JP2011052366A - 精練剤組成物および精練処理済み布帛の製造方法 - Google Patents

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Yoshihiko Shimizu
吉彦 清水
Yoshihiro Kanfuji
芳弘 勘藤
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、良好な精練性が得られるとともに、耐目ずれ性や耐滑脱性が向上することのできる精練剤組成物および精練処理済み布帛の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、布帛を精練処理するために使用される精練剤組成物であって、水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とノニオン界面活性剤(B)と水とを必須に含有する、精練剤組成物である。また、本発明は、上記精練剤組成物を用いて布帛を精練処理する工程を含む、精練処理済み布帛の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、精練剤組成物および精練済み布帛の製造方法に関する。詳細には、織物で構成された布帛を精練処理するために使用される精練剤組成物、および該精練剤組成物を用いた精練処理済み布帛の製造方法に関する。
近年、各種交通機関、自動車などの事故が発生した際に、乗員の安全を確保するため、種々のエアバッグが開発され、その有効性が確認され、急速に実用化が進んでいる。エアバッグ用布帛の基本性能としては、種々あるが、そのひとつに、バッグが瞬時に膨張して、十分な時間、空気圧を保持する必要があるため、エアバッグ用布帛に樹脂をコーティングすること等により、通気度を小さくしている。これらのエアバッグ用布帛は、通常、紡糸、製織、精練、樹脂加工工程を経て製造される。
従来の精練方法としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルやポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤を使用し、アニオン界面活性剤を併用した精練剤組成物を使用するのが一般的であった。
例えば、特許文献1には、一定の比率からなる、特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルとアニオン界面活性剤とを精練剤組成物として使用し、精練処理する方法が提案されている。特許文献2では、ある一定の多分散度を有する特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを精練剤組成物として使用し、精練処理する方法が提案されている。また、特許文献3では、ある一定の多分散度を有する特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルとリン酸エステル系アニオン界面活性剤とを精練剤組成物として使用し、精練処理する方法が提案されている。
しかし、いずれの方法もある程度の精練性は認められるが、精練後のエアバッグ用布帛には、紡糸用油剤、製織用油剤や糊剤、精練剤などがいくらか残留しており、これらが、繊維と繊維の間の摩擦係数を低下させ、糸の目ずれや滑脱を引き起こし、樹脂加工工程において、通気度が大きくなり、所定の通気度が得られなくなる問題があった。また、この残留物により、コーティング樹脂とエアバッグ用布帛との接着性が阻害され、所定の通気度が得られなかったり、コーティング樹脂がエアバッグ用布帛から剥離したりする問題があった。これらのことは、エアバック用布帛に限らず、所定の通気度を必要とする布帛においても、同様な問題である。
特開平8−60532号公報 特開2001−3263号公報 特開2006−336134号公報
本発明は、布帛に付着する紡糸用油剤、製織用油剤、糊剤等を精練処理するために使用され、良好な精練性が得られるとともに、耐目ずれ性や耐滑脱性が向上することのできる精練剤組成物および精練処理済み布帛の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、精練剤組成物の必須成分として、水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)を使用し、さらに特定の界面活性剤を使用することで、織物で構成されている布帛に付着する紡糸用油剤、製織用油剤、糊剤等の精練性を向上させることができるとともに、精練処理後の布帛に良好な耐目ずれ性及び耐滑脱性を付与できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかる精練剤組成物は、布帛を精練処理するために使用されるものであり、水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とノニオン界面活性剤(B)と水とを必須に含有するものである。
前記成分(A)は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
また、前記ノニオン界面活性剤(B)は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2011052366
(式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダムおよび/またはブロックでもよい。lはエチレンオキサイドの付加モル数を表し、mはプロピレンオキサイドの付加モル数を表す。l、mは0〜50の整数を表し、l+mは1〜50の整数である。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
前記ノニオン界面活性剤(B)の一般式(1)におけるRは、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜20のアラルキル基であることがさらに好ましい。
また、本発明の精練剤組成物は、前記成分(A)1重量部に対して、前記ノニオン界面活性剤(B)が0.1〜100重量部の割合で含有されていることが好ましい。
前記布帛のカバーファクターは、1500〜3500であることが好ましい。また、前記布帛は、エアバッグ用布帛であることが好ましい。
本発明の精練処理済み布帛の製造方法は、上記の精練剤組成物を用いて布帛を精練処理する工程を含むものである。
また、本発明の精練処理済み布帛の製造方法は、上記の水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)と、上記のノニオン界面活性剤(B)とを用いて布帛を精練処理する工程を含むものである。すなわち、成分(A)、ノニオン界面活性剤(B)を同時に用いて精練処理してもよく、別個に用いて精練処理してもよい。
本発明の精練剤組成物は、布帛に対して、精練性を向上させることができるとともに、良好な耐目ずれ性及び耐滑脱性を付与できる。
また、本発明の製造方法は、布帛を良好に精練処理でき、耐目ずれ性や耐滑脱性が向上した、精練処理済み布帛を得ることができる。
本発明の精練剤組成物は、布帛を精練処理するために使用されるものであって、水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とノニオン界面活性剤(B)と水とを必須に含有するものである。以下、詳細に説明する。
本発明の精練剤組成物を使用して精練処理する対象物は、布帛である。一般的に、布帛とは織物の総称を意味する。
布帛の織組織は特に限定はされないが、例えば、平織、綾織、朱子織およびこれらの変化織、多軸織等が挙げられる。中でも機械的強度、かさ高さ、通気性などの点において、平織組織が好ましい。布帛に使用する糸は特に限定はないが、合成繊維糸(例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、カチオン可染ポリエステル、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ジアセテート、トリアセテート、ポリウレタン、その単量体の共重合体等)を少なくとも含む布帛であると、良好な耐目ずれ性や耐滑脱性を付与できる点から好ましい。布帛を構成する経糸と緯糸は同一のものでなくてもよく、例えば、太さや糸本数、繊維の種類が異なってもよい。
本発明の精練剤組成物を使用して精練処理する布帛において、良好な耐目ずれ性及び耐滑脱性を付与でき、所定の通気性を付与できる点から、布帛のカバーファクター(K)は、1500〜3500が好ましく、1800〜2800がさらに好ましい。ここで、布帛(織物)のカバーファクター(K)とは、下記式(2)により算出されるものをいい、一般にカバーファクター(K)の値が大きいほど、織り密度が高く、通気度が小さい。カバーファクター(K)が3500より大きいと、通気度の面では好ましいが、布帛が硬くなる場合がある。また、カバーファクター(K)が1500より小さいと、織り密度が低いため、耐目ずれ性及び耐滑脱性の効果が現れない場合がある。
K=N×D 0.5+N×D 0.5 (2)
式中、Nは経糸密度(本/インチ)、Dは経糸繊度(dtex)、Nは緯糸密度(本/インチ)、Dは緯糸繊度(dtex)を示す。
本発明の精練剤組成物を使用して精練処理する布帛の用途としては、特に限定はなく、工業用資材、工業用または家庭用繊維製品、衣服、衣料、寝具、インテリア、スポーツ用品、日用雑貨などが挙げられる。例えば、座席シート、シートカバー、エアバッグ、建築養生シート、テント、ベッド、カーテン、布団、毛布、敷布、作業服、パジャマ、レインコート、壁紙、天井クロス、カーペット、ソファ、いす張地等が挙げられる。これらの中でも、より厳格に所定の通気性を必要とされる建築養生シート、シートカバー、テント、レインコート、エアバッグに用いられる布帛に、本発明の精練剤組成物は好適に使用でき、特にエアバッグ用布帛に好適に使用できる。
エアバッグとは、車両の衝突時に、衝撃をセンサーが感知し、高温、高圧のガスを発生させ、このガスをバッグ内に瞬間的に送り込むことによって乗員の衝撃を吸収する装置のことである。エアバッグ用布帛とは、このエアバッグのバッグを構成する布帛のことで、エアバッグ用布帛を用いて、これを縫製、裁断等により、袋体にし、バッグを製造している。このようなエアバッグ用布帛としては、ナイロン66や、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド繊維;ナイロンにポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミン等を共重合したポリアミド繊維;アラミドなどの芳香族ポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維;ポリエステルの繰返し単位を構成する酸成分にイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を共重合したポリエステル繊維;全芳香族ポリエステル繊維;超高分子量ポリエチレン繊維;ポリフェニレンスルフィド繊維;ポリエーテルケトン繊維などから構成される合成繊維糸が挙げられる。これらの合成繊維糸の繊度は、例えば、総繊度として、100〜800dtexであり、単糸繊度として、8dtex以下である。
(精練剤組成物)
本発明の精練剤組成物は、布帛に対して、良好な精練性、耐目ずれ性および耐滑脱性を付与するために、精練処理時に使用する液状物をいう。また、本発明の精練剤組成物は、精練処理する際に使用する加工液を含む。本発明の精練剤組成物は、水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とノニオン界面活性剤(B)とを必須に含有するものである。
(成分(A))
本発明で用いる水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とは、水に溶解、分散または乳化する合成樹脂からなる成分であり、これらの合成樹脂は1種または2種以上含んでいてもよい。成分(A)は、布帛に付着する紡糸用油剤、製織用油剤、糊剤等の精練性を向上させる成分である。また、耐目ずれ性や耐滑脱性を向上させ、樹脂加工工程における、樹脂と布帛との接着性を向上させる成分である。
本発明で用いる成分(A)としては、特に限定はないが、水に溶解、分散または乳化するポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。目ずれの抑制効果の点で、好ましくは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂であり、さらに好ましくは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂であり、特に好ましくは、ポリウレタン樹脂である。これらの樹脂は、1種または2種以上を使用してもよく、アクリルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のように、2種以上の樹脂のブロック体を使用してもよい。
本発明で用いる成分(A)は、必要により、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、溶剤などを併用して、合成樹脂を水に溶解、分散または乳化などをしてもよい。
本発明で用いる成分(A)は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の各樹脂を構成する重合性成分を重合反応させて得られる合成樹脂であり、製造方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。
本発明で用いる成分(A)は、親水性を向上させ、安定な精練剤組成物を得る目的から、その構造中に親水性を付与する官能基を導入することが好ましい。そのため、成分(A)を構成する重合性成分は、親水性を付与する官能基を有する化合物を含有することが好ましい。
さらに、より優れた精練性、耐目ずれ性および耐滑脱性を付与する目的から、親水性を付与する官能基を有する化合物としては、カルボキシル基を有する化合物および/またはその塩、スルホン酸基を有する化合物および/またはその塩、およびアミノ基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。このような化合物としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール吉草酸、アクリル酸、メタクリル酸やトリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸およびこれらの無水物等のカルボキシル基を有する化合物;2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸;およびこれらの塩;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミノ基を有する化合物等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であればよい。有機アミン塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)の塩等が挙げられる。
本発明で用いる成分(A)は、耐目ずれ性や耐滑脱性を向上させるために、合成樹脂を構成する重合性成分全体に占める芳香族化合物の含有割合が、50重量%以下であると好ましく、40重量%以下であるとより好ましく、30重量%以下であるとさらに好ましい。
本発明で用いる成分(A)の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、3000〜500万である。成分(A)のガラス転移点は、特に限定されないが、例えば、−80〜120℃である。
成分(A)がポリウレタン樹脂の場合、ウレタン結合(−NHCOO−)を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ポリアミンとを含む重合性成分を重合反応させて得られるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ポリオールとを含む重合性成分を重合反応させて得られるポリウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。ポリウレタン樹脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
ポリマージオールとしては、例えば、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネート系ジオール等が挙げられる。
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレンのコポリマーグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、変性ポリエチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステル系ジオールを構成する二塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。耐目ずれ性を大きくできる点から、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族二塩基酸が好ましい。
ポリエステル系ジオールを構成する二価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジオール、1−メチル−1,2−エタンジオール等が挙げられる。
ポリカーボネート系ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオールと炭酸とのポリエステル、4,4’−ジオキシフェニルメタン、4,4’−ジオキシジフェニル−1,1−エタン、4,4’−ジオキシジフェニル−1,1−ブタン、4,4’−ジオキシジフェニル−2,2−プロパン、4,4’−ジオキシジフェニル−1,1−ブタンと炭酸とのポリエステル等が挙げられる。耐目ずれ性を大きくできる点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール化合物と炭酸とのポリエステルが好ましい。
ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。耐目ずれ性を大きくできる点から、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
ポリウレタンを構成する構造単位の鎖伸長剤としては、分子量が300以下の低分子量ポリアミン、低分子量ポリオール等が挙げられる。
低分子量ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキサイド等が挙げられる。耐目ずれ性を大きくできる点から、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミンが好ましい。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジオール、1−メチル−1,2−エタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。耐目ずれ性を大きくできる点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、1−メチル−1,2−エタンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、グリセリン等の脂肪族ポリオールが好ましい。
また、より優れた精練性、耐目ずれ性および耐滑脱性を付与する目的から、ポリウレタン樹脂を構成する重合性成分は、カルボキシル基を有する化合物および/またはその塩、スルホン酸基を有する化合物および/またはその塩等、親水性を付与する官能基を有する化合物をさらに含有することが好ましい。このような化合物としては、カルボキシル基を有する化合物および/またはその塩がより好ましく、これらの中でもジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール吉草酸、またはこれらの塩がさらに好ましい。
このような親水性を付与する官能基を有する化合物の重合性成分全体に占める含有割合は、精練剤組成物の安定性に優れる点から、0.1〜20重量%であると好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。0.1重量%未満であると精練剤組成物の安定性に劣ることがある。一方、20重量%超であると、精練後のエアバッグ用布帛に対するポリウレタン樹脂の残留量が小さくなり、耐目ずれの効果が小さくなることがある。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、3000〜500万である。ポリウレタン樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、例えば、−80〜120℃である。
成分(A)がポリエステル樹脂の場合、エステル結合(−COO−)を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、二塩基酸とグリコールを含む重合性成分を重合反応させて得られるポリエステル樹脂等が挙げられる。ポリエステル樹脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロペンタンジカルボン酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
また、二塩基酸成分には、上記のようなジカルボン酸のほか、その無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物のようにジカルボン酸の誘導体であって、グリコール成分と反応してエステルを形成するものを含む。
グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジオール、1−メチル−1,2−エタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物またはプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレンのコポリマーグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、変性ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、より優れた精練性、耐目ずれ性および耐滑脱性を付与する目的から、ポリエステル樹脂を構成する重合性成分は、カルボキシル基を有する化合物および/またはその塩、スルホン酸基を有する化合物および/またはその塩等、親水性を付与する官能基を有する化合物をさらに含有することが好ましい。このような化合物としては、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸およびこれらの無水物;2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸等のスルホン酸;およびこれらの塩が好ましい。
このような親水性を付与する官能基を有する化合物の重合性成分全体に占める含有割合は、精練剤組成物の安定性に優れる点から、0.1〜20重量%であると好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。0.1重量%未満であると精練剤組成物の安定性に劣ることがある。一方、20重量%超であると、精練後のエアバッグ用布帛に対するポリエステル樹脂の残留量が小さくなり、耐目ずれの効果が小さくなることがある。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、3000〜50000である。ポリエステル樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、例えば、−80〜120℃である。
成分(A)がアクリル樹脂の場合、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等を含む重合性成分を重合反応させて得られる重合体等が挙げられる。重合性成分としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、α−クロロスチレン、スチレンスルホン酸、α−クロロスチレン、m−クロロスチレン、α−ブロモスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o,p−ジエチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−クロルメタクリロニトリル、α−メトキシアクリルニトリル、α−メトキシメタクリルニトリル、α−エトキシアクリルニトリル、α−エトキシメタクリルニトリル、アクリルアマイド、メタクリルアマイド、N−メチロールアクリルアマイド、N−メチロールメタクリルアマイド、N−ブトキシメチルアクリルアマイド、N−ブトキシメチルメタクリルアマイド、N−エチルアクリルアマイド、N−エチルメタクリルアマイド、N−プロピルアクリルアマイド、N−プロピルメタクリルアマイド、N−ブチルアクリルアマイド、N−ブチルメタクリルアマイド、N,N’−メチレンビスアクリルアマイド、N,N’−メチレンビスメタクリルアマイド、N,N−ジメチルアクリルアマイド、N,N−ジメチルメタクリルアマイド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアマイド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアマイド等が挙げられる。アクリル樹脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
また、より優れた精練性、耐目ずれ性および耐滑脱性を付与する目的から、アクリル樹脂を構成する重合性成分は、カルボキシル基を有する化合物および/またはその塩、スルホン酸基を有する化合物および/またはその塩等、親水性を付与する官能基を有する化合物を含有することが好ましい。このような化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸およびこれらの塩が好ましい。
このような親水性を付与する官能基を有する化合物の重合性成分全体に占める含有割合は、精練剤組成物の安定性に優れる点から、1重量%以上であると好ましく、5重量%以上がより好ましく、5〜50重量%がさらに好ましい。1重量%未満であると精練剤組成物の安定性に劣ることがある。
アクリル樹脂の酸価は、精練剤組成物の安定性に優れる点から、5以上であると好ましく、30以上がより好ましく、30〜400がさらに好ましい。アクリル樹脂の酸価が5未満であると精練剤組成物の安定性に劣ることがある。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、3000〜500万である。アクリル樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、例えば、−80〜120℃である。
成分(A)がポリアミド樹脂の場合、アミド結合(−NHCO−)を有するものであれば、特に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂を構成するジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、メタキシレンジアミン等が挙げられる。ポリアミド樹脂を構成する二塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、スルホイソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロペンタンジカルボン酸、ジグリコール酸等が挙げられる。ポリアミド樹脂を構成するアミノカルボン酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。ポリアミド樹脂を構成する環状ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム等が挙げられる。ポリアミド樹脂は、1種または2種以上を使用してもよい。
(ノニオン界面活性剤(B))
本発明で用いるノニオン界面活性剤(B)は、布帛に付着する紡糸用油剤、製織用油剤、糊剤の精練性を向上させる成分である。また、それ自身が布帛に残留しても、耐目ずれ性や耐滑脱性を阻害せず、樹脂加工工程における、樹脂と布帛との接着性を阻害しない成分である。本発明で用いるノニオン界面活性剤(B)は1種または2種以上を使用してもよい。
ノニオン界面活性剤(B)としては、衣料用洗剤、食器用洗剤、精練剤などで使用される公知のノニオン界面活性剤でよく、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテル;ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第一級アルキルエーテル;ポリオキシエチレン1−ヘキシルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−オクチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−ヘキシルオクチルエーテル、ポリオキシエチレン1−ペンチルへプチルエーテル、ポリオキシエチレン1−へプチルペンチルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第二級アルキルエーテル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル;ポリオキシアルキレンアリールエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルアミン、脂肪族アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド;多価アルコール類の脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル等)、ポリオキシアルキレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンオクチレート等の脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル等のポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等のポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端アルキルエーテル化物;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端ショ糖エーテル化物等が挙げられる。ノニオン界面活性剤(B)のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダムおよび/またはブロックでもよい。
これらの中でも、本発明で用いるノニオン界面活性剤(B)は、上記一般式(1)で表される化合物であると好ましい。一般式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、4〜18が好ましく、8〜18がより好ましく、8〜16がさらに好ましい。アリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜16がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。アルキルアリール基の炭素数は、7〜19が好ましく、7〜17がより好ましく、7〜13がさらに好ましい。アラルキル基の炭素数は、7〜19が好ましく、7〜17がより好ましく、7〜13がさらに好ましい。
R基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等、直鎖、分岐または脂環式の構造を有する一級、二級または三級のペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基等のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−キセニル基、m−キセニル基、p−キセニル基等のアリール基;クレジル基、キシレニル基、メシチル基、クメニル基、アントリル基、フェナントリル基などのアルキルアリール基;ベンジル基、スチリル基、ジスチリル基、フェネチル基などのアラルキル基が挙げられる。精練性の点からR基として好ましいのはアルキル基、アラルキル基であり、さらに好ましいのはアラルキル基である。
一般式(1)中、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダムおよび/またはブロックでもよい。lは、エチレンオキサイドの付加モル数を表し、mはプロピレンオキサイドの付加モル数を表す。l、mは、0〜50の整数を表し、l+mは1〜50の整数であるが、精練性及び耐目ずれ性の点から、lは1〜20、mは0〜10、l+mは1〜20が好ましく、lは5〜20、mは0〜10、l+mは5〜20がより好ましく、lは5〜20、mは0〜5、l+mは5〜20がさらに好ましい。
nは0〜5の整数を表し、1〜3が好ましい。nが2以上のとき、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明で用いるノニオン界面活性剤(B)全体のグリフィン法によるHLBは、精練性が向上する点から、5〜15が好ましく、8〜15がさらに好ましい。
本発明の精練剤組成物は、成分(A)およびノニオン界面活性剤(B)が必須に含有されていれば、その重量比に限定はないが、成分(A)1重量部に対して、ノニオン界面活性剤(B)が0.1〜100重量部であることが好ましく、0.2〜50重量部であるとより好ましく、1〜10重量部であるとさらに好ましく、1〜5重量部であると特に好ましい。これらの範囲であることにより、精練剤組成物の安定性、精練性が高く、目ずれの効果が大きい。
本発明の精練剤組成物は、成分(A)、ノニオン界面活性剤(B)以外に、水を必須として含有する。本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、アニオン界面活性剤;両性界面活性剤;溶剤;pH緩衝剤;ポリアクリル酸またはその塩、ポリヒドロキシアクリル酸またはその塩、EDTA、NTA、ホスホン酸またはその塩、カルボン酸またはその塩、ポリカルボン酸またはその塩等のキレート剤;ポリオキシアルキレンエーテル系、高級アルコール系、シリコーンオイル系、鉱物油系、天然脂肪酸またはその塩(ヤシ油脂肪酸カリウム塩等)等の消泡剤;酵素;酵素安定剤;酵素活性剤等を挙げることができる。アニオン界面活性剤は、耐アルカリ性が向上する点で、含有することが好ましく、その含有量は、成分(A)1重量部に対して、0.01〜10重量部であるとさらに好ましい。
アニオン界面活性剤としては、衣料用洗剤、食器用洗剤、精練剤などで使用される公知のアニオン界面活性剤でよく、アニオン界面活性剤としては特に限定はないが、例えば、アルキルサルフェート塩、アルキルアリールサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルサルフェート塩(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテルサルフェート塩、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテルサルフェート塩等)、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルサルフェート塩、アルキルスルホネート塩、α−オレフィンスルホネート塩、アルキルアリールスルホネート塩(キシレンスルホネート塩、トルエンスルホネート塩、クメンスルホネート塩等)、アルキルアリールジスルホネート塩(アルキルジフェニルジスルホネート塩等)、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルホスフェート塩、アルキルアリールホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルホスフェート塩、ポリオキシアルキレンアルキル多価アルコールエーテルホスフェート塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩(ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物塩等)、アルキルカルボキシレート塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボキシレート塩、ポリカルボン酸塩、ロート油、リグニンスルホン酸塩等が挙げられる。上記アニオン界面活性剤が塩の場合、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であればよい。有機アミン塩としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)の塩等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
溶剤としては、特に限定はないが、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、メチルグリコール、エチルグリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、t−ブチルグリコール、ベンジルアルコール、ブチルカービトール、ソルフィット、ポリアルキレングリコール等)、ケトン(アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド(N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ジメチルスルホキシド、リモネン、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)等が挙げられる。これら溶剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
本発明の精練剤組成物の製造方法としては、特に限定なく、公知の方法を採用することができる。水に成分(A)、ノニオン界面活性剤(B)を配合し、必要に応じてさらなる水や他の成分を配合し、均一に溶解させる方法等が挙げられる。
精練剤組成物に占める成分(A)とノニオン界面活性剤(B)の合計の割合は、0.1〜800g/Lが好ましく、0.2〜700g/Lがより好ましく、0.5〜600g/Lがさらに好ましい。必要により、ソーダ灰、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ソーダ等のアルカリビルダーを0.1〜20g/L使用してもよい。
(精練処理済み布帛の製造方法)
本発明の精練処理済み布帛の製造方法は、上記の精練剤組成物を用いて布帛を精練処理する工程を含むものである。また、精練処理する布帛は、前述した通りである。
精練処理する工程とは、精練工程を必須に含み、任意で予備洗浄工程、糊抜工程、湿熱処理(スチーミング)工程、漂白工程、湯洗工程、水洗工程、乾燥工程等の工程を含むものであり、これら工程が連続的に組み合わされ、構成される一連の工程をいう。
詳細には、精練処理する工程を構成する各工程としては、布帛を処理槽に浸漬させ、付着物を予め除去する予備洗浄工程;糊剤等の付着物を除去するため、布帛を糊抜に必要な薬剤が入った処理槽に浸漬させ、場合により熱処理する糊抜工程;紡糸用油剤、製織用油剤などを除去するため、布帛を必要な薬剤が入った処理槽に浸漬させ、場合により熱処理する精練工程;高温高湿の蒸気に布帛を通す湿熱処理(スチーミング)工程;布帛を漂白に必要な薬剤が入った処理槽に浸漬させ、場合により熱処理する漂白工程;布帛を処理槽に浸漬させ、付着物及び布帛に付いた薬剤を除去処理する湯洗工程及び水洗工程;布帛を乾燥させる乾燥工程;などが挙げられる。工程順について特に限定はないが、上記の記載の順番が好ましい。各工程の具体的な手法としては、公知の技術を採用できる。
予備洗浄工程では、浸透剤、酸、アルカリなどの薬剤が使われることがある。糊抜工程では、アミラーゼ、ペクチナーゼなどの酵素、過硫酸塩、過酸化水素などの酸化糊抜剤、アルカリ、pH緩衝液などの薬剤が使われることがある。精練工程では、精練剤、アルカリ、キレート剤などが使われることがある。漂白工程では、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、さらし粉などの酸化漂白剤、ハイドロサルファイトなどの還元漂白剤、アルカリ、安定剤等が使われることがある。
精練処理前の布帛に付着している成分としては、高級脂肪酸高級アルコールエステル、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、鉱物油、シリコーン等の紡糸用油剤由来成分;ポリビニルアルコール、でんぷん(コーンスターチや小麦でんぷんなど)、加工でんぷん、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、アクリル酸エステル系樹脂、ワックス成分(パラフィン、硬化油、カルナバワックス等)等の製織用油剤;糊剤成分等が挙げられる。
本発明の精練剤組成物を用いて、例えば、エアバッグの製造工程で使用される布帛を洗浄する(精練または精練処理という場合がある)場合、精練処理する工程を含む精練処理済み布帛の製造方法としては、例えば、以下が挙げられる。精練処理としては、紡糸用油剤、製織用油剤、糊剤等の付着物の除去処理を含むものである。
精練処理する工程は、精練処理機を用い、通常のバッチ方式、連続方式のいずれでもよい。バッチ式精練処理機では、処理浴中に紡糸用油剤、製織用油剤及び糊剤等の付着物(以下、付着成分等という)が付着している布帛(織布)を、精練剤組成物を含む水溶液(精練液)に浸漬させ、洗浄後、湯洗および/または水洗により充分に精練液と共に付着成分等を除去する。浴比は特に制限はないが、通常1:3〜1:50、好ましくは、1:5〜1:30である。連続方式の精練処理機では、主に処理槽(連続方式では主にサチュレーターと呼ばれる処理槽)、絞りローラーおよび多段ロールを有するスチーマ−ボックス、湯洗および/または水洗槽などからなる。例えば、連続方式の精練処理はサチュレーター槽に精練液を満たし、これに付着成分等が付着している織布を浸漬させ、順にローラー、スチーマーボックス中を通過させて行う。これにより、精練液と共に付着成分等を除去する。その後、湯洗および/または水洗により、充分に精練液と共に付着成分等を除去する。
精練処理の温度は、繊維の種類にもよるが20〜140℃である。汚れを効率よく除去するためには高温が好ましく、50〜110℃が好ましい。バッチ式では80℃以上が好ましい。連続方式のスチーマーボックスでは90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましい。
精練処理の時間は、付着成分等の種類、付着量にもよるが、バッチ式精練処理機では5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましい。120分超では作業性がよいとはいえず、付着成分等が除去された段階で、湯洗および/または水洗を行うのが好ましい。連続方式の精練処理機では、スチーミング時間は1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましい。60分超では作業性がよいとはいえず、付着成分等が除去された段階で、湯洗および/または水洗を行うのが好ましい。その後、場合により、脱水工程を経て、70〜180℃で30秒〜1時間乾燥する。
上記処理浴(精練液)中での成分(A)とノニオン界面活性剤(B)の合計の割合は、0.1〜20g/Lが好ましく、0.2〜15g/Lがより好ましく、0.5〜10g/Lがさらに好ましい。必要により、ソーダ灰、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ソーダ等のアルカリビルダーを0.1〜20g/L使用してもよい。また、ポリアクリル酸またはその塩、ポリヒドロキシアクリル酸またはその塩、EDTA、NTA、ホスホン酸またはその塩、カルボン酸またはその塩、ポリカルボン酸またはその塩等のキレート剤を0.1〜20g/L使用してもよい。精練性向上の点から、精練液のpHは6以上が好ましい。
本発明の精練剤組成物は、精練処理する工程に含まれる精練工程で使用されるが、さらに予備洗浄工程、糊抜工程、漂白工程、湯洗工程、水洗工程等においても使用することができる。
本発明における精練処理済み布帛の製造方法は、成分(A)及びノニオン界面活性剤(B)を用いて布帛を精練処理する工程を含むものである。成分(A)及びノニオン界面活性剤(B)は、精練処理する工程に含まれる同じ工程で使用してもよく、精練処理する工程に含まれるそれぞれ別の工程で使用してもよい。別の工程で使用する場合、中でも、ノニオン界面活性剤(B)を使用する工程より後の工程において、成分(A)を使用することが目ずれの効果が大きいため、好ましい。精練工程においてノニオン界面活性剤(B)を使用し、湯洗工程および/または水洗工程において成分(A)を使用することが、目ずれの効果が大きいため、さらに好ましい。同じ工程で使用する場合は、前述の精練剤組成物を用いる場合となる。
本発明における精練処理済み布帛の製造方法は、成分(A)及びノニオン界面活性剤(B)を用いて布帛を精練処理する工程を含むものであれば、その使用量の重量比に限定はないが、成分(A)1重量部に対して、ノニオン界面活性剤(B)が0.1〜100重量部であることが好ましく、0.2〜50重量部であるとより好ましく、1〜10重量部であるとさらに好ましく、1〜5重量部であると特に好ましい。これらの範囲であることにより、精練性が高く、目ずれの効果が大きい。
成分(A)を処理する浴における、成分(A)の割合は、0.1〜20g/Lが好ましく、0.2〜15g/Lがより好ましく、0.5〜10g/Lがさらに好ましい。
ノニオン界面活性剤(B)を処理する浴における、ノニオン界面活性剤(B)の割合は、0.1〜20g/Lが好ましく、0.2〜15g/Lがより好ましく、0.5〜10g/Lがさらに好ましい。
本発明の精練処理済み布帛には、紡糸用油剤、製織用油剤及び糊剤、精練剤由来の成分等がいくらか残留するが、これらが布帛に残留しても、耐目ずれ性や耐滑脱性を向上させることができ、樹脂加工工程における樹脂と布帛との接着性を向上させることができる。精練処理済み布帛の残留成分の量(残留量)は、ヘキサン抽出量および/または熱水抽出量で表すことができ、精練処理済み布帛のヘキサン抽出量は、布帛に対して、0.001〜2重量%であり、熱水抽出量は布帛に対して、0.001〜1重量%である。成分(A)の残留分は主に熱水で抽出され、成分(A)の熱水抽出量は、布帛に対して、0.0001〜0.5重量%である。ノニオン界面活性剤(B)の残留分は主にヘキサンで抽出され、ノニオン界面活性剤(B)のヘキサン抽出量は布帛に対して0.0001〜1重量%である。
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<ポリウレタン樹脂の合成>
合成例1
攪拌機、還流冷却管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリブチレンアジペート(平均分子量2000)241.2g、ジメチロールブタン酸13.4g、ジブチルチンジラウレート0.005g及びメチルエチルケトン1180gを入れ、これらを均一に混合した。その後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート79.0gを加え、80℃で220分の加熱により反応を進行させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基の含有量が2.3重量%であるウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液をトリエチルアミン9.1gで中和してから別容器に移し、30℃以下で水670gを徐々に加えながら、乳化分散させた。これにピペラジンの30重量%水溶液25.9gを添加後、90分間攪拌して、ポリウレタン樹脂を生成させた。次いで、減圧下で50℃に加熱することにより、メチルエチルケトンを除去し、水で不揮発分を35重量%に調整して、ポリウレタン樹脂の水分散液A(不揮発分35重量%)を得た。ここで、不揮発分とは、試料の一定量をアルミシートに平らに広げて赤外線ランプ照射下110℃で乾燥し、150秒間の揮発分の変動幅が0.15重量%になった時を測定の終点とする場合の残分である。
合成例2
攪拌機、還流冷却管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(平均分子量2000)246.7g、ジメチロールブタン酸13.7g、ネオペンチルグリコール3.2g、ジブチルチンジラウレート0.005g及びメチルエチルケトン180gを入れ、これらを均一に混合した。その後、イソホロンジイソシアネート68.5gを加え、80℃で200分の加熱により反応を進行させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基の含有量が1.6重量%であるウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液をトリエチルアミン9.3gで中和してから別容器に移し、30℃以下で水670gを徐々に加えながら、乳化分散させた。これにイソホロンジアミン7.3g、ジエチレントリアミン1.3g及び水25gの混合溶液を添加後、90分間攪拌して、ポリウレタン樹脂を生成させた。次いで、減圧下で50℃に加熱することにより、メチルエチルケトンを除去し、水で不揮発分を35重量%に調整して、ポリウレタン樹脂の水分散液B(不揮発分35重量%)を得た。
合成例3
攪拌機、還流冷却管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリブチレンアジペート(平均分子量1000)100g、ジメチロールプロピオン酸19g、1,4−シクロヘキサンジメタノール37g、ジブチルチンジラウレート0.005g及びメチルエチルケトン180gを入れ、これらを均一に混合した。その後、トリレンジイソシアネート92gを加え、80℃で100分の加熱により反応を進行させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基の含有量が1.1重量%であるウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。ブタノール4.5gを加え、さらにトリエチルアミン14.5gで中和してから別容器に移し、30℃以下で水790gを徐々に加えながら、乳化分散させた。次いで、減圧下で50℃に加熱することにより、メチルエチルケトンを除去し、水で不揮発分を35重量%に調整して、ポリウレタン樹脂の水分散液C(不揮発分35重量%)を得た。
<ポリエステル樹脂の合成>
合成例4
攪拌機、留出管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、テレフタル酸ジメチル58.2g、5−ソジウムスルホイソフタル酸14.8g、エチレングリコール49.6g、1,4−ブタンジオール108g、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)30g、及びテトラブチルチタネート0.5gを入れ、130℃から170℃まで2時間かけて昇温し、生成するメタノールを留去させた。更にアジピン酸101.5gを添加し、170℃から250℃まで3時間かけて昇温した後、フラスコ内を徐々に減圧し、過剰のグリコール成分を留去した。真空度5mmHgで4時間反応後、常圧に戻し、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂35gを水65gで分散し、ポリエステル樹脂の水分散液D(不揮発分35重量%)を得た。
合成例5
攪拌機、留出管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、テレフタル酸ジメチル242.7g、イソフタル酸ジメチル31.1g、5−ソジウムスルホイソフタル酸59.3g、エチレングリコール198.6g、及びテトラブチルチタネート0.5gを入れ、130℃から170℃まで2時間かけて昇温し、生成するメタノールを留去させた。170℃から250℃まで3時間かけて昇温した後、フラスコ内を徐々に減圧し、過剰のグリコール成分を留去した。真空度5mmHgで4時間反応後、常圧に戻し、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂35gを水65gで分散し、ポリエステル樹脂の水分散液E(不揮発分35重量%)を得た。
<アクリル樹脂の合成>
合成例6
撹拌機、窒素導入管、還流管、温度計を備えた1リットルの四ツ口フラスコに水605重量部を仕込み、窒素を導入しながら90℃まで昇温し、重合用触媒として過硫酸アンモニウムを0.2重量部加えて、撹拌し完全に溶解させた。直ちに、別に設置した滴下フラスコより、あらかじめ混ぜておいた単量体液(濃度80重量%のアクリル酸水溶液25重量部と、濃度100重量%のアクリル酸エチル205重量部)を徐々に滴下し、重合を開始した。重合時は92〜95℃を保ち、1時間かけて単量体液を全量滴下した。その間、15分後、30分後、45分後に過硫酸アンモニウム0.2重量部を投入した。滴下終了後、後触媒として、過硫酸アンモニウムを0.2重量部および軟水125重量部を四ツ口フラスコに仕込んだ。このまま92〜95℃で1時間撹拌した後、40℃まで冷却し、アクリル樹脂を得た。酸価は69であった。得られたアクリル樹脂を取り出し、アクリル樹脂をアンモニア中和度80%となるように濃度25重量%のアンモニア水を投入した。さらに、水を投入し、アクリル樹脂の水分散液F(不揮発分20重量%)を得た。
(実施例1〜17)
表1、2に示す配合量(重量部)の各成分を混合して、精練剤組成物を得た。この精練剤組成物を用いて、以下に示す条件で精練処理をそれぞれ行い、得られたエアバッグ用布帛について、滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を下記方法により、測定、評価した。その結果を表1、2に示す。また、精練処理前のヘキサン抽出量、熱水抽出量は、それぞれ、0.193重量%、0.112重量%であった。
<精練処理方法>
精練処理方法は次のように行った。精練剤組成物を、下記の精練処理装置に付随する染色ポットに入れた。次いで、経糸密度:58本/2.54cm、緯糸:55本/2.54cmのエアバッグ用布帛(松本油脂製薬株式会社製の紡糸用油剤を用いて紡糸した、総繊度が350dtex、108フィラメントのナイロン66繊維糸を用いて、ウォータージェットルームによって平織に製織した布帛)20gを染色ポットに入れ、下記の精練処理条件で80℃、5分間精練処理を行った。精練処理された布帛に対して、下記の条件で、水洗を行い、乾燥機にて90℃、60分間乾燥した。乾燥後の精練処理済みエアバッグ用布帛の滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を測定した。
<精練処理条件>
試験機:(株)テクサム技研製回転ポット染色試験機(12EL型)を使用。
布帛量:20g
処理濃度:精練剤組成物を3g/L、ソーダ灰を2g/L
精練温度×精練時間:80℃×5分間
浴 比:1:15
水 洗:60秒
乾 燥:90℃×60分間
染色ポットの回転数:50rpm
<評価方法>
(1)ピン引掛け法(JIS−L−1096)による滑脱抵抗力
ピン引掛け法(JIS−L−1096)による糸の引抜き最大抵抗力(滑脱抵抗力)を測定した。タテ方向、ヨコ方向それぞれ3回の平均値を算出した。滑脱抵抗力が大きいほど、目ずれがしにくく、耐目ずれ性及び耐滑脱性が優れていることを示す。この条件では、最大抵抗力(滑脱抵抗力)が、たて方向400N以上、よこ方向300N以上であることが好ましく、タテ方向500N以上、ヨコ方向400N以上がより好ましい。
(2)ヘキサン抽出量
精練処理済み布帛について、ヘキサンを用いてソックスレー抽出装置で抽出し、重量変化より布帛に対するヘキサン抽出量を測定した。ヘキサン抽出量が小さいほど、精練性が優れていることを示す。この条件では、ヘキサン抽出量が0.1重量%以下であると好ましく、0.07重量%以下であるとさらに好ましい。
(3)熱水抽出量
ヘキサン抽出量を測定後の精練処理済み布帛を水酸化ナトリウム1.5重量%、ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル0.1重量%およびドデシル硫酸ナトリウム0.1重量%を含む溶液で1時間煮沸し、水洗後、重量変化より布帛に対する熱水抽出量を測定した。熱水抽出量が小さいほど、精練性が優れていることを示す。この条件では、熱水抽出量が0.05重量%以下であることが望ましい。
Figure 2011052366
Figure 2011052366
(比較例1〜7)
表3にそれぞれ示す精練剤組成物を用いる以外は、実施例1〜17と同様にして、精練処理をそれぞれ行った。得られた精練処理エアバッグ用布帛の滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を測定した。
Figure 2011052366
実施例1〜17では、精練性、耐目ずれ性・耐滑脱性が優れている。それに対して、比較例1〜7では、全般に精練性および/または耐目ずれ性・耐滑脱性が劣っている。
(実施例18〜34)
表4、5に示す配合量(重量部)の各成分を混合して、精練剤組成物及び水洗工程で用いられる組成物(以下、水洗工程組成物という)を得た。これらの組成物を用いて、以下に示す条件で、精練工程及び水洗工程を含む精練処理を行った。得られたエアバッグ用布帛について、滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を実施例1〜17と同じ評価方法により、測定、評価した。その結果を表4、5に示す。また、精練処理前のヘキサン抽出量、熱水抽出量は、それぞれ、0.193重量%、0.112重量%であった。
<精練処理方法>
精練処理方法は次のように行った。精練剤組成物を、下記の精練処理装置に付随する染色ポットに入れた。次いで、経糸密度:58本/2.54cm、緯糸:55本/2.54cmのエアバッグ用布帛(松本油脂製薬株式会社製の紡糸用油剤を用いて紡糸した、総繊度が350dtex、108フィラメントのナイロン66繊維糸を用いて、ウォータージェットルームによって平織に製織した布帛)20gを染色ポットに入れ、下記の精練処理条件で80℃、5分間精練を行った。精練された布帛に対して、下記の条件で、水洗を行い、乾燥機にて90℃、60分間乾燥した。乾燥後の精練処理済みエアバッグ用布帛の滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を測定した。
<精練処理条件>
試験機:(株)テクサム技研製回転ポット染色試験機(12EL型)を使用。
布帛量:20g
処理濃度:精練剤組成物を3g/L、ソーダ灰を2g/L
精練温度×精練時間:80℃×5分間
浴 比:1:15
水 洗:水洗工程組成物を0.5g/L入れ、60秒
乾 燥:90℃×60分間
染色ポットの回転数:50rpm
Figure 2011052366
Figure 2011052366
(比較例8〜14)
表6にそれぞれ示す成分を用いる以外は、実施例18〜34と同様にして、精練処理をそれぞれ行った。得られた精練処理エアバッグ用布帛の滑脱抵抗力、ヘキサン抽出量、熱水抽出量を測定した。
Figure 2011052366
実施例18〜34では、精練性、耐目ずれ性・耐滑脱性が優れている。それに対して、比較例8〜14では、全般に精練性および/または耐目ずれ性・耐滑脱性が劣っている。

Claims (13)

  1. 布帛を精練処理するために使用される精練剤組成物であって、
    水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)、ノニオン界面活性剤(B)及び水を必須に含有する、精練剤組成物。
  2. 前記成分(A)が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の精練剤組成物。
  3. 前記成分(A)が、ポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の精練剤組成物。
  4. 前記ノニオン界面活性剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の精練剤組成物。
    Figure 2011052366
    (式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダムおよび/またはブロックでもよい。lはエチレンオキサイドの付加モル数を表し、mはプロピレンオキサイドの付加モル数を表す。l、mは0〜50の整数を表し、l+mは1〜50の整数である。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  5. 前記ノニオン界面活性剤(B)の一般式(1)におけるRが、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基である、請求項4に記載の精練剤組成物。
  6. 前記ノニオン界面活性剤(B)の一般式(1)におけるRが、炭素数7〜20のアラルキル基である、請求項4に記載の精練剤組成物。
  7. 前記成分(A)1重量部に対して、前記ノニオン界面活性剤(B)が0.1〜100重量部の割合で含有されている、請求項1〜6のいずれかに記載の精練剤組成物。
  8. 前記布帛のカバーファクターが1500〜3500である、請求項1〜7のいずれかに記載の精練剤組成物。
  9. 前記布帛が、エアバッグ用布帛である、請求項1〜8のいずれかに記載の精練剤組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の精練剤組成物を用いて布帛を精練処理する工程を含む、精練処理済み布帛の製造方法。
  11. 水溶性合成樹脂および/または水分散性合成樹脂からなる成分(A)とノニオン界面活性剤(B)とを用いて布帛を精練処理する工程を含む、精練処理済み布帛の製造方法。
  12. 前記成分(A)が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項11に記載の精練処理済み布帛の製造方法。
  13. 前記ノニオン界面活性剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項11または12に記載の精練処理済み布帛の製造方法。
    Figure 2011052366
    (式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルキルアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表し、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダムおよび/またはブロックでもよい。lはエチレンオキサイドの付加モル数を表し、mはプロピレンオキサイドの付加モル数を表す。l、mは0〜50の整数を表し、l+mは1〜50の整数である。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
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