JP2011040351A - 車両用灯具 - Google Patents

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Abstract

【課題】LEDに対して設けられる一枚のレンズにより、光軸に対して所望の2方向(例えば、光度条件が定められた所定の2方向)に対して積極的な配光を行うことができ、また、周辺部材によってそれらの方向への配光が阻害されないようにした車両用灯具を提供する。
【解決手段】LED20の正面側に配置されるレンズ30には、主たる配光を制御する主配光部32と、左80度と右45度の方向に光を出射する副配光部34A、34Eとが形成される。副配光部34、34Eは、LED20から出射された光をレンズ内に取り込み、その光を導光部42A、42Eによって前端の光出射部44A、44Eに導き、右側の光出射部44Aから左80度の方向に光を出射し、左側の光出射部44Eから右45度の方向に光を出射する。
【選択図】図4

Description

本発明は車両用灯具に係り、テールランプ、ブレーキランプ、ターンランプ等の車両用信号灯として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源に使用する車両用灯具に関する。
特許文献1〜3には、光源に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を使用した灯具が開示されている。特許文献1によれば、図6に示すように基板上に複数個のLEDチップ100が光源として配設され、それらの光出射側に各LEDチップ100に対応した複数個のレンズカット部104を有するレンズ部102が配置される。レンズカット部104は、レンズ部102の背面側(光源側)に形成されており、略中央に設けられた所定長さの凸面104Aと、凸面104Aの周縁部から背面側にやや外側に開いて延びた凹面104Bと、凹面104Bの端縁から前面側に延びた曲面からなる反射面104Cとから形成され、凹面104BによってLEDチップ100が囲まれるようになっている。そして、LEDチップ100から出射される光のうち、凸面104Aに至る光はレンズ内を通過して1次屈折光としてレンズ部102の前面から出射される。凹面104Bに至る光は、凹面104Bからレンズ内に入り、反射面104Cで反射して2次屈折光としてレンズ部102の前面から出射される。これによれば、LEDチップ100から発せられる光束の略全てが有効光束として照明光に使用され、照度アップが図られる。
特許文献2には、特許文献1に示された図6のような構成の灯具において各レンズカット部104の前面側に凸面を形成して集光性を向上させ、また、レンズ部102の外側にアウターレンズを配置し、アウターレンズの内面(光源側の面)に多数の拡散レンズを形成し、均一照明を図るものが提案されている。
特許文献3には、基板上に配設されたLEDの光出射側に載頭円錐形を基調としたレンズが配置され、そのレンズの背面側の中央部に、LEDの光出射の全周を覆うようにLEDを埋設する円筒状の空洞部が形成される。その円筒状の空洞部において底面(LEDの正面に対向する面)となる部分に凸面が形成され、側面となる部分に円筒面が形成される。LEDから出射される光のうち、凸面に至る光はそのままレンズ内を通過してレンズの前面から出射され、円筒面に至る光はレンズ内においてレンズの背面側の反射面で反射してレンズの前面から出射される。
レンズの背面には、傾斜角度が異なる複数の載頭円錐形の反射面が形成されており、光源から上記円筒部の円筒面から入射した各方向の光が略LEDの正面方向(光軸方向)に反射されるようになっている。レンズの前面側には、LEDから出射されて凸面からレンズ内に取り込まれて前面に至った光束や、円筒面からレンズ内に取り込まれ、各反射面で反射して前面に至った光束を拡散して放出する多数の凹面が形成されている。
特開昭60−130001号公報 特開昭62−229701号公報 米国特許6755556号
ところで、上記のようにLEDを光源とする灯具を自動車の左右前端部又は左右後端部に設置されるテールランプ、ブレーキランプ、ターンランプのような車両用信号灯として使用する場合に、車両外側の80度の方向と、車両内側の45度の2方向に対する光度が配光規格で定められた光度条件を満たす必要があり、そのことが、LEDを光源とする灯具を車両用信号灯として使用する場合の大きな障壁となっている。特許文献1〜3に記載のような構成の灯具の場合、上記のように配光規格で光度条件が定められた2方向に積極的な配光を行うための構成がなく、車両用信号灯として使用することが難しいという問題があった。
もし、車両用信号灯として使用できるようにする場合には、インナーレンズ又はアウターレンズを追加して配光規格で光度条件が定められた方向に積極的な配光を行うようなレンズカットを施さなければならない。しかしながら、インナーレンズやアウターレンズの追加はコストの増加を招き、また、アウターレンズにレンズカットを施す場合には、見栄えが良くないという問題がある。
また、車両外側の80度の方向と車両内側の45度の方向は、光軸(車軸)に対して大きく斜めに傾斜しており、灯具のハウジングや車体など周辺部材によって、それらの方向への光が遮蔽されないように考慮する必要がある。しかしながら、周辺部材の構造を制限することには限界がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、LEDに対して設けられる一枚のレンズにより、光軸に対して所望の2方向(例えば、光度条件が定められた所定の2方向)に対して積極的な配光を行うことができ、また、周辺部材によってそれらの方向への配光が阻害されないようにした車両用灯具を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具は、LED光源と、前記LED光源の照射方向に配置されたレンズ体と、を備えた車両用灯具において、前記レンズ体は、前記LED光源の光軸上に配置された中央レンズ部、前記中央レンズ部の周囲に配置された周囲レンズ部、少なくとも第1出射面と第2出射面を備えた複数の出射面、前記周囲レンズ部に入射した前記LED光源からの入射光を前記複数の出射面に導光する導光部を含んでおり、前記中央レンズ部は、当該中央レンズ部を透過する前記光源からの照射光を灯具正面方向に照射し、前記周囲レンズ部は、当該周囲レンズ部に入射した前記LED光源からの照射光を前記複数の導光部に入射させるように構成されており、前記第1出射面は、当該第1出射面に到達した前記導光部からの導光を、前記LED光源の光軸に対して、第1角度傾斜し、かつ、前記LED光源の光軸に交差する方向へ出射し、当該出射光が所定配光パターンの少なくとも一部を形成するように構成されており、前記第2出射面は、当該第2出射面に到達した前記導光部からの導光を、前記LED光源の光軸に対して前記第1角度よりも大きい第2角度傾斜し、かつ、前記LED光源の光軸に交差する方向へ出射し、当該出射光が所定配光パターンの少なくとも一部を形成するように構成されており、前記第1出射面と第2出射面は前記LED光源の光軸に対して対称位置に配置されていることを特徴としている。
本発明によれば、光源から出た光が周囲レンズ部に入射し、周囲レンズ部から導光部内に光が入射し導光部内を導光し、所望の2方向(光軸に対して第1角度傾斜した方向と第2角度傾斜した方向)に対して第1出射面と第2出射面から光を出射することができる。また、それらの前記第1出射面と第2出射面から出射される光は光軸と交差する方向に出射されるため、交差しない方向に出射する場合よりも、光軸方向に対して光源から遠い位置(照射方向前方)を光が通過する。また、第1出射面及び第2出射面は、導光部の前端部に形成されており、導光部の長さを変えることによって、それらを形成する位置を調整することができる。そのため第1出射面及び第2出射面の位置を光軸方向に対して所望の距離だけ光源から離れた位置(照射方向前方)に配置することができ、第1出射面及び第2出射面から出射された光が、灯具のハウジングや車両部材等の他の部材によって遮蔽されないようにすることができる。尚、第1出射面及び第2出射面以外の出射面を主にデザイン性を高めるために形成することも可能である。
請求項2に係る車両用灯具は、請求項1に係る発明において、前記第1出射面及び第2は、前記光軸を中心とした所定回転角度範囲に形成されたことを特徴としている。即ち、第1出射面及び第2出射面を光軸を中心とした回転体の形状に形成することによって、その回転体の回転角度範囲に対応した角度方向(光軸に直交する方向に関する角度方向)に光を出射することができ、第1出射面及び第2出射面を形成する回転角度範囲を調整することによって、光軸に直交する方向に関する光の照射範囲を調整することが容易にできる。
請求項3に係る車両用灯具は、請求項1に係る発明において、前記第2出射面は前記第1出射面よりも前記LED光源の照射方向前方に配置されていることを特徴としている。即ち、光軸に対して傾斜角度が大きい光ほど遮蔽されやすいことを考慮して、出射される光の角度(光軸に対する傾斜角度)が大きい方の出射面(第2出射面)を他方の出射面よりも照射方向前方に配置した態様である。
請求項4に係る車両用灯具は、請求項1に係る発明において、前記第1出射面と第2出射面は水平方向に配置されていることを特徴としている。本発明は、前記第1出射面と第2出射面から出射される光により車両左右の所定角度方向への配光パターンを形成するようにした態様である。
請求項6に係る車両用灯具は、請求項1に係る発明において、前記導光部は前記複数の出射面ごとに前記導光部の長さが異なることを特徴としている。
本発明によれば、一枚のレンズにより、所定の2方向に対して積極的な配光を行うことができ、又、周辺部材によってそれらの方向への配光が周辺部材で阻害される不具合が低減される。
自動車の後端部に設置される車両用信号灯(灯具)に本発明を適用した実施の形態において、その灯具を光源の高さの水平方向の断面で示した水平断面図である。 本発明に係る車両用灯具のレンズを斜め前方からみたときの斜視図。 本発明に係る車両用灯具のレンズの正面図。 LEDの中心軸(光軸Ax)を通る水平面で本発明に係る車両用灯具のレンズを切断したときの水平断面図。 本発明に係る車両用灯具による配光の説明に使用した配光パターンの図。 LEDを光源として使用した従来の車両用灯具の構成を示した図。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る車両用灯具を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明に係る車両用灯具は主としてテールランプ、ブレーキランプ、ターンランプ、これらを一体化したリアコンビネーションランプ等の車両用信号灯として適用され、図1は、自動車の後端部に設置される車両用信号灯(灯具)に本発明を適用した実施の形態において、その灯具を光源の高さの水平方向の断面で示した水平断面図である。同図に示すように例えば自動車の車両1の右側後端部に本実施の形態の灯具10が設置される。尚、自動車を基準とした前方の向きと、灯具10を基準とした前方の向きとは反対であり、以下の説明では灯具10を基準とした向きを使用して説明する。
灯具10は、車両1に埋設されるハウジング2とハウジング2の前側開口部を覆う透光性を有する前面カバー3と設けられ、ハウジング2と前面カバー3とで囲まれた灯室4が形成されている。ハウジング2の後側には光源であるLED20が配置される開口部2Aが形成されており、ハウジング2の背面側にLED20が実装された基板22が装着され、その開口部2AにLED20が発光面側(正面側)を灯具前方に向けて配置されるようになっている。
灯室4内には、LED20の正面側に一体形成されたレンズ30が配置されており、灯具10の光学系の光軸Axとする位置にレンズ30の基準軸とLED20の光軸(中心軸)とが一致させられた状態で配置されている。尚、レンズ30は図示しない支持機構によってハウジング2又は基板22に支持されている。また、灯具10の光学系の光軸Axは、灯具10の真正面の方向を示し、本実施の形態では車両1の前後方向を示す軸と平行に設定されているものとする。また、灯具10は、LED20とレンズ30による光学系が複数組配列されている構成であってもよいし、1組のLED20とレンズ30とからなる灯具10が車両1に1つ又は複数設置されている構成であってもよい。
レンズ30は、車両用信号灯としての配光規格で規定されている配光(配光パターン)を形成するためにLED20から出射された光を配光制御するものであり、詳細を後述するようにLED20から出射された光がレンズ30により配光制御され、前面カバー3を介して灯具10の前方に出射されるようになっている。
続いて、レンズ30の構成について詳説する。図2は、レンズ30を斜め前方からみたときの斜視図であり、図3は、レンズ30の正面図、図4は、LED20の中心軸(光軸Ax)を通る水平面でレンズ30を切断したときの水平断面図(図3におけるA−A線断面図)である。これらの図に示すように、レンズ30は、主に正面(光軸Ax方向)付近の主たる配光を制御する主配光部32と、正面に対して広角度方向への配光、又は、意匠的効果を意図した配光を制御する副配光部34(主配光部32以外の部分)と、反射面48と連結部50とからなる周囲レンズ部とから形成されている。尚、主配光部32と副配光部34は一体形成されている。主配光部32は、LED20からの光が入射する光源側の裏面36において、中央部の第1凸面36Aと、その外側の第2凸面36Bとが形成されている。光の光軸方向の出射面38には凸面38Aが形成されている(図4参照)。
LED20の中心(光軸Ax上の発光点)から放射された光のうち、主配光部32の裏面36に形成された第1凸面36Aと第2凸面36Bに入射した光は、光軸Axに平行な平行光として主配光部32内(レンズ媒質内)に取り込まれた後、出射面38に形成された凸面38Aに導かれる。そして、凸面38Aに導かれた光は、光軸Axと交差する方向であって、光軸Axに対して約−20度から約20度までの範囲の角度をなす方向に出射されるようになっている(図4に例示された光線rは光軸Axに対して約20度)。これにより、灯具10の正面付近の主たる配光が制御される。尚、主配光部32の構成は本実施の形態の構成に限らない。本実施の形態と同様の配光制御を行う場合であっても本実施の形態と異なる構成をであってもよいし、本実施の形態と異なる配光制御を行うための構成であってもよい。
レンズ30の副配光部34(34A〜34H)は、主配光部32の外側に形成されるとともに、LED20の近傍に頂点を有する円錐の側面形状を基調として形成されており、光取込部40、導光部42A〜42H、光出射部44A〜44Hとを有している。
副配光部34A〜34Eは、後述のようにLED20から放射された光の一部を光取込部40によりレンズ媒体内に取込み、円錐の側面形状に沿った導光部42A〜42Hにより斜め前方に導光する。そして、その導光した光を光軸Axの周りに所定角度回転させて形成される所定径の円弧に沿った位置の光出射部44A〜44Hから出射する構成となっている。
また、本実施の形態では、光軸Axを端として持つ半平面を光軸Axの周りに(光軸Axを回転軸として)所定角度回転させた場合に、その半平面が作る回転体の領域(光軸Axに対する所定回転角度範囲の回転領域)を1つの回転領域とすると、副配光部34A〜34Hは、光軸Axに対して360度の回転角度範囲を所定回転角度範囲ごとに8つに分割したときの各回転領域に形成されており、各副配光部34A〜34Hは、各々の回転領域の回転角度範囲内で任意の角度を回転させたときの回転体の形状を有している。
そして、各副配光部34A〜34Hごとに、導光部42A〜42Hが異なる長さで形成されており、各導光部42A〜42Hにより導光された光を出射する各光出射部44A〜44Hが、光軸Axの方向に対してLED20の発光中心(光軸Axと交わる点)からの距離が異なる位置、且つ、光軸Axに直交する方向(径方向)に対してLED20の発光中心からの距離が異なる位置に、光軸Axを中心とした円弧状の領域に配置されるようになっている。
更に、本実施の形態では、光軸Axに対して水平方向の位置(光軸Axを挟んで左右の位置)に対向して配置される副配光部34Aと副配光部34Eが、配光規格を満たすための光を出射する副配光部として形成され、他の副配光範囲34B〜34D、34F〜34Hは、主として意匠的効果を意図した副配光部として形成されている。ただし、いずれの副配光範囲34A〜34Hも類似した構成であり、以下において、図4に示す水平断面図に示されている副配光範囲34A、34Eの構成のみを具体的に説明する。
図4に示すように副配光部34A、34Eは、光取込部40と、導光部42A(または第1導光部)、42E(または第2導光部)と、光出射部44A(または第1出射面)、44E(または第2出射面)とから形成されている。光取込部40は、光軸Axを回転軸とし、同心円状または任意角度の回転に対して対称となる形状を有しており、主配光部32の裏面36(第2凸面36B)の外周縁から光源側に突出して形成された入射面46と、入射面46の後端縁から前方外側に略回転放物面形状に形成された反射面48と、主配光部32の出射面38(凸面38A)の外周縁の外側において光軸Axの方向に突出して形成された連結部50とを有している。以下において、LED20の発光中心から放射された光で副配光部34A、34Eの作用について説明すると、レンズLED20の発光中心から放射された光のうち、光取込部40の入射面46に入射した光(光線ra、re参照)は、光取込部40内(光取込部40のレンズ媒質内)に取り込まれた後、反射面48で反射し、光軸Axに平行な平行光として連結部50内をその前端まで進行する。尚、入射面46と反射面48の面形状は、入射面46での屈折と反射面48での反射とによって導光部内へ光を入射できるものであればどのような形状でもよい。本発明による配光の被視認性をより向上させるためには、導光部42A〜42Eでの反射光率を高めるように、入射面46と反射面48において光軸Axに平行な平行光に変換し、導光部内に入射できる構成であることが好ましい。
導光部42A、42Eは、上記光取込部40の連結部50の前端から突設して形成されており、光軸Axを軸とする円錐の側面形状に沿って光軸Axに対して略45度をなす斜め前方外向きの角度で形成されている。上記のように連結部50の前端まで進行した光(光線ra、re参照)が導光部42A、42Eの後端から導光部42A、42E内に進入すると、まず、光軸Ax側の前面42A1、42E1に対して略45度の入射角度で入射して全反射される。そして、その全反射した光は、光軸Axと反対側の後面42A2、42E2に対して略45度の入射角度で入射し全反射される。これを繰り返すことによって、導光部42A、42Eの後端から進入した光は、平行光の状態を維持して導光部42A、42Eの前端まで進行する。尚、導光部42A、42Eは、光軸Axに対して平行に入射した光を前面42A1、42E1と後面42A2、42E2とで全反射させて前方に導くことができる角度で形成すれば良く、光軸Axに対して45度の角度でなくても良い。例えば、導光部42A、42Eの光軸Axに対する角度は、光軸Axに対して平行に導光部42A、42Eに入射した光が全反射の条件である臨界角より大きな入射角で前面42A1、42E1と後面42A2、42E2に入射するような角度であれば良い。
光出射部44A、44Eは、導光部42A、42Eの前端にプリズムカットを施して形成された部位であり、反射面52A、52Eと出射面54A、54Eとが形成されている。上記のように導光部42A、42Eの前端まで進行した光(光線ra、re参照)は、その光出射部44A、44Eに進入する際に、軸Axに対して略平行な平行光として光出射部44A、44Eに進入し、反射面52A、52Eの光軸Axに対する傾斜角度に応じた入射角で反射面52A、52Eに入射する。そして、全反射により入射角に等しい反射角で全反射して出射面54A、54Eから所定の方向に出射されるようになっている。出射面54A、54Eから出射された光は、図1のように前面カバー3を介して車両1外部から観察可能な光として出射される。
光出射部44A、44Eから出射する光の方向は、光軸Axに対する反射面52A、52Eと出射面54A、54Eの傾斜角度によって任意の方向に設定することができ、本実施の形態では、副配光部34Aの光出射部44Aは、光軸Axに交差する方向であって、光軸Axに対して約80度をなす方向に光を出射する。一方、副配光部34Eの光出射部44Eは、光軸Axに交差する方向であって、光軸Axに対して約45度をなす方向に光を出射するようになっている。
図5は、副配光部34A、34Eの光出射部44A、44Eから出射される光によって形成される配光パターンを示す。同図には、灯具10の真正面の方向(光軸Axの方向)に対して水平方向の角度を示す水平線(H線)と鉛直方向の角度を示す鉛直線(V線)が示されており、同図に示すように副配光部34Aの光出射部44Aからは、V線よりも左側(車両1の外側:図1参照)の約80度の方向に光が出射され、副配光部34Eの光出射部44Eからは、V線よりも右側(車両1の内側:図1参照)の約45度の方向に光が出射されるようになっている(図4の光線ra、re参照)。これらの方向への配光は、配光規格によって所定値以上の光度が要求される領域であり、副配光部34A、34Eの光出射部44A、44Eから出射される光によってその配光規格の光度条件が満たされるようになっている。
ここで、配光規格の光度条件が定められている80度と45度の方向は、光軸Axに直交する方向に関する向き(左右方向に関する向き)が異なっている。この場合において、本実施の形態と異なり、光軸Ax(V線)よりも左側(車両1の外側:図1参照)の80度の方向の光を光軸Axより左側に配置された副配光部34Eの光出射部44Eから出射し、光軸Axよりも右側(車両1の内側:図1参照)の45度の方向の光を光軸Axより右側の副配光部34Aの光出射部44Aから出射するようにし、副配光部34Aの光出射部44Aと副配光部34Eの光出射部44Eの各々から光軸Axと交差しない方向に光を出射させるようにすることも可能である。しかしながら、このようにすると、遮蔽物のない光軸Ax周辺部を光が通過しないため灯具10のハウジング2や灯具10の周辺に配置される車両1の部材によって光出射部44Aと光出射部44Eから出射された光が遮蔽され易く、これを防止するために遮蔽物を無くす工夫が必要となり、灯具10とその周辺部の構造に制約が生じるという問題がある。
一方、本実施の形態のように、副配光部34Aの光出射部44Aと副配光部34Eの光出射部44Eとから互いに対向する方向(交差する方向)に光を出射するようにし、光軸Axと交差させる方向に光を出射するようにした場合には、上記のような制約が軽減される。即ち、光軸Axの周辺部には、新たな制約を設けるまでもなく、遮蔽物が存在しないため、その光軸Axの周辺部に光を通過させることによって遮蔽物により遮蔽される可能性が低減される。
また、本実施の形態では、副配光部34Aの光出射部44Aと副配光部34Eの光出射部44Eの各々に導光部42A、42Eによって光を導くようにしたため、導光部42A、42Eの長さを調整することによって光出射部44A、44Eの位置(特に、光軸Axの方向に関する位置)を任意に変更することができる。従って、光出射部44A、44Eの位置を、それらから出射された光が遮蔽物によって遮蔽されない位置となるように導光部42A、42Eの長さを決めればよく、遮蔽物を無くす等の車両1に関する設計上の制約が軽減される。図1では、光出射部44A、44Eが、それらから出射された光が少なくともハウジング2に遮蔽されない位置まで突出するように導光部42A、42Eの長さが設計されている。
また、図4に示されているように副配光部34Aと副配光部34Eとは、導光部42A、42Eの長さが相違しており、副配光部34Eに対して、副配光部34Aの方が、導光部42Aが長く形成され、光出射部44Aが光軸Axの方向に対して前方に突出した位置(即ち、LED20の発光中心から離れた位置(遠い位置))に配置されるようになっている。尚、副配光部34A〜34Hの全ての中でも副配光部34Aの導光部42Aが最も長く、これに続いて副配光部34Eの導光部42Eが2番目に長くなっている。
即ち、光軸Axの周辺部を通過した後の光が、遮蔽物で遮蔽される場合、光を出射した光出射部に対向する光出射部や導光部、車両1のハウジング2、車両1の構成部材が、その遮蔽物となる可能性がある。車両1の構造にもよるが、汎用的には、光が出射される方向が光軸Axとのなす角が大きくなるほど、光軸Axの周辺部を通過した後の光が、更にその周辺部の遮蔽物で遮蔽される可能性が高くなるため、本実施の形態のように、光軸Axに対して80度の方向に光を出射する光出射部44Aを光出射部44Eよりも前方に突出した位置(照射方向前方の位置)に配置し、その光を光軸Axの近傍において前方に突出した位置(光源から離れた位置)から出射させるようにすると好適である。
また、副配光部34A、34Eは、図3に示すように光軸Axに対する回転角度が水平方向に対して上下に20度(±20度)の角度範囲となる回転領域に形成されている。従って、副配光部34A、34Eの光出射部44A、44Eからは、鉛直方向に関して光軸Axに対して上向きに最大20度、下向きに最大20度となる方向の光が出射され、図5に示すように、水平線(H線)が80度と45度を示す方向において、鉛直線(V線)が配光規格で光度条件が定められている少なくとも上下15度を示す範囲の方向に光が出射されるようになっている。
副配光部34A、34E以外の副配光部34B〜34D、34F〜34Hは、主として灯具としてデザイン性を高めるために利用されており、副配光部34A、34Eと同様に光取込部40と導光部42B〜42D、42F〜42H、光出射部44B〜44D、44F〜44Hを有している。ただし、光出射部44B〜44D、44F〜44Hについては、それらの全て又は一部において、光出射部44A、44Eと同様のプリズムを形成することなく、導光部の前端まで導光された光を単に出射する出射面のみが設けられた構成としてもよく、正面方向(光軸Axの方向)又はその近傍の方向(出射面で屈折される方向)に光を出射させるようにしてもよい。また、副配光部34B〜34D、34F〜34Hの光出射部44B〜44D、44F〜44Hは、それらの全て又は一部において、魚眼カットやフルートカット等を施し、それらから出射する光を上下左右方向に拡散させるようなレンズカット、上下方向のみに拡散させるようなレンズカット、又は、左右方向のみに拡散させるようなレンズカットを形成するようにし、配光規格を満足させるための光として利用してもよい。また、副配光部34A、34Eの関係と同様に、対向する副配光部(34Bと34F、34Cと34G、34Dと34H)の光出射部から光軸Axに対して所定角度傾斜した2方向に光を出射する場合に、それらの2方向のうち、光軸Axとのなす角が大きい方の導光部を長くし、その光出射部を光軸Axの方向に突出した位置に配置するようにするのが好適である。
また、本実施の形態では、副配光部34B〜34D、34F〜34Hの各導光部42B〜42D、42F〜42Hの長さが相違しており、光出射部44B〜44D、44F〜44Hの各々が、光軸Axの方向と、光軸Axに直交する方向に関して、LED20の発光中心からの距離が異なる位置に円弧状に配置されている。従って、例えば光出射部44B〜44D、44F〜44Hを上述のように単なる出射面のみの構成とした場合には、円弧状の光出射部44B〜44D、44F〜44Hの位置が光って見えるため、立体感のある光の模様が観察されることになり、灯具観察者に対して高いデザイン性を感じさせることができる。
以上、上記実施の形態において、副配光部34A〜34Hの光出射部44A〜44Hにプリズムカットを施すことによって所定の方向に光を出射させるようにしたが、例えば、魚眼カットのように上下左右方向に光を拡散させるレンズカットによって、所定の方向を含む範囲に光を出射させるようにようにしてもよく、所定の方向に光を出射させるための光出射部44A〜44Hの構成はプリズムカットに限らない。
また、上記実施の形態では、図1のように車両1の右側後端部の信号灯として設置される灯具10の構成について説明したが、これと反対側の左側後端部の信号灯として設置される灯具の場合は、例えば上記実施の形態の灯具10の構成を光軸Axに対して左右反転した構成となり、光軸Axより右側(車両1の外側)に形成された副配光部の光出射部から、光軸Axに対して約45度をなす方向(車両1の内側の方向)の光を出射し、光軸Axより左側(車両1の内側)に京成された復配光部の光出射部から、光軸Axに対して約80をなす方向(車両1の外側の方向)の光を出射する構成となる。
また、上記実施の形態において示した副配光部34A〜34Hの導光部42A〜42Hの構成は一例であって、LED20から出射された光を所定位置に配置された光出射部44A〜44Hまで導光するものであればどのような構成であってもよい。また、上記実施の形態では、光軸Axに対して約80度の方向に光を出射する光出射部44Aは、光軸Axに対して約45度の方向に光を出射する光出射部44Eよりも、光軸Axの方向とこれ直交する方向の両方向に関してLED20の発光中心から離れた位置に配置されるようになっているが、光軸Axの方向のみに関してLED20の発光中心から離れた位置(前方に突出した位置)に配置するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、配光規格が車両外側の80度の方向と、車両内側の45度の2方向への光度条件を定めている場合について説明したが、本発明は、光軸Axを含む面内の2方向(且つ、光軸に直交する方向に関して異なる向きの2方向)に関して光度条件が定めれているような場合に、それらの2方向への積極的な配光を可能にするものとして適用できる。
また、上記実施の形態では、光軸Axに対して360度の回転角度範囲を8つに分割して8つの副配光部34A〜34Hを形成したが、分割数はこれに限らならず、8つより多くても良いし、少なくても良い。
1…車両、2…ハウジング、3…前面カバー、4…灯室、10…灯具、20…LED、30…レンズ、32…主配光部、34A〜34H…副配光部、36…裏面、36A…第1凸面、36B…第2凸面、38…出射面、38A…凸面、40…光取込部、42A〜42H…導光部、44A〜44H…光出射部、46…入射面、48…反射面、50…連結部、52A、52E…反射面、54A、54E…出射面

Claims (5)

  1. LED光源と、前記LED光源の照射方向に配置されたレンズ体と、を備えた車両用灯具において、
    前記レンズ体は、前記LED光源の光軸上に配置された中央レンズ部、前記中央レンズ部の周囲に配置された周囲レンズ部、少なくとも第1出射面と第2出射面を備えた複数の出射面、前記周囲レンズ部に入射した前記LED光源からの入射光を前記複数の出射面に導光する導光部を含んでおり、
    前記中央レンズ部は、当該中央レンズ部を透過する前記光源からの照射光を灯具正面方向に照射し、
    前記周囲レンズ部は、当該周囲レンズ部に入射した前記LED光源からの照射光を前記複数の導光部に入射させるように構成されており、
    前記第1出射面は、当該第1出射面に到達した前記導光部からの導光を、前記LED光源の光軸に対して、第1角度傾斜し、かつ、前記LED光源の光軸に交差する方向へ出射し、当該出射光が所定配光パターンの少なくとも一部を形成するように構成されており、
    前記第2出射面は、当該第2出射面に到達した前記導光部からの導光を、前記LED光源の光軸に対して前記第1角度よりも大きい第2角度傾斜し、かつ、前記LED光源の光軸に交差する方向へ出射し、当該出射光が所定配光パターンの少なくとも一部を形成するように構成されており、
    前記第1出射面と第2出射面は前記LED光源の光軸に対して対称位置に配置されていることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記第1出射面及び第2出射面は、前記光軸を中心とした所定回転角度範囲に形成されたことを特徴とする請求項1の車両用灯具。
  3. 前記第2出射面は前記第1出射面よりも前記LED光源の照射方向前方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  4. 前記第1出射面と第2出射面は水平方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  5. 前記導光部は前記複数の出射面ごとに前記導光部の長さが異なることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
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