JP2011057937A - 捻れたπ共役部分を有するドナー・アクセプター型色素、及びこれを用いた色素増感型太陽電池 - Google Patents

捻れたπ共役部分を有するドナー・アクセプター型色素、及びこれを用いた色素増感型太陽電池 Download PDF

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純一 西田
Takao Yamashita
敬郎 山下
Tatsuya Masuko
達也 増子
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Abstract

【課題】色素増感太陽電池に用いた場合に、電子寿命特性を向上させることのできる色素の提供。
【解決手段】電気供与性基と電子受容性基とがリンカー部位を介して結合した下記一般式(2)で表わされる色素。
Figure 2011057937

(Rは、炭素数1〜18個のアルキル基を、C1〜18のアルコキシ基又は芳香族基を、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を、Rは、例えば、p−ジフェニルアミノフェニレン基等を、nは1〜3の整数を表わす。)
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽光エネルギーを効率よく光吸収し、かつ電子寿命が長い色素、及びそれを用いた色素増感太陽電池に関するものである。
近年、化石燃料の燃焼や二酸化炭素発生量の増大により地球温暖化をはじめとする環境・エネルギーの問題が深刻化してきており、太陽光を効率よく電気に変換することのできる太陽電池が注目されている。現在実用化されている太陽電池は、主にシリコンを用いているものであるが、このような太陽電池は製造コストが高いという問題がある。従って、シリコン系太陽電池に代わる新しいタイプの太陽電池が望まれており、開発研究が進められている。そのような開発研究の1つとして、色素増感太陽電池の研究が挙げられる。色素増感太陽電池は、資源的制約が少なく、製造コストが比較的に低いという利点があり、その普及が期待されている。
従来より知られている色素増感太陽電池は、例えば、特許文献1(特開2004−95450号公報)にはシアノ酢酸基を有する色素を用いた太陽電池が開示されている。
従来の色素増感太陽電池は、透明導電基材にナノサイズのTiO粒子ペースト塗布、焼結し、ナノサイズの空孔に色素を吸着させ、電解質層、対向電極を設けて作成されている。色素の幅広い光吸収を使い、励起した電子のTiOへの移動、電荷分離、電解質/対向電極からの電荷の注入が基本的な機構である。
従来の色素増感太陽電池において用いられている色素は、Ru錯体であり、このRu錯体を用いた色素増感太陽電池においては11%の変換効率が得られている。しかしながら、Ruは希少金属であること、電解質に有機溶媒等の液体を用いており、耐久性に問題があった。貴金属を用いない色素、電解質ゲルも開発され、耐久性も向上しているが、効率を更に向上させることが望まれている。このような観点から種々の色素が開発されている。そのような色素として、例えば、シアノ酢酸基を含むドナー・アクセプター型でチオフェン連結部にアルキル置換した色素が開示されている(J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14256-14257)。また、Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 1576-1580には、シアノ酢酸基を含むドナー・アクセプター型でアルキル基はドナー部位置換した色素が開示されている。このような色素を用いて色素増感太陽電池を作成すると、ある程度の電池特性が得られるが、更に変換効率を向上させるために電子寿命特性を向上させることのできる色素が望まれている。
特開2004−95450号公報
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14256-14257 Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 1576-1580
従って、本発明の目的は、色素増感太陽電池に用いた場合に、電子寿命特性を向上させることのできる色素を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、電子ドナー部位、π共役架橋部分、電子アクセプター部位から構成され、π共役架橋部分に捻れた構造を有する特定の有機化合物を用いることにより、上記目的を達成し得るという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、電気供与性基と電子受容性基とがリンカー部位を介して結合した色素であって、下記一般式(1)で表わされる部分構造を有する色素を提供するものである。
Figure 2011057937
(式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
また、本発明は、下記一般式(2)で表わされる色素を提供する。
Figure 2011057937
(式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは下記式(3)で表わされる置換基であり、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
Figure 2011057937
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表わし、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表わし、mは0〜4の整数を表わす)
上記一般式(2)において、mが0であり、R及びRが、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいジフェニルアミノフェニレン基、ジフェニルアミノビフェニレン基、フェナジン基、フェノチアジン基又はフェノキサジン基であるものが挙げられる。
また、上記一般式(2)において、mが0であり、R及びRがフェニル基であるものが挙げられる。
また、上記一般式(2)において、nが1であり、Rがn−ヘキシル基であるものが挙げられる。
また、上記一般式(1)又は(2)において、Rが、チエニレン基又はピリジレン基であるものが挙げられる。
また、本発明は、本発明の色素を増感色素として用いる色素増感太陽電池を提供する。
また、本発明は、陽極と、陰極と、電解質とを備え、前記陰極は、透明導電性ガラスからなる基材と、その表面に形成された酸化物薄膜電極とを有し、前記酸化物薄膜電極に、本発明の色素が吸着されている、色素増感太陽電池を提供する。
本発明によれば、π共役架橋部分に捻れた構造を有する特定の有機化合物を得ることができ、電子寿命特性の向上させることのできる色素を得ることができる。
なお、本明細書において、π共役架橋部分に捻れた構造を有するとは、連結している芳香族環、チオフェン環の向かい合った位置に官能基を有している構造を意味し、紫外可視吸収スペクトル測定において最大吸収波長が短波長シフトしていることによって確認することができる。
以下、まず、本発明の色素について説明する。
本発明の色素は、末端に電子ドナー部位(電子供与性基)を有し、もう一方の末端に電子アクセプター部位(電子受容性基)を有し、それぞれの間にチオフェン又はオリゴチオフェンであるリンカー部位(π共役架橋部分)を有する化合物であり、π共役架橋部分には捻れた構造を有するものである。具体的には、本発明の色素は下記一般式(1)で表わされる部分構造を有する。
Figure 2011057937
(式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
一般式(1)においては、R部分及びその右側に示される部分が電子受容性基(電子アクセプター部位)を表す。
また、本発明の色素は、下記一般式(2)で表わされる。一般式(2)においては、R部分が電子供与性基(電子ドナー部位)を表わす。
Figure 2011057937
(式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは下記式(3)で表わされる置換基であり、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
また、一般式(2)において、Rは電子ドナー部位であり、チオフェン又はオリゴチオフェンがリンカー部であり、このリンカー部の右側の部位が電子アクセプター部位である。
Figure 2011057937
(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表わし、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表わし、mは0〜4の整数を表わす)
本明細書において、オリゴチオフェンとは、複数(好ましくは2〜6個)のチオフェン骨格が、そのπ電子系が共役した状態で結合しているものを意味する。
上記式(1)及び(2)において、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋された構造を表わす。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンタン基、n−ヘキシル基等が挙げられる。nは、1〜 3の整数であり、好ましくは1〜2の整数である。
また、一般式(2)において、Rは、置換されていてもよい二置換の芳香族基又は共役している複素環基を表わす。ここで、芳香族基としては、例えば、1,4−ベンゼンジイル基、1,3−ベンゼンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基が挙げられる。また、複素環基としては、2,5−チオフェンジイル基、2,4−チオフェンジイル基、2,5−チアゾールジイル基、2,4−チアゾールジイル基、2,5―ピリジンジイル基、2,4−ピリジンジイル基、2,5−オキサゾールジイル基、2,4−オキサゾールジイル基、2,5−フランジイル基、2,4−フランジイル基、2,6−キノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル、2,5−1H−インドールジイル基、2,6−1H−インドールジイル基等が挙げられる。前記芳香族基及び複素環基は置換されていてもよく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記一般式(2)において、Rは式(3)で表わされる置換基である。一般式(3)において、Rは炭素数1〜6個のアルキル基を表わす。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンタン基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
また、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、置換されていてもよい脂肪族基、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わす。脂肪族基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。また、芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。また、複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等の5員環又は6員環の芳香族複素環基等が挙げられる。また、一般式(3)においては、R、R及びRはお互いに連結して環状構造を形成していてもよい。例えば、R及びRとNとがお互いに連結してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、インドール環、フェノチアジン環等を形成していてもよい。また、R又はRとRとが連結し、N及びベンゼン環と共にユロリジン環、インドリジン環、インドール環、カルバゾール環を形成していてもよい。
一般式(2)において、mは0〜4の整数を表わす。
電子ドナー部位であるRの具体例を下記に示す。
Figure 2011057937
Figure 2011057937
Figure 2011057937
上記式において、置換基R8、R9、及びR10は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表わす。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンタン基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
本発明の上記一般式(1)で表わされる化合物の合成方法に特に制限はないが、例えば、捩じれたビチオフェン部分と電子ドナー部分とのStilleカップリング反応を行い、得られた生成物のチオフェン部位をリチオ化してスズ試薬を得、次いで、これを6−ブロモニコチンアルデヒド誘導体とカップリングさせた後、シアノ酢酸とKnoevenagel縮合させて得ることができる。なお、用いられる捩じれたビチオフェン部分は、文献(a)O. Hagemann et al., J. Org. Chem., 2006, 71, 5546. (b)M. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 10930に記載されている方法に従い、合成することができる。
本発明の色素は、π共役架橋部分に捻れた構造を有しており、色素増感態様電池の増感色素として用いた場合、電子寿命特性を向上させることができる。
次に、本発明の色素増感太陽電池について説明する。本発明の色素増感太陽電池は、本発明の色素を増感色素として用いたものである。
具体的には、本発明の色素増感太陽電池は、陽極と、陰極と、電解質とを備え、前記陰極は、透明導電性ガラスからなる基材と、その表面に形成された酸化物薄膜電極とを有し、前記酸化物薄膜電極に、本発明の色素が吸着されている。
本発明の色素増感太陽電池を構成する陽極は、導電性を有する物質で構成されており、その構成物質の種類について特に制限はない。陽極としては、例えば、透明導電性ガラスからなる基材の表面に、微量の白金又は導電性カーボンを付着させたものを好ましく用いることができる。上記透明導電性ガラスとしては、例えば、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITO)からなるガラス等を用いることができる。
本発明の色素増感太陽電池を構成する陰極は、透明導電性ガラスからなる基材と、その表面に形成された酸化物薄膜電極とを有し、その酸化物薄膜電極に、本発明の色素が吸着されている。上記透明導電性ガラスとしては、陽極において用いられる物質からなるガラス等を用いることができる。基材の形状については特に制限はなく、例えば、板状のもの等を用いることができる。
上記酸化物薄膜電極を構成する酸化物としては、例えば、金属酸化物が挙げられ、具体的には、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、酸化インジウム等が挙げられる。これらの酸化物の中でも、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。この酸化物薄膜電極には、本発明の色素を吸着させた状態で用いる。
色素を酸化物薄膜電極に吸着させるには、例えば、色素溶液に電極を浸漬することにより実施することができる。色素溶液の溶媒としては、水、極性有機溶媒又はこれらの混合溶媒が用いられる。上記極性有機溶媒としては、例えば、エーテル、アルコール、ニトリル、アミド、スルホキシド等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられ、ニトリル」としては、例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、プロピオノニトリル等が挙げられ、アミドとしては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられ、スルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記溶媒の中でも、アルコール、ニトリル又はアミドを用いることが好ましく、エタノール、メタノール、ブタノール又はアセトニトリルを用いることが更に好ましい。また、前記溶媒の混合溶媒としては、アルコールとニトリルとの混合溶媒を用いることが好ましく、ブタノールとアセトニトリルとの混合溶媒を用いることが更に好ましい。
色素溶液中の色素の濃度は、好ましくは前記色素溶液の色素濃度は、通常、0.05〜0.5mMであり、好ましくは、0.2〜0.3mMである。色素の濃度を0/5mMより高くすることにより、酸化物薄膜電極に十分に色素を吸着させることができ、一方、0.05mM未満とすることにより、色素同士が吸着するという不具合を防止することができる。
色素溶液の電極への浸漬は、好ましくは0.5〜100時間実施し、更に好ましくは2〜50時間実施する。また、浸漬温度は、好ましくは0〜100℃であり、更に好ましくは10〜50℃である。
上記電解質としては、電解質からなる液体又は固体、又は電解質を含む溶液等が挙げられる。それらの中でも、レドックス電解質を用いることが好ましい。レドックス電解質とは、レドックス系を構成する物質(酸化剤、還元剤)を含有する溶液であり、例えば、レドックス系(I/I3−系)を構成する、ヨウ素及びヨウ素のイミダゾリウム塩を含む溶液を好適に用いることができる。
本発明の色素増感太陽電池は、上記陽極と陰極との間を電解質が満たすように構成すればよい。例えば、容器中に電解質溶液を満たした上で、その電解質溶液中において、陽極と陰極とが対向するように配置する構成をとればよい。
色素増感太陽電池は、例えば、容器中に電解質溶液を満たした上で、その電解質溶液中において、陽極と陰極とが対向するように配置することにより形成することができる。例えば、陽極と陰極とをスペーサーを挟み込んだ状態で固定することによって、陽極と陰極とを所望の間隔で離隔させた状態で対向させることができる。また、電解質として固体電解質を用いる場合には、陰極、固体電解質、陽極を順次積層する等の方法でも、陽極と陰極とを所望の間隔で離隔させた状態で対向させることができる。
実施例
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
合成例
以下に、本発明の化合物及び対照化合物の製造方法を示す。以下の実施例では、化合物1a、1b、2a及び2bを用いた。それぞれの製造についての反応スキームを以下に示す。
Figure 2011057937
以下、上記反応スキームの工程について詳細に説明する。
4−(3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(4a)
N,N−ジフェニル−4−(トリブチルスタンニル)アニリン(5.4g,10.2ミリモル)、5−ブロモ−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン(5.2g,12.6ミリモル)、Pd(Ph(200mg,0.17ミリモル)をトルエン(40mL)に溶解し、24時間還流を行った。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(Al;ヘキサン)を行い、さらにカラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン:酢酸エチル)により精製を行い、黄色の油状物質として、下記式で表される4−(3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(4a)を得た(3.59 g, 61%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.50−7.34(m、2H),7.32−6.95(m,15H),2.65−2.40(m,4H),1.65−1.50(m,4H),1.35−1.20(m,12H), 0.95−0.80(m,6H).
Figure 2011057937
4−(3’,4−ジヘキシル−2,2’―ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(4b)
N,N−ジフェニル−4−(トリブチルスタンニル)アニリン(6.0g,11.3ミリモル)、5−ブロモ−3’,4―ヘキシル−2,2’−ビチオフェン(5.2g,12.6ミリモル)、Pd(Ph(190mg,0.17ミリモル)をトルエンに溶解し、24時間還流を行った。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(Al;ヘキサン)を行い、更にカラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン:酢酸エチル=50:1)により精製を行い、黄色の油状物質として、下記式で表される4−(3’,4―ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(4b)を得た(3.46g,53%)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ7.35−6.90(m,17H),2.85−2.70(m,2H),2.70−2.60(m,2H),1.70−1.50(m,4H),1.40−1.20(m,12H),0.95−0.80(m,6H).
Figure 2011057937
4−(3,3’−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(5a)
上述のようにして得られた4−(3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアラニン(3.0g,5.2ミリモル)を乾燥THFに溶解し、溶液の温度を−78℃に維持し、n−BuLi(5.0mL,8.0ミリモル)を滴下し、1時間攪拌した。その後、塩化トリブチルスズ(2.6g,8.0ミリモル)を加え、さらに30分間攪拌した後、常温に戻し、さらに2時間攪拌した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(Al;ヘキサン)で精製を行い,黄色の油状物質として、下記式で表される4−(3,3’−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(5a)を得た(2.8g,62%)。
Figure 2011057937
4−(3’,4−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(5b)
上述のようにして得られた4−(3’,4−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(3.0g,5.2ミリモル)を乾燥THFに溶解し、溶液の温度を−78℃に維持し、n−BuLi(4.2mL,6.8ミリモル)を滴下し1時間攪拌した。その後、塩化トリブチルスズ(2.3g,6.9ミリモル)を加え、さらに30分間攪拌した後、常温に戻し、さらに2時間攪拌した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(Al;ヘキサン)で精製を行い、黄色の油状物質として、下記式で表される4−(3’,4−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(5b)を得た(2.4g 54%)。
Figure 2011057937
5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,3’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(6a)
上述のようにして得られた4−(3,3’−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(1.2g,1.4ミリモル)、5−ブロモチオフェンー2−カルボアルデヒド(290mg,1.5ミリモル)、Pd(PPh(40mg,0.035ミリモル)をトルエン(40 mL)に溶解し、24時間還流を行った。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(SiO:ヘキサン:塩化メチレン)を行い、赤色の油状物質として、下記式で表される5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,3’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(6a)を得た(760mg,80%)。
H NMR(300MHz,CDCl3):δ9.86(s,1H),7.67(d,J=4.2Hz,1H),7.46(AA’XX’,J=8.7Hz,2H),7.30−7.23(m,6H),7.14−7.02(m,9H),2.58−2.55(m,4H),1.70−1.50(m,4H),1.40−1.20(m,12H),0.90−0.80(m,6H).
Figure 2011057937
2−シアノ−3−(5’’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−4’,3’’−ジヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェン−5−イル)アクリル酸(化合物1a)
アルゴン雰囲気下、上述のようにして得られた5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,3’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(300mg,0.35ミリモル)、2−シアノ酢酸(40mg,0.47ミリモル)、酢酸アンモニウム(20mg)を、酢酸(10mL)及びアセトニトリル(10mL)を溶媒として3時間還流した。溶媒を留去した後、再結晶(アセトニトリル)により黒色固体として、下記式で表される2−シアノ−3−(5’’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−4’,3’’−ジヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェン−5−イル)アクリル酸(化合物1a)を得た(143mg,55%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ8.32 (s, 1H), 7.70 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.46 (AA’XX’, J = 8.7 Hz, 2H), 7.35-7.20 (m, 6H), 7.15-7.00 (m, 9H), 2.59-2.53 (m, 4H), 1.65-1.55 (m, 4H), 1.40-1.20 (m, 12H), 0.95-0.85 (m, 6H). HR−MS/FAB (M) Calcd for C4646: 754.2721; Found: 754.2725.
元素分析計算値、C73.17%、H6.14%、N3.71%、実測値C73.06%、H6.22%、N3.64%。
Figure 2011057937
5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,4’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(6b)
上述のようにして得られた4−(3’,4−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(1.4g,1.6ミリモル)、5−ブロモチオフェンー2−カルボアルデヒド(303mg,1.6ミリモル)、Pd(PPh(40mg,0.035ミリモル)をトルエン(40 mL)に溶解し、24時間還流を行った。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(SiO:ヘキサン:塩化メチレン)を行い、赤色の油状物質として、下記式で表される5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,4’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(6b)を得た(699mg,63%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ9.88 (s, 1H), 7.66 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 7.35-7.25 (m, 8H), 7.25-7.04 (m, 9H), 2.79 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.67 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 1.75-1.55 (m, 4H), 1.45-1.25 (m, 12H), 0.95-0.85 (m, 6H). MS (FAB): m/z (rel intensity) 687 (M+, 100).
Figure 2011057937
2−シアノ−3−(5’’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−4’,4’’−ジヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェン−5−イル)アクリル酸(化合物1b)
アルゴン雰囲気下、上述のようにして得られた5’’―(4−(ジフェニルアミノ)フェニル−4’,4’’ージヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェンー5−カルボアルデヒド(269mg,0.39ミリモル)、2−シアノ酢酸(60mg,0.71ミリモル)、酢酸アンモニウム(20mg)を、酢酸(10mL)及びアセトニトリル(10mL)を溶媒として3時間還流した。溶媒を留去した後、再結晶(アセトニトリル)により黒色固体として、下記式で表される2−シアノ−3−(5’’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−4’,4’’−ジヘキシル−2,2’;5’,2’’−ターチオフェン−5−イル)アクリル酸(化合物1b)を得た(241mg,82%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ8.30 (s, 1H), 7.68 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.35-7.20 (m, 8H), 7.20-7.00 (m, 9H), 2.79 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.67 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 2.00-1.60 (m, 4H), 1.45-1.25 (m, 12H), 0.95-0.85 (m, 6H). HR−MS/FAB (M) Calcd for C4646: 754.2721; Found: 754.2719. 元素分析計算値、C73.17%、H6.14%、N3.71%、実測値C73.17%、H6.14%、N3.71%。
Figure 2011057937
6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(7a)
上述のようにして得られた4−(3,3’−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン(2.4g,2.7ミリモル)、6−ブロモニコチンアルデヒド(599mg,3.3ミリモル)、Pd(PPh(160mg,0.14ミリモル)をトルエン(40 mL)に溶解し、24時間還流を行った。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(SiO:ヘキサン:塩化メチレン)を行い、その後、再結晶(メタノール)を行うことにより、赤色の油状物質として、下記式で表される6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(7a)を得た(512mg,29%)。
H NMR(300MHz,CDCl3):δ10.06(s,1H),8.97(d,J=1.5Hz,1H),8.15(dd,J=8.1,2.1Hz,1H),7.76(d,J=8.1Hz,1H),7.64(s,1H),7.47(AA’XX’,J=9.0Hz,2H),7.30−7.20(m,5H),7.15−7.00(m,8H),2.65−2.50(m,4H),1.60−1.55(m,4H),1.40−1.20(m,12H),0.90−0.80(m,6H).
Figure 2011057937
2−シアノ−3−(6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(化合物2a)
アルゴン雰囲気下、上述のようにして得られた 6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3,3’−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(355mg,0.52ミリモル)、2−シアノ酢酸(150mg,1.68ミリモル)、酢酸アンモニウム(20mg)を、酢酸(10mL)及びアセトニトリル(10mL)を溶媒として3時間還流した。溶媒を留去した後、再結晶(アセトニトリル)により黒色固体として、下記式で表される2−シアノ−3−(6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3−ヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(化合物2a)を得た(276mg,71%)。
H NMR(300 MHz,CDCl):δ8.82(s,1H),8.67(d,J=8.4Hz,1H),8.26(s,1H),7.76(d,J=8.4Hz,1H),7.65(s,1H),7.47(d,J=8.4Hz,2H),7.35−7.00(m,13H),2.70−2.50(m,4H),1.70−1.50(m,4H),1.40−1.20(m,12H),0.95−0.80(m,6H).MS(FAB):m/z(%)749(M,100).元素分析計算値、C75.26%、H6.32%、
N5.60%、実測値、C75.44%、H6.55%、N5.46%。
Figure 2011057937
6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3’,4−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(7b)
上述のようにして得られた4−(3’,4−ジヘキシル−5’−(トリブチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン−5−イル)−N,N−ジフェニルアニリン、6−ブロモニコチンアルデヒド(434mg,2.4ミリモル)、Pd(PPh(100mg,0.09ミリモル)をトルエン(40mL)に溶解し24時間還流を行った。溶媒を留去させ、カラムクロマトグラフィー(SiO:ヘキサン:塩化メチレン)を行い、その後、再結晶(メタノール)を行うことで赤色の油状物質として、下記式で表される6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3’,4−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(7b)を得た(674mg,43%)。
H NMR(300MHz,CDCl3):δ10.05(s,1H),8.96(d,J=2.1Hz,1H),8.14(dd,J=8.4,1.8Hz,1H),7.74(d,J=8.4Hz,1H),7.57(s,1H),7.35−7.25(m,7H)7.20−7.03(m,8H),2.84(t,J=7.5Hz,2H),2.68(t,J=7.5Hz,2H),1.80−1.60(m,4H),1.50−1.20(m,12H),1.00−0.80(m,6H).
Figure 2011057937
2−シアノ−3−(6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3’,4−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(化合物2b)
アルゴン雰囲気下、6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3’,4−ジヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ニコチンアルデヒド(355mg,0.52ミリモル)、2−シアノ酢酸(150mg,1.68ミリモル)、酢酸アンモニウム(20mg)を、酢酸(10mL)、アセトニトリル(10mL)を溶媒として3時間還流した。溶媒を留去した後、再結晶(アセトニトリル)により黒色固体として、下記式で表される2−シアノ−3−(6−(5’−(4−(ジフェニルアミノ)フェニル)−3−ヘキシル−2,2’−ビチオフェン−5−イル)ピリジン−3−イル)アクリル酸(化合物2b)を得た(276 mg,71%)。
H NMR(300 MHz,CDCl):δ8.80(s,1H),8.65(d,J=8.1Hz,1H),8.25(s,1H),7.72(d,J=8.1Hz,1H),7.57(s,1H),7.35−7.00(m,15H),2.90−2.80(m,2H),2.73−2.62(m,2H),1.80−1.60(m,4H),1.50−1.20(m,12H),1.00−0.80(m,6H).MS(FAB):m/z(%)749(M,100).元素分析計算値、C75.26%、H6.32%、
N5.60%、実測値、75.19%、H6.08%、N5.37%。
Figure 2011057937
実施例1
化合物2a及び1aが、π共役架橋部分に捻れた構造を有するかどうかを調べるため、上記のように合成された化合物1a、1b、2a及び2bの最大吸収波長を測定した。測定は、それぞれの化合物の10−4〜10−6Mの溶液を作成して実施した。結果を下記表1に示す。
Figure 2011057937
上記表1から明らかなように、化合物1aは、n-ヘキシル基が結合する部分のみ異なる化合物1bと比べ、その最大吸収波長が短波長にシフトしていることがわかった。同様に、化合物2aは、n-ヘキシル基が結合する部分のみ異なる化合物2bと比べ、その最大吸収波長が短波長にシフトしていることがわかった。この結果より、化合物1a及び2aは、π共役架橋部分に捻れた構造を有するものであることがわかる。
実施例2
(1)有機色素吸着酸化チタン薄膜電極の作製
チタン・テトライソプロポキシドの加水分解により作製した酸化チタンコロイドをオートクレービングすることにより結晶性の酸化チタンナノ粒子を得た。これに、バインダーとしてエチルセルロース、溶媒としてα−テルピネオールを混合した有機性のペーストを作製した。あるいは、市販の酸化チタンペースト(たとえば、Solaronix社製)を用いても良い。上記酸化チタンペーストをスクリーン印刷法により、酸化スズコート導電性ガラス上に塗布し、空気中500℃で1〜2時間焼成することにより、膜厚が3〜20ミクロンの酸化チタン薄膜電極を得た。この電極を、0.3mMの有機色素溶液(溶媒は、クロロホルム、t−ブタノール、アセトニトリル1:1:1混合溶媒)に浸漬し、室温で10時間以上放置することにより、有機色素吸着酸化チタン薄膜電極を得た。
(2)光電気化学太陽電池の作製と光電変換特性の評価1
前記(1)で作製した酸化チタン薄膜電極(膜厚3ミクロン)に色素を吸着させ、白金をスパッタした酸化スズコート導電性ガラスを対極として、ポリエチレンフィルムスペーサーを挟んで重ね合わせ、その隙間に電解液である0.6 Mヨウ化1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム−0.1 Mヨウ化リチウム−0.05 Mヨウ素−0.5 M t-ブチルピリジンのアセトニトリル溶液を注入し、ゼムクリップでとめセルを作製した。セルの光電変換特性の測定は、光源としてキセノンランプとAMフィルターからなるソーラーシミュレーターを用い、光電流電圧特性は、ソースメーターを用いて測定した。なお、膜厚は5.5μmで実施した。結果を表1に示す。
また、以下の化学式で表される化合物を、それぞれ、比較例1、2、3として用い、同様に評価を行った。
Figure 2011057937
ここで、TBAはテトラブチルアンモニウムカチオンを示す。
Figure 2011057937
Figure 2011057937
Figure 2011057937
表2において、Jscは光短絡電流密度、Vocは光開放電圧、Fill factorは形状因子、ηは光電変換効率を表す。表1からは、本願発明の化合物1a及び2aは、いずれも、従来より色素増感太陽電池に用いられている色素である、N719色素(ルテニウム錯体)と同等のVocを得ることができることがわかった。
(3)光電気化学太陽電池の作製と光電変換特性の評価2
膜圧を15.1μmにし、(2)と同様に評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2011057937
(3)酸化チタン中の電子寿命の評価
前記(1)で作製した本発明で合成した有機色素を用いた太陽電池における、酸化チタン電極中の電子寿命を、励起レーザー光およびポテンシオスタットを用いたIntensity-modulated photovoltage spectroscopy (IMVS法、例えば、J. Phys. Chem. B, 109, 3480 (2005), J. Phys. Chem. B, 109, 23776 (2005))により評価した。色素が吸着された酸化チタン中の電子寿命は、酸化チタン中の電子密度に依存するため、比較は電子密度が同じ状態で比較する必要がある。表4に電子密度が2×1018cm−3での結果を示す。なお、上記比較例1及び2についても同様に評価を行った。
Figure 2011057937
表4から明らかなように、従来のルテニウム色素等の電子寿命より本発明の化合物の電子寿命が長く、優れていることが明らかである。化合物1aは化合物1bよりも電子寿命が長く、化合物2aは化合物2bよりも電子寿命が長かった。この結果より、本発明の一般式(1)で表わされる部分構造を有する色素は電子寿命が大幅に長くなっていることがわかる。これらの長い電子寿命は、酸化チタン中の電子がヨウ素レドックスイオンとの再結合が起こりにくいことを示しており、Vocの向上に結び付いている。一般的に、Vocを向上させることは太陽電池特性の向上に重要でかつ困難なこととして知られているために、本特許で提案されている捩じれた構造を有する色素が大きな可能性を有していることは明らかであるといえる。

Claims (8)

  1. 電気供与性基と電子受容性基とがリンカー部位を介して結合した色素であって、下記一般式(1)で表わされる部分構造を有する色素。
    Figure 2011057937
    (式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
  2. 下記一般式(2)で表わされる色素。
    Figure 2011057937
    (式中、Rは、それぞれは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18個のアルキル基、炭素数1〜18個のアルコキシ基又は芳香族基(さらに環状に架橋されていても良い)を表わし、Rは下記式(3)で表わされる置換基であり、Rは、置換されていてもよい芳香族基又は複素環基を表わし、nは1〜3の整数を表わす)
    Figure 2011057937
    (式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表わし、R及びRは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、脂肪族基、置換されていてもよい芳香族基又は置換されていてもよい複素環基を表わし、mは0〜4の整数を表わす)
  3. mが0であり、R及びRが、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいジフェニルアミノフェニレン基、ジフェニルアミノビフェニレン基、フェナジン基、フェノチアジン基又はフェノキサジン基である、請求項2記載の色素。
  4. mが0であり、R及びRがフェニル基である、請求項2記載の色素。
  5. nが1であり、Rがn−ヘキシル基である、請求項2記載の色素。
  6. が、チエニレン基又はピリジレン基である、請求項1〜5のいずれか1項記載の色素。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の色素を増感色素として用いる色素増感太陽電池。
  8. 陽極と、陰極と、電解質とを備え、前記陰極は、透明導電性ガラスからなる基材と、その表面に形成された酸化物薄膜電極とを有し、前記酸化物薄膜電極に、請求項1〜6のいずれか1項記載の色素が吸着されている、色素増感太陽電池。
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