JP2011048151A - 定着装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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義之 水藻
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Abstract

【課題】定着回転体に加圧ベルトを介して押圧部材が圧接する構成の定着装置において、押圧部材の軸方向の圧接力を均一にする。また、定着回転体と加圧回転体とのニップ部の長さを調整可能とする
【解決手段】通気孔736で互いに連通している空気室735に圧縮空気を供給し、ピストン733で押圧部材72を定着ローラ6の方向に付勢し、加圧ベルト71を介して押圧部材72を定着ローラ6に圧接させる。ここで、コンプレッサCをさらに設け、圧縮空気の空気圧を可変としてもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は定着装置に関し、より詳細には、加熱手段を有する定着回転体と、この定着回転体に圧接してニップ部を形成する加圧回転体とを備え、一方面に未定着のトナー像が形成された被転写部材をニップ部を通過させることによって、トナー像を加熱・加圧して被転写部材に溶融定着させる定着装置に関するものである。
ファクシミリやプリンタ、複写機及びこれらの機能を複合的に備えた画像形成装置において、被転写部材上に形成された未定着のトナー像は、定着回転体と加圧回転体とのニップ部を通過する際に加熱及び加圧されて、被転写部材上に溶融定着される(定着処理)。そして、トナー像が定着した被転写部材は、ガイド部材に案内されて画像形成装置外へ排出される。
このような画像形成装置の定着装置では、定着速度を高速化すると同時に、定着むらや紙しわの発生を防止して画像品質を向上させることや、定着装置を小型化するとともに、室温にある定着装置を定着処理可能状態に立ち上げるまでのウォームアップタイムの短縮を図ることが望まれている。
そこでこれらの要望に答えるべく、加熱手段を有する定着ローラの表面に、無端状の加圧ベルトを介して圧力パッドを圧接させて、定着ローラと加圧ベルトとのニップ部の幅を長くした定着方式が提案され、一部は実用化もされている(例えば、特許文献1を参照)。
この定着方式では、ニップ部の幅を長くできるので、定着処理を高速化し、定着装置の小型化を図ることができる。また、定着ローラから加圧ベルト及び圧力パッド側に奪われる熱量を少なくしてニップ部での温度低下量を低減でき、熱をトナーの溶融に利用する効率を高めて、トナーの定着性の向上とウォームアップタイムの短縮を図ることができる。
特開2006-84655号公報
ところが、軸方向両端部に力を加えて、定着ローラと圧力パッドとを圧接する場合、通常、軸方向に圧接力の分布が生じる。具体的には、軸方向両端部の圧接力が、軸方向中央部の圧接力よりも大きくなる。このような軸方向における圧接力のムラがあると、A3サイズなどの大きいサイズの用紙の定着処理において特に、トナーの定着ムラとして現れる。そこで、例えば、圧力パッドの形状を軸方向中央部が外方に膨らんだ形状として、軸方向の圧接力の均一化を図ることも行われているが未だ充分とはいえない。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、定着回転体に加圧ベルトを介して押圧部材が圧接する構成の定着装置において、押圧部材の軸方向の圧接力を均一にすることにある。
また、本発明の目的は、用紙が通過する速度に合わせてトナーの溶融条件(温度・加熱時間)を調整すべく、押圧部材の圧接力を可変とし、定着回転体と加圧回転体とのニップ部の長さを調整可能とすることにある。
前記目的を達成するため本発明に係る定着装置は、加熱手段を有する定着回転体と、この定着回転体に圧接してニップ部を形成する加圧回転体とを備え、一方面に未定着のトナー像が形成された被転写部材をニップ部を通過させることによって、トナー像を加熱・加圧して被転写部材に溶融定着させる定着装置であって、前記加圧回転体は、前記定着回転体に圧接する無端状の加圧ベルトと、前記加圧ベルトの内側から前記加圧ベルトを押圧し、前記定着回転体との間でニップ部を構成する押圧部材と、前記押圧部材を前記定着回転体の方向に付勢・支持する付勢支持手段とを有し、前記付勢支持手段は、軸方向に複数形成された気密の空気室と、これら複数の空気室内に摺動自在にそれぞれ設けられ、前記押圧部材を付勢する複数のピストンとを備え、前記空気室に封入される圧縮空気によって前記ピストンが前記押圧部材を前記定着回転体の方向に付勢し、前記加圧ベルトを介して前記押圧部材を前記定着回転体に圧接させることを特徴とする。
ここで、前記ピストンによる押圧部材の付勢力をより均一にする観点からは、前記複数の空気室を互いに連通させるのが好ましい。
また、定着回転体と加圧回転体とのニップ部の幅を調整可能とする観点からは、空気を圧縮する空気圧縮手段をさらに設け、前記空気室に供給する圧縮空気の空気圧を可変とするのが好ましい。
また、軸方向の圧接力の均一化を一層図る観点から、前記ニップ部の圧接力を検知する圧力センサを軸方向に複数個設けるとともに、前記複数の空気室をそれぞれ独立させ、前記空気供給手段から前記複数の空気室に圧縮空気を個別に供給するようにしてもよい。
そしてまた、本発明に係る画像形成装置は、前記のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする。
本発明の定着装置及び画像形成装置では、空気室に圧縮空気を封入することによって、ピストンで押圧部材を定着回転体の方向に付勢し、加圧ベルトを介して押圧部材と定着回転体とを圧接させるので、軸方向に均一な圧接力が得られるようになる。これにより、大きなサイズの用紙であっても定着ムラが発生せず、トナーの定着性向上を図ることができる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す概説図である。 本発明に係る定着装置の一例を示す概説図である。 加圧回転体の一例を示す、軸方向に平行な垂直断面図である。 加圧回転体の他の例を示す、軸方向に平行な垂直断面図である。 加圧回転体のさらに他の例を示す、軸方向に平行な垂直断面図である。 図5の加圧回転体の水平断面図である。
以下、本発明に係る画像形成装置及び定着装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の画像形成装置及び定着装置の一実施形態を示す概説図である。図1の画像形成装置Dは所謂タンデム方式のカラー複写機である。もちろん、複写機のほか、さらにプリンタ、ファクシミリ又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等にも本発明を適用することができる。また、画像形成方式としてはタンデム方式に限定されるものではなく、他の方式、例えば、回転軸の周囲に4つの現像装置を配置し、これらを順次静電潜像担持体に対向させてフルカラー画像を作成する所謂4サイクル方式、あるいは一つの現像装置でモノクロ画像を作成するモノクロ方式であっても構わない。
画像形成装置Dは、導電性を有する無端状の中間転写ベルト33を有する。中間転写ベルト33は、5つのローラ31a,31b,31c,31d,31eに掛架されている。ローラ31aは不図示のモータに連結されており、モータの駆動によってローラ31aは時計回りに回転し、これによって中間転写ベルト33とこれに接するローラ31b,31c,31d,31eは従動回転する。ローラ31dに支持されているベルト部分の外側には、二次転写ローラ34が圧接している。この二次転写ローラ34と中間転写ベルト33とのニップ部(二次転写領域)において中間転写ベルト33上に形成されたトナー像が、搬送されてきた用紙Pに転写される。
また、ローラ31eに支持されているベルト部分の外側には、中間転写ベルト33の表面をクリーニングするクリーニング部材35が設けられている。このクリーニング部材35は中間転写ベルト33を介してローラ31eに圧接しており、その接触部で未転写トナーを回収する。
5つのローラ31a,31b,31c,31d,31eに掛架された中間転写ベルト33の右側には、中間転写ベルト33の回転方向上流側から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの作像部2Y,2M,2C,2K(以下、「作像部2」と総称することがある)が配置されている。これらの作像部2では、各色の現像剤をそれぞれ用いて対応する色のトナー像が作成される。
作像部2は、静電潜像担持体として円筒状の感光体20を有する。そして、感光体20の周囲には、その回転方向(反時計回り方向)に沿って順に、帯電器21、露光装置22、現像装置23、一次転写ローラ24、および感光体クリーニング部材25が配置されている。一次転写ローラ24は中間転写ベルト33を挟んで感光体20に圧接し、ニップ部(一次転写領域)を形成している。
この図に示す実施形態では、帯電器21としてコロナ放電方式の帯電チャージャを用いているが、帯電器21の種類は特に限定されるものでなく、ローラ帯電部材、ブレード状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材等を用いてももちろん構わない。また、この実施形態では、感光体クリーニング部材25として板状ブレードを用い、その一端側を感光体20の外周面に接触させて、感光体20の表面に残留するトナーを回収除去しているが、感光体クリーニング部材25は板状ブレードに限られるものでなく、例えば、固定ブラシ、回転ブラシ、ローラ、及びそれら複数の部材を組み合わせたものを使用することもできる。なお、感光体クリーニング部材25は必ずしも設ける必要はなく、感光体20上の未転写トナーの回収を現像装置23によって行うクリーナレス方式を採用することもできる。
また、画像形成装置Dの下部には、給紙装置として給紙カセット50が着脱可能に配置されている。給紙カセット50内に積載収容された用紙(被転写部材)Pは、給紙カセット50の近傍に配置された給紙ローラ51の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路に送り出される。給紙カセット50から送り出された用紙Pは、レジストローラ対52に搬送され、ここで所定のタイミングで二次転写領域に送り出される。
画像形成装置Dは、1色のトナー(例えばブラック)を用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードと、4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードとに切り替え可能となっている。
カラーモードにおける画像形成動作例について簡単に説明すると、まず、各作像部2において、所定の周速度で回転駆動される感光体20の外周面が帯電器21により帯電される。次に、帯電された感光体20の表面に、画像情報に応じた光が露光装置22から投射されて静電潜像が形成される。続いて、この静電潜像は、現像装置23から供給される現像剤としてのトナーにより顕在化される。このようにして感光体20の表面に形成された各色のトナー像は、感光体20の回転によって一次転写領域に達すると、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体20から中間転写ベルト33上へ転写(一次転写)されて重ねられる。
中間転写ベルト33に転写されることなく感光体20上に残留した未転写トナーは、感光体クリーニング部材25で掻き取られ、感光体20の外周面から除去される。
重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト33によって二次転写領域に搬送される。一方、そのタイミングに合わせて、レジストローラ対52から二次転写領域に用紙Pが搬送される。そして、4色のトナー像が、二次転写領域において中間転写ベルト33から用紙Pに転写(二次転写)される。4色のトナー像が転写された用紙Pは、定着装置1へ搬送される。定着装置1において用紙Pは、定着ローラ6と加圧回転体7とのニップ部を通過する。この間に用紙Pは加熱・加圧され、用紙P上のトナー像は用紙Pに溶融定着する。なお、定着装置1の具体的な構成については後述する。トナー像が定着した用紙Pは排出ローラ対53によって排紙トレイ54に排出される。
一方、二次転写領域を通過した中間転写ベルト33は、クリーニングブレード35で清掃される。その後、各感光体20及び中間転写ベルト33の回転駆動が停止される。
図2に、図1の画像形成装置Dに搭載されている定着装置1の概略構成図を示す。この定着装置1では、回転駆動される定着回転体としての定着ローラ6と、この定着ローラ6に圧接する加圧回転体7とを備える。定着ローラ6には棒状の加熱ヒータ(加熱手段)62が軸方向に内蔵されている。また定着ローラ6の外周部には、温度センサ64が設置されており、温度センサ64の検知温度によって加熱ヒータ62が入切制御され、定着ローラ6の表面は所定温度に維持される。
定着ローラ6は、所定長さの円筒状に形成された金属製の円筒状芯金61の周囲に、不図示の耐熱性弾性体層及び離型層が積層されてなる。定着ローラ6の芯金61は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属が好ましい。芯金61の厚みとしては0.1〜5mmの範囲が好ましく、軽量化及びウォームアップ時間の短縮化の観点からは0.2〜1.5mmの範囲がさらに好ましい。なお、この定着装置1では押圧部材72の押圧力が通常よりも小さいため、芯金61の外形および肉厚を小径化・薄肉化することができる。
定着ローラ6の耐熱性弾性体層は、耐熱性の高い弾性体であればその材料に特に限定はないが、ゴム硬度が25〜40度程度のゴム、エラストマ等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いるのが好ましい。弾性体層の厚さに限定はないが、0.05〜2mmの範囲が好ましい。
定着ローラ6の離型層は、耐熱性の樹脂であればどのような樹脂を用いてもよく、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができるが、トナーに対する離型性や耐摩耗性の観点からは、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体)等が使用できる。離型層の厚みとしては、5〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。また、離型層の水との接触角は90度以上が好ましく、110度以上がさらに好ましい。そしてまた、離型層の表面粗さRaは0.01〜50μmの範囲が好ましい。
次に、加圧回転体7は、定着ローラ6に圧接する無端状の加圧ベルト71と、加圧ベルト71を内側から押圧する押圧部材72と、押圧部材72を付勢・支持する付勢支持手段73とを備える。
加圧ベルト71の構造に特に限定はないが、ベース層と、ベース層の定着ローラ側の面または両面に形成された離型層とを有するものが好適である。ベース層としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のポリマーやSUS、ニッケル、銅等の金属材料が好ましく、その厚みは、30〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜150μmの範囲である。ベース層の表面に形成される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA、PTFE、FEP等の材料が好ましく、その厚みは5〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは10〜30μmの範囲である。ベース層と離型層との間に弾性層を設けてもよい。弾性層としてはシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの耐熱性と弾性を備えたものが望ましい。弾性層の厚みに限定はないが、通常、0.05〜2mmの範囲が好ましい。
また、加圧ベルト71の内周面は、押圧部材72との摺擦抵抗を低減するため、表面粗さRaを小さくする一方、加圧ベルト71の外周面は、定着ローラ6からの駆動力を受け易いように、表面粗さRaを大きくするのが好ましい。加圧ベルト71の内周面の表面粗さRaとしては0.4μm以下が好ましく、加圧ベルト71の外周面の表面粗さRaとしては、1.2〜2.0μmの範囲が好ましい。
次に、押圧部材72は、加圧ベルト71の内側にあって、加圧ベルト71を定着ローラ6に所定の圧力で押圧する。これによって、定着ローラ6と加圧ベルト71とでニップ部Nが形成される。ここで、ニップ部Nとは、定着ローラ6と加圧ベルト71とが弾性変形しながら転接する領域であって、用紙Pの通過方向に所定の長さを有し、かつ加圧ベルト71と定着ローラ6の軸方向にわたって平面視略矩形状の領域をいうものとする。ニップ部Nにかかる押圧力としては、通常、100〜300N程度が好ましい。
図3に示すように、押圧部材72は、細板状の本体部721と、本体部721の一方面側に貼着された軟質パッド部722とを有する。軟質パッド部722は、定着ローラ6との間で長いニップ部N(図2に図示)を形成し、用紙Pに対して十分な加熱及び加圧を加える。本発明で使用する軟質パッド部722としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性材料又は板バネ等で構成することができる。軟質パッド部722の厚みに特に限定はないが、0.1〜10mmの範囲が好ましい。
付勢・支持手段73は、軸方向に長い断面四角形の基部731と、基部731の一面に、軸方向に所定間隔で形成された4個の円形状の穴732と、これら穴732のそれぞれに填め入れられたピストン733とを有する。各ピストンには2本のO−リング734a,734bが所定間隔を隔てて略平行に外嵌されている。これらの穴732と、穴732に填め入れられたピストン733と、O−リング734a,734bとによって気密の空気室735が形成されている。穴と穴の間、すなわち空気室間は通気孔736により連通し、基部731の側面に形成された通気口737から管738によって加圧タンク739に接続している。
各ピストン733の先端部は、押圧部材72の本体部721の、軟質パッド部722が貼着された面と反対側面に接続又は当接している。加圧タンク739から管738及び通気孔736を介して圧縮空気が供給されることにより、各空気室75が加圧されて各ピストン733は外方へ付勢される。そして、各ピストン733の先端部によって押圧部材72が定着ローラ6の方向へ押圧される。各空気室735に供給される圧縮空気の圧力としては、前述のように、ニップ部Nにかかる押圧力が100〜300N程度となるような圧力とするのが好ましい。
このように圧縮空気によって押圧部材72を押圧する本発明の定着装置では、各空気室735が通気孔736によって連通しているので、各ピストン733による押圧部材72への付勢力は軸方向で同一となり、加圧ベルト71を介した押圧部材72の定着ローラ6への圧接力は軸方向で均一となる。
空気室735及びピストン733の軸方向の形成個数は、2個以上であれば特に限定はなく、軸方向の長さや押圧力などから適宜決定すればよい。
また、ピストン733の、摺動方向に対して垂直方向の断面外形は、穴732の断面内形よりも、O−リング734a,734bの厚み未満小さい相似形であればよく、円形の他、いずれの形状であっても構わない。また、空気室735の容積に限定はなく、基部731の厚み等から適宜決定すればよい。
このような構成の図2に示す定着装置において、図示しない駆動モータにより定着ローラ6が時計回りに回転すると、定着ローラ6に圧接している加圧ベルト71が従動回転する。そして、搬送されてきた用紙Pは、未定着のトナー像tが載った面が定着ローラ側になるようにニップ部Nを通過する。ニップ部Nを通過する間に、トナー像tに対して加熱及び加圧がなされ、トナー像tは溶融して用紙Pに定着する。そして、分離爪63によって定着ローラ6から用紙Pは分離され排紙トレイ54(図1に図示)へ排出される。
なお、本発明に係る定着装置で用いる定着回転体は、前記実施形態の加熱ヒータ62を内蔵した定着ローラ6に限定されるものではなく、例えば、加熱手段としての発熱源が圧接又は近接された定着ベルトを用いてももちろん構わない。
図4に、本発明の定着装置の他の実施形態を示す。図4に示す定着装置が、図3の定着装置と異なる点は、コンプレッサ(空気圧縮手段)Cを加圧タンク739に接続した点にある。これにより、空気室735に供給する圧縮空気の空気圧を変えることができるようになる。空気室735に供給する圧縮空気の空気圧を高くすると、ピストン733の外方への付勢力が大きくなって、加圧ベルト71を介した押圧部材72の定着ローラ6への圧接力が大きくなりニップ部Nの幅が長くなる。反対に、空気室735の圧縮空気の空気圧を低くすると、ピストン733の外方への付勢力が小さくなって、加圧ベルト71を介した押圧部材72の定着ローラ6への圧接力が小さくなりニップ部Nの幅が短くなる。
このように、空気室735に供給する圧縮空気の空気圧を制御することによって、ニップ部Nの幅を調整できるので、例えば、用紙搬送速度が速い場合や、トナー転写量の多い画像の場合には、ニップ部Nの幅を長くすることによってトナー画像の溶融定着に必要な熱を確実に供給できるようになる。
図5及び図6に、本発明の定着装置のさらに他の実施形態を示す。図5は、押圧部材72及び付勢・支持手段73の軸方向に平行な垂直断面図であり、図6は、付勢・支持手段73の水平断面図である。これらの図に示す定着装置が、図4の定着装置と異なる点は、押圧部材72の、各ピストン733の接触部に圧力センサSa,Sb,Sc,Sdを設けた点と、各空気室735a,735b,735c,735dをそれぞれ独立させるとともに、圧縮空気を個別に供給できるようにした点にある。
具体的には、図5に示すように、押圧部材72の基部721とピストン733との間に圧力センサSa,Sb,Sc,Sdを設けて、加圧ベルト71を介した押圧部材72の定着ローラ6への圧接力を測定する。なお、圧力センサの取付位置は、押圧部材72と定着ローラ6との圧接力を測定できる位置であれば特に限定はない。一方、図6に示すように、コンプレッサCから加圧タンク739を経由して各空気室735a,735b,735c,735dに至る圧縮空気の供給管路は、共通管81と、共通管81から各空気室735a,735b,735c,735dに分岐した枝管82a,82b,82c,82dと、これらの枝管82a,82b,82c,82dの途中にそれぞれ設けられた開閉弁83a,83b,83c,83dとを備える。
このような構成において、圧力センサSa,Sb,Sc,Sdからの測定値に基づいて、押圧部材72と定着ローラ6との圧接力が軸方向に均一となるように、圧力の異なる圧縮空気が各空気室735a,735b,735c,735dに個別に供給される。例えば、圧力センサSb(図5に図示)の測定値が他の圧力センサSa,Sc,Sdの測定値よりも低い場合には、開閉弁83bを開状態とし、他の開閉弁83a,83c,83dは閉状態として、コンプレッサCによって圧力を高くした圧縮空気を空気室735bに供給する。
なお、押圧部材72と定着ローラ6との圧接力が軸方向に分布を持つように、各空気室735a,735b,735c,735dを異なる圧力に制御してもよい。例えば、軸方向の中央部を用紙Pが通過する場合、軸方向中央部の用紙通過領域の圧接力を軸方向両端部のそれよりも大きくなるように、空気室735b及び空気室735cに、高い圧力の圧縮空気を供給してもよい。
本発明の定着装置は、空気室に圧縮空気を封入することによって、ピストンで押圧部材を定着回転体の方向に付勢し、加圧ベルトを介して押圧部材と定着回転体とを圧接させるので、軸方向に均一な圧接力が得られるようになり有用である。
1 定着装置
6 定着ローラ(定着回転体)
7 加圧回転体
C コンプレッサ(空気圧縮手段)
D 画像形成装置
N ニップ部
P 用紙(被転写部材)
Sa,Sb,Sc,Sd 圧力センサ
71 加圧ベルト
72 押圧部材
73 付勢支持手段
735 空気室
735a,735b,735c,735d 空気室
733 ピストン

Claims (5)

  1. 加熱手段を有する定着回転体と、この定着回転体に圧接してニップ部を形成する加圧回転体とを備え、一方面に未定着のトナー像が形成された被転写部材をニップ部を通過させることによって、トナー像を加熱・加圧して被転写部材に溶融定着させる定着装置であって、
    前記加圧回転体は、前記定着回転体に圧接する無端状の加圧ベルトと、前記加圧ベルトの内側から前記加圧ベルトを押圧し、前記定着回転体との間でニップ部を構成する押圧部材と、前記押圧部材を前記定着回転体の方向に付勢・支持する付勢支持手段とを有し、
    前記付勢支持手段は、軸方向に複数形成された気密の空気室と、これら複数の空気室内に摺動自在にそれぞれ設けられ、前記押圧部材を付勢する複数のピストンとを備え、
    前記空気室に封入される圧縮空気によって前記ピストンが前記押圧部材を前記定着回転体の方向に付勢し、前記加圧ベルトを介して前記押圧部材を前記定着回転体に圧接させることを特徴とする定着装置。
  2. 前記複数の空気室が互いに連通している請求項1記載の定着装置。
  3. 空気圧縮手段をさらに有し、圧縮空気の空気圧を可変とした請求項1又は2記載の定着装置。
  4. 前記ニップ部の圧接力を検知する圧力センサを軸方向に複数個設けるとともに、前記複数の空気室をそれぞれ独立させ、前記空気圧縮手段から前記複数の空気室に圧縮空気を個別に供給する請求項3記載の定着装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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