JP2011041933A - 排気浄化フィルタ - Google Patents

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文浩 水掫
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Abstract

【課題】PMの捕集性能、圧損、及びPMの燃焼性能について、これら排気浄化フィルタの性能を効率的に発揮できる排気浄化フィルタを提供すること。
【解決手段】排気浄化フィルタは、多孔質壁により区画形成された複数のセルを有するハニカム構造体を備え、多孔質壁に形成された細孔に排気を通過させることで排気を浄化する。多孔質壁の平均細孔径は20μm以下であり、多孔質壁の細孔径分布の半値幅を、前記平均細孔径で除して得られるパラメータは0.6以下である。
【選択図】図5

Description

本発明は、排気浄化フィルタに関する。特に内燃機関から排出された粒子状物質を捕集し、排気を浄化する排気浄化フィルタに関する。
内燃機関の排気系に粒子状物質(以下、「Particulate Matter(PM)」という)を捕集する排気浄化フィルタを設け、PMの排出量を低減する技術は広く用いられている。近年では、排気浄化フィルタとして所謂ウォールフロー型のフィルタが主として用いられている。ウォールフロー型の排気浄化フィルタは、多孔質壁により区画形成された複数のセルを有するハニカム構造体を備えており、この多孔質壁に形成された無数の細孔に排気を通過させることでPMを捕集し、排気を浄化する。また、捕集したPMは、例えば、排気浄化フィルタを昇温することで燃焼除去される。
このように、多孔質壁に形成された無数の細孔を利用して排気に含まれるPMを捕集する排気浄化フィルタでは、PMの捕集性能、圧損、および強度などの排気浄化フィルタに要求される性能と、多孔質壁の壁厚、気孔率、細孔径やその分布などとの間には相関があり、従来から研究されている。
例えば、特許文献1には、気孔率を40%以上、壁厚を20ミル以下、平均細孔径を3〜7μmの範囲内、かつ10μm以上の細孔容積を全細孔容積の20%以下とすることにより、排気浄化フィルタをPMの捕集性能に優れかつ圧損の小さいものにできることが示されている。
また、例えば、特許文献2には、細孔のメジアン径に関する式(d50−d10)/d50の値を0.50未満とし、熱膨張係数を15×10−7/℃未満とし、さらに気孔率を38%以上とすることにより、耐熱衝撃性や強度を損なうことなくPMの捕集性能を向上できることが示されている。
特許3756721号公報 特表2008−508185号公報
しかしながら、特許文献1では、細孔径分布に関し、10μm以上の細孔容積の全細孔容積に対する割合のみを規定しており、比較的小さな細孔径の分布に関する規定が無い。細孔径が小さな部分では、多孔質壁の連通性が低く、また触媒をコートした場合に目詰まりを起こし圧損が高くなってしまう。
また、特許文献2では、細孔径分布に関し、細孔のメジアン径に関する式(d50−d10)/d50の値が0.50未満であるとしているが、この規定ではメジアン径d50よりも大きな細孔径の分布を特定することができない。比較的大きな径を有する細孔が多い場合、PMの捕集性能が低下しかつ圧損が増大してしまうおそれがある。
ところで、排気浄化フィルタには、上述のようなPMの捕集性能や圧損の他、捕集したPMを燃焼する際のPMの燃え易さ、すなわちPMの燃焼性能が高いものであることも要求される。つまり、PMの燃焼性能が低いと、捕集したPMの燃焼が終了するまでに時間がかかることで燃費が悪化したり、また再生終了後にPMの燃え残りができてしまい圧損が増加したりするため、PMの燃焼性能は排気浄化フィルタの重要な性能の1つである。しかしながら、上述の特許文献1,2には、このようなPMの燃焼性能と細孔径などのパラメータとの相関については評価されていない。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、PMの捕集性能、圧損、及びPMの燃焼性能について、これら排気浄化フィルタの性能を効率的に発揮できる排気浄化フィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、多孔質壁(例えば、後述の多孔質壁3)により区画形成された複数のセル(例えば、後述のセル4)を有するハニカム構造体(例えば、後述のハニカム構造体2)を備え、前記多孔質壁に形成された細孔に排気を通過させることで排気を浄化する排気浄化フィルタ(例えば、後述のDPF1)を提供する。前記多孔質壁の平均細孔径は20μm以下であり、前記多孔質壁の細孔径分布の半値幅を、前記平均細孔径で除して得られるパラメータは0.6以下である。
広がった細孔径分布を有する多孔質壁では、平均細孔径から外れた小さな径の細孔と大きな径の細孔と比較的多く存在する。小さな径の細孔は、連通性が低く、また、触媒をコートした際に閉塞されて有効気孔率が低下してしまい、圧損が上昇するおそれがある。一方、大きな径の細孔に対しては、壁の中、つまり細孔の中に多くのPMが溜まり易いため、PMの堆積初期に細孔が塞がれてしまい、結果として小さな径の細孔と同様に圧損が高くなるおそれがある。
これに対して、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、平均細孔径に近い径の細孔が均一に形成されているため、上述のように触媒をコートすることで閉塞されたり、細孔の中に多くのPMが溜まったりすることも無い。したがって、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、広がった細孔径分布を有する多孔質壁と比較して圧損が低いと考えられる。
また、細孔径にばらつきがあると、排気の流れは大きな径の細孔に集中してしまう。したがって、例えば排気浄化フィルタの再生時において高温の排気を排気浄化フィルタに流入させた場合、小さな径の細孔には排気が流れにくいため酸素が少なくなる。さらに、基材の材料として熱伝導率の低い材料を用いた場合、排気の流れが集中する大きな径の細孔からの伝熱が少なくなるため、小さな径の細孔が形成された部分の温度はさらに低くなる。結果として、小さな径の細孔が形成された部分ではPMの燃え残りが発生する場合がある。
これに対して、細孔径が均一であると、排気も均一に流れるのでPMも均一に燃焼する。このため、短時間で排気浄化フィルタの再生を終了することができる。したがって、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、広がった細孔径分布を有する多孔質壁と比較して、PMの燃焼性能を高いと考えられる。
本発明によれば、多孔質壁に形成された細孔に排気を通過させることで排気を浄化する排気浄化フィルタにおいて、多孔質壁の平均細孔径を20μm以下とし、細孔径分布の半値幅を平均細孔径で除して得られるパラメータ、すなわち細孔径分布の広がりを示すパラメータを0.6以下とした。これにより、PMの捕集性能およびPMの燃焼性能を向上しつつ、圧損を低くすることができる。
請求項2に記載の発明は、前記多孔質壁の壁厚は10ミル以下であり、前記パラメータは0.55以下であることを特徴とする。
多孔質壁の壁厚が薄くなると、多孔質壁のヒートマスが小さくなるので、排気浄化フィルタの再生時には排気浄化フィルタを速やかに昇温することができ、結果として再生時間を短くすることができる。このため、PMの燃焼性能を向上するには壁厚を薄くする方がよいものの、壁厚を薄くすると強度が低下してしまう。このため、壁厚を薄くする場合には、強度の低下を補うべく平均細孔径や気孔率を小さくする場合があるが、平均細孔径や気孔率を小さくすると圧損が高くなる。これに対して、上述のように、細孔径分布を鋭くすることにより圧損を小さくすることができる。したがって、壁厚は、平均細孔径や細孔径分布の広がりと合わせて適切に設定することが好ましく、これにより、PMの燃焼性能、強度、及び圧損を最適にすることができると考えられる。
本発明によれば、多孔質壁の壁厚を10ミル以下とし、上記パラメータを0.55以下とした。これにより、圧損、PMの捕集性能、及びPMの燃焼性能を向上しながら、排気浄化フィルタに要求される強度も確保することができる。
請求項3に記載の発明は、前記多孔質壁の壁厚は10ミル以下であり、前記パラメータは0.45以下であることを特徴とする。
本発明によれば、請求項2に記載の発明と比較して、圧損、PMの捕集性能、及びPMの燃焼性能をさらに向上することができる。
請求項4に記載の発明は、前記ハニカム構造体は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、及びムライトよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む材料を焼成することで製造された焼結体であることを特徴とする。
コージェライト、チタン酸アルミニウム、及びムライトなどの酸化物は、例えばSiCと比較して熱伝導率が小さいため、排気浄化フィルタの再生時にPMの燃え残りが発生し易い。つまりこれら酸化物は、SiCと比較してPMの燃焼性能が低くいという欠点がある。しかしながら、これらの酸化物は、SiCと比較して耐熱衝撃性が高いという利点もある。耐熱衝撃性の低い材料を基材とした場合、複数のセグメントを接着材で互いに接合することで一のハニカム構造体を製造する場合があるが、上述の酸化物を基材とした場合、このようなセグメント構造ではなく一体の焼結体としたものでも必要な耐熱衝撃性を確保できる場合がある。また、このようにハニカム構造体を一体の焼結体とすることにより、接着材で接合する接着部が不要となるので、有効フィルタ面積を大きくすることができ、さらには圧損を低くすることもできる。
一方、上述のように、平均細孔径を適切な範囲に設定するとともに細孔径分布を鋭くすることによりPMの燃焼性能を向上することができるので、上述の酸化物のうち少なくとも1種を含む材料を基材の材料とした場合、PMの燃焼性能の低下を抑制しながら、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を製造することができる。また、ハニカム構造体を一体の焼結体とすることができるので、上述のように圧損を低くすることもできる。
本発明の一実施形態に係るDPFの構成を示す上面図である。 上記実施形態に係るハニカム構造体の構成を示す断面図である。 広がった細孔径分布を有する多孔質壁の断面を模式的に示す図である。 鋭い細孔径分布を有する多孔質壁の断面を模式的に示す図である。 圧損、90%燃焼時間、及び捕集率の測定結果を示す図である。 捕集率と平均細孔径との相関を示す図である。 圧損と分布パラメータとの相関を示す図である。 壁厚が10ミル以下のハニカム構造体における圧損と分布パラメータとの相関を示す図である。 壁厚が10ミル以下のハニカム構造体における90%燃焼時間と分布パラメータとの相関を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る排気浄化フィルタ1の構成を示す上面図である。
排気浄化フィルタ1は、内燃機関の排気通路に配置され、この内燃機関の排気に含まれるPMを捕集することで、排気を浄化するフィルタである。この排気浄化フィルタ1は、特にディーゼル内燃機関から排出される排気の浄化に好ましく利用されるものであり、以下では、「DPF(Diesel Particulate Filter)」という。なお、図1は、DPF1の上面図、すなわちDPF1を排気通路に配置した際に排気の上流側から視た図である。
DPF1は、柱状のハニカム構造体2の他、このハニカム構造体2が収納される筒状のケーシングや、ハニカム構造体2をケーシングの内部に固定する保持材などを含んで構成される。
図2は、ハニカム構造体2の構成を示す断面図である。図2において、左方は排気の上流側を示し、右方は排気の下流側を示す。
ハニカム構造体2は、排気が流れる方向に沿って延びる複数の多孔質壁3と、これら多孔質壁3により区画形成され、排気の流路となる複数のセル4とを備える。
図2に示すように、セル4は、上流側セル41と下流側セル42とに分けられ、これら上流側セル41と下流側セル42とは交互に配置される。
上流側セル41の下流側には、上流側セル41の内部からハニカム構造体2の下流側へ排気が流出するのを防止する目封じ5が設けられている。また、下流側セル42の上流側にも、ハニカム構造体2の上流側から下流側セル42の内部へ排気が流入するのを防止する目封じ5が設けられている。また、多孔質壁3には無数の細孔が形成されており、排気が通過可能となっている。
すなわち、ハニカム構造体2へ流入する排気は、先ず、上流側セル41内に流入し、多孔質壁3を通過して、下流側セル42内へ流入し、ハニカム構造体2外へ流出する。ここで、排気が多孔質壁3の細孔を通過する際、多孔質壁3には、排気に含まれるPMが堆積する。
次に、以上のような多孔質壁3の細孔に排気を通過させることでPMを捕集するDPFにおいて、平均細孔径、細孔径の分布、及び壁厚と、PMの捕集性能、圧損、及びPMの燃焼性能などのDPFに要求される各種性能と、の相関について説明する。
図3及び図4は、多孔質壁の断面を模式的に示す図である。
図3は、細孔径のばらつきが大きい場合、つまり広がった細孔径分布を有する多孔質壁を示す。これに対して図4は、細孔径のばらつきが小さい場合、つまり鋭い細孔径分布を有する多孔質壁を示す。
図3に示すように、広がった細孔径分布を有する多孔質壁では、平均細孔径から外れた小さな径の細孔と大きな径の細孔と比較的多く存在する。小さな径の細孔は、連通性が低く、また、触媒をコートした際に閉塞されて有効気孔率が低下してしまい、圧損が上昇するおそれがある。一方、大きな径の細孔に対しては、壁の中、つまり細孔の中に多くのPMが溜まり易いため、PMの堆積初期に細孔が塞がれてしまい、結果として小さな径の細孔と同様に圧損が高くなるおそれがある。
これに対して、図4に示すように、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、平均細孔径に近い径の細孔が均一に形成されているため、上述のように触媒をコートすることで閉塞されたり、細孔の中に多くのPMが溜まったりすることも無い。したがって、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、広がった細孔径分布を有する多孔質壁と比較して圧損が低い。
また、図3に示すように、細孔径にばらつきがあると、排気の流れは大きな径の細孔に集中してしまう。したがって、例えばDPF再生時において高温の排気をDPFに流入させた場合、小さな径の細孔には排気が流れにくいため酸素が少なくなる。さらに、基材の材料として熱伝導率の低い材料を用いた場合、排気の流れが集中する大きな径の細孔からの伝熱が少なくなるため、小さな径の細孔が形成された部分の温度はさらに低くなる。結果として、小さな径の細孔が形成された部分ではPMの燃え残りが発生する場合がある。
これに対して、図4に示すように、細孔径が均一であると、排気も均一に流れるのでPMも均一に燃焼する。このため、短時間でDPF再生を終了することができる。したがって、鋭い細孔径分布を有する多孔質壁では、広がった細孔径分布を有する多孔質壁と比較して、PMの燃焼性能を高い。
以上のように、平均細孔径を適切な範囲内に設定した上で、細孔径分布を鋭くすることにより、DPFの圧損を小さくし、さらにPMの燃焼性能を向上することができる。
ところで、多孔質壁の壁厚が薄くなると、多孔質壁のヒートマスが小さくなるので、DPF再生時にはDPFを速やかに昇温することができ、結果として再生時間を短くすることができる。このため、PMの燃焼性能を向上するには壁厚を薄くする方がよいものの、壁厚を薄くすると強度が低下してしまう。このため、壁厚を薄くする場合には、強度の低下を補うべく平均細孔径や気孔率を小さくする場合があるが、平均細孔径や気孔率を小さくすると圧損が高くなる。これに対して、上述のように、細孔径分布を鋭くすることにより圧損を小さくすることができる。したがって、壁厚は、平均細孔径や細孔径分布の広がりと合わせて適切に設定することが好ましく、これにより、PMの燃焼性能、強度、及び圧損を最適にすることができる。
また、ハニカム構造体2の基材の材料としては、SiC、コージェライト、チタン酸アルミニウム、及びムライトなど、既知の材料を用いることができる。
ところで、上述の4つの材料のうち、コージェライト、チタン酸アルミニウム、及びムライトなどの酸化物は、SiCと比較して熱伝導率が小さいため、DPFの再生時にPMの燃え残りが発生し易い。つまりこれら酸化物は、SiCと比較してPMの燃焼性能が低くいという欠点がある。しかしながら、これらの酸化物は、SiCと比較して耐熱衝撃性が高いという利点もある。耐熱衝撃性の低い材料を基材とした場合、複数のセグメントを接着材で互いに接合することで一のハニカム構造体を製造する場合があるが、上述の酸化物を基材とした場合、このようなセグメント構造ではなく一体の焼結体としたものでも必要な耐熱衝撃性を確保できる場合がある。また、このようにハニカム構造体を一体の焼結体とすることにより、接着材で接合する接着部が不要となるので、有効フィルタ面積を大きくすることができ、さらには圧損を低くすることもできる。
上述のように、平均細孔径を適切な範囲に設定するとともに細孔径分布を鋭くすることによりPMの燃焼性能を向上することができるので、上述の酸化物のうち少なくとも1種を含む材料を基材の材料とした場合、PMの燃焼性能の低下を抑制しながら、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を製造することができる。
以上のような多孔質壁を備えたハニカム構造体は、例えば、以下の手順で製造することができる。
先ず、基材となる材料に加えて、細孔を形成するために粒径分布が既知の粒子を造孔材として準備する。次に、これら材料と造孔材からスラリーを調製し、このスラリーを所望のハニカム形状に成型する。そして、この成型品を乾燥及び焼成し、さらにこの焼結体に必要に応じて触媒をコートすることにより、無数の細孔が形成された多孔質壁を備えるハニカム構造体を製造することができる。特にここで、多孔質壁に形成される細孔は造孔材により形成されるため、多孔質壁における平均細孔径や細孔径分布は、造孔材の平均粒径や粒径分布に対応する。したがって、上述のような鋭い細孔径分布を有する多孔質壁の製造は、造孔材の平均粒径や粒径分布を調整することにより可能となる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
<実施例1>
実施例1のDPFのハニカム構造体は、以下の手順で製造した。
基材の材料には、メジアン直径が0.5μmのSiC粒子(屋久島電工社製、商品名0Y−20)を使用し、造孔材の材料には、所定の粒径分布を有するPMMA(ポリメタクリル酸メチル)粒子を使用した。
そして、以上のような基材材料及び造孔材に、四級アンモニウム塩、アクリルエマルジョン、及び蒸留水を添加した上で攪拌し、均一に分散されたSiCスラリーを調製する。そして、このSiCスラリーを所定の形状に成型し、これを乾燥及び焼成する。より具体的には、先ず、1次乾燥工程として20℃の下で20時間乾燥し、次いで2次乾燥工程として500℃の下で1時間乾燥し、さらに2000℃のAr雰囲気の下3時間焼成した。そして、この焼結体に、アルミナを主成分としかつ白金も含む触媒をコートすることにより、ハニカム構造体を製造した。
また、ハニカム構造体の形状は、セルの延在方向に沿った長さが25mmであり、セルの延在方向に垂直な面の断面積が50mm×50mmである立方体状とした。また、セルの数を300個にした。
以上のような手順で製造された実施例1のハニカム構造体は、壁厚が8ミル、気孔率が47%、平均細孔径が8.4μm、細孔径分布の半値幅(以下、「細孔径半値幅」という)が2.2μmであった(後述の図5参照)。またこの場合、細孔径半値幅を平均細孔径で除して得られるパラメータ(以下、「分布パラメータ」という)は、0.26であった。本発明では、この分布パラメータを、細孔径分布の広がりを定量的に示すパラメータとして用いる。
<実施例2>
実施例2のDPFは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布を除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例2のDPFは、壁厚が8ミル、気孔率が46%、平均細孔径が12.0μm、細孔径半値幅が4.0μm、分布パラメータが0.33であった(後述の図5参照)。
<実施例3>
実施例3のDPFは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布を除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例3のDPFは、壁厚が8ミル、気孔率が48%、平均細孔径が13.8μm、細孔径半値幅が4.6μm、分布パラメータが0.33であった(後述の図5参照)。
<実施例4>
実施例4のDPFは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布を除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例4のDPFは、壁厚が8ミル、気孔率が41%、平均細孔径が16.7μm、細孔径半値幅が7.7μm、分布パラメータが0.46であった(後述の図5参照)。
<実施例5>
実施例5のDPFのは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布と、多孔質壁の壁厚とを除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例5のDPFは、壁厚が12ミル、気孔率が42%、平均細孔径が19.0μm、細孔径半値幅が13.0μm、分布パラメータが0.57であった(後述の図5参照)。
<実施例6>
実施例6のDPFのは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布を除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例6のDPFは、壁厚が8ミル、気孔率が44%、平均細孔径が13.9μm、細孔径半値幅が7.8μm、分布パラメータが0.56であった(後述の図5参照)。
<実施例7>
実施例7のDPFのは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布と、多孔質壁の壁厚とを除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、実施例7のDPFは、壁厚が10ミル、気孔率が42%、平均細孔径が11.0μm、細孔径半値幅が6.4μm、分布パラメータが0.58であった(後述の図5参照)。
<比較例1>
比較例1のDPFのは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布と、多孔質壁の壁厚とを除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、比較例1のDPFは、壁厚が12ミル、気孔率が50%、平均細孔径が22.0μm、細孔径半値幅が13.0μm、分布パラメータが0.59であった(後述の図5参照)。
<比較例2>
比較例2のDPFは、造孔材に用いたPMMA粒子の粒径分布と、多孔質壁の壁厚とを除き、上述の実施例1と同じ手順により製造した。結果、比較例2のDPFは、壁厚が13ミル、気孔率が50%、平均細孔径が12.0μm、細孔径半値幅が8.0μm、分布パラメータが0.66であった(後述の図5参照)。
なお、上記実施例及び比較例におけるDPFの気孔率、平均細孔径、及び細孔径分布は、水銀圧入法により測定した。また、細孔径半値幅は、水銀圧入法により測定した微分細孔容積に基づいて算出した。より具体的には、横軸を細孔径、縦軸を微分細孔容積とした細孔径分布曲線において、微分細孔容積の最大値の半分の値となる2点の細孔径(Xa及びXb)の間隔(Xa−Xb)を細孔径半値幅とした。
以上のようにして準備した実施例1〜7、並びに、比較例1,2に対し、それぞれの圧損、90%燃焼時間、及び捕集率を測定した。その測定結果を、図5に示す。
DPFの圧損は、以下の手順で測定した。
先ず、2.2Lのディーゼルエンジンを準備し、このディーゼルエンジンの排気通路内にDPFを設置し、このDPFに対し2g/L(DPFの単位容積当りのPM量)のPMを堆積させる。そして、このPMが堆積したDPFに対し、室温で100L/minの流量の空気を流入させることにより、圧損を測定する。
90%燃焼時間は、DPFに堆積したPMの90%を燃焼するのにかかった時間であり、PMの燃焼性能の目安となる。具体的には、以下の手順で測定した。
先ず、2.2Lのディーゼルエンジンを準備し、このディーゼルエンジンの排気通路内にDPFを設置し、このDPFに対し、5g/LのPMを堆積させる。そして、このPMが堆積したDPFに対し、600℃のモデルガス(NO=200ppm、O2=3.8%、N2=バランスガス)を空間速度11000/hで流入させ続けて、PMの90%が燃焼するまでにかかった時間を測定した。
PMの捕集率は、以下の手順で測定した。
先ず、2.2Lのディーゼルエンジンを準備し、このディーゼルエンジンの排気通路内にDPFを設置する。そして、DPFに0.05g/LのPMが堆積したときにおける、DPFの上流側と下流側のPM量を、AVL社製のスモークメータで測定した。PMの捕集率は、これら上流側及び下流側のPM量の測定値を用い、下記式により算出される。
捕集率=((上流側のPM量−下流側のPM量)/上流側のPM量)×100
図6は、PMの捕集率と平均細孔径との相関を示す図である。より具体的には、この図6は、横軸を平均細孔径とし、縦軸をPMの捕集率とした座標中に、実施例1,5及び比較例1,2の測定結果をプロットした図である。
平均細孔径が大きくなるにしたがいPMの捕集率は低下する傾向がある。特に図6中破線で示すように、平均細孔径が20.0μmより大きくなると、PMの捕集率は急激に低下する。したがって、必要なPMの捕集率を確保するには、平均細孔径は20.0μm以下であることが好ましい。
図7は、圧損と分布パラメータとの相関を示す図である。より具体的には、この図7は、横軸を分布パラメータとし、縦軸を圧損とした座標中に、実施例2,5及び比較例1,2の測定結果をプロットした図である。
分布パラメータが大きくなるにしたがい、圧損は高くなる傾向がある。特に図7中破線で示すように、分布パラメータが0.6より大きくなると、圧損は急激に増加する。したがって、圧損が必要以上に高くなるのを防止するには、分布パラメータは0.6以下であることが好ましい。
図8は、壁厚が10ミル以下のハニカム構造体における圧損と分布パラメータとの相関を示す図である。より具体的には、この図8は、横軸を分布パラメータとし、縦軸を圧損とした座標中に、実施例1〜4,6,7の測定結果をプロットした図である。
上述の図7と同様に、分布パラメータが大きくなるにしたがい、圧損は高くなる傾向がある。特に、図8中破線で示すように、分布パラメータが0.55より大きくなると、圧損は急激に高くなる。したがって、壁厚を10ミル以下とした場合、圧損が必要以上に高くなるのを防止するには、分布パラメータは0.55以下であることが好ましい。また、図8中一点鎖線で示すように、分布パラメータを0.45以下にすることが、より好ましい。
図9は、壁厚が10ミル以下のハニカム構造体における90%燃焼時間と分布パラメータとの相関を示す図である。より具体的には、この図9は、横軸を分布パラメータとし、縦軸を90%燃焼時間とした座標中に、実施例1,3,4,6の測定結果をプロットした図である。
分布パラメータが大きくなるにしたがい、90%燃焼時間は長くなり、PMの燃焼性能が低下する傾向がある。特に、図9中破線で示すように、PMの燃焼性能を高く維持するには、分布パラメータを0.55以下にすることが好ましい。また、図9中一点鎖線で示すように、分布パラメータを0.45以下にすることが、より好ましい。
1 DPF(排気浄化フィルタ)
2 ハニカム構造体
3 多孔質壁
4 セル

Claims (4)

  1. 多孔質壁により区画形成された複数のセルを有するハニカム構造体を備え、前記多孔質壁に形成された細孔に排気を通過させることで排気を浄化する排気浄化フィルタであって、
    前記多孔質壁の平均細孔径は20μm以下であり、
    前記多孔質壁の細孔径分布の半値幅を、前記平均細孔径で除して得られるパラメータは0.6以下であることを特徴とする排気浄化フィルタ。
  2. 前記多孔質壁の壁厚は10ミル以下であり、
    前記パラメータは0.55以下であることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
  3. 前記多孔質壁の壁厚は10ミル以下であり、
    前記パラメータは0.45以下であることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
  4. 前記ハニカム構造体は、コージェライト、チタン酸アルミニウム、及びムライトよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む材料を焼成することで製造された焼結体であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の排気浄化フィルタ。
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