以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態をパチンコ遊技機を例にして説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図である。
<1.構成の概要:図1、図2>
図示のパチンコ遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前面枠2を開閉可能に取り付け、前面枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前面枠2の開口部に臨ませた構成を有する。上記遊技領域3aは、遊技盤3の面上に配設した球誘導レール5(図2参照)で囲まれた領域からなる。この遊技領域3aの前側に、透明ガラスを支持したガラス扉枠6が設けられている。
またパチンコ遊技機1は、ガラス扉枠6の下側に配設された前面操作パネル7を有している。前面操作パネル7には上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。前面操作パネル7には、球貸しボタン11およびプリペイドカード排出ボタン12(カード返却ボタン12)が設けられている。また、上受け皿9の上皿表面部分には、内蔵ランプが点灯されて操作可能となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出効果を変化させることができる押しボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この上受け皿9には、上受け皿9に貯留された遊技球をパチンコ遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14が設けられている。
また、前面操作パネル7の右端部側には、発射ユニットを作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また、前面枠2の上部の両側、発射操作ハンドル15の上側には、効果音を発生するスピーカ46が設けられている。またさらに、ガラス扉枠6の各所には、光の装飾により演出効果を現出する装飾ランプ45が設けられている。
次に、遊技盤3の遊技領域3aについて説明する。図2に示すように、遊技盤3の略中央部には、3つ(左、中、右)の表示エリアにおいて、独立して数字やキャラクタや記号などによる図柄(装飾図柄)の変動表示が可能である画像表示装置としての液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が配設されている。この液晶表示装置36の真下には、第1の特別図柄始動口である上始動口34と、第2の特別図柄始動口である下始動口35とが上下に配設され、それぞれの内部には、入賞球を検出する特別図柄始動口センサ34a、35a(図3参照)が設けられている。下始動口35には、左右一対の可動翼片47が下始動口35を開閉可能に設けられ、いわゆるチューリップ型の電動役物(普通変動入賞装置41)を構成している。
上始動口34より上左側には、ゲートからなる普通図柄始動口37が配設されており、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が配設されている。
上記下始動口35の下方には、大入賞口40を開閉する開放扉42bで開閉可能に構成した特別変動入賞装置42が配設され、その内部には、入賞球を検出する大入賞口センサ40a(図3参照)が配設されている。
特別変動入賞装置42の両側に一般入賞口43が計4つ配設されており、それぞれ内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また、遊技領域3aの右上縁付近には、7セグを3桁に並べて構成される特別図柄表示装置38と、2個のLEDからなる普通図柄表示装置39が設けられている。さらに、遊技領域3aには、センター飾り48、遊技球の落下方向変換部材としての風車44や複数の遊技釘(図示せず)、複数の発光装置(ランプ、LED等:図示せず)などが配設されている。さらに遊技盤3の両側端部近傍にも、装飾ランプ45などのランプ表示装置やLED装置が配設されている。
遊技球が上始動口34または下始動口35に入賞したことに基づき、主制御部20(図3参照)において乱数抽選による大当りに関する抽選(大当り抽選)が行なわれる。この抽選結果に応じて特別図柄を特別図柄表示装置38に変動表示させて、特別図柄変動表示ゲーム(図柄遊技)を開始し、一定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置38に表示するようになっている。このとき、上記特別図柄変動表示ゲームに連動する形態で、装飾図柄を液晶表示装置36に変動表示させて、装飾図柄変動表示ゲームを開始し、上記一定時間経過後に、特別図柄表示装置38に抽選結果が表示されると共に、液晶表示装置36にも装飾図柄によりその結果が表示される。
本実施形態では液晶表示装置36により画像表示装置を構成しているが、これに限らず、画像表示装置として、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、電子ペーパディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic ElectroLuminescent Display)等で構成しても良い。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24(図3参照)の制御の下で、種々の演出を画像で表示させる。すなわち、上記特別図柄変動表示ゲームでの抽選結果を反映させた演出、つまり装飾図柄を変動表示させて上記装飾図柄変動表示ゲームを現出し、これに付随して種々の予告演出(たとえば、連続予告演出やリーチ演出や背景演出など)を現出させる。
したがって、特別図柄表示装置38での特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」であった場合、この液晶表示装置36の装飾図柄変動表示ゲームの結果も「大当り」を反映させた演出が現出される。また、特別図柄表示装置38には、大当りを示す特別図柄が所定の表示態様(たとえば、2個の7セグが全て「7」の表示状態)で停止表示され、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、当り有効ライン上で装飾図柄が上記大当り抽選結果を反映させた所定の表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示状態)で停止表示される。
そして、この大当りとなった場合には、特別変動入賞装置ソレノイド42a(図3参照)が作動して開放扉42bが開き、これにより大入賞口40が所定パターンで開閉制御されて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉42bが所定時間(たとえば、29秒)開放して大入賞口40が開放されるか、または所定個数(たとえば、9個)の遊技球が入賞するまで大入賞口40が開放され、その後、所定時間(たとえば、2秒)開放扉42bが閉まって大入賞口40を閉鎖する、といった動作(ラウンド遊技)が所定回数(たとえば、最大15回(最大15R(ラウンド))繰り返されるようになっている。
上記大当り遊技は、上記図柄変動表示ゲームにて大当りを示す図柄が確定表示されてから開始される。大当りが開始すると、最初に大当り開始ファンファーレによるオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、大入賞口40が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。また、ラウンド遊技中では、対応するラウンド演出が行われる。そして、規定ラウンド数終了後には、大当り終了ファンファーレによるエンディング演出が行われ、大当りが終了する。
また、遊技球が普通図柄始動口37を通過したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による補助当りに関する抽選(補助当り抽選)が行なわれる。この抽選結果に応じて2個のLED39により表現される普通図柄を普通図柄表示装置39に変動表示させて、普通図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果をLED39の点灯と非点灯の組合せまたは双方点灯の組合せにて停止表示するようになっている。普通図柄表示装置39での普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39の表示部を所定パターン(たとえば、2個のLED39が双方共に点灯状態)にて停止表示させる。
そして補助当りとなった場合には、左右の可動翼片47を駆動させるための普通変動入賞装置ソレノイド41a(図3参照)が作動し、上記可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態となり、遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47が、所定時間(たとえば、0.2秒)開放して下始動口35が開放されるか、または所定個数(たとえば、5個)の遊技球が普通変動入賞装置41(下始動口35)に入賞するまで下始動口35が開放され、その後、所定時間(たとえば、0.5秒)可動翼片47が閉まって下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、1回)繰り返されるようになっている。
また、上記普電開放遊技中に遊技球が下始動口35に入賞した場合にも、同様に上記特別図柄変動表示ゲームが行なわれ、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが行なわれる。各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。
なお、上記特別図柄変動表示ゲームまたは上記普通図柄変動表示ゲームを行う最中に、さらに特別図柄始動口センサ34a、35aまたは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力がある場合には、この検出信号に基づいて各変動表示ゲームを行わせるための始動権利に関するデータである始動記憶(いわゆる、作動保留球)を、変動表示中にかかわるものを除き、上限の所定個数まで記憶する。そして、この始動記憶個数を遊技者に明らかにするため、パチンコ遊技機1の適所にまたは液晶表示装置36による画面中に画像として表示させる。通常は、この始動記憶の発生順に、各始動記憶に対する変動表示ゲームが実行制御される。本実施形態では、上記上限の所定個数として、特別図柄、普通図柄に関する始動記憶をそれぞれ4個まで主制御部20に設けられるRAM203(図3参照)に記憶され、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留される。
次に、大当り遊技終了後に発生する特定遊技状態について説明する。この特定遊技状態は、大当りの種別に応じてあらかじめ定められたものであり、以下の機能が作動することで、種々の特定遊技状態が発生することになる。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御部20(主制御CPU201:図3参照)がその機能部を担う、確率変動(以下、「確変」と称する)機能を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の二種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り終了後に大当りの抽選確率が低確率である通常確率(たとえば、348分の1)から高確率(たとえば34.8分の1)に変動する大当り確変状態を付与する機能である。すなわち、大当り確変状態においては、大当り抽選確率が低確率である低確率状態から、大当り抽選確率が高確率である高確率状態に変動している。この特別図柄確変機能の作動契機となる大当りを「確変大当り」と称し、特別図柄確変機能の作動契機とはならない大当りを「非確変大当り」称する。上記特別図柄確変機能が動作中の遊技状態(高確遊技状態)下では、大当り抽選確率が高確率に変動して大当りが生起され易くなるため、上記「確変大当り」は遊技者が最も期待する大当り種別と言える。
なお、大当り確変状態を継続させる条件は適宜定めることができる。たとえば、所定回数(たとえば、4回)の特別図柄変動表示ゲームが終了する迄の間(いわゆる、「回数切り確変(ST)」)、または次回の大当り遊技が開始される迄の間、もしくは所定の抽選により低確率状態に移行することが決定される迄の間(いわゆる、「転落抽選」)などを条件とすることができ、いずれの条件を付与するかは自由である。また、確変大当りを複数種類設けることにより、各確変大当りごとに、いずれの条件を付与するかを適宜定めても良い。
普通図柄確変機能は、大当り遊技終了後に補助当り抽選確率が低確率である通常確率(たとえば、256分の1)から高確率(たとえば、256分の255)に変動する補助当り確変状態を付与する機能である。普通図柄確変機能が動作中の遊技状態下では、補助当り抽選確率が高確率に変動して補助当りが生起され易くなるため、普電開放遊技が頻繁に発生し、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記普通図柄確変機能の作動契機は、後述する特別図柄時短機能の作動契機と同期する形態となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御CPU201がその機能部を担う、変動時間短縮(以下、「時短」と称する)機能を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の二種類がある。
特別図柄時短機能は、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の変動時間が短縮された特別図柄時短状態を付与する機能である。特別図柄時短機能が動作中の遊技状態下では、1回の特別図柄変動表示ゲームの時間(特別図柄が変動を開始してから確定表示される迄の時間)が、たとえば、平均時間もしくはリーチなしハズレ変動において、30秒(時短状態が付与されていないとき)から5秒(時短状態が付与されているとき)に短縮され、単位時間当りの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
普通図柄時短機能は、補助当りの抽選結果を導出する普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の変動時間が短縮された普通図柄時短状態を付与する機能である。普通図柄時短機能が動作中の遊技状態下では、1回の普通図柄変動表示ゲームの時間(普通図柄が変動を開始してから確定表示される迄の時間)が、たとえば、10秒(時短状態が付与されていないとき)から1秒(時短状態が付与されているとき)に短縮され、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。なお、本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記普通図柄時短機能の作動契機は、上記特別図柄時短機能の作動契機と同期する形態となっている。
さらにまた、本実施形態のパチンコ遊技機1は、主制御CPU201がその機能部を担う、開放延長機能を備えている。
開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47を開動作させる期間およびその開放回数を延長した開放延長状態を遊技者に付与する機能である。開放延長機能が動作中の遊技状態下では、開放延長状態が付与されると、可動翼片47の開動作期間がたとえば0.2秒から1.7秒に延長され、また開閉回数が、たとえば最大2回(開放延長状態が付与されていないとき)から最大3回(開放延長状態が付与されているとき)に延長され、通常遊技状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記開放延長機能の作動契機は、上記特別図柄時短機能の作動契機と同期する形態となっている。したがって、開放延長機能が動作中の遊技状態下では、普通図柄確変機能および普通図柄時短機能も動作中となるので、可動翼片47の作動率が著しく向上するようになっている。
本実施形態では上記の普通図柄に関する機能、すなわち普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能は、特別図柄時短機能の作動契機と同期する形態となっているため、3つの機能が同じ契機にて動作することになる。しかし、上記の普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を個々に着目した場合、これらの機能のうち少なくともいずれか1つが作動すると、上記の可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となり下始動口35への入賞頻度が高くなることから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる「高ベース遊技状態(始動条件向上状態)」に移行することになる。なお、ここでいう「高ベース遊技状態」とは、上記のように普通図柄に関する機能が作動する場合の遊技状態をいい、特別図柄に関する機能、すなわち特別図柄確変機能および特別図柄時短機能の少なくともいずれか1つが作動する場合の遊技状態とは異なる。
特別図柄に関する機能を個々に着目した場合、上記特別図柄確変機能が作動する場合には通常遊技状態よりも大当りが生起し易くなる、つまり大当り抽選の当選確率が通常遊技状態より高くなる「高確率遊技状態」となり、上記特別図柄時短機能が作動する場合には特別図柄変動表示ゲームの消化時間が通常遊技状態よりも速まる「特別図柄時短遊技状態」となる。この点において、特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常遊技状態より高くなる「高ベース遊技状態」とは区別される。
本実施形態では上記「高ベース遊技状態」の一例として、可動翼片47の作動率が著しく向上する開放延長機能が付与された遊技状態を「高ベース遊技状態」として扱う。普通変動入賞装置41の可動翼片47は、開放延長機能が付与されている「高ベース遊技状態」下では、開放延長機能が付与されていない状態(本実施形態では「通常遊技状態」に相当する)に比較して、遊技者にとって有利な高ベース遊技状態の動作をすることになる。
次に、本実施形態のパチンコ遊技機1における大当りについて説明する。ここで、本実施形態のパチンコ遊技機1は、上述したように、特別図柄確変機能、普通図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能を有している。また、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能の作動契機は、特別図柄時短機能の作動契機と同期するようになっている。以下では、説明の便宜上、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が動作する遊技状態を「時短遊技状態(以下、「時短状態」と略す)」と称し、この時短状態に加えてさらに特別図柄確変機能が動作する遊技状態を「確変遊技状態(以下、「確変状態」と略す)」と称し、特別図柄確変機能のみが動作する遊技状態を「潜伏確変遊技状態(以下、「潜伏確変状態」と略す)」と称し、いずれの機能も動作中でない状態(大当り遊技中は除く)を「通常遊技状態」と称する。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記の特別図柄変動表示ゲームで抽選される大当りの種別として、非確変大当りの「15R非確変大当り」と、確変大当りの「15R確変大当り」「2R突然確変大当り(2R突確大当り)」および「2R潜伏確変大当り」と、が設けられている。
これらの大当りによる大当り遊技のうち、15R非確変大当りと15R確変大当りでは、ラウンド遊技数(大入賞口40の開放回数)が最大規定回数の15ラウンド行われ、2R突確大当りと2R潜伏確変大当りでは、2ラウンド行われる。また、上記2R突確大当りと2R潜伏確変大当りについては、1回のラウンド遊技中の大入賞口40の開放時間が15R非確変大当りや15R確変大当りよりも短く(たとえば、0.5秒)設定されている。
また大当り遊技終了後には、その大当りに応じた特定遊技状態が発生するようになっている。具体的には、15R確変大当りと2R突確大当りとには次回大当りが確定(大当り遊技が発生)するまで「確変状態」が発生し、2R潜伏確変大当りには次回大当りとなるまで潜伏確変状態が発生し、15R非確変大当りには特別図柄変動表示ゲーム回数が所定回数(たとえば、100回)終了するまでの間か、またはその所定回数内で大当りが確定するまでの間、「時短状態」が発生するようになっている。ここで、確変状態中または時短状態中では、開放延長機能が付与されるので、これら遊技状態は「高ベース遊技状態」となっている。
また上述した大当りの他、2R潜伏確変大当りによる大当り遊技の場合と実質的に同じ遊技動作態様で大入賞口40が2回開閉される当り状態(小当り遊技)が付与される「小当り」を設けてある。つまり、この小当り遊技は、2R潜伏確変大当りによる大当り遊技中の遊技動作態様との違いを遊技者が識別困難とする遊技動作態様で行われる。
したがって、小当り遊技中に遊技者に付与される遊技価値と2R潜伏確変大当りによる大当り遊技中に遊技者に付与される遊技価値とは、実質的に同じとなる。しかし小当り遊技終了後には、当該小当りの当選時の遊技状態がそのまま継続されるようになっており、この点において、上記の特定遊技状態の発生する大当りとはその性質を異にする。たとえば、通常遊技状態中に「小当り」に当選した場合、その小当り遊技終了後の遊技状態は、小当り当選時の遊技状態である通常遊技状態となる。以下、特に必要がない限り、上記小当りについては他の大当りと区別することなく大当りの種別の一つとして同列に扱うことにする。
なお、上記のいずれかの大当りに当選した場合、特別図柄表示装置38における特別図柄に関しては、そのまま抽選結果が反映した特別図柄が表示される。つまり特別図柄表示装置38には、確変大当りを報知する特別図柄または非確変大当りを報知する特別図柄もしくは確変大当りか非確変大当りかいずれかの可能性があることを報知する特別図柄が表示される。一方、液晶表示装置36には、当選した大当りが確変大当りであっても、装飾図柄に関しては必ずしも最初から当該確変大当りが明らかとなる図柄で表示することを行わない。通常、遊技者は液晶表示装置36の装飾図柄変動表示ゲームを見ながら遊技に興じているので、当該ゲーム結果が非確変大当り種別を示す図柄であっても、遊技者に確変大当りへの期待感を残すためである。
次に、遊技状態おける演出の演出モードについて説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1には、報知すべき現在の遊技状態に関連した演出の演出モードとして、大当り抽選確率が高確率状態であることを確定的に報知する演出をなす「確変確定演出モード」と、時短状態であることを確定的に報知する演出をなす「時短演出モード」と、大当り当選確率状態を隠匿状態とする演出モード、具体的には、大当り抽選確率が高確率状態であるかのように装い、現在の遊技状態を隠匿して遊技者に潜伏確変状態の期待感を与える「確変隠匿演出モード」と、特別図柄の複数回の図柄変動動作に跨って演出が展開される「特別演出モード」、具体的には、遊技者参加型のゲーム内容を表示し演出介入操作手段として枠演出ボタン13を有効にする停止ボタンチャンスゲームの演出モードとが設けられている。
さらにまた、小当りの当選情報、すなわち小当りフラグが設定状態であるかまたは非設定状態であるかに依存して決定される2つの演出モードを備えている。その一つは小当りフラグが非設定状態のときにとる「通常演出モード」であり、他の一つは小当りフラグが設定状態のときにとる確変隠匿演出モード(ガセの場合)である。なお、上記小当りフラグは、小当りの当選を契機に設定状態にされ、所定の抽選(モード転落抽選)によりその設定が非設定状態に変更される。この「通常演出モード」では1回の図柄変動動作毎に完結する演出が表示される。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、上記のように遊技状態に応じた複数の演出モードを設定し、その演出モード間の行き来を可能に構成している。具体的には、確変状態であれば「確変確定演出モード」に、時短状態であれば「時短演出モード」に、潜伏確変状態であれば「確変隠匿演出モード(本物)」に移行制御され、通常遊技状態においては、小当りフラグに依存して「通常演出モード」または「確変隠匿演出モード(ガセ)」に移行制御される。特に、通常遊技状態から小当りまたは2R潜伏確変大当りに当選した場合、その大当り遊技中の遊技動作態様は実質的に同じ動作に制御され、その大当り遊技終了後の演出モードも同じ「確変隠匿演出モード」に移行制御され、さらにまた大当り遊技終了後に開放延長機能が作動せずに可動翼片47の作動率向上状態ともならない。結果として大当り抽選確率状態が隠匿され、現在の遊技状態の識別が困難になる。
また、特別演出モード抽選に当選した場合、特別演出モードに所定時間(10分)だけ移行し、特別図柄の変動動作に同期しない形で、遊技者参加型ゲームの特別演出が行われる。
<2.制御装置:図3>
図3は、上記のような遊技の進行状況に応じた遊技機制御を行う制御装置の概要を示した制御ブロック図である。
この制御装置は、遊技動作全般の制御を司る主制御部20と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、画像と光と音についての演出制御とを行う演出制御部24とを中心に構成される。そして、演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお本明細書において、演出装置といった場合、液晶表示装置36やランプやLEDや音響発生装置、可動体など、画像や光や音、可動体の動作態様によって演出を行う装置を広く指す。
また、主制御部20には払出制御基板29が接続され、これに発射装置32を制御する発射制御基板28および遊技球払出装置19が接続されている。符号31は電源基板であり、電源基板31は外部電源(図示せず)に接続され、変圧トランスから供給される交流電圧(AC24V:メイン電源)から所要の電源を生成し、各制御基板にそれぞれ供給する。なお、図3には電源供給ルートは省略してある。
(2−1.主制御部20)
主制御部20は、主制御CPU201を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等を格納した主制御ROM202と、ワークエリアが形成される主制御RAM203を搭載して、1チップマイクロコンピュータを構成している。また図示はしていないが、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能等を有するCTC(Counter Timer Circuit)やCPUに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。
また主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する特別図柄始動口センサ34aと、下始動口35への入賞を検出する特別図柄始動口センサ35aと、普通図柄始動口37の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aと、大入賞口40への入賞を検出する大入賞口センサ40aとが接続され、主制御部20はこれらの各検出信号を受信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置39、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通変動入賞装置ソレノイド41a、および、大入賞口40の幅広な開放扉42bを開閉制御するための特別変動入賞装置ソレノイド42aが接続され、主制御部20は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20は、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる「大当り」またはこの特別遊技状態を発生させない「ハズレ」のいずれであったかを抽選するとともに、その抽選結果である当否情報に応じて特別図柄の変動パターンや停止図柄を決定し、少なくともこの抽選結果と変動パターンとを含む演出制御コマンドや、決定された停止図柄に基づく装飾図柄コマンドを作成して演出制御部24に送信する構成となっている。
主制御部20からの演出制御コマンドは、一方向通信により演出制御部24に送信される。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御部24を介して主制御部20に入力されることを防止するためである。
(2−2.演出制御部24)
演出制御部24は、演出制御CPU241を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、演出制御手順を記述した制御プログラムや演出データ等を格納した演出制御ROM242と、ワークエリアが形成される演出制御RAM243と、を搭載している。また図示はしていないが、音源IC、CTC、および割り込みコントローラ回路などが設けられている。この演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出パターンの抽選、液晶表示装置36の制御、スピーカ46の音制御、枠ランプ・LEDの発光制御、可動体の可動制御、各種エラーの報知などである。
演出制御部24は、光と音についての演出処理を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部と、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部とを備えている。
また、演出制御部24は、演出制御コマンドを受けて、変動パターンに対応する演出パターンを抽選し、液晶表示装置36の画面に映像で演出表示をさせる。
また、演出制御部24には、演出介入操作手段となる枠演出ボタン13が接続されている。この枠演出ボタン13は遊技者が操作可能な押しボタンからなり、特別演出モードの停止ボタンチャンスゲームに遊技者が参加する場合や、遊技者参加型の昇格演出ゲームに遊技者が参加するときなどにおいて遊技者により操作される。
演出制御CPU241は、主制御CPU201から演出制御コマンドを受けて各種演出を実行制御する演出実行制御手段として機能する。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDPに出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの動作手順を記述したプログラムを内蔵する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMとを有している。
また、演出制御部24には、液晶制御CPUに接続されて画像展開処理を行う映像表示プロセッサVDP(Video Display Processor)と、VDPが画像展開する必要な画像データを格納した画像データROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAMなども設けられている。
遊技状態に関する情報は、まず、大当り抽選の結果(大当りかハズレかの別)に基づく特別図柄変動パターン、現在の遊技状態、作動保留球数、抽選結果に基づき停止させる装飾図柄等に必要となる基本情報が、演出制御コマンドにより主制御部20から演出制御部24へと送信される。
演出制御部24側では、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドにより指示された演出シナリオに対応する演出パターンが、あらかじめ用意された多数の演出パターンの中から抽選により決定され、この決定された演出パターンを実行指示する制御信号が、演出制御部24から液晶表示装置36、音響発生装置46aおよび光表示装置45aに送られる。これにより、演出パターンに対応した液晶表示装置36での画像の再生と、演出パターンに対応する効果音の再生と、装飾ランプ45やLED等の点灯点滅駆動とが実現される。
なお、演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなり、これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、主制御CPU201は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行なう。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行なう。演出制御CPU241は、ストローブ信号が送信されて来ると、これに対応して割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信する。ストローブ信号は主制御CPU201により、演出制御CPU241が確実にコマンドを受信することが可能な所定期間アクティブ状態に制御される。
<3.主制御側の処理:図4〜図7>
次に、図4〜図7を参照して、主制御部20側における処理内容を説明する。
(3−1.主制御側メイン処理:図4)
パチンコ遊技機1に電源が投入されると、電源基板31によって各制御基板に電圧が供給され、主制御CPU201が図4に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS101)。
次に、図示してない入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号の状態(オン、オフ)を確認し、RAMクリアスイッチがオンである場合(ステップS102:YES)にはステップS105の処理に進み、RAMの初期化処理として記憶エリアをクリアする。しかしRAMクリアスイッチがオンでない場合(ステップS102:NO)、次に電源断が発生した際にバックアップRAMに記憶されたバックアップ用データが有効であるか否かを判断する(ステップS103)。電源復旧の際には、チェックサムの比較を行うことにより、バックアップデータが有効であるか否かを確認している。
バックアップデータが有効である場合には(ステップS103:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行し(ステップS104)、ステップS107の処理に進む。バックアップデータが有効でない場合には(ステップS103:NO)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定し、RAMを初期化する(ステップS105)。そして、このRAMの初期化に伴い、RAMクリア情報を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS106)。
次に、CPUに設けられているCTCの設定を行う(ステップS107)。本処理では、4msごとに定期的にタイマ割り込みがかかるように、初期値として4msに相当する値をCTCの時間定数レジスタに設定する。
ステップS101〜S107での電源初期投入後の処理を終えた後、正常動作時の処理(ステップS108〜S112)として、割込禁止(ステップS108)と割込許可(ステップS112)とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数の更新処理を実行する(ステップS109〜S111)。
乱数の更新処理として、Sステップ108の処理後、まず変動パターン用乱数値更新処理を実行する(ステップS109)。この変動パターン用乱数値更新処理では、主として、特別図柄変動パターンコマンドを抽選に用いる変動パターン用乱数値を更新する。
続いて、普通図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS110)と特別図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS111)を実行する普通図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS110)では、普通図柄変動表示ゲームの当否抽選に使用する普通図柄当り判定用乱数の初期値変更に使用する乱数を更新(たとえば、カウンタのカウント値を更新する処理)し、特別図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS111)では、前記特別図柄変動表示ゲームの当否抽選に使用する特別図柄当り判定用乱数の初期値変更に使用する乱数を更新する。
(3−2.主制御側タイマ割込処理:図5)
図5は、主制御側メイン処理において、一定時間(4ms)ごとの割り込みで起動される主制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
まず、主制御CPU201は、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理(ステップS201)を実行する。
次いで、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する定期乱数更新処理を実行する(ステップS202)。定期乱数更新処理では、普通図柄変動表示ゲームや特別図柄変動表示ゲームの当否抽選に使用する各種乱数を定期的に更新する。
次いで、遊技動作に用いられるタイマを管理制御するためのタイマ管理処理を実行する(ステップS203)。遊技機制御に用いる各種のタイマのタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS204)。この入力管理処理では、パチンコ遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を、図示しない自身内のレジスタに読み込み格納する。各種センサによる検出情報とは、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ40a、特別図柄始動口センサ34a、35a、一般入賞口センサ43a等が検出した信号である。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS205)。このエラー管理処理では、上記入力管理処理で読み込み格納したデータを把握してスイッチのチェックを行い、不正入賞を監視したり、遊技動作状態を監視したりして、パチンコ遊技機1の異常を監視する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS206)。この賞球管理処理では、遊技球払出装置19に払出し動作を行わせるための制御情報(賞球数を指定する賞球払出制御コマンド)を出力する。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS207)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける当否抽選を実行し、その抽選結果に基づいて普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定したりする。
次いで、普通変動入賞装置管理処理を実行する(ステップS208)。普通変動入賞装置管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS207)における当否抽選の結果に基づき、ソレノイド制御用の励磁制御信号を普通変動入賞装置ソレノイド41aに送信し、普通変動入賞装置41の可動翼片47の一連の動作を制御する。
次に、特別図柄管理処理を実行する(ステップS209)。この特別図柄管理処理では、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選(大当り判定処理)を実行し、その抽選の結果に基づいて特別図柄の変動パターンや特別図柄の停止表示態様(停止特別図柄)を決定する。
(3−3.特別図柄管理処理:図6〜図7)
次に、大当り抽選に係るステップS209の特別図柄管理処理について説明する。図6および図7は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、上始動口34、下始動口35への入賞を検出したことを条件に、大当り判定処理、特別図柄停止図柄設定、変動パターン設定、特別図柄に関する演出制御コマンドの送信等の処理を行う。
図6において、主制御部20(主制御CPU201)は、まず上始動口34または下始動口35において入賞球を検出したか否かを確認する(ステップS301)。入賞球を検出した場合(ステップS301:YES)、入賞を示す特別図柄始動口入賞コマンド(上始動口34については上始動口入賞コマンド、下始動口35については下始動口入賞コマンド)を演出制御部24に送信する(ステップS302)。この入賞コマンドは、特別図柄の作動保留球数を液晶表示装置36に表示する際に利用される。
続いてステップS303の処理に進み、特別図柄の作動保留球数が4以上であるか否か判断する(ステップS303)。特別図柄の作動保留球数(以下、「特別図柄作動保留球数」と称する)が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS303:NO)、特別図柄作動保留球数を1加算し(ステップS304)、増加した保留球数に対応した保留コマンドを送信する(ステップS305)。次いで特別図柄当り判定用乱数値、特別図柄用停止図柄乱数、および変動パターン用乱数値のカウンタの現在値を取得して、それぞれRAM203の取得数値記憶エリアに格納する(ステップS306)。そしてステップS307の処理に進む。
ステップS301の処理において入賞球を検出していなかった場合(ステップS301:NO)や、ステップS303の処理において特別図柄作動保留球数が4以上の場合(ステップS303:YES)には、上記のステップS302〜ステップS306の処理を行わずに、ステップS307の処理に進む。
ステップS307の処理に進むと「大当り中」であるか否かを判断して、「大当り中」であれば(ステップS307:YES)、特別図柄を管理する必要がないので、これにより特別図柄管理処理を終了し、図5のステップS210の特別変動入賞装置管理処理に移行する。
一方、ステップS307の処理で「大当り中」でないと判断された場合(ステップS307:NO)、特別図柄の挙動を示す処理状態が「特別図柄待機中」「特別図柄変動中」「特別図柄停止中」のいずれであるかを順に判断し(ステップS308、ステップS312、ステップS322)、該当する場合はそれぞれの処理状態に属する処理を行う。なお、「特別図柄待機中」とは特別図柄の変動が行なわれておらず次回の変動のための待機状態であることを示し、「特別図柄変動中」とは特別図柄が現在変動中であることを示し、「特別図柄停止中」とは特別図柄の変動が終了して停止中であることを示している。
以下、上記処理状態が「特別図柄待機中」「特別図柄変動中」「特別図柄停止中」である場合の処理内容について順に説明していく。
特別図柄待機中の場合は(ステップS308:YES)、特別図柄の作動保留球数(保留記憶)がゼロかどうかを判断する(ステップS309)。
特別図柄作動保留球数がゼロの場合(ステップS309:YES)、特別図柄が待機中でかつ保留記憶なしの状態となったのであり、この状態に突入したことを演出制御部24側に報せて、待機演出(本実施形態の場合、待機演出とは、専用の演出を指すのではなく、直前の画像が引き続き表示される待機状態と、これに続いて表示されるデモ演出状態とを含めた概念を指す)を開始させる必要がある。このため、本実施形態では待機演出コマンドの送信を行う。ただ留意すべき点として、この図6の特別図柄管理処理は、主制御側タイマ割込処理(図5)の一部であり、割込の4ms毎に上記ステップS309の判断が行われる。このため、特別図柄作動保留球数がゼロの場合に条件なしに待機演出コマンドを送信すると、特別図柄作動保留球数がゼロである間4msの周期で待機演出コマンドの送信を繰り返すことになり、不必要な送信が発生する。
そこで特別図柄作動保留球数がゼロである間、最初の待機演出コマンドを送信した後は待機演出コマンドを送信しないようにするため、待機演出コマンドが未送信であるか否かを判断する(ステップS310)。待機演出コマンドが未送信の場合は(ステップS310:YES)、待機演出コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS311)。そして、この特別図柄管理処理を終了する。しかし、既に待機演出コマンドが送信済みである場合は(ステップS310:NO)、待機演出コマンドを演出制御部24に送信することなく、この特別図柄管理処理を終了する。
遊技機によっては、ここでデモ演出を行なうべきデモ表示条件が成立しているか否かを判断し、デモ表示条件が成立している場合は、デモ表示コマンドを演出制御部24に送信するが、本実施形態の遊技機では、この判断を演出制御部24に委ねることとし、デモ表示条件が成立しているか否かの判断は行わずに、この特別図柄管理処理を終了する。
一方、特別図柄作動保留球数がゼロでない場合(ステップS309:NO)、図7のフローに進み、特別図柄作動保留球数を1減算し(ステップS315)、減少した保留球数に対応した保留コマンドを送信する(ステップS316)。次いで、ステップS306で取得した乱数値が大当り判定値に属するか否かの判定処理(大当り判定処理)を実行する(ステップS317)。この判定処理では、大当りの抽選を遊技状態(低確率状態、確変状態)に応じた抽選確率で行なう。
次に、ステップS317における大当りの判定結果とステップS306で取得した特別図柄用停止図柄乱数値とに基づいて、停止図柄(特別図柄停止図柄)を抽選により選択する(ステップS318)。この処理で抽選される特別図柄停止図柄により、大当り態様(たとえば、大当り遊技中のラウンド数を幾つにするか)および大当り終了後の遊技状態(たとえば、確率変動、時短状態、開放延長中等を設定するかどうか)が最終的に決定される。
次に、変動パターンの設定処理を実行する(ステップS319)。この変動パターン設定処理では、ステップS318の停止図柄の抽選結果とステップS306で取得した変動パターン用乱数値とに基づいて、特別図柄の変動パターンが決定され、さらにこの変動パターンに対応する変動時間が決定される。そして、処理状態を「特別図柄変動中」に切り替え(ステップS320)、特別図柄変動コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS321)。ここでいう「特別図柄変動コマンド」とは、「特別図柄変動パターン」コマンドの他、「特別図柄指定」コマンドや「装飾図柄表示」コマンドも、演出制御部24に送信される。したがって、これらの演出制御コマンドは、特別図柄の変動開始条件が成立したことを条件に演出制御部24に送信されることになる。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
特別図柄変動中の場合は(ステップS312:YES)、特別図柄変動時間が経過するのを待つ(ステップS313:NO)。特別図柄変動時間が経過した場合(ステップS313:YES)、処理状態を「特別図柄停止中」に切り替え、特別図柄の変動が終了し停止したことを示す「図柄停止」コマンドを演出制御部24に送信する(ステップS314)。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
特別図柄停止中の場合は(ステップS322:YES)、停止図柄を特別図柄表示装置38に表示させるための一定時間が経過するのを待ち(ステップS323:NO)、一定時間が経過したならば(ステップS323:YES)、その停止図柄が大当り図柄であるか否かを判断する(ステップS324)。大当り図柄である場合は(ステップS324:YES)、処理状態を「大当り中」に設定し(ステップS325)、「特別図柄待機中」に切り替える(ステップS326)。また停止図柄が大当り図柄でない場合は(ステップS324:NO)、ステップS325の処理を行わずにステップS326に進み、「特別図柄待機中」に切り替える(ステップS326)。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
図5に戻り、上記特別図柄管理処理(ステップS209)に次いで、特別変動入賞装置管理処理を実行する(ステップS210)。この特別変動入賞装置管理処理は、特別図柄管理処理(ステップS209)における大当りの当否抽選の結果に基づき、ソレノイド制御用の励磁制御信号を特別変動入賞装置ソレノイド42aに送信し、特別変動入賞装置42の大入賞口40を所定のパターンに従い開閉制御して、大当りに関する遊技を実行制御する処理である。
主制御基板(主制御CPU)20は、上記の特別変動入賞装置管理処理に次いで「LED管理処理」を実行する(ステップS211)。このLED管理処理は、処理の進行状態に応じて、普通図柄表示装置39や特別図柄表示装置38への出力データを作成したり、当該データに基づく制御信号を出力したりする処理である。
そして、上記のようにステップS202〜ステップS211の処理を実行した後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS212)、タイマ割込処理を終了する。
<4.演出制御部側の処理:図8〜図14>
次に、図8〜図14を参照して、演出制御部24側における処理内容について説明する。
(4−1.演出制御部側処理:図8)
遊技機に電源が投入されると、電源基板31から各制御基板に電源が投入された旨の電源投入信号が送られる。この電源投入信号を受けて、演出制御部24の制御主体(以下、演出制御部24の制御主体全体を演出制御CPU241のみで代表させて説明する)が図8に示す演出制御部側処理を開始する。
この演出制御部側処理では、コマンド受信処理(ステップS401)と演出実行処理(ステップS402)とが行われる。
(4−2.コマンド受信処理:図9)
図9にコマンド受信処理(ステップS401)の詳細を示す。このコマンド受信処理では、演出制御CPU241が主制御部20から演出制御コマンドを受信したか否かを監視する(ステップS501)。
(4−2−1.コマンドの受信がない場合)
演出制御CPU241は、演出制御コマンドを受信しない場合(ステップS501:NO)、ステップ513の待機時間修正処理(図12)に入る。このようにする理由は、待機状態中になると主制御部20からの制御コマンドの送信が途絶えるが、この待機状態中に、その待機時間の設定値を短縮する修正を可能とするためである。
図12の待機時間修正処理に入ると、演出制御CPU241は、待機演出フラグが設定されているか否かをチェックする(ステップS541)。待機演出フラグは、待機演出コマンドが到来して待機時間設定処理(ステップS512)を通ることで設定されるため、待機演出コマンドが到来するまでは非設定(=0)である。そこで、何もしないで待機時間修正処理(図12)を抜ける。次いで、図8のステップS402に示す演出実行処理(図13)に入る。
図13に示す演出実行処理において、通常演出モード中で受信コマンドがない場合は、これに基づく実行指示もないので、ステップS601〜S602の処理ルートを経てステップS611に入り、また特別演出モード中であれば直接にステップS611に入り、待機演出フラグの値が非設定(=0)であるか否かが判断される。
待機演出フラグは、詳しくは後述するが、図柄変動が停止して待機状態になりかつ保留記憶が無くなった場合に送信(図6のステップS311)される待機演出コマンドを受信することで、待機時間設定処理により「1」または「2」に設定される(図11のステップS533、S535)。そして、変動パターンコマンドを受信することで非設定状態(=0)に戻される(図9のステップS507)。したがって通常の図柄変動の開始および停止を一セットとする図柄変動動作が繰り返されている通常の変動休止下では、待機演出フラグは「1」または「2」の設定状態にないので、ステップS611の判断はYESとなり、ステップS621に進む。また待機演出フラグが「1」または「2」に設定されている場合は(ステップS611:NO)、待機状態タイマの値がゼロであるか否かを判断するが(ステップS612)、コマンドの受信がない状況が出現するというときは、待機状態タイマの値がゼロでないとき(ステップS612:NO)、つまり待機状態タイマが起動していて既に待機状態中に在る状況であるので、直接にステップS621に進む。
ステップS621では、特別演出モード中タイマのタイマ値がゼロであるか否かを判断する。通常遊技(通常演出モード中)では、特別演出モード中タイマは起動しておらず、タイマ値がゼロであるので、図13のステップS621の判断がYESとなり、ステップS628、S629を経て、図13の演出実行処理も抜ける。しかし、特別演出モード中タイマは起動している間は(ステップS621:NO)、ステップS622〜S627の処理ルートにより、停止ボタンチャンスゲームが継続して行われる。結局、演出制御コマンドが受信されるまで、上記処理ルートを巡回することになる。
(4−2−2.変動パターンコマンドを受信した場合)
図9において、変動パターンコマンドを受信した場合(ステップS502:YES)、その変動パターンコマンドが特定パターンKのものであるか否かを判断する(ステップS503)。ここで「特定パターンK」とは、変動パターンのうちで、特別演出モードに移行するか否かについての抽選を行う契機となるパターンであり、本実施形態の場合はリーチを伴う変動パターンを指す。
受信コマンドが特定パターンKの変動パターンコマンドであった場合(ステップS503:YES)、特別演出モード中フラグが設定されているか否かをチェックする(ステップS504)。既に特別演出モード中であれば特別演出モード抽選を行う必要性がないからであり、既に特別演出モード中フラグが設定されている場合は(ステップS504:NO)直ちにステップS506に移行する。まだ特別演出モード中フラグが設定されていなければ(ステップS504:YES)、特別演出モード抽選処理(ステップS505)を行い、その後にステップS506に移行する。
特別演出モード抽選処理(ステップS505)では、図10に詳細を示すように、特別演出抽選用乱数を抽選し、その乱数が当り、ハズレのいずれに該当するかを判定することにより、特別演出モード抽選を行う(ステップS521)。この抽選に当選し、特別演出モードを実施すべき場合には(ステップS522:YES)、特別演出モード中を意味する「特別演出モード中フラグ」を設定すると共に(ステップS523)、特別演出モードを継続させる特別演出モード期間の長さを定める「特別演出モード中タイマ」の値を所定値の10分に設定する(ステップS524)。上記ステップS523〜S524の設定を終えると図9に戻り、ステップS506に進む。
結局、変動パターンコマンドが受信された場合は、特別演出モード抽選処理を経るかどうかの違いだけで、全て図9のステップS506に移行する。図9のステップS506では、次に述べる待機演出コマンドを受信して待機演出フラグが設定されていれば、変動パターンコマンドの到来を契機として、これをクリア(ステップS507)してからステップS508に進み、また待機演出フラグが設定されていなければ何もせずにステップS508に進む。
ステップS508では特別演出モード中フラグが設定(=1)されているか否かを判断し、特別演出モード中フラグが設定されていない場合は(ステップS508:NO)、受信した変動パターンコマンドに基づく実行を通常演出モード下で行う指示設定をする(ステップS509)。ここでの「通常演出モード」は、1回の図柄変動動作毎に完結する単独演出を変動パターン毎に行う遊技状態である。
一方、ステップS508の判断において、特別演出モード中フラグが設定(=1)されている場合には(ステップS508:YES)、受信した変動パターンコマンドに基づく実行を特別演出モード下で行うよう指示設定をする(ステップS509)。ここで「特別演出モード」は記憶されている変動記憶情報の個数を超える図柄変動動作に跨って演出を展開する遊技状態である。
したがって特別演出モード中フラグが設定されるまでは通常演出モード中の動作(ステップS509)となり、通常演出モード下で受信した変動パターンコマンドに基づくコマンド別実行処理(図13のステップS603)がなされる。このコマンド別実行処理には、装飾図柄の変動停止処理、演出指定処理、変動開始処理、装飾図柄指定処理、保留処理、予告処理、大当り開始処理、ラウンド処理、インターバル処理、大当り終了処理、状態指定処理および回数処理などが含まれる。
特別演出モード中フラグが設定された後は特別演出モード中の動作(ステップS510)となり、特別演出モード下で受信した変動パターンコマンドに基づくコマンド別実行処理(図13のステップS622〜S626)がなされる。ただし、ここでのコマンド別実行処理は、特別演出モード下で表示される停止ボタンチャンスゲームの演出に関係しない処理については無視され、装飾図柄は演出画面に表示されておらず、大当りの変動パターンコマンドが到来したときにのみ、その結果が停止ボタンチャンスゲームの結果として反映されるようになっている。
(4−2−3.待機演出コマンドを受信した場合)
図9において、待機演出コマンドを受信した場合は(ステップS511:YES)、待機時間設定処理(ステップS512)を行い、その後、待機時間修正処理(ステップS512)に入る。
(4−2−3−1.待機時間設定処理:図11)
待機時間設定処理(ステップS512)では、図11において、まずステップS531で設定済フラグが設定(=1)されているかどうかをチェックする。「設定済フラグ」は待機時間の設定を一度行った場合、その後にデモ演出が行われるか(図13のステップS614)または特別演出モードが終了するか(図13のステップS629)、いずれかが生起するまでの間、図11の待機時間設定処理を再度行わないようにするためのフラグである。設定済フラグは最初は未設定(=0)であるので、ステップS532に進み、特別演出モード中モードフラグの状態から、現在の演出モードが通常演出モード中であるか特別演出モード中であるかを判断する。
特別演出モード中フラグは特別演出モード抽選に当選して初めて設定(図10のステップS523)されるので、最初は設定されておらず、演出モードは通常演出モード中にあるため、ステップS532からステップS533に分岐し、「待機演出フラグ」に「1」をセットし(ステップS533)、「待機状態タイマ」に待機状態期間の長さとして30秒をセットする(ステップS534)。そして設定済フラグを「1」に設定して(ステップS537)、待機時間設定処理を終了し図9に戻る。
特別演出モード中フラグが設定されている場合は、演出モードは特別演出モード中であるため、ステップS535に分岐し、待機演出フラグに「2」をセットし(ステップS535)、待機状態タイマに待機状態期間の長さとして10秒をセットする(ステップS536)。これにより、特別演出モード中において待機状態に留まる時間は、通常演出モード中で待機状態に留まる時間の30秒より短い10秒に短縮設定される。そして設定済フラグを「1」に設定して(ステップS537)、待機時間設定処理を終了し図9に戻る。
ここで「待機演出フラグ」は待機状態とデモ演出状態の合計期間(待機演出期間)を管理するためのフラグであり、待機状態に入った時点で設定され(ステップS533、S535)、その後に変動パターンコマンドが受信されることで非設定状態に戻される(ステップS507)。「待機状態タイマ」は上記待機演出期間のうちの待機状態になってからデモ演出状態に移行するまでの時間長さ(待機状態となっている期間の長さ)を管理するためのタイマである。
上記の「設定済フラグ」は、上記の30秒または10秒という待機状態タイマの設定時間がタイムアップしてデモ演出の実行がなされた後の時点(図13のステップS614)、または上記の10分という特別演出モード中タイマの設定時間がタイムアップして特別演出モードが終了した時点(図13のステップS629)で非設定状態に戻される。設定済フラグが非設定状態(=0)に戻されると、ステップS531から再びステップS532〜S537を通ることが可能になり、待機状態タイマが再設定される。したがって、上記のタイマ時間30秒または10秒の間に、次の変動パターンコマンドが到来する通常の遊技状態下では、待機状態タイマの再度の設定が行われることはなく、ステップS532〜S537を迂回して、何もせずに待機時間設定処理を通過する。すなわち、デモ演出画面が表示されるまで、または演出モードが切り替わるまでは、それ以前に設定された待機演出フラグの値と待機状態タイマの値が維持される。
上記の設定済フラグが非設定状態に戻される時点として、デモ演出の実行後の時点(図13のステップS614)の他に、特別演出モードが終了した時点(図13のステップS629)も存在しているのは、特別演出モードが終了した時点で設定済フラグを非設定状態に戻しておかないと、次の待機演出コマンドの到来で図11のステップS531からステップS532に進むことができず、待機演出コマンドが受信されたのにステップS532〜S537を通ることができないため、待機時間の設定ができない結果となるからである。
(4−2−3−2.待機時間修正処理:図12)
図9に戻り、待機時間設定処理からステップS513の待機時間修正処理(図12)に進む。この待機時間修正処理は、待機演出モード中に待機状態に入って直ぐに(8秒が経過する時間内に)演出介入操作ボタンが押された場合、10秒に設定された待機状態を計時している待機状態タイマのタイマ時間の現在値を2秒に再設定し、待機時間を短縮する修正をする処理である。
図12の待機時間修正処理において、まず待機演出フラグの値をチェックする(ステップS541)。待機演出フラグは、非設定なら「0」に、通常演出モード中であれば「1」に、特別演出モード中であれば「2」に設定されている。現在、待機演出コマンドを受信した場合を扱っているので、待機演出フラグの値が「2」(待機演出モード中)であれば、待機演出モード中で待機状態となったと判断することができる。そこで待機演出フラグが0または1に設定されている場合は何もしないで待機時間修正処理を終了するが、待機演出フラグが2に設定されている場合は、ステップS541からステップS542に分岐する。ステップS542では、その時点における待機状態タイマの値T、つまり待機状態となってからの待機状態タイマの残り時間Tをチェックする。待機状態タイマは設定された10秒から時間の経過とともに0に向かってダウンカウントされて行く。ステップS542では、この待機状態タイマの値(残り時間)Tが2秒未満(0<T<2sec)となっているか否かを判断する(ステップS542)。
待機状態タイマの値(残り時間)Tが2秒以上ある場合(ステップS542:2sec≦T)、つまり待機状態タイマが計時を開始してから8秒以内(待機状態タイマの残り時間が10秒〜2秒残っている場合)はステップS543に進み、この8秒以内の期間中に演出介入操作ボタン(枠演出ボタン13)がON操作されたか否かをチェックする(ステップS543)。ON操作された場合は、待機状態タイマに2秒をセットする(ステップS544)。すなわち待機状態タイマのタイマ値(残り時間10秒〜2秒)を、残り2秒に短縮する修正(再設定)をする。このようにすると、仮に、図柄変動が停止して待機状態となったのにも拘わらず、遊技者がこれを知らず、待機状態に入って8秒が経過する前に演出介入操作ボタン(枠演出ボタン13)をON操作した場合には、即座に、つまり待機状態タイマの値Tが残り0秒となるまで待つことなく残り2秒となった時点で、デモ演出画面を表示することができる。したがって、このデモ演出画面の出現により、遊技者に遊技球を打ち出すべきことを早期に報知することができる。
<5.演出実行処理:図13>
図13は、演出実行処理(ステップS402)の詳細を示すフローチャートである。
図13に示す演出実行処理において、特別演出モード中フラグが設定状態にあるか否かに基づいて特別演出モード中であるか否かを判断し(ステップS601)、通常演出モード中である場合は(ステップS601:NO)、受信コマンドに基づく実行指示の有無をチェックし(ステップS602)、受信コマンドに基づく実行指示がない場合は(ステップS602:NO)、ステップS601〜S602の処理ルートを経てステップS611に入り、また受信コマンドに基づく実行指示がある場合は(ステップS602:YES)、受信コマンドに基づく演出実行を行ってステップS611に入る。またステップS601の判断において、特別演出モード中であれば(ステップS601:YES)、直接にステップS611に入り、待機演出フラグの値が判断される。
この待機演出フラグは待機時間設定処理を通ることで「1」または「2」に設定される。待機演出フラグが「1」または「2」に設定されている場合は、次に、待機状態タイマのタイマ時間が経過したか否かを判断する(ステップS612)。ここで判断するタイマ時間は、通常演出モード中ならば30秒が経過したか否かであり、また特別演出モード中ならば10秒が経過したか否か、また上記修正処理のステップS542〜S544を経て短縮されている場合は、ステップS544で再設定された待機状態タイマ値の2秒が経過したか否かである。
まだ待機状態タイマのタイマ時間が経過していない場合(ステップS612:NO)、何もせずにステップS621に進む。一方、待機状態タイマのタイマ時間が経過した場合には(ステップS612:YES)、デモ演出実行処理を行う(ステップS613)。
本実施形態の場合、デモ演出は二種類用意されている。上記したデモ演出実行処理(ステップS613)では、図14に示すように、待機演出フラグの値をチェックして(ステップS631)、通常演出モード中であればデモ演出1の内容を液晶表示装置36に表示させてデモ演出1を実行し(ステップS632)、また特別演出モード中であればデモ演出2の内容を液晶表示装置36に表示させてデモ演出2を実行する(ステップS633)。これにより通常演出モード中のデモ演出1と特別演出モード中のデモ演出2とで演出内容を異ならせている。しかし、通常演出モード中のデモ演出1と特別演出モード中のデモ演出2とを同じ演出内容とすることもできる。
上記デモ演出の実行後、設定済フラグをクリアして非設定状態に戻し(ステップS614)、ステップS621に進む。
ステップS621以降の処理に入ると、まず特別演出モード中タイマのタイマ時間が終了しているか否かをチェックする。終了していない場合(ステップS621:NO)、つまり特別演出モードが継続している場合は、特別演出モード中の専用演出としてスロット形式の停止ボタンチャンスゲームを行うべく、3つの特別演出用図柄の変動を開始する(ステップS622)。この停止ボタンチャンスゲームは、図16(a)に示すように、液晶表示装置36において3つの特別演出用図柄が横並びの表示エリアにいわゆるスロットゲーム形式に変動表示され、図16(b)に示すボタン操作チャンスを遊技者に報せる「ボタンを押せ!」のメッセーッジの表示後、演出介入操作ボタンである枠演出ボタン13を押すことにより、図16(c)に示すように、その変動表示を停止させることができ、このとき3つの特別演出用図柄が揃っていたときは大当りとなるゲームである。変動停止と同時にゲーム結果が音声と画像で報知され、ハズレの場合は図16(c)に示すように「惜しい!」などのメッセージが、大当りの場合は図16(f)に示すように「成功!」などのメッセージが報知される。枠演出ボタン13の操作タイミングの適否によって大当りの当否が決定されると遊技者に期待させるゲームである。なお、図16は停止ボタンチャンスゲームの結果が異なる2つの場合を例示しており、(a)〜(b)はハズレ、(d)〜(f)は当りのケースを示している。
上記3つの特別演出用図柄の変動を開始した後(図16(a)(d)参照)、ボタン操作チャンスのメッセージを「ボタンを押せ!」の文字で液晶表示装置36に表示すると共に「ボタンを押せ!」の音声をスピーカ46から発生させる(ステップS623)(図16(b)(e)参照)。
次いで、演出介入操作ボタンの枠演出ボタン13が押されたか否かを判断する(ステップS624)。演出介入操作ボタンの枠演出ボタン13が押された場合(ステップS624:YES)、受信コマンドの当否情報を考慮して3つの特別演出用図柄の変動を停止し(ステップS625)(図16(c)(f)参照)、ハズレのメッセージ「惜しい!」または大当りのメッセージ「成功!」などを画像および音声で報知する(ステップS626)。そして、演出実行処理を終了する。
プログラムは、図9のステップS501、S513、図12のステップS541、図13のステップS601、S611、S621〜S624の巡回処理ルートを経て、図13のステップS624に戻ってくる。
ステップ624の判断において、演出介入操作ボタンの枠演出ボタン13が押されなかった場合は(ステップS624:NO)、ステップS627から一旦演出実行処理を抜けて、所定のチャンス時間、たとえば2秒が経過するのを待つ(ステップS627:NO)。これにより特別演出用図柄の変動が継続した状態になる。ステップS627の判断において、チャンス時間が終了した場合は(ステップS627:YES)、ステップS625に移行して、特別演出用図柄の変動を停止させ(ステップS625)、大当りまたはハズレを報知して(ステップS626)、演出実行処理を終了する。
停止ボタンチャンスゲームは、図9のステップS501、S513、図12のステップS541、図13のステップS601、S611、S621〜S627の巡回処理ルートを経て繰り返し行われる。
上記の停止ボタンチャンスゲームが繰り返されているうちに特別演出モードの10分が経過するので(ステップS621:YES)、特別演出モードを終了すべく、特別演出モード中フラグをクリアし(ステップS628)、また設定済フラグをクリアして(ステップS629)、演出実行処理を終了する。
<6.具体例>
図15は通常演出モード時と特別演出モード時の動作を示した遷移図である。
(6−1.通常演出モード時:図15(a))
(時刻t1〜t4)
通常演出モード時の動作では、図15(a)の時刻t1〜t4の各々において、変動パターンコマンドが主制御部20から演出制御部24に送信されてくる。図8のコマンド受信処理(ステップS401)では、図9に示す詳細フローにおいて、演出制御部24が、これを図9のコマンド受信処理におけるステップS502で受信する。リーチのかかる変動パターンコマンド(特定パターンK)であるときは直接に、またリーチのかからない変動パターンコマンドであるときはステップS504を通ってから、それぞれステップS506に進み、ステップS506、S508、S509の処理ルートにより、受信した変動パターンコマンドに基づく実行を指定設定する。
図13の演出実行処理においては、通常演出モード時であるのでステップS601からステップS602に進み、受信コマンドに基づく実行指示を確認して(ステップS602:YES)、受信コマンドに基づく演出が実行される(ステップS603)。通常演出モード時であるので、この演出は、1回の変動表示の間で完結する単独演出が変動パターンごとになされる。
(時刻t5)
図15(a)の例では、時刻t5で最後の保留記憶が消化されて図柄変動が停止した状態になり、図6のステップS311で待機演出コマンドが主制御部20から送信される。この待機演出コマンドが図9のステップS511で受信されると、図9のステップS512で待機時間設定処理に入り、図11の詳細フローにおいてステップS531〜S534の処理ルートにより、待機演出フラグが「1」に設定され、待機状態タイマが「30秒」が設定される。そしてステップS537で設定済フラグが「1」に設定される。
続いて図9のステップS513の待機時間修正処理に入り、図12の詳細フローにおいて、ステップS541に進み、ここで待機演出フラグの値をチェックする(ステップS541)。待機演出フラグは「1」に設定されているので、ステップS541の判断は(=0、1)への分岐となり、何も修正を行わないで待機時間修正処理を終了する。結局、通常演出モードの場合は、待機状態タイマの設定値(30秒)を変更することなく、待機時間修正処理を抜ける。
(時刻t6)
図15(a)の例では、遊技がなされないまま時刻t6において待機状態タイマの設定値(30秒)が経過する。
図13の演出実行処理では、ステップS601〜S603の処理ルートを経た後、待機演出フラグの値をチェックする(ステップS611)。待機演出フラグは「1」に設定されているので、ステップS611からステップS612に進み、ここで待機状態タイマの設定値である30秒の計時が終了したか否かを判断する。図15(a)の例では、遊技者が打ち出しを停止したまま、時刻t6において、この30秒の経過が到来している。そこで図13のステップS612の判断はYESとなり、ステップS613に進み、デモ演出の実行処理が行われる。このデモ演出は、通常演出モード時のために用意されたデモ演出1が実行される(図14のステップS632)。
(時刻t7)
図15(a)の例では、その後に打ち出しが再開され、時刻t7において変動パターンコマンドが送信されて図柄変動が開始し、デモ演出の実行は終了する。デモ演出が終了することで、設定済フラグがクリアされて非設定状態(=0)に戻される(図13のステップS614)。これにより、次に変動パターンコマンドを受信したときに待機演出フラグと待機状態タイマを再度設定することが可能になる。
図9のステップS502で変動パターンコマンドが受信されると、ステップS506において待機演出フラグがゼロでない(=1)と判断されるので、ステップS507に進み、待機演出フラグがクリアされ非設定状態(=0)に戻される。したがって待機演出フラグが設定されている期間は、待機状態(30秒)とデモ演出状態とを合わせた期間(待機演出期間)となる。
上記以降は、待機状態タイマの設定を30秒としつつ、通常演出モードの単独演出が、変動パターンごとになされて行く。
そして、待機演出コマンドが受信されれば、再び待機時間設定処理(ステップS512)がなされ、通常演出モードが継続される。
(6−2.特別演出モード時:図15(b))
通常演出モードから特別演出モードへの切り替わりは、次のようにして行われる。図15(b)の時刻t1〜t4の各々において変動パターンコマンドが主制御部20から演出制御部24に送信されて来る。演出制御部24は、これを図9のステップS502で受信する。
(時刻t1)
図15(b)の時刻t1で受信する変動パターンはリーチのかからない(特定パターンKでない)コマンドであり、これを受信したときはステップS503、S506、S508、S509の処理ルートにより、受信コマンドに基づく実行(通常演出モード)を指定設定する。
図13の演出実行処理においては、現在が通常演出モード時であるのでステップS601からステップS602に進み、受信コマンドに基づく実行指示を確認して(ステップS602:YES)、受信コマンドに基づく演出が実行される(ステップS603)。ここでは1回の変動表示の間で完結する単独演出がなされる。
(時刻t2:特別演出モード抽選に当選)
次に図15(b)の時刻t2で受信する変動パターンはリーチのかかる特定パターKのコマンドであり、これを受信したときはステップS503〜S505の処理ルートにより、特別演出モード抽選処理を行う。図10に示す詳細フローのステップS521において、特別演出モード抽選用乱数の抽選と当否の判定が行われる。図15(b)では、時刻t2でこの抽選に当選した場合を示している。抽選に当選し、特別演出モードを実施することとしたときは(図10のステップS522:YES)、特別演出モード中フラグが「1」に設定され、また特別演出モード中タイマの設定時間が10分に設定される(図10のステップS523〜S524)。
これにより時刻t2で通常演出モードから特別演出モードに切り替わり、特別演出モード中タイマが設定値の10分を計時し始め、特別演出モードが開始される。図13の演出実行処理において、ステップS621の判断がNO(特別演出モード中)となり、ステップS621からステップS622に進み、停止ボタンチャンスゲームの特別演出が開始さる(ステップS622)。
停止ボタンチャンスゲームでは、ボタン操作チャンスに関して「ボタンを押せ!」のメッセージが画像および音声にて報知される(ステップS623)(図16(b)(e))。
ここで遊技者が演出介入操作ボタンである枠演出ボタン13を押したとき(ステップS624:YES)、または枠演出ボタン13が押されることなく所定のチャンス時間が終了したときは(ステップS627:YES)、受信コマンドの当否情報を考慮して3つの特別演出用図柄の変動が停止され(ステップS625)、停止ボタンチャンスゲームの結果として大当りまたはハズレのメッセージ「成功!」または「惜しい!」が画像および音声にて報知される(ステップS626)。その後、図13の演出実行処理を抜ける。
なお、枠演出ボタン13が押されない場合(ステップS624:NO)、所定のチャンス時間が終了するまでは(ステップS627:NO)、ステップS621〜S623が繰り返され、特別演出用図柄の変動が継続され、ボタン操作チャンスの報知が繰り返される。
(時刻t3〜t4)
プログラムは再び図8のコマンド受信処理(ステップS401)に戻り、図9の詳細フローにおいてステップS501に進み、演出制御コマンドの受信の有無を判断する。
図15(b)の例では、時刻t3、t4で特定パターンKでない変動パターンコマンド、つまりリーチのかからない変動パターンコマンドの受信がなされる。そこで図9において、この変動パターンコマンドの受信がなされている間、ステップS503の判断はNO(特定パターンKでない)となり、ステップS506に進み、待機演出フラグが非設定状態(=0)であることを確認する。
時刻t3、t4は、通常演出モードであれば、図柄変動の開始と停止を一セットとする「図柄変動動作」が連続して生起する状態に相当する。これに対し、特別演出モードでは、時刻t3、t4において変動コマンドの当否情報に影響を受けるものの、他は独自に演出制御部のみの制御の下で停止ボタンチャンスゲームを演出し続行する。しかし特別図柄についてはバックグラウンドで図柄変動動作が行われているので、時刻t3、t4ではまだ待機状態は発生していない。このため、ステップS506の判断において、上記した待機演出フラグは非設定状態(=0)にある(後に時刻t5において、図11の待機時間設定処理中のステップS535で「2」に設定される)。そこでステップS506からステップS507を迂回してステップS508に移行する。
ステップS508では、特別演出モード中フラグが設定状態(=1)であるか否かを判断する。ここでは、図15(b)の時刻t2で行った特別演出モード抽選処理において、既に特別演出モード中フラグが設定状態(=1)となっているため、ステップS508の判断はYES(特別演出モード中フラグ=1)となり、ステップS508からステップS510に進み、受信コマンドに基づく実行(特別演出モード)の指示設定がなされる。
図13の演出実行処理では、ステップS625の特別演出用図柄の変動停止において、この受信コマンドに基づく実行(特別演出モード)の指示内容が反映され、受信コマンドの当否情報を考慮して特別演出用図柄の変動が停止される。すなわち変動パターンコマンドが当り情報を含むときは停止ボタンチャンスゲームの結果が大当りとなり、ハズレ情報を含むときは停止ボタンチャンスゲームの結果もハズレとなる。
ただし、停止ボタンチャンスゲームは特別図柄の変動動作に同期しない形で繰り返し実行されるため、変動パターンコマンドが送信されなくなっても、停止ボタンチャンスゲームは継続される。
(時刻t5)
図15(b)の時刻t5になると、全ての保留記憶が消化され終わり、液晶制御部24の制御は、上記の受信コマンドに基づく実行(特別演出モード)指示設定の支配から離れ、通常演出モードにおける待機状態と同じ区分の管理状態(便宜上同じ「待機状態」で表現する)に入る。このとき液晶表示装置36の画面に表示されているのは、それまでと同じ「停止ボタンチャンスゲーム」の特別演出の継続であり、遊技者には、待機状態下の特別演出はそれ以前の特別演出の「停止ボタンチャンスゲーム」が続けて表示されているものとして認識され、待機状態に入ったことは、特に報知していないため、遊技者に認識されない。
まず図15(b)の時刻t5になると、図9のステップS511において待機演出コマンド(図6の特別図柄管理処理のステップS311で送信される)が受信されるので(ステップS511:YES)、待機時間設定処理(ステップS512)に入る。
図11のステップS531からステップS532に進み、特別演出モード中フラグが設定(=1)されているか否かを判断する(ステップS532)。特別演出モード中フラグは既に設定(=1)されていて、特別演出モード中となっているので、ステップS535に進み、待機演出フラグに「2」を設定し(ステップS535)、待機状態タイマに10秒を設定する(ステップS536)。そして設定済フラグを設定(=1)して待機時間設定処理を終了する。
この設定済フラグが設定されると、その後は、ステップS531の判断がYES(待機時間の設定済み)となるので、図13のステップS613のデモ演出が実行されて(ステップS613)、設定済フラグがクリアされるまで(ステップS614)、待機状態タイマの設定値が10秒に保持される。
(時刻t6)
図15(b)の例では、時刻t6において遊技がなされないまま待機状態タイマの設定時間(10秒)が経過し、待機状態からデモ演出状態に切り替わる。ここでの特徴は、待機状態からデモ演出状態に切り替わるタイミングにあり、通常演出モード時では待機状態になってから30秒後であるが、特別演出モード時では待機状態になってから10秒後であり、約1/3に短縮されている。
したがって、遊技者が保留記憶の無い状態であることに気づかずに、待機状態中も停止ボタンチャンスゲームのみを継続していた場合、待機状態になってから10秒後にデモ演出状態に画面が切り替わるため、そのことから保留記憶が無い状態であること、つまりバックグラウンドで特別図柄の図柄変動動作が行われていないので遊技球を発射すべきことを悟ることができる。したがって、待機状態からデモ演出状態への切り替わりは、発射操作を遊技者に促すことを報知することになる。待機状態になってからデモ演出状態に画面が切り替わるまでの待機状態期間は10秒であり、通常演出モードにおける30秒より短いため、遊技者が無意味に停止ボタンチャンスゲームを継続する期間を短縮することができ、また早期に遊技球の発射を再開することから、遊技機の稼働を高めることができる。
図13の演出実行処理では、ステップS601からステップS611に進み、待機演出フラグの値をチェックする(ステップS611)。待機演出フラグは「2」に設定されているので、ステップS611からステップS612に進み、ここで待機状態タイマの設定値である10秒の計時が終了したか否かを判断する。図15(b)の例では、遊技者が打ち出しを停止したまま、時刻t6において、この10秒の経過が到来している。そこで図13のステップS612の判断はYESとなり、ステップS613に進み、デモ演出の実行処理が行われる。このデモ演出においては、特別演出モード時のために用意されたデモ演出2が実行される(図14のステップS633)。
(時刻t7)
図15(b)の例では、その後に打ち出しが再開され、時刻t7において変動パターンコマンドが送信されて図柄変動動作が開始し、デモ演出の実行は終了する。デモ演出が終了することで、設定済フラグがクリアされて非設定状態(=0)に戻される(図13のステップS614)。これにより、次に変動パターンコマンドを受信したときに待機演出フラグと待機状態タイマを再度設定することが可能になる。
(時刻t8)
図15(b)の時刻t8では、バックグラウンドで変動パターンコマンドが到来するが、ハズレ情報のものであるので、演出制御部24側で独自に停止ボタンチャンスゲームが継続される。
(時刻t9)
図15(b)の例では、上記の停止ボタンチャンスゲームが継続されて行き、やがて時刻t9で特別演出モード中タイマの設定値10分が経過する。
これにより図13のステップS621の判断において、特別演出モード中タイマの値がゼロとなり(ステップS621:YES)、ステップS628で特別演出モード中フラグが非設定状態(=0)にクリアされ、またステップS629で設定済みフラグが非設定状態(=0)にクリアされる。ここで特別演出モード中フラグが非設定状態になったことは、特別演出モードから通常演出モードに切り替わったことを意味する。
時刻t9では同時的に示されているが、その後に変動パターンコマンドが到来すると、ステップS502〜S507の処理ルートを経て、ステップS507で待機演出フラグが非設定状態(=0)に戻される。そしてステップS508からステップS509に移行し、受信コマンドに基づく実行(通常演出モード)指示設定がなされる(ステップS509)。演出実行処理では、この受信コマンドに基づく実行指示があると、受信コマンドに基づく演出を実行する(ステップS603)。
その後、特定パターンKを持つ変動パターンコマンドが到来して特別演出モードの抽選がなされ、これに当選しない限り、通常演出モードが続くことになる。
(6−3.演出介入操作ボタンの操作時)
図示してないが、図15(b)の時刻t5で待機状態の10秒の計時が開始して、8秒以内に枠演出ボタン13が押されたとき、つまり図12のステップS542〜S543の処理ルートを経て、ステップS543の判断がYESとなったときは、待機状態タイマの値を、枠演出ボタン13が押された時点の残り秒数(2秒〜〜10秒)から2秒に再設定する(テップS545)。たとえば、10秒の計時を開始してから6秒が経過した時点で枠演出ボタン13を押したと仮定すると、この時点で待機状態タイマの値Tが2秒に再設定されるため、再設定前の残り4秒の経過を待つことなく、再設定後の残り時間2秒が経過するのを待つだけで、デモ演出状態に切り替わる。これにより待機状態からデモ演出状態に切り替わるまでのトータル時間が通常の10秒から8秒に短縮され、短縮された時間分だけ早く、遊技者に、遊技球の打ち出しを開始すべきことを報知することができる。
<変形例>
上記実施形態では、特定パターンKとしてリーチを伴う変動パターンに着目し、この到来を契機として特別演出モード抽選を行うようにしたが、他の特定パターンKに着目して特別演出モード抽選を行うようにしても良い。また、変動パターンコマンド以外のコマンドに着目して特別演出モード抽選を行うようにすることも可能である。
また上記実施形態では、特別演出モードの期間長さを定める「特別演出モード中タイマ」の値を、所定値の10分に設定したが、他の任意の時間長さに設定することができる。
また上記実施形態では、特別演出モード中の専用演出として、スロット形式の停止ボタンチャンスゲームを例にして説明したが、特別演出モード中の専用演出は遊技者参加型のゲーム内容であれば良く、いわゆるミッション形式やバトルタイプのゲームを採用することができる。
また上記実施形態では、特別演出モードにおける待機状態中に演出介入操作ボタンを押した場合、10秒から2秒に短縮したが、演出介入操作ボタンを押した以降の任意の時点まで(たとえば10秒から7秒)短縮しても良いし、また演出介入操作ボタンを押した時点から残りの待機状態期間を全てカットし、出介入操作ボタンを押した時点でデモ演出状態に移行するように構成することもできる。
また上記実施形態では、特別演出モード中タイマによるタイマ時間の終了を待って特別演出モードを終了するようにしたが、図17に示すようにステップS633の後にステップS634を追加し、ステップS633でデモ演出2が終了した場合、その直後に、特別演出モード中タイマと特別演出モード中フラグとを0クリアして、強制的に特別演出モードを終了させる構成とすることもできる。