JP2011051805A - 単結晶シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】8×1017atoms/cm3以下の低酸素濃度を有するシリコン単結晶を成長させるシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法によりシリコン単結晶Sを製造する製造方法は、単結晶製造装置1において、坩堝6中の溶融されたシリコン原料Fに1000ガウス以上5000ガウス以下の磁界を印加し、かつシードの回転速度を8rpm以下に制御して単結晶Sの成長を実行する。さらに下ヒーター4−2に対する上ヒーター4−1の出力比を4以上に制御することにより、単結晶S中の酸素濃度を更に低減することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】チョクラルスキー法によりシリコン単結晶Sを製造する製造方法は、単結晶製造装置1において、坩堝6中の溶融されたシリコン原料Fに1000ガウス以上5000ガウス以下の磁界を印加し、かつシードの回転速度を8rpm以下に制御して単結晶Sの成長を実行する。さらに下ヒーター4−2に対する上ヒーター4−1の出力比を4以上に制御することにより、単結晶S中の酸素濃度を更に低減することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶シリコンの製造方法に関するものであり、特に、チョクラルスキー法において低酸素濃度を有する単結晶シリコンを製造する方法に関するものである。
単結晶シリコンを製造する方法は、フローティング・ゾーン(Floating Zone,FZ)法及びチョクラルスキー(Czochralski,CZ)法に大別できる。
FZ法は、種結晶(シード)を多結晶シリコンの原料棒の一端に融着させた後、この長さ方向に沿って誘導加熱でシリコンを溶融することにより単結晶を成長させる方法である。溶融した高温領域が他の材質と接触しないため低酸素濃度を有する結晶を成長させることができるが、単結晶の大口径化が困難であるため、量産には不向きである。
一方、CZ法は、原料となる多結晶シリコン等を坩堝中で融解し、シードをシリコン融液へ接触させたのち引き上げて単結晶を成長させる方法であり、得られる単結晶の大口径化への対応が可能な量産向きの方法である。
このCZ法によって大口径の単結晶を引き上げるに当たり、その品質制御が重要になる。この品質制御に関して、特許文献1には、シリコン原料を溶融するためのヒーターを上下方向(即ち、単結晶の成長軸方向)に分割し、ヒーターの上下方向の温度分布を制御することにより単結晶シリコンの品質制御を容易にする手法が提案されている。
ところで、CZ法においては石英(SiO2)製の坩堝が使用されるため、坩堝からシリコン融液への酸素の混入が不可避であり、従って酸素濃度を如何にして低減するかが重要になる。即ち、近年においては、パワーエレクトロニクスの発展に伴い、パワーデバイスに対して高耐圧、低損失、及び高温動作性能が要求されている。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor,IGBT)はパワーデバイスの代表例であり、ハイブリッド車における電力変換システムのスイッチングデバイスとして使用されている。
こうしたパワーデバイスの高耐圧、低損失、及び高温動作性能を実現するためには、デバイス中に含まれる欠陥の制御が不可欠である。中でも酸素はデバイス中に欠陥を形成するため、酸素濃度によっては高出力動作時にデバイスを破壊させる虞がある。従って、大口径の単結晶シリコンをCZ法にて製造する場合にも、この酸素濃度の制御は極めて重要であり、この点につき特許文献1には何ら記載されていない。
そこで本発明の目的は、CZ法により、例えばIGBT等の用途に利用可能な低い領域の酸素濃度を有する単結晶シリコンの製造を可能とする方法について提供することにある。
発明者らは、単結晶シリコン中の酸素濃度を低減すべく鋭意検討した結果、坩堝中の溶融されたシリコン原料に所定の大きさの磁界を印加し、かつシードの回転速度を所定の範囲に制御することが低酸素濃度の実現に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明による単結晶シリコンの製造方法は、坩堝の周囲に配置したヒーターにて該坩堝内の溶融シリコンを保温しつつ該溶融シリコンから種結晶を介して単結晶シリコンを引き上げるに際し、前記溶融シリコンに1000ガウス以上5000ガウス以下の磁界を印加し、前記種結晶の回転速度を8rpm以下とすることを特徴とするものである。これにより、坩堝内で溶融されたシリコン原料中の酸素が坩堝の外側に引き寄せられるとともにシード回転による坩堝中の融液の対流が抑制されるため、単結晶シリコン中の酸素濃度を低減することができる。
ここで、前記単結晶シリコンの酸素濃度が8×1017atoms/cm3以下であることを特徴とするものである。これにより、例えばIGBT等の用途に使用可能な低い領域の酸素濃度を有する単結晶シリコンとなる。
また、本発明では、前記種結晶の回転速度を5rpm以下とすることが好ましい。これにより、坩堝中のシリコン融液の対流が更に抑制されるため、酸素濃度の更なる低減を図ることができる。
同様に、前記ヒーターとして単結晶の成長軸方向に並列配置した上及び下ヒーターを用いて、前記下ヒーターに対する上ヒーターの出力比を4以上にすることが好ましい。これにより、溶融されたシリコン原料の温度分布を制御することができ、酸素濃度を更に低減することができる。
更に本発明は、前記下ヒーターに対する上ヒーターの出力比を6以上にすることが好ましい。これにより、例えばIGBT等の用途に好適な4×1017atoms/cm3以下の酸素濃度を有する単結晶シリコンを製造することが可能になる。
本発明は、前記下ヒーターの単結晶の成長方向の高さは前記上ヒーターの単結晶の成長方向の高さ以上とすることが好ましい。これにより、ヒーターの温度分布制御性能を向上させ、更なる酸素濃度の低減を図ることができる。
以下、本発明による単結晶シリコンの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による単結晶シリコンの製造方法において使用される単結晶製造装置1を示している。単結晶製造装置1は、断熱材3と、ヒーター4と、シャフト5と、坩堝6と、ケーブルワイヤ7と、シード保持用チャック8とを有するチャンバ2と、マグネット9とを備える。
チャンバ2は、内側を断熱材3で被覆された中空の気密容器であり、例えばアルゴンガス等の不活性ガスを供給又は排気して、所定の気密状態が保持される(図示せず)。
ヒーター4は、抵抗加熱式の黒鉛ヒーターであり、坩堝6を囲繞するように配置されている。ヒーター4は、例えば多結晶シリコンなどの原料を坩堝6内で加熱して融解するとともに得られた融液を保温する。本発明のヒーター4は上下2つに分割され、主に原料の固液界面の温度を単結晶シリコンの成長に適した1420℃となるように使用される上ヒーター4−1と、主に原料を融解して成長に適した液温に保温する下ヒーター4−2からなる。上ヒーター4−1は、上記固液界面の温度制御が可能となるように、上ヒーター4−1の上下方向(即ち、単結晶の成長軸方向)の発熱ピーク位置がシリコン原料の固液界面に一致するように配置されている。
坩堝6は、石英(SiO2)製の坩堝であり、チャンバ2の中央下部に垂直に立設されたシャフト5上に設置され、坩堝制御装置(図示せず)により当該シャフトの軸の周りを所定の回転速度で回転するとともに上下方向に昇降自在となるように構成されている。
チャンバ2内に単結晶シリコン引上機(図示せず)からケーブルワイヤ7が上下回転自在なように垂下されており、ケーブルワイヤ7の先端にはシードを把持するためのシード保持用チャック8が取付けられている。
また、チャンバ2の周囲にはマグネット9が設けられており、坩堝6中に溶融されたシリコン原料に1000〜5000ガウスの磁界を印加し、磁界印加チョクラルスキー(Magnetic−field−applied Czochralski,MCZ)法として単結晶シリコンを製造するように構成されている。
このような単結晶製造装置1において、シードをシード保持用チャック8に取り付け、その後シリコン原料溶液Fに浸漬してケーブルワイヤ7を所定の回転速度で回転させながら引上げることによって、単結晶シリコンSを成長させることができる。
本発明に従う単結晶シリコンの製造方法においては、坩堝中の溶融されたシリコン原料に所定の大きさの磁界を印加し、かつシードの回転速度を所定の範囲に制御することが肝要である。以下、本発明による単結晶シリコンの製造方法により得られた単結晶シリコンにおいて、シードの回転速度と単結晶シリコン中の酸素濃度との関係について説明する。
図2は、シードの回転速度と単結晶シリコン中の酸素濃度との関係を示しており、横軸は得られた単結晶シリコンインゴットの上下方向(即ち、単結晶の成長軸方向)の位置を表している。(a)〜(c)のいずれにおいても分割ヒーターの上下出力比は6であり、シードの回転速度はそれぞれ(a)8rpm、(b)5rpm、及び(c)3rpmである。
マグネット9により、1000〜5000ガウスの範囲の所定の大きさの磁界を坩堝6中のシリコン融液に印加する。ここで1000ガウスは、融液中の酸素を坩堝6の外側に引き寄せ、単結晶シリコン中の酸素濃度の低減効果を発生させるための下限の値である。一方、上限については、特に限定する必要はないが、現状の装置限界から5000ガウス以下とする。
(a)と(b)を比較すると、単結晶シリコン中の酸素濃度は(a)では5×1017/cm3程度であるのに対し、(b)では2×1017/cm3程度と大きく低減されており、シードの回転速度を低減することにより、単結晶シリコン中の酸素濃度が更に低減されることが分かる。また、シードの回転速度が5rpmの場合には、端から1000mm付近までIGBT等の用途に特に好適な酸素濃度の条件(4×1017atoms/cm3)を満足していることも分かる。
これは、シードの回転速度の上昇により外側から中心に向かう融液の対流が坩堝6の内側において発生するため、マグネット9により坩堝の外側に引き寄せられている酸素が、成長する単結晶シリコン中に取り込まれ易くなるためと考えられる。従って、シードの回転速度としては、単結晶の引き上げに必要な回転は与えるが、8rpm以下、より好ましくは5rpm以下とする。
(b)と(c)を比較すると、シードの回転速度を5rpmから3rpmへ低減しても、300〜700mmの中央付近においては酸素濃度の低減効果は観察されないが、700mm以上の領域においては酸素濃度の低減効果が有意に観察されている。一般に、単結晶成長過程の後半においては前半に比べて坩堝6中のシリコン融液中の酸素濃度が高いため、成長過程の後半では酸素が単結晶中に取り込まれ易く、単結晶中の酸素濃度は増加する。図2は、このような成長過程の後半において、シードの回転速度の低減が酸素濃度の低減に有効であることを明確に示している。これにより、得られたシリコン単結晶において所定の酸素濃度を有する領域が広がり、より広い領域が使用可能となるため、歩留まりの向上が期待できる。
また、本発明の方法においては、上記した磁界及びシードの回転速度の制御に加えて、
分割ヒーターのそれぞれの出力を調整し、下ヒーター4−2の出力に対する上ヒーター4−1の出力の比(以降、「上下出力比」と称する)を制御することによって、更に酸素濃度を低減することが可能である。ここで、図3は、分割ヒーターの上下出力比と、得られた単結晶シリコン中の酸素濃度との関係を示しており、横軸は得られた単結晶シリコンインゴットにおける上下方向(即ち、単結晶の成長軸方向)の位置を表している。(a)は従来の一体型ヒーター、(b)〜(d)は本発明における分割ヒーターを使用した場合の結果を示している。(b)〜(d)における上下出力比はそれぞれ4、6及び8であり、シードの回転速度(8rpm)を始めとして他の成長条件は、(a)〜(d)いずれの場合も同一に設定されている。
分割ヒーターのそれぞれの出力を調整し、下ヒーター4−2の出力に対する上ヒーター4−1の出力の比(以降、「上下出力比」と称する)を制御することによって、更に酸素濃度を低減することが可能である。ここで、図3は、分割ヒーターの上下出力比と、得られた単結晶シリコン中の酸素濃度との関係を示しており、横軸は得られた単結晶シリコンインゴットにおける上下方向(即ち、単結晶の成長軸方向)の位置を表している。(a)は従来の一体型ヒーター、(b)〜(d)は本発明における分割ヒーターを使用した場合の結果を示している。(b)〜(d)における上下出力比はそれぞれ4、6及び8であり、シードの回転速度(8rpm)を始めとして他の成長条件は、(a)〜(d)いずれの場合も同一に設定されている。
図3から明らかなように、単結晶シリコン中の酸素濃度は、一体型ヒーターの場合には9×1017/cm3程度であるのに対し、分割ヒーターの場合には、それぞれ(b)8×1017/cm3、(c)5×1017/cm3及び(d)3×1017/cm3程度であり、ヒーターの分割により酸素濃度が低減されている。また、一体型ヒーターは上下出力比が1の分割ヒーターと考えることができるため、上下出力比が大きいほど結晶中における酸素濃度の低減効果が大きいことが分かる。(c)は、上下出力比が6の場合に対する結果であり、図2の(a)に対応している。図3の(c)と(d)を比較すると、分割ヒーターの上下出力比を6から8に増加することにより、単結晶シリコン中の酸素濃度が更に低減されることが分かる。即ち、シードの回転速度の低減と同様に、ヒーターを分割して分割ヒーターの上下出力比を増加させることにより、単結晶シリコン中の酸素濃度を低減させること可能であることが分かる。
このようなヒーターの上下出力比を増加させることによる酸素濃度の低減効果は、上ヒーター4−1の出力の割合を大きくすることにより、下ヒーター4−2から坩堝6に与えられる熱量は低減されるため坩堝全体に与えられる総熱量が低減され、坩堝6を形成する石英(SiO2)がシリコン原料中に融解して混入する酸素の量が低減されるためと考えられる。現在、IGBT等の用途に使用可能なシリコン中の酸素濃度の上限は8×1017atoms/cm3程度とされており、製造された単結晶シリコンインゴッドにおいて上端から1000mm程度までを使用することを想定した場合には、IGBT等の用途に使用可能な酸素濃度を有する単結晶シリコンを製造するためには、分割ヒーターの上下出力比を4以上に設定する必要があることが分かる。
一方、分割ヒーターの上下出力比の上限については特に限定されないが、例えば上下出力比100が装置限界となる。尚、単結晶シリコンの引き上げの際に、上ヒーター4−1が、上記固液界面の温度制御のみならず、坩堝6中の溶融されたシリコン原料を単結晶シリコンの成長に適した温度に保温するのに十分な出力を有している場合には、下ヒーター4−2の電源を切断して上ヒーター4−1のみを使用することもできる。
尚、ヒーターを上下方向に分割する際に、上ヒーター4−1及び下ヒーター4−2が必ずしも同一の大きさを有している必要はなく、一体型ヒーターの上面と下面との間の任意の位置で分割することができる。上述のヒーターの分割により単結晶中の酸素濃度を低減するメカニズムにより、下ヒーター4−2の成長軸方向の高さが上ヒーター4−1の成長軸方向の高さ以上であることが好ましい。また、単結晶製造装置1の装置構成の制約がある場合には、下ヒーター4−2の高さを上ヒーター4−1の6倍以下とする。
このように、ヒーターを上下2つに分割し、上下出力比を4以上に制御するとともに、シードの回転速度を8rpm以下となるように設定して単結晶を成長させることにより、IGBT等の用途に使用可能な低酸素濃度(8×1017atoms/cm3以下)を有する大口径の単結晶シリコンを成長させることが可能となる。
以上、具体例を挙げて本発明を詳細に説明してきたが、本発明の特許請求の範囲から逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能であることは当業者に明らかである。例えば、ヒーターの分割数を増加することにより坩堝に対する温度制御を容易にして酸素濃度の更なる低減を図ることも可能である。従って、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
本発明によれば、チョクラルスキー法により8×1017atoms/cm3以下の低酸素濃度を有する単結晶シリコンを成長させることができるので、低酸素濃度が要求されるIGBT等で使用されるウェハ等に有用である。
1 単結晶成長装置
2 チャンバ
3 断熱材
4−1 上ヒーター
4−2 下ヒーター
5 シャフト
6 坩堝
7 ケーブルワイヤ
8 シード保持用チャック
9 マグネット
2 チャンバ
3 断熱材
4−1 上ヒーター
4−2 下ヒーター
5 シャフト
6 坩堝
7 ケーブルワイヤ
8 シード保持用チャック
9 マグネット
Claims (6)
- 坩堝の周囲に配置したヒーターにて該坩堝内の溶融シリコンを保温しつつ該溶融シリコンから種結晶を介して単結晶シリコンを引き上げるに際し、前記溶融シリコンに1000ガウス以上5000ガウス以下の磁界を印加し、かつ前記種結晶の回転速度を8rpm以下とすることを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
- 前記単結晶シリコンの酸素濃度が8×1017atoms/cm3以下であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
- 前記種結晶の回転速度を5rpm以下とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記ヒーターとして単結晶の成長軸方向に並列配置した上及び下ヒーターを用いて、前記下ヒーターに対する上ヒーターの出力比を4以上にすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記下ヒーターに対する上ヒーターの出力比を6以上にすることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
- 前記下ヒーターの単結晶の成長方向の高さは前記上ヒーターの単結晶の成長方向の高さ以上とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
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2009
- 2009-08-31 JP JP2009199861A patent/JP2011051805A/ja not_active Withdrawn
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