以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1に遊技機の一種であるパチンコ機1の正面図を示し、詳細に説明する。図1に示す通り、本実施例のパチンコ機1は、大きく長方形の外枠2、前面枠3、意匠枠4a、意匠枠4bとならなる筐体にて各部を保持する構造である。
外枠2左側の上部には金具5aが、下部に金具5bがそれぞれ設けられており、金具5aおよび5bとでヒンジ機構を形成し、前面枠3は外枠2に対して開閉可能に構成され、図示しない前面枠閉鎖スイッチ38(図6参照)が前面枠3の閉鎖状態を検出可能に装着されている。また、前面枠3左側の中部には金具5cが設けられ、金具5aと金具5cとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4aは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。さらに、金具5cと金具5bとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4bは前面枠3に対して開閉可能に構成されている。
ヒンジ機構が形成される逆側(ここでは右側)には、外枠2と前面枠3との施錠、前面枠3と意匠枠4aとの施錠、前面枠3と意匠枠4bとの施錠/解錠を行うための鍵穴6aを有するスライド錠6(図2参照)が設けられている。尚、本実施例のパチンコ機1は、外枠2の左隣にCRプリペイドカードユニット7を設けている所謂CR機として説明するが、CRプリペイドカードユニット7を設けない所謂現金機としても何ら差し支えない。
意匠枠4aは、後述する遊技盤8を視認可能とするために透明樹脂板またはガラス板を備える窓部9、前面枠3に設けられたスピーカの前面にスピーカを保護し、且つ、効果音を通すための保護音通部11を備えている。また、パチンコ機1の異常状態を報知する球切れ表示LED72と、異常状態報知LED75が設けられている。
意匠枠4bは、遊技球を貯留しておくための上皿12および下皿13を略中央に備え、遊技者が操作可能な遊技ボタン14、CRプリペイドカードユニットと後述するCRユニット端子板を介して接続される精算表示装置15、球貸ボタン16および精算ボタン17を左側に備えている。また、上皿12には、パチンコ機1の異常状態を報知する下皿満杯表示LED73が設けられている。
前面枠3の右下側(意匠枠4bの右側)には、遊技球の発射強度を調節するための発射ハンドル18が設けられており、発射ハンドル18の近傍には、発射停止ボタン(図6参照)および図示しないタッチ板が設けられている。
前面枠3の下側(意匠枠4bの下側)には、スピーカを備えたスピーカユニット21が設けられている。
続いて、図2にパチンコ機1の裏面図を示し、詳細に説明する。図2に示す通り、遊技盤8を着脱可能に取り付けられる前面枠3が外枠2に収納されるような構成となっている。前面枠3には、遊技球流下通路が形成されており上方から球タンク22、タンクレール23、シュートユニット71、払出装置24が設けられ、払出装置24の内部には払出ユニット24cが設けられている。遊技盤8に設けられる後述する入賞口に遊技球が入球することに基づいて、球タンク22からタンクレール23、シュートユニット71を介して所定個数の賞球となる遊技球を、払出装置24の払出モータ24aが駆動することによって、前述した上皿12に払い出すことになる。
また、遊技盤8の裏面側には、主制御装置50、サブ統合装置53、演出図柄ユニット54が設けられ、前面枠3の裏面側には、払出制御装置51、発射制御装置52、電源装置55が各々設けられ、電源装置55には電源スイッチ55aおよびRAMクリアスイッチ55b、図示しないバックアップ用電源が設けられている。尚、発射制御装置52が図示されていないが、払出制御装置51で隠れる位置に配置されている。
さらに、前面枠3には、外部接続端子板61が設けられており、この外部接続端子板61から遊技状態、遊技結果、不正行為等を示す信号がホールコンピュータ70(図6参照)に送られるように構成されている。尚、本実施例では外部接続端子板61を盤用、枠用を兼用する構成としているが、盤用、枠用の外部接続端子板を個々に備えるように構成しても何ら差し支えない。
続いて、図3に遊技盤8の正面図を示し、詳細に説明する。図3に示す通り、遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図6参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
また、窓部28aの上方左には、7セグメントLED等の発光部材により構成される第1特別図柄表示装置29、上方右には左と同一部材の第2特別図柄表示装置30と、中央には4個の発光部材で構成される第2特別図柄保留数表示装置30aが設けられており、窓部28a下には同様に4個の発光部材で構成される第1特別図柄保留数表示装置29aが設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側又は左側には普通図柄作動ゲート42が設けられており、下側には第1始動口31と開放時のみ入賞可能となる普通電動役物40が第2始動口32として設けられている。また普通電動役物40には、7セグメントLED等の発光部材により構成される普通図柄表示装置41が配置されている。第2始動口32の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される普通図柄保留数表示装置41aが設けられている。また、大入賞口ユニット33の左右両側には、一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。尚、一般入賞口スイッチ35b、35c、35d、35eは遊技盤正面から見た一般入賞口35aの位置によって区別され、右側上には一般入賞口スイッチ35b、右側下には一般入賞口スイッチ35c、左側上には一般入賞口スイッチ35d、左側下には一般入賞口スイッチ35e、が配置されている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート42に入球すると、普通図柄表示装置41で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、普通電動役物40の羽根部材が駆動して、普通電動役物40への入球が可能となるように構成されている。尚、本実施形態におけるパチンコ機では、普通電動役物40の羽根部材が駆動する開放時間は、通常時は0.3秒(1回)、時短状態(開放延長状態)では5.0秒(1回)である。尚、遊技球が1個入賞した際に獲得する賞球数は、第1始動口31と第2始動口32は3個、大入賞口33aは14個、一般入賞口35aは10個に設定されている。
第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31a(図6参照)にて遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置29において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口32である普通電動役物40に遊技球が入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図6参照)にて遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置30において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能となるように構成されている。
図4はシュートユニット71の斜視図であり、遊技球の流れが分かりやすいようにカバーが外された状態になっている。図示したようにシュートユニット71には左右にカーブされた球誘導路(遊技球待機通路)が前後方向に2列に形成され(前側が第1球誘導路、後側が第2球誘導路と呼ぶ)、払出装置24から払い出される遊技球を待機させている。なお、この球誘導路のカーブは遊技球の重力を分散させるためになされている。
また、シュートユニット71の各々の球誘導路上には、それぞれシュート球切れスイッチA71a、シュート球切れスイッチB71bが設けられており、該シュート球切れスイッチA、B(71a、71b)の検出信号により、シュートユニット74内に所定個数の遊技球が待機されているか否かが判断される。本実施例では、片方の球誘導路で20個の遊技球が待機されているか否かが判断される。尚、シュート球切れスイッチA71a、シュート球切れスイッチB71bが、本願発明における球切れ検出手段に該当する。
なお、正確にはシュートユニット71の球誘導路だけで遊技球が20個待機されているわけではなく、払出ユニット24cの払出スプロケット24dの前(上流)の球誘導路にも遊技球が待機されるようになっており、該払出しスプロケット24dの上流の球誘導路とシュートユニット71の球誘導路で遊技球が20個待機されているか否かが判断される(つまり、払出ユニット24cの一部も遊技球待機通路に該当)。つまり、シュート球切れスイッチA、B(71a、71b)は、払出スプロケット24dの上から遊技球が20個並んだ位置に配置されている。尚、第1球誘導路、第2球誘導路の両方で待機通路の遊技球が球切れと判定された場合は、シュート球切れエラーとなり払出装置24の動作を停止するが、どちらか片方のみが球切れと判定された場合は、球切れ報知のみ実施し払出装置24の払出動作は片方の待機球を使用して行なわれる。
次に、図5を用いて本願発明における払出装置に該当する、払出ユニット24cの構造を示し、遊技球払出の動作原理を説明する。払出ユニット24cは、その内部に払出スプロケット24dの回転軸を嵌着した払出モータ24aを配置している。払出モータ24aには、正逆回転可能で且つ回転角を制御できるステッピングモータが用いられている。玉がみの解除時等に払出モータ24aは逆回転する。尚、払出スプロケット24dは、本願発明における回転体に該当する。
払出スプロケット24dの上側(上流)には遊技球が数個待機できる上記した球誘導路が前後方向に2列形成されており(前側が第1球誘導路、後側が第2球誘導路と呼ぶ)、遊技球を2列に整列して流下させ払出スプロケット24dに誘導する。払出スプロケット24dの外周には、遊技球を受け入れる6個の凹部が等間隔に形成されている。各凹部は1個の遊技球を受け入れ可能に縁部が形成され、2列の遊技球が払出ユニット24cに進入すると、第1誘導路と第2誘導路とで1球ずつ互い違いに払出スプロケット24dに受け入れられる。
払出モータ24aの駆動によって払出スプロケット24dが回転(払出スプロケット24dを手前にして右回転)すると、払出スプロケット24dの遊技球受け入れ部からほぼ半周回転した時点で、受け入れた順で払出スプロケット24dから遊技球を1個ずつ排出する。払出スプロケット24dの直下には払出スイッチ24bが配置され、払出スプロケット24dの凹部から排出された遊技球を検出可能に構成している。尚、払出モータ24aとなるステッピングモータは、2相励磁で制御され、8ステップで1個の遊技球を払出す構成となっている。
続いて、図6に本実施例におけるパチンコ機の電気配線を示すブロック図を示し説明する。図6には煩雑になる電源の供給系統に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には、電源装置(図示せず)から直接的又は間接的に供給される構成となっている。尚、遊技盤8を装着するパチンコ機本体に関する部品は図示を省略している。
主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板を介して第1始動口31に入球した遊技球を検出する第1特別図柄始動口スイッチ31aと第2始動口32である普通電動役物40に入球した遊技球を検出する第2特別図柄始動口スイッチ32aと、普通図柄作動ゲート42に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35b(右上)、35c(右下)、35d(左上)、35e(左下)とが接続されており、これらのスイッチが本願発明における、遊技領域に設けられた入賞口へ進入した遊技球を検出する入賞検出手段、に該当する。また、裏配線中継端子板を介して前面枠3が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチと、意匠枠が閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチと、が接続されている。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイドと、普通電動役物31の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイドとが接続されており、図柄表示装置中継端子板を介して第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29と、第1特別図柄の保留数を表示する第1特図保留数表示装置29aと、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30と、第2特別図柄の保留数を表示する第2特図保留数表示装置30aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置とが接続されており、裏配線中継端子板及び外部接続端子板を介して図示しないホールコンピュータと、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51及びサブ統合装置53に出力する。ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合制御装置53とは主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板を介して球タンク(図示せず)又はタンクレール(図示せず)内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ71a、71bと、裏配線中継端子板及び払出中継端子板を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、エラー解除スイッチ76と、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板及び払出中継端子板を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aと、球切れ表示LED72と、下皿満杯表示LED73と、エラーNO表示LEDと、が接続されている。
なお、払出制御装置51は満杯スイッチ13aにより下皿13の遊技球が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ71a、71bによりシュートユニット71(シュートユニット71の球誘導路及び払出ユニット24aの球誘導路)に遊技球が所定個数待機していないことを示す信号が入力されると払出モータ24aを停止させ、賞球払出動作を停止する(球切れスイッチ71a、71bの両方が遊技球を未検出の場合)。なお、満杯スイッチ13a、球切れスイッチ71a、71bともその状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置51は、その信号の出力停止を契機として払出モータ24aの駆動を再開する。
また、払出制御装置51はCRユニット端子板を介してCRユニット(プリペイドカードユニット)と交信することで払出モータ24aを作動させ貸し球を払出す。払出された貸し球は払出スイッチ24b(払出検出手段)に検出され、検出信号は主制御装置50、払出制御装置51に入力される。なお、CRユニット端子板は精算表示装置15とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置15には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ16a、精算を要求するための精算スイッチ17aが接続されている。
つまり、本実施例では、入賞口に遊技球が入球した際に払い出される遊技球(賞球)も球貸ボタン16を押したことに起因して払い出される遊技球(貸球)も同じ払出装置24から払い出され、払い出された遊技球も同じ払出スイッチ24bにより検出される構成になっている。しかし、このような構成に限定するわけではなく、各々異なる払出装置により払い出される構成にしてもよいし、払い出された遊技球を各々異なる払出球検出手段により検出される構成にしてもよい。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50及び発射制御装置に出力する。払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置とは払出制御装置51から発射制御装置への一方向通信回路として構成されている。
また、払出制御装置51は、外部接続端子板を介して賞球に関する情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置に対して発射停止信号を送信する。発射制御装置は発射モータを制御して、遊技球を遊技領域26に遊技球を発射させる。なお、発射制御装置には払出制御装置51以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチからのタッチ信号、発射停止スイッチから発射停止スイッチ信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル18を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル18を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチを押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル18を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
サブ統合制御装置53は、入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチが接続されている。サブ統合制御装置53の出力端には、図示しない意匠枠及び遊技盤8に備えられる各種LED・ランプと、前面枠及びスピーカユニットに備えられるスピーカと、が接続されている。尚、サブ統合制御装置53と主制御装置50とは、主制御装置50からサブ統合制御装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置53と演出図柄制御装置とは双方向通信回路として構成されている。
サブ統合制御装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、遊技スイッチの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニットの演出図柄制御装置に出力する。
また、サブ統合制御装置53には、音量を調節する音量調節スイッチが備えられ、音量調節スイッチの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカへ送信する内容とを判断し、スピーカから出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
演出図柄制御装置は、サブ統合制御装置53から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置50から送信されてきたものとサブ統合制御装置53が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置を制御して、疑似図柄等の演出画像を窓部28aに表示させる。
上述したように、払出制御装置51は払出スイッチ24b、エラー解除スイッチ76、球切れスイッチ71a、71b、満杯スイッチ13aが接続されており(エラー解除スイッチ76は払出制御装置51に実装されている)、各々の信号が入力される。球切れスイッチ71a、71bは、上述したようにシュートユニット71内に設けられた2つ球誘導路(第1及び第2)に設置されており、スイッチ(センサー)の種類は、スイッチの検出範囲を物体(遊技球)が通過することを検出可能なタイプを使用している。現在では、ほとんどのパチンコ遊技機に払出装置24により払い出す遊技球を待機させておき、その待機させている遊技球が所定個数存在するか否かを確認する構成(球切れか否かを確認する構成)になっているが、その確認するためのスイッチ(センサー)は、片方が軸支され可動可能な板が備え付けられ、該板の軸支されていない側が所定角度回動すると検出部と該板が接触し、接触したことで信号が出力される構成のものが一般的である。しかし、本実施例では遊技球が通過したことを検出するタイプのスイッチ(センサー)を使用している。
なお、シュートユニット71内に所定個数、遊技球が待機しているか否かを上述したように遊技球が通過したことを検出するスイッチを使用しているために、遊技球が通過するたびに検出がON、OFFを繰り返すことになるので、検出がOFFになったから球切れと直ぐに判断するのではなく、OFFの状態が所定時間経過した場合に払出制御装置51が球切れ(シュート球切れエラー)と判断する構成になっている。また、上述したようにシュートユニット71には、第1球誘導路、第2球誘導路の二つの球誘導路が形成されており、各々の球誘導路に球切れスイッチ71a、71bが設けられており、両方のスイッチの検出信号が所定時間、OFFであった場合に払出制御装置51はシュート球切れエラーと判断する。また、払出動作(払出モータ24aが駆動)が行なわれているにも拘らず、球切れスイッチ71a、71bがON状態を所定時間継続して検出した場合は、球切れスイッチ71a、71bと払出装置24の間で球詰まりが発生した可能性が高いため、上記と同様に球切れ(球詰まり)と判断する。
払出制御装置51がシュート球切れエラーと判断すると、意匠枠4aに設けられた球切れ表示LED72を点灯させると共に払出制御装置51に実装されているエラーナンバー表示装置74に球切れ状態を表す表示を行わせる信号(エラーナンバー表示信号)を送信し、エラーナンバー表示装置74は、その信号をもとに球切れ状態を表す記号を表示する。また、払出制御装置51は球切れ信号を主制御装置50に送信し、主制御装置50は球切れ信号を受信すると、サブ統合制御装置53に球切れ信号を送信する。尚、球切れスイッチ71a、71bのどちらか片方が遊技球を未検出状態となった場合、又は払出モータ24aが駆動中にも拘らずON状態が継続した場合にはエラー判定とはならないが、球切れ表示LED72を点滅し片方の球切れ(球詰まり)状態を報知するとともに、主制御装置50に球切れ情報を送信する。
満杯スイッチ13aは上皿12から溢れた遊技球を下皿13に排出するための溢れ球通路に設けられており、スイッチの種類は、上述した従来の球切れ状態か否かを判断するためのスイッチ(センサー)(回動可能な板の先端が検出部と接触すると信号が出力されるタイプ)と同様なものを使用している。下皿13が遊技球で満杯になり、溢れ球通路にも遊技球が詰まってくると満杯スイッチ13aの板が検出部と接触し、検出信号を送信する。この信号は板と検出部が接触している限り出力し続け、払出制御装置51は、この信号が所定時間継続して入力されることで下皿13が満杯(オーバーフローエラー)と判断する。
払出制御装置51が下皿13が満杯(オーバーフローエラー)と判断すると、上皿12に設けられた下皿満杯表示LED73を点滅させると共に払出制御装置51に実装されているエラーナンバー表示装置74に下皿13が満杯であることを表す表示を行わせる信号(エラーナンバー表示信号)を送信し、エラーナンバー表示装置74は、その信号をもとに下皿13満杯状態を表す信号を表示する。また、払出制御装置51は満杯信号を主制御装置50に送信し、主制御装置50は満杯信号を受信すると、サブ統合制御装置53に満杯信号を送信する。
なお、図7の図表に示すように、球切れ状態(シュート球切れエラー)及び下皿13満杯状態(オーバーフローエラー)と払出制御装置51が判断すると払出制御装置51は払出モータ24aの駆動を停止させる。よって、払い出すべき遊技球があった場合でも、上記エラー(シュート球切れエラー、オーバーフローエラー)が解消されるまで遊技球の払い出しが行われない。シュート球切れエラーはシュートユニット71に遊技球を補給又は球詰まりを正常な状態に戻すことでエラーは解消され、オーバーフローエラーは下皿13の遊技球を取り除くことでエラーは解消される。エラー(シュート球切れエラー、オーバーフローエラー)が解消されると、払出制御装置51は、球切れ表示LED72又は下皿満杯表示LED73を消灯させるほか、エラーナンバー表示装置74に表示されているナンバーを正常状態を示す表示に変更させる。また、払出制御装置51はエラーが解消されたことを示す信号を主制御装置50に送信するほか、払出モータ24aの駆動を再開させる。
遊技球の払い出しに関するエラーは、シュート球切れエラー、オーバーフローエラーだけではなく、図7の図表に示すように払出スイッチ異常エラー、払出過剰エラー、通信コネクタ未接続エラー、異常状態エラーがあり、エラーが発生すると、図7に記載した各々のエラーに対応したエラーナンバーをエラーナンバー表示装置74に表示させるほか、球切れ表示LED72、異常状態報知LED75を点灯、点滅させる。
払出スイッチ異常エラーは払出スイッチ24bのハーネスが断線しているか接触(短絡)している場合に発生し、エラーが発生すると払出モータ24aの駆動を停止する。エラーの解除は払出スイッチ24bのハーネス断線又は接触(短絡)を正常に戻した後、払出制御装置51に実装されているエラー解除スイッチ76を押すことで解除され、エラーが解除されれば払出モータ24aの駆動が再開される。
払出過剰エラーは払出スイッチ24bの異常により過剰に払出した球を16個検出した場合に発生し、エラーが発生すると払出モータ24aの駆動を停止する。エラーの解除は払出スイッチ24bを正常な状態にした後、払出制御装置51に実装されているエラー解除スイッチ76を押すことで解除され、エラーが解除されれば払出モータ24aの駆動が再開される。
通信コネクタ未接続エラーは主制御装置50と払出制御装置51の通信が正常に行われなかった場合に発生し、エラー中は払出モータ24aの払出しが行われない。エラーの解除は主制御装置50と払出制御装置51を接続するハーネスの接続状態を正常にすることで解消され、エラーが解消されれば、払出モータ24aの払出しが行われる。
異常状態エラーは、払出動作を開始してから払出モータ24aが回転した角度(駆動量)が、払出開始時に設定、又は球切れスイッチ71a、71bのどちらかの検出異常が発生した時点で再設定した回転角度(判定値)よりも大きな値となった場合に発生する。この異常状態エラーは、特殊なゴト機具を使って払出スイッチ24bを誤動作させ不正に遊技球を払出させる被害を最小限に抑えながら、払出スプロケット24dの凹部に上手く遊技球が収まらない状態が1回の払出中に頻発したことによって発生するエラーである。
異常状態エラーが発生すると、払出制御装置51は払出モータ24aの駆動を停止し、異常状態であることを示す信号を主制御装置50に送信する。該信号を受信した主制御装置50は、異常状態であることを示す信号をサブ統合制御装置53に送信する。これにより異常状態エラーが発生すると、意匠枠4aに設けられた異常状態報知LED75を点灯させるほか、異常であることを演出図柄表示装置54b、各種ランプLED、音声により報知する。
エラーの解除は払出制御装置51に実装されているエラー解除スイッチ76を押すことで解除され、エラーが解除されれば払出モータ24aの駆動を再開する。なお、異常状態エラーが発生するということは、不正が行われた可能性があるため、エラー解除スイッチ76で解除されるのではなく、パチンコ機1の電源を切断しない限り解除できない構成にしてもよい。更に、異常状態エラー中は、払出装置24による払い出しを停止するだけでなく、遊技球が発射できなくするなどして遊技が不能な状態としてもよい。
本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。また通常状態は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間を短縮する時短状態を含む。第1特別図柄及び第2特別図柄は、確率変動図柄及び非確率変動図柄とからなり、確率変動状態は確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも確率変動図柄で大当たりすれば、該大当たり遊技終了後、確率変動状態に移行する。同様に通常状態は、非確率変動図柄での大当たり遊技終了後に移行可能に設定され、通常状態、確率変動状態のうち、いずれの遊技状態でも非確率変動図柄で大当たりすれば、該大当たり遊技終了後、通常状態に移行する。
通常状態に移行後は、規定回数(例えば、100回)だけ第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ第2始動口32である普通電動役物40の開放延長機能が作動する時短状態となる。第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間(変動開始から結果が表示されるまでの時間)が短縮されると、一定時間内に変動表示が行なわれる回数が増大される。
具体的には、本実施形態の時短状態では、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動時間の短縮とともに、普通図柄表示装置41に表示される普通図柄の時間短縮も行われるが、この普通図柄の変動表示を短縮させることで、一定時間内で多数回普通図柄の確定表示を行う。従って、一定時間内での普通図柄が当りとなる回数が増大し、これにより第2始動口32である普通電動役物40の作動回数も増大する。また、普通電動役物40の開放時間が長くなるように設定されているので、多数の遊技球が入賞し易くなる。このように多数の遊技球が入賞し易くなることにより、第2特別図柄の変動表示回数が更に増大されるとともに、普通電動役物40入賞による賞球により遊技者の持ち玉が減り難くなり、有利な遊技を行うことができる。
尚、確率変動状態では、時短状態と同様に、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、第2始動口32である普通電動役物40開放延長機能が作動する。各種図柄の短縮と普通電動役物40開放延長機能に関わる設定は時短状態と同一であるが、確率変動状態は時短状態に加えて第1特別図柄及び第2特別図柄の大当り確率が高くなる(大当りし易い)。
次に、図8を用いて、主制御装置50が実行するメインルーチンについて説明する。図8に示すフローチャートは、主制御装置50のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2mS毎のハード割り込みにより定期的に実行される処理である。本実施形態では、S10〜S24までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS25、S26の処理を「残余処理」と称する。
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(S10:NO)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込む特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為され(S11)、残余処理に移行する。
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:YES)、初期値乱数1の更新処理が実行される(S12)。この処理は、初期値乱数1の値について、この処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であり、この処理実行前の初期値乱数1の値に+1するが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「3966」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「3966」までの3967個の整数を繰り返し昇順に作成する。
S12の処理後には、初期値乱数2の更新処理が実行される(S13)。この処理はS12の処理と同様に初期値乱数2の値について、実行毎に+1するインクリメント処理である。違いは、初期値乱数1の最大値が「3966」であるのに対して初期値乱数2の最大値が「997」であるということである。よって、この処理を実行する前の初期値乱数2の乱数値が最大値である「997」のときは次回の処理で初期値である「0」に戻る。尚、詳細は後述するが初期値乱数1は大当り判定(特別図柄の抽選)に使用するものであり、初期値乱数2は当り判定(普通図柄の抽選)に使用するものである。
S13に続く大当り判定用乱数の更新処理(S14)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「3966」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数1の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数1の値を初期値とし「0」〜「3966」までの3967個の整数値を繰り返し作成する。
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの整数値とすることは前記初期値乱数1と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、大当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「3966」までの3967個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「3966」の3967個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。
尚、通常確率状態時の当選することとなる値の数は10で、値は「775」〜「777」、「1775」〜「1777」、「2774」〜「2777」であり、高確率状態時の当選することとなる値の数は100で、値は「775」〜「777」、「1314」〜「1333」、「1758」〜「1777」、「2758」〜「2777」、「3314」〜「3333」である。
S14に続く当り判定用乱数の更新処理(S15)は、初期値乱数1、初期値乱数2の更新処理と同様に処理を実行する毎に+1するインクリメント処理であるが、最大値である「996」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期値乱数2の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1する処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期値乱数2の値を初期値とし「0」〜「996」までの997個の整数値を繰り返し作成する。
即ち、割り込み処理毎に+1し、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの整数値とすることは前記初期値乱数2と何等変わることはないが、今回の更新最大値に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1し、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、当り判定用乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「996」までの997個の整数値とし、割り込み処理毎に+1するが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期値乱数1により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「996」の997個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。尚、図14に記載するように通常確率状態時の当選することとなる値の数は10で、値は「31」〜「40」であり、高確率状態時の当選することとなる値の数は966で、値は「31」〜「996」である。
大当り図柄決定用乱数の更新処理(S16)は「0」〜「19」の20個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る構成になっており、この20個の乱数値により20種類の大当り図柄より1つの大当り図柄が決定され、第1特別図柄、第2特別図柄共に同じ大当り図柄を使用する構成になっている。
続く小当り図柄決定用乱数の更新処理(S17)は「0」〜「9」の10個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1されて最大値を超えると初期値である「0」に戻る。なお、小当りを示す図柄は「EE」、「FF」の2種類であり、小当り図柄決定用乱数によって、どちらの小当りを示す図柄を選択するか決定する。また、小当りを示す図柄は、第1特別図柄、第2特別図柄とも同じになっている。ハズレを示す特別図柄も第1特別図柄、第2特別図柄で同じになっており、「−−」の1種類になっているので外れ図柄を決定するための乱数は備えていない。また、普通図柄の当り図柄(「L」)もハズレ図柄(「−」)も共に1種類しか存在しないので当り図柄又はハズレ図柄を決定するための乱数は備えていない。
リーチ判定用乱数の更新処理(S18)は「0」〜「228」の229個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。なお、通常確率状態時で変動時間短縮機能未作動時に当選する値の数は21で、値は「0」〜「20」であり、通常確率状態時で変動時間短縮機能作動時に当選する値の数は5で、値は「0」〜「4」であり、高確率状態時に当選する値の数は6で、値は「0」〜「5」である。
変動パターン決定用乱数の更新処理(S19)は、「0」〜「1020」の1021個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎で+1され最大値を超えると初期値である「0」に戻る。尚、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数は第1特別図柄始動口31又は第2特別図柄始動口32に遊技球が入球することで抽出され、当り判定用乱数は普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過することで抽出される。
続く入賞確認処理(S20)では、遊技領域26に設けられた各入賞口へ遊技球が入球したか否か及び普通図柄作動ゲート42を遊技球が通過したか否かを確認する処理である。続いて大当りか否かを判定する条件成立判定手段としての特図当否判定処理(S21)、普通図柄抽選が当りか否かを判定する普図当否判定処理(S22)行う。この特図当否判定処理(S21)、普図当否判定処理(S22)が終了すると続いて画像出力処理等の各出力処理(S23)が実行される。
各出力処理(S23)では、遊技の進行に応じて主制御装置50は演出図柄制御装置54a、払出制御装置51、発射制御装置、サブ統合制御装置53、大入賞口ソレノイド等に対して各々出力処理を実行する。即ち、入賞確認処理(S20)により遊技盤8上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく払出制御装置51に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータをサブ統合制御装置53に出力する処理を、パチンコ機1に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく演出図柄制御装置54aにエラー信号を出力する処理を各々実行する。
続く不正監視処理(S24)は、一般入賞口に対する不正が行われていないか監視する処理であり、所定時間内における入賞口への遊技球の入球が予め決定された規定数よりも多いか否かを判断して、多かった場合には不正と判断され、その旨を報知する処理である。
本処理に続く前述の残余処理は、初期値乱数1の更新処理(S25)、初期値乱数2の更新処理(S26)から構成されるが、各々前述したS12、S13の処理と全く同じ処理である。この処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで、時間の許される限り繰り返し実行される。前述したS10〜S24までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行(特別遊技の実行)するか否か、特別図柄(第1又は第2)の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、割り込み処理が1回実行されることにより初期値乱数1、初期値乱数2の更新される(加算される)値も一律ではなくなる。これにより、初期値乱数1が大当り判定用乱数と、初期値乱数2が当り判定用乱数と同期する可能性はなくなる。尚、本実施形態においては、大当り判定用乱数の更新は初期値乱数1の値により変更され、当り判定用乱数は初期値乱数2の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。
次に図9のフローチャートを用いて、各入賞口への遊技球の入賞に応じて、払出す賞球個数を示す信号の確定過程を示す、賞球データ作成処理を説明する。賞球データ作成処理を開始すると、第1始動口スイッチ31aが遊技球を検出したか否か判定する(S30)。肯定判定なら(S30:YES)、賞球データ記憶バッファに記憶する払出す賞球個数を示すデータの下位1ビット目を1にする(S31)。ここで、払い出す賞球個数を示すデータは00000000のように1バイトデータで表され、特別図柄始動スイッチ31aの検出によって払い出す賞球個数を示すデータは00000001となる。各ビットは対応する入賞口への入賞状態を表し、1が検知、0が未検知を示す。
S31の処理の後、又はS30が否定判定なら(S30:NO)、第2始動口スイッチ32aが遊技球を検出したか否か判定する(S32)。肯定判定なら(S32:YES)、賞球データ記憶バッファに記憶する払出す賞球個数を示すデータの下位2ビット目を1にする(S33)。これにより、第2始動口スイッチ32aのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは00000010となる。S33の処理の後、又はS32が否定判定なら(S32:NO)、カウントスイッチ33bが遊技球を検出したか否か判定する(S34)。肯定判断(S34:YES)なら下位3ビット目を1にする(S35)。大入賞口33aのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは00000100となる。
S35の処理の後、又はS34が否定判定なら(S34:NO)、遊技盤正面から見て右上の位置に配置された一般入賞口スイッチ35bが遊技球を検出したか否か判定する(S36)。肯定判断(S36:YES)なら下位4ビット目を1にする(S37)。従って、一般入賞口スイッチ35bのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは00001000となる。S37の処理の後、又はS36が否定判定なら(S36:NO)、遊技盤正面から見て右下の位置に配置された一般入賞口スイッチ35cが遊技球を検出したか否か判定する(S38)。肯定判断(S38:YES)なら下位5ビット目を1にする(S39)。従って、一般入賞口スイッチ35cのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは00010000となる。
S39の処理の後、又はS38が否定判定なら(S38:NO)、遊技盤正面から見て左上の位置に配置された一般入賞口スイッチ35dが遊技球を検出したか否か判定する(S40)。肯定判断(S40:YES)なら下位6ビット目を1にする(S41)。一般入賞口スイッチ35dのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは00100000となる。S41の処理の後、又はS40が否定判定なら(S40:NO)、遊技盤正面から見て左下の位置に配置された一般入賞口スイッチ35eが遊技球を検出したか否か判定する(S42)。肯定判断(S42:YES)なら下位7ビット目を1にする(S43)。一般入賞口スイッチ35eのみの入賞によって払い出す賞球個数を示すデータは01000000となる。S43の処理の後、又はS42が否定判定なら(S42:NO)、上記処理によって得た賞球データを賞球データ記憶バッファに記憶処理し(S44)、リターンに抜ける。
以上が賞球データ作成処理となるが、払出す賞球個数を示すデータ7個(賞球データ記憶00H〜06H)を記憶する賞球データ記憶バッファと、それとは別に払い出す賞球個数を示すデータを送信するための賞球データ記憶バッファを備えているため、記憶個数を増やしても問題ない。また、本実施例のように入賞頻度の高い入賞口順に下位ビットから割り振ることで、処理の負担を軽減する構成が好適といえる。
次に図10を用いて主制御装置50が実行する賞球データ送信処理を説明する。賞球データ送信処理は、図9の処理で作成されたデータを基に賞球個数を示すデータを払出制御装置51へ送信する処理である。賞球データ送信処理を開始すると、まず賞球データ記憶バッファにステップS44で記憶処理されたデータがあるか否か(00000000でないか否か)が判定されるが(S50)、これ以前に図示しない処理で、賞球データ記憶バッファにデータがなかった場合に賞球データシフト処理が行われる。賞球データシフト処理は、賞球データ記憶バッファにデータがなく、賞球データ記憶00Hに記憶されたデータがある場合に行われ、賞球データ記憶00Hに記憶された払い出す賞球個数を示すデータを賞球データ記憶バッファに移す処理が行われる。それと同時に賞球データ記憶01H〜06Hまでに記憶された賞球データも1段階前の領域へと移される処理が行われる。
S50で否定判定(S50:NO)なら、リターンする。肯定判定(S50:YES)なら、払出制御装置51から未払い満タン信号を未受信か否かを判定する(S51)。未払い満タン信号とは、未払いの賞球個数を示すデータが払出制御装置51のRAM容量の所定容量以上となったことを知らせるデータである。S51が否定判定(S51:NO)ならリターンし、払い出す賞球個数を示すデータの送信を中断できるように構成する。これによって、払出制御装置51のRAMの記憶容量を小さくすることができ、コストの削減に寄与することができる。
S51が肯定判定なら(S51:YES)、賞球データ記憶バッファに記憶された賞球データの下位1ビット目が1になっているか否か判定する(S52)。肯定判定なら(S52:YES)、データバスに賞球3個のデータをセットし(S53)、下位1ビット目を0にして(S54)、ステップS73に進む。否定判定(S52:NO)なら、下位2ビット目のデータが1か否か判定する(S55)。肯定判定なら(S55:YES)、データバスに賞球3個のデータをセットし(S56)、下位2ビット目を0にして(S57)、ステップS73に進む。S55が否定判定(S55:NO)なら、下位3ビット目のデータが1か否か判定する(S58)。肯定判定なら(S58:YES)、データバスに賞球14個のデータをセットし(S59)、下位3ビット目を0にして(S60)、ステップS73に進む。
S58が否定判定(S58:NO)なら、下位4ビット目のデータが1か否か判定する(S61)。肯定判定なら(S61:YES)、データバスに賞球10個のデータをセットし(S62)、下位4ビット目を0にして(S63)、ステップS73に進む。否定判定(S61:NO)なら、下位5ビット目のデータが1か否か判定する(S65)。肯定判定なら(S65:YES)、データバスに賞球10個のデータをセットし(S66)、下位5ビット目を0にして(S67)、ステップS73に進む。S65が否定判定(S65:NO)なら、下位6ビット目のデータが1か否か判定する(S68)。肯定判定なら(S68:YES)、データバスに賞球10個のデータをセットし(S69)、下位6ビット目を0にして(S70)、ステップS73に進む。S68が否定判定(S68:NO)なら、データバスに賞球10個のデータをセットし(S71)、下位7ビット目を0にして(S72)、ステップS73に進む。
S73では、上記した処理から得た払い出す賞球個数を示すデータを、主制御装置50から払出制御装置51に送信し、リターンに抜ける。また、この払い出す賞球個数を示すデータは払出制御装置51に送信後、消去する構成とする。
以上が主制御装置50が実行する賞球データ送信処理となるが、主制御装置50が払出制御装置51から未払いの賞球個数を示すデータが所定容量以上となったことを知らせるデータを受信した場合、払い出す賞球個数を示すデータの送信を中断することができる(S51:NO)。このため、払出制御装置51に賞球に関するデータの記憶保持のために備えられたRAMの記憶容量が不足した状態で、主制御装置50からの払い出す賞球個数を示すデータを受信した場合に生じる遊技者の不利益を回避することができる。
次に、図11を用いて払出制御装置51が実行する賞球データ受信処理を説明する。この処理は、主制御装置50から受信したNMI信号が、払い出す賞球個数を示すデータに関するものであると判断したときに実行される処理である。払出制御装置51が、賞球データ受信処理を開始すると、主制御装置50から払い出す賞球個数を示す賞球データを受信したか否かを判定する(S110)。否定判定なら(S110:NO)、リターンする。肯定判断なら(S110:YES)、受信した賞球データが賞球3個のデータであるか否か判断する(S111)。
ここで、主制御装置50と払出制御装置51との通信は双方向通信回路としており、双方向通信回路とすると制御基板がデータを受信したときには、そのデータを送信した制御基板にデータを正常に受信したことを示す受信確認信号を送信する構成となるが、ステップS110で払出制御装置51が払い出す賞球個数を示すデータを受信した場合には、払い出す賞球個数を示すデータに対する受信確認信号を主制御装置50へ送信しない構成としている。このため、主制御装置50と払出制御装置51との間で最も頻繁に行われる賞球個数を示すデータの送受信に関する制御負担を軽減し、好適な制御を実行することができる。また、主制御装置50から賞球個数を示すデータを送信する場合には強制割り込み(NMI)端子に入力する構成としているため、払出制御装置51が払い出す賞球個数を示すデータを受信した時に、受信したことを認識させるための受信確認信号を送信しない構成であっても問題ない。
S111が肯定判定なら(S111:YES)、未払いカウンタを3増加させる(S112)。未払いカウンタは、主制御装置50から送信される賞球個数を示すデータを記憶するカウンタであり、払出す遊技球数を示すデータによって指示された賞球個数をカウンタに加算するように構成される。S111が否定判定なら(S111:NO)、受信した賞球データが賞球10個のデータであるか否か判定し(S113)、肯定判定なら(S113:YES)未払いカウンタを10増加させ(S114)、否定判定なら(S113:NO)未払いカウンタを14増加させる(S115)。S112、S114、S115の処理の後、上記処理によって加算された未払いカウンタの値が設定された所定値よりも大きいか否か判定する(S116)。肯定判定なら(S116:YES)、払出制御装置51から主制御装置50へ未払いの賞球個数を示すデータが所定値以上となったことを知らせる未払い満タン信号を送信し(S117)。S117の処理の後、又はS116が否定判定なら(S116:NO)リターンに抜ける。
未払い満タン信号の送信により、主制御装置50は払出処理をさせない処理を実行するため(S51:NO)、払出制御装置51に賞球に関するデータの記憶保持のために備えられたRAMの記憶容量が不足した状態で、主制御装置50からの払い出す賞球個数を示すデータを受信した場合に生じる遊技者の不利益を回避することができる。
次に図12、13、14、15を用いて、払出制御装置51が実行する賞球払出処理を説明する。この処理は、本願発明における、払出制御手段、異常状態判定手段、所定値設定手段、所定値変更手段、を含む処理であり、払出モータ24aが駆動を開始後、払出スイッチ24bが払出カウンタに設定された値(S124又はS126)と同数の遊技球を検出するか、又は払出モータ24aの駆動量が、判定値(回転角度)に達するまで払出モータ24aを駆動させる構成となっている。
賞球払出処理の具体的な説明の前に、上記した判定値となる払出モータ24aの回転角度について図16、17、18、19(図18、19は払出モータ24aの駆動量を駆動時間として計測した場合の判定値)を用いて説明する。上述したように、本実施例では払出モータ24aの駆動量として回転角度を計測する構成となっている。図16は、1回の払出動作で払出す遊技球数に応じた払出モータ24aの回転角度を示す図表である。尚、最上行の数値は、1回の球貸し時に必要となる払出モータ24aの回転角度であり、球貸し実施時においても払出モータ24aの駆動量判定値が設定される。従って本願発明による効果は球貸払出処理にまで及ぶものである。
具体的には、貸球として25個の遊技球を払出す(排出する)場合、払出モータ24aは1500°(4回転と60°)の回転駆動を行なう。同様に賞球として15個の遊技球を払出す(排出する)場合、払出モータ24aは900°(2回転と180°)の回転駆動を行なう。以下払出個数が1個少なくなる毎に回転角度が60°減少し、1個の賞球払出しに必要な回転角度は60°となる。尚、図4を用いて説明したシュートユニットの片方の球誘導路で球切れ又は球詰まりが発生し、払出スプロケット24d(本願発明における回転体)に片方の誘導路からしか遊技球が供給されない場合は、払出モータ24aの回転角度はこれらの回転角度を2倍したものとなる。
図17は、1回の払出個数と、後述するS141、S171、S144の処理で用いる払出モータ24aの駆動量(回転角度)の判定値との対応表である。左端列の払出個数に対して中列が球切れスイッチ71a、71bの両方が正常に遊技球を検出している場合に用いられる判定値となり、右端列が球切れスイッチ71a、71bのいずれか1個のみが正常に遊技球を検出している場合に用いられる判定値となる。上述したように、各払出個数に対応した判定値(回転角度)は、図16で示した払出しに必要となる回転角度に対して2個の遊技球を余分に払出す回転角度が加えられた値になっている。但し、一方の球切れスイッチしか遊技球を正常に検出していない場合(右端列)は、判定値が2倍されるため4個余分に払出す回転角度が加えられた値となる(1個の払出しでは5個余分となる)。
具体的には、25個の遊技球を払出す場合、正常に球切れスイッチ71a、71bの両方が遊技球を検出していれば、判定値は1620°となり、球切れスイッチ71a、71bの片方しか正常に遊技球を検出していなければ(片方の誘導路で球詰まり又は球切れが発生していれば)、判定値はその倍の3240°となる。賞球15個の遊技球を払出す場合、正常に球切れスイッチ71a、71bの両方が遊技球を検出していれば、判定値は1020°となり、球切れスイッチ71a、71bの片方しか正常に遊技球を検出していなければ、判定値はその倍の2040°となる。以下払出個数が1個少なくなる毎に球切れスイッチ71a、71bの両方が正常に遊技球を検出していれば、判定値となる回転角度が60°減少し、片方の誘導路しか正常に遊技球を検出していなければ、120°減少していく。1個の遊技球の払出時に設定される判定値は、両方の誘導路で球詰まりがなければ180°となり、一方の誘導路が球詰まり又は球切れ状態なら360度となる。
尚、本実施例では払出動作中にどちらか一方の球誘導路で球詰まりが発生した場合、その時点で、現在設定されている判定値の2倍の回転角度となる判定値を再設定するが、球詰まりを検知した時点の払出カウンタの値(払出しを行なわなければならない残りの遊技球数)に応じて判定値を演算する構成としてもよい。具体的には、15個の払出を実施中(判定値1020°)に片方の球誘導路で球詰まり又は球切れを検知したときの払出カウンタの値が4個であった場合、正常に4個払出す判定値(360°)の2倍となる720°を判定値として再設定する構成としてもよい。
図18、19に示した内容は、払出モータ24aの駆動量の判定に回転角度ではなく、払出に必要な駆動時間を計測して用いた場合の対応表となる。図18に示した図表は、左端列の遊技球数を排出するために必要となる払出モータ24aの駆動時間を示したもので、中列は、1個目の払出速度が遅くなる電源投入後及び払出過剰エラー解除後の1回目の払出における払出個数に対応した払出モータ24aの駆動時間を、右端列は、それ以外の通常時における払出モータ24aの駆動時間を示している。
払出しに必要な払出モータ24aの駆動時間を計測した場合、25個の遊技球を払出すには、図18に示すように、電源投入後及び払出過剰エラー解除後の1回目の払出しでは約2160msの駆動を行ない、それ以外の通常時では約2080msの駆動を行なう。遊技球を1個だけ払出す場合は、どちらも約160msの駆動を行なうが、それ以外の払出個数では、通常時のほうが80ms早くなっている。これは、電源投入後及び払出過剰エラー解除後の1回目の払出しでは1個目と最後の遊技球の払出しが払出モータ24aの超低速駆動(1個の払出しに約160ms)を用いて実施され、通常の払出しでは最後の1個の払出しのみに超低速駆動を用いることから発生する時間差である(図20、21参照)。尚、払出モータ24aの高速回転を用いて遊技球を払出す場合、約80ms駆動することによって1個の遊技球を払出す。
図19は、図18に示した払出個数に対応した払出モータ24aの駆動時間に、遊技球を余分に2個払出す時間を加えた判定値を示す表である。電源投入後及び払出過剰エラー解除後の1回目の払出しと、通常の払出しでは上記した内容に応じて異なる値となり、それぞれに球切れスイッチ71a、球切れスイッチ71bが両方とも正常か、片方のみ正常かによって判定値が設定される。尚、遊技球を余分に2個払出す時間は、電源投入後及び払出過剰エラー解除後の1回目の払出しも通常の払出しもともに約160ms(払出モータ24aが高速で2個の遊技球を払出す時間(80ms×2))となっている。判定値を払出モータ24aの駆動時間で設定する場合でも、どちらかの球誘導路が球詰まり又は球切れ状態なら、正常な場合の判定値の2倍の駆動時間となる判定値を設定する。尚、回転角度を判定値とした場合と同様に、払出動作の途中でどちらかの球切れスイッチが異常状態を検出した場合、その時点の払出カウンタの値に応じて判定値を再設定する構成としてもよい。
以上が払出モータ24aの駆動量を計測する判定値の内容となる。本実施例では、2個の遊技球を余分に払出すことになる払出モータ24aの駆動量(回転角度、回転時間)を判定値(本願発明における所定値に該当)としたが、本願発明における所定値はこの値に限るものではなく、更に払出モータ24aの駆動量の計測方法も上記した内容に限るものではない。
続いて図12に戻り、この判定値を用いた賞球払出処理の内容を説明する。払出制御装置51が賞球払出処理を開始すると、各種エラーフラグが0か否か判定する(S120)。否定判定つまりエラーが発生しているなら(S120:NO)、エラー処理をするため本ルーチンからリターンする。肯定判定なら(S120:YES)、払出す賞球数を示す払出カウンタの値が0か否か判定する(S121)。払出カウンタは、現時点で実行中の遊技球払出動作に用いるカウンタであり、賞球1個の払い出し(払出スイッチ24bが1個の遊技球検出)に基づいてデクリメント(−1)されるように構成されている。
S121が肯定判定なら(S121:YES)、即ち現時点で払出動作が未実施なら、上述した賞球データ受信処理によって記憶した未払いカウンタの値が0より大きいか否か判定する(S122)。否定判定なら(S122:NO)、未払い賞球が無い状態であり払出動作を行なう必要がないため本ルーチンからリターンする。S122が肯定判定なら(S122:YES)、未払いカウンタの値が15以上か否か判定する(S123)。肯定判定なら(S123:YES)、1回で払い出す賞球数の上限(賞球払出処理で払出される遊技球数の上限)は15個であるため、払出カウンタの値に15を加算し(S124)、未払いカウンタの値から15を減算する(S125)。S123が否定判定なら(S123:NO)、即ち未払いカウンタに記憶されている値が15未満なら、未払いカウンタに記憶されている値と同一値を払出しカウンタに加算し(S126)、未払いカウンタの値をクリアする(S127)。S125又はS127の処理の後リターンに抜ける。
次に、S121が否定判定(S121:NO)の場合、即ち払出カウンタに払出すべき賞球数がセットされた状態において、払出モータ24aの駆動により賞球の排出(払出カウンタの減算)を実施する処理を図13に示すフローチャートを用いて説明する。図13の処理を開始すると、払出フラグが1か否か判定する(S140)。払出フラグは払出制御装置53が記憶する値であり、払出フラグが1の時は払出モータ24aの駆動制御を実施中(払出動作を実施中)であることを、払出フラグが0の時は払出モータ24aの駆動制御を未実施(払出モータ24aが駆動停止中)であることを払出制御装置53が判断するための値である。
S140が否定判定なら(S140:NO)、即ち払出カウンタに値がセットされた状態で払出モータ24aが駆動停止状態なら、払出カウンタにセットされた値に応じて、前述した判定値(払出モータ24aの回転角度(回転時間))を設定し(S141)、払出モータ24aの高速駆動を開始し(S142)、払出フラグに1をセットし(S143)リターンに抜ける。尚、S141の処理が本願発明における所定値設定手段に該当する処理である。また、S142では、実施する払出しが電源投入後及び払出過剰エラー解除後1回目ならば、最初の1個の払出は払出モータ24aの回転速度は超低速で実施する。
S140が肯定判定なら(S140:YES)、払出モータ24a(払出スプロケット24d)が実行した回転角度(回転時間)がS141で設定された判定値よりも大きな値となったか否か判定し(S144)、否定判定なら(S144:NO)、球切れスイッチ71aと球切れスイッチ71bの両方が正常に遊技球を検出している状態か、即ち第1球誘導路と第2球誘導路のどちらも球詰まり又は球切れを発生させていないか否か判定する(S145)。尚、S144の判定が本願発明における異常状態判定手段に該当する判定処理となる。
S145が肯定判定なら(S145:YES)、払出スイッチ24bが遊技球を検出したか否か判定し(S146)、否定判定なら(S146:NO)リターンに抜ける。肯定判定なら(S146:YES)、払出カウンタの値から−1するデクリメント処理を行う(S147)。次にS147の処理によって、払出カウンタの値が1となったか否か判定する(S148)。肯定判定なら(S148:YES)、1回の払出動作において残り1個となった未払い賞球を正確に払出すため、払出モータ24aの駆動を超低速駆動に切替える処理を行ない(S149)リターンに抜ける。S148が否定判定なら(S148:NO)、払出カウンタの値が0か否か判定し(S150)、否定判定なら(S150:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S150:YES)払出モータ24aの駆動停止処理を行い(S151)、払出フラグに0をセットし(S152)リターンに抜ける。
S144が肯定判定なら(S144:YES)、即ち払出モータ24aの実行済みの回転角度(回転時間)が設定した判定値である回転角度(回転時間)よりも大きければ、図14のフローチャートに進み、異常状態であるとの判断から払出モータ24aを停止させ、異常状態報知LED75を点灯し、エラーナンバー表示装置に「7」を表示する異常状態エラー処理を行い(S161)、主制御装置50に異常状態エラー信号を送信し(S162)、リターンに抜ける。尚、S162の処理のよって異常状態エラー信号を受信した主制御装置50は、サブ統合制御装置53にも異常状態エラー信号を送信する。
図13に戻り、S145が否定判定なら(S145:NO)、図15のフローチャートに進み、球切れ検出スイッチ71aと球切れ検出スイッチ71bのいずれか一方が正常に遊技球を検出している状態か否か判定する(S170)。肯定判定なら(S170:YES)、S141で設定した判定値を前述した内容で再設定(設定値の2倍の回転角度を再設定)し(S171)、球切れ表示LED72を点滅させ、球詰まり(球切れ)情報を主制御装置50に送信し(S172)リターンに抜ける。S170が否定判定なら(S170:NO)、球切れ検出スイッチ71aと球切れ検出スイッチ71bの両方が遊技球を正常に検出していない状態であるため、シュート球切れエラーと判断し、払出モータ24aを停止させエラーナンバー表示装置に「1」を表示するシュート球切れエラー処理を行い(S173)、主制御装置50にシュート球切れエラー信号を送信し(S174)リターンに抜ける。S172の処理によって球詰まり(球切れ)情報(エラー情報ではない)を受信した主制御装置50は、サブ統合制御装置53にも球詰まり情報を送信する。尚、S171の処理が本願発明における所定値変更手段に該当する処理となる。
次に、上述した賞球払出処理によって駆動する払出モータ24aの払い出し動作を、図20、21のタイミングチャートを用いて説明する。図20に示すように本実施例では、電源投入後又は払出過剰エラー解除後の1回目の払出しは、最初の1個目の遊技球を超低速回転により払い出す(A)。このAは最大25ステップで遊技球を1個払い出す速度で1個分である。Aの動作終了後、初期パルス終了励磁(15ms)(B)が行われる。1個の遊技球を払い出し、払出カウンタの値が0でない場合には、初期励磁(5ms)(C)が行われ、その後、残っている払出カウンタの値−1(払出動作開始時に払出カウンタに設定された値−2に相当)に応じた遊技球の払い出しが行われる(D)。
このDでは、払出モータ24aが高速回転と低速回転を繰り返して遊技球の払い出しが行われる。このDは7ステップ(1ステップ6ms)と1ステップ(1ステップ15ms)で遊技球を1個払い出す速度でN−2個分である(Nは1回に払い出す遊技球数(S124又はS126で払出カウンタに加算された値)で1〜15である)。Dの処理後は、最後の1個となった遊技球を正確に払い出すため、1個目の遊技球の払出しと同様に超低速回転で遊技球を払出し(A)、後期励磁(B)を行なった後、152msのウェイト処理を行う。なお、AとBの動作を合わせて初期(後期)パルス確定払出処理と呼び、CとDの動作を合わせて基本賞球払出処理と呼ぶ。
図21のタイミングチャートは通常時(電源投入時、払出過剰エラー解除時の1回目の払出し以外など)に作動する払出モータ24aの動きを表したものである。タイミングチャートに示すように記憶した総獲得遊技数(未払いカウンタの値)が15個以下の時は、図20のタイミングチャートの初期パルス確定払出処理から初期励磁までの処理を除いた払出動作(基本賞球払出処理+後期パルス確定払出処理)で未払い数分の遊技球の払い出しを行う。
また、記憶した総獲得遊技数(未払いカウンタの値)が15個を超えている時は、高速と低速の回転を交互に繰り返し14個分の遊技球を払出す基本賞球払出処理と最後の1個を超低速で払出す後期パルス確定払出処理を行い、その後ウェイトを経て残り未払い数分の遊技球を同様の動作で払い出す(残りの未払い数が15個を超えている場合には再び15個払い出す)。
なお、上記は賞球の払い出し動作について説明したが、貸球の払出し動作も図20、21のタイミングチャートと同じ動作を行なう。つまり、電源投入時、払出過剰エラー解除時には、初めの1個の遊技球を初期パルス確定払出処理にて払い出し、23個の遊技球を基本球貸払出処理(基本賞球払出処理と同じ動き)で払い出し、最後の1個を後期パルス確定払出処理にて払出す。通常時には基本貸球払出処理にて24個の遊技球を払出し、最後の1個を後期パルス確定払出処理にて払出す。賞球払出と異なるのは、賞球の1回の払い出し動作では最大15個の遊技球が払い出されるのに対し、貸球の1回の払い出し動作では25個の遊技球が払い出される部分のみであり、貸球の払出しで払出モータ24aの判定値を超える駆動が発生すると不正状態エラーとなる。従って本願発明による効果は球貸払出処理にまで及ぶものである。
以上が本実施例の説明となる。本実施例では従来機の多くがそうであるように、払出動作開始時に払出す遊技球数(払出カウンタの値)に応じた払出モータ24aの駆動量を設定するのではなく、払出スイッチ24bが払い出すべき遊技球数(払出動作開始時の払出カウンタの値と同数の遊技球数)を検出するまで払出モータ24aを駆動させる構成となっている。但し、何らかの不具合が発生し、払出スイッチ24bが遊技球を検出しない状態になった場合、いつまでも払出モータ24aが駆動を継続する構成とならないように、払出しに必要な駆動量(回転角度(回転時間))よりも遊技球を2個余分に払いだす駆動量(回転角度(回転時間))が判定値として設定され、払出モータ24aの回転角度(回転時間)がこの判定値を越えた場合に異常状態エラーとなる。
従って、払出スプロケット24dの凹部に遊技球がうまく乗らずに遊技球の排出が行われなかった場合でも、予め設定された払出モータ24aの駆動終了後にリトライ処理(払出不足解消処理)を行うのではなく、最初に設定した払出カウンタの値と同一数の遊技球を払出す払出モータ24aの回転後、余分に回転を継続して遊技球を払出し、この余分な回転によって払出不足を解消する構成となっている。
また、第1、第2球誘導路でどちらか一方の球誘導路(図4に示す第1球誘導路又は第2球誘導路)で球詰まり又は球切れが発生し、払出スプロケット24dへ遊技球が供給されない状態となった場合は、払出開始時に設定された判定値(S141)が、2倍の値に再設定され(S171)、払出カウンタの値と同一の遊技球を払出すか(払出カウンタの値が0になるか)、2倍に再設定した判定値となる回転角度(回転時間)を実施するまで払出モータ24aの駆動を継続する。これにより片方の球誘導路の球詰まりによって払出不足となっても、エラーが発生(払出スプロケット24dの受け入れ不良と合わせてエラーが頻発)することを防止している。
また、払出カウンタの値と同一の遊技球が払出されず(払出カウンタの値が0にならず)、払出モータ24aがS141又はS171で設定された判定値を越える駆動を実施した場合は異常状態エラーとなるため、払出スイッチ24bを誤動作させる不正行為が実行された場合でもエラー発生を回避しながら不正行為を繰り返すことが困難となり、例え実施したとしてもわずかな遊技球しか獲得できず大きな被害を被ることはない。実施する不正行為によって得ることができる遊技球数が極めて少量であるため、不正行為の実施自体を防止する構成となる。
尚、本実施例ではどちらか一方の球誘導路で球詰まり又は球切れが発生した時点で、駆動量の判定値を払出開始時に設定した値を2倍した値に再設定しているが、払出動作を実施中に片方の球誘導路の球詰まり又は球切れを検出した場合、検知した時点でその時の払出カウンタの値に応じて判定値を演算し再設定する構成としてもよい。具体的には、15個の払出を実施中に払出カウンタの値が4個になった時点で球詰まり又は球切れが発生した場合、残りの払出カウンタの値4に対応する720°を再設定する構成も考えられる。
更に、片方の球切れ検出スイッチで遊技球が未検出(球切れ)となった時点では、未検出となった球誘導路の検出スイッチと払出スプロケット24d間には遊技球が20個残っているため、未検出となった後でも、この20個の遊技球の排出が行われる払出モータ24aの回転駆動が実施されるまで正常状態の判定値を用い、20個(両方の誘導路で40個)分の払出モータ24aの駆動が終了したことを契機に判定値を2倍にする構成も考えられる。