JP2011049680A - 携帯端末装置および通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】双方向に一時的なコンタクトを取ることができる全く新しいコミュニケーションツールを担う携帯端末装置などを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる携帯端末装置102は、1次電池120と、非破壊交換不可能に1次電池120を内包する筐体110と、音声通信を行う通信部136と、音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部140と、操作部140の操作に基づき、通信部136を制御する制御部132と、音声通信に際して、通信部136により送出する音声を入力する音声入力部150と、音声通信にて通信部136により取得した音声を出力する音声出力部152と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明にかかる携帯端末装置102は、1次電池120と、非破壊交換不可能に1次電池120を内包する筐体110と、音声通信を行う通信部136と、音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部140と、操作部140の操作に基づき、通信部136を制御する制御部132と、音声通信に際して、通信部136により送出する音声を入力する音声入力部150と、音声通信にて通信部136により取得した音声を出力する音声出力部152と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、音声通信する通信部を備える携帯端末装置、およびこれを用いた通信システムに関するものである。
遠方にいる人と意思の疎通を図るためのコミュニケーションツールとして、従来より様々なものが提案されている。具体的には、伝達方向が一方向のものとしては手紙、電報、FAX、双方向のものとしては電話、トランシーバなどが挙げられる。そして、これらのコミュニケーションツールは、その特性(長所・短所)に応じて使い分けられる傾向にある。例えば、手紙は豊かな表現力を有する反面、到着に時間を要し、また一方向である。電話は双方向であるが、利用箇所が電話機の設置位置に限られ、トランシーバは電波の届く近距離に限られる。そこで、昨今、かかるコミュニケーションツール(モジュール)としては、可搬性を有する携帯電話が汎用されている。そのため、携帯電話に関するインフラの整備も進んでおり、さらに普及を促進する要因ともなっている。
携帯電話は外出先で使用するものであるから、電池で駆動される。これより、携帯電話における電池に関する提案も数多くなされている。例えば、特許文献1には、携帯電話の電池の残量等から、通話可能な残りの時間を算出する技術が開示されている。また、特許文献2には、携帯電話の電池の残量が規定値以下の場合に、他のアプリケーションよりも通話を優先するように制御を行う技術が開示されている。
上述した携帯電話では、電話番号を用いて通話相手を特定するものであるから、一時的にコンタクトを取りたい相手にも自らの電話番号を開示しなければならない。しかし、電話番号は原則として継続的に使用するものであって、一身専属的要素を有するものであるから、知り合ったばかりの相手などには時として開示がためらわれる場合がある。また、携帯電話は、近年の高機能化により、端末価格が高くなりがちであり、ユーザは使い切りとして使用することなど到底できなかった。
一方、メッセージ/音楽再生機能付きの電報は、近年大幅に価格が下落していて、ユーザが気軽に利用できるようになりつつある。これは音声の録音・再生や音楽の再生を行うICの小型化と低廉化によるものである。しかし、このように進歩した電報であっても、電話のように双方向の通信(通話)を行うことができない点には変わりがない。
そこで、本発明は、双方向に一時的なコンタクトを取ることができる全く新しいコミュニケーションツールを担う携帯端末装置、およびこれを用いた通信システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明にかかる携帯端末装置の代表的な構成は、1次電池と、非破壊交換不可能に1次電池を内包する筐体と、音声通信を行う通信部と、音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部と、操作部の操作に基づき、通信部を制御する制御部と、音声通信に際して、通信部により送出する音声を入力する音声入力部と、音声通信にて通信部により取得した音声を出力する音声出力部と、を備えることを特徴とする。
当該携帯端末装置は、単一の通信先アドレスが予め記憶されており、非破壊交換不可能に筐体に内包されるメモリをさらに備え、制御部は、操作部の操作に基づき、通信先アドレスに対する音声通信を開始するように通信部を制御するとよい。
上記筐体は、自装置の呼び出しアドレスに対する音声通信を可能とする他の携帯端末装置と分離可能に接合されているとよい。
上記制御部は、通信部により着呼が検出された場合、通信先アドレスからの着呼の場合にのみ音声通話開始可能とするとよい。
上記筐体の外表面には、1次電池の容量によって音声通信を行うことができる許容通話時間の目安となる数値が表記されているとよい。
上記筐体の外表面の少なくとも一部の領域が、マット仕上げであるとよい。
上記筐体の少なくとも一部が紙材質で形成されているとよい。
上記筐体は、少なくとも1次電池、通信部、制御部、メモリを覆う領域が樹脂材料で形成され、他の領域が紙材質で形成されているとよい。
上記メモリには、音声通信の許容通話時間が記憶され、制御部は、許容通話時間を超える音声通信を行わせないように通信部を制御するとよい。
上記課題を解決するために本発明にかかる通信システムの代表的な構成は、2つの携帯端末装置を有し、両端末間で音声通信を行う通信システムであって、2つの携帯端末装置は、それぞれ、1次電池と、相手方の通信先アドレスを予め記憶するメモリと、非破壊交換不可能に1次電池およびメモリを内包する筐体と、通信先アドレスに対する音声通信を行う通信部と、音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部と、操作部の操作に基づき、通信部を制御する制御部と、音声通信に際して、通信部により送出する音声を入力する音声入力部と、音声通信にて通信部により取得した音声を出力する音声出力部と、を備えることを特徴とする。
当該通信システムは、2つの携帯端末装置が音声通信を行う際に仲介する管理サーバをさらに備え、管理サーバは、予め支払われた料金に応じて定められる、2つの携帯端末間の音声通信の許容通話時間を記憶しており、当該許容通話時間に2つの携帯端末間の音声通信の経過時間が達すると、当該音声通信を終了させるとよい。
上記管理サーバは、2つの携帯端末装置のそれぞれについて、一方への着呼を、他方からの着呼のみに制限するとよい。
なお、上述した携帯端末装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該通信システムにも適用可能である。
本発明によれば、双方向に一時的なコンタクトを取ることができる全く新しいコミュニケーションツールを担う携帯端末装置、およびこれを用いた通信システムを提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略するとともに、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
[第1実施形態]
(携帯端末ユニット100、携帯端末装置102)
以下、本発明にかかる第1の実施形態について説明する。図1は携帯端末ユニット100の外観を示す図であり、特に図1(a)は携帯端末ユニット100の表側の外観を示す図、図1(b)は携帯端末ユニット100の裏側の外観を示す図である。図2は携帯端末ユニット100の折りたたみについて説明する図であり、特に図2(a)は紙外装114を折り返す状態を示す図、図2(b)は携帯端末ユニット100を折りたたんだ状態を示す図である。図3は携帯端末ユニット100の分離について説明する図であり、特に図3(a)は携帯端末ユニット100の分離前の状態を示す図、図3(b)は携帯端末ユニット100の分離後の状態を示す図である。図1〜図3に示すように、携帯端末ユニット100は対となる2つの携帯端末装置102からなり、これらは分離可能に接合されている。
(携帯端末ユニット100、携帯端末装置102)
以下、本発明にかかる第1の実施形態について説明する。図1は携帯端末ユニット100の外観を示す図であり、特に図1(a)は携帯端末ユニット100の表側の外観を示す図、図1(b)は携帯端末ユニット100の裏側の外観を示す図である。図2は携帯端末ユニット100の折りたたみについて説明する図であり、特に図2(a)は紙外装114を折り返す状態を示す図、図2(b)は携帯端末ユニット100を折りたたんだ状態を示す図である。図3は携帯端末ユニット100の分離について説明する図であり、特に図3(a)は携帯端末ユニット100の分離前の状態を示す図、図3(b)は携帯端末ユニット100の分離後の状態を示す図である。図1〜図3に示すように、携帯端末ユニット100は対となる2つの携帯端末装置102からなり、これらは分離可能に接合されている。
図4は携帯端末装置102の分解斜視図、図5は携帯端末装置102の概略的なハードウェア構成を示す機能ブロック図である。図4、図5に示すように、携帯端末装置102は、それぞれ、筐体としての外装110(非紙外装112、紙外装114)、1次電池120、基板130、制御部132、メモリ134、通信部136、操作部140(メタルドームスイッチ140a)、LED表示部142(光透過部142a、LED142b)、音声入力部150、音声出力部152を包含する。すなわち、かかる携帯端末装置102は、駆動電力が1次電池120より供給される使い切りの端末である。以下、図1〜図5を参照しながら、携帯端末ユニット100および携帯端末装置102について詳細に説明する。
図1に示すように、外装110は、プラスチックなどの樹脂材料からなる非紙外装112と紙材質の紙外装114より構成される。かかる外装110の表面は少なくとも一部の領域がマット仕上げであって、鉛筆でも簡単に文字を書き込めるようになっている。特に、紙外装114は当然マットな表皮となり、文字を書き込むのに好適であるとともに、原価が安く、端末価格を削減し得る効果も奏する。本実施形態では、紙外装114の上部に、1次電池120の満蓄時の容量にて音声通信を行うことができる許容通話時間の目安となる数値が表記される。なお、図1(a)では音声通信可能な時間が5分と表記(印刷)されているが、かかる例に限定される訳ではなく、内蔵される1次電池120の容量(電池の種類や数)に応じて表記される数字は適宜変更される。1分の通話が可能な容量の電池であれば、数字は「1」が、その5倍の容量の電池であれば「5」が記載される。なお、この1分、5分は予め支払った通話料金にも対応する。
後述する1次電池120や制御部132は非紙外装112に収容されており、紙外装114には音声入力部150だけが配置されている。また、図1(a)に示すように、通話機能として携帯端末ユニット100の外見に表れているのは1つのスイッチである操作部140、音声入力部150、音声出力部152、LED表示部142のみであって、画像を表示する液晶などの表示部や、数字や文字を入力するテンキーその他の各種スイッチ、ケーブルを接続するためのコネクタ端子などは設けられていない。そして、図1(b)に示すように、背面側にも一切の装置が設けられていない。これは、携帯端末ユニット100(携帯端末装置102)は、使い切りの端末であるので、端末価格が重要な要因となるためである。
なお、非紙外装112の上部には、ストラップ穴112aが形成される。これにより、ストラップ穴112aにつり紐をくっつけて、鞄やキーケース等に取り付けることができる。
図2に示すように、非紙外装112と紙外装114は、その接合部近傍において折りたたみ可能に構成されている。これにより、携帯端末ユニット100をコンパクト化して持ち運びやすくすることができ、また小さなパッケージに収容して販売することも可能となる。その上、折りたたまれた状態では、非紙外装112と紙外装114が重ねあわせられるので、操作部140が不用意に押されることを防止したり、音声入力部150や音声出力部152に埃が侵入することを防止したりする効果も奏する。なお、紙外装114の非紙外装112近傍に幅の狭い部分を設けて、折りたたみやすいようにすると好ましい。
図3に示すように、対となる2つの携帯端末装置102は、紙外装114で互いに分離可能に接合される。詳細には、接合部分にはミシン目116がいれられていて、図3(a)に示すように、互いの携帯端末装置102を引き離すように引っ張ることで、図3(b)に示すように簡単に分離することができるようになっている。
図4に示すように、非紙外装112と紙外装114は、接着剤等により双方が接する接着部118にて接着される。また、外装110の内部には、1次電池120、基板130等が内蔵される。換言すれば、携帯端末装置110は、外装110と、1次電池120と、他の部品(基板130および基板130に取り付けられた部品)とに分解可能である。なお、図4では、外装110を上方の外装110aと下方の外装110bに分解して図示しているが、これは理解を容易とするための例示に過ぎず、実際にこのように分解されるわけではない。また、外装110a、110bは小型化するためにネジ止めよりも周辺を接着することが好ましいが、その場合は分解しやすくするために接着していない部分を設けておくことが好ましい。そのようにすれば、接着していない部分から板状の治具を差し込んで、容易に剥離させることができる。
ただし、非紙外装112に関しては、再利用可能な状態で分解されないように構成することが望ましい。上述したように「外装110は分解可能」とは記した。しかしながら、一般ユーザには分解可能とせず、前述の専用の治具を有する専用業者、あるいはメーカーによる工程を経なければ分解不可能とすることが好ましい。そして、非紙外装112に関しては、その貼り付け面に対する厚さ自体を薄く構成し、接着剤による接着を剥離する際に必ず破損してしまう程度の強度に構成することが好ましい。その上で、例えば、1次電池120の固定に対して、その基板130の電池接点(不図示)に対する位置決めを、非紙外装112内部で行うように構成する。これにより、不正に改造しようと1次電池120を新たに用意し、非紙外装112を剥離しようとしても非紙外装112が破損してしまうため、1次電池120の正確な位置決め固定ができず、基板130への通電ができない。すなわち、稼動可能な状態に復元することはできなくすることができる。なお、業者によりリサイクルする際には、新たな非紙外装112の部品を用意し、メモリ134を更新した基板130の動作確認を行った上で新たな1次電池120とともに、基板130を再度封止することになる。
また、非紙外装112自体を低温低圧成形にて得てもよい。すなわち、通常使用で生じる温度以上、半田が溶融する温度未満の特定温度で溶融するPOM(ポリオキシメチレン・ポリアセタール樹脂)材料などを、基板130に一通りの部品を実装した状態で金型内にセットし、溶融した上記樹脂を、部品およびその実装状態を破壊しない程度の圧力にて金型内に樹脂注入することにより、非紙外装112を形成してもよい。これにより、一般ユーザからは非紙外装112を剥離することを困難なものとすることができ、不正な改造を防止できる。そして、リサイクル時には、非紙外装112に上記特定温度を加えることで樹脂を融解させることで、容易に基板130を非破壊状態で得ることができ、その後、必要な部品の交換、チェックを行った上で、再度低温低圧成形により容易に非紙外装112を形成する。また、低温低圧成形で形成される樹脂は、元来軟質の材料であるため、メタルドームスイッチ140aの押圧ストローク程度の変形は許容しうるため、予め非紙外装112の金型に、メタルドームスイッチ140aを受け入れて少しあまる程度の凹形状を与えておけば、低温低圧成形後には凸形状を有した操作部140を得ることができる。
以下、図4、図5を参照しながら説明する。1次電池120は、放電のみが可能(充電不可能)な電池であり、マンガン電池、アルカリ電池、オキシ水酸化ニッケル電池、リチウム電池、アルカリ・ボタン電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等が挙げられる。かかる1次電池120では、携帯電話等に汎用されてきたリチウムイオン電池(2次電池)と比して、価格を大幅に抑えられる。
1次電池120は、ユーザから非破壊では交換不可能に携帯端末装置102に内蔵される。詳細には、いわゆる電池蓋が設けられず、ユーザが非紙外装112を分解することができなくなっている(仮に分解すれば破壊になる)。そして、1次電池120は、電極122と当接して電力を供給する。そのため、携帯端末装置102は、外装110に表記された許容通話時間のみ通話することができ、それ以上の(電池が切れた後の)通話は制限される。
従来のプリペイド式の携帯端末装置では、支払った料金の分だけ通話ができるとしても、装置自体は継続的に使用することを想定していたから、高価で大容量の二次電池(リチウムイオン電池)や、充放電コントローラなどが必要であった。しかし、本実施形態にかかる携帯端末装置102は、上述したように1次電池120により通話可能な時間が制限されるので、そのような電池や回路を搭載する必要がなく、その分の価格を削減することができる。
基板130は、フレキシブル基板であり、制御部132、メモリ134、通信部136、メタルドームスイッチ140a、LED142b、音声入力部150、音声出力部152などが実装される。音声入力部150は、基板130に対して細い配線で接続されており、紙外装114の先端に配置される。なお、上述したように携帯端末装置102はその価格が重要な要因となるので、比較的価格の安いリジッド基板を用いると好適である。この場合には、紙外装114と非紙外装112との境界部分内には、細い配線のみが存在することとなるため、極力折りたたみを阻害しない。一方、基板130をフレキシブル基板にて構成した場合には、端部から延長された延長部を形成して、その先端に音声入力部150を半田付けにて実装することができる。すなわち、この場合には、音声入力部150を他の部品と同時にリフローにて実装することができるため、この構成であっても低コストで得ることができる。いずれの構成であっても、紙外装114と非紙外装112との境界部分内には、細い配線、あるいはフレキシブル基板(基板130)の細く形成された延長部のみが存在することとなるため、極力折り畳みを阻害しないようにすることができる。また、紙外装114が、紙であるがゆえに撓み、変形しても、これに対応して変形することができ、破損を回避できる。
制御部132は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路で構成され、操作部140の操作に基づき通信部136を制御する。かかるCPUとしては、高速のものを用いる必要などなく、価格の安い必要最低限のもので対応可能である。すなわち近年は、ブラウザやゲームなどのアプリケーションを動作させたり、カメラにて撮影した画像を処理したりするために、ますます高速なCPUが用いられるようになってきている。しかし本実施形態の構成では、操作部140が押されたことの検知と、通信部136に対してセレクト信号やわずかな通信制御コマンドを送信する程度のことしかしないため、低速で簡易なCPUで足りる。したがって制御部132には、安価で小型なLSI(Large Scale Integratio)を用いることができる。
また、制御部132は、メモリ134に記憶された許容通話時間とその携帯端末装置102の累積の通話時間に基づいて通話を制限する。これは、交換不可能に内蔵された1次電池120が、何らかの手法(改造)により交換されてしまったことを想定したものであり、かかる制限を設けることで不正使用を防止することが可能となる。
メモリ134は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ等で構成され、ミシン目116で接合される相手方の携帯端末装置102の通信先アドレス(単一の通信先アドレス)をユーザから書換不可能に予め記憶する。換言すれば、携帯端末装置102は、対になっている相手方の端末とのみ音声通信することができる通信先(相手)を限定した端末である。また、メモリ134には、上述した許容通話時間と累積の通話時間も記憶される。
なお、通信先アドレスを書換不可能としているのは、新しい電話番号を入力するテンキー等がないことによる。また本実施形態ではケーブルを接続するコネクタ端子も設けていないので、電気的に接続して書き込むこともできなくなっている。ただし、後述するように再使用(リサイクル)するため、ユーザからは書換不可能であっても、事業者によれば書換可能にする必要がある。そこで、外装を取り除くことにより、通信先アドレスを書き換えられるようにすることが好ましい。具体例としては、基板130の上に端子に代えてランドを設けておき、事業者側ではこのランドにケーブルを接続してメモリ134に対して入出力して、通信先アドレスを書き換えられるようにすることができる。
ところで、携帯端末装置102の実用化に際しては、現時点で整備が進んでいる携帯電話やPHSのインフラを用いることが考えられる。このような場合には、上記通信先アドレスとしては、相手方の端末の電話番号が記憶されることとなる。特に、PHSは消費電力が小さいことや、通信チップが安価に製造できることなどから好適である。
通信部136は、アンテナやLSI等から構成され、CDMA(携帯電話)やTDMA/TDD(PHS、GSM)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信方式を通じて基地局138との無線通信を確立し、メモリ134に記憶された通信先アドレスに対して音声通信する。
なお、携帯電話等のインフラを利用する場合には、携帯端末装置102にもそれぞれ固有の電話番号がふられるため、間違い電話等がかかってくる可能性がある。このような間違い電話においても携帯端末装置102の1次電池120は消費されるため、制御部132は、通信部136により着呼が検出された場合、メモリ134に記憶された通信先アドレスからの着呼の場合にのみ音声通話開始可能とする。すなわち、間違い電話などにより登録外の電話番号による呼び出しがネットワーク側から発生しても、これに応答せず着信報知のルーチンに移行しない、あるいは着信拒否の動作を行う。
操作部140は、メタルドームスイッチ140aを有する押圧式のスイッチであり、かかるスイッチの押圧により音声通信の開始または終了が指示される。なお、本実施形態では操作部140として単一のスイッチボタンを設けているが、完全に1次電池120を分断する電源スイッチや、電池残量確認ボタンなど、追加のスイッチを設けても良い。
LED表示部142は、光透過性の透明または半透明のプラスチック部材で形成される光透過部142aと、LED142bから構成される。かかるLED表示部142は、LED142bの点灯や点滅を光透過部142aを介してユーザに伝えることで、1次電池120の残量を表示する。LED142bの点滅の態様としてはユーザが識別可能であればよく、特に限定されることはない。
なお、LED142bを常時点灯させておくと1次電池120が消耗してしまうため、所定のタイミングでのみ点灯等させることが好ましい。具体的には、操作部140を押したときに、通話を開始する処理をすると共に、LED142bを点灯等させて電池残量の確認をさせてもよい。また、基板130上の表示部142の近傍にメタルドームスイッチを面実装しておき、外装110aを押してたわませてスイッチを入れて、点灯等をさせてもよい。
音声入力部150は、マイク等の音声入力手段で構成され、音声通信に際して通信部136により送出するユーザの音声を入力し、入力された音声を携帯端末装置102内で処理可能な電気信号に変換する。
音声出力部152は、スピーカで構成され、音声通信にて通信部136が受信した通信先からの音声信号を音声に変えてを出力する。また、着信音等を出力可能としてもよい。
以上、携帯端末ユニット100、携帯端末装置102の構成について説明した。上述したように、携帯端末装置102は、メモリ134に記憶された単一の通信先アドレス(対になっている端末)と限られた時間のみ音声通信することができる使い切りの端末である。かかる携帯端末装置102は、プラスチックや紙などで形成される外装110と、1次電池120と、簡易な制御部132と、メモリ134と、通信部136と、操作部140と、音声入力部150と、音声出力部152さえ備えていればよい。すなわち、一般的な携帯電話に備えられているような液晶表示部、アプリケーション用の高速なCPU、大容量のRAMやROM、大容量の二次電池や充放電コントローラ、テンキーなど数多くのスイッチ、外部メモリを着脱するためのスロット、ケーブルを接続するためのコネクタなど、ほとんどの部品を省略することができる。そのため、端末価格を極めて安価にすることが可能である。
図6は、携帯端末ユニット100の使用態様について説明する図である。特に、図6(a)〜図6(c)は、携帯端末ユニット100の使用態様を例示する図である。
携帯端末ユニット100の使用態様としては、当然ながら2つの携帯端末装置102に分離して、一方を自ら持ち、他方を通信したい相手に渡すことが想定される。相手に他方の携帯端末装置102を渡す方法としては、図6(a)に示すように、相手の住所を携帯端末装置102の外装110(特に紙外装114の表面)に記載して切手を貼り、郵送することができる。また、図6(b)に示すように、資料や手紙とともに携帯端末装置102を同封し、郵送してもよい。
さらに、図6(c)に示すように、相手に名刺の代わりとして、紙外装114に名刺に必要事項を印刷の上で携帯端末装置102を直接配ってもよい。携帯端末装置102は使い切りの端末であり、しかも電話番号を非公開とできるので、このように配っても、個人情報のリークやストーカー被害等の弊害が生じることはない。
図7は、携帯端末装置102の流通プロセスについて説明する図である。図7に示すように、まず、携帯端末ユニット100(対となる2つの携帯端末装置102)はメーカーで製造され、通信事業者へと販売される。そして、通信事業者が携帯端末ユニット100をユーザAへと販売する。ユーザAは、携帯端末ユニット100を分離して、2つの携帯端末装置102のうち一方を通信したい相手(ユーザB)に渡す。これより、対となる端末同士で許容通話時間の通話が可能である。
許容通話時間に達し、使えなくなった携帯端末装置102は、通信事業者に回収される。具体的な、回収方法としては、回収ポストを設置したり、購入金の一部を返納する保証金制度(デポジット)を設けたりするとよい。そして、回収された携帯端末装置102はメーカーあるいは専門業者に引き渡され、メモリ134の通信先アドレスが書き換えられ、1次電池120が交換されて再使用(リサイクル)される。上述したように携帯端末装置102は、外装110を取り除くだけで、極めて容易にこれらを行うことができる。その後、新たな外装110を取り付けることとなる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。上述した携帯端末ユニット100、携帯端末装置102によれば、ユーザに一層選択の幅を与える新しいコミュニケーションツールを実現することができる。
なお、携帯端末装置102は、原則的に1次電池120の容量により、許容通話時間が決定される。しかし、電池を回路に接続しておくと、電源が入っていなくても回路のインピーダンスによって電力が消費されてしまうから、1次電池120は時間の経過にしたがってその電力を放電してしまう。そこで、これに対する対策の一例を、以下に示す。
図8は、1次電池120の使用態様について例示する図である。特に、図8(a)は1次電池120および絶縁シート124について説明する図、図8(b)は携帯端末装置102への電力供給について説明する図である。
図8(a)に示すように、ここでは携帯端末装置102製造時に1次電池120と電極122の間に非導電性の絶縁シート124を配置する。そして、図8(b)に示すように、ユーザが携帯端末装置102を利用する時点で絶縁シート124を抜去させ、1次電池120から電力を供給するようにする。これにより、1次電池120の放電を防止して、許容通話時間分通話を確実に行うことができる。
なお、絶縁シート124を備える携帯端末装置102で相手方と通話するには、双方の端末で絶縁シート124が抜去されている必要がある。そこで、このような場合には、通信したい相手に携帯端末装置102を渡す時点で抜去したり、その外装110に絶縁シート124を抜去する日時を書き込むようにしたりするとよい。
[第2実施形態]
(通信システム200)
以下、本発明にかかる第2の実施形態について説明する。図9は、通信システム200について説明する図である。通信システム200は、複数の携帯端末装置102と、基地局138と、通信網210と、管理サーバ202を包含する。なお、図9では理解を容易にするために、複数の携帯端末装置102のうち対となる2つの端末を図示している。
(通信システム200)
以下、本発明にかかる第2の実施形態について説明する。図9は、通信システム200について説明する図である。通信システム200は、複数の携帯端末装置102と、基地局138と、通信網210と、管理サーバ202を包含する。なお、図9では理解を容易にするために、複数の携帯端末装置102のうち対となる2つの端末を図示している。
第2実施形態では第1実施形態と異なり、1次電池120の満蓄時の容量ではなく、予め支払われた料金に応じて携帯端末ユニット100(対となる2つの端末)ごとに許容通話時間が定められる。そのため、1次電池120の容量も予め多めに設定されている。なお、携帯端末ユニット100および携帯端末装置102については第1実施形態で説明したので、同一の符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、対となる2つの携帯端末装置102は、基地局138に無線接続し、通信網210および管理サーバ202を介して音声通信する。かかる通信網210は、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される。管理サーバ202は、それぞれの携帯端末装置102への着呼を相手方からのみに制限する。これにより、それぞれの端末の通信部136でかかる制限をかけるようにせずとも、間違い電話等による1次電池120の消費を防止することができる。また、管理サーバ202には許容時間テーブル202aが備えられる。
図10は、管理サーバ202の許容時間テーブル202aについて説明する図である。図10に示すように、許容時間テーブル202aには携帯端末ユニット100ごとに、予め支払われた料金に応じて定められた許容通話時間と累積の通話時間が記憶される。管理サーバ202は、この許容時間テーブル202aを参照して、それぞれの許容通話時間と累積の通話時間を比較し、累積の通話時間が許容通話時間を超える場合に通話に制限をかける。すなわち、通信を終了させる。
図11は許容時間テーブル202aへ許容通話時間を入力する前後のプロセスを説明する図である。許容時間テーブル202aへの許容通話時間の入力は、ユーザへ携帯端末ユニット100を販売する時に行われる。詳述すると、ユーザが携帯端末ユニット100を購入する際に、端末料金に加えて、通信料金を徴収する(S302)。そして、支払われた通信料金に応じて許容通話時間が定められ(S304)、許容時間テーブル202aに入力される(S306)。許容時間テーブル202aに入力された許容通話時間は、携帯端末ユニット100のそれぞれの携帯端末装置102の外装に表記される(S308)。表記方法としては、シールを貼り付けてもよいし、数字のスタンプを押してもよいし、文字を書き込んでもよい。上述したように、本実施形態の1次電池120の容量は予め多めに設定されているため、この携帯端末ユニット100は、表記された許容通話時間分確実に通話を行うことができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。上述した通信システム200によれば、管理サーバ202が携帯端末装置102の許容通話時間などを管理するので、安い端末価格を維持しつつ不正使用の防止や信頼性の向上(許容通話時間分の確実な通話保証)を図ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。また、第1実施形態および第2実施形態を適宜組み合わせてもよい。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、音声通信する通信部を備える携帯端末装置、およびこれを用いた通信システムに利用することができる。
100…携帯端末ユニット、102…携帯端末装置、110…外装(筐体)、112…非紙外装、114…紙外装、116…ミシン目、118…接着部、120…1次電池、122…電極、124…絶縁シート、130…基板、132…制御部、134…メモリ、136…通信部、138…基地局、140…操作部、142…LED表示部、142a…光透過部、142b…LED、150…音声入力部、152…音声出力部、200…通信システム、202…管理サーバ、202a…許容時間テーブル、210…通信網
Claims (12)
- 1次電池と、
非破壊交換不可能に前記1次電池を内包する筐体と、
音声通信を行う通信部と、
前記音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部と、
前記操作部の操作に基づき、前記通信部を制御する制御部と、
前記音声通信に際して、前記通信部により送出する音声を入力する音声入力部と、
前記音声通信にて前記通信部により取得した音声を出力する音声出力部と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。 - 単一の通信先アドレスが予め記憶されており、非破壊交換不可能に前記筐体に内包されるメモリをさらに備え、
前記制御部は、前記操作部の操作に基づき、前記通信先アドレスに対する前記音声通信を開始するように前記通信部を制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。 - 前記筐体は、自装置の呼び出しアドレスに対する前記音声通信を可能とする他の携帯端末装置と分離可能に接合されていることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
- 前記制御部は、前記通信部により着呼が検出された場合、前記通信先アドレスからの着呼の場合にのみ音声通話開始可能とすることを特徴とする請求項2または3に記載の携帯端末装置。
- 前記筐体の外表面には、前記1次電池の容量によって前記音声通信を行うことができる許容通話時間の目安となる数値が表記されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
- 前記筐体の外表面の少なくとも一部の領域が、マット仕上げであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
- 前記筐体の少なくとも一部が紙材質で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
- 前記筐体は、少なくとも前記1次電池、前記通信部、前記制御部、前記メモリを覆う領域が樹脂材料で形成され、他の領域が紙材質で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の携帯端末装置。
- 前記メモリには、前記音声通信の許容通話時間が記憶され、
前記制御部は、前記許容通話時間を超える前記音声通信を行わせないように前記通信部を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の携帯端末装置。 - 2つの携帯端末装置を有し、両端末間で音声通信を行う通信システムであって、
前記2つの携帯端末装置は、それぞれ、
1次電池と、
相手方の通信先アドレスを予め記憶するメモリと、
非破壊交換不可能に前記1次電池および前記メモリを内包する筐体と、
前記通信先アドレスに対する音声通信を行う通信部と、
前記音声通信の開始または終了の少なくとも一方を指示可能な操作部と、
前記操作部の操作に基づき、前記通信部を制御する制御部と、
前記音声通信に際して、前記通信部により送出する音声を入力する音声入力部と、
前記音声通信にて前記通信部により取得した音声を出力する音声出力部と、
を備えることを特徴とする通信システム。 - 前記2つの携帯端末装置が前記音声通信を行う際に仲介する管理サーバをさらに備え、
前記管理サーバは、予め支払われた料金に応じて定められる、前記2つの携帯端末間の前記音声通信の許容通話時間を記憶しており、当該許容通話時間に前記2つの携帯端末間の音声通信の経過時間が達すると、当該音声通信を終了させることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。 - 前記管理サーバは、前記2つの携帯端末装置のそれぞれについて、一方への着呼を、他方からの着呼のみに制限することを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
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