JP2011054318A - 誘導加熱方法および誘導加熱装置 - Google Patents

誘導加熱方法および誘導加熱装置 Download PDF

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直喜 内田
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Abstract

【課題】被加熱物の表面に金属膜等の導電性部材が形成されていた場合であっても、安定した温度分布制御を行うことができる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】サセプタ上に配置されたウエハをサセプタを誘導加熱することで間接加熱する誘導加熱装置10であって、外縁部に被加熱物載置面に平行な方向に切れ込み22を持たせて板厚を変化させたサセプタ18と、ウエハ23を載置する面の反対側に位置する主面に、外周側ほど厚みが薄くなるように厚み変化を持たせたサセプタ18と、サセプタ18の外周側に配置され、サセプタ18におけるウエハ載置面と平行な方向に交流磁場を形成する誘導加熱コイル26(26a,26b,26c)と、誘導加熱コイル26に投入する電流の周波数を制御する制御部40およびインバータ38を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導加熱方法および誘導加熱装置に係り、特に大径のウエハ等の基板を処理する場合に、被加熱物の温度制御を行う際に好適な誘導加熱方法、および装置に関する。
誘導加熱を利用して半導体ウエハ等の基板を熱処理する装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが知られている。特許文献1に開示されている誘導加熱装置は図7に示すように、バッチ型の熱処理装置であり、多段積みされたウエハ2を石英のプロセスチューブ3に入れ、このプロセスチューブ3の外周にグラファイト等の導電性部材で形成した加熱塔4を配置し、その外周にソレノイド状の誘導加熱コイル5を配置するというものである。このような構成の誘導加熱装置1によれば、誘導加熱コイル5によって生じた磁束の影響により加熱塔4が加熱され、加熱塔4からの輻射熱によりプロセスチューブ3内に配置されたウエハ2が加熱される。
また、特許文献2に開示されている誘導加熱装置は図8に示すように、枚葉型の熱処理装置であり、同心円状に多分割されたサセプタ7をグラファイト等で形成し、このサセプタ7の上面側にウエハ8を載置、下面側に複数の円環状の誘導加熱コイル9を同心円上に配置しこれら複数の誘導加熱コイル9に対する個別電力制御を可能としたものである。このような構成の誘導加熱装置6によれば、各誘導加熱コイル9による加熱範囲に位置するサセプタ7と、他のサセプタ7との間の伝熱が抑制されるため、誘導加熱コイル9に対する電力制御によるウエハ8の温度分布制御性が向上する。
また、特許文献2においては、ウエハ8を載置するサセプタ7を分割する事で発熱分布を良好に制御する旨記載されているが、特許文献3には、サセプタの断面形状を工夫することで、発熱分布を改善することが開示されている。特許文献3に開示されている誘導加熱装置は、円環状に形成される誘導加熱コイルの径が小さい内側において発熱量が小さくなる事に注目し、サセプタにおける内側部分の厚みを厚くすることで、外側部分よりも内側部分の方が誘導加熱コイルからの距離が近くなるようにし、発熱量の増大と熱容量の増大を図ったものである。
特開2004−71596号公報 特開2009−87703号公報 特開2006−100067号公報
しかし、上記のような構成の誘導加熱装置ではいずれも、グラファイトに対して磁束が垂直に作用することとなる。このため、被加熱物としてのウエハ表面に金属膜等を形成していた場合にはウエハが直接加熱されてしまう場合があり、温度分布制御が乱れることが生じ得る。
そこで本発明では、上記問題点を解消し、被加熱物の表面に金属膜等の導電性部材が形成されていた場合であっても、安定した温度分布制御を行うことができる誘導加熱方法、および誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱方法は、サセプタ上に配置された被加熱物を前記サセプタを誘導加熱することで間接加熱する誘導加熱方法であって、前記サセプタの外縁に被加熱物載置面に並行な方向に切れ込みを与えて板厚に変化を持たせ、前記サセプタの外周側に設けた誘導加熱コイルから、前記サセプタの被加熱物載置面に平行な方向に交流磁束を生じさせ、前記誘導加熱コイルに投入する電流の周波数を制御することで前記サセプタの加熱部位を変化させることを特徴とする。
また、上記特徴を有する誘導加熱方法において前記周波数の制御は、使用周波数帯域毎に前記サセプタの加熱領域を定め、前記サセプタの外周側領域を加熱する場合ほど高い周波数帯域を採用し、前記サセプタの内周側帯域を加熱する場合ほど低い周波数帯域を採用するようにすると良い。
このような特徴を持たせることによれば、高周波帯域の周波数を誘導加熱コイルに投入することでサセプタの外周側の加熱効率を内周側よりも高くすることができる。一方、低周波帯域の周波数を誘導加熱コイルに投入することでサセプタの内周側の加熱効率を外周側よりも高くすることができる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置は、サセプタ上に配置された被加熱物を前記サセプタを誘導加熱することで間接加熱する誘導加熱装置であって、外縁部に前記被加熱物載置面に平行な方向に切れ込みを持たせて板厚を変化させたサセプタと、前記サセプタの外周側に配置され、前記サセプタにおける前記被加熱物載置面と平行な方向に交流磁束を形成する誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに投入する電流の周波数を制御する周波数制御手段を備えたことを特徴とする。
また、上記特徴を有する誘導加熱装置における前記周波数制御手段には、前記サセプタの加熱領域を円周上で分割する制御マップを備え、外周の前記加熱領域を加熱する場合ほど前記電流の周波数を高め、内側の前記加熱領域を加熱する場合ほど前記電流の周波数を低くする制御を行う構成とすると良い。
このような特徴を持たせることによれば、誘導加熱コイルに投入する電流の周波数の選定により、サセプタの任意の加熱領域の加熱効率を向上させることができる。これにより、被加熱物の温度分布制御を安定させることができる。
また、上記特徴を有する誘導加熱装置において前記サセプタに設けた切れ込みに非導電性部材を埋め込むようにすると良い。
切れ込みに非導電性部材を埋め込むことにより、切れ込みの下側に形成された薄板部(サセプタ)で生じた熱を切れ込みの上側に形成された薄板部(サセプタ)に伝達することができ、サセプタの内周側に拡散することを抑制することができる。これによりサセプタの発熱分布制御の精度を高めることができる。
さらに、上記特徴を有する誘導加熱装置において前記非導電性部材は石英とすると良い。
切れ込みに埋め込む非導電性部材を石英とすることにより、非導電性部材が熱伝導性と耐熱性を備えたものとなる。
上記特徴を有する誘導加熱方法によれば、被加熱物の表面に金属膜等の導電性部材が形成されていた場合であっても、安定した温度分布制御を行うことができる。
また、上記特徴を有する誘導加熱装置によれば、上記効果を奏する方法を実現することができる。
第1の実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。 実施形態に用いるサセプタの構成を示す図である。 実施形態に係る誘導加熱装置における磁束の通過経路を示す図である。 サセプタ内面を通過する磁束と内面に生ずる渦電流の様子を示す図である。 実施形態に用いるサセプタの他の構成を示す図である。 第2の実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。 従来のバッチ式誘導加熱装置の構成を示す図である。 従来の枚葉式誘導加熱装置の構成を示す図である。
以下、本発明の誘導加熱方法、および装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る誘導加熱装置の概要構成について説明する。なお、図1において図1(A)は誘導加熱装置の側面構成を示す部分断面ブロック図であり、図1(B)は誘導加熱装置の上面構成を示す部分断面ブロック図である。
本実施形態に係る誘導加熱装置10は、被加熱物としてのウエハ23と発熱物としてのサセプタ18を多段に重ねて熱処理を行うバッチ式のものとする。
誘導加熱装置10は、ウエハ23とサセプタ18を多段に重ねたボート12と、このボート12を収容するチャンバ24、サセプタ18を加熱する誘導加熱コイル26(26a〜26c)、および誘導加熱コイル26に電力を供給する電源部とを基本として構成される。
サセプタ18は、導電性部材で構成されれば良く、例えばグラファイトにより構成すれば良い。本実施形態におけるサセプタ18は、図2に示すように、平面形状を円形とし(図2(B)参照)、サセプタ18の外縁部にウエハ載置面と平行な方向に切れ込み22を有する形態としている(図2(A)参照)。切れ込みの形状に関して限定はしないが、本実施形態においてはウエハ載置面とウエハ載置面の反対側主面の双方に平行な壁部を有する構成とし、切れ込み22の底(最も内周側)には曲面(R)を持たせるようにしている。切れ込み22は、サセプタ18の円周全域に、当該円周に沿って形成される。また、切れ込み22は、サセプタ18の厚み方向中心を基点とした場合に、ウエハ載置面の反対側主面寄りに設けるようにすると良い。このような構成とすることにより、ウエハ載置面側に残るサセプタ18(薄板部19)の板厚と反対側主面側に残るサセプタ18(薄板部19a)の板厚とに差異が生じ、薄板部19の方が厚くなる。この板厚の違いにより、詳細を後述するような発熱効率の差を生じさせ、ウエハ載置面側を効率的に発熱させることが可能となる。
外縁側に設けられた穴20と、反対側主面の中央部に設けられた穴20aは、ボート12を構成する支持部材14を嵌め込むためのものである。なお、支持部材14は電磁誘導による加熱の影響を受けない石英などで構成すると良い。
また、本実施形態におけるボート12は、図示しないモータを備えた回転テーブル16に載置されており、熱処理工程中のサセプタ18及びウエハ23を回転させることができる。このような構成とすることにより、サセプタ18を加熱する際の発熱分布の偏りを抑制することができる。また、詳細を後述するように、加熱源である誘導加熱コイル26の配置形態をサセプタ18の中心から偏らせた場合であっても、サセプタ18を均一加熱することが可能となる。
チャンバ24は、例えばアルミニウム板により構成し、円形や多角形(本実施形態では六角形)の側壁を構成することで、ボート12を内部に収容する。このような構成とすることにより、熱の拡散を防止すると共に詳細を後述するコア28が加熱されることを防止することができるようになる。
誘導加熱コイル26は、ボート12の外周側に配置されたコア28に銅線を巻回されて構成される。実施形態に係る誘導加熱装置10では、1つのコア28に対して3つの磁極面34(34a〜34c)を形成するように、弓状に形成したコア本体30から、ボート12側に向けて突設された3つの凸部32(32a〜32c)のそれぞれに、誘導加熱コイル26が巻回されている。コア28は、フェライト系セラミックなどにより構成すると良く、粘土状の原料を形状形成した上で焼成して成るようにすれば良い。このような部材により構成すれば、形状形成を自由に行うことが可能となるからである。また、コア28を用いることにより、誘導加熱コイル26単体の場合に比べて磁束の拡散を防止することができ、磁束を集中させた高効率な誘導加熱を実現することができる。
誘導加熱コイル26は、コア28に形成された凸部32の外周に巻回される。このため、誘導加熱コイル26の巻回方向の中心軸とウエハ23又はサセプタ18の載置状態における中心軸とは直行する方向を向くこととなり、サセプタ18に対向する凸部32の先端面が磁極面34となる。このような構成から、誘導加熱コイル26が巻回された磁極面34からは、サセプタ18のウエハ載置面に平行な方向に交流磁束が生ずることとなる。本実施形態では、各磁極面34a,34b,34cはサセプタ18の中心を向くように形成され、当該サセプタ18の中心を基点としてそれぞれ60度の間隔をあけて配置されるように構成されている。このような角度関係とすることにより、サセプタ18の中心を通る磁束を発生させつつ、コア28の配置形態の小型化を図ることが可能となる。
また、誘導加熱コイル26は、内部を中空とした管状部材(例えば銅管)とすることが望ましい。熱処理中に銅管内部に冷却部材(例えば冷却水)を挿通させることにより、誘導加熱コイル26自体の加熱を抑制することが可能となるからである。
上記のように構成される3つの誘導加熱コイル26a,26b,26cは、単一の電源部に接続される。電源部にはインバータ38と図示しない交流電源、および制御部(周波数制御手段)40が設けられ、誘導加熱コイルに供給する電流や電圧、周波数等を調整することができるように構成されている。ここでインバータ38として共振型のものを採用する場合には、周波数の切り替えを簡易に行うことができるように、各制御周波数に合わせた共振回路を並列接続し、これを制御部40からの信号に応じて切り替えることができるように構成することが望ましい。また、インバータ38として非共振型のものを採用する場合には、例えばPWM型のインバータを採用することで、制御部40からの信号に応じた周波数での運転ができるようになる。このような構成とすることにより、運転中の周波数切り替えを実現することができる。
制御部40はインバータ38に接続されており、図示しない検出部により検出される電流値、電圧値、および温度、あるいは予め入力された制御プログラムに基づいて、誘導加熱コイル26に供給する電流や電圧、周波数、および電流を供給する誘導加熱コイル26の選択等の制御を行う。これにより、誘導加熱コイル26を介して発生する水平磁束の範囲、すなわちサセプタ18の加熱領域の制御を行うことが可能となる。制御部40には、サセプタ18の加熱領域を円周上(同心円上)で分割する制御マップが記憶され、検出された温度などの情報に基づき、外周の加熱領域を加熱する場合ほど高い周波数の電流を誘導加熱コイル26に供給するよう制御信号を出力し、内側の加熱領域を加熱する場合ほど低い周波数の電流を誘導加熱コイル26に供給するよう制御信号を出力する構成とされている。
実施形態に係る誘導加熱装置10では、誘導加熱コイル26bと誘導加熱コイル26cはそれぞれ、インバータ38に対して電気的に離接可能に接続されている。また、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26b、および誘導加熱コイル26cの巻回方向を同一とした場合には、誘導加熱コイル26bと誘導加熱コイル26cは、インバータ38に対して誘導加熱コイル26aと逆位相の電流が流れるように接続される。このような構成とすることにより、誘導加熱コイル26aに電流を流すことにより生ずる磁束と誘導加熱コイル26b,26cに電流を流すことにより生ずる磁束との向きが逆となり、凸部32a,32b,32cの先端である磁極面34aと、磁極面34b,34cの極性が逆向きとなる。このため、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26bの組み合わせ、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26cの組み合わせといった具合で磁束を生じさせた場合に、組み合わせとなる磁極面34a,34b(34a,34c)間を通る磁束を生じさせることが可能となる。なお、接続形態を同一として誘導加熱コイル26の巻回方向を逆にすることにより、磁極面34の極性を逆転させ、発生する磁束の向きを定めるようにしても良い。
また、磁極面34を構成する凸部32の先端側には、断熱材36を配置し、コア28や誘導加熱コイル26の加熱を抑制するようにすることが望ましい。なお、断熱材36としては、セラミック板などであれば良く、例えば多孔質アルミナにより構成された板部材などが好ましい。
ここで、誘導加熱コイル26とチャンバ24との関係においては、次のようにすると良い。すなわち、誘導加熱コイル26を備えるコア本体30は、チャンバ24の外側に配置し、誘導加熱コイル26を巻回させ、磁極面34を構成する凸部32はそれぞれ、チャンバ24を構成する側壁に設けられた孔24aからチャンバ24の内部に突出させるようにするのである。このため、上記断熱材36は、図1に示すように、凸部32の先端(磁極面34)に直接固定しても良いが、チャンバ24を構成する側壁を利用して固定しても良い。また、チャンバ24を構成する側壁の加熱を抑制するために、チャンバ24の外部には冷却機構を備えるようにすると良い。このような構成とすることにより、コア本体30はチャンバ24を構成する側壁の外側に配置し、磁極面34はサセプタ18の近傍に配置することが可能となり、加熱効率の向上とコア28の加熱抑制といった2つの効果を奏することができる。
このような構成の誘導加熱装置10によれば、電流を供給する誘導加熱コイル26a,26b,26cの切り換え制御を可能とすることより、誘導加熱コイル26a単体での稼動、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26bとの組み合わせによる稼動、及び誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26cとの組み合わせによる稼動をそれぞれ実施することができる。各稼動形態において生ずる磁束の通過経路は、大まかに示すと図3に示すようなものとなる。
すなわち、誘導加熱コイル26a単体での稼動の場合には、凸部32aを中心とした磁束(矢印A)が発生し、磁束の通過経路は磁極面34aの近傍、すなわちサセプタ18の外縁部のみとなる。次に、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26bとの組み合わせでの稼動の場合には、磁極面34aと磁極面34bとを行き来する矢印Bに示すような磁束が生ずることとなる。このため、磁束の通過経路は誘導加熱コイル26a単体での稼動の場合よりもサセプタ18の内周側を通るものとなる。さらに、誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26cとの組み合わせでの稼動の場合には、磁極面34aと磁極面34cとを行き来する矢印Cに示すような磁束が生ずることとなる。このため、磁束の通過経路はサセプタ18の略中心を通るものとなる。
図4は、サセプタ18のある断面において、誘導加熱コイルに電流を投入した際(稼動させた際)にサセプタ18を通る磁束とサセプタ18に生ずる電流の様子を示す図である。また、図4(A)は誘導加熱コイルに高周波帯域(本実施形態では60kHz)の電流を投入した際の磁束と電流の様子を示し、図4(B)は誘導加熱コイルに低周波帯域(本実施形態では20kHz)の電流を投入した際の磁束と電流の様子を示す。また、図4において破線で区切った範囲のうち、外周側(図4中右側)の範囲が誘導加熱コイル26aを単体で稼動させた場合の範囲であり、中間部(破線で囲まれた範囲)が誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26bの組み合わせで稼動させた場合の範囲であり、内周側(図4中左側)が誘導加熱コイル26aと誘導加熱コイル26cの組み合わせで稼動させた場合の範囲である。
図4から読み取れるように、高周波の電流を投じた場合でも、低周波の電流を投じた場合でも、磁束の進行方向に対して右回り(図4では磁束の進行方向を紙面手前側としているため、紙面上では左回りとなる)の渦電流を生じさせている。また、渦電流は切れ込み22を設けた外縁部では、ウエハ載置面側の薄板部19と反対側面の薄板部19aの双方において、表裏面でそれぞれ発生している。サセプタ18では上述したように、薄板部19aよりも薄板部19の方が厚くなるように切れ込み22を設けている。このため、薄板部19においては表面側(ウエハ載置面側)に生じた渦電流と裏面側(切れ込み壁面側)に生じた渦電流との干渉が無く、発熱効率が高い。これに対して薄板部19aにおいては表面側(切れ込み壁面側)に生じた渦電流と裏面側(反対面側)に生じた渦電流とが大きく干渉し、電流の打ち消しあいが生ずることとなり、発熱が抑制される。
上記のように、薄板部19は発熱効率が高く、サセプタ18の外周側は発熱量が多いと言うことができる。これに対してサセプタ18の内周側は、外周側に比べてサセプタ18の厚みに対する渦電流の発生部分の面積の割合、すなわち発熱部の面積の割合が少ないということができる。これは、電流の浸透深さの影響によるものであり、浸透深さの浅い高周波電流を誘導加熱コイル26に投入する場合は、サセプタ18の内周側に比べて外周側の発熱を促すことができるということができる。
一方、低周波の電流を投じた場合には、サセプタ18の厚み方向に対する電流の浸透深さが深くなる。このためサセプタ18の外周側では、薄板部19aに加えウエハ載置面側に位置する薄板部19内部でも、表裏面における渦電流の干渉が生ずることとなり、発熱が抑制される。これに対し電流の浸透深さに対して十分な厚みを有するサセプタ18の内周側では、高周波電流投入時に比べて発熱部の面積の割合が大きくなり、加熱効率が向上する。よって、誘導加熱コイル26に対して低周波電流を投入することにより、サセプタ18の内周側を効率的に加熱することができ、外周側に比べ内周側の発熱を促すことができる。
このように本実施形態に係る誘導加熱装置10では、誘導加熱コイルに対する投入電流の周波数の高低、電流を投入する誘導加熱コイル26の組み合わせを時分割に制御することにより、サセプタ18の加熱範囲を調整し、サセプタ18(ウエハ23)の温度分布を任意に制御することが可能となる。
また、本実施形態に係る誘導加熱装置10は、誘導加熱コイル26a,26b,26cを任意に組み合わせて電流を投入することで、サセプタ18における加熱範囲を制御可能としたことにより、誘導加熱コイル26の配置範囲角度を小さくすることが可能となった。このため、誘導加熱装置全体としての小型化を図ることもできた。
また、上記のような構成の誘導加熱装置10によれば、ウエハの表面に金属膜等の導電性部材が形成されていた場合であっても、金属膜内では電流の打ち消しが生ずるため、発熱はサセプタ18のみに生じ、ウエハ23の温度分布が乱れる虞が無い。
なお、本実施形態において高周波帯域の電流とは、サセプタ18の外縁部の表裏面に生ずる渦電流が、互いに干渉しない範囲の浸透深さとなる周波数であり、サセプタの厚みと電流の浸透深さの関係から導き出すようにすれば良い。
また、本実施形態においては、サセプタ18の断面形状を図2に示すようなものとし、サセプタ18の外縁部に単純に切れ込み22を持たせる構成とする旨記載した。しかしながら、本実施形態の誘導加熱装置10に用いるサセプタは、図5に示すようなものであっても良い。すなわち、サセプタ18aの外縁部に設けた切れ込みに対し、非導電性部材である石英22aを埋め込むというものである。ウエハ23の温度分布を確実に制御するためには、サセプタ18の発熱分布を確実に制御する必要がある。ここで、薄板部19aでは発熱効率は悪いが、多少の発熱が予測される。この場合に生じた熱は、熱伝導によりサセプタ18の内周側を加熱することとなり、発熱分布の制御を乱す要因となる可能性がある。このため、熱伝導性が良く耐熱性を有する石英22aを切れ込み22に埋め込むことにより、薄板部19aで発生した熱を垂直方向、すなわち薄板部19側へと伝達させる構成とすることで、発熱分布の精度を高めることができる。
次に、本発明の誘導加熱装置に係る第2の実施形態について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態に係る誘導加熱装置10aの殆どの構成は、上述した第1の実施形態に係る誘導加熱装置10と同様である。よって、その構成を同一とする箇所には図面に同一符号を付して、詳細な説明は省略することとする。
第1の実施形態に係る誘導加熱装置10との相違点としては、誘導加熱コイルに対して設定周波数の異なる複数(本実施形態では2つ)のインバータ38,38aを並列に接続した点を挙げることができる。
設定周波数を大きく解離させた(本実施形態では20kHzと60kHzといった3倍程度)電流を各インバータ38,38aから誘導加熱コイル26に供給することにより、低周波帯域の電流に高周波帯域の電流を割り込ませて運転することができる。これにより、サセプタ18の温度分布制御をさらに安定させることができる。
なお、その他の構成、作用、効果については、上述した第1の実施形態に係る誘導加熱装置と同様である。
実施形態においては被加熱物としてウエハ(半導体ウエハ)を例に挙げて説明したが、被加熱物の相違は本発明の実施に影響を与えるものでは無く、他の被加熱物を加熱する場合にも利用することができる。
10………誘導加熱装置、12………ボート、14………支持部材、16………回転テーブル、18………サセプタ、19,19a………薄板部、20,20a………穴、22………切れ込み、23………ウエハ、24………チャンバ、24a………孔、26(26a,26b,26c)………誘導加熱コイル、28………コア、30………コア本体、32(32a,32b,32c)………凸部、34(34a,34b,34c)………磁極面、36………断熱材、38………インバータ、40………制御部。

Claims (6)

  1. サセプタ上に配置された被加熱物を前記サセプタを誘導加熱することで間接加熱する誘導加熱方法であって、
    前記サセプタの外縁に被加熱物載置面に並行な方向に切れ込みを与えて板厚に変化を持たせ、
    前記サセプタの外周側に設けた誘導加熱コイルから、前記サセプタの被加熱物載置面に平行な方向に交流磁束を生じさせ、
    前記誘導加熱コイルに投入する電流の周波数を制御することで前記サセプタの加熱部位を変化させることを特徴とする誘導加熱方法。
  2. 前記周波数の制御は、使用周波数帯域毎に前記サセプタの加熱領域を定め、前記サセプタの外周側領域を加熱する場合ほど高い周波数帯域を採用し、前記サセプタの内周側帯域を加熱する場合ほど低い周波数帯域を採用することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱方法。
  3. サセプタ上に配置された被加熱物を前記サセプタを誘導加熱することで間接加熱する誘導加熱装置であって、
    外縁部に前記被加熱物載置面に平行な方向に切れ込みを持たせて板厚を変化させたサセプタと、
    前記サセプタの外周側に配置され、前記サセプタにおける前記被加熱物載置面と平行な方向に交流磁束を形成する誘導加熱コイルと、
    前記誘導加熱コイルに投入する電流の周波数を制御する周波数制御手段を備えたことを特徴とする誘導加熱装置。
  4. 前記周波数制御手段には、前記サセプタの加熱領域を円周上で分割する制御マップを備え、外周の前記加熱領域を加熱する場合ほど前記電流の周波数を高め、内側の前記加熱領域を加熱する場合ほど前記電流の周波数を低くする制御を行う構成としたことを特徴とする請求項3に記載の誘導加熱装置。
  5. 前記サセプタに設けた切れ込みに非導電性部材を埋め込むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記非導電性部材は石英であることを特徴とする請求項5に記載の誘導加熱装置。
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JP2014072060A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 誘導加熱方法および誘導加熱装置
JP2015067878A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 東京エレクトロン株式会社 熱処理装置及び熱処理方法

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