JP2011049436A - 巻取り式電子ビーム真空蒸着法を用いた積層セラミックコンデンサー及びその製造方法。 - Google Patents

巻取り式電子ビーム真空蒸着法を用いた積層セラミックコンデンサー及びその製造方法。 Download PDF

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Kazuyoshi Otsubo
大坪和義
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A & O Engineering Kk
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A & O Engineering Kk
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Abstract

【課題】積層セラミックコンデンサーの大エネルギー容量化
【解決手段】本発明では積層セラミックコンデンサーの誘電膜作成を、巻取り式電子ビー
ム真空蒸着法を用いて作成し、誘電膜蒸着時に、アイドラーと接する電極の蒸着部の
温度を所定の温度に設定することで、結晶性の最適化をおこない、高誘電率で高耐電圧
の誘電膜を高能率で作成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、巻取り式電子ビーム真空蒸着法を用いた積層セラミックコンデンサー及び
その製造方法に関するものである。
近年、積層セラミックコンデンサーは積層率の改善により小型化が進み、携帯電話等
の電子機器の発展に大きく寄与している。
同時に、積層セラミックコンデンサーの積層率の改善は、大静電容量化も可能にし電
解コンデンサーとの置き換えも進展しつつある。
しかるに積層セラミックコンデンサーのエネルギー容量をさらに改善し、2次電池同
等のエネルギー容量を獲得し、電気自動車等の蓄電システムとして使用可能にするため
には、1:積層電極の高積層率化と電極の大表面積化、2:積層電極の高誘電率と高耐
電圧の確保、以上の2点を達成する事が必要である。
特開2003−301260号公報
絶縁・誘電セラミックスの応用技術(シーエムシー出版) 誘電体物性(倍風館)
しかしながら、既存の積層セラミックコンデンサーはドクターブレード法等でグリー
ンシートを作成し、その後積層され焼結する方法で作成されている。
この製法では、1枚が大表面積をもつ電極を作成することは困難である。またこの製
法では、焼結時に気孔が発生しやすく、この気孔発生が誘電率と耐電圧の低下を引き起
こす原因となっている。
本発明ではこの問題を、巻取り式電子ビーム真空蒸着法を用いた製法で改善する。
巻取り式電子ビーム真空蒸着法は誘電膜を高速、高精度で電極に蒸着することが可能
で大表面積の誘電膜蒸着電極を高能率で作成できる。
また巻取り式電子ビーム真空蒸着法は誘電膜を電極に直接蒸着するため気孔発生は原
理的に少ない。即ち誘電率及び耐電圧の改善が可能になる。
しかしながら、高誘電率と高耐圧の獲得には誘電膜を作成時に誘電膜の結晶性を最適
化するという、課題がある。
この結晶性の最適化には、本発明の電極の蒸着部の温度の制御が有効である。
本発明では、誘電率及び耐電圧特性の改善に必要な結晶性の最適化を行うため、誘電
膜の蒸着時に、アイドラーと接する電極の蒸着部分の温度を、所定の温度に設定できる
メカニズムとした。こうする事で電極の蒸着部温度を制御し、結晶性の最適化を可能に
した。
本発明によれば、巻取り式電子ビーム真空蒸着法を使用して、大表面積の誘電膜蒸着
電極を、高精度で短時間に作成できる。
本発明によれば、蒸着された誘電膜の結晶性の最適化が可能で高誘電率で高耐電圧の
誘電膜蒸着電極の作成ができる。
本発明によれば、蒸着部の温度が低減でき、その結果、電極材料として安価な銅及び
アルミニウムの使用が可能になる。
本発明によれば、大エネルギー容量で低価格の積層セラミックコンデンサーの作成が
可能になる。
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法の実施方法を示した説明図である。 本発明の積層セラミックコンデンサーの平面図である。 本発明の積層セラミックコンデンサーの断面図である。 本発明の製造工程を説明したフローチャートである。
以下本発明の巻取り式電子ビーム真空蒸着法を用いた積層セラミックコンデンサーの
製造方法に関して、一実施例を説明する。
図1において、真空蒸着装置内は排気口3から排気され高い真空度が保たれている。
電子銃12で発生した電子は電子銃内で収束され、加速される。その後電子は電子銃
12の出口に装着されている偏向コイル13により高周波で偏向される。
偏向コイル13で偏向された電子ビームはルツボ11に照射されルツボ11内の誘電
材料にエネルギーを与える。そのエネルギーで誘電材料を蒸発気化させる。
蒸発した誘電材料は対面するアイドラー10に接した電極面に凝着する。この時蒸着
膜厚さは誘電材料の蒸発量に比例する。即ち電子ビームのエネルギー出力に比例する。
電子ビームのエネルギー出力は電子銃の電極電圧調整で精密に調整可能であり、蒸着膜
厚さの制御ができる。
このように、電子ビーム真空蒸着法によれば高精度の誘電膜作成の厚さの制御ができ
成膜後の表面粗さの精度はナノオーダーのRmaxを獲得する事ができる。即ち、成膜
後の電極は高密度で積層に必要な表面粗さ精度の達成が可能となる。
一方、電極供給ローラー4に巻き付けられた電極5の薄肉シートはガイド6を介して
アイドラー10に送られ、アイドラー10に接する部分に誘電材料を蒸着されその後、
電極巻取りローラー1に巻き取られる。
電極供給ローラー4、アイドラー10及び電極巻取りローラー1はそれぞれ赤外線ヒ
ーター2で加熱及びその中心に配置された水管14で冷却され、温度制御されている。
以下その詳細を説明する。
誘電膜蒸着前の電極5は電極供給ローラー4でヒーター2によって蒸着設定温度に温
められ、ガイド6を介しアイドラー10に送られ誘電材料を蒸着される。
アイドラー10は電極と接する表面を電極の蒸着設定温度までヒーター2で温められ
ている。同時に内部の水管14によりアイドラー10は冷却されている。
ヒーター2から与えられる熱量と水管14で吸収される熱量が等しいときにアイドラ
―10の表面温度は一定に保たれる。即ち電極のローラー10に接する部分の温度も一
定に保たれる。
しかるに、電極に誘電膜が蒸着されると凝固熱が発生し電極の温度が上昇する。この
温度上昇を抑える為に、ヒーター2から与えられる熱量を減少させて、アイドラー10
に流入するトータル熱量を凝固熱の発生がない時と同量にする。
このように熱交換を制御することにより、電極の蒸着部温度を所定の温度に設定でき
る。また凝着熱の変化等による蒸着部温度の変動にたいしては温度センサー7、8によ
り誘電膜蒸着前と後の電極温度及びアイドラー10の温度データーを取得し、前述と同
様の方法でヒーター加熱量を制御することで、蒸着部の温度を所定の温度に保つことが
できる。
誘電膜の膜厚さは、厚みセンサー9で測定され、電子銃の出力設定にフィードバック
されることで、前述したように高精度に蒸着膜厚さを制御できる。
以上のように構成したことにより、本発明の巻取り式電子ビーム真空蒸着装法は誘電
膜の結晶性の最適化が可能で、高誘電率で高耐圧な誘電膜の作成ができる。同時に表面
粗さの高精度化も可能であり、高い積層率の積層電極の作成ができる。
<構造>
次に本発明の積層セラミックコンデンサーの組立て法及び構造を説明する。
巻取り式電子ビーム真空蒸着装置で誘電膜を蒸着された電極のロールシートはプレス
にて打ち抜かれる。
このとき、陽電極と陰電極は非対称形状の端子部17を持った形状にプレス成形され
る。その後射出成形金型内で陽電極と陰電極は交互に積層され、積層電極16を構成す
る。
積層電極16は金型からの型締め圧力で各々の蒸着電極は隙間なく密着している。即
ち、電極に誘電膜を蒸着した表面精度が巻き取り式電子ビーム真空蒸着法を用いナノオ
ーダーに保たれており、蒸着電極を積層し面圧力を加えることで、積層電極の隙間をな
くすことが出来る。
このとき、型締めによる面圧力が衝撃的に加わると蒸着された誘電膜にクラックが発
生する為、下型にスプリングを用いた衝撃吸収メカニズムを使用する。
以上のように積層された積層電極16はその後、射出成形にてポリカーボネイト等の
材料で外装ケース15を成形される。外装ケースの材料の選択は強度、耐熱性、耐侯性
等の諸条件を満足する材料が選定される。
積層電極は射出成形で外装ケースを成形された後で、端子部の端面を半田付けされ外
部への出力が可能な最終形態となる。
<材料>
本発明に使用される材料は、蒸着部の温度が低い温度に設定できるため、電極材料と
として銅またはアルミニウムが使用できる。
誘電材料は主材料としてチタン酸バリウム(BTiO3)を使用する。添加材料として
は、Sr、Ca、Zr、Y、Sc、Mg、Mn、Co、Fe、Si、B、Bi、Nb、
Ta、V、から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を添加して使用する。
<製造工程フローチャート>
次に製造工程に関して図4の製造工程フローチャートに従って説明をくわえる。1電
極洗浄工程ではシート状電極を弱酸性液体で洗浄後さらに水洗し電極表面から不純物の
付着を除去しその後乾燥する。
2誘電膜蒸着工程では前述にて詳細を説明したように誘電膜を高精度に蒸着する。3
熱処理工程では蒸着電極の特性を均質にする為に、所定の温度条件にてアニーリングを
おこなう。
4電極洗浄工程では熱処理後の蒸着電極を水洗で洗浄し異物の付着を除去し、その後
蒸着電極を乾燥する。
5プレス工程ではロール状の蒸着電極が出力端子を持つ矩形形状に打ち抜かれる。
6インサート成形工程では打ち抜かれた蒸着電極を金型内で積層しその後、外装ケー
スを射出成形する。7端子半田工程では射出成形された積層電極の端子部の端面が半田
付けされ、外部端子と接続可能な形態となる。
8耐圧エージング工程では所定(定格の2倍以上)の電圧で充放電のエージングを行
い、誘電膜の耐電圧チェック及び初期化を行う。9特性検査工程では、静電容量、絶縁
抵抗、Q値等の特性値のデータを取得し、SPEC判定をおこなう。
10外観検査工程では外観をチェックしシリアルシールを貼付し完成品とする。
本発明の積層セラミックコンデンサーを使用した蓄電システムは、無停電電源装置(
UPS)及び電気自動車のエネルギー回生用途に使用でき、さらには電気自動車用及び
太陽光発電等の自然エネルギーの蓄電システムとしても利用できる。
1 電極巻取りローラー
2 赤外線ヒーター
3 排気口
4 電極供給ローラー
5 電極
6 ガイド
7 温度センサー
8 温度センサー
9 厚みセンサー
10 アイドラー
11 ルツボ
12 電子銃
13 偏向コイル
14 水管
15 外装ケース
16 積層電極
17 端子部

Claims (6)

  1. 巻取り式電子ビーム真空蒸着法において、少なくともアイドラーと接する電極の
    蒸着部の温度を所定の温度に設定する工程と、前記の箇所で誘電膜を蒸着する工程を
    含むことを特徴とする積層セラミックコンデンサーの製造方法。
  2. 請求項1の製造方法で製造された積層セラミックコンデンサー
  3. 請求項1の製造方法で製造された、電極1枚あたりの表面積が100cm以上
    である積層セラミックコンデンサー。
  4. 請求項1の製造方法において電極の誘電膜蒸着部分の温度が550℃から650℃
    の設定で作成された積層セラミックコンデンサー。
  5. 請求項1の製造方法で製造される積層セラミックコンデンサーの電極材料として、
    銅もしくはアルミニウムを使用した積層セラミックコンデンサー。
  6. 請求項1の製造方法で製造される積層セラミックコンデンサー電極の誘電膜の
    主材料として、チタン酸バリウム(BTiO3)、
    添加物として、Sr、Ca、Zr、Y、Sc、Mg、Mn、
    Co、Fe、Si、B、Bi、Nb、Ta、V、から選ばれた少なくとも1種を
    含む化合物を使用した積層セラミックコンデンサー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012023406A1 (ja) * 2010-08-18 2012-02-23 株式会社村田製作所 積層セラミック電子部品
JP2013154315A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Ricoh Co Ltd 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気−機械変換素子、液体吐出ヘッド、およびインクジェット記録装置

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