JP2011054382A - 導電性膜の製造方法、及び、導電性膜 - Google Patents

導電性膜の製造方法、及び、導電性膜 Download PDF

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Abstract

【課題】PETフィルム等の汎用高分子基板を用いることが可能であり、線幅、網目が細かく、ディスプレイ等に用いた場合には、モアレ等が生じない網目状の導電性膜を、簡易かつ安価に製造することができる製造方法、及び、導電性膜を提供する。
【解決手段】金属錯体及び/又は還元剤を含む有機溶媒分散体を基板に塗布して、網目状の導電性膜を製造する方法であって、該製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程と無電解めっきを行う工程とを必須として導電性膜を形成することを特徴とする導電性膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性膜の製造方法、及び、導電性膜に関する。より詳しくは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパー(デジタルペーパー)等の薄型ディスプレイ、タッチパネルに好適に用いることができる導電性膜の製造方法、及び、導電性膜に関する。
導電性膜は、種々の電気機器へ適用されており、特に近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパー(デジタルペーパー)等の薄型ディスプレイの需要が拡大しており、このような用途に適用される導電性膜として、光透過性、導電性に優れるものが求められており活発に研究開発が行われている。
光透過性を有する導電性膜としては、現在では、酸化インジウム錫(ITO)が用いられることが一般的である。酸化インジウム錫により作成された導電性膜は、光透過性、導電性のバランスに優れており、通常の液晶ディスプレイ等だけではなく、例えば、タッチパネル用途等にも使用されている。しかしながら、インジウムのような希金属は高価であり、また、資源枯渇のおそれがあるため、より安価で、資源枯渇のおそれが少ない材料を用いた光透過性を有する導電性膜が求められているところであった。また、ITOの成膜には通常、スパッタリング法等が用いられているため、生産性が低い点でも改善の余地があった。
光透過性を有する導電性膜の形態としては、酸化インジウム錫のように、光透過性と導電性を有する材料を用いた導電性膜の形態や、パターン印刷により得られるパターンを持った導電性膜の形態等が挙げられる。パターンを持った導電性膜のパターン印刷による製造方法としては、例えば、透明基材上に還元剤を含有するインキによりパターン印刷を行い、還元剤含有パターン層を形成し、その還元剤含有パターン層上に還元により無電解めっき触媒になり得る金属イオンを含む金属イオン溶液を塗布することで、還元剤と金属イオンとの接触により金属イオンを還元して無電解めっき触媒層を形成し、その無電解めっき触媒層上にめっき処理により導電性金属層を形成させる透明導電性部材の製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、透明基体表面上に無電解メッキ触媒とバインダーを含有するペーストでパターン印刷を行い、このパターン印刷された無電解メッキ触媒上に無電解メッキ処理を施してパターン印刷部のみに金属層を形成させる透明導電膜の製造方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。パターンを持った導電性膜のその他の方法による製造方法としては、例えば、透明基板の表面上に高分子微粒子を配列し、加熱または圧力により高分子微粒子を変形させ、高分子微粒子と透明基板との間にできる空隙からなる鋳型を形成し、その鋳型内の透明基板上に無電解めっき処理により金属層を形成させる、透明基板の表面に網目状に形成された導電層からなる導電パターンを有する透明導電膜の製造方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。また、導電性金属で構成された線状部が基板上で二次元ネットワーク状に連なっており、かつ基板の全表面の面積に対して線状部の占める面積の割合が20%以下である透明電極(例えば、特許文献4参照。)が開示されており、それには、導電性金属微粒子を有機溶媒中に分散させた塗布液を透明基板上に塗布し、かつ高湿度下で乾燥させて透明電極前駆体を形成する乾燥工程と、前記透明電極前駆体を焼成する焼成工程とを含む透明電極の製造方法が開示されている。
特開2009−123408号公報(第1、2、10、11頁) 特許第3895229号公報(第1、2、6−8頁) 特開2008−27636号公報(第1、2、7−9頁) 特開2008−243547号公報(第1、2、8−11頁、図2)
上述したように、安価に光透過性を有する導電性膜を製造する方法について様々な方法が検討されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2では、パターン印刷により得られるパターン上に導電性金属層が形成されるため、線幅、網目の細かいパターンを形成することができない。実際、特許文献1の実施例では、線幅20μm、線間200μmの正方形格子パターンが形成され、特許文献2の実施例では、ライン線幅約60μm、開口径約440μmの格子状パターンが形成されている。このように製造されたパターンを持った導電性膜では、透過率の向上、モアレ防止等のため、更に線幅、網目を細かくすることへのニーズがあり、改善が求められるところであった。また、光透過率が低く、面内での導電性の均一度が低いために、ディスプレイ用の透明電極等に用いることは難しいものであった。
更に、特許文献2においては、透明基体表面上に無電解メッキ触媒とバインダーを含有するペーストでパターン印刷を行うため、多くの高価な無電解メッキ触媒が無駄になり、コストが高くなってしまう問題を孕んでおり、生産性の観点からも改善の余地があった。同様に、特許文献3では、パターンを作るために高分子微粒子を用いることから、高分子微粒子を配列し、加熱または圧力により高分子微粒子を変形させる工程が必要であり、導電性金属層を形成した後に高分子微粒子を除去する工程が必要であるため、複雑な工程を行う必要があり、また、工程数が多いものであった。そのため、生産性の観点から改善の余地があった。
また、特許文献4では、上述したように透明電極前駆体を焼成する高温での焼成工程が必要であり、そのために、基板としてPETフィルム等の汎用高分子フィルムを用いた導電性膜の製造に適用することができないものであった。更には、特許文献4の実施例において焼成後に得られたもののSEM写真(特許文献4の図2参照。)からは、導電性金属で構成された線状部の二次元ネットワークの形成は確認できず、表面の全面に渡り無秩序な凹凸が形成されているとしか見えない。そのような状態においては、開口部の面積が充分に確保されないものと考えられる。したがって、導電性膜の製造方法、及び、製造される導電性膜のパターン形成の両方において改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、PETフィルム等の汎用高分子基板を用いることが可能であり、線幅、網目が細かく、ディスプレイ等に用いた場合には、モアレ等が生じない網目状の導電性膜を、簡易かつ安価に製造することができる製造方法、及び、導電性膜を提供することを目的とするものである。
本発明者は、汎用高分子基板を用いることができ、線幅、網目の細かい網目状の導電性膜を製造する方法について種々検討し、導電性膜のパターンの形成方法に着目した。そこで、塗布された金属錯体及び/又は還元剤を含む有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程により、金属錯体及び/又は還元剤を含むパターンを形成すると、簡易かつ安価に線幅、網目の細かい網目状パターンを形成することができ、形成された網目状パターンに無電解めっきを行うと、網目状パターンを有する導電性膜の製造ができることを見出した。このような方法によると、製造工程中に焼成工程を含めることなく、簡易かつ安価に線幅、網目の細かい網目状パターンを有する導電性膜を製造できることから、汎用高分子基板を用いることが可能であり、また、生産性も向上できることを見いだし、上記課題を見事に解決できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、金属錯体及び/又は還元剤を含む有機溶媒分散体を基板に塗布して、網目状の導電性膜を製造する方法であって、上記製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程と無電解めっきを行う工程とを必須として導電性膜を形成する導電性膜の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の導電性膜の製造方法は、金属錯体及び/又は還元剤を含む有機溶媒分散体を基板に塗布して網目状の導電性膜を製造する方法である。このような方法では、例えば、スパッタリング法や、メッキを行う方法等と比較して、簡易、かつ低コストで製膜を行うことができ、製造コストの削減、生産性の向上等を図ることができる。以下、基板上に塗布された有機溶媒分散体の膜を「塗膜」ともいう。
なお、網目状の導電性膜における網目状線部と空孔部との配置形態としては、ランダム状であってもよいし、規則的に並んでいる状態であってもよい。また、大きめの網目や小さめの網目が混在し、いくつか網目が切れているところがあってもよいが、全体的に見れば、ミクロな技術分野において網目状の構造が認められると評価されるものであることが望ましい。すなわち、マイクロスコープで観察して、網目状の構造が確認できればよい。網目状の構造は、導電性膜全面に形成されていることが好ましいが、導電性膜が用いられる用途に応じて適宜設定されればよく、導電性膜としての機能が発揮され得る限り部分的であってもよい。その他の網目状の好ましい形態については後述する。
上記導電性膜の製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を含むものである。この工程の一例を示す、時間の経過による塗膜断面の概念図が図1−1である。図1−1の左側から右側にいくにしたがって時間が経過しているものとなる。図1−1で示すように、基板11に塗布された有機溶媒分散体(以下、「塗膜」ともいう。)の表面で結露を生じさせることで、水滴13を凝集させることなく、塗膜12中に取り込むことができ、有機溶媒と水滴とが蒸発することで網目状のパターンを形成することができる。これによれば、有機溶媒を蒸発させながら、結露により生じた水滴を塗膜中に取り込むことができる。そして、有機溶媒が蒸発し、更に取り込まれた水滴を乾燥させることにより、取り込まれた水滴に対応する空孔部を形成することができる。これにより、金属錯体及び/又は還元剤から形成された網目状線部と、空孔部とが形成される。この工程の後に、無電解めっきを行うことで、網目状の導電性膜を得ることができる。このように、本発明の導電性膜の製造方法を用いることによって、簡易かつ低コストに、優れた透過性及び導電性を有する網目状の導電性膜を製造することができる。すなわち、上記導電性膜の製造方法により形成された導電性膜は、網目状線部と空孔部とによって形成された網目状の導電性膜であることが好ましい。
上記導電性膜の製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を必須とするものである。塗膜表面で結露させることは、塗膜表面付近の湿度や、塗膜表面付近の雰囲気と塗膜表面との温度差を調整することによって行うことができる。すなわち、塗膜表面で結露する条件とすればよい。本発明においては、塗膜表面に網目状線部と空孔部とが形成されていることから、これは、図1−1に示したような機構によって、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させることによって生じたものであることが技術的に見て明らかである。
上記のことから、本発明の導電性膜の製造方法は、塗布された有機溶媒を、塗膜表面で結露が生じる条件で蒸発させる工程を含むものということもできる。塗膜表面で結露が生じる条件とは、例えば、有機溶媒を蒸発させる雰囲気の露点を、塗膜表面の温度よりも高いものとする条件である。結露を生じさせる方法としては特に限定されるものではないが、例えば、塗膜表面の温度を、有機溶媒を蒸発させる雰囲気の露点以下に冷却する方法、上記有機溶媒を蒸発させる雰囲気を加湿雰囲気として、該雰囲気の露点を塗膜表面の温度より高くする方法等が好適である。これらの方法は、一つの方法で用いてもよいし、複数の方法を組み合わせて用いてもよい。複数の方法を組み合わせて行うことによって、有機溶媒を蒸発させる条件をより精密に制御することができ、導電性膜の形態を調整することができる。
上記塗膜表面の温度を、有機溶媒を蒸発させる雰囲気の露点以下に冷却する方法としては特に限定されるものではないが、冷却素子等を用いて塗膜を強制的に冷却する方法、有機溶媒の蒸発潜熱により塗膜表面温度を低くする方法等が挙げられる。また、冷却素子等を用いて塗膜を強制的に冷却する方法としては、有機溶媒分散体を塗布した基板を冷却することで、塗膜表面の温度を冷却することも好ましい。このような方法で冷却することにより、塗膜表面の温度と、有機溶媒を蒸発させる雰囲気の温度との差が大きくなるため、より簡易に結露を生じさせることができる。すなわち、塗膜表面の温度を有機溶媒を蒸発させる雰囲気の温度よりも低くすることが好ましい。例えば、ペルチェ素子等の冷却機器を用いることによって、有機溶媒分散体を塗布した基板を冷却する方法が好ましい方法の一つとして挙げられる。この方法であると、塗膜表面の温度制御と、有機溶媒を蒸発させる塗膜周囲の雰囲気の制御とを独立して行うことができるため、より精密な条件設定を行うことができる。条件をより調整することにより、製造される導電性膜の形状、透過率、導電率等を制御することができるため、種々の用途に応じて好適な形態の導電性膜を形成することができる。
上記有機溶媒を蒸発させるときに塗膜表面で結露が生じるようにするためには、加湿雰囲気とすることが好ましい。すなわち、上記有機溶媒の蒸発を行う工程は、加湿雰囲気下で有機溶媒を蒸発させる工程であることが好ましい。加湿雰囲気とすることによって、有機溶媒分散体の表面で結露が生じやすくなる。上記有機溶媒を蒸発させる際の雰囲気を加湿雰囲気として、該露点を塗膜表面の温度より高くする方法としては、有機溶媒の蒸発を行う周囲全体を加湿する方法、加湿気体を塗膜表面に吹きつける方法等が好適である。加湿雰囲気とすることによって、塗膜表面で結露が生じやすくなる。加湿気体を塗膜表面に吹きつける際には、吹きつける速度等によって、塗膜の中に取り込まれる水滴の形状、量等が変化するため、吹きつける速度を調整することによって、有機溶媒を蒸発させる条件を調整することができる。これにより、導電性膜の形状を制御することができ、その特性(光透過率、導電性等)を向上させることができる。なお、上記加湿雰囲気は、加湿されるのと同様な条件、すなわち有機溶媒分散体の塗膜表面で結露が生じるのに充分な湿度となる雰囲気であればよく、加湿されていてもよいし、湿度の高い環境下で、有機溶媒を蒸発させる工程を行ってもよい。
上記加湿雰囲気は、相対湿度が50%以上であることが好ましい。相対湿度が50%以上と高いことによって、上記塗膜表面で結露が生じやすくなり、効率的に導電性膜の製造を行うことができる。相対湿度としては、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
上記加湿気体を吹きつける風速の上限としては、流速として5m/s(300m/min)以下であることが好ましい。5m/sを超える流速で加湿気体を吹きつける場合、塗布された有機溶媒分散体の形状が、加湿気体を吹きつけることにより変化し、有機溶媒を乾燥させた後の膜形状を目的の形状に保持することができないおそれがある。加湿気体を吹きつける風速の上限としてより好ましい流速としては、3m/s(180m/min)以下であり、更に好ましくは、1m/s(60m/min)以下である。また、上記風速の下限としては、0.02m/min以上であることが好ましい。風速が0.02m/min以下である場合には、塗布された有機溶媒分散体中に、水滴が充分に取り込まれないおそれがある。風速の下限としてより好ましい流速としては、0.1m/minであり、更に好ましくは、0.2m/min以上であり、特に好ましくは、0.4m/min以上である。加湿気体を吹きつける時間の上限としては、生産性の観点からは、1時間以内であることが好ましい。より好ましくは、40分以内であり、更に好ましくは、30分以内である。加湿気体を吹きつける時間の下限としては、1分以上であることが好ましい。1分未満であると、有機溶媒の蒸発が充分に行うことができないおそれがあり、また、有機溶媒分散体中へ水滴が充分に取り込まれないおそれがある。より好ましくは、5分以上であり、更に好ましくは、10分以上である。例えば、20分程度(15〜25分)が好適な時間である。吹きつける加湿気体の相対湿度についても、上述と同様に、相対湿度が50%以上であることが好ましく、更に好ましくは、55%以上であり、特に好ましくは、60%以上である。
ここで、導電性膜を製造する方法について図1−2を用いて説明する。図1−2は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を示すフロー図である。図1−2(a)で示すように、基板11に塗布された有機溶媒分散体(以下、「塗膜」ともいう。)は、塗膜12を形成した基板11を冷却する方法や加湿気体を吹きつける方法により塗膜表面で結露が生じる条件とすることで、図1−2(b)に示すように、塗膜の表面で結露が生じることとなる。結露により生じた水滴13は、図1−2(c)及び図1−2(d)に示すように塗膜12中に取り込まれる。また、塗布された有機溶媒分散体は、時間が経過するとともに、有機溶媒が蒸発し、薄くなっていく。そして、有機溶媒と、加湿雰囲気によって取り込まれた水滴とが蒸発することによって、図1−2(e)に示すように、有機溶媒が蒸発した膜は空孔部14及び網目状線部15が形成されたものとなる。このようにして、網目状のパターンが形成されることとなる。また、図2は、有機溶媒が蒸発した後の膜の形態を示す平面模式図であるが、形成された空孔部14の周りに金属錯体及び/又は還元剤を含んでなる網目状線部15が形成される。
また、図3に示すように、ペルチェ素子20を用いて、基板21及び塗膜22の冷却を行い、更に加湿気体を塗布された有機溶媒分散体に吹きつけることにより有機溶媒を蒸発させる方法は、本発明の導電性膜の製造方法の好適な形態の一つである。すなわち、上記製造方法は、基板及び塗膜の冷却を行い、かつ加湿気体を塗膜に吹きつけ、該塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を含む製造方法が好ましい。
本発明の導電性膜の製造方法は、無電解めっきを行う工程を必須とするものである。無電解めっき処理により導電性金属層を形成することにより、焼成する工程を行うことなく導電性膜を製造することが可能となるために、ガラスと比較して耐熱性の低いPETフィルム等の汎用の高分子フィルムを基板として用いることができることになる。
なお、本発明の導電性膜の製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程と無電解めっきを行う工程とを必須として含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
上記無電解めっきを行う工程としては、通常の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられる無電解めっき技術を用いることができる。中でも、無電解銅めっきにより行われることが好ましい。
本発明における無電解めっきを行う工程において用いられる無電解めっき液に含まれる化学種としては、通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Cr、Zn、Sn等の硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酸化物等が挙げられる。これらの中でも、めっきの安定性、導電性の観点から、Cu、Agの硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酸化物であることが好ましい。
これら化学種としては、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記無電解めっき液は、還元剤、錯化剤、添加剤等を必要に応じて含むことができる。
上記還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、グリオキシル酸、ホスフィン酸塩、(D)−グルコース等が挙げられる。これらの中でもホルマリン、グリオキシル酸、(D)−グルコースを用いることが好ましい。より好ましくは、ホルマリン、(D)−グルコースを用いることである。
これら還元剤としては、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記錯化剤としては、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸又はそれらのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩、等のカルボン酸又はその塩;グリシン等のアミノ酸;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、アルキルアミン、等のアミン類;アンモニア、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ピロリン酸又はその塩等が挙げられる。これらの中でもトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アンモニア、EDTAを用いることが好ましい。より好ましくは、トリエタノールアミン、アンモニア、EDTAを用いることである。
これら錯化剤としては、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記添加剤としては、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上のために、黄血塩、2,2′−ビピリジル、チオ尿素、シアン化物、o−フェナントロリン、ネオクプロイン、ポリエチレングリコール、グリシン、アデニン等を用いることができる。
これら添加剤としては、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明における有機溶媒分散体は、金属錯体及び/又は還元剤を含むものである。有機溶媒分散体が、金属錯体及び/又は還元剤を含むとは、有機溶媒分散体が(1)金属錯体を含む形態、(2)還元剤を含む形態、並びに、(3)金属錯体及び還元剤を含む形態のいずれかを表している。(1)有機溶媒分散体が金属錯体を含む形態の場合には、本発明の製造方法としては、有機溶媒分散体を基板に塗布して、塗布された有機溶媒分散体を塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程の後に、無電解めっきを行うこととなる。この場合、無電解めっきを行う前に、塗膜表面に還元剤を塗布して、金属錯体を還元することが好ましい。逆に、(2)有機溶媒分散体が還元剤を含む形態の場合には、本発明の製造方法としては、有機溶媒分散体を基板に塗布して、塗布された有機溶媒分散体を塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程の後に、塗膜表面に金属錯体を塗布して、無電解めっきを行うこととなる。また、(3)有機溶媒分散体が金属錯体及び還元剤を含む形態の場合には、本発明の製造方法としては、有機溶媒分散体を基板に塗布して、塗布された有機溶媒分散体を塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程の後に、無電解めっきを行うこととなる。なお、有機溶媒分散体が金属錯体及び還元剤を含む場合には、還元剤の還元作用により金属錯体の金属が析出してしまわずに、導電性膜を製造することができる程度に、有機溶媒分散体は、金属錯体と還元剤とを含むことができる。
上記金属錯体としては、有機溶媒に溶解するものであれば特に制限されないが、パラジウム、白金、金、銀、銅、鉄、ニッケル、錫、クロム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、バナジウム、ルテニウム等の金属の錯体を用いることができる。例えば、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム等のパラジウム錯体;酢酸銀等の銀錯体;銅アセチルアセトナート、ビス(サリチルアルデヒダト)銅等の銅錯体;白金アセチルアセトナート等の白金錯体等が挙げられる。これらの中でも、有機溶媒への溶解性、無電解めっき触媒としての性能の観点から、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム等のパラジウム錯体を用いることがより好ましい。特に好ましくは、パラジウムアセチルアセトナート、ビスアセトニトリルジクロロパラジウムである。
これらの金属錯体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記金属錯体の含有量は、有機溶媒分散体100質量%に対して、金属錯体の含有量が0.001〜10質量%であることが好ましい。0.001質量%未満であると、無電解めっき触媒として働かないおそれがある。10質量%を超えると、高価な貴金属錯体を多量に用いることになり、経済的に望ましくない。金属錯体の含有量としてより好ましくは、0.001〜5質量%であり、更に好ましくは、0.001〜1質量%である。
上記還元剤としては、金属錯体を還元することのできるものであればよいが、例えば、Pb、Sn、Ni、Co、Zn、Ti、Cu等の金属;Sn(II)、Fe(II)等の金属塩;次亜リン酸ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、グリオキシル酸、ホスフィン酸塩、(D)−グルコース等が挙げられる。これらの中でも、Sn(II)、Fe(II)の金属塩、ヒドラジンが好ましい。
これらの還元剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記還元剤の含有量は、有機溶媒分散体100質量%に対して、0.001〜10質量%であることが好ましい。0.001質量%未満であると、無電解めっき触媒として働かないおそれがある。10質量%を超えると、還元剤を多量に用いることになり、経済的に望ましくない。還元剤の含有量としてより好ましくは、0.001〜5質量%であり、更に好ましくは、0.001〜1質量%である。
上記有機溶媒分散体は、有機溶媒に金属錯体及び/又は還元剤が分散された分散体であり、有機溶媒、金属錯体及び還元剤以外の物質を含んでいてもよい。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、種々の有機溶媒を用いることができる。
上記有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタン等のベンゼン系炭化水素等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−デカン等のパラフィン系炭化水素、アイソパー(Isopar、エクソン化学社製)等のイソパラフィン系炭化水素、1−オクテン、1−デセン等のオレフィン系炭化水素、シクロヘキサン、デカリン等のナフテン系炭化水素等の脂肪族炭化水素類;ケロシン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、工業ガソリン、コールタールナフサ、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油や石炭由来の炭化水素混合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロフルオロエタン、テトラブロモエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラフルオロジヨードエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノール、メチルセロソルブ等のアルコール類;ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;二硫化炭素等が好ましい。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記有機溶媒としては、疎水性の有機溶媒が好ましい。疎水性の有機溶媒を用いることによって、加湿雰囲気下に置いた場合に、より安定した形態で有機溶媒分散体中に水滴を取り込むことができる。また、有機溶媒としては、非極性の有機溶媒であることが好ましい。非極性であることにより、極性分子である水に溶けにくいものとなるため、塗膜に取り込まれた水滴の形態をより好適に保持することができる。非極性の有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;脂肪族炭化水素系溶媒等を好ましく用いることができる。有機溶媒の蒸発速度、水の溶解度の点から、すなわち、比較的蒸発速度が速く、水滴が結露しやすく、かつ水と混じりにくい点からは、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等がより好ましい。上記有機溶媒としては、極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒であってもよい。例えば、芳香族炭化水素溶媒とケトン系溶媒との混合溶媒、芳香族炭化水素とアミド系溶媒との混合溶媒等であってもよい。
上記有機溶媒の比重は、水の比重以下であることが好ましい。有機溶媒の比重が水の比重よりも大きい場合、塗膜表面で結露した水滴が有機溶媒分散体中に取り込まれないおそれがある。有機溶媒の比重として具体的には、室温(20℃)での比重が1.00以下であることが好ましく、0.95以下であることがより好ましく、0.90以下であることが更に好ましい。
上記有機溶媒の粘度としては、室温(20℃)において2mPa・s以下であることが好ましい。塗布された有機溶媒分散体中に水を取り込む場合、有機溶媒の粘度が高すぎると、充分に水滴を取り込むことができないおそれがある。
上記有機溶媒分散体は、水及び有機溶媒に対する両親媒性化合物を含有することが好ましい。両親媒性化合物を含有することによって、界面活性機能により塗膜中に取り込んだ水滴の形状を好適な形態で保持することが容易となり、例えば、水滴同士の凝集を制御することができるようになり、導電性膜の網目が形成されやすくなる。両親媒性化合物としては、両親媒性低分子化合物でもよいし、両親媒性高分子化合物でもよく、特に限定されるものではない。界面活性機能をより発揮できる形態としては、両親媒性高分子化合物であることが好ましい。また、有機溶媒分散体中で塗膜中に取り込んだ水滴の形態を好適に保持するには、界面活性機能を有する化合物を用いることが好ましい。すなわち、上記有機溶媒分散体が、界面活性機能を有する化合物を含有することも本発明の好ましい形態の一つである。
上記両親媒性化合物としては、親水性基と疎水性基との両方を有する化合物であることが好ましい。両親媒性化合物は、基板上に塗布された有機溶媒分散体に付着した水滴が互いに融合することを防止するために添加される。両親媒性化合物としては、水及び有機溶媒の両方に対して親和する部分を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、疎水性基としては、例えば、炭素数5〜20の炭化水素基、フェニル基、フェニレン基等の非極性基が挙げられる。また、親水性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、スルホ基、エステル基、アミド基、エーテル基、ピリジン基等が挙げられる。
上記両親媒性化合物としては、アルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、アルキルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、オクチルアミン、ドデシルアミン等のアルキルアミン、両親媒性高分子等が挙げられる。有機溶媒及び水への溶解性の観点からノニオン系界面活性剤、両親媒性高分子が好ましい。そして更には、両親媒性化合物が両親媒性高分子である場合には、後述するバインダーとしての機能も兼ねることができることから、両親媒性高分子がより好ましい。中でも、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、ピリジン基等の金属を錯化することのできる官能基を持つ両親媒性高分子であると、より均一に金属錯体をパターン化することができるため特に好ましい。
これらの両親媒性化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記両親媒性高分子としては、ポリアクリルアミドを主鎖骨格として、側鎖に親水性基と疎水性基とを持つ高分子、疎水性(メタ)アクリレートと親水性(メタ)アクリレートとの共重合体、スチレンと親水性(メタ)アクリレートとの共重合体、スチレンと2−ビニルピリジンとの共重合体、オクタデシルイソシアネート変性ポリエチレンイミン(エポミンRP−20、日本触媒社製)のように主鎖に親水性基を持ち、側鎖に疎水性基を持つ高分子、疎水性基と親水性基とを有するポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体、又は、ジクロルジフェニルスルホンとビスフェノールAのナトリウム塩との重縮合により得られ、主鎖骨格中に疎水性基であるジフェニレンジメチルメチレン基と親水性基であるジフェニレンスルホン基とを有するポリスルホン等が挙げられる。
上記両親媒性高分子としては、重量平均分子量5,000以上500,000以下のものが好ましい。重量平均分子量5,000以上500,000以下の両親媒性高分子であると、溶媒蒸発時にパターン構造が崩れにくくなる。より好ましくは、重量平均分子量10,000以上300,000以下のものであり、更に好ましくは、50,000以上200,000以下であり、特に好ましくは、90,000以上100,000以下である。
また、上記両親媒性高分子の数平均分子量は3,000以上500,000以下であることが好ましい。数平均分子量が3,000以上500,000以下の両親媒性高分子であると、溶媒蒸発時にパターン構造が崩れにくくなる。両親媒性高分子の数平均分子量としては、5,000以上300,000以下であることがより好ましく、10,000以上200,000以下であることが更に好ましく、20,000以上100,000以下であることが特に好ましい。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、測定装置として、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)HLC−8120(東ソー社製)を使用し、カラムにTSK−GEL GMHXL−L(東ソー社製)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
上記ポリアクリルアミドを主鎖骨格として、側鎖に親水性基と疎水性基とを持つ高分子としては、例えば、下記式:
(式中、n及びmは、同一又は異なって、構成単位の繰り返し数を表す。)で表される(ドデシルアクリルアミド)−(ω−カルボキシヘキシルアクリルアミド)−ランダム共重合体(以下、「CAP」ともいう。)が好ましい。
式中、mに対するnの比率(n/m)としては、1〜15が好ましく、より好ましくは、2〜12であり、更に好ましくは、3〜10である。
上記疎水性(メタ)アクリレートとしては、ノルマルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記親水性(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記疎水性(メタ)アクリレートの代わりに、疎水性(メタ)アクリルアミド、スチレン等の疎水性ラジカル重合性モノマーを、上記親水性(メタ)アクリレートの代わりに、親水性(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン等の親水性ラジカル重合性モノマーを用いてもよい。
疎水性(メタ)アクリレート及び親水性(メタ)アクリレートはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、異なる成分を含んでいてもよい。
上記両親媒性化合物としては、中でも、ポリエチレンイミン系高分子であることが特に好ましい。有機溶媒分散体は、後述するように更にバインダーを含むものであることが好ましいが、ポリエチレンイミン系高分子は、両親媒性高分子であるため、バインダーとしての機能を有するのに加え、還元剤としての作用を有する化合物でもあるため、有機溶媒分散体が金属錯体を含むものである場合、両親媒性化合物としてポリエチレンイミン系高分子を用いると、網目状パターンを形成した後、還元工程を行うことなく金属錯体の還元を行うことができる。
上記ポリエチレンイミン系高分子としては、具体的には、エポミンRP−20(商品名、日本触媒社製)が挙げられる。
上記有機溶媒分散体は、更に、バインダーを含むものであることが好ましい。バインダーを含むものであると、基板との密着性が向上することになる。バインダーとしては、有機溶媒に溶解する高分子であれば特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール系ポリマー、ポリスチレン等が挙げられる。
これらのバインダーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記バインダーとしては、重量平均分子量5,000以上500,000以下のものが好ましい。バインダーの重量平均分子量がこのような範囲であると、塗布された有機溶媒分散体と基板との密着性を充分なものとすることができる。より好ましくは、重量平均分子量10,000以上300,000以下のものであり、更に好ましくは、50,000以上200,000以下であり、特に好ましくは、90,000以上100,000以下である。
なお、バインダーの重量平均分子量は、例えば、上述した両親媒性高分子の重量平均分子量と同様にして測定することができる。
上記バインダーの含有量としては、有機溶媒分散体100質量%に対して、0.001〜50質量%であることが好ましい。このような範囲の含有量とすることによって、塗布された有機溶媒分散体と基板との密着性を充分なものとすることができると同時に、高価である貴金属錯体の使用量を抑えることが可能となり、経済的にも望ましい。また、上述したように、バインダーとして両親媒性高分子を用いる場合には、このような範囲の含有量とすることによって、塗布された有機溶媒分散体中に取り込まれる水滴の形態をより安定して保持することができる。0.001質量%未満である場合には、塗膜表面における水滴の成長や輸送が困難になり、開口率が低くなるおそれがある。50質量%を超えると、塗布性が悪くなったり、水滴の成長が充分生じずに開口率が低くなったりするおそれがある。また、塗膜表面に存在する金属錯体及び/又は還元剤が減少し、充分に無電解めっきされず、導電性が発現しにくくなるおそれがある。
バインダーの含有量としてより好ましくは、0.001〜25質量%であり、更に好ましくは、0.005〜25質量%である。
上記有機溶媒分散体は、塗布前の水分含有量が10質量%以下であることが好ましい。塗布前の有機溶媒分散体中に水分が多く含有されている場合、有機溶媒分散体中の水分が表面張力により大きな水滴となり、網目を細かくすることができないおそれがある。塗布前の水分含有量としてより好ましくは、5質量%以下である。
上記有機溶媒分散体は、基板に塗布されるものである。上記基板は、特に限定されるものではなく、有機溶媒分散体を表面に塗布することができるものであればよい。上記基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、単結晶基板、半導体基板、金属基板等の種々の基板を用いることができる。電子ペーパー(デジタルペーパー)等のディスプレイに用いる場合には、ガラス基板、透明性を有するプラスチック基板等の透明基板を基板として用いることが好適である。透明基板とは、可視光の透過率が高い基板のことであり、例えば、波長400〜700nmの可視光の透過率が50%以上であることが好ましい。より好ましくは、上記透過率が70%以上であり、更に好ましくは、80%以上である。また、ガラス基板、プラスチック基板を用いることは、低コスト化の観点からも好適である。また、電子ペーパー等の表示装置として用いる場合には、可とう性を有する基板を用いることも好ましい形態である。プラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエステル系;アクリル系;シクロオレフィン系;オレフィン系;ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート等の樹脂系のフィルムが挙げられる。
上記有機溶媒分散体を塗布する基板は、表面が親水性である基板を用いることが好ましい。上記基板の表面が親水性であることによって、水滴と基板とを接触しやすくし、空孔の貫通率を高め、空孔底面に余分な高分子・粒子膜の形成を防ぐことができ、空孔部の形状を開口率が高い導電性膜の形態とすることができる。表面が親水性である基板としては、水に対する接触角が90°以下であることが好ましい。90°以下であることによって、有機溶媒分散体中に取り込まれた水滴の形状を調整し、空孔部の形状を開口率が高い形態にすることができる。水に対する接触角の上限としてより好ましくは、60°以下であり、更に好ましくは、30°以下である。
上記有機溶媒分散体を塗布する基板は、基板表面に親水化処理を行われたものであることが好ましい。これによれば、上述のように、有機溶媒分散体中に取り込まれた水滴を好適な形状で保持することができる。また、基板表面の親水性を制御することによって、導電性膜の形状を更に制御することができる。親水化処理の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ性溶液に浸漬させる方法が好ましい。アルカリ性溶液としては、特に限定されるものではないが、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液等を好ましく用いることができる。具体的には、飽和水酸化カリウムエタノール溶液等を好ましく用いることができる。また、親水化処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV−オゾン処理を行う方法等が挙げられる。このような方法は、基板の種類、有機溶媒分散体の種類等によって適宜好ましい方法を選択することが好ましい。また、親水化による基板の接触角は、上述した好ましい接触角の値を用いることができる。
本発明はまた、上記製造方法により製造される導電性膜でもある。上記製造方法により製造されたものであることによって、上記導電性膜は、導電性金属層の網目状線部と空孔部とによって形成された網目状の導電性膜となり、光透過性と導電性とを有する透明導電性膜とすることができる。すなわち、上記製造方法により製造される透明導電性膜もまた、本発明の一つである。そして、上記製造方法を用いることによって、光透過性を有する導電性膜を簡易、かつ安価に製造することが可能となる。
上記導電性膜の形態としては、空孔部の平均面積が400μm以下であり、網目状線部の線幅が5μm以下であることが好ましい。空孔部の平均面積が小さく、網目状線部の線幅が細いことによって、光の透過性が高く、均一性の高い網目状の導電性膜を形成することができる。また、上記製造方法により製造される導電性膜のより好ましい形態としては、後述する網目状の導電性膜の好ましい形態と同様である。すなわち、空孔部の平均面積としてより好ましくは、300μm以下であり、更に好ましくは、200μm以下であり、特に好ましくは、100μm以下である。また、上記空孔部は、平均最大フェレ径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。空孔部による開口率としては、60%以上であることが好ましく、これにより光透過率を高めた導電性膜とすることができる。空孔部による開口率は65%以上であることがより好ましく、更に好ましくは、70%以上であり、特に好ましくは、80%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。上記網目状線部の線幅としてより好ましくは、2μm以下であり、更に好ましくは、1μm以下である。なお、最大フェレ径とは、各空孔部の輪郭に接するように引いた2本の平行線間の最大のものを最大フェレ径といい、平均最大フェレ径とは、計測した各空孔部の最大フェレ径の平均をとったものを平均最大フェレ径という。
本発明は更に、導電性金属層の網目状線部と空孔部とによって形成された網目状の導電性膜であって、該導電性膜は、空孔部の平均面積が400μm以下であり、網目状線部の線幅が5μm以下である導電性膜でもある。空孔部の平均面積が小さく、網目状線部の線幅が細いことによって、光の透過性が高く、かつ均一性の高い網目状の透明導電性膜を形成することができる。例えば、電子ペーパー等に用いる場合には、表示を行うマイクロカプセルに対して均一に電圧を印加することができる。網目が広い(空孔部の面積が大きい)場合、導電性膜により電圧を印加してマイクロカプセルの色を変化させるような電子ペーパー等のディスプレイに用いる場合、網目が細かいものでないとその空孔部の中にマイクロカプセルの全体が納まることとなり、そのようなカプセルには電圧が印加されないこととなる。また、網目が細かいことによって、導電性がより均一となる。これによれば、例えば、タッチパネルに用いられた場合、位置の認識の精度が高くなる。このような網目状の導電性膜は、上記導電性膜の製造方法を用いて形成することが可能である。上記導電性膜における網目状線部と空孔部との配置形態としては、ランダム状であってもよいし、規則的に並んでいる状態であってもよい。例えば、網目状の導電性膜を形成する際に、より網目の細かいものとするためには、ランダム状であった方が製造がより容易であり、更に、秩序ある細かいパターンの場合には、モアレ現象が生じたり干渉による虹模様が現れたりするおそれがあるため、ランダム状であることも好ましい形態の一つである。ここで、ランダム状とは、網目状線部と空孔部とが一定の規則に基づいて配置されていない状態であることをいう。
上記導電性膜は、空孔部の平均面積が400μm以下であり、網目状線部の線幅が5μm以下であることによって、導電性膜の網目が細かいということができる。網目が細かいことによって、導電性膜の面内で均一な導電性を有するものとすることができる。空孔部の平均面積が400μmを超える場合、導電性膜の面内の均一性が充分とならず、例えば、光の透過性、導電性にばらつきが生じるおそれがある。また、上述したように、電子ペーパー等のディスプレイに対して用いる場合、電圧が印加されない部分が生じることにより、導電性膜としての機能が充分でなくなるおそれがある。空孔部の平均面積として、より好ましくは、300μm以下であり、更に好ましくは、200μm以下であり、特に好ましくは、100μm以下である。また、上記空孔部は、平均最大フェレ径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。上記網目状線部の線幅は、5μm以下であり、線幅が細いことによって、例えば、ディスプレイ等において生じるおそれのあるモアレを抑制することができる。網目状線部の線幅が5μmを越える場合、開口率が小さくなり、光透過性が充分でなくなるおそれがある。網目状線部の線幅として、より好ましくは、2μm以下であり、更に好ましくは、1μm以下である。上記のように、空孔部の平均面積、網目状線部の線幅を制御することによって、導電性膜の光透過性及び導電性をより好ましい値へと制御することができる。
上記導電性膜は、空孔部による開口率が60%以上であることが好ましい。開口率を高めることによって、光の透過性を向上させることができるため、電子ペーパー等のディスプレイに用いる場合に好適に用いることができる。60%未満であると、充分な光透過率を得ることができず、透過性を有する導電性膜として充分な特性を発揮することができないおそれがある。空孔部による開口率は、65%以上であることがより好ましく、更に好ましくは、70%以上であり、特に好ましくは、80%以上であり、最も好ましくは、90%以上である。
開口率、線幅、空孔部の平均面積及び平均最大フェレ径については、以下の方法により求めることができる。
<開口率、線幅、空孔部の平均面積、平均最大フェレ径の求め方>
導電性膜の表面を超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800)にて倍率1000倍で観察し、観察した画像を画像処理ソフト(Image−Pro Plus ver.4.0、米国Media Cybernetics社製)を用いて、以下の方法で処理し、導電膜の開口率、線幅、空孔部の平均面積、フェレ径を求める。
顕微鏡観察した画像(これを「原画像」とする。)を、上述の画像処理ソフトを用いて導電部が黒、その他の部分(網目の開口部)が白となるように白黒に二値化する。この時、二値化の閾値は、色調のヒストグラムより白と黒のピーク値を求め、その中間値とする。次に、二値化画像の白黒反転処理を行う(この画像を「二値化画像」とする。)。この時の、全体の面積に対する黒部の面積比を求め、開口率とする。
また、二値化画像の白部の面積を求め、これを導電部の面積(S)とする。次に、二値化画像の細線化処理を行う(この画像を「細線化処理画像」とする。)。細線化処理画像の白部の面積を求め、これを導電部の長さ(L)とする。上記で求めたSとLの値を用い、下記式(1)により導電部の線幅を求める。
導電部の線幅=S/L (1)
続いて、二値化画像の黒部を抽出する(この画像を「抽出画像」とする。)。抽出の際、境界上の空孔部については除外する。また、1μm以下の面積の空孔部についても除外する。このときの、各要素の面積、及び、最大フェレ径を計測し、平均化したものを、それぞれ、空孔部の平均面積、空孔部の平均最大フェレ径とする。
上記網目状線部の厚みは、200nm以上であることが好ましい。200nm以上であることによって、線幅が小さくなったとしても充分な導電率を得ることができる。導電性膜の膜厚が200nm未満である場合には、導電性が低くなり、導電性膜としての特性を充分に発揮することができないおそれがある。網目状線部の厚みとしてより好ましくは、1μm以上である。なお、網目状線部の厚みは、最大膜厚を測定することによって求められ、例えば、レーザー顕微鏡を用いることによって測定することができる。測定方法としては、レーザー顕微鏡(VK−9700、キーエンス社製)で倍率50倍で塗膜を観測し、観察した画像から塗膜の最大の段差を10箇所で計測し、平均した値を導電性膜の最大膜厚とする。
上記導電性膜は、全光線透過率が20%以上であることが好ましい。全光線透過率が20%以上である場合、例えば、電子ペーパー等の表示装置に対して好適に用いることができる。全光線透過率としてより好ましくは、40%以上であり、更に好ましくは、60%以上であり、特に好ましくは、75%以上である。
なお、上記全光線透過率は、例えば、ヘイズメーター NDH5000(日本電色工業社製)を用いて、JIS K7361−1に準拠して測定することができる。
上記空孔部による開口率が高い場合、網目状線部の面積が小さくなると、開口率が低い同じ膜厚の導電性膜と比較すると、導電性膜の抵抗率が増加することとなる。そのため、網目状線部の面積は、充分な導電性を確保することができる面積であることが好ましい。好ましい網目状線部の面積は、導電性膜の膜厚、面積、導電性膜を構成する金属材料等によって異なるが、例えば、導電性膜の面内のシート抵抗が10Ω/□以下であるように網目状線部の面積を設定することが好ましい。導電性膜の面内のシート抵抗がそのような範囲であった場合、充分な導電性を有しているということができる。導電性膜のシート抵抗としてより好ましくは、10Ω/□以下であり、更に好ましくは、10Ω/□以下であり、特に好ましくは、10Ω/□以下である。
なお、上記シート抵抗は、例えば、抵抗率計 ロレスター−GP(三菱化学アナリテック社製、プローブ:ASPプローブ)を用いて、四端子四探針法により測定することができる。
上記導電性膜の用途としては、特に限定されるものではなく、導電性を必要とする用途であればどのような用途にも用いることができる。例えば、プラズマディスプレイ等に用いられる電磁波遮蔽フィルム(EMIシールドフィルム)等として用いることができるし、電子ペーパー(デジタルペーパー)、液晶表示装置の表示装置に用いられる電極として用いることもできる。また、タッチパネル等にも用いることができる。
このように、本発明はまた、デジタルペーパーに用いられる導電性膜でもある。
本発明の導電性膜の製造方法によって、網目状の導電性膜を、簡易かつ安価に製造することができ、網目が細かく、光透過性に優れ、更に面内の均一性が優れる導電性膜を製造することができる。また、このような導電性膜は、網目が細かくなることから、電子ペーパー等のディスプレイ等に好適に用いることができる。また、面内の均一性に優れることから、ディスプレイ等に適用する場合には、モアレ等が生じないものとすることができる。
図1−1は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程の一例を示す、時間の経過による塗膜断面の概念図である。 図1−2(a)〜(e)は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を示す概念図である。 図2は、空孔部と網目状線部が形成された網目状の導電性膜の平面模式図である。 図3は、ペルチェ素子を用いて、基板及び塗膜を冷却し、更に加湿気体を塗膜に吹きつけながら蒸発させる方法を示す断面模式図である。 図4は、実施例2において作製した膜の形態を示す電子顕微鏡観察像である。 図5は、銀のパターンが形成されている導電性膜4サンプルについて、抵抗率計 ロレスター−GP(三菱化学アナリテック社製、プローブ:ASPプローブ)を用いて測定したシート抵抗と、デジタルテスタ CDM−6000(カスタム社製)を用いて測定した抵抗との間の関係を示したグラフである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記実施例及び比較例においては、次のようにして導電性膜の物性を測定した。
なお、開口率、線幅、空孔部の平均面積、フェレ径については、導電性膜の表面を超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(S−4800、日立ハイテクノロジーズ社製)にて倍率1000倍で観察し、観察した画像を画像処理ソフト(Image−Pro Plus ver.4.0、米国Media Cybernetics社製)を用いて、以下の方法で処理して求めた。
<開口率>
顕微鏡観察した画像(これを「原画像」とする。)を、上述の画像処理ソフトを用いて導電部が黒、その他の部分(網目の開口部)が白となるように白黒に二値化した。この時、二値化の閾値は、色調のヒストグラムより白と黒のピーク値を求め、その中間値とする。次に、二値化画像の白黒反転処理を行った(この画像を「二値化画像」とする。)。この時の、全体の面積に対する黒部の面積比を求め、開口率とした。
<線幅>
上記二値化画像の白部の面積を求め、これを導電部の面積(S)とした。次に、二値化画像の細線化処理を行った(この画像を「細線化処理画像」とする。)。細線化処理画像の白部の面積を求め、これを 導電部の長さ(L)とした。上記で求めたSとLの値を用い、下記式(1)により導電部の線幅を求めた。
導電部の線幅=S/L (1)
<空孔部の平均面積、空孔部の平均最大フェレ径>
上記二値化画像の黒部を抽出した(この画像を「抽出画像」とする。)。抽出の際、境界上の空孔部については除外した。また、1μm以下の面積の空孔部についても除外した。このときの、各要素の面積、及び、各空孔部の最大フェレ径を計測し、平均化したものを、それぞれ、空孔部の平均面積、空孔部の平均最大フェレ径とした。
<シート抵抗>
導電性膜のシート抵抗は、抵抗率計 ロレスター−GP(三菱化学アナリテック社製、プローブ:ASPプローブ)を用いて、四端子四探針法により測定した。
<全光線透過率>
導電性膜の全光線透過率は、ヘイズメーター NDH5000(日本電色工業社製)を用いて、JIS K7361−1に準拠して測定した。
(実施例1)
<塗布液の調製>
パラジウム(II)アセチルアセトナート 0.1%トルエン溶液 1.06g、エポミンRP−20(オクタデシルイソシアネート変性ポリエチレンイミン、日本触媒社製、Mn=6500、Mw=13700)0.1%シクロヘキサン溶液 2.02g、ソルゲン 0.1%シクロヘキサン溶液 0.60g、シクロヘキサン 15.04gからなる塗布液を調製した。
<パターン作製>
5cm角のPETフィルム(商品名「ルミラーU34」、東レ社製)に、25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、2.0mlの上記塗布液を上記基板上に塗布し、加湿空気(相対湿度70%)を1.5m/minの流速で、10分間吹き付けて有機溶媒を蒸発させて、乾燥製膜した後、120℃×2分で、塗膜を乾燥させ、パターンの作製されたPETフィルムを得た。
<無電解めっき>
硫酸銅五水和物 3.0g、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物14.0g、水酸化ナトリウム 4.0g、37%ホルマリン 10ml、水 100mlの無電解めっき液を調製した。そして、上記パターンの作製されたPETフィルムを無電解めっき液に25℃で30分浸漬させた。その後、純水で洗浄し、120℃×2分で塗膜を乾燥させた。
こうして得られた導電性膜の開口率、線幅、空孔部の平均面積、空孔部の平均最大フェレ径、シート抵抗、全光線透過率を求めた結果、表1の通りであった。
(比較例1)
パターン作製時に加湿空気ではなく、乾燥空気(相対湿度40%)を吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを作製した。
得られたフィルムの構造を解析した結果、導電性金属層のパターンが形成されておらず、全面に金属膜が形成された。
なお、シート抵抗、全光線透過率を求めた結果、表1の通りであった。
実施例及び比較例の結果から、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程を行わない場合には、導電性金属層のパターンを形成することができないことがわかった。
(実施例2)
<溶液の調整>
ポリスチレン−b−ポリ2ビニルピリジン(Polystyrene−b−Poly 2−vinylpyridine,Mw=16,000−b−3500)10mgとビスアセトニトリルジクロロパラジウム(Bis acetonitlile dich1oro palladium)2mgをそれぞれ秤量し、1mlのクロロホルム(Chloroform)に溶解させた。
<ネットワーク構造作製>
上記溶液をカバーガラス(松浪硝子工業社製,サイズ:24×32mm)上に数滴滴下し、高湿度下(〜80%)で溶媒を蒸発させ、その気化熱を利用して大気中の水分を溶液表面に結露させ、微細なネットワーク構造を作製した。
<錯体還元>
ネットワークを作製後、カバーガラスごと1.66Mのヒドラジン(Hydradine)水溶液100mlに2分間浸漬することでパラジウムイオンの還元を行った。パラジウムの還元後は脱イオン水を用いてヒドラジンの洗浄を行った。
<銀無電解めっき>
銀無電解めっき浴の調整を行った。銀イオンの供給源として硝酸銀(Silver nitrate)1gと銀イオンの錯化剤として28%アンモニア水(28% Ammonium solution)1gを100mlの脱イオン水に溶解させた。還元剤としては(D)−グルコース(D−Glucose)5gを50mlに溶解させた溶液を使用した。上記の2液を混合後、パラジウムを還元したネットワーク構造を2分間浸漬することで銀イオンの還元を行った。構造作製後は高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(S−5200、日立ハイテクノロジーズ社製)にて観察した。観察した画像を図4に示す。
こうして得られた導電性膜の表面の5mm離れた2地点の抵抗を下記テスターを用いて測定したところ、8.7Ωであった。
テスター:デジタルテスタ CDM−6000(カスタム社製)
ここで、実施例2のように銀のパターンが形成されている導電性膜4サンプルについて、上述のように抵抗率計 ロレスター−GP(三菱化学アナリテック社製、プローブ:ASPプローブ)を用いて測定したシート抵抗と、上述のようにデジタルテスタ CDM−6000(カスタム社製)を用いて測定した抵抗との関係を調べてみると、表2のようになり、その関係をグラフにしたものを図5に示す。
表2及び図5より、抵抗率計 ロレスター−GP(三菱化学アナリテック社製、プローブ:ASPプローブ)を用いて測定したシート抵抗と、デジタルテスタ CDM−6000(カスタム社製)を用いて測定した抵抗との間には、正の相関関係があることが推察され、上述したデジタルテスタ CDM−6000(カスタム社製)を用いて測定した抵抗8.7Ωは、シート抵抗10Ω/□未満に相当すると推測される。このことから、実施例2において製造された導電性膜は充分な導電性を有していることが分かった。
11、21:基板
12、22:塗膜(塗布された有機溶媒分散体)
13:水滴
14:空孔部
15:網目状線部
20:ペルチェ素子

Claims (5)

  1. 金属錯体及び/又は還元剤を含む有機溶媒分散体を基板に塗布して、網目状の導電性膜を製造する方法であって、
    該製造方法は、塗布された有機溶媒分散体を、塗膜表面で結露させながら有機溶媒を蒸発させる工程と無電解めっきを行う工程とを必須として導電性膜を形成することを特徴とする導電性膜の製造方法。
  2. 前記有機溶媒分散体は、水及び有機溶媒に対する両親媒性化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の導電性膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法により製造されることを特徴とする導電性膜。
  4. 前記導電性膜は、空孔部の平均面積が400μm以下であり、網目状線部の線幅が5μm以下であることを特徴とする請求項3記載の導電性膜。
  5. デジタルペーパーに用いられることを特徴とする請求項3又は4記載の導電性膜。
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