JP2011045263A - バイオエタノール製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タンパク質を含有する下水、産業排水、下水汚泥、産業排水汚泥、生ゴミ等の廃棄物を原料としてエタノール製造する場合に、メタン発酵菌と競合することなく、エタノール生産量の高いエタノール製造装置を提供する。
【解決手段】 排水、汚泥、廃棄物のうちの少なくとも1つを含む原料を供給するための原料供給装置と、エタノール発酵反応に寄与する微生物としてエタノール発酵菌が予め投入され、原料供給装置から供給される原料とエタノール発酵菌とを混合培養させるエタノール発酵槽と、エタノール発酵槽内のエタノール発酵菌の培養条件を、嫌気性微生物の培養条件と相違させる培養条件分離手段とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タンパク質を含む下水、産業排水、下水汚泥、産業排水汚泥、生ゴミ等の廃棄物から、微生物を利用する発酵反応によりエタノールを製造するバイオエタノール製造装置に関する。
従来、下水、産業排水、下水汚泥、産業排水汚泥、生ゴミ等の廃棄物からエタノールを製造する技術として、以下に述べる(1)炭水化物を原料とするエタノール製造技術(非特許文献1、特許文献1)、および(3)下水中の炭水化物のみを選別収集してそれを原料とするエタノール製造技術(特許文献1)がそれぞれ知られている。
しかし、以下に述べる(2)従来の下水処理プロセスや汚泥処理プロセスの中の汚泥消化槽(タンパク質含有汚泥発酵)内に発酵微生物としてエタノール発酵菌を投入した場合であっても、メタン発酵はするが、エタノール発酵をさせることができない(非特許文献2)。このように消化汚泥のようなタンパク質を含む廃棄物からエタノールを直接製造する技術は、未だ確立されたものが無い。
(1)従来の炭水化物原料とするエタノール製造技術
非特許文献1に記載されているように、エタノール発酵の原料は、澱粉やセルロースなどの炭水化物が一般的である。エタノール発酵の反応プロセスは、EMP解糖系と呼ばれる代謝経路で、これらの炭水化物からエタノールまで発酵菌により分解される。
特許文献1には、上述の炭水化物を原料とするエタノール発酵の反応プロセスを下水処理プロセスに適用した技術が記載されている。その下水処理プロセスに使用される装置の概要を図13に示す。図13の従来装置200において、最終沈殿池である繊維質貯留槽218及び水配管227を除いて、他の部分は通常の汚泥処理プロセスを含む下水処理プロセスに使用される装置構成である。
(2)従来の汚泥処理プロセスと水処理プロセスの構成と作用
図12の従来装置100における汚泥処理プロセスと水処理プロセスを説明する。水処理プロセスにおいて、下水101は、スクリーン117を備えるポンプ井102、水配管120、ポンプ113、水配管121、最初沈殿池103、水配管122、曝気槽104、水配管123、最終沈殿池105、水配管124を順次通過した後に、処理水6となって系外に排出される。最初沈殿池103の底部は、ポンプ116を有する水配管126を介して汚泥貯留槽107の前段に連通している。曝気槽104の下部には、ブロア112を有するガス配管131が接続されている。最終沈殿池105の底部には、ポンプ114を有する水配管124を介して水配管121が接続されている。さらに、最終沈殿池105の底部は、ポンプ116を有する水配管126を介して汚泥貯留槽107の前段に連通している。
汚泥処理プロセスにおいて、最初沈殿池103からの初沈汚泥および最終沈殿池105からの余剰汚泥は、汚泥貯留槽107、水配管128、ORP計133を有する汚泥消化槽108、水配管129、汚泥脱水槽109、水配管130を順次通過した後に、脱水汚泥110となって系外に排出される。また、汚泥消化槽108内の上部ガス領域は、ガス配管132を介してメタンガス111を回収する貯留槽に連通している。
上記の水処理プロセスでは、下水101中の固形物が最初沈殿池103で沈殿分離されるとともに、曝気槽104内の活性汚泥微生物により空気酸化されて処理され、さらに、この活性汚泥微生物が増殖して流出されたものは最終沈殿池105内で固液分離されて、その清澄な上澄み液が処理水106として河川等に排出される。ブロア112は、曝気槽104内の活性汚泥微生物の増殖に必要な酸素を供給するものである。ポンプ114で最終沈殿池105内底部水(返送汚泥)を水配管121に返送する理由は、曝気槽104内の活性汚泥微生物濃度を一定に維持するためである。
また、上記の汚泥処理プロセスにおいて、汚泥貯留槽107は、最初沈殿池103底部からの初沈汚泥および最終沈殿池105底部からの余剰汚泥を貯留するものである。汚泥消化槽108は、メタン発酵菌などの嫌気性微生物により、汚泥中の有機物からメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)とに分解される。この分解には非特許文献2に記載されているように多種多様の反応があるが、そのうちの代表的なものとして下式(1)の反応がある。
CHCOOH → CH + CO …(1)
この嫌気性微生物として適用されているメタン発酵菌の増殖条件として、酸化還元電位(ORP)が完全嫌気状態である−500〜−400mVの範囲(絶対嫌気性の領域)、pHが弱アルカリ性領域である6.5〜8.0の範囲、水温が35〜40℃の範囲にあることが表1に示されている。メタン発酵菌の増殖条件の1つとして消化汚泥のORPを測定するためにORP計133が汚泥消化槽108内に配設されている。
この汚泥消化槽108で生成したメタンガス111はガス配管132を介して系外に排出され、残存した消化液(消化汚泥)は、汚泥脱水槽109でベルトコンベアや遠心脱水機等の脱水装置により脱水処理されて、含水率が70〜80%の脱水汚泥110が排出される。
(3)下水を原料としたエタノール製造技術
特許文献1には下水を原料とするエタノール製造技術が記載されている。この特許文献1に記載された技術を水処理プロセスに適用した装置構成を図13に示す。
装置200では、下水101をポンプ井102に供給し、スクリーン117により下水101中の繊維質(セルロース)のみを繊維質貯留槽218に収集する。収集した繊維質は、貯留槽218から水配管227、硫酸処理槽234、水配管238を順次通過してエタノール発酵槽235に供給される。エタノール発酵槽235の側面部は、水配管239を介してエタノール培養液236の貯留槽に連通している。一方、エタノール発酵槽235の上部は、ガス配管240を介して排ガス237の貯留槽に連通している。スクリーン117からの繊維質を収集したのは、スクリーン117には、下水101中のトイレットペーパーや髪由来のセルロース系の炭水化物からなる繊維質が多く含まれており、この繊維質のみを集中的に収集し、収集した繊維質を硫酸処理でグルコース等の低分子の炭水化物に分解し、これをエタノール発酵槽235の原料としている。
社団法人 アルコール協会編、工業調査会発行、「図解 バイオエタノール製造技術」,p.76〜p.79 須藤隆一編集、産業用水調査会発行、「水環境保存のための生物学」,p.158
特開2004−283127号公報
しかしながら、上記の従来技術には以下に述べる種々の問題点がある。
(1)タンパク質原料とした汚泥消化ではメタンは発生するが、エタノールは発生しない。
図12の汚泥処理/水処理プロセスにおいて、表1の条件ではメタン発酵菌の活性度が高く、この条件で、エタノール培養槽酵母のようなエタノール発酵する微生物を、汚泥消化槽8内に投入しても、エタノール発酵微生物は、メタン菌の増殖速度より小さくなり死滅し、エタノールを製造することができなかった。
(2)下水繊維質原料としたエタノール発酵では、原料中の炭水化物量が小さく、エタノール生成量が小さい。
図12の汚泥処理/水処理プロセスでは、スクリーン117で捕獲した下水101中の炭水化物から成る繊維質を収集して、それを原料としてエタノール発酵槽235でエタノールを製造した。しかし、このプロセスでは、下水101中には浮遊物質(Suspended Solids、以下SSという)が通常200mg/Lほど含まれており、このSS中に炭水化物が約50%含有される場合、炭水化物量が100mg/Lとなる。
一方、汚泥消化槽108に流入するSS量は10000〜50000mg/Lとなり、同様に炭水化物は約30%、タンパク質は約50%含まれており、炭水化物量は3000〜15000mg/L、タンパク質量は5000〜25000mg/Lとなる。このようにSSは上記下水に比べて、炭水化物量が約30〜150倍と高濃度であり、タンパク質も同様に非常に高濃度となっている。
このため、同じ容積のエタノール培養槽で実施した場合、上記の倍率でエタノール生成量が小さくなるという問題がある。このエタノール生成量の不足を補うために装置のスケールアップを図ろうとすると、エタノール培養槽が従来の5〜6倍と非常に大きいものになり、コストが増大して現実的ではない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、タンパク質を含有する下水、産業排水、下水汚泥、産業排水汚泥、生ゴミ等の廃棄物を原料としてエタノール製造する場合に、メタン発酵菌と競合することなく、エタノール生産量の高いバイオエタノール製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るバイオエタノール製造装置は、排水、汚泥、廃棄物のうちの少なくとも1つを含む原料を供給するための原料供給装置と、エタノール発酵反応に寄与する微生物としてエタノール発酵菌が予め投入され、前記原料供給装置から供給される原料と前記エタノール発酵菌とを混合培養させるエタノール発酵槽と、前記エタノール発酵槽内のエタノール発酵菌の培養条件を、嫌気性微生物の培養条件と相違させる培養条件分離手段と、を具備することを特徴とする。
上記の嫌気性微生物の代表的なものとしてメタノール発酵菌をあげることができる。エタノール発酵菌の培養条件を嫌気性微生物であるメタノール発酵菌の培養条件と相違させることにより、メタノール発酵反応が抑止・抑制される一方で、エタノール発酵反応が増強・促進され、エタノール生成量が増加する。
これとは逆に、エタノール発酵菌の培養条件を好気性微生物の培養条件と相違させることも好ましい。酸化還元電位の高い活性汚泥中には種々の好気性微生物が存在しているため、これらの好気性微生物が活性化すると、活性化した好気性微生物がエタノール発酵菌を食い殺してしまうからである。よって、エタノール発酵菌の培養条件を、嫌気性微生物の培養条件と相違させるとともに、好気性微生物の培養条件と相違させることが、さらにエタノール生成量の増加という望ましい効果を得ることができる。
本発明において、前記原料がタンパク質を含有する余剰汚泥または消化汚泥であり、前記培養条件分離手段が、前記エタノール発酵槽内の培養液の酸化還元電位を−300mV以上+200mV以下の範囲に制御するORP制御装置であるか(図1、図5、図7)、または前記エタノール発酵槽内の培養液のpHを5.0以上6.5以下の範囲に制御するpH制御装置であるか(図9)、または前記エタノール発酵槽内の培養液の温度を15℃以上35℃以下の範囲に制御する温度制御装置である(図10)ことが好ましい。培養条件分離手段としてORP制御装置、pH制御装置、温度制御装置のうちのいずれか1又は2以上の組み合わせを用いて、エタノール発酵菌の培養条件を嫌気性微生物の培養条件と相違させることにより、エタノール生成量を増加させることができる(表1、図3、図4)。
なお、上記のORP制御装置は、培養液の酸化還元電位を調整するORP調整器および酸化還元電位を測定するORP計を含むものとする。また、上記のpH制御装置は、培養液のpHを調整するpH調整器およびpHを測定するpH計を含むものとする。また、上記の温度制御装置は、培養液の温度を調整する温度調整器および温度を測定する温度計を含むものとする。
本発明において、前記培養条件分離手段が、前記原料供給装置から前記エタノール発酵槽までの間に設けられ、前記原料供給装置から供給される原料中の嫌気性微生物を殺菌する手段として加熱、殺菌剤、紫外線、オゾン、および機械破砕からなる群のうちより選択される1つ又は2つ以上を用いる殺菌手段をさらに有することが好ましい(図11)。嫌気性微生物を加熱殺菌する場合は、原料を約60〜180℃の温度範囲に加熱することが好ましい。なお、加熱保持時間は、数十秒間(20〜30秒間)でも効果が認められるが、より確実には数分間(2〜3分間)とすることが望ましい。殺菌剤により嫌気性微生物を殺菌する場合は、殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸カルシウム(Ca(OCl)2)、二酸化塩素(ClO2)、塩素化イソシアヌール酸などを用いることが好ましい。紫外線照射により嫌気性微生物を殺菌する場合は、100〜10000J/m2の紫外線照射量とすることが好ましい。オゾンにより嫌気性微生物を殺菌する場合は、オゾン供給量を水中のオゾン濃度が0.1mg/L以上とすることが好ましい。機械破砕により嫌気性微生物を殺菌する場合は、例えば特開2007-98209号公報や特開2008-36555号公報に記載されている超音波振動のような破砕ミキサーを用いて1〜60分間処理することが好ましい。
本発明において、エタノール発酵槽のエタノール培養液からエタノールを精製する手段として沈殿槽および蒸留槽をさらに有することが好ましい(図1、図5、図7、図9〜図11)。エタノール発酵槽から出てくる最初の粗エタノールは、不溶性の固形分を含むため、沈殿槽において固形分を沈殿させて除去することが望ましい。また、粗エタノールは、可溶性の不純物を含むため、蒸留槽において不純物を分留して除去することが望ましい。
本願明細書中の用語を次のように定義する。
「初沈汚泥」とは、最初沈殿池において汚水や下水などの原水から沈殿する沈殿物からなる汚泥をいう。初沈汚泥は、例えばトイレットペーパーや髪の毛等の繊維質炭水化物を多量に含んでいる。
「余剰汚泥」とは、最終沈殿池おいて曝気槽の活性汚泥から沈殿する沈殿物のうち、曝気槽への返送汚泥分を除いた汚泥をいう。余剰汚泥は、前段の曝気槽内で増殖した活性汚泥微生物そのものであり、この微生物にはタンパク質が約50%と多量に含まれているとともに、好気性微生物から嫌気性微生物までの多種多様な微生物を多量に含んでいる。
「消化汚泥」とは、絶対嫌気性の培養条件下でメタン発酵菌等の嫌気性微生物により余剰汚泥を処理した汚泥をいう。消化汚泥は、汚泥消化槽において沈殿する汚泥であり、余剰汚泥と同様に各種の微生物とタンパク質を多量に含んでいる。
「好気性」とは、遊離の酸素分子が存在が必要なこと、および遊離の酸素分子が利用可能状態をいう。また、実質的には、水中の溶存酸素濃度が0.1mg/L以上飽和溶存酸素濃度(常温では約8mg/L)以下の、水中に酸素濃度が溶解している状態をいう。
「嫌気性」とは、生物による利用可能は遊離の酸素分子および酸化態窒素の結合酸素が存在しないこと状態をいう。実質的には、ORP(酸化還元電位)がマイナス300mVより小さくマイナス500mVより大きい領域の状態をいう。
「嫌気性微生物」とは、遊離の酸素分子のない状態で生育できる微生物で、酸素分子が存在すると増殖できない絶対嫌気性微生物と、酸素分子の有無にかかわらず増殖できる通性嫌気性微生物とがある。このような絶対嫌気性微生物の代表的なものとしてメタン発酵菌があげられ、通性嫌気性微生物の代表的なものとして、大腸菌や酵母などのようなエタノール発酵菌などがあげられる。
などがあげられる。
絶対嫌気性の環境下では、メタン発酵菌は活性であり増殖するが、酵母などのエタノール発酵菌は、かかる絶対嫌気性でも好気性でも、いずれの環境でも増殖することができる。また、嫌気性微生物が増殖できずかつ好気性微生物も増殖できないORP−300mV以上、0mV以下の領域でも、増殖することができる。
本発明によれば、下水、産業排水、下水汚泥、産業排水汚泥、生ゴミ等の廃棄物、特にタンパク質を含有する汚泥を原料としてエタノールを製造する場合に、メタン発酵菌と競合することなく、エタノール生産量の高いエタノール製造装置を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るバイオエタノール製造装置を模式的に示す構成ブロック図。 第1実施形態の装置の制御フローチャート。 各種の微生物が活性に存在しうるORP領域を模式的に示す微生物活性分布図。 各種の微生物の活性とORPとの関係を模式的に示す特性線図。 第1実施形態の装置の変形例を示す構成ブロック図。 変形例の装置の制御フローチャート。 第1実施形態の装置の他の変形例を示す構成ブロック図。 他の変形例の装置の制御フローチャート。 本発明の第2の実施形態に係るバイオエタノール製造装置を模式的に示す構成ブロック図。 本発明の第3の実施形態に係るバイオエタノール製造装置を模式的に示す構成ブロック図。 本発明の第4の実施形態に係るバイオエタノール製造装置を模式的に示す構成ブロック図。 タンパク質含有原料を処理する従来の装置を示す構成ブロック図。 従来のバイオエタノール製造装置を示す構成ブロック図。
発明者らは、富タンパク質の廃棄物原料からエタノールを製造するバイオ技術について鋭意研究を続けた結果、表1に示すように、酵母等のエタノール発酵微生物は、メタン菌の増殖条件と相違し、この相違点を制御することにより、メタン菌の増殖を抑制し、かつエタノール発酵を促進することができることを見出した。
Figure 2011045263
本発明者らが得た知見を以下に列記する。
1)酸化還元電位(ORP)については、メタン発酵が−500〜−400mVと完全嫌気状態であるのに対して、エタノール発酵は微嫌気状態の-350〜0mVや、好気状態の0〜+300mVでも、エタノールを製造することができる。
2)pHについては、メタン発酵が6.5〜8.0と中性から弱アルカリ側であるのに対して、エタノール発酵は5.5〜6.5と弱酸性側である。
3)水温についても、メタン発酵の35〜40℃に対して、エタノール発酵は20〜35℃と低くなっている。
4)すなわち、発酵条件を、メタン発酵の条件と相違するエタノール発酵の条件で制御することにより、メタン発生を抑制してエタノール製造を行うことができるものである。
5)また、エタノール発酵槽である汚泥消化8の前段に、メタン菌を殺菌する殺菌装置を配置することにより、さらに、流入するメタン菌を殺菌することで、メタン菌の増殖を抑制することも可能である。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図8を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態では原料として余剰汚泥を用いる場合を説明する。
図1に示すように、本実施形態のバイオエタノール製造装置1は、プロセス機器として上流側から順に原料供給源2、エタノール発酵槽3、沈殿槽4、蒸留槽5およびエタノール貯留槽6を備えている。これらのプロセス機器2〜6は、図示しないポンプと弁をそれぞれ有するラインL1,L2,L3,L4により直列に接続されている。本装置1では、エタノール発酵槽3での発酵反応に通常4〜5日間、長い場合は7〜10日間の時間を要するため、バッチ処理方式を採用している。
原料供給源2は、図示しない下水処理設備からエタノール原料となる余剰汚泥を受け入れて貯留しておく汚泥貯留槽である。この余剰汚泥は、水処理プロセスにおいて発生する副生成物であり、例えば図12に示す水処理プロセスの最終沈殿池105において沈殿した沈殿物を汚泥としてドレインライン125を介して排出されるものである。このような余剰汚泥は、例えばタンパク質を40〜60質量%、炭水化物(糖類を含む)を5〜15質量%、脂肪を5〜15質量%、残部が水およびミネラルを含むものである。ちなみに、図12に示す水処理プロセスの最初沈殿池103において沈殿する初沈汚泥は、炭水化物(繊維質を含む)を30〜50質量%、タンパク質を20〜25質量%、脂肪を10〜20質量%、残部が水およびミネラルを含むものである。
エタノール発酵槽3は、配管ラインL1により原料供給源2の排出口に接続され、ラインL1に設けられた図示しない弁を開け、図示しないポンプを駆動させることにより原料供給源2からエタノール原料となる余剰汚泥が導入され、エタノール発酵反応が行われるものである。このエタノール発酵槽3には、内部が気密になるように蓋が被せられ、その蓋に開けられた小さい孔を通して図示しないホッパーから適量のエタノール発酵菌が適時に投入されるようになっている。なお、エタノール発酵菌の投入は運転作業員がマニュアルで行ってもよいことは勿論である。
エタノール発酵槽3の容量は、上工程である水処理プロセスの処理設備の規模に応じて決まるものであるが、エタノール発酵菌の発酵反応のサイクルが通常4〜5日間のバッチ処理方式であることを考慮すればある程度以上の容量とする必要がある。また、エタノール発酵槽3の深さ(高さ)と面積もエタノール発酵反応に重要な要素であり、エタノール発酵菌の発酵反応が最適に進行するようにエタノール発酵槽3が設計されている。
エタノール発酵槽3にはORP計7が取り付けられ、エタノール発酵槽3内の培養液の酸化還元電位(ORP)が随時測定され、その測定信号S1が制御器9に送られるようになっている。また、エタノール発酵槽3の上部には弁8を有するガス配管ラインL5が接続され、エタノール発酵槽3内で発生する発酵ガス(二酸化炭素など)がラインL5を介して図示しないガス貯留タンクに排出されるようになっている。制御器9は、図示しない圧力計からの発酵槽内圧検出信号に基づいて弁8を開閉制御してエタノール発酵槽3から発酵ガスを適時に排出させるようになっている。なお、制御器9は、ORP計7からの信号S1に基づいて発酵反応の進行状況を推定し、その結果に応じてエタノール発酵槽3から発酵ガスを排出させるようにしてもよい。
沈殿槽4は、配管ラインL2によりエタノール発酵槽3の上部出口に接続され、エタノール発酵槽3から生成エタノールを含む上澄み液が導入され、液中の固形分を沈殿させるものである。
蒸留槽5は、配管ラインL3により沈殿槽4の上部出口に接続され、沈殿槽4から生成エタノールを含む上澄み液が導入され、導入液を蒸留してエタノール濃縮蒸気を生成するものである。
エタノール貯留槽6は、配管ラインL4により蒸留槽5の上部出口に接続され、蒸留槽5からエタノール濃縮蒸気が導入され、それを冷却凝縮させてエタノール濃縮液とし、貯留するものである。
次に図2を参照して本実施形態の作用を説明する。
エタノール発酵槽3内に原料を導入するとともに、これに適量のエタノール発酵菌を投入し、所定期間の発酵反応を経た後に、ORP計7によりエタノール発酵槽3内の培養液の酸化還元電位(ORP)を測定する(工程K1)。制御器9は、ORP計7から測定信号S1が入力されると、それに基づいて発酵反応の進行状況を判定し(工程K2)、その判定結果に応じて弁8を開閉制御する。すなわち、制御器9にはORP制御設定閾値としてマイナス300mVが予め設定して保存されており、信号S1が入力されるとORP制御設定閾値を呼び出し、それと入力信号S1とを比較して、ORP計7からのORP計測値がORP制御設定閾値(-300mV)を超えている場合には、信号S2を弁8の駆動回路に送り、弁8をON(開)にしてエタノール発酵槽3から発酵ガスを排出させる(工程K3)。一方、ORP計7からのORP計測値がORP制御設定閾値(-300mV)以下である場合には、信号S2を弁8の駆動回路に送り、弁8をOFF(閉)にする(工程K4)。このように制御器9は、入力信号S1ごとに弁8のON−OFF制御を行い、その後にORP計7および弁8をリセットし(工程K5)、工程K1に戻ってORP計測を再び行う。
本実施形態によれば、制御アクチュエータとしてガスラインL5の弁8の開閉操作を適用したので、弁8の開閉のみで簡易にエタノール発酵槽3内の培養液のORPを制御することが可能となる。
また、本実施形態によれば、制御器9は、弁8のON−OFF制御のみで構成したので、シンプルな制御ロジックとなり、制御装置の製作や設定値の変更が容易となる。
また、本実施形態によれば、ORP制御設定閾値を−300mVとし、メタン菌増殖条件の−400〜−500mVから離脱した側に設定したので、メタン発酵菌の活動を効率的に抑制することが可能となる。
次に図3と図4を参照してエタノール発酵反応とORPとの関係について説明する。
図3は各種の微生物が活性になるORP領域を模式的に示した図である。各ORP値は、大気圧室温下で中性または弱酸性のpH条件として測定したものである。図中の斜線部分が各種微生物の活性化領域である。図中の領域Mはメタノール発酵菌が最も活性化する−400mV以下−500mV以上の絶対嫌気性のORP領域である。この領域Mでは、エタノール発酵菌とメタノール発酵菌とを共存させた場合、図4に示すようにメタノール発酵菌の増殖が盛んで活発に活動するためにエタノール発酵菌の活動が抑止または抑制され、メタノールは生成されるが、エタノールは生成されない。図中の領域Aは各種の好気菌が活性化して増殖する+100mV以上+300mV以下の好気性のORP領域である。この領域Aでは、エタノール発酵菌と好気菌とを共存させた場合、図4に示すように好気菌の増殖が盛んで活発に活動するために、エタノール発酵菌の活動が抑制されるばかりでなく、エタノール発酵菌が好気菌に食い殺されてしまう。
図中の領域Eは、エタノール発酵菌が活発に活動してエタノールを好適に生成する−350mV以上+100mV以下のORP領域である。この領域Eでは、エタノール発酵菌を好気菌やメタノール発酵菌と共存させた場合、図4に示すようにエタノール発酵菌が活性化するとともに好気菌などの他の微生物にエタノール発酵菌が食い殺されないで増殖できる。
本実施形態の種々の変形例を説明する。
本実施形態の変形例として、図5に示すバイオエタノール製造装置1Aを用いることができる。変形例の装置1Aでは、コンプレッサ10に連通する配管ラインL6の先端開口部をエタノール発酵槽3内の下部に配置し、エタノール発酵槽3内の培養液中または水中に空気を吹き込むようにしている。
図6を参照して変形例の作用を説明する。
エタノール発酵槽3内に原料を導入するとともに、これに適量のエタノール発酵菌を投入し、所定期間の発酵反応を経た後に、ORP計7によりエタノール発酵槽3内の培養液の酸化還元電位(ORP)を測定する(工程K21)。制御器9は、ORP計7から測定信号S1が入力されると、それに基づいて発酵反応の進行状況を判定し(工程K22)、その判定結果に応じてコンプレッサ10の動作を制御する。すなわち、制御器9にはORP制御設定閾値としてマイナス300mVが予め設定して保存されており、信号S1が入力されるとORP制御設定閾値を呼び出し、それと入力信号S1とを比較して、ORP計7からのORP計測値がORP制御設定閾値(-300mV)を超えている場合には、信号S3をコンプレッサ10の駆動回路に送り、コンプレッサ10をON(起動)にしてエタノール発酵槽3内の原料に空気を吹き込む(工程K23)。一方、ORP計7からのORP計測値がORP制御設定閾値(-300mV)以下である場合には、信号S3をコンプレッサ10の駆動回路に送り、コンプレッサ10をOFF(停止)にする(工程K24)。このように制御器9は、入力信号S1ごとにコンプレッサ10のON−OFF制御を行い、その後にORP計7およびコンプレッサ10をリセットし(工程K25)、工程K2に戻ってORP計測を再び行う。
本変形例の装置1Aによれば、ORP設定値−300mVとなるようにコンプレッサ10をON−OFF制御し、空気を強制的にエタノール培養槽3内の原料に供給するので、上記実施形態装置1の弁8の開閉制御に比べて瞬時にORP値を上昇させることが可能となり、ORP制御の制御性が向上する。
本実施形態の他の変形例として、図7に示すバイオエタノール製造装置1Bを用いることができる。変形例の装置1Bでは、窒素源11からの窒素ガスを第2の弁12の開閉でエタノール発酵槽3内に供給し、同槽3内のORPを低下させるようにしている。
図8を参照して変形例の作用を説明する。
エタノール発酵槽3内に原料を導入するとともに、これに適量のエタノール発酵菌を投入し、所定期間の発酵反応を経た後に、ORP計7によりエタノール発酵槽3内の培養液の酸化還元電位(ORP)を測定する(工程K31)。制御器9は、ORP計7から測定信号S1が入力されると、それに基づいて発酵反応の進行状況を判定し(工程K32)、その判定結果に応じて第1の弁8を開閉制御する。すなわち、制御器9には第1のORP制御設定閾値としてマイナス300mV、第2のORP制御設定閾値としてマイナス200mVがそれぞれ予め設定して保存されており、信号S1が入力されると第1のORP制御設定閾値を呼び出し、それと入力信号S1とを比較して、ORP計7からのORP計測値が第1のORP制御設定閾値(-300mV)を超えている場合には、信号S4を第1の弁8の駆動回路に送り、第1の弁8をON(開)にしてエタノール発酵槽3から発酵ガスを排出させる(工程K33)。
一方、ORP計7からのORP計測値が第1のORP制御設定閾値(-300mV)以下である場合には、信号S4を第1の弁8の駆動回路に送り、第1の弁8をOFF(閉)にする(工程K34)。次いで、制御器9は、第2のORP制御設定閾値を呼び出し、それと入力信号S1とを比較して、ORP計7からのORP計測値が第2のORP制御設定閾値(-200mV)を超えている場合には、信号S5を第2の弁12の駆動回路に送り、第2の弁12をON(開)にして、窒素源11からの窒素ガスをエタノール発酵槽3内に供給し、同槽3内のORPを低下させる(工程K36)。
一方、ORP計7からのORP計測値が第2のORP制御設定閾値(-200mV)以下である場合には、信号S5を第2の弁12の駆動回路に送り、第2の弁12をOFF(閉)にする(工程K37)。このように制御器9は、入力信号S1ごとに第1及び第2の弁8,12のON−OFF制御を行い、その後にORP計7および第1及び第2の弁8,12をリセットし、工程K31に戻ってORP計測を再び行う。
本変形例の装置1Bによれば、ORPをマイナス側に操作させる速度を上昇させて制御の応答性をさらに高めることができる。
なお、本実施形態ではエタノール発酵槽の発酵ガスを排出するガスラインの開閉弁をON−OFF制御するようにしたが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、ON−OFF制御以外に、PIDを用いたフィードバック制御も可能である。この場合、上記弁8や弁64の弁開度が調整できる構成とし、この弁開度をアクチュエータとして、PID制御するものである。この場合の効果として、制御の応答性が向上するといった効果を有する。
また、ORP設定閾値を−300mV以外の、−350mv以上+200mV以内の範囲で設定値を変更可能である。ORP設定値をマイナス側に設定することにより、より上記空気供給量を低減でき、プラス側に設定することによりメタン菌増殖をより抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に図9を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態のバイオエタノール製造装置1Cは、エタノール発酵槽3内の培養液のpHを測定するpH計13、およびpH調整剤として硫酸水溶液を貯留する硫酸水溶液貯留槽14を備えている。pH計13は、エタノール発酵槽3内に配されており、その出力端子が制御器9の入力端子と電気的に接続されている。制御器9には、pH設定閾値としてpH6.0が予め設定して保存されている。制御器9は、このpH設定閾値を用いて、硫酸水溶液貯留槽14からエタノール発酵槽3への硫酸水溶液の供給または停止を行うアクチュエータとしてのポンプ15の運転をON−OFF制御するようになっている。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の装置1Cでは、pH計13によりエタノール発酵槽3内の培養液のpHを測定し、その測定信号S6を制御器9に送る。制御器9は、入力信号S6が入ると、pH設定閾値を呼び出し、呼び出したpH設定閾値と入力信号S6とを比較することにより、エタノール発酵槽3内の培養液のpHが6.0より大きいか小さいかを判定する。その判定結果がpH6.0以下であればポンプ15をOFFとし、pH6.0超えであればポンプ15の電源回路に指令信号S7を送り、ポンプ15をON(起動)する。これにより硫酸水溶液貯留槽14から所定量の硫酸水溶液がエタノール発酵槽3に供給され、エタノール発酵槽3内の培養液のpHが6.0以下になるように調整される。
本実施形態によれば、硫酸は強酸であることから、エタノール発酵槽3内の培養液のpHをメタン菌増殖条件から離脱した数値(pH6.0以下)まで低下させることが容易となる。
なお、硫酸以外の塩酸などの酸、および水酸化ナトリウムなどのアルカリとポンプの併用も可能である。この場合の効果としては、塩酸は硫酸に比べてイオウ分が無いので、硫酸還元による硫化水素の発生を抑制でき、また水酸化ナトリウムはpHが5.0以下と下がりすぎた場合、適正範囲の5.0〜6.5まで瞬時に上昇させることが可能である。従って、エタノール発酵微生物のpH低下による死滅を防止することも可能である。
(第3の実施形態)
次に図10を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態のバイオエタノール製造装置1Dは、エタノール発酵槽3内の培養液の温度を測定する温度計16およびエタノール発酵槽3内の培養液との間で熱交換する熱交換器17を備えている。温度計16はエタノール発酵槽3内に配されており、この温度計16出力端子が制御器9の入力端子と電気的に接続されている。制御器9には、温度設定閾値として25℃(室温)が予め設定して保存されている。制御器9は、この温度設定閾値を用いて、アクチュエータとしての熱交換器17の運転をON−OFF制御するようになっている。本実施形態では、熱交換器17を熱交換ラインL9,L10を介してエタノール発酵槽3内に連通させ、発酵槽3内の培養液と媒体との間で熱交換しうるように構成した。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の装置1Dでは、温度計16によりエタノール発酵槽3内の培養液の温度を測定し、その測定信号S8を制御器9に送る。制御器9は、入力信号S8が入ると、温度設定閾値を呼び出し、呼び出した温度設定閾値と入力信号S8とを比較することにより、エタノール発酵槽3内の培養液の温度が25℃から離脱しているか否かを判定する。その判定結果が25℃を離脱していない場合は熱交換器17をOFFとし、その判定結果が25℃を離脱している場合は熱交換器17の電源回路に指令信号S9を送り、熱交換器17をON(起動)する。これにより熱交換器17から熱媒または冷媒が所定時間だけラインL9,L10を循環し、エタノール発酵槽3内の培養液の温度が25℃になるように調整される。
本実施形態によれば、冬期や夏期のように、測定温度が設定閾値25℃から離脱した場合でも、効率的に運転制御することが可能となる。
なお、本発明は上記の熱交換器17ばかりに限定されるものではなく、これ以外の他の温調手段としてエタノール発酵槽3の外型外壁に水配管を設け、この水配管をクールユニットで循環させる温冷水循環装置を設けることも可能である。このようにすると、構造がシンプルになり、メンテナンスが容易になるというメリットがある。
(第4の実施形態)
次に図11を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態のバイオエタノール製造装置1Eは、原料供給源2からエタノール培養槽3までのラインL1に加熱処理槽18を設け、原料供給源2から供給される原料(余剰汚泥)を加熱殺菌した後にエタノール培養槽3に導入するようにしている。この加熱処理槽18内には下水処理場内の熱源ラインL11,L12に連通するスチーム配管19が引き込まれている。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態の装置1Eでは、スチーム配管19から加熱処理槽18内に高温のスチームを供給することによって、加熱処理槽18内に流入する余剰汚泥を約60〜180℃の温度まで加熱することができ、この加熱昇温によって汚泥中のメタン発酵菌が殺菌される。
本実施形態によれば、加熱処理を用いたことにより、メタン菌の殺菌とともに、流入汚泥の細胞壁の損傷による細胞内の炭水化物やタンパク質を可溶化できるので、エタノール発酵効率が向上できる。また、加熱処理としてスチームを用いたことにより、下水処理場内で余剰となっている熱源のエネルギーを有効活用でき、省エネの装置として構成することも可能である。
なお、本発明は上記の加熱殺菌ばかりに限定されるものではなく、加熱殺菌処理の他に以下に列記する殺菌手段を加熱殺菌に代えて、またはこれと組み合わせて用いることができる。
1)塩素殺菌剤:殺菌剤として安価であり、ポンプで供給して混合するのみで殺菌が可能となる。すなわち、装置コストが非常に小さいというメリットを有する。
2)紫外線照射:紫外線ランプを配するのみでシンプルな構成となり、塩素剤のように発がん性の塩素系有機化合物はできないとのメリットを有する。
3)オゾン:オゾン発生器は高価とのデメリットを有するが、同様に、塩素剤のように発がん性の塩素系有機化合物はできないとのメリットを有する。また、オゾンの酸化力により、流入汚泥中の細胞壁を破壊し、細胞内部の炭水化物やタンパク質を可溶化でき、そのためエタノール発酵効率が向上できるとのメリットも同時に有する。
4)機械破砕:流入汚泥中の細胞壁を破壊し、細胞内部の炭水化物やタンパク質を可溶化でき、そのためエタノール発酵効率が向上できるとのメリットも有する。
1,1A,1B,1C,1D,1E…バイオエタノール製造装置、
2…原料供給源、3…エタノール発酵槽、
4…沈殿槽、5…蒸留槽、6…エタノール貯留槽、
7…ORP計、8…弁、9…制御器、
10…コンプレッサ、11…窒素ガス供給源、12…弁、
13…pH計、14…硫酸水溶液貯留槽、15…ポンプ、
16…温度計、17…熱交換器、18…加熱処理槽、19…スチームヒータ、
L1〜L12…ライン。

Claims (6)

  1. 排水、汚泥、廃棄物のうちの少なくとも1つを含む原料を供給するための原料供給装置と、
    エタノール発酵反応に寄与する微生物としてエタノール発酵菌が予め投入され、前記原料供給装置から供給される原料と前記エタノール発酵菌とを混合培養させるエタノール発酵槽と、
    前記エタノール発酵槽内のエタノール発酵菌の培養条件を、嫌気性微生物の培養条件と相違させる培養条件分離手段と、
    を具備することを特徴とするバイオエタノール製造装置。
  2. 前記原料がタンパク質を含有する余剰汚泥または消化汚泥であり、
    前記培養条件分離手段が前記エタノール発酵槽内の培養液の酸化還元電位を−300mV以上+200mV以下の範囲に制御するORP制御装置であることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記原料がタンパク質を含有する余剰汚泥または消化汚泥であり、
    前記培養条件分離手段が前記エタノール発酵槽内の培養液のpHを5.0以上6.5以下の範囲に制御するpH制御装置であることを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 前記原料がタンパク質を含有する余剰汚泥または消化汚泥であり、
    前記培養条件分離手段が前記エタノール発酵槽内の培養液の温度を15℃以上35℃以下の範囲に制御する温度制御装置であることを特徴とする請求項1記載の装置。
  5. 前記培養条件分離手段が、前記原料供給装置から前記エタノール発酵槽までの間に設けられ、前記原料供給装置から供給される原料中の嫌気性微生物を殺菌する手段として加熱、殺菌剤、紫外線、オゾン、および機械破砕からなる群のうちより選択される1つ又は2つ以上を用いる殺菌手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の装置。
  6. 前記エタノール発酵槽のエタノール培養液からエタノールを精製する手段として沈殿槽および蒸留槽をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の装置。
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