JP2011038412A - 蒸気噴射ガスタービン発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料の消費量を削減する。
【解決手段】 発電機9駆動用のガスタービン1のタービン3より燃焼排ガス8aを導くガス排出ライン10に、排熱回収ボイラ11を設ける。排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12を導く蒸気ライン13を、ガスタービン1の燃焼器5に接続する。蒸気ライン13の途中位置に、太陽熱集熱装置16に接続した熱交換器17を設ける。排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12が蒸気ライン13に設けた熱交換器17を通過するときに、太陽熱集熱装置16により収集した太陽熱のエネルギーと熱交換させて800℃程度まで過熱し、その過熱蒸気12aをガスタービン1の燃焼器5へ噴射させることで、燃焼器5の下流側のタービン3へ持ち込まれるエネルギーを外部燃料を要することなく増加させて、ガスタービンの外部出力を高めさせる。
【選択図】図1
【解決手段】 発電機9駆動用のガスタービン1のタービン3より燃焼排ガス8aを導くガス排出ライン10に、排熱回収ボイラ11を設ける。排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12を導く蒸気ライン13を、ガスタービン1の燃焼器5に接続する。蒸気ライン13の途中位置に、太陽熱集熱装置16に接続した熱交換器17を設ける。排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12が蒸気ライン13に設けた熱交換器17を通過するときに、太陽熱集熱装置16により収集した太陽熱のエネルギーと熱交換させて800℃程度まで過熱し、その過熱蒸気12aをガスタービン1の燃焼器5へ噴射させることで、燃焼器5の下流側のタービン3へ持ち込まれるエネルギーを外部燃料を要することなく増加させて、ガスタービンの外部出力を高めさせる。
【選択図】図1
Description
本発明は、発電機駆動用のガスタービンの排熱を熱源として発生させた蒸気を、上記ガスタービンの燃焼器へ噴射して、該ガスタービンの出力を増大させるようにしてある蒸気噴射ガスタービン発電装置に関するものである。
いわゆるコージェネレーションシステムと云われる熱併給発電を行う手法の1つとして、ガスタービンにより発電機を駆動して電力を発生させると共に、上記ガスタービンより排出される燃焼排ガスが高い温度となっていることから、その熱を排熱回収ボイラで回収して蒸気を発生させ、この蒸気を、熱源として利用可能なプロセス蒸気として熱需要があるところへ供給するようにする手法が広く知られている。
ところが、上記のような熱併給発電を行う場合に得られる電力と熱の供給量のバランスが、電力の需要と熱の需要のバランスと一致しないことがあり、たとえば、電力の需要が熱の需要に比して大きな場合が多い。
そのために、熱併給発電にて、より多くの電力を得ることができるようにするための装置として、蒸気噴射ガスタービン発電装置が従来提案されてきている。
上記蒸気噴射ガスタービン発電装置は、図2にその一例の概略を示す如く、圧縮機2とタービン3とをタービン軸4で同軸に連結し、且つ該圧縮機2とタービン3との間に燃焼器5を備えて、外部より取り入れる空気(吸気)6を上記圧縮機2で圧縮し、この圧縮された空気6を上記燃焼器5に導くと共に、該燃焼器5にて、図示しない燃料供給装置より供給される燃料7を上記圧縮された空気6を用いて燃焼させることにより高温、高圧の燃焼ガス8を発生させ、該燃焼ガス8を上記タービン3に導いて膨張させることにより該タービン3を駆動させて出力を取り出すようにしてあり、該取り出される出力の一部を、上記タービン軸4を介して上記圧縮機2に伝えて駆動用動力として用いると共に、残りを外部出力として取り出すことができるようにしてあるガスタービン1を備える。
上記ガスタービン1のタービン軸4には、発電機9を連結して、上記ガスタービン1の外部出力により該発電機9を駆動して電力を発生させるようにしてある。
更に、上記ガスタービン1のタービン3にて燃焼ガス8を膨張させた後に排出される燃焼排ガス8aを導いて外部に放出するためのガス排出ライン10の途中位置に、排熱回収ボイラ11を設けて、該排熱回収ボイラ11にて、上記燃焼排ガス8aの排熱を回収して蒸気12を発生させるようにし、この発生させた蒸気12の一部を、蒸気ライン13を通して上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射すると共に、蒸気12の残部を、プロセス蒸気ライン14を通して熱需要があるところ(図示せず)へプロセス蒸気として供給できるようにしてある。15は上記廃熱回収ボイラ11へ給水する水(軟水)である(たとえば、特許文献1参照)。
かかる構成としてある蒸気噴射ガスタービン発電装置によれば、上記排熱回収ボイラ11で上記ガスタービン1より排出される燃焼排ガス8aに残存する熱を利用して発生させる高温高圧の蒸気12を、蒸気ライン13を通して導いて上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射することで、該燃焼器5よりタービン3へ導かれるガスの質量流量を増大させることができるため、該タービン3の出力を増大させることができて、発電機9の発電量を増加させることができると共に、発電効率を向上させることができるようにしてある。
ところで、上記蒸気噴射ガスタービン発電装置では、排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12をガスタービン1の燃焼器5へ噴射して、タービン3に流すガスの質量流量を増大させて出力の増大を図ることができるが、ある程度以上の蒸気12を燃焼器5に噴射すると、圧縮機2の流量が減少してサージングを起こすことから、噴射できる蒸気12の量には限界があるというのが実状である。
そのために、蒸気噴射ガスタービン発電装置におけるガスタービン1の燃焼器5へ噴射可能な蒸気12の量を増大させてもサージ限界を回避できるようにするための種々の手法が、従来提案されてきている(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
なお、蒸気噴射ガスタービン発電装置において、ガスタービンの燃焼排ガスの排熱を利用して排熱回収ボイラ(ガスタービン排ガスボイラ)で発生させる蒸気を、トルエン等の揮発性有機化合物(以下、VOCと云う)を含有する排ガスを燃焼処理するVOC処理用の脱臭炉より排出される燃焼排ガスの排熱を利用して過熱した後、ガスタービンの燃焼器へ噴射させる手法は従来提案されている(たとえば、特許文献6参照)。
ところが、ガスタービン1の燃焼排ガス8aを利用して排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12の温度は、通常、210℃程度と比較的低温であるため、該蒸気12をガスタービン1の燃焼器5に噴射しても、該燃焼器5の下流側のタービン3へ持ち込まれるエネルギーがあまり大きくなっていないというのが実状である。
しかも、上記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に示されている種々の手法により、サージ限界を回避しつつ蒸気噴射ガスタービン発電装置におけるガスタービン1の燃焼器5へ噴射可能な蒸気12の量を増大させることができるとしても、上記排熱回収ボイラ11で発生する蒸気12は210℃程度と、通常、1000℃程度となる燃焼器5内の燃焼温度に比して大幅に低いため、排熱回収ボイラ11で発生させた蒸気12のガスタービン1の燃焼器5への噴射量が多くなると、該燃焼器5内の温度が低下して失火に繋がる虞が懸念されるというのが実状である。
なお、上記特許文献6には、蒸気噴射ガスタービン発電機のガスタービンに付設した排熱回収ボイラで発生させる蒸気を、VOC処理用の脱臭炉より排出される燃焼排ガスの排熱を利用して過熱してからガスタービンの燃焼器へ噴射させる考えは示されているが、上記蒸気の過熱温度は350℃程度に過ぎず、ガスタービンの燃焼器内の燃焼温度に比して温度が大幅に低いという点では、排熱回収ボイラで発生させる蒸気の温度レベルとあまり変わらない。したがって、この特許文献6に記載された手法を採用しても、前記したようなガスタービンの燃焼器の下流側のタービンへ持ち込まれるエネルギーがあまり大きくならないという現象や、ガスタービンの燃焼器への蒸気の噴射量が多くなると、該燃焼器内の温度が低下して失火に繋がるという現象の対策としては不十分である。
しかも、特許文献6に示されたものでは、VOC処理用の脱臭炉が必須のため、VOCの脱臭炉がない場合は採用し得ない。更に、上記VOC処理用の脱臭炉では、助燃燃料として外部燃料を必要とするという問題もある。
そこで、本発明は、ガスタービンの燃焼排ガスを利用して排熱回収ボイラで発生させる蒸気を上記ガスタービンの燃焼器へ噴射するときに、何ら外部燃料を要することなく該燃焼器の下流側のタービンへ持ち込まれるエネルギーを増加させることができて、該燃焼器での燃料消費を抑えることができ、更に、ガスタービンの燃焼器への蒸気噴射量を多くしても、該燃焼器の失火に繋がる虞を抑制することができる蒸気噴射ガスタービン発電装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、圧縮機とタービンをタービン軸にて同軸に連結して備え、上記圧縮機で圧縮した空気を用いて燃焼器内で燃料を燃焼させることにより発生させた高温高圧の燃焼ガスを、上記タービンで膨張させることによりタービン軸を回転させて出力を取り出すようにしてあるガスタービンと、上記タービン軸に連結した発電機と、上記ガスタービンより排出される燃焼排ガスの排熱を回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラで発生した蒸気を上記ガスタービンの燃焼器へ導いて噴射させるための蒸気ラインを備えた蒸気噴射ガスタービン発電装置において、上記蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を設けて、上記蒸気ラインに導かれる蒸気を過熱してから上記ガスタービンの燃焼器へ噴射させるようにした構成とする。
又、上記構成において、蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を多段に設けるようにした構成とする。
更に、上記各構成において、蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも上流側位置に、蒸気流量調整弁を設け、且つ蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも下流側位置に温度センサを設けて、該温度センサにより検出される上記熱交換器通過後の蒸気温度に応じて上記蒸気流量調整弁を制御するようにした構成とする。
本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)圧縮機とタービンをタービン軸にて同軸に連結して備え、上記圧縮機で圧縮した空気を用いて燃焼器内で燃料を燃焼させることにより発生させた高温高圧の燃焼ガスを、上記タービンで膨張させることによりタービン軸を回転させて出力を取り出すようにしてあるガスタービンと、上記タービン軸に連結した発電機と、上記ガスタービンより排出される燃焼排ガスの排熱を回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラで発生した蒸気を上記ガスタービンの燃焼器へ導いて噴射させるための蒸気ラインを備えた蒸気噴射ガスタービン発電装置において、上記蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を設けて、上記蒸気ラインに導かれる蒸気を過熱してから上記ガスタービンの燃焼器へ噴射させるようにした構成としてあるので、ガスタービンにて燃焼器の下流側のタービンへ持ち込まれるエネルギーを、外部燃料を要することなく増加させることができ、このため、従来に比して、同じガスタービンの外部出力を得る際の燃焼器での燃料消費を抑えることができる。
(2)更に、ガスタービンの燃焼器へ噴射する蒸気の温度と、該燃焼器内の燃焼温度との温度差を小さくすることができるため、燃焼器への蒸気噴射量を多くしても、該燃焼器内の温度低下により失火に繋がる虞を抑制することができる。したがって、サージ限界を回避しつつガスタービンの燃焼器へ噴射可能な蒸気の量を増大させるための種々の手法と組み合わせることで、サージ限界の回避と、失火の防止を共に図ることが可能で、且つ燃料消費量の大幅な削減が達成可能な蒸気噴射ガスタービン発電装置を実現することができる。
(3)蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を多段に設けるようにした構成とすることにより、排熱回収ボイラで発生させる蒸気の温度を、ガスタービンの燃焼器内の燃焼温度との温度差が小さくなるように大幅に過熱する際に、各段の熱交換器では、徐々に蒸気の温度を上げるようにすればよいため、各熱交換器の入口側温度と出口側温度との温度差を小さくすることが可能となる。したがって、各熱交換器の構造が、熱交換器を入口側温度と出口側温度の大きい温度差に耐え得る構造とする場合のように複雑になることを防ぐ効果が期待できる。
(4)蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも上流側位置に、蒸気流量調整弁を設け、且つ蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも下流側位置に温度センサを設けて、該温度センサにより検出される上記熱交換器通過後の蒸気温度に応じて上記蒸気流量調整弁を制御するようにした構成とすることにより、天候等の影響により太陽熱集熱装置で収集される太陽熱のエネルギー量が減少して、熱交換器で蒸気の過熱が十分に行われなくなるときには、温度センサによる熱交換器を通過後の過熱されているべき蒸気の温度低下の検出に伴って蒸気流量調整弁の開度を絞ることが可能になるため、十分な過熱が行われていない低い温度の蒸気が、ガスタービンの燃焼器へ多量に供給される虞を未然に防止することができて、該燃焼器が失火する虞を未然に防止できる。
(1)圧縮機とタービンをタービン軸にて同軸に連結して備え、上記圧縮機で圧縮した空気を用いて燃焼器内で燃料を燃焼させることにより発生させた高温高圧の燃焼ガスを、上記タービンで膨張させることによりタービン軸を回転させて出力を取り出すようにしてあるガスタービンと、上記タービン軸に連結した発電機と、上記ガスタービンより排出される燃焼排ガスの排熱を回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラで発生した蒸気を上記ガスタービンの燃焼器へ導いて噴射させるための蒸気ラインを備えた蒸気噴射ガスタービン発電装置において、上記蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を設けて、上記蒸気ラインに導かれる蒸気を過熱してから上記ガスタービンの燃焼器へ噴射させるようにした構成としてあるので、ガスタービンにて燃焼器の下流側のタービンへ持ち込まれるエネルギーを、外部燃料を要することなく増加させることができ、このため、従来に比して、同じガスタービンの外部出力を得る際の燃焼器での燃料消費を抑えることができる。
(2)更に、ガスタービンの燃焼器へ噴射する蒸気の温度と、該燃焼器内の燃焼温度との温度差を小さくすることができるため、燃焼器への蒸気噴射量を多くしても、該燃焼器内の温度低下により失火に繋がる虞を抑制することができる。したがって、サージ限界を回避しつつガスタービンの燃焼器へ噴射可能な蒸気の量を増大させるための種々の手法と組み合わせることで、サージ限界の回避と、失火の防止を共に図ることが可能で、且つ燃料消費量の大幅な削減が達成可能な蒸気噴射ガスタービン発電装置を実現することができる。
(3)蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を多段に設けるようにした構成とすることにより、排熱回収ボイラで発生させる蒸気の温度を、ガスタービンの燃焼器内の燃焼温度との温度差が小さくなるように大幅に過熱する際に、各段の熱交換器では、徐々に蒸気の温度を上げるようにすればよいため、各熱交換器の入口側温度と出口側温度との温度差を小さくすることが可能となる。したがって、各熱交換器の構造が、熱交換器を入口側温度と出口側温度の大きい温度差に耐え得る構造とする場合のように複雑になることを防ぐ効果が期待できる。
(4)蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも上流側位置に、蒸気流量調整弁を設け、且つ蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも下流側位置に温度センサを設けて、該温度センサにより検出される上記熱交換器通過後の蒸気温度に応じて上記蒸気流量調整弁を制御するようにした構成とすることにより、天候等の影響により太陽熱集熱装置で収集される太陽熱のエネルギー量が減少して、熱交換器で蒸気の過熱が十分に行われなくなるときには、温度センサによる熱交換器を通過後の過熱されているべき蒸気の温度低下の検出に伴って蒸気流量調整弁の開度を絞ることが可能になるため、十分な過熱が行われていない低い温度の蒸気が、ガスタービンの燃焼器へ多量に供給される虞を未然に防止することができて、該燃焼器が失火する虞を未然に防止できる。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置の実施の一形態を示すもので、図2に示した蒸気噴射ガスタービン発電装置と同様に、発電機9を駆動するガスタービン1より燃焼排ガス8aを排出するガス排出ライン10の途中に排熱回収ボイラ11を設け、且つ該排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12の一部を導く蒸気ライン13を、上記ガスタービン1の燃焼器5に接続した構成において、上記蒸気ライン13の途中位置に、太陽熱集熱装置16に接続した熱交換器17を設けて、上記蒸気ライン13を流通する蒸気12を、該熱交換器17にて上記太陽熱集熱装置16で集熱した太陽熱と熱交換させて大幅に過熱してから、該過熱蒸気12aを上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射できるようにする。
詳述すると、上記太陽熱集熱装置16は、たとえば、太陽追尾用の多数の平面鏡(ヘリオスタット)等の図示しない一次集光装置を用いて一次集光した太陽光18を、パラボラ状や複合放物面を備えた二次集光器16aで二次集光することで、太陽熱エネルギーを収集できる構成としてあると共に、この収集された太陽熱エネルギーを上記熱交換器17における蒸気12との熱交換部(図示せず)へ与えることで、該熱交換器17へ供給される蒸気12を、800℃程度まで過熱することができるようにしてあるものとする。
更に、上記太陽熱集熱装置16に接続した熱交換器17は、上記蒸気ライン13の途中位置に、図1に示す如く、多段に設けるようにすることが望ましい。図では熱交換器17を3段に設けた場合が示してある。このような構成とすれば、上記排熱回収ボイラ11で発生させる210℃程度の蒸気12を、800℃程度まで過熱する際に各段の熱交換器17で徐々に蒸気12の温度を上げることができるようになることから、該各熱交換器17の入口側温度と出口側温度との温度差を小さくすることが可能となる。したがって、一般に、熱交換器を入口側温度と出口側温度の大きい温度差に耐え得る構造とする場合には、設計が難しく、構造が複雑化すると考えられるが、上記各熱交換器17における入口側温度と出口側温度との温度差を小さくすることで、該各熱交換器17の構造が複雑になることを防ぐ効果が期待できる。
ところで、天候等の影響により上記各太陽熱集熱装置16に対する太陽光の照射量が減少すると、上記各太陽熱集熱装置16で収集して各熱交換器17で蒸気12を過熱するために用いる太陽熱のエネルギー量が減少するため、該各熱交換器17より得られる過熱蒸気12aの温度が低下することが考えられる。更に、太陽熱集熱装置16に太陽光の照射が全くない場合は、上記各熱交換器17では、蒸気ライン13を流通する蒸気12の過熱を行うことができないこととなる。この点に鑑みて、本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置では、上記蒸気ライン13における上記各熱交換器17の設置個所よりも上流側位置に、蒸気流量調整弁19を設けると共に、該蒸気ライン13における上記各熱交換器17の設置個所よりも下流側位置に、温度センサ20を設け、更に、該温度センサ20より入力される温度検出信号に基づいて上記蒸気流量調整弁19に制御指令を与える温度制御器21を備える。
更に、上記温度制御器21を、上記温度センサ20より入力される温度検出信号を基に、上記蒸気ライン13を流通する蒸気12が上記各熱交換器17を通過した後に得られる過熱蒸気12aの温度の低下が検出されると、上記蒸気流量調整弁19へ開度を絞るようにさせるための制御指令を与える機能を有するものとしてある。これにより、上記各太陽熱集熱装置16で収集される太陽熱のエネルギー量が減少して、各熱交換器17を通過した後に得られる過熱蒸気12aの温度が低下するときには、上記温度制御器21により上記蒸気流量調整弁19の開度が絞られるようになるため、蒸気ライン13を経て上記各熱交換器17へ供給される蒸気12の量を減少させて、太陽熱のエネルギーを受け取る蒸気12の量を減らして、蒸気12の過熱温度の低下を防ぐと共に、十分な過熱が行われていない800℃よりも低い温度の過熱蒸気12aや、各熱交換器17での過熱が行われていない210℃程度のままの蒸気12が、上記ガスタービン1の燃焼器5へ多量に供給される虞を未然に防止することができるようにしてある。
22は蒸気ライン13における上記各熱交換器17の設置個所の直ぐ上流側位置に設けたミストセパレータ、23はガスタービン1の出力軸となるタービン軸4と発電機9との間に介装した減速機である。
その他、図2に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
以上の構成としてある本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置を使用する場合は、ガスタービン1の燃焼器5に燃料7を供給して該ガスタービン1を運転すると、該ガスタービン1の外部出力により発電機9が駆動されて発電が行われる。
更に、上記ガスタービン1のタービン3より排出される燃焼排ガス8aが、ガス排出ライン10を通して排熱回収ボイラ11に導かれると、該排熱回収ボイラ11では、上記燃焼排ガス8aの保有する熱により蒸気12が発生させられる。
上記排熱回収ボイラ11で発生した蒸気12の一部は、蒸気ライン13を通して上記ガスタービン1の燃焼器5へ導かれる間に、該蒸気ライン13の途中位置に設けてある各熱交換器17を通過するときに該各熱交換器17に接続してある太陽熱集熱装置16で収集された太陽熱のエネルギーとの熱交換により800℃程度まで過熱されて、800℃程度の過熱蒸気12aとされた状態で上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射されるようになる。
したがって、上記ガスタービン1では、燃焼器5へ吹き込まれる過熱蒸気12aの温度が、従来の蒸気噴射ガスタービン発電装置でガスタービンの燃焼器に噴射していた蒸気よりも大幅に温度が高くなるため、同じ蒸気噴射量であっても、上記燃焼器5の下流側のタービン3へ持ち込まれるエネルギーが増加することで、ガスタービン1の外部出力が高まるようになる。
よって、ガスタービン1の外部出力として、従来の蒸気噴射ガスタービン発電装置のガスタービンと同じ外部出力を得る場合に、上記燃焼器5における燃料7の使用量が低減されるようになる。
更に、太陽熱集熱装置16に対する太陽光の照射が弱かったり、照射がない場合は、上記蒸気ライン13の途中位置に設けてある各熱交換器17を経て上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射される過熱蒸気12aの温度が低下したり、過熱されない蒸気12が上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射されるようになるが、この場合は、上記蒸気ライン13における各熱交換器17の下流側位置に設けてある温度センサ20によって該各熱交換器17を通過した後の過熱蒸気12aの温度低下、あるいは、過熱されない蒸気12の温度が検出されることに伴って、温度制御器21により蒸気ライン13に設けてある蒸気流量調整弁19の開度が自動的に絞られることで、上記過熱が十分に行われていない過熱蒸気12aや、過熱されない蒸気12が、上記ガスタービン1の燃焼器5へ多量に噴射されることは自動的に防止される。よって、該ガスタービン1の燃焼器5内の温度の低下は未然に防止されるようになる。
このように、本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置によれば、ガスタービン1の燃焼排ガス8aを利用して排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12を、太陽熱集熱装置16で収集した太陽熱のエネルギーとの熱交換により、何ら外部燃料を要することなく800℃程度と大幅に温度を高めてから上記ガスタービン1の燃焼器5へ噴射することができるため、該燃焼器5の下流側のタービン3へ持ち込まれるエネルギーを増加させることができて、燃焼器5での燃料消費を抑えることができる。
更に、ガスタービン1の燃焼器5へ供給する過熱蒸気12aの温度を800℃程度とすることで、燃焼器5内の燃焼温度(約1000℃)との温度差が小さくなるため、上記ガスタービン1の燃焼器5への蒸気噴射量を多くしても、該燃焼器5内の温度低下により失火に繋がる虞を抑制することができる。したがって、従来の特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5で提案されているような、圧縮機2のサージ限界を回避しつつガスタービン1の燃焼器5へ噴射可能な蒸気12の量を増大させるための種々の手法を採用する場合に有利な構成とすることができて、サージ限界の回避と、失火の防止を共に図ることができて、燃料消費量の大幅な削減が達成可能な蒸気噴射ガスタービン発電装置を実現することができる。
なお、図1の構成の本発明の蒸気噴射ガスタービン発電装置について本発明者等が実施した数値計算によれば、2MW級の蒸気噴射ガスタービン発電装置において、ガスタービン1の燃焼器5への蒸気噴射量を2500kg/hrとする際、太陽の入射熱流束を、晴天ならば日本でも達成可能な入射熱流束である860W/m2と仮定して、蒸気12の温度を207℃から800℃まで過熱するようにすると、燃料7を約11.9%節約でき、太陽光の電力への変換効率として13.7%と、太陽電池と同程度の変換効率を得ることができるという結果が得られている。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、発電機9の駆動用のガスタービン1と、その排熱を回収する排熱回収ボイラ11と、排熱回収ボイラ11で発生させる蒸気12を上記ガスタービン1の燃焼器5へ導いて噴射させるための蒸気ライン13を備えた構成としてあれば、ガスタービン1、排熱回収ボイラ11はいかなる形式のものでもよく、更には、ガスタービン1と排熱回収ボイラ11にいかなる形式の周辺機器構成を備えていてもよい。
太陽熱集熱装置16に接続した熱交換器17の蒸気ライン13上に設ける数は適宜変更してもよく、単数であってもよい。
太陽熱集熱装置16は、熱交換器17に、排熱回収ボイラ11で発生する蒸気12を800℃程度まで過熱することができるような太陽熱のエネルギーを与えることができるようにしてあれば、いかなる形式の太陽熱集熱装置16を採用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 タービン
4 タービン軸
5 燃焼器
6 空気
7 燃料
8 燃焼ガス
8a 燃焼排ガス
9 発電機
11 排熱回収ボイラ
12 蒸気
12a 過熱蒸気
13 蒸気ライン
16 太陽熱集熱装置
17 熱交換器
19 蒸気流量調整弁
20 温度センサ
2 圧縮機
3 タービン
4 タービン軸
5 燃焼器
6 空気
7 燃料
8 燃焼ガス
8a 燃焼排ガス
9 発電機
11 排熱回収ボイラ
12 蒸気
12a 過熱蒸気
13 蒸気ライン
16 太陽熱集熱装置
17 熱交換器
19 蒸気流量調整弁
20 温度センサ
Claims (3)
- 圧縮機とタービンをタービン軸にて同軸に連結して備え、上記圧縮機で圧縮した空気を用いて燃焼器内で燃料を燃焼させることにより発生させた高温高圧の燃焼ガスを、上記タービンで膨張させることによりタービン軸を回転させて出力を取り出すようにしてあるガスタービンと、上記タービン軸に連結した発電機と、上記ガスタービンより排出される燃焼排ガスの排熱を回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラで発生した蒸気を上記ガスタービンの燃焼器へ導いて噴射させるための蒸気ラインを備えた蒸気噴射ガスタービン発電装置において、上記蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を設けて、上記蒸気ラインに導かれる蒸気を過熱してから上記ガスタービンの燃焼器へ噴射させるようにした構成を有することを特徴とする蒸気噴射ガスタービン発電装置。
- 蒸気ラインの途中位置に、太陽熱集熱装置に接続した熱交換器を多段に設けるようにした請求項1記載の蒸気噴射ガスタービン発電装置。
- 蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも上流側位置に、蒸気流量調整弁を設け、且つ蒸気ラインにおける太陽熱集熱装置に接続した熱交換器の設置個所よりも下流側位置に温度センサを設けて、該温度センサにより検出される上記熱交換器通過後の蒸気温度に応じて上記蒸気流量調整弁を制御するようにした請求項1又は2記載の蒸気噴射ガスタービン発電装置。
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