JP2011042852A - Fe基強磁性形状記憶合金及びその用途 - Google Patents

Fe基強磁性形状記憶合金及びその用途 Download PDF

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清仁 石田
Ryosuke Kainuma
亮介 貝沼
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理恵 梅津
Toshihiro Omori
俊洋 大森
Keita Watanabe
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Abstract

【課題】実用温度域での優れた形状記憶特性を有し、実用温度域で磁場誘起変態して形状を回復するとともに磁性変化するFe基強磁性形状記憶合金並びにその用途を提供する。
【解決手段】22〜40原子%のMnと、25〜35原子%のGaとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金。
【選択図】図6

Description

本発明は母相がbcc構造であるFe基強磁性形状記憶合金及びその用途に関し、特に実用温度域で磁場誘起変態して、磁性変化を伴って形状変化するFe基強磁性形状記憶合金、及びその用途に関する。
形状記憶合金はマルテンサイト変態及び逆変態に伴う顕著な形状記憶効果を有し、アクチュエータ用材料等として有用である。形状記憶合金からなるアクチュエータは通常熱駆動される(冷却によりマルテンサイト変態し、加熱により逆変態する)。形状記憶合金では、一般に冷却時の変態温度より加熱時の逆変態温度の方が高い。変態温度と逆変態温度との差を温度ヒステリシスという。温度ヒステリシスが小さい熱弾性型マルテンサイト変態では、通常約5%に及ぶ大きな形状回復歪が得られる。しかし熱駆動アクチュエータは冷却過程が熱放散により律速されるため、応答速度が遅いという問題がある。
そこで磁場によりマルテンサイト相が双晶変形するNi-Co-Al系合金、Ni-Mn-Ga系合金等の強磁性形状記憶合金が注目されている。強磁性形状記憶合金は磁場誘起歪みが得られるので、応答速度が高く、アクチュエータ用材料として有望である。
特開2002-129273号(特許文献1)は、5〜70質量%のCoと、5〜70質量%のNiと、5〜50質量%のAlとを含有し、残部が不可避的不純物からなる組成を有し、B2構造のβ相からなる単相組織、又はγ相とB2構造のβ相とからなる2相組織を有する強磁性形状記憶合金からなるアクチュエータ部品を提案している。しかしこの強磁性形状記憶合金に磁場をかけてもマルテンサイト変態温度が大幅に変化しないため、マルテンサイト相のみからなる強磁性形状記憶合金に強磁場を印加し、大きな双晶磁歪を生じさせているのが現状である。しかしこの方法には、強磁性形状記憶合金が単結晶でなければ大きな歪を取り出せないという問題がある。
特開平10-259438号(特許文献2)は、磁場により生活環境温度で形状記憶効果を示すNi-Mn-Ga合金として、化学組成式:Ni2+X-Mn1-X-Ga[但し0.10≦X≦0.30(モル)]により表され、逆マルテンサイト変態終了温度が−20℃以上のNi-Mn-Ga合金を提案している。しかしこのNi-Mn-Ga合金は形状回復歪が十分とは言えなかった。
特開2001-279360号(特許文献3)は、Ni-Mn-Ga合金より大きな歪みを発現できるMn系合金として、一般式:MnaTbX1-a-b(ただしTはFe、Co及びNiからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、XはSi、Ge、Al、Sn及びGaからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、a及びbはそれぞれ0.2≦a≦0.4及び0.2≦b≦0.4を満たす数である。)により表され、マルテンサイト変態を示すとともにその逆変態終了温度が−20℃〜300℃の範囲にあり、母相がNi2In型構造を有するMn系合金を提案している。しかしこのMn系合金は延性に乏しく、機械部品に要求される複雑形状への精密な加工が不可能である。
特開2001-279357号(特許文献4)は、結晶変態の際に生じる歪み率及び変位量が大きいマグネティックシェープメモリー合金として、一般式:M12-XM2YM3Z(ここで、M1はNi及び/又はCuであり、M2はMn,Sn,Ti及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、M3はSi,Mg,Al,Fe,Co,Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、X,Y及びZはそれぞれ0<X≦0.5、0<Y≦1.5、及び0<Z≦1.5を満たす数である。)により表され、ホイスラー構造を有し、マルテンサイト変態及び磁場誘起逆マルテンサイト変態を生じるマグネティックシェープメモリー合金を提案している。この文献には磁場により形状が変化すると記載されているが、いずれの実施例でも温度変態させた後磁場誘起変態が起こっており、磁場変化のみにより逆マルテンサイト変態を起こす例は全くない。
強磁性形状記憶合金が温度変化に応じて強磁性と常磁性との間で変化することを利用した熱磁気駆動素子が提案されている。特開2002-129273号(特許文献1)及び特開平10-259438号(特許文献2)には、生活環境温度で磁気変態するように合金組成を最適化した強磁性形状記憶合金をアクチュエータに利用することが記載されている。しかしエネルギー変換効率が不十分であるという問題がある。
強磁性形状記憶合金を磁気冷凍材として利用することも提案されている。磁気冷凍は、磁気熱量効果(磁性体を常磁性から強磁性に等温磁化して電子磁気スピン系の自由度の相違に起因する磁気エントロピー変化を生じさせた後、磁場を断熱的に除去すると磁性体の温度が低下する現象)を利用する。
特開2002-356748号(特許文献5)は、常温域で比較的弱い磁場により磁気冷凍できる磁性材料として、(a) Fe、Co、Ni、Mn及びCrからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で50〜96質量%含み、Si、C、Ge、Al、B、Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で4〜43質量%含み、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で4〜20質量%含む磁気冷凍用磁性材料、並びに(b) Fe、Co、Ni、Mn及びCrからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で50〜80質量%含み、Sb、Bi、P及びAsからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で20〜50質量%含む磁気冷凍用磁性材料を提案している。しかしこれらの磁気冷凍用磁性材料は、−40℃以下でなければ十分な磁気エントロピー変化をせず、実用的でない。従って、常温付近でも十分な磁気エントロピー変化が得られる磁気冷凍材が望まれる。
国際公開第2007/001009号(特許文献6)は、Mnを25〜50原子%、In、Sn及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で5〜18原子%、及びCo及び/又はFeを0.1〜15原子%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる強磁性形状記憶合金を提案しており、この強磁性形状記憶合金は、母相が強磁性であり、マルテンサイト相が常磁性、反強磁性又はフェリ磁性であり、磁場駆動素子、応力-磁気機能素子、熱磁気駆動素子、磁気冷凍材料、発熱吸熱素子等に応用できると記載されている。しかしながら、この強磁性形状記憶合金は延性に乏しく、機械部品に要求される複雑形状への精密な加工が不可能であり、エネルギー変換効率が不十分であるという問題もある。
特開2002-129273号公報 特開平10-259438号公報 特開2001-279360号公報 特開2001-279357号公報 特開2002-356748号公報 国際公開第2007/001009号パンフレット
従って本発明の目的は、実用温度域で温度、応力及び磁場の変化に応じた形状記憶特性に優れたFe基強磁性形状記憶合金を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、かかるFe基強磁性形状記憶合金からなる磁場駆動素子、応力-磁気機能素子及び熱磁気駆動素子を提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は、上記Fe基強磁性形状記憶合金を利用した磁気冷凍材料を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、22〜40原子%のMnと、25〜35原子%のGaとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金が、実用温度域で温度、応力及び磁場の変化に応じた形状記憶特性に優れることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の第一のFe基強磁性形状記憶合金は、22〜40原子%のMnと、25〜35原子%のGaとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の第二のFe基強磁性形状記憶合金は、22〜40原子%のMnと、15〜35原子%のGaとを含有し、0.1〜10原子%のAl、0.1〜5原子%のSi、0.1〜5原子%のTi、0.1〜5原子%のV、0.1〜5原子%のCr、0.1〜5原子%のCo、0.1〜10原子%のNi、0.1〜5原子%のCu、0.1〜5原子%のMo、0.1〜10原子%のPd、0.1〜5原子%のW、0.1〜10原子%のPt、0.001〜1原子%のB、及び0.001〜1原子%のCからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で30原子%以下含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とすることを特徴とする。
前記Fe基強磁性形状記憶合金は、母相が常磁性であり、マルテンサイト相が強磁性であるのが好ましい。
前記Fe基強磁性形状記憶合金は、20 kOe以上の磁場を印加した時のマルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差、並びに逆マルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差が各々30 emu/g以上であるのが好ましい。
前記第一及び第二のFe基強磁性形状記憶合金を製造する本発明の方法は、900〜1150℃で溶体化処理する工程を有することを特徴とする。前記溶体化処理の後に、100〜400℃で時効処理する工程を有してもよい。
前記第一又は第二のFe基強磁性形状記憶合金を用いた本発明の磁場駆動素子は、常磁性を有する母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性マルテンサイト相へのマルテンサイト変態に伴う形状変化及び/又は磁性変化を利用することを特徴とする。
前記磁場駆動素子は、磁場誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金から磁場を除去することにより誘起される前記母相への逆マルテンサイト変態に伴う形状変化及び/又は磁性変化を利用するものであってもよい。
前記磁場駆動素子は、前記形状変化に伴い発生する応力を利用するものであってもよい。
前記第一又は第二のFe基強磁性形状記憶合金を用いた本発明の応力-磁気機能素子は、(a)常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に応力をかけることにより誘起される強磁性を有するマルテンサイト相への変態に伴う磁性変化、及び/又は(b)応力誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金から応力を除くことにより誘起される前記母相への逆変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする。
前記第一又は第二のFe基強磁性形状記憶合金を感温磁性体として用いた本発明の熱磁気駆動素子は、(a)強磁性を有するマルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金を加熱することにより誘起される常磁性母相への逆マルテンサイト変態に伴う磁性変化、及び/又は(b)前記常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金を冷却することにより誘起される前記強磁性マルテンサイト相への変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする。
前記第一又は第二のFe基強磁性形状記憶合金からなる本発明の磁気冷凍材料は、常磁性を有する母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性マルテンサイト相から、磁場を取り除くことにより生じる常磁性母相への逆マルテンサイト変態に伴う潜熱を利用することを特徴とする。
前記第一又は第二のFe基強磁性形状記憶合金を用いた本発明の発熱吸熱素子は、(a)常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に発生したマルテンサイト変態に伴う発熱、及び(b)強磁性を有するマルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に発生した逆マルテンサイト変態に伴う吸熱を利用することを特徴とする。
前記発熱吸熱素子において、(a)前記マルテンサイト変態は、前記母相状態のFe基強磁性形状記憶合金に応力をかけるか、磁場を印加することにより誘起され、(b)前記逆マルテンサイト変態は、前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金に、応力誘起変態又は磁場誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金から応力を除くか、磁場を除くことにより誘起されるのが好ましい。
本発明のFe基強磁性形状記憶合金は、実用温度域で優れた形状記憶特性及び磁性変化特性を有するので、実用温度域で高い応答速度及びエネルギー効率を有する磁場駆動素子、熱磁気駆動素子、発熱吸熱素子(特に磁気冷凍材)、及び応力−磁気素子が得られる。
本発明のFe基強磁性形状記憶合金を感温磁性体として用いた熱磁気モータの一例を模式的に示す斜視図である。 実施例3で作製した合金のX線回折の測定結果を示すグラフである。 実施例4で作製した合金の応力−歪み曲線を示すグラフである。 実施例5で作製した合金の磁化の温度及び磁場依存性を示すグラフである。 実施例5で作製した合金の磁化の温度及び磁場依存性を示すグラフである。 実施例6で作製した合金の磁場と歪との関係を示すグラフである。
[1] Fe基強磁性形状記憶合金
本発明の各態様のFe基強磁性形状記憶合金を以下詳細に説明するが、それぞれの態様における説明は特に断りがなければ他の態様にも適用可能である。
(1) 第一のFe基強磁性形状記憶合金
第一のFe基強磁性形状記憶合金は、22〜40原子%のMnと、25〜35原子%のGaとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。なお本明細書において、特段の断りがなければ各元素の含有量は合金全体を基準(100原子%)とする。
Mnは、強磁性マルテンサイト相の生成を促進する元素である。Mnの含有量を調節することにより、マルテンサイト変態の開始温度(Ms)及び終了温度(Mf)、逆マルテンサイト変態の開始温度(As)及び終了温度(Af)、並びにキュリー温度(Tc)を変化させることができる。Mnの添加量を22原子%未満とすると、マルテンサイト変態が生じない。一方40原子%超とすると、Fe基強磁性形状記憶合金はマルテンサイト変態を生じない。Mnの含有量は22〜35原子%であるのが好ましく、25〜32原子%であるのがより好ましい。
Gaはbcc構造を有する常磁性母相の生成を促進する元素である。Gaの含有量を25原子%未満とすると母相がfcc相になる。一方35原子%超とするとマルテンサイト変態を生じない。Gaの含有量は25〜33原子%であるのが好ましく、26〜30原子%であるのがより好ましい。
Feは形状記憶特性及び磁気特性を向上させる元素である。Fe含有量が不足すると形状記憶特性が消失し、過剰であっても形状記憶特性が発現しない。優れた形状記憶特性及び強磁性を得るために、Fe含有量は32〜53原子%であるのが好ましく、40〜49原子%であるのがより好ましい。
(2) 第二のFe基強磁性形状記憶合金
第二のFe基強磁性形状記憶合金は、22〜40原子%のMnと、15〜35原子%のGaとを含有し、0.1〜10原子%のAl、0.1〜5原子%のSi、0.1〜5原子%のTi、0.1〜5原子%のV、0.1〜5原子%のCr、0.1〜5原子%のCo、0.1〜10原子%のNi、0.1〜5原子%のCu、0.1〜5原子%のMo、0.1〜10原子%のPd、0.1〜5原子%のW、0.1〜10原子%のPt、0.001〜1原子%のB、及び0.001〜1原子%のCからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で30原子%以下含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。第二のFe基強磁性形状記憶合金は、第一のFe基強磁性形状記憶合金のFe又はMnの一部をCo、Ni、Cu、Pd及びPtからなる群から選ばれた少なくとも一種に置き換えたもの、及び/又は第一のFe基強磁性形状記憶合金のGaの一部をAl、Si、Ti、V、Cr、Mo及びWからなる群から選ばれた少なくとも一種に置き換えたものである。また、B及びCは侵入型元素である。
Al、Si、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、W、Pt、B及びCからなる群の元素は、合計で30原子%以下含有することで、形状記憶特性を向上させるとともに、その含有量を調節することによりMs及びTcを変化させることができる。中でもAlはマルテンサイト相の存在を安定化させ、加工性を向上させる作用を有する。またCo、Ni、Pd及びPtは磁気特性を向上させる作用を有する。これらの元素の合計含有量が30原子%を超えると合金が脆化する恐れがある。これらの元素の含有量は合計で30原子%以下であるのが好ましく、25原子%以下であるのがより好ましい。
[2] Fe基強磁性形状記憶合金の製造方法
第一及び第二のFe基強磁性形状記憶合金は、溶解鋳造及び溶体化処理により製造する。Fe基強磁性形状記憶合金は熱間加工性に富むので、熱間加工(熱間鍛造、熱間圧延等)等により成形することも可能である。また、粉末を焼結して製造することや、急冷凝固やスパッタなどにより薄膜を製造することも可能である。溶解鋳造、熱間加工、焼結、成膜については、一般的な形状記憶合金の場合と同じでよい。
(1) 溶体化処理
溶解鋳造等により成形したFe基強磁性形状記憶合金は、固溶化温度まで加熱し、組織を母相(bcc相)にした後、急冷する溶体化処理を行う。固溶化温度は900〜1150℃であり、950℃〜1100℃が好ましく、1000〜1050℃がより好ましい。固溶化温度での保持時間は1分以上であれば良い。限定的ではないが、急冷速度は200℃/秒以上が好ましい。加熱後急冷することにより母相組織を有するFe基強磁性形状記憶合金が得られるが、合金のMfが室温以上の場合、合金組織はほぼマルテンサイト相となる。
[3] Fe基強磁性形状記憶合金の組織
室温におけるFe基強磁性形状記憶合金は、Msが室温より低い場合はbcc構造の母相組織を有し、Mfが室温より高い場合はマルテンサイト相組織を有する。母相がbcc規則相(ホイスラー構造又はB2構造)を有することにより優れた形状記憶特性を発揮する。母相及びマルテンサイト相のいずれも単相組織であるのが好ましく、単相組織は単結晶でも多結晶でも良い。単結晶である方が形状記憶特性及び磁気特性に優れている。単結晶組織を得る方法としては、例えば焼きなまし法、チョクラルスキー法等の公知の方法が挙げられる。焼きなまし法により単結晶化する場合、焼きなましは900〜1150℃の温度で処理するのが好ましい。焼きなまし処理時間は、30分間〜1週間であるのが好ましい。
Fe基強磁性形状記憶合金は、bcc構造の母相が常磁性であり、マルテンサイト相が強磁性である。常磁性の母相と強磁性のマルテンサイト相との間で、熱弾性型マルテンサイト変態及び逆変態を行う。マルテンサイト相は2M又は長周期構造を有する。
[4] Fe基強磁性形状記憶合金の特性
(1) 形状記憶特性
実用温度域より高いMfを有するFe基強磁性形状記憶合金は、実用温度域でマルテンサイト相状態であるので、良好な形状記憶特性を安定的に示す。Fe基強磁性形状記憶合金の形状回復率[=100×(与歪み−残留歪み)/与歪み]は約90%以上であり、実質的に100%である。
(2) 超弾性
実用温度域より低いAfを有するFe基強磁性形状記憶合金は、実用温度域で安定かつ良好な超弾性を示す。通常与歪みが6〜8%でも、変形解放後の形状回復率は95%以上である。
(3) 変態特性
(a) 磁場誘起変態特性
常磁性を有する母相状態のFe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加すると、母相は強磁性マルテンサイト相へマルテンサイト変態して磁場誘起歪を生じる。Af温度以上で磁場を除去すると逆マルテンサイト変態して母相に戻るので、可逆的な歪が得られる。
Fe基強磁性形状記憶合金は、マルテンサイト相状態では磁場の磁気的エネルギー(ゼーマンエネルギー)を蓄えるが、母相状態では蓄えないので、マルテンサイト相と母相との間に大きな磁化の差がある。例えば、本発明のFe基強磁性形状記憶合金に20 kOe(1,592 kA/m)の磁場を印加した後除去した場合、磁場誘起マルテンサイト変態したマルテンサイト相の磁化と逆マルテンサイト変態した母相の磁化との差は30 emu/g以上である。また本発明のFe基強磁性形状記憶合金に20 kOe(1,592 kA/m)の磁場を印加した時の、マルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差、並びに逆マルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差が各々30 emu/g以上である。
Fe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加すると、ゼーマンエネルギーによりMs、Mf、As及びAfが大きく上昇し、母相はマルテンサイト相に変態する。限定的ではないが、実用温度域(通常−180℃〜+100℃)でマルテンサイト変態を起こさせるには、磁場の強さは約5〜100 kOe(約398〜7,958 kA/m)であるのが好ましい。
(b) 熱弾性変態特性
Fe基強磁性形状記憶合金は熱弾性型マルテンサイト変態/逆変態を生じさせる。無磁場でのFe基強磁性形状記憶合金のMs及びAfの温度差は通常約200℃以下である。MsはMn及びGaの配合比により調整できる。第二のFe基強磁性形状記憶合金の場合、Al、Si、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、W、Pt、B及びCの含有量を調節してもよい。
(c) 応力誘起変態特性
母相状態のFe基強磁性形状記憶合金に応力をかけるとマルテンサイト変態が起こり、応力を除くと逆マルテンサイト変態が起こる。
[5] Fe基強磁性形状記憶合金の用途
(1) 磁場駆動素子
磁場誘起マルテンサイト変態する本発明のFe基強磁性形状記憶合金を用いると、応答速度が早く出力が大きな磁場駆動マイクロアクチュエータ、磁場駆動スイッチ等の磁場駆動素子が得られる。磁場駆動素子はFe基強磁性形状記憶合金からなる駆動体(回動体、変形体、移動体等)を具備し、磁場の印加により駆動体に生じた形状変化及び/又は磁性変化を利用するが、必ずしもこれに限定されない。パルス磁場を印加すると、磁場駆動素子の応答速度は高まる。磁場駆動素子を高応答速度で連続的に作動させるには、Af温度より高い温度で使用するのが好ましい。
(2) 熱磁気駆動素子
本発明のFe基強磁性形状記憶合金を感温磁性体として利用すると、エネルギー効率の高い熱磁気駆動素子が得られる。熱磁気駆動素子は例えば、Fe基強磁性形状記憶合金からなる駆動体(回動体、変形体、移動体等)、加熱手段(レーザー光照射装置、赤外線照射装置等)、及び磁場印加手段(永久磁石等)を具備し、加熱により駆動体に生じる磁性変化を利用して動力を発生するが、必ずしもこれに限定されない。本発明のFe基強磁性形状記憶合金を用いる熱磁気駆動素子の例として、感温磁性体が冷却された時に永久磁石に吸着し、加熱された時に磁石から離脱する原理を利用した電流スイッチ及び流体制御弁、感温磁性体の一部を冷却して強磁性とし、そこに永久磁石を作用させて感温磁性体を駆動する熱磁気モータ等が挙げられる。これらの熱磁気駆動素子の詳細は、例えば特開平2002-129273号に記載されている。
図1は、本発明のFe基強磁性形状記憶合金を感温磁性体として用いた熱磁気モータの一例を示す。この熱磁気モータは、使用温度において常磁性を示す母相状態のFe基強磁性形状記憶合金からなるディスク状感温磁性体1と、感温磁性体1と一体的に回転する軸2と、感温磁性体1に磁場を印加するためにその外周に沿って配置された永久磁石3と、感温磁性体1を冷却する冷却槽4とを有する。図示の例では、永久磁石3の磁極(例えばS極)より僅かに上流の位置で感温磁性体1が冷却される。冷却領域Pでは母相が強磁性マルテンサイト相に変態し、それ以外の領域では母相のままであるので、冷却領域Pだけが永久磁石3の直近の磁極(S極)に吸引され、感温磁性体1は回転する。冷却領域Pの吸引を確実にするために、図1に示すように冷却領域P以外の感温磁性体1を加熱するのが好ましく、例えば感温磁性体1の上方から温風等を吹き付けるのが好ましい。感温磁性体1の回転数は加熱温度及び冷却温度により調整できる。
(3) 磁気冷凍材
マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金から磁場を取り除くと、吸熱を伴う逆マルテンサイト変態が生じ、実用温度域(特に常温付近〜約100℃)で大きな磁気エントロピー変化が生じる。このような大きな磁気吸熱効果により、冷凍能力が高い磁気冷凍材が得られる。本発明の磁気冷凍材を用いて、例えば、(a) 磁気冷凍材を充填した作業室、(b) 磁気冷凍室の近傍に配置された磁場印加用永久磁石、(c) 磁気冷凍材と熱交換される冷媒、及び(d) 冷媒を循環させる配管を具備した磁気冷凍システムが得られる。
(4) 発熱吸熱素子
本発明のFe基強磁性形状記憶合金を用いて、マルテンサイト変態に伴う発熱を利用した発熱素子、又は逆マルテンサイト変態に伴う吸熱を利用した吸熱素子が得られる。本発明の発熱吸熱素子は、例えば自動温度制御用の素子として利用できる。発熱吸熱素子の構成自体は特に制限されず、Fe基強磁性形状記憶合金からなる発熱体及び/又は吸熱体を具備すれば良い。
(5) 応力−磁気素子
Af超の温度で応力誘起マルテンサイト変態/逆変態するFe基強磁性形状記憶合金は、変態/逆変態に伴う磁性変化を利用して、応力−磁気素子に用いることができる。応力−磁気素子として、例えば応力の付与又は除去により生じる磁性変化を検出する歪みセンサ(応力センサ)等が挙げられる。応力−磁気素子の構成自体は特に制限されず、例えばFe基強磁性形状記憶合金からなる検知体、及び検知体に生じた磁性変化を検出する手段(例えばピックアップコイル等の磁気センサ)を具備すればよい。
(6) 応力−抵抗素子
本発明のFe基強磁性形状記憶合金を用いて、応力誘起マルテンサイト変態/逆変態に伴う電気抵抗変化を利用した歪みセンサ(応力センサ)等の応力−抵抗素子が得られる。応力−抵抗素子の構成自体は特に制限されず、例えばFe基強磁性形状記憶合金からなる検知体、及び検知体に生じる電気抵抗変化を検出する手段(例えば電流計)を具備すればよい。
(7) 磁気抵抗素子
磁気抵抗効果を有する本発明のFe基強磁性形状記憶合金は、磁場検知用の磁気抵抗素子に用いることができる。磁気抵抗素子の構成自体は特に制限されず、例えばFe基強磁性形状記憶合金からなる素子の2点に電極を付ければよい。本発明のFe基強磁性形状記憶合金を用いた磁気抵抗素子は、例えば磁気ヘッド等に用いることができる。
(8) 温度センサ
Msが異なる複数のFe基強磁性形状記憶合金からなる部材に、例えばピックアップコイル等の磁気センサを取り付けると、温度変化に応じて磁性変化したFe基強磁性形状記憶合金部材(Msが既知)を特定できるので、温度センサが得られる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
表1及び表2に示す組成を有する各合金を高周波溶解し、除冷(60℃/分)してインゴットを作製した。各インゴットを1000〜1150℃で約2 mmまで熱間圧延し、板状小片に切り出して表1及び表2に示す温度及び時間で溶体化処理した後、水中へ投入し急冷した。得られた各サンプルの物性を以下の方法で測定した。測定結果を表3及び表4に示す。
(1) マルテンサイト変態温度及び磁化の測定
各合金サンプルから切り出した1 mm×1 mm×1 mmの試験片を用いて、Ms及び磁化を振動試料型磁力計(VSM)により測定した(昇温及び降温速度:3℃/分)。
(2) 結晶構造
母相状態の各バルクサンプルをX線回折法により解析した。
Figure 2011042852
注:(1)不可避的不純物を含む。
Figure 2011042852
注:(1)不可避的不純物を含む。
Figure 2011042852
注(2) ΔIは、20 kOeの磁場中で母相温度からマルテンサイト相温度に冷却したときの母相(Msで測定)とマルテンサイト相(Mfで測定)との磁化の差を表す。
Figure 2011042852
注(2) ΔIは、20 kOeの磁場中で母相温度からマルテンサイト相温度に冷却したときの母相(Msで測定)とマルテンサイト相(Mfで測定)との磁化の差を表す。
表3から明らかなように、No.101〜116(本発明)の各合金は実用温度域(-180℃〜100℃)でマルテンサイト変態を示し、いずれも母相が常磁性、マルテンサイト相が強磁性であった。さらに、20 kOeの磁束密度の磁場を印加した時の母相(Ms温度)における磁化とマルテンサイト相(Mf温度)における磁化との差は30 emu/g以上であった。
これに対してMnが22原子%未満でかつGaが25原子%未満であるNo.117(比較例)の合金、Mnが40原子%より多いNo.118(比較例)の合金、Gaが35原子%より多いNo.119(比較例)の合金は、実用温度域(-180℃〜100℃)でマルテンサイト変態を示さず、変態に伴う磁化の差が得られなかった。
表4から明らかなように、Al、Si、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mo、Pd、W、Pt、B又はCが含まれたNo.120〜141の各合金(本発明)は、実用温度域(-180℃〜100℃)でマルテンサイト変態を示し、いずれも母相が常磁性、マルテンサイト相が強磁性であった。さらに、20 kOeの磁束密度の磁場を印加した時の母相(Ms温度)における磁化とマルテンサイト相(Mf温度)における磁化との差は30 emu/g以上であった。
実施例2(熱処理条件)
表5に示すように溶体化処理条件を変更した以外は合金No.101と同様にして合金を作製し、実施例1と同様に磁化測定を行った。
Figure 2011042852
表5から明らかなように、900℃〜1100℃で溶体化処理を行った試料ではマルテンサイト変態を示し、いずれも母相が常磁性、マルテンサイト相が強磁性であった。さらに、20 kOeの磁束密度の磁場を印加した時の母相(Ms温度)における磁化とマルテンサイト相(Mf温度)における磁化との差は30 emu/g以上であった。しかし、溶体化処理温度800℃の場合は第2相が多量に析出しているためにマルテンサイト変態をせず、溶体化処理温度1200℃では溶融が始まりマルテンサイト変態をしなかった。以上のことから、溶体化温度は900℃〜1150℃が望ましい。
実施例3(結晶構造)
溶体化処理条件を1000℃で150分間に変更した以外はNo.109の合金と同様にして試料を作製し、5 mm×10 mm×1 mmの試験片を切り出して、母相及びマルテンサイト相の結晶構造をX線回折法により解析した。X線回折は、試料を液体窒素で冷却して母相とマルテンサイト相が共存する状態で行った。結果を図2に示す。図2から明らかなように、母相の結晶構造はbcc規則相であるL21構造(ホイスラー構造)であり、マルテンサイト相の結晶構造は2M構造であった。
実施例4(超弾性及び形状記憶効果)
インゴットを熱間圧延せずに溶体化処理条件を1000℃で1週間熱処理に変更した以外はNo.109の合金と同様にして単結晶サンプルを作製した。得られた合金の超弾性特性を測定した。超弾性特性は、圧縮試験機を用いて、合金の<100>方位に室温で8%の歪みまで圧縮応力をかけて、得られた応力−歪み曲線から求めた。結果を図3に示す。図3から明らかなように、8%の圧縮歪を印加された単結晶合金は除荷により歪が回復して超弾性特性を示し、約5%の回復歪みが得られた。さらにこれを加熱すると歪は完全に回復し、形状記憶効果が得られた。
実施例5(マルテンサイト変態の磁場依存性)
No.105の合金を用いて、量子干渉磁束計(SQUID)により磁化の温度依存性を測定した(磁場:0〜5573 kA/m、昇温及び降温速度:2℃/分)。結果を図4及び図5に示す。図4から明らかなように、5 kOeの磁場下でのMs温度に比べ、70 kOeでの磁場下でのMs温度は約27℃高いことが分かる。つまり、外部磁場の印加によりMs温度を変化させることが可能であることが分かった。さらに、図5から明らかなように、外部磁場を印加すると常磁性の母相が強磁性マルテンサイト相に変態することが分かった。また、磁場を除去することにより強磁性マルテンサイト相から常磁性母相に逆変態することが分かった。
実施例6(磁場誘起歪)
インゴットを熱間圧延せずに溶体化処理条件を1000℃で1週間熱処理に変更した以外はNo.109の合金と同様にして単結晶サンプルを作製した。単結晶サンプル母相の<100>方位に-133℃で磁場を印加し、三端子容量法により磁歪を計測した。得られた歪み−磁場曲線を図6に示す。印加磁場30 kOe(2,387 kA/m)付近から逆マルテンサイト変態に伴う形状変化が起こり、80 kOe(6,366 kA/m)印加時に0.6%の形状変化が得られた。

Claims (14)

  1. 22〜40原子%のMnと、25〜35原子%のGaとを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金。
  2. 22〜40原子%のMnと、15〜35原子%のGaとを含有し、0.1〜10原子%のAl、0.1〜5原子%のSi、0.1〜5原子%のTi、0.1〜5原子%のV、0.1〜5原子%のCr、0.1〜5原子%のCo、0.1〜10原子%のNi、0.1〜5原子%のCu、0.1〜5原子%のMo、0.1〜10原子%のPd、0.1〜5原子%のW、0.1〜10原子%のPt、0.001〜1原子%のB、及び0.001〜1原子%のCからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で30原子%以下含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金。
  3. 請求項1又は2に記載のFe基強磁性形状記憶合金において、母相は常磁性であり、マルテンサイト相は強磁性であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金。
  4. 請求項3に記載のFe基強磁性形状記憶合金において、20 kOe以上の磁場を印加した時のマルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差、並びに逆マルテンサイト変態開始温度及びその終了温度での磁化の差が各々30 emu/g以上であることを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金。
  5. 22〜40原子%のMn及び25〜35原子%のGaを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であるFe基強磁性形状記憶合金の製造方法であって、900〜1150℃で溶体化処理する工程を有することを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金の製造方法。
  6. 22〜40原子%のMn及び15〜35質量%のGaを含有し、0.1〜10原子%のAl、0.1〜5原子%のSi、0.1〜5原子%のTi、0.1〜5原子%のV、0.1〜5原子%のCr、0.1〜5原子%のCo、0.1〜10原子%のNi、0.1〜5原子%のCu、0.1〜5原子%のMo、0.1〜10原子%のPd、0.1〜5原子%のW、0.1〜10原子%のPt、0.001〜1原子%のB、及び0.001〜1原子%のCからなる群から選ばれた少なくとも一種を合計で30原子%以下含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、母相がbcc構造であるFe基強磁性形状記憶合金の製造方法であって、900〜1150℃で溶体化処理する工程を有することを特徴とするFe基強磁性形状記憶合金の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のFe基強磁性形状記憶合金を用いた磁場駆動素子であって、常磁性を有する母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性マルテンサイト相へのマルテンサイト変態に伴う形状変化及び/又は磁性変化を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
  8. 請求項7に記載の磁場駆動素子において、磁場誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金から磁場を除去することにより誘起される前記母相への逆マルテンサイト変態に伴う形状変化及び/又は磁性変化を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
  9. 請求項7又は8に記載の磁場駆動素子において、前記形状変化に伴い発生する応力を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載のFe基強磁性形状記憶合金を用いた応力-磁気機能素子であって、(a)常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に応力をかけることにより誘起される強磁性を有するマルテンサイト相への変態に伴う磁性変化、及び/又は(b)応力誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金から応力を除くことにより誘起される前記母相への逆変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする応力-磁気機能素子。
  11. 請求項1〜4のいずれかに記載のFe基強磁性形状記憶合金を感温磁性体として用いた熱磁気駆動素子であって、(a)強磁性を有するマルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金を加熱することにより誘起される常磁性母相への逆マルテンサイト変態に伴う磁性変化、及び/又は(b)前記常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金を冷却することにより誘起される前記強磁性マルテンサイト相への変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする熱磁気駆動素子。
  12. 請求項1〜4のいずれかに記載のFe基強磁性形状記憶合金からなる磁気冷凍材料であって、常磁性を有する母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性マルテンサイト相から、磁場を取り除くことにより生じる常磁性母相への逆マルテンサイト変態に伴う潜熱を利用することを特徴とする磁気冷凍材料。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載のFe基強磁性形状記憶合金を用いた発熱吸熱素子であって、(a)常磁性母相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に発生したマルテンサイト変態に伴う発熱、及び(b)強磁性を有するマルテンサイト相状態の前記Fe基強磁性形状記憶合金に発生した逆マルテンサイト変態に伴う吸熱を利用することを特徴とする発熱吸熱素子。
  14. 請求項13に記載の発熱吸熱素子において、(a)前記マルテンサイト変態は、前記母相状態のFe基強磁性形状記憶合金に応力をかけるか、磁場を印加することにより誘起され、(b)前記逆マルテンサイト変態は、前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金に、応力誘起変態又は磁場誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態のFe基強磁性形状記憶合金から応力を除くか、磁場を除くことにより誘起されることを特徴とする発熱吸熱素子。
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