発明に使用される信号検出装置の別の例を示すモデル図である。 本発明に適用可能な露光部の例を示す斜視図である。 ショットキーエミッション型電子銃の例を示す概念図である。
以下、本発明に係る表面電荷分布の測定方法および表面電荷分布の測定装置の実施例を、図面を参照しながら説明する。
本発明では、導体および誘電体界面上の見かけの電荷密度を直接の解として求める計算を用いている。具体的には、既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、変換された見かけの電荷密度を用いて直接空間電界を決定している。そして、算出された電子軌道シミュレーション計算データを、計測された検出信号データと照合しながら、試料上の電荷密度を決定している。
表面電荷及び電位分布を決定するフローを図1に示す。図1において、ステップS1は構造体モデル設定、ステップS2は電極電位設定、ステップS3は表面電荷設定、ステップS4はみかけの電荷密度変換、ステップS5は空間電界計算、ステップS6はシミュレーション計算、ステップS7は実測データとの照合である。この照合が一致すればステップS9の表面電荷決定、ステップS10の表面電荷分布または表面電位算出と進んで終了する。ステップS7で不一致と判定されたら、ステップS8で表面電荷モデル修正に進み、再度ステップS4のみかけの電荷密度変換に戻る。各ステップは後で詳細に説明する。
また、解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置から決定される係数マトリクスを求め、電界電位係数マトリクスと導体の電位および誘電体界面上の電荷密度を境界条件として、n元連立1次方程式を解いてもよい。具体的には、以下の方法による。
まず、構造体モデルを設定する(図3,図4参照)。図2は信号を検出する計測装置の構成を示す。図2において、接地された板状の導体基板101の上面に絶縁体からなる板状の絶縁体102が、その上に導電板103が積層されて、試料の載置台が形成されている。導電板103には電圧Vsubが印加されるとともに資料である感光体110が載せられる。この感光体110に向かって上方から電子ビーム104が照射される。電子ビーム4の経路には対物レンズ105が配置され、感光体110に適切な横断面形状の電子ビームが照射されるように調整される。感光体110の上方近傍にはグリッドメッシュ106が配置されている。グリッドメッシュ106の斜め上方には、感光体110に向かって照射される電子ビーム4が感光体110で反発されて戻る電子を検知する検出器107が配置されている。
試料(感光体)の形状、膜厚、試料裏面の電極形状、また、試料近傍の導体および誘電体は、電子軌道への影響が特に大きい要因となる。そこで、これらを幾何学的に配置する(前記ステップS1)。また、必要に応じて、検出器の位置、電子ビーム光学系の構成や電子ビーム光学系を構成する各光学部品の特性などを考慮してもよい。誘電体は誘電率を設定し、導体への印加電圧を設定する。試料から離れた位置での構造物は電子軌道への影響が小さくなるので、簡略化あるいは省略してもよい。次のステップでは、実測で用いた試料背面の電極電位を設定する(前記ステップS2)。
次のステップでは、試料表面に電荷密度分布を設定する(前記ステップS3)。この初期に設定した表面電荷分布は、計測データと照合して変更するため、どのような値でもよい。なるべく予想される値に近い方が望ましい。実測値に近い方が、収束時間が短くなる。
次のステップでは、導体に与えた電極電位を試料境界面でのみかけの電荷密度に変換する(前記ステップS4)。ここでいう、「みかけの電荷密度」とは、導体に与えた電極電位と「同等の電磁場環境となる」構造体境界面に与えた電荷密度を指す。図5(a)のように、xyz空間での座標Rに電位が与えられた導体が存在するとき、空間の点R0での静電ポテンシャルφ(R0)は、式(3)で表すことができる。
式(3)

Figure 2011058841
ここで、σ(R)は、導体面S上に分布する電荷密度である。
計算では、境界の領域を微小面積ΔSiに分割する(図5(b)参照)。微小面積内での電荷密度を近似的にσiとしてこれを一定とする。空間の点Rjでの静電ポテンシャルφ(Rj)は、式(4)で表すことができる。
式(4)

Figure 2011058841
そうすることで、既知の電極電位とみかけの電荷密度の関係を、図6(a)で示す行列式で表すことができる。ここで、上記行列式の左辺のうちφ1〜φmが導体面上の既知電位であり、σrは最終的に計測すべき表面電荷密度である。σrは、照合前の電荷密度が入力されているため、左辺は既知である。右辺のσは、見かけ電荷密度であり、そのうちσ1〜σmが導体面上の見かけ電荷になる。
係数行列の要素である係数マトリックスFjiは、解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置から決定され、図6(b)、(c)に示す式を演算することで実現できる。
ここで、
Rj:座標(xj,yj,zj)にある導体面または誘電体面上のサンプル点
δji:クロネッカーのデルタ
nj:要素jの法線ベクトル
ε0:真空誘電率
ε1:誘電体界面外側の誘電率
ε2:誘電体界面内側の誘電率
である。
従って、解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置からなる係数マトリクスFjiを決定し、係数マトリクスと導体の電位および誘電体界面上の電荷密度を境界条件として、行列式を連立1次方程式や逆行列演算を用いて解くことで、見かけの電荷密度を求めることが可能となる。このようにして、既知の電極電位φ1−φmおよび誘電体面上の表面電荷(σr)m+1〜(σr)nを,みかけの電荷σ1〜σmおよびσm+1〜σnに、それぞれ変換することができる(図7参照)。この変換動作は、図1に示すステップS4に該当する。
次に、得られた見かけの電荷密度より空間電界を計算する(図1のステップS5)。空間の任意の点の電界は、電子軌道を計算する際に使用されるため、電子軌道の計算精度は、電界の計算精度に依存する。したがって、電界の計算精度が重要で、電界の計算精度が高いことが求められる。
本発明では、導体および誘電体界面上の見かけの電荷密度が決定されているので、空間の任意の点の電界は、それらの見かけの電荷密度を用いて導体および誘電体界面を面積分することで、電子の運動方程式を直接求めることができる。次の式(5)は、みかけの電荷σ1〜σnにより計算される空間の任意の点の電界を示す式である。
式(5)

Figure 2011058841
得られた微小面積毎の見かけの電荷を面積分することで、空間電界Eを計算することができる。このようにして、高精度に電子軌道を計算する。
次に、表面電荷分布を有する試料に対して荷電粒子ビームを走査し、信号を検出する手段について説明する。
図8に信号を検出する計測装置の構成を示す。図8において、計測装置は、荷電粒子ビームを照射する荷電粒子照射部と、露光部、試料設置部、1次反転荷電粒子や2次電子などの検出部を主たる構成部分として備えている。ここでいう荷電粒子とは、電子ビームあるいはイオンビームなど、電界や磁界の影響を受ける粒子を指す。
以下に説明する実施例は、電子ビームを照射する例である。図8において、計測装置は荷電粒子ビーム照射装置108を備えている。荷電粒子ビーム照射装置108は、真空チャンバー140内に以下のように構成部分が組み込まれることによって構成されている。真空チャンバー140の上端近くに荷電粒子ビームを照射する電子銃141が取り付けられ、その下方に、エキストラクタすなわち引き出し電極143、加速電極144、コンデンサレンズ145、ビームブランキング電極146、仕切り弁147、可動絞り148、スティグメータすなわち補正用電極149、偏向電極(走査レンズに相当する)150、静電対物レンズ151、ビーム射出開口部152がこの順に配置されている。
上記引き出し電極143は電子ビームを制御し、加速電極144は電子ビームのエネルギーを制御し、コンデンサレンズ145は電子銃から発生された電子ビームを集束させる。ビームブランキング電極146は電子ビームをON/OFFさせ、仕切り弁147および可動絞り148は電子ビームの照射電流を制御するためのアパーチャとして機能する。偏向電極150はビームブランキング電極146を通過した電子ビームを走査させるための走査レンズとして機能する。偏向電極150を通過した電子ビームは対物レンズ151で再び感光体試料110の面に収束させられる。各レンズ等には図示しない駆動用電源が接続されている。
荷電粒子ビーム照射装置108の下方には、試料としての感光体110を載置する載置台が配置されている。載置台は、図2において説明したものと同様に構成することができる。真空チャンバー140内には、感光体110の上方近傍に感光体で反発される電子を検出する検出器107が配置されている。検出器107から出力される検出信号は、検出回路、検出信号処理手段などを経ることによって、感光体110の表面電荷分布の測定に供される。
なお、荷電粒子としてイオンビームを用いる場合には、電子銃141の代わりに液体金属イオン銃などを用いる。
1次反転電子を検出する検出器107として、シンチレータや光電子増倍管などを用いている。
図9は、信号検出における入射電子と試料との関係を示す。入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが、試料到達前に反転するような状態が存在する領域があり、その1次入射荷電粒子を検出する構成となっている。電子の加速電位ポテンシャルをVacc、試料表面の電位ポテンシャルをVpとすると、VaccとVpとの大小関係によって、入射電子が試料に到達して電子が戻らない場合と、入射電子が試料によって反発されて戻る場合がある。なお、加速電圧は、正で表現することが一般的であるが、加速電圧の印加電圧Vaccは負であり、電位ポテンシャルとして物理的意味を持たせ、説明をしやすくするため、ここでは加速電圧は負(Vacc<0)として表現する。電子ビームの加速電位ポテンシャルをVacc(<0)、試料の電位ポテンシャルをVp(<0)とする。
電位とは、単位電荷が持つ電気的な位置エネルギーである。従って、入射電子は、電位0(V)では加速電圧Vaccに相当する速度で移動するが、試料面に接近するに従い電位が高くなり、試料の電荷のクーロン反発の影響を受けて速度が変化する。従って、一般的に以下のような現象が起こる。
|Vacc|>|Vp|の場合、電子は、その速度は減速されるものの、試料に到達する(図2(a)参照)。
|Vacc|<|Vp|場合には、入射電子の速度は試料の電位ポテンシャルの影響を受けて徐々に減速し、試料に到達する前に速度が0となり、移動方向が反転して反対方向に進む(図2(b)参照)。
空気抵抗の無い真空中では、エネルギー保存則がほぼ完全に成立する。従って、入射電子のエネルギーを変えたときの試料面上でのエネルギー、すなわちランディングエネルギーがほぼ0となる条件を計測することで、感光体試料の表面の電位を計測することができる。ここでは、1次反転荷電粒子、特に電子の場合を1次反転電子と呼ぶことにする。試料に到達したとき発生する2次電子と1次反転荷電粒子では、検出器に到達する量が大きく異なるので、明暗のコントラストの境界より識別することができる(図11参照)。
なお、走査電子顕微鏡などには、反射電子検出器があるが、この場合の反射電子とは、一般的に試料の物質との相互作用により、入射電子が後方背面に反射(散乱)され、試料の表面から飛び出す電子のことを指す。反射電子のエネルギーは入射電子のエネルギーに匹敵する。反射電子の強度は試料の原子番号が大きいほど大きいといわれ、試料の組成の違いや、凹凸を観察するための検出方法である。これに対して、1次反転電子は、試料表面の電位分布の影響を受けて、試料表面に到達する前に反転する電子のことであり、走査電子顕微鏡などの反射電子検出器で利用されている現象とは全く異なる現象である。
従って、加速電圧Vaccあるいは、試料背面の電極電位Vsubを変えながら試料表面を電子で走査させ、入射電子を検出器で検出する構成とすることにより、試料の表面電位Vpを計測することが可能となる。
また、試料の電位ポテンシャルVpが正(Vp>0)の場合には、ガリウムなどプラスのイオンや陽子を荷電粒子として入射すればよい。
このように、試料の電位分布をVp(x)としたとき、加速電圧Vaccを、
Min|Vp|≦|Vacc|≦Max|Vp|
の範囲で、荷電粒子の加速電圧Vaccを試料に走査させることにより、入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転する状態が存在し、その反転した1次反転荷電粒子を検出することにより、試料の表面電荷分布の情報を取得することができる。
荷電粒子ビームを走査して得られた検出信号と、表面電荷を与えたときの電子軌道シミュレーションの結果を照合し(図1のステップS7)、2つの結果が一致あるいは許容範囲内であれば、電子軌道シミュレーションで用いた表面電荷の値が実際の値であることが確定される(図1のステップS9)。許容範囲から外れていれば、表面電荷を修正して(図1のステップS8)、再度、見かけの電荷密度の変換(図1のステップS4)から電子軌道シミュレーションを許容範囲内に収まるまで繰り返し実行する。
このように、電子軌道を計算し、実測結果と照合することにより、表面電荷を決定することが可能となる。表面電位を測定する場合には、電荷分布がわかれば静電場が確定するので、ポアソン方程式など静電場を解くことにより、電位分布V(x,y)や電界強度分布などの物理量分布を測定することができる。
次に、試料の電荷分布状態を示すスレッショールド電位Vth(x,y)を用いて、検出信号とシミュレーションとを比較する方法について説明する。
まずは、計測にてVth(x,y)を得る方法について説明する。図11は、信号検出によってVth(x,y)を計測した結果を示す。2次元的に走査する電子銃の加速電圧は−1800Vとしている。図11(a)の曲線は試料表面の電荷分布によって生じるVth分布の検出結果を示している。中心(x=y=0)のVth値が約−600Vである。これは、Vsub=−1200Vのときにちょうど中心のランディングエネルギーがほぼ0となっていることを示す。
また、中心から外側に向かうに従って、Vth値がマイナス方向に大きくなり、中心から半径75μmを超える周辺領域のVth値は約−850V程度になっている。図11(b)に示す楕円形は、試料の裏面をVsub=−1150Vに設定したときの検出器出力を画像化したものである。このとき、Vth=Vacc−Vsub=−650Vとなっている。図11(c)に示す楕円形は、Vsub=−1100Vとしたほかは上記条件と同じ条件で得られた検出器出力を画像化したものである。このときのVthは−700Vになっている。
図11(b)、(c)の明部と暗部は、検出信号強度の違いを表しており、明部の方が、検出信号量が大きいことを示す。すなわち、明部は入射電子が試料に到達せずに反転している領域であり、暗部は、入射電子が試料に到達している領域である。明部と暗部の境界は、ランディングエネルギーがほぼ0となっていることを示す。
この明部と暗部の境界値を(1)式のごとくVth値と定義し、加速電圧Vaccまたは印加電圧Vsubを変えながら、繰り返し試料表面を電子で走査させる方法を用いて計測することにより、Vth(x,y)をミクロンスケールでデータ取得することが可能となる。
信号検出によるVth(x,y)計測のフローを図10に示す。すなわち、スレッショールド電位Vthの設定(S11)、コントラスト像取り込み(S12)、2値化処理(S13)、潜像径算出(S14)と進み、ここまでの処理を所定回数になるまで行い(S15,S16)、Vth(x,y)を算出する(S16)。
次に、シミュレーションにて、Vth(x,y)を得る方法について説明する。1次荷電粒子を、加速電圧Vacc(<0)で、試料面からz0離れた初期座標から試料に向かって入射させる。そのときのシミュレーション条件を、試料裏面の印加電圧をVsubとしたとき、1次荷電粒子の軌道が試料に到達せずに反転するか、試料に到達するかを判定し、その境界となる1次荷電粒子の初期座標(x0,y0,z0)を確定し、次の式(1)
Vth(x0,y0)=Vacc−Vsub (1)
としている。
図3、図4に示すシミュレーションモデルと、未知なる表面電荷をセットして1次荷電粒子の軌道を計算する。試料裏面の印加電圧をVsubする。
ここでは、1次荷電粒子として、電子を用いている。試料面からz0離れた距離から、試料に垂直に入射する条件であってよい。z0は、上部グリッドから資料までの距離よりも遠くなるように配置することが望ましい。入射電子に初期座標と加速電圧をVacc(<0)あるいは、Vaccと等価な初速を与えて、試料に入射させる。
図13(a)に入射電子軌道の一例を示す。図13(b)(c)(d)に走査領域のディストーションの例を示す。正常に走査している場合には走査線が平行になるが(図13(b))、通常は走査線が樽型状(図13(c))や糸巻き状(図13(d))に曲がる。試料がマイナスに帯電している場合には、糸巻き状になることが多い。
このように表面電位ポテンシャル大きいと、入射電子軌道は垂直入射条件でも曲がりをみせ、特に加速電圧に近い条件の場合で、試料の電荷密度変化が大きい領域では、入射電子の軌道は初期座標の違いで大きく変化する。入射電子の軌道が最終的に検出器に到達するか否かを解析してもよいが、この場合、計算に要する時間が増加する。入射電子が試料に到達せずに反転するか、試料に到達かを判定する方法でも十分な精度が得られる。
従って、1次荷電粒子の軌道が試料に到達せずに反転するか、試料に到達するかを判定し、その境界となる1次荷電粒子の初期座標(x0,y0,z0)を確定し、
Vth(x0,y0)=Vacc−Vsub (1)
として、境界領域を決定することができる。このようにして、検出信号によって得られるVth(x,y)と同等のVth(x,y)を計算にて算出することができる。
以下は、便宜上、計算によるVth(x,y)、Vth_s(x,y)計測によるVth(x,y)を、Vth_m(x,y)と区別する。一例として、図12(a)には、X軸方向において算出された表面電位と走査位置との関係が示されている。Vth_s(x,y)がVth_m(x,y)と等しいがどうかを照合する。照合する方法としては、Vth_s(x,y)とVth_m(x,y)の差分(Δ(x,y)とする)を求める方法を用いてもよい。一例として図12(b)には、X軸方向における、計測された表面電位と算出された表面電位とが重ねて示されている。
次のステップでは、Δ(x,y)が、予め設定されている評価値M以下であるか否かを判断する。例えば、全てのVth_m(x,y)群について差分を実行し、値が最小となるVth_m(x,y)を選び出してもよい。また、(6)式に示すような、差の自乗和を評価値として、用いても良い。

M=Σ(Vth_s(x,y)−Vth_m(x,y))^2 (6)

Δ(x,y)がMを超えている場合は、ここでの判断は否定される。
この場合は、判定結果Δ(x,y)に応じて電荷分布モデルを修正する。例えば、Δ(x,y)がバイアス成分をもつような場合には、平均電位が異なっていると判断し、電荷分布モデルにおける各電位に上記バイアス成分を付加する。また、Δ(x,y)が凹凸形状である場合には、表面電荷の分布形状、例えば深さ及び幅などが異なっていると判断し、電荷分布モデルにおける形状を上記凹凸形状に近づける。これにより、より適切な電荷分布モデルとなる。
照合の結果の判断が肯定されるまで、上記ステップの処理を繰り返し行う。これにより、未知電荷を決定することができる。
このように、電子軌道を計算して、実測結果と照合することにより、表面電荷を決定することが可能となる。表面電位を測定する場合には、電荷分布がわかれば、静電場が確定するので、ポアソン方程式など静電場を解くことにより、電位分布V(x,y)や電界強度分布などの物理量分布を測定することができる。
試料の裏面に加える電極電位の設定値を変えると、電荷分布のプロファイル情報を取得することができるため、上記裏面に加える電極電位を複数回設定して、それぞれに荷電粒子ビームを走査して得られる複数の検出結果と、複数のシミュレーション結果を照合することで表面電荷分布を測定する方法によることが望ましい。ただし、この場合は、1回のみの設定に比べて、計測精度は向上するが、計算時間が電極電位設定回数に比例して長くなることが生じる。
そこで、電極電位条件を複数変えて電気軌道を計算する際に、ある一つの電極電位条件で算出した係数マトリクスを繰り返し利用して処理を行うことにより、見かけの電荷密度から、荷電粒子の運動方程式を解いてもよい。
膨大な要素から構成されるn元連立1次方程式を解くには膨大な計算時間を要するが、上記計算手法によれば、計算時間を飛躍的に短縮することが可能である。
電場計算を行うときの係数マトリクスは、電場計算を1回行うたびに新たに計算するのが一般的である。ところが、本発明の係数マトリクス[Fji]は、幾何学的配置のみで決定される関数を使用したため、電極電位や表面電荷の変更に対して不変である。また、幾何学的配置は、1つの計測対象に対して不変である。さらには、表面電荷が異なるだけの別の計測対象に対しても不変である。これにより、繰り返し再利用することが可能となった。
係数マトリクス[Fji]を再利用して、n元連立1次方程式を解いてもよいし、予め以下に示すFjiの逆行列を計算し、単純行列演算でみかけ電荷を計算してもよい。

Figure 2011058841
係数マトリクス[Fji]の逆行列[Fji]−1計算は、本来計算時間が膨大であり、毎回新たに計算するには不向きであるが、予め計算しておき、その計算結果を繰り返し再利用する場合には、計算時間が短く、極めて効果的である。
構造体モデルは、図14に示すように、平面(a)、円筒面(b)、円板面(c)、円錐面(d)、球面(e)、トーラス面(f)の6つの基本モデル面で表現してもよい。また、これら基本モデルの一部あるいは全部の組み合わせからなるモデル面で表現してもよい。円筒面、円錐面、円板面、球面、トーラス面は、回転対称形であり、それに2次元空間で表現できる平面を加えた6つの基本モデルを表現する関数は、その基本モデルに付随したローカル座標系を用いて表すことで、その被積分関数は比較的簡単な式として表すことができる。
構造体モデルを上記6つの基本モデル面で表現することにより、2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行することが可能となる。具体的には、図6(b)に示す行列式で表わされる。この行列式は、2重積分であるため、このままで計算すると膨大な計算時間を要する。
従来は、2重積分Fjiを直接数値積分することで得ていたが、上記6つの基本モデル面で表現することで、1回目の積分は、解析的に計算することが可能となる。具体的には、平面の係数マトリックスAjiは、次の式(A−1)、式(A−2)、式(A−3)、式(A−4)のようなlogを含む形式で表すことができる。
式(A−1)

Figure 2011058841
式(A−2)

Figure 2011058841
式(A−3)

Figure 2011058841
式(A−4)

Figure 2011058841
同様に、円筒面,円錐面,円板面は、logを含む形式で表され、球面,トーラス面は、第1種不完全楕円積分を含む形式で表すことができる。
Bjiも1回目の積分は式(7)によって解析的に計算できる。
式(7)

Figure 2011058841
このように、2重積分のうち、1回目の積分A(y)は解析的に計算可能となり、残りの1回の積分だけを数値積分を用いてFjiを解くことができる。
係数マトリックスは、従来は2次元積分で表していたため、膨大な計算時間を要していたが、構造体モデルを上記6つの基本モデル面で表現することにより、2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行し、残りの1回の積分だけを数値積分を用いて解くことができるため、計算時間を大幅に短縮できる。
入射電子軌道計算の方法として、起点をP0としたときに、時間間隔をΔtに設定して、電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P1と、時間間隔を1/2×Δtに設定して電子軌道を計算したときの座標P2を新たな起点とし、もう一度時間間隔1/2×Δtで、電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P3との値の相対誤差を算出し、その判定結果をもとに、刻み時間を決定して電子軌道を計算しても良い。
静電界の場合は、クーロン力による電子の運動方程式を、静磁界の場合には、ローレンツ力による電子の運動方程式を、電磁界の場合には、クーロン力とローレンツ力の両方による電子の運動方程式を用い、常微分方程式の数値解法を用いて数値的に解いている。
従来、常微分方程式の数値解法として用いるルンゲ・クッタ・ギル法の多くは、独立変数tの刻み幅Δtを一度定めたら、計算が終了するまでその間隔のままである。これは計算時間の点で大きな問題が生じる可能性がある。
本計測条件では、試料表面近傍では、特に電界が集中しているが、誘電体試料表面より遠く離れた場所では、ほとんど電界が存在しないフィールドフリーな空間である。このような問題を取り扱う場合、一般的には、電子の軌道計算を精度良く実行するために、最も電界が集中する箇所を想定して、独立変数tの刻み幅Δtを設定する。しかしながら、このように設定してしまうと、その刻み幅Δtは非常に小さな値となるため、誘電体表面より遠く離れた電界がほとんど存在しない場所でも、この非常に小さく設定された刻み幅Δtで軌道計算を実行しなければならず、このことが原因で必要以上に多くの計算時間を消費してしまうことになる。このため、高速かつ高精度に軌道計算するためには、適正な刻み時間(ΔT)を設定することが望ましい。
そこで、本発明の実施例では、まず、時間間隔をΔtに設定し、1ステップだけ電子軌道を計算する。次に、同じ条件のもとで、時間間隔Δtを半分にして、2ステップで同様な計算を行う。そして、これら2つの結果より時間間隔Δtを動的に可変して計算するする方法である。
この方法を詳しく説明すると、起点P0(Xi,Yi,Zi)の位置から次のステップ位置である(Xi+1,Yi+1,Zi+1)を計算するとき、時間間隔Δtで1ステップ目の計算で得られる座標P1(Xa,Ya,Za)(これを(a)計算と定義する)と、その時間間隔を半分にしたΔt/2で電子軌道を計算したときの座標P2を新たな起点とし、もう一度時間間隔1/2×Δtで、電子軌道を計算する2ステップ目の計算で得られる座標P3(Xb,Yb,Zb)((b)計算と定義する)とを比較し、その両者をそれぞれの座標の値を相対誤差P3−P1により評価する。もし、それらの誤差が設定された精度より小さいようなら、(Xb,Yb,Zb)を解(Xi+1,Yi+1,Zi+1)として採用する。そして、次のステップの計算からΔtの値を倍にして再び(a)計算および(b)計算を実行する。逆に、精度以下であれば、もう一度同じ計算を、時間間隔Δtを半分にして、(a)、(b)両方の計算とも実行する。さらに、それでも精度に達しない場合は、もう一度時間間隔を半分にして(a)、(b)両方の計算をともに実行する。
このようにして、設定された精度に達するまで時間間隔Δtを半分にして行き、設定された精度に達したところで、(Xb,Yb,Zb)の値を解(Xi+1,Yi+1,Zi+1)として採用する。また、時間間隔Δtを倍にした場合でも、計算精度の判定は実行され、もし、設定された精度に達していなければ、直ちに、時間間隔Δtを半分に戻して計算をやり直す。こうすることにより、ステップ幅を倍にしたために所定の精度が得られなくなってしまった場合にも対応することが可能となっている。図15(a)は以上のような位置判定のイメージをグラフで示している。
また、位置ではなくベクトルの絶対値を相対誤差判別に用いても良い(図15(b)参照)。こうすることによって、たとえ解がゼロクロスしたとしても、正しく誤差判定を行うことができ、軌道計算は一定の精度を保ちながら効率よく実行することが可能となる。解析のフローを図15(c)に示す。
このような方法で、適正な刻み時間(Δt)を設定することで、高精度かつ高速に電子軌道を計算することが可能となる。
入射電子が誘電体表面に到達するか否かで、検出器に到達する電子量が異なるため、その境界値を検出することで、表面電荷状態を見積もることができる。
1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する領域と、試料に到達する領域の境界を検出することにより、電子軌道計算から、試料反転領域と試料到達領域の境界値を算出する。
境界値を検出する最も単純な方法は、要求される分解能(例えば1画素毎)で等間隔に電子軌道を計算することである。しかしながら、この方法では、解像度がVGA(640×480画素)程度でも約30万本、1ラインに限定しても640本の電子軌道を計算する必要があるため、本発明での高速計算といえども現実的でない。
本発明による計測対象として、中心付近の電荷密度が小さく、周辺の電荷密度が大きい電荷モデルを想定している。そこで、以下の方法により境界値を少ない本数で絞り込んでもよい。
図16に示すように、1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する条件での試料面に平行な入射開始座標をxi、1次荷電粒子が試料に到達する条件での試料面に平行な入射開始座標をxjとしたときに、xiとxjの中間点(xi+xj)/2を入射開始座標として電子軌道を計算する操作を繰り返すことで境界値を決定することを特徴とする。
具体的には、試料に到達した射出位置の電子軌道と、試料到達前に反転した射出位置の電子軌道の間にギリギリの反射領域が存在するものとして、その間の射出位置から電子を打ち込み、さらにギリギリの反射領域を絞り込む。上記操作を繰り返し実行することにより、1回の軌道計算で射出位置の間隔を1/2ずつ狭めることができる。
図16(a)は、Xjの電子軌道は試料に到達し、Xiの電子軌道は試料の直前で反転しているので、XiとXjの間に境界値が存在する。図16(b)は、XiとXjの電子軌道の中間から新たな電子を打ち込み、電子が試料に到達するか否かにより、境界値の位置を絞り込んだ例を示す。このようにすれば、n画素の判定にlog2n回の計算で境界値を決定することができ、計算時間を大幅に短縮できる。
図17は、境界値算出における電子軌道の事例を示す。図17(a)は電荷分布モデルを示している。Vsub=−1040V、試料の1mm上方には、1mm角のマスク電極があり、GNDに接地されている条件のもとで計算した。誘電体の比誘電率ε’=3、誘電体の厚さd=0.03mm(薄膜)である。入射電子条件としては、
Vacc=1.8keV
試料表面より35mm上方から、電子を垂直方向に入射させたときの電子軌道である。
図17(b)は、この電子軌道計算結果を示している。
丸付き数字の1はx=62μmで試料到達
丸付き数字の3はx=64μmで試料非到達であることから、境界値は、62〜64umの間であることが確定される。
丸付き数字の2はx=63μmであるが、試料非到達であることから、境界値は、1と2の間、すなわち、62〜63μmの間であることが確定される。このようにして、境界値が決定される。
本実施例のフローを図18に示す。
図20に、潜像を形成する機能を有する表面電位分布測定装置の例を示す。図20において、試料は、電子写真用感光体を用いる。有機感光体(OPC)は、導電性支持体の上に電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)を有してなり、表面電荷が帯電している状態で露光されると、CGLの電荷発生材料(CGM)によって、光が吸収され、正負両極性のチャージキャリアが発生する。このキャリアは、電界によって、一方はCTLに、他方は導電性支持体に注入される。CTLに注入されたキャリアはCTL中を電界によってCTL表面にまで移動し、感光体表面の電荷と結合して消去する。これにより、感光体表面に電荷分布すなわち静電潜像を形成する。
この表面電位分布測定装置200は、試料表面を光で走査し、潜像のパターンを形成するパターン形成装置220が、上記実施形態における表面電位分布測定装置200に付加されたものである。なお、図20では、制御系が省略されている。図20におけるパターン形成装置220は、感光体が感度を有する波長400nm〜1000nmの半導体レーザ201、コリメートレンズ203、アパーチャ205、及び3つのレンズ(207、209、211)からなる結像レンズなどを備えている。また、試料71の近傍には、試料表面を除電するためのLED213が配置されている。このパターン形成装置220及びLED213は、不図示の制御系によって制御される。
表面電位分布測定装置200における潜像の形成方法について簡単に説明する。感光体試料表面を均一に帯電させる。ここでは、加速電圧を、2次電子放出比が1となる電圧より高い電圧に設定することにより、入射電子量が、放出電子量より上回るため電子が試料に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、試料はマイナスに帯電することとなる。なお、加速電圧と照射時間とを制御することにより、所望の電位に帯電させることができる。
電子銃10から放出される電子ビームを、感光体試料71に照射させる。加速電圧|Vacc|は、2次電子放出比が1となる加速電圧より高い加速電圧に設定することにより、入射電子量が、放出電子量より上回るため電子が試料に蓄積され、チャージアップを起こす(図19(a))。この結果、試料はマイナスの一様帯電を生じることができる。加速電圧と飽和帯電電位には、図19(b)に示すような関係があり、加速電圧と照射時間を適切に設定ないしは制御することにより、電子写真における実機と同じ帯電電位を形成することができる。照射電流は大きい方が、短時間で、目的の帯電電位に到達することができるため、1nA以上で照射するとよい。
この後、静電潜像が観察できるように入射電子量を1/100〜1/1000に下げる。この状態で、パターン形成装置220の半導体レーザ201を発光させる。半導体レーザ201からのレーザ光は、コリメートレンズ203で略平行光となり、アパーチャ205で規定のビーム径とされた後、結像レンズ207、209,211で試料71の表面に集光される。これにより、試料表面に潜像のパターンが形成される。
有機感光体(OPC)は、暗減衰により、電荷が時間と共に減衰してしまうため、遅くても潜像形成後10秒以内で、信号検出によるデータの取得を完了させる必要がある。図20に示す例のように、真空チャンバー30内で感光体試料に帯電・露光させる機能をもたせることにより、潜像形成直後からデータ取得を開始することが可能で、潜像プロファイル取得に必要な印加電圧を複数変えた計測であっても、10秒以内でのデータ取得を完了させることができる。そして上述の如く印加電圧を変えることで、潜像プロファイル情報を取得できる。
なお、必要に応じて感光体試料の上方に上部電極を追加してもよい。上部電極を配置することにより、試料が電荷分布を持つことによる空間電界の影響を、上部電極までの範囲に局在化させることができるので、構造体モデルをより簡素化できる。 また、上記実施形態では、試料が板状の場合について説明したが、本発明が対象とする試料はこれに限定されるものではなく、例えば試料が円筒形状であってもよい。試料が円筒形状である場合、この試料を、レーザプリンタやデジタル複写機などの電子写真方式の画像形成装置に用いられる感光ドラムにそのまま適用できる。したがって、上記円筒形状の感光体試料に対する表面電位分布の測定結果を画像形成装置の設計にフィードバックすることにより、画像形成に関する各工程のプロセスクォリティを向上させることができ、高画質化、高耐久性、高安定性、及び省エネルギー化を実現することができる。
また、感光体試料が上記のように円筒形状である場合、露光部の一例として、図21に示されているように、半導体レーザ110、コリメートレンズ111、アパーチャ112、シリンダレンズ113、光路折り曲げミラー114、ポリゴンミラー115、2つの走査レンズ116、117および光路折り曲げミラー118などを備えた、光走査装置からなる露光部76を用いてもよい。
上記半導体レーザ110は、露光用のレーザ光を出射する。コリメートレンズ111は、半導体レーザ110から出射されたレーザ光を略平行光とする。アパーチャ112は、コリメートレンズ111を透過した光のビーム径を規定する。ここでは、アパーチャ112の大きさを替えることで、20μm〜200μmの範囲で任意のビーム径を生成することが可能である。シリンダレンズ113は、アパーチャ112を透過した光を一方向にのみ整形する。ミラー114は、シリンダレンズ113からの光の光路をポリゴンミラー115の方向に折り曲げる。ポリゴンミラー115は、複数の偏向面を有し、ミラー114からの光を所定角度範囲で等角速度的に偏向する。2つの走査レンズ116、117は、ポリゴンミラー115で偏向された光を等速度的な光に変換する。ミラー118は、走査レンズ117からの光の光路を試料71の方向に折り曲げる。
この露光部76の動作について簡単に説明する。半導体レーザ110から出射された光は、コリメートレンズ111、アパーチャ112、シリンダレンズ113およびミラー114を介して、ポリゴンミラー115の偏向面近傍に一旦結像される。ポリゴンミラー115は、不図示のポリゴンモータによって一定の速度で図21中の矢印方向に回転しており、その回転に伴って偏向面近傍に結像された光は等角速度的に偏向される。この偏向された光は、さらに2つの走査レンズ116、117を透過し、ミラー118の長手方向を所定角度範囲で等速度的に走査する光に変換される。そして、この光は、ミラー118で試料71に向かって反射され、試料71の表面を走査する。すなわち、光スポットが試料71の母線方向に移動する。これにより、試料71の母線方向に対して、ラインパターンを含めた任意の潜像パターンを形成することができる。光源は、VCSEL等のマルチビーム走査光学系であってもよい。
また、上記実施形態では、荷電粒子ビームとして電子ビームを用いる場合について説明したが、これに限らず、イオンビームを用いてもよい。この場合には、前記電子銃に代えてイオン銃が用いられる。そして、例えばイオン銃としてガリウム(Ga)液体金属イオン銃が用いられる場合には、加速電圧は正の電圧となり、試料71には、表面電位が正となるようにバイアス電圧が付加される。 上記実施形態では、試料の表面電位ポテンシャルが負の場合について説明したが、試料の表面電位ポテンシャルが正であってもよい。すなわち、表面の電荷が正電荷であってもよい。この場合には、ガリウムなど正のイオンビームを試料に照射すればよい。 また、図20に示す実施形態では、ゲートバルブ40がビームブランキング電極37の−Z側に配置されているが、これに限定されるものではない。要するに、ゲートバルブ40が、電子銃10と試料台81との間に配置されていればよい。
上記実施形態では、電子銃として電界放出型電子銃を用いる場合について説明しているが、これに限らず、熱電子放出型電子銃を用いてもよいし、図22に示されるように、いわゆるショットキーエミッション(SE)型電子銃を用いてもよい。このショットキーエミッション型電子銃は、エミッタ11、サプレッサ電極12、引き出し電極31、及び加速電極33などを有している。なお、Ifはフィラメント電流、Ieはエミッション電流、Vsはサプレッサ電圧である。SE型電子銃は、熱陰極電界放出型電子銃とも呼ばれている。 また、上記実施形態では、1次反発電子を検出して表面電位分布を求めるものとして説明したが、これに限らず、例えば、試料の材質や表面形状の影響を受けるおそれがない場合には、2次電子を検出して表面電位分布を求めても良い。
1 導体基台
2 絶縁体
3 導電板
4 電子ビーム
5 対物レンズ
6 グリッドメッシュ
7 検出器
10 感光体(試料)
特開平03−49143号公報 特開平3−200100号公報 特開2003−295696号公報 特開2004−251800号公報 特開2005−166542号公報 特開平10‐334844号公報 特開平03−261057号公報 特開昭59−842号公報 特開2006−344436号公報 特開2008−76100号公報

Claims (10)

  1. 表面電荷分布を有する試料の裏面に既知である電極電位を与えて荷電粒子ビームを走査し、上記試料の表面電荷分布を測定する方法であって、
    既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度に変換させる処理を行い、
    変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定することで電子軌道シミュレーション計算データを算出し、
    算出された電子軌道シミュレーション計算データを、計測された検出信号データと照合しながら試料上の電荷密度を決定することにより、表面電荷分布を計測することを特徴とする表面電荷分布の測定方法。
  2. 解析対象となる空間に配置されている導体および誘電体の幾何学的配置からなる係数マトリクスを決定し、係数マトリクスと導体の電位および誘電体界面上の電荷密度を境界条件として、見かけの電荷密度を求めることを特徴とする請求項1記載の表面電荷分布の測定方法。
  3. 裏面に加える電極電位を複数設定し、それぞれの電極電位において荷電粒子ビームを走査して得られた複数の検出結果と、複数のシミュレーション結果を照合することで表面電荷分布を測定する方法であって、
    電極電位条件を変えて電気軌道を計算する際に、ひとつの電極電位条件で算出した係数マトリクスを繰り返し利用することにより、見かけの電荷密度を求めることを特徴とする請求項1記載の表面電荷分布の測定方法。
  4. 構造体モデルは、2重積分で表現した平面、円筒面、円錐面、円板面、球面、トーラス面の一部あるいは全部の組み合わせからなることを特徴とする請求項1記載の表面電荷分布の測定方法。
  5. 2重積分のうち少なくとも1回の積分は解析的に実行し、残りの1回の積分だけを数値積分を用いて求めることを特徴とする請求項4記載の表面電荷分布の測定方法。
  6. 見かけの電荷密度から荷電粒子の運動方程式を解く電子軌道計算として、起点をP0としたときに、時間間隔をΔtに設定して電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P1と、時間間隔を1/2×Δtに設定して電子軌道を計算したときの座標P2を新たな起点としてもう一度時間間隔1/2×Δtで電子軌道を計算したときの起点P0からΔt後の座標P3との値の相対誤差を算出し、その判定結果をもとに刻み時間を決定して電子軌道を計算することを特徴とする請求項1記載の表面電荷分布の測定方法。
  7. 1次荷電粒子が加速電圧Vacc(<0)で試料面からz0離れた初期座標から試料に入射するシミュレーション条件のもとにおいて、試料裏面の印加電圧をVsubとしたとき、1次荷電粒子の軌道が試料に到達することなく反転するか、試料に到達するかを判定し、その境界となる1次荷電粒子の初期座標(x0,y0,z0)を確定し、
    Vth(x0,y0)=Vacc−Vsub (1)
    として、境界領域を決定すると共に信号検出による測定結果と比較し、シミュレーションによるVth分布と計測によるVth分布の差を補正することにより、試料上の電荷密度を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表面電荷分布の測定方法。
  8. 1次荷電粒子が試料に到達することなく反転する領域と、試料に到達する領域の境界を検出することにより、電子軌道計算から、試料反転領域と試料到達領域の境界値を算出する方法として、
    1次荷電粒子が試料に到達せずに反転する条件での試料面に平行な入射開始座標をxi、1次荷電粒子が試料に到達する条件での試料面に平行な入射開始座標をxjとしたときに、xiとxjの中間点(xi+xj)/2を入射開始座標として電子軌道を計算する操作を繰り返し、境界値を決定することを特徴とする請求項7記載の表面電荷分布の測定方法。
  9. 表面電荷を有する試料面を荷電粒子ビームで2次元的に走査する荷電粒子ビーム走査手段と、
    1次荷電粒子が試料に到達することなく反転する領域と試料に到達する領域の境界を検出する手段と、
    試料裏面にバイアス電位を印加するバイアス電位印加手段と、
    バイアス電位印加手段により印加されるバイアス電位を変化させるバイアス電位可変手段と、
    既知である電極電位を、解析対象となる空間に導体および誘電体の構造体モデルによる幾何学的配置と試料上の未知なる電荷密度を境界条件として見かけの電荷密度に変換させる手段と、
    変換された見かけの電荷密度を用いて空間電界を決定する手段と、
    算出された電子軌道シミュレーション計算データを計測されたデータと照合する手段と、を備え、
    試料上の電荷密度を決定することで表面電荷分布を計測することを特徴とする表面電荷分布の測定装置。
  10. 真空装置内で試料を帯電させる手段と、荷電粒子ビームが通過する領域外に露光用の光路が設定されている露光手段と、波長400nm〜800nmの露光光源の光量および露光時間を制御する光源制御手段と、を有する表面電荷形成手段を備えている請求項9記載の表面電荷分布の測定装置。
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