JP2011050363A - ネオケストースの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フルクタン含有組成物(ネオフルクトオリゴ糖とフルクトオリゴ糖が混合して含まれる組成物)を材料とする、ネオケストースの効率的な単離及び高純度ネオケストースの製造方法を提供する。
【解決手段】フルクタン含有組成物に所定の活性を有するフルクタン加水分解酵素(1−FEH(fructan 1−exohydrolase)など)を作用させ、ネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解してグルコース、フルクトース、スクロース、ネオケストースのみを残存させ、この酵素処理液をクロマト分離して高純度のネオケストースを効率的に製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、農産物や農産副産物などのフルクタン含有組成物を原料として、ネオフルクトオリゴ糖の三糖であるネオケストースを効率的に製造する方法、及び当該方法に用いるフルクタン加水分解酵素に関するものである。
いくつかの植物は、貯蔵炭水化物として低分子から高分子のフルクタンを蓄積する。フルクタンとは、主に1個のスクロースにフルクトースが重合した三糖以上の多糖(イヌリン型)や、フルクトースのみが重合した多糖の総称であり、水溶性の食物繊維として分類される。中でも、アスパラガスの根やたまねぎ鱗茎などには1−ケストースやニストースなど比較的低分子のイヌリン型フルクタンや、イヌリンネオ型フルクタンが多く存在する。
イヌリン型フルクタンとは、スクロースのフルクトース残基の1位にもう一つのフルクトースの2位が結合し、このFru−(β2→1)−Fru結合によりさらにフルクトース鎖が伸長した構造を有するフルクトース重合体(1−ケストース型)であり、その三糖が1−ケストース、四糖がニストース、五糖がフルクトシルニストースである。これらのフルクトオリゴ糖はプレバイオティクス効果(腸内環境改善、便通改善)やミネラル吸収促進作用などを有する機能性糖質であり、微生物酵素(転移酵素)を利用して工業的生産がなされている。主要なイヌリン型フルクタンの構造を図1に示す。
また、レバン型フルクタンとは、スクロースのフルクトース残基の6位にもう一つのフルクトースの2位が結合し、このFru−(β2→6)−Fru結合によりさらにフルクトース鎖が伸長した構造を有するフルクトース重合体(6−ケストース型)である。
一方、イヌリンネオ型フルクタンとは、スクロースのグルコース残基の6位にフルクトースの2位が結合したFru−(β2→6)−Glc結合をもつネオケストースを基本骨格として、このネオケストースの両フルクトース残基にフルクトースがFru−(β2→1)−Fru結合し、さらにフルクトース鎖が伸長したフルクトース重合体(ネオケストース型)の総称である。イヌリンネオ型フルクタンのうち三糖であるネオケストースはネオフルクトオリゴ糖とも呼ばれ、フルクトオリゴ糖と同様にプレバイオティクス効果などの機能性を持つことが知られている。主要なイヌリンネオ型フルクタンの構造を図2に示す。
このネオケストースの製造方法としては、スクロース及び/又はフルクトオリゴ糖に微生物由来のフルクトシル転移酵素を作用させる方法がある(特許文献1、2)。この場合、ネオケストースはフルクトオリゴ糖との混合物として生産され、またネオケストース以外のネオフルクトオリゴ糖との混合物ともなる。また、植物由来のフルクトシル転移酵素を利用する方法や、ネオフルクトオリゴ糖を含む植物(タマネギ鱗茎、アスパラガス根など)からオリゴ糖を抽出する方法などもあるが、いずれの方法も得られる組成物はネオフルクトオリゴ糖とフルクトオリゴ糖の混合物となる。
つまり、これらの方法では、各糖を単独で得るためには分離操作が必要となる。フルクトオリゴ糖の分離技術としては、カチオン交換樹脂を用いる各種クロマト分離法が挙げられ、1−ケストースとニストースの分離技術(特許文献3)などが開示されている。しかし、この方法は分子量比に大きな差異があるフルクトオリゴ糖の分離方法であり、1−ケストースとニストースの混合物などの三糖と四糖の分離は可能であるが、それぞれ三糖である1−ケストース、6−ケストース、ネオケストースの分離は難しく、この場合のネオケストースの単離は困難である。
このように、ネオケストースの生産に関わる微生物又は植物由来のフルクトシル転移酵素が見つかっているものの、その分離精製技術の困難さや製造コスト等により高純度ネオケストースの工業規模での生産はなされていないのが現状である。そのため、その機能性研究も進展が充分でない。また、実際に市販されている工業生産されたフルクトオリゴ糖は、主として1−ケストースやニストースで構成されているか、あるいはフルクトオリゴ糖とネオフルクトオリゴ糖の混合物である。
特開平10−165192号公報 特開2002−360238号公報 特開2000−232878号公報
本発明は、フルクタン含有組成物(ネオフルクトオリゴ糖とフルクトオリゴ糖が混合して含まれる組成物)を原料として、ネオケストースの効率的な生産、単離を行うことが可能な、高純度ネオケストースの効率的製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、フルクタン含有組成物を、フルクタンのFru−(β2→1)−Fru結合を分解し、フルクタンのFru−(β2→6)−Glc結合及びスクロースを分解しないという活性を有するフルクタン加水分解酵素(例えば、ゴボウ由来の1−FEH(fructan 1−exohydrolase)など)で処理することで、ネオケストース以外のフルクタンが選択的に分解され、酵素処理液にグルコース、フルクトース、スクロース、ネオケストースのみが残存することを見出し、これをクロマト分離(グルコース、フルクトース、スクロースの除去)するだけで高純度のネオケストースが効率的に製造できることを見出した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)フルクタン含有組成物を、フルクタンのFru−(β2→1)−Fru結合を分解し、フルクタンのFru−(β2→6)−Glc結合及びスクロースを分解しないフルクタン加水分解酵素で処理し、その酵素処理液をクロマト分離することを特徴とするネオケストースの製造方法。
(2)フルクタン加水分解酵素が、ゴボウ由来であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)フルクタン加水分解酵素が、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の方法。
(4)フルクタン加水分解酵素が、配列番号1(図3)に記載のアミノ酸配列からなる1−FEH(fructan 1−exohydrolase)であることを特徴とする(3)に記載の方法。
(5)フルクタン加水分解酵素が、配列番号1(図3)に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列からなり、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するものであることを特徴とする(3)に記載の方法。
(6)フルクタン加水分解酵素が、配列番号2(図4)に記載の塩基配列からなる遺伝子がコードする、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するタンパク質であることを特徴とする(3)に記載の方法。
(7)フルクタン加水分解酵素が、配列番号2(図4)に記載の塩基配列からなるDNAをプローブとして用いるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって得られる遺伝子がコードする、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するタンパク質であることを特徴とする(3)に記載の方法。
(8)フルクタン含有組成物が、農産物及び/又は農産副産物であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9)農産物及び/又は農産副産物が、ユリ科植物及び/又はキク科植物由来であることを特徴とする(8)に記載の方法。
(10)農産物及び/又は農産副産物が、アスパラガス(例えばアスパラガスの更新廃棄株)、タマネギ(例えば余剰生産タマネギ)、ゴボウから選ばれる少なくともひとつの由来であることを特徴とする(9)に記載の方法。
(11)(1)〜(7)のいずれか1つに記載のフルクタン加水分解酵素でフルクタン含有組成物を処理することにより、当該組成物中のネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解し、ネオケストースを残存させる方法。
(12)フルクタン含有組成物中のネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解し、グルコース、フルクトース、スクロース及びフルクタンとしてネオケストースを残存させることを特徴とする、(4)〜(7)のいずれか1つに記載のフルクタン加水分解酵素1−FEH(fructan 1−exohydrolase)。
本発明によれば、ネオフルクトオリゴ糖とフルクトオリゴ糖が混合したフルクタン含有組成物中の、ネオケストースのクロマト分離の際に支障となる1−ケストースを含むイヌリン型フルクタンを、所定の活性を有するフルクタン加水分解酵素で分解し、また、四糖以上のイヌリンネオ型フルクタンを当該酵素で分解してネオケストースを生産し、フルクタンとしてネオケストースを選択的に残存させることができる。これにより、当該酵素処理液のクロマト分離によるネオケストース精製を容易にすることができ、効率的に高純度ネオケストースを工業生産(大量生産)することが可能となる。
イヌリン型フルクタンの、1−ケストース、ニストース、フルクトシルニストースの構造を示した。 イヌリンネオ型フルクタンの、ネオケストース、1(1−β−D−fructofuranosyl)−6(1−β−D−fructofuranosyl)sucrose (4b: m=0, n=2; 4c: m=1, n=1; 5b: m=0, n=3; 5c: m=2, n=1; 5d: m=1, n=2)の構造を示した。 ゴボウから取得した新規1−FEHのアミノ酸配列を示す(上段が1文字記号表記、下段が3文字記号表記)。糖鎖付加部位(3か所)を下線で示した。 ゴボウから取得した新規1−FEHをコードする遺伝子(aleh1、cDNA)の塩基配列を示す。 組換え1−FEHによるアスパラガス抽出糖の加水分解反応液(0、2、4、8、24hr反応液)の高速液体陰イオン交換クロマトグラフィー分析結果を示した。(a)は1−FEHを35U/ml使用、(b)は1−FEHを7U/ml使用した。 組換え1−FEHによるタマネギ抽出糖の加水分解反応液(0、2、4、8、24hr応液)の高速液体陰イオン交換クロマトグラフィー分析結果を示した。(a)は1−FEHを35U/ml使用、(b)は1−FEHを7U/ml使用した。 組換え1−FEHによるアスパラガス抽出糖及びタマネギ抽出糖の加水分解における糖組成変化を示す。縦軸に各糖の量、横軸に反応時間を示した。(a)はアスパラガス抽出糖に1−FEHを35U/ml使用、(b)はアスパラガス抽出糖に1−FEHを7U/ml使用、(c)はタマネギ抽出糖に1−FEHを35U/ml使用、(d)はタマネギ抽出糖に1−FEHを7U/ml使用した。 アスパラガス根抽出糖に含まれる各種フルクタン濃度を、組換え1−FEHにより処理する前(0hr、棒グラフ左側)と処理した後(8hr、棒グラフ右側)で比較して示した。 アスパラガス根抽出糖を組換え1−FEHで処理した酵素処理液を、調製用HPLCを用いてネオケストースをクロマト分離した結果を示した。(a)は酵素処理液原液、(b)は酵素処理液5倍希釈、(c)はクロマト分離によるネオケストース分取画分濃縮液であり、Gはグルコース、Fはフルクトース、Sはスクロース、N−kはネオケストースを示す。
本発明においてネオケストース製造の原料となるフルクタン含有組成物とは、イヌリンネオ型フルクタンを含有するものであればいずれも使用できるが、アスパラガス根の更新廃棄株や余剰生産タマネギ、その他未利用農産物などに代表される農産物、農産副産物やこれらの混合物などが例示される。また、ラッキョウなどのアスパラガスやタマネギと同じユリ科植物や、ゴボウなどのキク科植物の農産物、農産副産物も用いることができる。さらには、スクロース等を基質としてフルクトシル転移酵素での処理により得た生成物についても、イヌリンネオ型フルクタンが生成物として含有していれば本発明の原料として使用できる。本発明においては、イヌリンネオ型フルクタンとイヌリン型フルクタンの混合組成物を、例外なく原料として用いることができることが特徴である。
本発明で用いるフルクタン加水分解酵素は、Fru−(β2→1)−Fru結合を分解し(つまり、イヌリン型フルクタン、及び、四糖以上のイヌリンネオ型フルクタンのフルクトース重合部分を分解し)、Fru−(β2→6)−Glc結合及びスクロースを分解しない(つまり、ネオケストースを分解しない)という活性を有するフルクタン加水分解酵素であればいずれも使用できる。そのような活性を持つフルクタン加水分解酵素としては、例えば、ゴボウ由来の1−FEH(fructan 1−exohydrolase)が例示され、配列番号1(図3)に記載のアミノ酸配列からなる1−FEHを使用するのが好ましい。
フルクタン加水分解酵素は、チコリーやアスパラガスなどの食用植物からいくつかの種類が発見されている酵素であるが、フルクタンのFru−(β2→1)−Fru結合を分解するものや、Fru−(β2→6)−Fru結合を分解するものが確認されていることと、スクロースを分解しないことが確認されているのみである。つまり、当該酵素のネオケストース基本骨格であるFru−(β2→6)−Glc結合の分解活性の有無については従来不明であり、まして、Fru−(β2→1)−Fru結合を分解し、Fru−(β2→6)−Glc結合を分解しないという活性を有するフルクタン加水分解酵素は従来知られていなかった。
本発明者らは、本発明に用いることができるフルクタン加水分解酵素のひとつとして、新規にゴボウ由来の配列番号1(図3)に記載のアミノ酸配列からなる1−FEH及びこれをコードする配列番号2(図4)に記載の塩基配列からなる遺伝子を取得したが、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列からなり1−FEHの活性を有する酵素や、配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAをプローブとして用いるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって得られる遺伝子がコードする1−FEHの活性を有する酵素なども同様に使用可能である。
このようなフルクタン加水分解酵素の工業的な大量生産としては、微生物を用いた組換えタンパク質生産が例示される。組換えタンパク質生産は、定法を用いることができ、例えば、染色体組込み型の分泌発現ベクターに当該酵素をコードする遺伝子を挿入し、このベクターによってメタノール資化性酵母を形質転換し、形質転換体をメタノールで遺伝子発現を誘導しながら培養する方法で行うことができる。
フルクタン含有組成物のフルクタン加水分解酵素による処理は、原料に加水した後20〜40℃程度で2〜30時間、好ましくは8〜24時間酵素反応を行う。原料が固体の場合には粉砕処理を行うことが好ましく、また、固体原料から糖類を抽出した抽出液を反応原料に用いてもよい。酵素使用量としては、5〜50U/ml、好ましくは7〜35U/mlが例示される。この酵素処理により、イヌリン型フルクタンと、ネオケストース以外のイヌリンネオ型フルクタンのフルクトース重合部分を分解する。
酵素処理を行った後は、加熱などにより酵素失活処理を行う。そして、固形分が処理液に残留している場合には、遠心分離などの操作によって固液分離を行い、液体部(酵素処理液)を次の精製工程に用いる。
この酵素処理液は、ネオケストース以外に分解産物のスクロース、フルクトースや、もとの原料自体に含まれていたグルコース、スクロース、フルクトースが残存している。したがって、高純度のネオケストースを得るために、この酵素処理液をクロマト分離してグルコース、スクロース、フルクトースとネオケストースを分離する操作を行う。クロマト分離法としては、調製用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる方法などが例示されるが、ネオケストースとグルコース、スクロース、フルクトースを分離精製できるものであればどのようなクロマト分離方法でも使用可能である。
クロマト分離によって得られたネオケストースは、そのまま液状の高純度ネオケストースとして用いることもできるが、定法によって濃縮物、ペースト化物、乾燥物(粉末、顆粒)などとすることもできる。
このように、ゴボウ由来の1−FEHに代表されるフルクタン加水分解酵素を利用することにより、アスパラガスやタマネギの抽出糖などのフルクタン混合組成物(イヌリンネオ型と、イヌリン型及び/又はレバン型の混合物が含有する組成物)からネオケストース、スクロース、フルクトース、グルコースを主成分とする糖組成へと変換し、これをクロマト分離することで高純度ネオケストースの大量調製を容易にできる。また、本発明は、余剰生産されたたまねぎやアスパラガスの更新廃棄株の根を製造原料として用いることができるため、このような未利用資源の有効活用方法としても有用である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(ゴボウ由来の新規フルクタン加水分解酵素遺伝子、及びこの遺伝子がコードする新規フルクタン加水分解酵素の取得)
ゴボウtotalRNAからPCR法及びRACE法(Rapid Amplification of cDNA end)を用いて、ゴボウ由来の新規1−FEH遺伝子(aleh1;完全長cDNA)をクローニングし、その塩基配列をSanger−dideoxy法により決定した(配列番号2、図4)。この新規1−FEH遺伝子は、塩基配列が2,063bpからなり、1,746bpからなるオープンリーディングフレームを有していた。また、そのオープンリーディングフレームの塩基配列(コドン)から、コードするタンパク質のアミノ酸配列も決定した(配列番号1、図3)。そのアミノ酸配列は、581残基からなり、チコリー由来の1−FEHと81%という高い相同性を示した。
ゴボウ由来の新規1−FEH遺伝子がコードするタンパク質の大量取得のため、当該遺伝子を染色体組込み型の分泌発現ベクターpPLC2αβ(インビトローゲン社製)に挿入した。この組換えプラスミドでメタノール資化性酵母(Pichia pastoris)を形質転換し、この形質転換体を用いて組み換えタンパク質を培養液中に分泌生産した。詳細には、Pichia pastoris形質転換体をBMGY培地で一晩29℃で前培養したのち、BMMY培地で3日間29℃でメタノール誘導培養し、一日ごとに2%となるようメタノールを加えた。培養液を遠心分離し培養上清を回収し、培養上清中に含まれる組換えタンパク質を取得した。
この酵素活性を測定し各基質に対する分解活性を測定した。酵素反応は以下のように行った。すなわちMcIlvaine緩衝液(pH5.5)25μl、0.2M各基質溶液(1−ケストース、ネオケストース、スクロース)50μl、酵素液25μlの合計100μlを30℃で30分間反応させ、3分間の煮沸で反応を停止させた。1−FEH活性は、終濃度0.1Mの1−ケストースを基質とし1分間に1μmolのフルクトースを生成する酵素量を1ユニット(U)と定めた。
測定の結果、1−ケストース分解活性は70U/mlであった。1−ケストース分解活性を100%としてスクロースおよびネオケストースの加水分解活性の相対活性を求めたところ、それぞれ0.03及び5.82%であり、スクロースおよびネオケストースに対してほとんど作用しないことが明らかとなった。
(組換え1−FEHを用いたアスパラガス又はタマネギ抽出糖(フルクタン含有組成物)の加水分解)
定法に従い、アスパラガス根およびタマネギ鱗茎から熱エタノール抽出により抽出糖(フルクタン含有組成物)を調製した。まず、アスパラガス根およびたまねぎ鱗茎を熱エタノールで抽出し、その抽出物を凍結乾燥し、その凍結乾燥粉末を320mg/mlとなるよう水で溶解した。
フルクタン含有組成物の酵素反応は以下のように行った。アスパラガス及びタマネギより抽出したフルクタン含有溶液50μl、McIlvaine緩衝液(pH5.5)25μl、組換えタンパク質(35U/ml(反応液(a))、7U/ml(反応液(b)))25μlの合計100μlを30℃で0、2、4、8、24時間それぞれ反応させ、3分間の煮沸で反応を停止させた。反応停止後、高速液体陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)分析により糖を定量した。
高速液体陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)分析は、DIONEX社製のDX300を用いて行った。カラムはCarbopac PA−1(4×250mm、登録商標)を使用し、検出器にはpulsed amperometric detectorを用い0.3μCのレンジで検出した。カラム温度は室温とし、150mM NaOHを溶離液とし、酢酸ナトリウムの濃度勾配(25〜500mM、30min)により溶出し、流速1ml/minで行った。
アスパラガスより抽出したフルクタン含有組成物については、反応液(a)および(b)の両結果においてネオケストース以外のフルクタンが効率的に加水分解された(図5)。反応開始時のネオケストース濃度が10mg/mlであったものが反応液(a)では8時間の反応で54mg/mlまで、反応液(b)では24時間の反応で51mg/mlまで増加した(図7)。この反応液中のネオケストース以外のフルクタンはごくわずかであった。また、フルクトースおよびスクロース濃度は反応開始時にはほとんど存在しなかったものが24時間の反応で反応液(a)ではそれぞれ104mg/ml及び25mg/mlまで、反応液(b)ではそれぞれ83mg/ml及び15mg/mlまで増加した。
結果として、アスパラガスより抽出したフルクタン含有組成物に組換え1−FEHを作用させ、フルクタンを分解することによりネオケストース濃度が約5倍となり、フルクトース、スクロース、ネオケストースの3種の糖を主成分とする分離に適した糖組成へと変換することができた。
タマネギより抽出したフルクタン含有組成物についても、アスパラガスと同様に反応液(a)および(b)の両結果においてネオケストース以外のフルクタンが効率的に加水分解された(図6)。反応開始時のネオケストース濃度が31mg/mlであったものが反応液(a)では4時間の反応で42mg/mlまで、反応液(b)では8時間の反応で44mg/mlまで増加した(図7)。この反応液中のネオケストース以外のフルクタンはごくわずかであった。またフルクトースおよびスクロース濃度は反応開始時でそれぞれ20mg/ml及び6mg/mlであったものが24時間の反応で反応液(a)ではそれぞれ67mg/ml及び22mg/mlまで、反応液(b)では51mg/ml及び11 mg/mlまで増加した。
結果として、タマネギより抽出したフルクタン含有組成物に組換え1−FEHを作用させ、フルクタンを分解することによりネオケストース濃度が約1.5倍となり、フルクトース、スクロース、ネオケストースの3種の糖を主成分とする分離に適した糖組成へと変換することができた。
本実施例における、アスパラガス及びタマネギ抽出糖の組換え1−FEHでの加水分解における時間毎の糖組成の変化を、縦軸を各糖の量、横軸を反応時間としてグラフでまとめて示した(図7)。糖は、グルコース、フルクトース、スクロース、ニストース、1−ケストース、ネオケストース、4c、4bについて表記した。いずれの反応においても、ネオケストース、フルクトース、スクロース、グルコース以外の糖は時間と共に減少ないしは消滅していくことが明らかとなった。
(ネオケストースの大量調製)
基質としてアスパラガスより抽出したフルクタン含有組成物(アスパラガス根抽出糖)を用い、ネオケストースの大量調製に最も有効な条件と考えられる、35U/mlの酵素溶液で8時間の反応条件でネオケストースの大量調製を実施した。具体的には、320mg/mlのアスパラガスのフルクタン含有液20ml、McIlvaine緩衝液(pH5.5)10ml、35U/mlの酵素溶液10mlを混合し、30℃で8時間酵素反応させ、10分間煮沸して反応を停止した。反応生成物を実施例2に記載のHPAEC分析で定量した。
その結果、反応液中のネオケストース、スクロース、フルクトース濃度はそれぞれ51mg/ml、24mg/ml、155mg/mlであった(図8)。また他のフルクタン(1−ケストース、 ニストース、4c、4b)の濃度は1mg/ml以下であり、ごくわずかであった(図8)。
この反応液を調整用HPLCに供し、ネオケストースのピーク部分を自動分取HPLC装置により反応液からネオケストースを単離した。具体的には、日本分光社製のHPLCシステムGULLIVER(PU−1580, LG−1580−02, DG−1580―53, CO−1565RI−1530、登録商標)を用い、カラムはTSKgel ODS−80Ts(20×250mm、登録商標)を使用した。カラム温度は35℃とした。純水を溶離液とし流速3ml/minで溶出し、検出には示差屈折計(RI−1530)を用いた。そして、活性炭カラムクロマトグラフィーを行うことにより反応液40mlから2.0gのネオケストースを単離することができた(図9)。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、フルクタン含有組成物(ネオフルクトオリゴ糖とフルクトオリゴ糖が混合して含まれる組成物)を材料として、ネオケストースの効率的な単離及び高純度ネオケストースを製造する方法を提供することを目的とする。
そして、フルクタン含有組成物に所定の活性を有するフルクタン加水分解酵素(1−FEHなど)を作用させ、ネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解してグルコース、フルクトース、スクロース、ネオケストースのみを残存させ、この酵素処理液をクロマト分離するだけで高純度のネオケストースを効率的に製造(工業的な大量製造)することができる。

Claims (12)

  1. フルクタン含有組成物を、フルクタンのFru−(β2→1)−Fru結合を分解し、フルクタンのFru−(β2→6)−Glc結合及びスクロースを分解しないフルクタン加水分解酵素で処理し、その酵素処理液をクロマト分離することを特徴とするネオケストースの製造方法。
  2. フルクタン加水分解酵素が、ゴボウ由来であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. フルクタン加水分解酵素が、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. フルクタン加水分解酵素が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる1−FEH(fructan 1−exohydrolase)であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. フルクタン加水分解酵素が、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列からなり、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するものであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. フルクタン加水分解酵素が、配列番号2に記載の塩基配列からなる遺伝子がコードする、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するタンパク質であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. フルクタン加水分解酵素が、配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAをプローブとして用いるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションによって得られる遺伝子がコードする、1−FEH(fructan 1−exohydrolase)の活性を有するタンパク質であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  8. フルクタン含有組成物が、農産物及び/又は農産副産物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 農産物及び/又は農産副産物が、ユリ科植物及び/又はキク科植物由来であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 農産物及び/又は農産副産物が、アスパラガス、タマネギ、ゴボウから選ばれる少なくともひとつの由来であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のフルクタン加水分解酵素でフルクタン含有組成物を処理することにより、当該組成物中のネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解し、ネオケストースを残存させる方法。
  12. フルクタン含有組成物中のネオケストース以外のフルクタンを選択的に分解し、ネオケストースを残存させることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のフルクタン加水分解酵素1−FEH(fructan 1−exohydrolase)。
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