JP2011044689A - 太陽電池用シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(I)層、及び(II)層を各々少なくとも1層以上有してなる太陽電池用シート。
(I)層:ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニルサルファイドを主成分とする樹脂組成物からなる層、
(II)層:水蒸気透過率(測定方法:JIS K7129)が10g/m2・24hr未満であるガスバリア性層
【選択図】なし
Description
1.下記(I)層、及び(II)層を各々少なくとも1層以上有してなる太陽電池用シート。
(I)層:ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニルサルファイドを主成分とする樹脂組成物からなる層、
(II)層: 水蒸気透過率(測定方法:JIS K7129)が10g/m2・24hr未満であるガスバリア性層
2.前記(II)層が、下記(a)〜(e)から選択されてなる上記1に記載の太陽電池用シート。
(a)金属薄膜層
(b)無機薄膜層
(c)環状オレフィン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリクロロトリフルオロエチレンから選択される樹脂を主成分とする樹脂層
(d)平板状無機粒子を含有する樹脂層
(e)ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、及びエポキシ系樹脂から選択される樹脂を主成分とするコーティング層
3.上記1又は2に記載の太陽電池用シートが設けられてなる太陽電池モジュール。
4.前記(I)層が太陽電池モジュールを構成する封止樹脂層に接着されてなる上記3に記載の太陽電池モジュール。
5.前記封止樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂のいずれかを含んでなる上記4に記載の太陽電池モジュール。
6.前記封止樹脂層が、ラジカル発生剤を含んでなる上記4又は5に記載の太陽電池モジュール。
7.太陽電池用シートの一方の面にジャンクションボックスが接着されてなる上記3〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
に関するものである。
本発明の太陽電池用シートは、太陽電池モジュールを構成するために用いられるシートであり、特に表面または裏面封止シート(フロントシートまたはバックシート)や、基板シート等が挙げられ、特にバックシートとして好適に使用できる太陽電池用シートである。
本発明の太陽電池用シートは、少なくとも(I)層、及び(II)層を各々少なくとも1層以上有する積層シートからなり、各構成層の内容は以下の通りである。
なお、本明細書において、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(JIS K6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
(I)層は、ポリフェニレンエーテル(以下「PPE」と略することがある)、又はポリフェニルサルファイド(以下「PPS」と略することがある)を主成分とする樹脂組成物からなることを必要とする。
ここで「主成分」とは、(I)層に含有される樹脂組成物のうち最大の割合を占めることを表し、下限値は特に決められないが、PPE又はPPSが50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、耐久性、難燃性、寸法安定性及び高い機械強度、封止樹脂層等との高い密着性を達成することができる。
ポリフェニレンエーテル(PPE)の具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、工業的に入手しやすいことからポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好適に使用される。
これらの添加量は、前述するポリフェニレンエーテルの質量%を超えない範囲で適量配合することが好ましい。例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂は1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、この範囲で配合することにより溶融加工性、耐衝撃性を向上させることができ、また、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の添加であれば耐熱性を低下しすぎたり、難燃性を阻害する等の問題がなく好ましい。
さらに、臭化ビフェニルエーテル等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤、窒素系化合物、アンチモン系化合物等の無機系難燃剤等を添加することで難燃性の向上が可能であるが、環境負荷や、難燃性の付与、機械強度の確保等の観点から下記に記すようなリン系難燃剤が好ましい。
これらは30質量%以下で添加されることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。この範囲であれば、難燃剤を添加することによって耐熱性が低下しすぎることや、溶融加工中に揮発ガスとして環境を汚染することがなく好適である。また、添加部数の下限値としては0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。この範囲であれば、難燃性を向上させる効果が得られるため好適である。
また、成形性を改良するなどの目的で、異なる極限粘度を持つポリフェニレンエーテルを組み合わせて用いても構わない。
商業的に入手可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物としては、SABICイノベーションプラスチックス社より商品名「ノリルPX9406」、「ノリルLTA1350」、「ノリルN300」として、旭化成ケミカルズ社より商品名「ザイロン540Z」、「ザイロン640Z」、「ザイロン740Z」として、三菱エンジニアリングプラスチックス社より「ユピエースLN91」、「ユピエースAN70」、「ユピエースAH90」、「ユピエースTX903B」、「レマロイBX528−A3」として、それぞれ販売されており入手可能である。
次に、(I)層において、使用するポリフェニレンサルファイド(PPS)とは、下記式(1)で表される繰り返し単位を80モル%以上、好ましくは90モル%以上有する重合体をいう。
また、ポリフェニレンサルファイドは、分岐鎖を有した高分子でも、一部架橋構造を有した高分子であってもよいが、直鎖・線状の分子量5万以上の高分子であることが押出成形性と物性を発現するうえで好ましい。
これらの添加量は、ポリフェニレンサルファイドの質量%を超えない範囲で適量配合することが好ましい。例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂は1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、この範囲で配合することにより溶融加工性、耐衝撃性を向上させることができ、また、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の添加であれば耐熱性を低下しすぎたり、難燃性を阻害する等の問題が生じにくい。
さらに、臭化ビフェニルエーテル等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤、窒素系化合物、アンチモン系化合物等の無機系難燃剤等を添加することで難燃性の向上が可能であるが、環境負荷や、難燃性の付与、機械強度の確保等の観点から上述した<ポリフェニレンエーテル>の項で説明したリン系難燃剤の使用が好ましい。
商業的に入手可能なポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物としては、ポリプラスチックス社製「フォートロン0220C9」、「フォートロン0220A9」、DIC社製「DIC.PPS LD10P11」、「DIC.PPS FZ2100」、「DIC.PPS Z200E5」、シェブロンフィリップス化学社製「ライトンQC160N」、「ライトンXE3202NA」等が例示できる。特にこの中でも成形性と機械物性に優れることからポリプラスチックス社製「フォートロン0220C9」が好適に使用できる。
上述した内容からなるPPEを主成分とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、又は、PPSを主成分とするポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物を用いて、(I)層を作製するが、その形態は通常フィルム又はシート形状であり、製造方法は、従来公知の成形方法により作製することができる。各組成物は事前に混練しても、作製(製膜)時に一括して混練しても良い。
成形方法は、押出成形法、カレンダー成形法、流延成形法のいずれの方式でも良いが、薄膜品採取のし易さと生産効率の観点から、押出成形法が好ましい。
押出成形法では、いずれの組成物も、比較的高温(260℃〜320℃)で押出成形をすることから、成形時にメヤニ(樹脂付着物)や異物等の熱分解生成物を発生し、得られるフィルム又はシートの外観が損なわれ易い。対策としては、口金のリップギャップを開放し剪断速度を落とす方法や口金流路面にメッキを施す方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、又は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物と金属との滑り性が良いその他の樹脂を共押出する方法などがある。その他の樹脂を共押出する場合、通常は冷却固化後にその他の樹脂を剥離する。但し、その他の樹脂を本発明の太陽電池用シートに積層して使用する場合には、当該その他の樹脂を片面又は両面剥離しない態様を取ることもできる。
剪断粘度を上記の値に調整するためには、(1)使用するPPE又はPPSの分子量を調整する、(2)他成分のスチレン系樹脂やエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の成分比率を調整する、(3)難燃剤の種類と添加量を調整する、(4)その他可塑剤等を添加する手法がある。
本発明の太陽電池用シートにおける、(II)層は、特定のガスバリア性を有する層とする必要があり、水蒸気透過率(測定方法:JIS K7127)が10g/m2・24hr未満であることを要する。
通常、シートでのガスバリア性とは、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性を指すが、特に太陽電池では太陽電池素子の水分による性能低下を抑制するために、優れた水蒸気バリア性が要求される。太陽電池の種類、構成によってその要求水準は異なるが、水蒸気バリア性の特性である水蒸気透過率で比較した場合、もっとも普及している結晶シリコン系の太陽電池用途であれば、水蒸気透過率が10g/m2・24hr未満であることが必要であり、5g/m2・24hr未満であることが好ましく、1g/m2・24hr未満であることがより好ましい。また、薄膜シリコン系、無機化合物系、有機化合物系、色素増感系等の次世代と呼ばれる太陽電池に関しては、更なる水蒸気バリア性を要求され、水蒸気透過率としては0.1g/m2・24hr未満である。
このような、ガスバリア性を発現するために、
(II)層としては、要求されるガスバリア性等に応じて、下記(a)〜(e)から選択されてなることが好ましい。
(a)金属薄膜層
(b)無機薄膜層
(c)環状オレフィン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリクロロトリフルオロエチレンから選択される樹脂を主成分とする樹脂層
(d)平板状無機粒子を含有する樹脂層
(e)ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、及びエポキシ系樹脂から選択される樹脂を主成分とするコーティング層
以下、上記(a)〜(e)各層について説明する。
ハンドリング、入手の容易さからアルミニウム箔が好適に使用できる。厚みが20μm以上あればピンホールによるガスバリア性の低下を防止できる。
無機薄膜層を形成する基材として、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(部分けん化物、EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム物性の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。なかでも、フィルム強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがより好ましい。更には、耐候性、耐加水分解性の点で、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
珪素を含む第一原料ガスとしては、モノシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等を単独、或いは2種組み合わせて使用することができる。
また、原料ガスは、室温において液体でも気体でもよく、液体原料は、原料気化機により気化して装置内へ供給することができる。触媒化学気相成長法においては、加熱触媒体の劣化や反応性・反応速度の点から、モノシランガスが好ましい。
樹脂単体でガスバリア性を有する樹脂であり、結晶性を有するシートや、延伸配向したフィルムが好適に使用できる。結晶や配向によって気体の透過経路が長くなり、ガスバリア性を発現する。環状オレフィン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリクロロトリフルオロエチレンから選択される樹脂が好適に使用できる。最も好適に使用できるのはガスバリア性に優れている環状オレフィンである。
熱可塑性樹脂に平板状無機粒子を含有することでガスバリア性を向上することができる。平板状無機粒子としては、マイカやクレイが例示され、このような平板状の粒子を含有することで気体の透過経路が長くなり、ガスバリア性を発現できる。樹脂成分に対する含有量は通常10〜50質量%程度であり、樹脂と平板状無機粒子を二軸押出機で混練しながら押出成形することで、樹脂中に平板状無機粒子を均一に分散させることが出来、また生産性にも優れるために好適である。また、例えばナイロンとクレイのナノコンポジット化したものを成形し、フィルム又はシートとして好適に使用できる。
樹脂成分として、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、及びエポキシ系樹脂から選択される樹脂を主成分とするものであり、基材に通常の溶剤により溶解させた樹脂成分をコートすることができる。ポリ塩化ビニリデンがガスバリア性に優れており好適に使用できる。
本発明の太陽電池用シートは、上述した内容の(I)層、及び(II)層を各々少なくとも1層以上有する層構成とするものであり、下記に示す層構成が例示できる。なお、これ以外の層構成についても本発明の要旨に反しない限り、種々のものが可能である。
1:[(I)層/(II)層]→ 封止樹脂層側
2:[(I)層/(II)層/(I)層]→ 封止樹脂層側
3:[(I)層/(II)層/遮光性着色層]→ 封止樹脂層側
4:[(I)層/中間層/(II)層]→ 封止樹脂層側
5:[(I)層/(II)層/(I)層/易接着層]→ 封止樹脂層側
上記層構成で(I)層及び(II)層以外の層は、太陽電池用シートに要求される特性に対応した層であり、当該層の具体的な内容については、後述する。また、例えば、(I)層を複数記載しているものでは、その組成物の内容が相違するものも含まれている。
中でも、1の構成では、構成を簡素化することによる生産性の向上や、層界面が少ないことによる信頼性の観点から好ましく、2の構成では、耐熱性、耐久性、難燃性に優れる(I)層が両外層に配置されるため高い信頼性を得ることができ好ましい。
これらの層構成からなるシートは、使用する樹脂によっては、共押出成形法によって形成することができ、また、単層のフィルムとして形成した後に、ポリウレタン系、ポリエステル系接着剤等の公知の接着剤によってドライラミネーション法により形成することができる。その際、各層との接着性を向上するため、また、封止材やジャンクションボックスとの接着性を向上させるために、コロナ放電処理等の公知の処理を施しても構わない。
上記の例示した太陽電池用シートでは、全て(I)層が外表面に配置されており、後述する太陽電池モジュールに付属するジャンクションボックスや、鋼板や樹脂板等の被着体との長期にわたる密着性を発現しやすく、また、耐熱性、耐久性、難燃性に優れる(I)層を外表面に配置することで長期信頼性が得られる。
ここで、「外表面」とは太陽電池モジュールに組み込んだ場合の外部に露出する面を意味し、「内表面」とは太陽電池モジュールに組み込んだ際の封止樹脂層に接する面を意味する。
本発明の太陽電池用シートにおける(I)層の合計厚みのシート全体厚みに対する比率は、全体の厚みの50%を超えることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましい。(I)層を50%を超える範囲で形成することにより、難燃性、耐熱性、機械強度等、厚みが影響する特性を良好に発揮することができる。
複層構成のシートにおけるシート全体のガスバリア性は、最もガスバリア性が高い層によって決定され、厚み比の影響は小さい。そのため、(II)層の厚み比率は特に制限されることがなく、(II)層を配置することでガスバリア性に関する効果を発揮できる。
上記5にて示した層構成では、内表面に易接着層を設けている。この層を設けることにより、封止樹脂層との密着性をさらに向上できる。易接着層は共押出、ドライラミネーション、コーティング等の公知の方法によって形成することができる。
共押出により形成する場合は、ポリオレフィン系樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン、環状ポリオレフィン)や変性ポリオレフィン系樹脂(例えば、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の共重合ビニル化合物を使用することが好ましい。
また、上述の層をそれぞれ単独で形成したのち、ドライラミネーションにより複合化しても良い。コーティングにより形成する場合は、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂を使用することが耐久性の観点から好ましい。
易接着層の厚みは、共押出やドライラミネーションによって形成される場合は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。この範囲であれば良好な接着性を発現することができ好ましい。上限値は特に定まっていないが、150μm以下であればハンドリング性の観点から好ましい。
コーティングにより形成する場合は0.5μm以上が好ましく、1μm以上が好ましく、2μm以上が好ましい。上限値は特に定まっていないが、20μm以下であれば効率的に作製可能であり好適である。
上記4にて示した層構成では、(I)層と(II)層の間に中間層を配置しており、中間層を形成することにより、太陽電池用シート全体としての厚みを増すことができ、機械強度、絶縁性、耐熱性をさらに向上させることができる。中間層に使用する樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
上記の中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等のオレフィン系樹脂は耐加水分解性に優れるため耐久性に優れ、また比重が軽いことからシート全体の軽量化を図れるという利点があり、ポリエステル系樹脂のうち、特に二軸延伸してなるものは非常に高い機械強度(弾性率)を有するため好ましい。フッ素系樹脂は難燃性と耐久性を兼ね備えており物性を向上させることができる。
上記3にて示した層構成では、内表面に遮光性着色層を設けている。遮光性着色層は、太陽電池セルを透過した太陽光線を反射させ、発電効率を高める目的と、紫外線を反射或いは吸収させることにより当該太陽電池用バックシート構成材の紫外線劣化を防ぎ、バックシートの耐候性、耐久性、耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性を向上させる目的で、太陽電池用バックシートの裏面側封止材に接する側の構成材として用いられるものである。特に、太陽光を光反射させ、太陽電池を通過した光を再利用することで発電効率を向上させる点においては、白色化が有効である。
また更に、黒色化を始めとする各種着色により太陽電池モジュールの意匠性、装飾性を向上することができる。
なお、遮光性着色層における「光反射」には、光反射とともに光散乱も包含する。
上記白色顔料の中でも、安定性、非重金属化合物の点から、ルチル型酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機微粒子が好ましく、硫酸バリウム、ルチル型酸化チタンがより好ましく、硫酸バリウムが更に好ましい。
(I)層で使用する樹脂は、前述のとおり難燃性に優れる樹脂であり、さらに難燃性を向上するためには(I)層中のPPE又はPPSの含有量を上げる、難燃剤の添加量を上げる、滑剤等成分を少なくする方法があり、さらには(I)層厚みの全体に対する厚み比率を大きくする等の方法がある。
(I)層にポリフェニレンエーテル系樹脂を使用する場合、一般的にポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの2成分ブレンド系では、配合比率によって荷重たわみ温度が線形に推移し、ポリフェニレンエーテルが100%から0%までの間で、荷重たわみ温度は約190℃から約80℃まで変化する。従って、荷重たわみ温度を向上させるためには、ポリフェニレンエーテルの含有量を上げることが有効であり、また、荷重たわみ温度を低下させる難燃剤や可塑剤等の添加量を下げたり、ポリフェニレンサルファイドやポリアミド等の高耐熱性樹脂をブレンドしたり、無機充填材を配合したりすることも有効である。
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の太陽電池用シートが設けられてなる。具体的には、図1に示すように、太陽光受光側から順に、透明基板10、封止樹脂層12A、太陽電池素子14A,14B、封止樹脂層12B、本発明の太陽電池用バックシート16が積層されてなり、さらに、太陽電池用バックシート16の下面にジャンクションボックス18(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子14A及び14Bは、発電電流を外部へ電導するために配線20により連結されている。配線20は、太陽電池用バックシート16に設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールは内部へ水分が浸入すると劣化が生じるため、ジャンクションボックスのような付属品を取り付ける際には、太陽電池モジュールの内部に外気が侵入することのないよう、シール性を十分に確保する必要があるが、本発明の太陽電池用シートによれば、加熱処理だけで接着できるため、容易で確実に外気の浸入を防ぐことが可能となる。
封止樹脂層には、透光性、衝撃吸収性や、透明基板、太陽電池素子、太陽電池用バックシートとの接着性を兼ね備える各種樹脂が使用される。例えば、ポリオレフィン系樹脂(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1− ペンテンのようなα−オレフィン等の1種又は2 種以上の共重合成分とエチレンの共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体及びエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂)、エチレン酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂が好ましい。なお、封止樹脂層の厚みは50μm〜600μmのものが一般に用いられている。
ポリフェニレンエーテル系樹脂層はオレフィン系樹脂やエチレン酢酸ビニル系樹脂と親和性を有するため、良好な密着性を発現でき好ましい。さらに、これらの樹脂に後述するラジカル発生剤を含有させることで、ポリフェニレンエーテルが有する活性水素とラジカルとが反応し架橋構造を形成することで、両層の密着性を著しく向上させることができる。
ラジカル発生剤としては、特に制限はないが、有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、高分子アゾ化合物等のアゾ化合物、アリル錫、トリエチルボラン等の有機金属化合物等が挙げられる。中でも、後述する有機過酸化物を用いることが好ましい。
このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、成形加工上、基材樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、架橋反応を進行させるためには0.25質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、0.75質量部以上であることがさらに好ましい。
太陽電池素子は、封止樹脂層間に配置され配線される。例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、各種化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
太陽電池モジュールの製造方法としては、特に限定されないが、一般的に、透明基板、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、太陽電池用バックシートの順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。
太陽電池モジュールは、当該太陽電池用シートの優れた耐久性、難燃性、寸法安定性及び高い機械強度により、小型、大型や屋内、屋外に関わらず各種用途に好適に使用できる。
以下に太陽電池用シートを作製する際に用いた構成材料を例示する。
複層構成の場合の層間の接着には、東洋インキ製造社製ポリエステル系接着剤「DYNAGRAND IS−063」を主剤とし、ポリイソシアネート系硬化剤「DYNAGRAND LCR−085」を硬化剤とした硬化型接着剤を用いた。主剤100質量%に硬化剤12.5質量%を混合した後、酢酸エチルにて希釈しバーコーターを用い乾燥後膜厚み5μmになるよう塗布した。
PPE1:ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(荷重たわみ温度;150℃、ポリフェニレンエーテル89質量%含有、リン酸トリフェニル7質量%含有 SABICイノベーションプラスチックス社製、商品名「ノリルN300」)を用い、φ65mm押出機、バレル設定温度240〜300℃に設定し、1150mm幅単層口金(設定温度300℃)で押出、80℃に設定したキャストロールで冷却固化し、キャストロールの速度を調整することで、50μm厚みのシートを作製した。
PPE3:キャストロールの速度を調整することで、50μmの厚みを100μmした以外はPPE1と同様にしてシートを作製した。
PPS1:ポリフェニレンサルファイド系樹脂組成物(300℃、100sec-1における剪断粘度520pa・s、ポリプラスチックス社製、商品名「フォートロン0220C9」)を用い、φ65mm押出機、バレル設定温度240〜300℃に設定し、1150mm幅単層口金(設定温度300℃)で押出、150℃に設定したキャストロールで冷却固化し、キャストロールの速度を調整することで、100μmの厚みの結晶化シートを作製した。
PET1:ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東レ社製 ルミラーX10S、厚み50μm)。
PEN1:ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム(帝人デュポン社製 テオネックスQ51C、厚み25μm)。
PET2:白色PET樹脂フィルム(東レ社製 ルミラーE20、厚み188μm)。
PET3:シリカ蒸着PET樹脂フィルム(厚み12μm)。
AL1:アルミニウム箔(厚み20μm)。
COC1:環状オレフィンコポリマー(COC)樹脂フィルム(ポリプラスチックス社
製 TOPAS、厚み50μm)。
HDPE1:高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂100質量%に対し、粒径30μmのマイカを40質量%含有する樹脂フィルム(厚み80μm)。
LDPE1:低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂フィルム(厚み50μm)。
・耐熱性
100mm×100mm角にサンプルを切り取り、150℃に設定した循環式オーブン中で30分サンプルを処理した後、寸法変位量の原寸に対する割合の絶対値%値で測定し、フィルムの長手方向と直行方向のいずれか大きいほうの値を記し、下記基準で評価した。
◎:0.5%以下
○:1.0%以下
△:3.0%以下
×:3.0%を超える
高度加速寿命試験機(プレッシャークッカー試験機;エスペック社製EHS−211M)中、温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて144時間サンプルを処理し、取り出したサンプルの引張破断応力値をJISK7127に準じて、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で測定した。
初期の測定値に対する加速試験後の測定値の割合を%値で測定し、下記基準で評価した。
○:保持率が80%以上
△:保持率が50%以上80%未満
×:保持率が50%未満またはサンプル形状を維持できない
長さ200mm×幅50mmに試験片を切り出し、巾方向に円筒状にまき、側面を接着テープで固定した。この円筒をクランプで垂直に固定しクランプを用いて垂直にサンプルを固定し、ガスバーナを用いて20mm炎を下端に3秒間接炎を2回実施し、以下の判断基準に基づいてその難燃性を評価した。
○:燃焼持続時間が30秒以内で、溶融樹脂の滴下がない
×:燃焼持続時間が30秒を超える、あるいは溶融樹脂の滴下がある
サンプル表面にシリコンシーラント(モメンティブ社製「TSE392」)を塗布(乾燥後膜厚み:500μm)し、その密着力を評価した。
○:良好に密着している
×:浮きや剥がれがある 又は、密着しているが容易に剥がれる
EVA1:ETIMEX社製 VISTASOLAR(EVA樹脂)(厚さ500μm)
EVA2:三井デュポン社製 EVAFLEX150を用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、40℃のキャストロールで冷却固化することにより厚さ500μmのシートを得た。
PO1:三井化学社製 タフマーを100質量部に対し、架橋剤としてアルケマ吉冨社製 ルペロックスTBECを1.0質量部添加した原料を用い、同様に厚さ500μmの架橋剤入りシートを得た。
PO2:住友化学社製 ボンドファスト7Mを用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、40℃のキャストロールで冷却固化することにより厚さ500μmのシートを得た。
まず、150mm×150mmに切り出したサンプル2枚に、封止材シートを挟み込んだ。その後、加熱プレス装置を用いて10kgf/cm2以下の圧力に調整し、設定温度150℃、30分間処理した。得られたサンプルを上述のプレッシャークッカー試験機にて温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて48時間処理した。
未処理のサンプルおよび処理済のサンプルについて、15mm幅に切り出し、試験速度50mm/minにて180°剥離強度を測定した結果を下記表2に示す。なお、表2中の評価指標は下記の通りである。
◎:剥離強度が30N以上
○:剥離強度が20N以上
△:剥離強度が10N以上
×:剥離強度が10N未満
・ガスバリア性
JIS K7129に準じて、温度40℃、湿度90%の条件下で測定された水蒸気透過率の値(単位:g/m2・24hr)を表3に示した
比較例1はポリエステル系樹脂が外表面に露出するために耐久性、難燃性に劣り、また、ポリエステル系樹脂が封止材と接するため封止材密着性に劣る(参考例13、14を参照)。比較例2ではフッ素系樹脂が両表面に配置されるためにジャンクションボックス、封止材いずれとも十分な接着性を発現することができない。比較例3は難燃性に劣る(参考例5を参照)。
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・太陽電池用バックシート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線
Claims (7)
- 下記(I)層、及び(II)層を各々少なくとも1層以上有してなる太陽電池用シート。
(I)層:ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニルサルファイドを主成分とする樹脂組成物からなる層、
(II)層: 水蒸気透過率(測定方法:JIS K7129)が10g/m2・24hr未満であるガスバリア性層 - 前記(II)層が、下記(a)〜(e)から選択されてなる請求項1に記載の太陽電池用シート。
(a)金属薄膜層
(b)無機薄膜層
(c)環状オレフィン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリクロロトリフルオロエチレンから選択される樹脂を主成分とする樹脂層
(d)平板状無機粒子を含有する樹脂層
(e)ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、及びエポキシ系樹脂から選択される樹脂を主成分とするコーティング層 - 請求項1又は2に記載の太陽電池用シートが設けられてなる太陽電池モジュール。
- 前記(I)層が太陽電池モジュールを構成する封止樹脂層に接着されてなる請求項3に記載の太陽電池モジュール。
- 前記封止樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂のいずれかを含んでなる請求項4に記載の太陽電池モジュール。
- 前記封止樹脂層が、ラジカル発生剤を含んでなる請求項4又は5に記載の太陽電池モジュール。
- 太陽電池用シートの一方の面にジャンクションボックスが接着されてなる請求項3〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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