JP2011038178A - チタン板の酸洗方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】NOxガス発生量を抑制するとともに、チタン板の上下面の均一な酸洗をも達成しうるチタン板の酸洗方法を提供することを目的とする。
【解決手段】硝酸を含む酸洗浴2に対して、チタン板1の両面をそれぞれ上下面1a、1bとして、連続的に通板して酸洗する方法において、通板されるチタン板1の上面を覆うようにブロック部材4をチタン板1に近接させて酸洗浴2中に設置し、NOxガス発生量を抑制するとともに、チタン板1の上下面1a、1bの酸洗速度をも均一化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、チタン板を硝酸およびフッ酸を含む酸洗浴に連続的に通板して酸洗する方法に関する。
一般に、純チタンまたはチタン合金などのチタン板は、チタンストリップとして熱間圧延或いは更に冷間圧延を行うことにより製造される。このうち、特に、建材用などの外観(美観)が要求されるチタン板は、圧延上がりのまま出荷されることは殆どなく、焼鈍や酸洗などによる脱スケールのための表面仕上げが施される。
前記圧延後のチタン板は、圧延で生じたひずみの除去や、所望の機械的性質を得るための組織調整を目的に、大気中で焼鈍される。この焼鈍後のチタン板は酸洗されて、前記熱延や切削加工時の摩擦熱、あるいは焼鈍により表面に形成された強固な酸化スケールや酸素濃化層が除去される。具体的には、ソルトバスおよびショットブラスト等の前処理を施されて、これらスケールをある程度除去、あるいは除去しやすくした後に、更に硝酸とフッ酸(弗酸、ふっ酸)との混合溶液(以下、硝フッ酸あるいはフッ硝酸とも言う)を含む酸洗液で酸洗される。
このような酸洗仕上げは、チタン板表面の光沢度を比較的低いレベルにでき、光の反射を抑制できる美観を有する。このため、前記建材用などの表面仕上げ方法としては、前記圧延ままの表面肌となる、真空焼鈍仕上げよりも汎用されている。
このような酸洗仕上げ材のチタン板を工業的に得る場合には、通常、連続焼鈍酸洗ラインが用いられる。このラインでは、大気焼鈍炉、ソルトバスおよびショットブラスト、そして酸洗浴(以下、酸洗槽とも言う)が直列して記載順に配置されている。チタン板(チタンストリップ)を順次これらの装置に通す(連続的に通板する)ことで、前記建材用などのチタン板の焼鈍と脱スケールを連続して行なうことができる。
前記ソルトバスへの浸漬およびショットブラストは、前記スケールを酸洗で除去しやすくするために行なわれる。例えば、水酸化ナトリウムと硝酸ナトリウムを主成分とする約500℃の高温のソルトバスに、前記大気焼鈍後のチタン板を浸漬すると、スケールの一部が溶解されると共に、熱衝撃によりスケールに亀裂ができる。これはショットブラストでも同様で、スケールの一部が機械的に剥離されると共に、ショットの衝撃によりスケールに亀裂ができる。
この後、チタン板の両面をそれぞれ上下面として、硝フッ酸の酸洗浴中(酸洗槽中)を連続的に通板させて酸洗を行なうと、前記のように生成したスケールの亀裂を通して、チタン地金まで酸洗液が浸透し、スケールと地金の境界面が溶解される。この結果、完全にチタン板の両面からスケールの除去ができ、チタン板特有の金属光沢が得られる。
ここで、チタン板の上面とは、チタン板の両面をそれぞれ上下面(上面および下面)として、酸洗浴中を水平な状態で通板した場合の、酸洗浴の上面(上方)に対面した面(以下表面とも言う)である。また、チタン板の下面とは、チタン板の両面をそれぞれ上下面(上面および下面)として通板の場合の、酸洗浴の底面(下方)に対面した面(以下裏面とも言う)である。したがって、チタン板の両面をそれぞれ上下面として通板して酸洗するとは、チタン板を水平状態にして酸洗浴中を連続的に通板することである。
このような連続焼鈍酸洗ラインにおいては、従来から、チタン板間や、あるいは同一のチタン板の同じ面内での光沢度を均一にするという課題が一般的であり、このための手法も種々提案されている。
例えば、特許文献1では、前記酸洗において、時として生じるチタン板表面の全面的又は局所的な、いわゆる酸焼けと呼ばれる茶色い着色斑防止を目的とした技術が提案されている。このために、特許文献1では、前記連続焼鈍酸洗ラインなどにおいて、チタン板が酸洗液に入ってから出るまでの領域の酸洗液を、チタン板の走行方向に対して直角方向に流動させることが記載されている。
また、特許文献2では、前記酸洗において、チタン板間または同一チタン板内の光沢度を均一にすることを目的とした技術が提案されている。そして、このために、前記連続焼鈍酸洗ラインなどにおいて、チタン板またはチタン合金板の酸洗仕上げを行なう際に、浸漬ロールを有する酸洗槽を複数回通板させると共に、チタン板またはチタン合金板が適宜反転して酸洗槽を通過する様にして操業することが記載されている。
更に、特許文献3では、酸洗浴を攪拌しながら酸洗する方法が提案されている。この特許文献3では、チタン板表面に局部的に酸洗液が滞留して、その部分のチタンイオン濃度が上昇して、隣接する板面局所間での酸洗速度の差が生じ、酸洗ムラが生じるとしている。このために、前記連続焼鈍酸洗ラインなどにおいて、リザーブタンクに溜めた酸洗液を、チタンストリップの近傍から吐出させ、チタンストリップ表面に噴射することが記載されている。より具体的には、通板中のチタン板へ、このチタン板の両側面側から、このチタン板の下流側からチタン板の上流側に向けて(チタン板の通板方向とは逆方向に)、このチタン板の上流側から下流側に亙る複数箇所から酸洗液を供給することが記載されている。
因みに、チタン板とは分野が異なるものの、鋼板の分野では、酸洗浴を攪拌しながら酸洗する方法として、特許文献4、5などに開示された、噴流酸洗が知られている。これは、酸洗液を噴流にして、酸洗浴中を連続的に通板される帯鋼に吹き付ける酸洗方法であり、酸洗効果を高め、酸洗速度を増すことを目的としている。
また、前記チタン板の連続焼鈍酸洗ラインにおいては、前記同一チタン板内の光沢度とは別の問題として、酸洗の際に、化学反応により多量のNOxガスが生成し、環境に負荷をかけることになる。そこで、実際の前記チタン板の酸洗工程では、NOxガスを除去する脱硝設備を設けているほどである。しかし、全体的なNOxガス対策としては、NOxガスの発生量自体を抑制する必要もあって、チタン板の通板速度を遅くして酸洗を行うこともあり、生産性を大きく阻害する要因ともなっている。
そこで、NOx発生を抑制するチタン板の酸洗方法としては、特許文献6〜9などのように、酸洗浴に過酸化水素を添加する方法が従来から知られている。
特開平8−291397号公報 特開2000−355781号公報 特開昭63−227792号公報 特開平4−180583号公報 特開平5−33175号公報 特開平11−101676号公報 特開平11−115838号公報 特開2003−13465号公報 特開2004−99974号公報
しかしながら、NOxガス発生量の抑制方法に関して、従来の前記過酸化水素を添加する方法では、チタン板の酸洗量に伴う薬剤(過酸化水素)コストがかさむうえ、過酸化水素を適正量添加するための電解設備などの付帯設備の設置が必要となる、などの諸問題があった。
また、本発明者らは、前記チタン板の連続焼鈍酸洗ラインでは、チタン板の両面をそれぞれ上下面として、硝フッ酸の酸洗液中(酸洗槽中)を通板させて酸洗を行なう場合に、同じチタン板の上下両面の間で、酸洗速度が大きく異なることに気づいた。
この酸洗速度の違いとは、同じチタン板の上面側の酸洗速度が遅くなり、一方の下面側の酸洗速度は速くなるという現象である。これは、後述するように、チタン板をフッ硝酸で酸洗すると、チタン板の表面と裏面とで、酸洗時の支配する化学反応が異なることに起因しており、フッ硝酸を用いるチタン板の酸洗に特有の問題である。すなわち、鋼板やステンレス鋼板などでは起こり得ない問題である。
この酸洗速度の違いは、同じチタン板の上下両面間で、それぞれ表面のチタンの溶解量が異なることを意味する。それゆえ、実際の操業で、酸洗速度の遅いチタン板の上面側(表面側)に適した条件にて酸洗を行うと、チタン板下面側(裏面側)は過酸洗になる。つまり、チタン板下面側は、本来は溶解させなくてもよい母材チタンまで溶かしてしまい、チタン板の歩留りが低下するという問題があった。また、これとは逆に、実際の操業で、酸洗速度の速いチタン板の下面側(裏面側)に適した条件にて酸洗を行うと、酸洗速度の遅いチタン板上面側(表面側)では酸洗不足になる問題がやはりある。
それゆえに、前記チタン板の連続焼鈍酸洗ラインでは、同じチタン板の上下両面の酸洗を保証するためには、チタン板の歩留りを犠牲にしなければ操業できないという課題があった。この問題は、上述した従来の技術を用いても確実には解決できなかった。
したがって、本発明の主たる目的は、硝酸とフッ酸との混合溶液を酸洗液とした酸洗槽に対して、チタン板の両面をそれぞれ上下面として通板して酸洗する方法において、過酸化水素などの薬剤を必要とせずにNOxガス発生量を抑制しうるチタン板の酸洗方法を提供することである。
また、本発明のさらなる目的は、酸洗ラインにおけるNOxガス発生量を抑制しつつ、前記チタン板の上下面側の酸洗速度を均一化し、前記チタン板の上下面をほぼ均一に酸洗することのできるチタン板の酸洗方法を提供することである。
上記NOxガス発生量の抑制を達成するための、本発明チタン板の酸洗方法の要旨は、硝酸およびフッ酸を含む酸洗浴に対して、チタン板の両面をそれぞれ上下面として、連続的に通板して酸洗する方法において、通板される前記チタン板の上面を覆うようにブロック部材を前記酸洗浴中に設置するとともに、前記チタン板の上面とブロック部材下面との間隔を5.0cm以下(但し0cmを含まない)とすることである。
ここで、NOxガス発生量を抑制しつつ、前記チタン板の上下面側の酸洗速度を均一化し、前記チタン板の上下面をほぼ均一に酸洗するためには、前記通板中のチタン板上面と前記ブロック部材との間隔(隙間)が1.5cm以下(但し0cmを含まない)であることがより好ましい。
本発明では、前記ブロック部材をチタン板の上面を覆うように近接させて設置し、このチタン板の上面から発生する気体の酸洗浴上方への拡散をブロックして抑制する。したがって、酸洗中のチタン板の上面側の前記NOx生成反応が抑制され、酸洗ラインにおけるNOxガス発生量を抑制でき、環境にかける負荷が小さくなる。
また、このチタン板の上面側は、前記ブロック部材で覆われているため、チタン板自身の遮蔽によって、発生する気体の酸洗浴上方への拡散が抑制されている、前記チタン板の下面側と丁度同じ態様となる。このため、チタン板の上面側でも、前記した通り、NOx生成反応が抑制されて、チタン板の上面と下面とにおける優先する化学反応の違いが少なくなり、酸洗速度の違いが少なくなって、チタン板の上下両面側の酸洗速度を均一化することができる。すなわち、前記チタン板の上下面の均一な酸洗と、環境に優しいNOxガス発生量の抑制とを同時に達成しうる。
本発明の作用:
以下に本発明の作用(機構)を先ず説明する。図1は、酸洗浴中を水平な状態で通板されている、チタン板1の上面1a、下面1bそれぞれにおける酸洗反応を示す模式図である。
前記した通り、酸洗中のチタン板1の上面1aと下面1bとでは、化学反応は勿論共通するものの、支配する(支配的な)化学反応は各々異なるという特徴がある。酸洗によりチタンと硝酸とが化学反応した場合の共通する反応とは、図1の左側に示すチタンの溶解と酸化によるNO などのNOx生成反応と、図1の右側に示すチタンの溶解によるTiイオン錯体の生成反応である。
図1の上側に示すように、通常の酸洗の場合には、水平な状態で通板されるチタン板1の上面1a側の上方は開放されており、前記反応にてチタン板1の上面1a側に生成したNO などNOxを含めた気体は、逐次前記上方側に拡散される。これによって、チタン板1の上面1a側では前記NOx生成反応が促進され、優先することとなる。
これに対して、図1の下側に本発明の態様を示すように、チタン板1の上面1a側に、ブロック部材4をチタン板1の上面1aを覆うように近接させて、ブロック部材を酸洗浴中に設置した場合、このチタン板1の上面1a側上方の空間(スペース)が、前記開放されている場合に比して、極端に狭くなる(制限される)。このため、このチタン板1の上面1a側から発生したNO などNOxを含めた気体拡散が、このブロック部材4によるチタン板1の上面1a側上方の空間の遮蔽によって著しく抑制されることとなる。
これによって、NO などNOxを含めた気体がチタン板1の上面1a側の表面近傍に留まるために、チタン板1の上面1aの前記NOなどNOxを含めた気体生成反応自体が、前記空間の遮蔽状態を含めて、チタン板1の下面1b側と同じように抑制される。このため、前記HNO3 (硝酸)の消費が少なくなり、強制的な攪拌などによって新鮮な酸洗液が供給されなくても(攪拌無しでも)、チタン板1の上面1a側での硝酸濃度は、元の酸洗液(バルク溶液)の硝酸濃度に比して、大きく下がることが無くなる。
したがって、図1の右側に示すチタンの溶解によるTiイオン錯体の生成反応が促進され、チタン板1の上面1aと下面1bとにおける、前記化学反応の優先度の違いを少なくして、酸洗速度の違いを少なくし、チタン板の上下両面側の酸洗速度を均一化することができる。また、チタン板1の上面1a側の前記NOx生成反応の抑制によって、NOxガス発生量も抑制できる。すなわち、前記チタン板の上下面の均一な酸洗とNOxガス発生量の抑制を同時に達成しうる。
反応式:
上記した説明のうち、チタン板上面1a側の優先化学反応と、チタン板下面1b側の優先化学反応とを、下記のように反応式で示す。チタン板上面1a側では下記反応式(1)、(2)のNO生成反応、下面1b側では下記反応式(3)、(4)の3価のTiイオン錯体が関与する反応が、各々優位に起こっている。なお、これら反応式(1)〜(4)で示される化学反応は、酸洗中のチタン板1の上面1aと下面1bとで勿論共通して生じている。
チタン板上面1a側:
Ti+8HNO →Ti(NO +4NO (気体)+4H
・・・(1)
Ti+4HNO →TiO +2NO (気体)+2H O ・・・(2)
チタン板下面1b側:
2Ti+12HF→3H +2H[TiF ] ・・・(3)
2H [TiF ]+2TiO +6H+ →2H [TiF ]+2Ti + +4H O ・・・(4)
チタン板の上下面の酸洗速度が異なる理由:
これらの反応式を用いて、チタン板の上下面の酸洗速度が異なる理由をより詳細に以下に説明する。チタン板の酸洗は、通常、チタン板1の両面をそれぞれ上下面1a、1bとして、チタン板1を水平に通板して、連続的に酸洗を行う。通常は酸洗浴の上方を含めて、チタン板1の上面1aの上方側は、酸洗浴槽の上方側の蓋や覆いがあったとしても、十分な酸洗浴の容積があるという意味で、開放された状態となっている。このため、前記反応式(1)、(2)にて生成した気体NOは逐次上方側に拡散される。これによって、前記反応式(1)、(2)のNO 生成反応はより促進されることとなる。
このため、チタン板1の上面1a側では、HNO3 (硝酸)の消費が多くなり、強制的な攪拌などによって新鮮な酸洗液2が供給されなければ、結果として、上面1a側表面近傍の酸洗液2中の硝酸の濃度が下がることとなる。本発明者らが調査した結果では、酸洗中のチタン板1の上面1a側のHNO3 の濃度は、強制的な攪拌などをしない場合、元の酸洗液(バルク溶液)のHNO3 濃度に比して、86%程度にまで低下している。
これに対して、チタン板1の下面1bの上方側は、前記図1のようにチタン板1自身によって閉塞されており、前記反応式(1)、(2)にて、チタン板1の下面1b側で生成した気体NO は拡散されにくくなる。このため、気体NO がチタン板1の下面1bの表面近傍に留まるために、前記反応式(1)、(2)のNO 生成反応は促進されなくなる。このため、本発明者らが調査した結果では、酸洗中のチタン板1の下面1b側のHNO3 の濃度は、強制的な攪拌などをしない場合でも、元の酸洗液のHNO3 濃度と殆ど変わらない。
更に、チタン板1の上面1a側表面近傍では、前記反応式(1)のTiの溶解反応の一方で、これとともに、チタンを溶解させないようなTiの酸化反応である前記反応式(2)による反応が盛んになる。したがって、前記反応式(1)、(2)の相乗効果によって、チタン板1の上面1a側の酸洗速度は、時間の経過とともに、より低下していく。
一方、チタン板1の下面1b側では、前記した通り、前記反応式(1)、(2)のNO生成反応は促進されず、前記反応式(3)のHFによるTiの溶解反応と、前記反応式(4)の3価のTiイオン錯体による酸化物の溶解が促進される。この結果、Tiイオン錯体量が増して、これによる酸化物の溶解が促進され、チタン板1の下面1b側の酸洗速度は、時間の経過とともに増加していく。
このように、チタン板1の上面1aと下面1bとで支配する化学反応が各々異なる結果、チタン板1の下面1b側の酸洗速度は、上面1a側よりも著しく速くなる。これも本発明者らが調査した結果では、酸洗速度は、チタン板1の下面1b側が、上面1a側の、最大で3倍近くなる。
これは、チタン板1の両面をそれぞれ上下面1a、1bとして通板して、フッ硝酸を用いて酸洗する際に生じる特有の現象である。それゆえ、チタン板1の酸洗の際の姿勢、向きが異なる場合や、チタン板をフッ硝酸以外の酸で酸洗する場合、あるいは鋼板やステンレス鋼などを酸洗する場合には、決して起こり得ない問題である。
本発明の実施の形態:
以上の酸洗における反応機構を踏まえた、本発明の実施の形態について以下に詳細に説明する。図2、3は、チタン板1の両面をそれぞれ上下面1a、1bとして通板して酸洗する酸洗槽3を示し、図2は正面図、図3は平面図である。ここで、図3は酸洗液を省略した図としている。
図2、3において、チタン板1は各図の右側から酸洗槽3に入り、矢印で示すように、各図の右側から左側に通板されて、各図の左側から酸洗槽3を出る。2は硝酸とフッ酸との混合溶液である酸洗浴(酸洗液)、2aは酸洗浴2の液面、5、6はチタン板1の送りローラである。そして、図2、3において、4がブロック部材であり、通板されるチタン板1の上面を覆うように近接させて、酸洗浴中に設置されている。また、このブロック部材4は、通板されるチタン板1の姿勢に合わせて、水平に酸洗浴中に設置されている。
この図2、3では、全てのラインの図示はしていないが、通常の連続焼鈍酸洗ラインにおける酸洗槽3を示している。即ち、前記した通りに各図の右側から酸洗槽3に入るチタン板1は、大気焼鈍炉、ソルトバスおよびショットブラストの処理を予め連続して受けている。そして、各図の左側から酸洗槽3を出たチタン板1は、図示はしないが、通常、液切りや水洗などの後処理を施されて、酸洗を終える。
ブロック部材の役割:
本発明におけるブロック部材4は、前記した通り、チタン板1の上面1aから発生する前記NO などNOxを含めた気体が、酸洗浴3上方へ逃げること(拡散)を抑制して、チタン板1の上面1a側の前記NOx生成反応を抑制し、NOxガス発生量を抑制する重要な役割を果たす。また、ブロック部材下面4aとチタン板上面1aとの距離tをさらに小さく(狭く)することで、前記チタン板1の上面1a側のNOx生成反応の抑制によって、チタン板1の上面1aと下面1bとにおける前記化学反応の優先度の違いを少なくできる。この結果、酸洗速度の違いを少なくし、チタン板の上下両面側の酸洗速度を均一化でき、チタン板1の上下面の均一な酸洗とNOxガス発生量の抑制を同時に達成しうる重要な役割を果たす。
ブロック部材によるチタン板の被覆:
この役割を効率良く果たすために、ブロック部材4は、図3で示すように、通板されるチタン板1の上面1aを覆うように酸洗浴中に設置される。このためには、ブロック部材4の幅方向の長さb(走行するチタン板1の板幅方向と平行な方向の長さb)を、チタン板1の板幅よりも大きくすることが好ましい。また、ブロック部材4の長手方向の長さc(走行するチタン板1の長手方向と平行な方向の長さc)を、チタン板1の酸洗浴3中を水平に走行する長さ(水平状態で酸洗処理されている長さ)と概ね同じか、若干短い長さとすることが好ましい。
これらの各長さb、cが短すぎると、チタン板1の上面1aから発生する前記NO などNOxを含めた気体が酸洗浴3上方へ逃げること(拡散)の抑制効果が小さくなる。この点を考慮し、連続焼鈍酸洗ラインにおける酸洗槽3や酸洗浴2の条件、酸洗するチタン板1の形状や酸洗量の条件などに応じてこれらの各長さb、cを設計する。ブロック部材4の厚さaは、酸洗浴のチタン板1の上面1aまでの深さを考慮し、酸洗槽の設備条件や酸洗槽への設置条件も考慮して、通板中のチタン板1とブロック部材4との間隔(隙間)tを保持すべく設計する。
チタン板とブロック部材との間隔:
また、前記ブロック部材の役割を効率良く果たすために、ブロック部材4は、図2で示すように、通板されるチタン板1の上面1aに近接させて酸洗浴中に設置される。ここで、通板中のチタン板1とブロック部材4との好ましい間隔t、すなわち、チタン板1の上面1aとブロック部材4の下面4aとの隙間(距離)tは、5.0cm以下(但し0cmを含まない)とし、好ましくは1.5cm以下(但し0cmを含まない)とする。
すなわち、チタン板の上面側の前記NOx生成反応の抑制によって、NOxガス発生量を抑制することを主たる目的とし、チタン板の上面と下面とにおける酸洗速度の違いも若干少なくするためには、前記間隔tを5.0cm以下(但し0cmを含まない)とする。そして、更に、酸洗中のチタン板の上面側の前記NOx生成反応を抑制して、NOxガス発生量の抑制とともに、チタン板の上面と下面とにおける酸洗速度の違いを少なくし、チタン板の上下両面側の酸洗速度を均一化するためには、この間隔が1.5cm以下(但し0cmを含まない)とすることが好ましい。前記間隔tを狭く(小さく)することによって、前記チタン板の上下面の均一な酸洗とNOxガス発生量の抑制を同時に達成しうる。
勿論、この間隔tは、連続焼鈍酸洗ラインにおける酸洗槽3や酸洗浴2の条件、酸洗するチタン板1の形状や酸洗量の条件などに応じて設計されるべきであって、これらの条件によって異なる。しかし、この隙間tが大きすぎると、チタン板1の上面1aの上方のスペース(空間)が大きくなって、ブロック部材4が無くチタン板1の上面1aの上方が開放された、従来の酸洗槽3と大差なくなる。このため、チタン板1の上面1aから発生する前記NOなどNOxを含めた気体が酸洗浴3上方へ逃げること(拡散)の抑制効果が小さくなる。したがって、前記チタン板の上下面の均一な酸洗や、NOxガス発生量の抑制を達成できなくなる。
また、前記間隔tの5.0cm、1.5cmという上限値は、連続焼鈍酸洗ラインにおける比較的大規模な酸洗槽3にしては、設計上極めて小さい数値の間隔(隙間)となり、酸洗浴中を通板中のチタン板1が、この間隔を保って、上下方向にブレないなどの走行精度を要する数値でもある。したがって、本発明では、前記上限値を、連続焼鈍酸洗ラインにおける比較的大規模な酸洗槽3における、前記ブロック部材が前記役割を果たせる目安として、敢えて提示している。
なお、この間隔tを0.5cm未満に小さくすると、通板されるチタン板が酸洗によって上下して、ブロック部材に接触してしまい、酸洗できなくなる可能性が高くなる。このため、実際の酸洗ラインの操業では、この間隔tを0.5cm以上とすることが好ましい。
ブロック部材の材質:
ブロック部材4の材質は、前記酸洗浴に対して反応するチタンを含めた金属製ではなく、前記酸洗浴に対して非反応性で軽量な、テフロン(登録商標)などの樹脂製であることが好ましい。ブロック部材4が、前記酸洗浴に対して反応するチタンを含めた金属製であると、浸漬されたブロック部材4自体が酸洗液によって溶解されて消耗し、前記間隔tが大きくなったり、各長さb、cが短くなったりするので、交換頻度が高くなる。また、この溶解のされ方によっては、チタン板1の酸洗自体や前記ブロック部材の役割にも悪影響を及ぼすこともあり得る。更に、連続焼鈍酸洗ラインにおける比較的大規模な酸洗槽3としては、ブロック部材4が大きくなり、重量が重くなる問題もある。
なお、ブロック部材4を単一の板やバルク、あるいは単一の材質から構成する必要は全く無く、酸洗浴に対して非反応性、軽量、剛性などの特性を各々担う、種々の材質の板やバルク同士あるいは材質が違う板やバルク同士の、積層、複合などの板状体やバルクであって良い。また、チタン板の上面を覆うことができるものであれば、ブロック部材は平坦な板形状や矩形形状でなくてもよい。
酸洗液の攪拌:
本発明のチタン板の酸洗方法においては、酸洗液(酸洗浴)の攪拌は不要である。本発明では、前記従来技術のような酸洗液(酸洗浴)の、積極的な攪拌あるいは強攪拌を行わなくても、十分な酸洗量は得られる。また、このような攪拌を行った場合、チタン板1の酸洗自体や前記ブロック部材の役割にも悪影響を及ぼすこともあり得る。したがって、本発明では、酸洗液(酸洗浴)の攪拌は不要である。
ただ、本発明でも、酸洗液供給やチタン板1の走行(通板)など、操業に伴う自然なあるいは必然的な攪拌は当然許容される。また、チタン板1の酸洗自体や前記ブロック部材の役割に、悪影響を及ぼさない範囲で、チタン板1の上下面の各面側や側面側、あるいは、このチタン板1の各方向の酸洗槽側などを攪拌する場合も許容される。この場合の攪拌は、酸洗槽3の前記特定部位に攪拌機を選択的に設置して行うか、酸洗槽3の前記特定部位に設置したノズルなどによってチタン板1の前記特定部位に酸洗液2を強制的に供給する。
因みに、チタン板1の上面1a側を攪拌した場合、新鮮な酸洗液2が供給され、前記反応式(1)、(2)のNO 生成反応促進で消費量が多くなり、濃度が低下しがちな硝酸が補充され、硝酸濃度が一定範囲に保持される効果がある。これによって、前記反応による酸洗速度の低下を抑制でき、チタン板1の上面1a側の酸洗速度を速めることができる。
一方、チタン板1の下面1b側を攪拌した場合、やはり新鮮な酸洗液2が供給され、3価のTiイオン錯体がこの下面1b側から拡散され、このTiイオン錯体量の増加が抑制される効果がある。このため、前記反応式(4)の3価のTiイオン錯体による酸化物の溶解反応や、前記反応式(3)のHFによるTiの溶解反応が抑制される。これによって、前記反応による酸洗速度の増加を抑制でき、チタン板1の下面1b側の酸洗速度が遅くすることができる。
他の酸洗条件:
この他の酸洗条件(操業条件)は、酸洗ラインに応じた、常法による、あるいは公知のこれまでの条件が適用可能である。例えば、フッ硝酸酸洗液の硝酸およびフッ酸の組成(各濃度)も、公知の条件が適用可能であるが、2%HF−10%HNO3 のフッ硝酸組成が代表的である。前記した、同じチタン板の上下両面間で酸洗速度が異なる現象は、チタン材をこのフッ硝酸で酸洗する際に生じる特有の現象であり、チタン材をこのフッ硝酸以外の酸で酸洗する場合や、鋼板やステンレス鋼などを、通常の酸洗する場合やフッ硝酸で酸洗する場合でも、決して起こり得ない問題である。また、連続焼鈍酸洗ラインにおける酸洗槽3での通板速度(走行速度)は5〜20cm/sec程度である。
対象とするチタン板:
本発明において、酸洗されるチタン板1は、純チタンであっても、チタン合金であっても良い。即ち、本発明で酸洗するチタン板は、純チタンやチタン合金を含めて対象とする。
(実施例1)
前記ブロック部材の、チタン板酸洗時のNO ガス発生量の抑制効果を、酸洗試験によって確認した。すなわち、同じ純チタン板につき、前記ブロック部材で上面を被覆したものと、前記ブロック部材を用いないそのままのものとを、このブロック部材以外の条件を同じとして、酸洗液に浸漬して酸洗し、酸洗中に発生するNO ガス(茶褐色)の有無を、前記酸洗液の容器上部より、目視で観察した。また、前記酸洗前後の純チタン板の重量変化を、チタン板の上面の溶解速度として測定した。これらの結果を表1に示す。
より具体的な試験条件を以下に説明する。実際の連続焼鈍酸洗ラインにおける純チタン板(ストリップ)から、酸洗前に試験片を採取した。この採取した純チタン板は、前記連続焼鈍酸洗ラインにおいて、750℃で大気雰囲気下で5分焼鈍後、ソルトバス浸漬および鉄グリッドで表面をショットブラストされたものである。酸洗に供する純チタン試験片の大きさは、60mm長さ×60mm幅×3mm厚みとした。そして、この純チタン試験片(1枚)を、容器内の2%HF−10%HNO3 酸洗液500mlに、図4のように水平になるように浸漬し、室温で5分間酸洗を行った。
このうち、図4の左側の例は、前記ブロック部材を用いない比較例であり、純チタン板をそのままの状態で酸洗している。図4の右側の例は、酸洗液とは非反応性のテフロン(登録商標)製ブロック部材を酸洗浴中に設置して、純チタン板上面側を被覆した状態で酸洗している例(発明例、比較例)である。このブロック部材を用いた例では、表1に示すように、前記ブロック部材とチタン板の上面との間隔(隙間)tを種々変化させた。
これらの酸洗試験の結果、表1に示す通り、比較例1は、前記テフロン(登録商標)製のブロック部材を用いていないため、純チタン板上面に多量の茶褐色のNOガスの発生が多く確認された。また、比較例5も、ブロック部材を用いてはいるが、純チタン板上面に多量の茶褐色のNO ガスの発生が確認された。これは、比較例5の、純チタン板上面とブロック部材との間隔が10.0cmと広すぎる(大きすぎる)ために、ブロック部材による、生成したNO などNOxを含めた気体の上方への拡散を抑制する効果(ブロック効果)が無いか、著しく小さくなったからである。
これに対して、発明例2〜4では、純チタン板上面に0.5〜5.0cmの間隔(隙間)をあけて、前記ブロック部材を置いて酸洗を行ったため、前記NO ガスは目視で観察されず、前記NO ガスの発生自体が抑制されていた。したがって、実際のチタン板の酸洗工程(ライン)においても、ブロック部材下面とチタン板表面(上面)との間隔tの、前記NO ガスの発生抑制のための、好ましい上限値5.0cmの臨界的な意義も裏付けられる。
ここで、ブロック部材とチタン板上面の間隔を0.5cm未満にすると、前記した通り、通板されるチタン板が酸洗によって上下して、ブロック部材に接触してしまう可能性が高くなるために、本実施例でも、前記間隔の下限を0.5cmとした。
Figure 2011038178
(実施例2)
実施例1と同様の条件で酸洗を行い、前記ブロック部材のチタン板の上下両面間での酸洗速度に与える効果を、酸洗試験によって確認した。すなわち、同じ純チタン板につき、前記ブロック部材で上面を被覆したものと、前記ブロック部材を用いないそのままのものとを、各々同じ条件で酸洗液に浸漬して酸洗し、各純チタン板の上下両面間での溶解速度を算出して、比較した。この結果を表2に示す。
より具体的な試験条件を以下に説明する。採取した酸洗用試験片は実施例1と同じ履歴、形状とした。この純チタン試験片2枚を、連続焼鈍酸洗ラインにおけるチタン板1の上面1aと下面1bの上下両面側に見立てて、互いに貼り合わせ、その貼り合わせた全側面をシールしたものを、容器内の2%HF−10%HNO3 酸洗液500mlに、前記図4のように水平になるように浸漬し、室温で5分間酸洗を行った。
ここで、図4の左側の例は、前記ブロック部材を用いない比較例であり、純チタン板2枚を貼り合わせた、そのままの状態で酸洗している。図4の右側の例は、酸洗液とは非反応性のテフロン(登録商標)製ブロック部材を酸洗浴中に設置して、純チタン板上面側を被覆した状態で酸洗している例(発明例、比較例)である。このブロック部材を用いた例では、表2に示すように、前記ブロック部材とチタン板の上面との間隔(隙間)tを種々変化させた。
酸洗速度としての前記溶解速度は、前記酸洗前後の上板、下板の各純チタン板の重量変化につき、上板の純チタン板重量の変化を通常の同一チタン板の上面の溶解速度として算出した。また、下板の純チタン板重量の変化を同一チタン板の下面の溶解速度として算出した。これらの酸洗速度(溶解速度:μm/min)、チタン板の上面と下面との溶解速度比(上板と下板との溶解速度比)、前記ブロック部材とチタン板の上面との間隔(隙間)tを、表2に示す。
以上の酸洗試験の結果、表2の通り、前記実施例1の比較例1と同様に、前記ブロック部材を用いていない比較例6は、純チタン板下面の酸洗速度(溶解速度)は上面の2.8倍になっている。また、純チタン板上面にブロック部材を用いているが、純チタン板表面(上面)との間隔が2.0cmと広すぎる比較例11も、純チタン板下面の酸洗速度は上面の2.6倍になっている。
このブロック部材を用いた比較例11の純チタン板上下面の酸洗速度の差は、前記ブロック部材を用いていない比較例1よりも比較的小さくなっている。しかし、純チタン板表面(上面)との間隔が1.5cm以下と小さい発明例に比べれば、前記酸洗速度の差は著しく大きい。これは、ブロック部材とチタン板表面(上面)との間隔が2cmと広すぎる(大きすぎる)ために、酸洗にて純チタン板の上面側に生成したNO などNOxを含めた気体の、上方への拡散を抑制する効果(ブロック効果)が著しく小さくなっているからである。
これに対して、表2の発明例7〜10では、純チタン板上面に0.5〜1.5cmの間隔(隙間)をあけて、酸洗中に前記ブロック部材を置いて酸洗を行ったため、純チタン板上下面の酸洗速度比は、前記各比較例より大幅に小さくなっている。したがって、実際のチタン板の酸洗工程(ライン)においても、チタン板上下面の酸洗速度の均一化の効果が期待できる。また、ブロック部材とチタン板表面(上面)との間隔tの、チタン板上下面の酸洗速度を均一化するための、好ましい上限値1.5cmの意義も裏付けられる。
なお、前記比較例11も、チタン板上下面の酸洗速度を均一化する例としては比較例であるが、前記ブロック部材を用いていない比較例6よりもチタン板上下面の酸洗速度を均一化する効果はあり、かつ、NO ガスの発生の抑制効果は、前記ブロック部材を用いていない比較例1よりも大きい。このため、前記比較例6は、NO ガスの発生の抑制効果からは、本発明範囲に含まれる。
Figure 2011038178
以上述べたように、本発明によれば、硝酸とフッ酸との混合溶液を酸洗液とした酸洗槽に対して、チタン板の両面をそれぞれ上下面として通板して酸洗する方法において、NOxガス発生量を抑制しうるとともに、前記チタン板の上下面側の酸洗速度をも均一化して、前記チタン板の上下面をほぼ均一に酸洗しうる、チタン板の酸洗方法を提供できる。したがって、本発明は、酸洗槽を、大気焼鈍炉、ソルトバスおよびショットブラストからなる工程の後段に配置した、連続焼鈍酸洗ラインにおけるチタン板の酸洗方法に好適である。
本発明の作用を示す説明図である。 本発明酸洗方法の一実施態様を示す、酸洗槽の正面断面図である。 図2の平面図である。 実施例における酸洗の態様を示す説明図である。
1:チタン板、2:酸洗浴、3:酸洗槽、4 :ブロック部材、5、6:送りローラ

Claims (3)

  1. 硝酸およびフッ酸を含む酸洗浴に対して、チタン板の両面をそれぞれ上下面として、連続的に通板して酸洗する方法において、通板される前記チタン板の上面を覆うようにブロック部材を前記酸洗浴中に設置するとともに、前記チタン板の上面とブロック部材下面との間隔を5.0cm以下(但し0cmを含まない)とすることを特徴とするチタン板の酸洗方法。
  2. 前記通板中のチタン板上面と前記ブロック部材下面との間隔を1.5cm以下(但し0cmを含まない)とする請求項1に記載のチタン板の酸洗方法。
  3. 前記チタン板の酸洗方法が、連続焼鈍酸洗ラインにおける大気焼鈍炉、ソルトバスおよびショットブラストの後段に配置された酸洗槽に適用される酸洗方法である請求項1または2に記載のチタン板の酸洗方法。
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