JP2011048102A - 光書込型表示媒体及び光書込型表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光書込型表示媒体及び光書込型表示装置に関する。
従来の光書込型表示媒体及び光書込型表示装置としては、例えば、基板上に少なくとも、電極層、下部電荷発生層、電荷輸送層、および上部電荷発生層を順次積層した、交流電界あるいは交流電流により駆動される機能素子のスイッチングを行うための光スイッチング素子と機能素子(表示素子)とを結合した光書込型表示媒体及び光書込型表示装置などがあり、前記下部電荷発生層および上部電荷発生層の少なくとも上部電荷発生層の電荷発生材が、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角で表わされる、特定の結晶構造を有するクロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびチタニルフタロシアニンである光スイッチング素子と、機能素子(表示素子)とを結合した光書込型表示媒体及び当該表示媒体を備えた光書込型表示装置が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1には、光感度が大きい光スイッチング素子を提供することを目的とする旨が記載されている。
本発明の目的は、光スイッチング層の電荷輸送層に、後に記載する一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含まず、太陽光に晒される環境下における使用が出来ない場合に比して、耐光性が向上した光書込型表示媒体及び光書込型表示装置を提供することにある。
[1]光透過性を有する一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられ、書込光照射側から順に第1の電荷発生層/電荷輸送層/第2の電荷発生層の積層構造を有する光スイッチング層と、
前記一対の電極のうち書込光照射側とは逆側の電極と前記第2の電荷発生層との間に設けられ、メモリ性を有する表示層とを備えた光書込型表示媒体であって、
前記第1の電荷発生層及び第2の電荷発生層は、フタロシアニン顔料を含み、前記電荷輸送層は、下記一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含むことを特徴とする光書込型表示媒体。
(一般式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。)
前記一対の電極間に設けられ、書込光照射側から順に第1の電荷発生層/電荷輸送層/第2の電荷発生層の積層構造を有する光スイッチング層と、
前記一対の電極のうち書込光照射側とは逆側の電極と前記第2の電荷発生層との間に設けられ、メモリ性を有する表示層とを備えた光書込型表示媒体であって、
前記第1の電荷発生層及び第2の電荷発生層は、フタロシアニン顔料を含み、前記電荷輸送層は、下記一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含むことを特徴とする光書込型表示媒体。
[2]前記スチルベン化合物が、下記一般式(2)で示されるスチルベン化合物であることを特徴とする前記[1]に記載の光書込型表示媒体。
(一般式(2)中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。)
[3]前記スチルベン化合物が、下記構造式(III−1)、(III−2)及び(III−3)で示されるスチルベン化合物より選ばれる少なくとも1種以上のスチルベン化合物であることを特徴とする前記[2]に記載の光書込型表示媒体。
[4]前記第1の電荷発生層に含まれる前記フタロシアニン顔料が、(1)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、ii)6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又はiii)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に回折ピークを有する結晶構造のクロロガリウムフタロシアニン、(2)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v)6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°、又はvi )7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に回折ピークを有する結晶構造のヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び(3)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)9.3°及び26.3°、又はii)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、及び27.3°に回折ピークを有する結晶構造のチタニルフタロシアニンの群より選ばれる1種以上のフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光書込型表示媒体。
[5]前記第2の電荷発生層に含まれる前記フタロシアニン顔料が、(1)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、ii)6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又はiii)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に回折ピークを有する結晶構造のクロロガリウムフタロシアニン、(2)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v)6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°、又はvi )7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に回折ピークを有する結晶構造のヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び(3)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)9.3°及び26.3°、又はii)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、及び27.3°に回折ピークを有する結晶構造のチタニルフタロシアニンの群より選ばれる1種以上のフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光書込型表示媒体。
[6]書込光照射側の前記電極よりも書込光照射側に設けられ、書込光を透過する遮光層を有することを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の光書込型表示媒体。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の光書込型表示媒体と、
前記表示媒体に光書込みを行う書込装置とを備えることを特徴とする光書込型表示装置。
前記表示媒体に光書込みを行う書込装置とを備えることを特徴とする光書込型表示装置。
請求項1〜5に係る発明によれば、光スイッチング層の電荷輸送層に、前記一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含まず、太陽光に晒される環境下における使用が出来ない場合に比して、耐光性が向上した光書込型表示媒体を提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、請求項1〜5に係る発明よりも更に優れた耐光性を有する光書込型表示媒体を提供することができる。
請求項7に係る発明によれば、光スイッチング層の電荷輸送層に、前記一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含まず、太陽光に晒される環境下における使用が出来ない場合に比して、耐光性が向上した光書込型表示装置を提供することができる。
(光書込型表示媒体の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る光書込型表示媒体の構成例を示す概略図である。
図1は、本発明の実施の形態に係る光書込型表示媒体の構成例を示す概略図である。
本発明の実施の形態に係る光書込型表示媒体100は、例えば光照射側から順に、光照射側基板1、電極2、光スイッチング層3(下部電荷発生層3C/電荷輸送層3B/上部電荷発生層3A)、、内部遮光層5、接着層6、、表示層7、電極8、及び表示側基板9とを有して構成されている。下部電荷発生層3Cは第1の電荷発生層に相当し、上部電荷発生層3Aは第2の電荷発生層に相当する。用いる材料や形成方法によっては、光スイッチング層3へのダメージを防ぐために、光スイッチング層3と内部遮光層5の間に隔離層4を設けてもかまわない。また、不必要かつ媒体へダメージを与える外光を遮光するために光照射側基板1の光照射側に外部遮光層10を設けてもかまわない。
以下、光書込型表示媒体100の各部の構成について説明する。なお、「光照射」とは、特に断らない限り、「書込光の照射」を意味する。
(光照射側基板1、表示側基板9)
光照射側基板1及び表示側基板9は、各層を基板間に保持し、表示媒体100の構造を維持する。当該基板1及び9は、必ずしも設ける必要はないが、表示媒体100の形状保持や表面保護のために設けることが望ましい。
光照射側基板1及び表示側基板9は、各層を基板間に保持し、表示媒体100の構造を維持する。当該基板1及び9は、必ずしも設ける必要はないが、表示媒体100の形状保持や表面保護のために設けることが望ましい。
光照射側基板1は、書込光を透過することができる光透過性の材料からなる。具体的には、ガラス、セラミック、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)等からなる基板が用いられる。フレキシブル性、成形容易性、コストの点などからPET等からなるシート又はフィルムを用いることが望ましい。
表示側基板9は、光照射側基板1と同様の材料からなるが、表示の妨げとならないよう可視領域の光を実質的に透過(透過率80%以上)する透明性を有するガラスやPET等を用いることが望ましい。
これらの基板1及び9の厚みとしては、50μm以上500μm以下の範囲が好適である。
(電極2、電極8)
電極2及び電極8は、図示していない給電端子を介して印加された電圧を、電極2,8間に設けられた各層へ印加するための部材であり、導電性を有する材料からなる。
電極2及び電極8は、図示していない給電端子を介して印加された電圧を、電極2,8間に設けられた各層へ印加するための部材であり、導電性を有する材料からなる。
電極2は、書込光を透過することができる光透過性の材料からなる。具体的には、酸化インジウム錫(ITO)膜、金(Au)、酸化錫(SnO2)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の導電性金属酸化物や、ポリピロール等の導電性高分子が用いられ、ITO膜を用いることが望ましい。
電極8は、透明電極3と同様の材料からなるが、表示の妨げとならないよう可視領域の光を透過する透明性を有するITO膜を用いることが望ましい。
これらの電極2及び電極8の厚みは特に限定されないが、10nm以上10μm以下の範囲が好適である。これらの電極2及び電極8は、前述の基板1及び9上に、蒸着、スパッタリング等により形成することができる。
(光スイッチング層3)
光スイッチング層3は、電極2及び電極8の間に設けられ、書込光照射側から順に下部電荷発生層3C、電荷輸送層3B、上部電荷発生層3Aが積層された構造を有する。また、光スイッチング層3としては、電荷輸送層が電荷発生層に挟まれて構成されていればよく、電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層の積層構造等を持つ光スイッチング構造も可能である。
光スイッチング層3は、電極2及び電極8の間に設けられ、書込光照射側から順に下部電荷発生層3C、電荷輸送層3B、上部電荷発生層3Aが積層された構造を有する。また、光スイッチング層3としては、電荷輸送層が電荷発生層に挟まれて構成されていればよく、電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層の積層構造等を持つ光スイッチング構造も可能である。
光スイッチング層3は、書込光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化することにより、該書込光の照射強度分布に応じた電気的特性分布を示す。すなわち、光スイッチング層3は、書込光の波長領域の光に対して感度を有し、該波長領域の光を吸収することによって、該書込光の照射強度分布に応じた電気的特性分布を示す。
上部電荷発生層3A及び下部電荷発生層3Cは、書込光を吸収して電荷を発生させる機能を有するものであり、電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を含む。
当該フタロシアニン顔料としては、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、及びジクロロスズフタロシアニン等を用いることができるが、(1)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、ii)6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又はiii)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に回折ピークを有する結晶構造のクロロガリウムフタロシアニン、(2)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v)6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°、又はvi )7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に回折ピークを有する結晶構造のヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び(3)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)9.3°及び26.3°、又はii)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、及び27.3°に回折ピークを有する結晶構造のチタニルフタロシアニンの群より選ばれるフタロシアニン顔料を用いることが本発明の効果をより顕著に奏する点で望ましい。
電荷発生層3A,3Cには、上記フタロシアニン顔料を単独もしくは混合して用いても差し支えない。
上部電荷発生層3Aと下部電荷発生層3Cはキャリアと自由電子の発生が同程度生じることが必要であるため、波長、光量、電圧に対し同程度の感度が必要であり、上下とも同じ材料であることが望ましいが、同程度の感度であるなら材料が異なっていても良い。
電荷発生層3A,3Cの形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などドライな膜形成法のほか、電荷発生材料及びバインダー樹脂を含む溶液あるいは分散液を用いるスピンコート法、ディップ法、バーコート法、ロールコート法、キャスティング法、ブレードコーティング法、スプレーコーティング法などウェットな膜形成法が適用可能である。上記溶液又は分散液を用いる場合、当該液中の電荷発生材料の濃度としては、1質量%以上20質量%以下とすることが望ましく、1.5質量%以上5質量%以下とすることがより望ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂を含む)、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などが使用できる。また、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、ケトアルコールに可溶であり、かつ、電荷発生材料であるヒドロキシガリウムフタロシアニン等を良好に分散させるため、望ましいバインダー樹脂である。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記溶液又は分散液の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の環状又は鎖状のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロエチレン、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、リグロイン等の鉱油、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類などが使用できる。
電荷発生層3A,3Cにおける電荷発生材料とバインダー樹脂の混合比(電荷発生材料/バインダー樹脂)は、1/10以上20/1以下の範囲が望ましく、1/1以上10/1以下の範囲がより望ましい。
電荷発生層3A,3Cの膜厚は、10nm以上1μm以下が望ましく、20nm以上500nm以下がより望ましい。10nmより薄いと光感度が不足し、かつ均一な膜の作製が難しくなり、1μmより厚いと光感度は飽和し、膜内応力によって剥離が生じやすくなる。
電荷輸送層3Bは、上部電荷発生層3A又は下部電荷発生層3Cで発生した電荷が注入されて、印加された電場方向にドリフトする機能を有するものであり、電荷輸送材料として前記一般式(1)で示されるスチルベン化合物を含む。
前記一般式(2)で示されるスチルベン化合物を含むことが望ましく、前記構造式(III−1)、(III−2)及び(III−3)で示されるスチルベン化合物より選ばれる少なくとも1種以上のスチルベン化合物を含むことが本発明の効果をより顕著に奏する点でより望ましい。
前記一般式(2)で示されるスチルベン化合物を含むことが望ましく、前記構造式(III−1)、(III−2)及び(III−3)で示されるスチルベン化合物より選ばれる少なくとも1種以上のスチルベン化合物を含むことが本発明の効果をより顕著に奏する点でより望ましい。
電荷輸送層3Bには、上記スチルベン化合物を単独もしくは混合して用いても差し支えない。
電荷輸送層3Bの形成方法としては、前述した電荷発生層3A,3Cの形成方法と同様の方法を適用することができる。電荷輸送材料及びバインダー樹脂を含む溶液又は分散液を用いる場合、当該液中の電荷輸送材料の濃度としては、5質量%以上50質量%以下とすることが望ましく、10質量%以上20質量%以下とすることがより望ましい。
電荷輸送層に用いるバインダー樹脂としては、前述した電荷輸送層に用いるバインダー樹脂と同様のものを使用できるが、ポリカーボネート樹脂が電荷輸送特性、強度、柔軟性、透明性の点で望ましい。
溶液又は分散液の溶媒としては、例えば、前述したケトン類、環状又は鎖状のエーテル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、芳香族ハロゲン化炭化水素類などが使用できる。
電荷輸送層3Bにおける電荷輸送材料とバインダー樹脂の混合比(電荷輸送材料/バインダー樹脂)は、1/10以上10/1以下の範囲が望ましく、3/7以上7/3以下の範囲がより望ましい。
電荷輸送層3Bの膜厚は、1μm以上100μm以下が望ましく、1μm以上50μm以下がより望ましく、3μm以上20μm以下が更に望ましい。1μmより薄いと耐電圧が低くなり、信頼性確保が困難となり、100μmより厚いと機能素子とのインピーダンスマッチングが困難となり、設計が難しくなる場合がある。
(機能層)
光スイッチング層3と表示層7の間には、任意の機能層を設けることができる。例えば、以下に説明する隔離層4、内部遮光層5、接着層6をそれぞれ設けることができる。あるいは、これらの複数の機能を兼ね備えた機能層を設けてもよい。このような機能層は電流の流れを著しく妨げない範囲で適用可能である。隔離層4、内部遮光層5、及び接着層6の順序は入れ替えてもよいが、隔離層4は光スイッチング層3に隣接していることが望ましい。
光スイッチング層3と表示層7の間には、任意の機能層を設けることができる。例えば、以下に説明する隔離層4、内部遮光層5、接着層6をそれぞれ設けることができる。あるいは、これらの複数の機能を兼ね備えた機能層を設けてもよい。このような機能層は電流の流れを著しく妨げない範囲で適用可能である。隔離層4、内部遮光層5、及び接着層6の順序は入れ替えてもよいが、隔離層4は光スイッチング層3に隣接していることが望ましい。
(隔離層4)
隔離層4は、内部遮光層層5又は接着層6の材質や形成方法によっては光スイッチング層3にダメージを与えることがあることから、これを防ぐために設けられる。
隔離層4は、内部遮光層層5又は接着層6の材質や形成方法によっては光スイッチング層3にダメージを与えることがあることから、これを防ぐために設けられる。
隔離層4の材料としては、水溶性樹脂、水/有機溶剤可溶樹脂、水系のエマルジョン・ディスパージョン・ラテックスなどが利用される。隔離層4には、例えば接着層6の接着剤に含まれる低分子非水成分や有機溶媒などの拡散を防ぐ目的があるため、有機溶媒に膨潤しにくい水溶性樹脂が最も望ましい。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロースやエチルセルロース等のアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド等のポリアクリル酸エステル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、澱粉、カゼイン、にかわ、ゼラチン、アラビアゴム、グアーガム、アルギン酸塩、ローカストビーンガム、カラギーナン、タマリンド、ペクチンの他、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等の親水性基を有するウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが利用できる。
水/有機溶剤可溶樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリグリセリンや、水/有機溶剤に可溶な各種樹脂が利用できる。
水系のエマルジョン・ディスパージョン・ラテックスとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなどが利用できる。
(内部遮光層5)
内部遮光層5は、書込光と読取光とを光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐと共に、表示時に表示媒体100の非表示面側(基板1側)から入射する光と表示層7に表示された表示画像を光学分離し、画質の劣化を防ぐ目的で設けられる。読取光とは、表示媒体100の表示面側(基板9側)から表示層7を透過して内部遮光層5に入射する光であり、太陽光や室内光等が挙げられる。
内部遮光層5は、書込光と読取光とを光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐと共に、表示時に表示媒体100の非表示面側(基板1側)から入射する光と表示層7に表示された表示画像を光学分離し、画質の劣化を防ぐ目的で設けられる。読取光とは、表示媒体100の表示面側(基板9側)から表示層7を透過して内部遮光層5に入射する光であり、太陽光や室内光等が挙げられる。
内部遮光層5としては、具体的には、遮光すべき波長範囲において、吸光度1以上の遮光性能を示すことが望ましく、吸光度2以上の遮光性能を示すことがより望ましい。
内部遮光層5に用いられる材料としては、遮光すべき波長範囲により決定され、通常の顔料や染料を用いることができ、顔料を分散した樹脂、染料を溶解した樹脂、染料で染色した樹脂などが利用される。この顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、及び酸化クロムなどの無機顔料、アゾ顔料やフタロシアニン顔料などの有機顔料が利用される。該染料としては、ニトロソ染料、ニトロ染料、スチルベンアゾ染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、ポリメチン染料、チアゾール染料、インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン染料、アントラキノン染料、及びインジゴイド染料などが利用される。
これらの顔料を分散する樹脂、または染料を溶解する樹脂としては、塗布した際の塗膜に皮膜形成能を持たせるために、重合度が1000以上3000以下の水溶性樹脂が利用される。この水溶性樹脂としては、例えば、完全けん化又は部分けん化ポリビニルアルコール、水溶性ポリビニルアセタール、水溶性ポリビニルホルマール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸共重合体、ポリアルキレンオキサイド、水溶性ポリエステル、ポリエチレングリコール、及び水溶性マレイン酸樹脂等が挙げられるが、この中でもポリビニルアルコールや、水溶性ポリビニルアセタール、水溶性ポリビニルホルマール等のポリビニルアルコール誘導体が特に望ましい。
内部遮光層5の形成方法としては、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、フレクソ印刷などの印刷法や、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法などの塗布法が挙げられる。
内部遮光層5の膜厚は、1μm以上10μm以下とすることが望ましい。また、内部遮光層5は、絶縁性の層として構成されることが望ましい。
(接着層6)
接着層6は、基板1及び9それぞれに形成した各層を貼り合わせる際に、凹凸吸収および接着の役割を果たす目的で設けられる。
接着層6は、基板1及び9それぞれに形成した各層を貼り合わせる際に、凹凸吸収および接着の役割を果たす目的で設けられる。
接着層6は、ガラス転移点の低い高分子材料からなり、熱や圧力によって貼り合わせる対象となる層(本実施の形態では内部遮光層5と表示層7)を密着・接着させる材料が選択される。また、本実施の形態では、接着層6は、絶縁性の層として構成されることが望ましい。
接着層6の材料としては、アクリレート系、ウレタン系、シアノアクリレート系、シリコーン系、イソプレンなどのゴム系、エチレン−酢酸ビニル共重合体など、公知の接着剤が利用される。接着剤のタイプは、2液硬化型、熱硬化型、湿気硬化型、紫外線硬化型、ホットメルト型、感圧型(粘着剤)など特に限定されない。
(表示層7)
表示層7は、メモリ性のある表示層7であることが望ましく、前記一対の電極2及び8のうち書込光照射側とは逆側の電極8と上部電荷発生層3Aとの間に設けられる。
表示層7は、メモリ性のある表示層7であることが望ましく、前記一対の電極2及び8のうち書込光照射側とは逆側の電極8と上部電荷発生層3Aとの間に設けられる。
メモリ性のある表示層7としては、例えば、メモリ性のある液晶表示層を挙げることができる。メモリ性のある液晶とは、液晶を電圧印加により配向制御した後、電圧印加を解除した後も、一定時間、液晶の配向が保たれる特徴を持った液晶である。例えば、ポリマー分散型液晶(PDLC)やカイラルスメクチックC相等の強誘電性液晶、あるいはコレステリック液晶等である。また、これらをカプセル化した液晶層でも適用可能である。メモリ性を有する液晶は、そのメモリ性ゆえに、画像表示保持のための電力を必要とせず、また、表示媒体100を光書込み装置から分離して使用することを可能とする。なお、メモリ性のある表示層7としては、液晶表示層以外に、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子、電界回転素子を挙げることができる。
また、本実施形態においては、光スイッチング層3と表示層7とを接続する場合において、これらを前述の接着層6により一体化させて光書込型表示媒体100とすることが好ましい。一体化させることにより光スイッチング層3と表示層7との接続を安定化させることができる。一体化した光書込型表示媒体100は、光書込み装置から分離させることが可能となるため、表示媒体100を、例えば配布することが可能になる。
(外部遮光層10)
外部遮光層10は、書込側の最外層として、すなわち、光照射側基板1の外側に設けられる。外部遮光層10は、表示媒体100の光照射側(図1中、基板1側)から表示媒体100内へ照射する、書込みに用いられる波長以外の波長の光を吸収する目的で設けられる。このため、外部遮光層10には、書込光を透過(望ましくは透過率80%以上)し、書込みに利用されない光については遮光する材料を使用する。電荷発生材料がフタロシアニン顔料の場合において、書込光が600nm〜700nmの波長域にある場合は、例えば、より短波長の光である300nm以上550nm以下の全波長領域について、吸光度1以上(望ましくは2以上)の遮光性能が望ましい。これにより、書込に用いられる波長以外の波長の光が光スイッチング層3に照射されることが抑制される。
外部遮光層10は、書込側の最外層として、すなわち、光照射側基板1の外側に設けられる。外部遮光層10は、表示媒体100の光照射側(図1中、基板1側)から表示媒体100内へ照射する、書込みに用いられる波長以外の波長の光を吸収する目的で設けられる。このため、外部遮光層10には、書込光を透過(望ましくは透過率80%以上)し、書込みに利用されない光については遮光する材料を使用する。電荷発生材料がフタロシアニン顔料の場合において、書込光が600nm〜700nmの波長域にある場合は、例えば、より短波長の光である300nm以上550nm以下の全波長領域について、吸光度1以上(望ましくは2以上)の遮光性能が望ましい。これにより、書込に用いられる波長以外の波長の光が光スイッチング層3に照射されることが抑制される。
外部遮光層10には、顔料を分散した樹脂が利用され、例えば、非水溶性の樹脂液に顔料を分散した塗液を塗布乾燥して形成される。この顔料としては、外部遮光層10として要求される遮光性能を満たしていればよく、一般的に用いられる赤色顔料(PR254など)や黄色顔料(PY42、PY139など)等を用いることができる。これらは、単一で用いても、2種以上を混合して用いても構わない。
外部遮光層10に用いられる樹脂としては、製造性や基板1との密着性が良好なことからから、非水溶性樹脂が好ましく、アルキド(フタル酸)樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂などの樹脂が利用できる。添加物として、ポリイソシアネートなどの硬化剤や増粘剤などを含んでいてもよい。
外部遮光層10の形成方法としては、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、フレクソ印刷などの印刷法や、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法などの塗布法が用いられる。塗布法においては、上記顔料を上記樹脂とともに適当な溶剤に分散又は溶解させて調整した塗布液を用いればよい。
外部遮光層10の層厚は、特に限定されないが、表示媒体100の携帯性や可撓性を損なわない範囲であることが望ましく、例えば、1μm以上50μm以下とすることが望ましい。
なお、外部遮光層10は必ずしも光書込型表示媒体100内に積層する必要はないが、光書込型表示媒体100に一体的に設けることが望ましい。これにより、外部遮光層10を設けない場合に比べて、窓際や屋外等の太陽光に晒される環境下においても使用できる耐光性をより顕著に発揮することができる。
(光書込型表示媒体の製造)
本実施の形態に係る光書込型表示媒体100は、下記の手順で製造される。
基板1上に形成された電極2上に、下部電荷発生層3C、電荷輸送層3B、上部電荷発生層3Aを順次積層することにより光スイッチング層3を形成する。そして、光スイッチング層3上に、内部遮光層5及び接着層6を順次形成した積層体Aを形成する。
一方、基板9上に形成された電極8上に、表示層7を形成した積層体Bを形成する。
次に、積層体Aの接着層6と、積層体Bの表示層7とが接触するように、積層体Aと積層体Bとを貼りあわせて積層体Cを形成する。
さらに、外部遮光層を設ける場合には、別途、基板上に外部遮光層10及び接着層を積層した積層体Dを形成し、この積層体Dの接着層を、上記積層体Cの基板1に貼り合わせることによって、表示媒体100が製造される。
本実施の形態に係る光書込型表示媒体100は、下記の手順で製造される。
基板1上に形成された電極2上に、下部電荷発生層3C、電荷輸送層3B、上部電荷発生層3Aを順次積層することにより光スイッチング層3を形成する。そして、光スイッチング層3上に、内部遮光層5及び接着層6を順次形成した積層体Aを形成する。
一方、基板9上に形成された電極8上に、表示層7を形成した積層体Bを形成する。
次に、積層体Aの接着層6と、積層体Bの表示層7とが接触するように、積層体Aと積層体Bとを貼りあわせて積層体Cを形成する。
さらに、外部遮光層を設ける場合には、別途、基板上に外部遮光層10及び接着層を積層した積層体Dを形成し、この積層体Dの接着層を、上記積層体Cの基板1に貼り合わせることによって、表示媒体100が製造される。
(光書込型表示装置の構成)
図2は、本発明の実施の形態に係る光書込型表示装置の構成例を示す概略図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る光書込型表示装置の構成例を示す概略図である。
光書込型表示装置200は、前述の光書込型表示媒体100と、当該表示媒体100に光書込みを行う書込装置(少なくとも光照射部201、電圧印加部202、制御部203を有する)とを備える。
(書込装置)
書込装置は、表示媒体100に画像を書込む装置であり、例えば、表示媒体100に対して書込光を走査露光する露光装置(光照射部201)、表示媒体100の電極2と電極8との電極間に電圧を印加する電圧印加部202、及び光照射部201と電圧印加部202とに電気的に接続され、これらを制御する制御部203を含んで構成されている。
書込装置は、表示媒体100に画像を書込む装置であり、例えば、表示媒体100に対して書込光を走査露光する露光装置(光照射部201)、表示媒体100の電極2と電極8との電極間に電圧を印加する電圧印加部202、及び光照射部201と電圧印加部202とに電気的に接続され、これらを制御する制御部203を含んで構成されている。
露光装置(光照射部201)は、表示媒体100の非表示面側から光照射側基板1、もしくは外部遮光層10を介して光スイッチング層3へ向かって書込光を照射する光源を有する。
光源としては、制御部203からの入力信号に基づいて、表示媒体100の光スイッチング層3へ所望の書込光(スペクトル・強度・空間周波数)を照射するものであれば、特に制限されない。なお、光源により照射される書込光としては、光スイッチング層3の吸収波長域のエネルギーが多い光であることが望ましい。
電圧印加部202は、制御部203からの入力信号に基づいて、表示媒体100の電極2と電極8との電極間に、該入力信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、該入力信号に応じた時間、印加するものであればよい。この電圧印加部202としては、例えばバイポーラ高電圧アンプ等が用いられる。
電圧印加部202による表示媒体100への電圧印加は、具体的には、接触端子(給電端子)を介して、電極2及び電極8間になされる。ここで、接触端子とは、電圧印加部202及び電極2,8に接触して、両者の導通を行う部材であり、高い導電性を有し、電圧印加部202及び電極2,8との接触抵抗が小さいものが選択される。なお、接触端子は、表示媒体100と書込装置とを分離できるように、電極2,8と、電圧印加部202のどちらか、あるいは両者から分離できる構造であることが望ましい。
制御部203は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されており、ROMに格納されたプログラムにしたがって書込装置の装置各部を制御し、無線回線又は有線回線を介して外部装置等から取得した画像データに応じた画像を表示媒体100に表示するように、露光装置(光照射部201)及び電圧印加部202を制御する。
表示媒体100は、書込装置と一体化された構成であってもよいし、書込装置と分離可能に構成されていてもよい。表示媒体100を書込装置に対して分離可能に構成する場合には、例えば、表示媒体100を、図示を省略するスロット等に装着することで、表示媒体100の電極2及び電極8が電圧印加部202から電圧印加可能に接続されると共に、表示媒体100が、表示媒体100の非表示面側から光スイッチング層3の電荷発生層3Aへ向かって露光装置から書込光の照射可能な状態とされるように構成すればよい。
上記のように、表示媒体100を書込装置に対して分離可能に構成した場合には、表示媒体100のみを単体で配布することが容易とされると共に、閲覧、回覧、配布等に容易に供される。また、表示媒体100を再度、書込装置のスロットに装着することで、新たな画像の書き込みや書き込んだ画像の消去も可能とされる。
(光書込型表示装置の動作)
上記のように構成された表示装置200においては、書込対象の画像の画像データに応じて露光装置(光照射部201)及び電圧印加部202が制御部203により制御されることによって、表示媒体100に画像が書き込まれる。具体的には、制御部203の制御によって、電圧印加部202から電極2及び電極8間に電圧が印加されると共に、露光装置(光照射部201)の光源からの書込光を表示媒体100の非表示面側から照射する。これによって、表示媒体100に画像が書き込まれる。
上記のように構成された表示装置200においては、書込対象の画像の画像データに応じて露光装置(光照射部201)及び電圧印加部202が制御部203により制御されることによって、表示媒体100に画像が書き込まれる。具体的には、制御部203の制御によって、電圧印加部202から電極2及び電極8間に電圧が印加されると共に、露光装置(光照射部201)の光源からの書込光を表示媒体100の非表示面側から照射する。これによって、表示媒体100に画像が書き込まれる。
ここで、表示媒体100に外部遮光層10が設けられている場合には、書込光は、この外部遮光層10を介して光スイッチング層3へ向かって照射される。また、表示媒体100に入射する太陽や蛍光灯等の光は、外部遮光層10の吸収域に応じて遮光され、光スイッチング層3へ到達することが抑制される。このため、さらに耐光性に優れた表示媒体100が提供され、光スイッチング層3の外光による光劣化が抑制される。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す光書込型表示媒体100を以下のとおり作製した。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)(光照射側基板1)(厚さ125μm)上に形成されたITO膜(電極2)(厚さ800Å)上に、下部電荷発生層Cを形成した。電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、及び28.3°に回折ピークを有するもの)を用い、また、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレックBX−5)を用い、これらの質量比率を1:1として、ブタノールを用いてダイノーミルで分散させ、4質量%のブタノール分散液(塗布液A)を調製した。上記ITO膜上に、塗布液Aをスピンコート法により塗布後、乾燥させ、膜厚0.2μmの下部電荷発生層3Cを形成した。
図1に示す光書込型表示媒体100を以下のとおり作製した。
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)(光照射側基板1)(厚さ125μm)上に形成されたITO膜(電極2)(厚さ800Å)上に、下部電荷発生層Cを形成した。電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン(X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、及び28.3°に回折ピークを有するもの)を用い、また、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレックBX−5)を用い、これらの質量比率を1:1として、ブタノールを用いてダイノーミルで分散させ、4質量%のブタノール分散液(塗布液A)を調製した。上記ITO膜上に、塗布液Aをスピンコート法により塗布後、乾燥させ、膜厚0.2μmの下部電荷発生層3Cを形成した。
次に、この下部電荷発生層3Cの上に電荷輸送層3Bを形成した。具体的には、まず、電荷輸送材料として、前述の構造式(III−1)で示されるスチルベン化合物を用い、また、バインダー樹脂として、ポリカーボネート{ビスフェノール−Z、(ポリ(4,4’−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネート))}を用い、これらの質量比率を2:3として混合した後、これをモノクロロベンゼンに溶解させ10質量%の溶液(塗布液B)を調製した。この塗布液Bを、下部電荷発生層3C上にスピンコート法を用いて塗布乾燥し、膜厚6.5μmの電荷輸送層3Bを形成した。
次に、この電荷輸送層3Bの上に、上部電荷発生層3Aを形成した。具体的には、前記塗布液Aを、スピンコート法を用いて塗布乾燥し、膜厚0.2μmの上部電荷発生層3Aを形成した。
以上のようにして、光スイッチング層3を形成した。
以上のようにして、光スイッチング層3を形成した。
次に、形成した光スイッチング層3の上に、内部遮光層5を形成した。
具体的には、青色顔料であるピグメントブルー15:6とバインダー樹脂としてのポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール217EE)が1:1の質量比率になるようにピグメントブルーを水分散し、10質量%の水分散液(塗布液D)を調整した。そして、光スイッチング層3上に、この塗布液Dを、スピンコート法により塗布乾燥を行い、膜厚3μmの内部遮光層5を形成した。
具体的には、青色顔料であるピグメントブルー15:6とバインダー樹脂としてのポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール217EE)が1:1の質量比率になるようにピグメントブルーを水分散し、10質量%の水分散液(塗布液D)を調整した。そして、光スイッチング層3上に、この塗布液Dを、スピンコート法により塗布乾燥を行い、膜厚3μmの内部遮光層5を形成した。
次に、内部遮光層5の上に、2液型ポリウレタン系接着剤である商品名:タケネート/タケラック(武田薬品工業社製)の酢酸ブチル溶液を塗布し、膜厚1.2μmの接着層6を形成した。
以上のようにして、積層体Aを形成した。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(表示側基板9)(厚さ125μm)上に形成されたITO膜(電極8)(厚さ800Å)上に、表示層(液晶)7(厚さ50μm)を形成した。
具体的には、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶E8(メルク社製)74.8質量部に、カイラル剤CB15(BDH社製)21質量部とカイラル剤R1011(メルク社製)4.2質量部とを加熱溶解し、その後、室温に戻して、ブルーグリーンの色光を選択反射するカイラルネマチック液晶を得た。
このブルーグリーンカイラルネマチック液晶10質量部に、キシレンジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルとの付加物(武田薬品工業製、D−110N)3質量部と酢酸エチル100質量部とを加えて均一溶液とし、油相となる液を調製した。一方、ポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバール217EE)10質量部を、熱したイオン交換水1000質量部に加えて攪拌後、放置冷却することによって,水相となる液を調製した。
次に、スライダックで30V交流を与えた家庭用ミキサーによって、前記油相10質量部を前記水相100質量部中に1分間乳化分散して、水相中に油相液滴が分散した水中油エマルジョンを調製した。この水中油エマルジョンを60℃のウォーターバスで加熱しながら2時間攪拌し、界面重合を完了させて、液晶マイクロカプセルを形成した。得られた液晶マイクロカプセルの平均粒径をレーザー粒度分布計によって測定したところ、約12μmと見積もられた。
得られた液晶マイクロカプセル分散液を、網目38μmのステンレスメッシュを通して濾過後、一昼夜放置し、乳白色の上澄みを取り除くことにより、液晶マイクロカプセルからなる固形成分約40質量%のスラリーを得た。この得られたスラリーに、その固形成分の質量に対して2/3となる量のポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール10質量%の溶液を加えることにより塗布液Cを調製した。
上記ITO膜(電極8)上に、上記塗布液Cを♯44のワイヤーバーで塗布することにより表示層(液晶)7(厚さ50μm)を形成した。
以上のようにして、積層体Bを形成した。
次に、上記積層体Aと上記積層体Bとを、接着層6と表示層7とが接するように密着させて、70℃でラミネートを行い、光書込型表示媒体100を作製した。
(実施例2)
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として前述の構造式(III−2)で示されるスチルベン化合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光書込媒体を作製した。
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として前述の構造式(III−2)で示されるスチルベン化合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光書込媒体を作製した。
(実施例3)
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として前述の構造式(III−3)で示されるスチルベン化合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光書込媒体を作製した。
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として前述の構造式(III−3)で示されるスチルベン化合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光書込媒体を作製した。
(比較例1)
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として、前述の構造式(III−1)で示されるスチルベン化合物に替えて、下記の構造式で示されるベンジジン化合物を用いた以外は、実施例1と同じ方法、材料、及び条件で光書込型表示媒体(比較例1)を作製した。
実施例1で作製した表示媒体100において、電荷輸送材料として、前述の構造式(III−1)で示されるスチルベン化合物に替えて、下記の構造式で示されるベンジジン化合物を用いた以外は、実施例1と同じ方法、材料、及び条件で光書込型表示媒体(比較例1)を作製した。
(耐光性評価)
上記実施例1〜3及び比較例1〜2で作製した表示媒体の各々について、以下のようにして耐光性の評価を行った。
すなわち、上記実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した表示媒体の各々について、25℃、50%RHの環境下で、電極間(第1の電極及び第2の電極に相当するITO間)に300Vの駆動電圧を印加するとともに、1500μW/cm2、660nmの露光光を0.1秒間照射した後に、該電圧印加を解除することによって書込みを行い、白色表示した時の反射率を、ミノルタ製CM-2022を用いて測定した。
上記実施例1〜3及び比較例1〜2で作製した表示媒体の各々について、以下のようにして耐光性の評価を行った。
すなわち、上記実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した表示媒体の各々について、25℃、50%RHの環境下で、電極間(第1の電極及び第2の電極に相当するITO間)に300Vの駆動電圧を印加するとともに、1500μW/cm2、660nmの露光光を0.1秒間照射した後に、該電圧印加を解除することによって書込みを行い、白色表示した時の反射率を、ミノルタ製CM-2022を用いて測定した。
その結果、実施例1〜3、及び比較例1〜2ともに、約35%の反射率の変化が見られた。このため、実施例と比較例では、初期状態(下記の光暴露する前の状態)では、違いは確認できなかった。
次に、上記実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した表示媒体の各々について、25℃、50%RHの環境下において、擬似太陽光直下(キセノンランプ/約10万ルクス)で、光スイッチング層3の下部電荷発生層3C側を光暴露した後に、初期と同様の測定条件で反射率を測定した。そして、擬似太陽光による光暴露前の反射率を「1」として、光暴露後の反射率の割合を、相対反射率として求め、耐光性を評価した。結果を図3に示す。
図3より、比較例1〜2と比較して、実施例1〜3では擬似太陽光下での耐光性が大幅に向上していることが判る。
1…光照射側基板、2…電極、3…光スイッチング層、3A…上部電荷発生層、3B…電荷輸送層、3C…下部電荷発生層、5…内部遮光層、6…接着層、7…表示層、8…電極、9…表示側基板、10…外部遮光層、100…光書込型表示媒体、200…光書込型表示装置、201…光照射部、202…電圧印加部、203…制御部
Claims (7)
- 前記第1の電荷発生層に含まれる前記フタロシアニン顔料が、(1)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、ii)6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又はiii)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に回折ピークを有する結晶構造のクロロガリウムフタロシアニン、(2)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v)6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°、又はvi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に回折ピークを有する結晶構造のヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び(3)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)9.3°及び26.3°、又はii)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、及び27.3°に回折ピークを有する結晶構造のチタニルフタロシアニンの群より選ばれるフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光書込型表示媒体。
- 前記第2の電荷発生層に含まれる前記フタロシアニン顔料が、(1)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、ii)6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又はiii)8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に回折ピークを有する結晶構造のクロロガリウムフタロシアニン、(2)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v)6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°、又はvi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に回折ピークを有する結晶構造のヒドロキシガリウムフタロシアニン、及び(3)X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)がi)9.3°及び26.3°、又はii)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、及び27.3°に回折ピークを有する結晶構造のチタニルフタロシアニンの群より選ばれるフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光書込型表示媒体。
- 書込光照射側の前記電極よりも書込光照射側に設けられ、書込光を透過する遮光層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光書込型表示媒体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光書込型表示媒体と、
前記表示媒体に光書込みを行う書込装置とを備えることを特徴とする光書込型表示装置。
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