JP2011037736A - 眼科用水性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ケトチフェン及び/又はその塩と共に、アズレンスルホン酸及び/又はその塩を含んでいながら、沈殿が抑制されるだけでなく白濁の発生をも抑制された眼科用水性組成物を提供することである。
【解決手段】(A)ケトチフェン及び/又はその塩と、(B)アズレンスルホン酸及び/又はその塩とを含有する眼科用水性組成物に、更に(C)コンドロイチン硫酸及び/又はその塩を配合し、且つ眼科用水性組成物のpHを7.0以下にする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケトチフェン及び/又はその塩とアズレンスルホン酸及び/又はその塩とを共存させた場合に生じる沈殿を抑制し、更に白濁をも抑制した眼科用水性組成物に関する。また、本発明は、ケトチフェン及び/又はその塩とアズレンスルホン酸及び/又はその塩とを共存させた場合に生じる沈殿を抑制する方法に関する。更に、本発明は、ケトチフェン及び/又はその塩と、アズレンスルホン酸及び/又はその塩と、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩とを共存させた場合に、低温保存によって生じる白濁を抑制する方法に関する。
ケトチフェン及び/又はその塩は、抗ヒスタミン作用に加えて、ケミカルメディエーターの遊離抑制、好酸球の活性化抑制などの薬理作用を有しており、抗アレルギー剤として、点眼剤や点鼻剤、経口剤として広く利用されている(特許文献1−2参照)。そして、ケトチフェン及び/又はその塩は、それ自体は水溶性の薬物であり、単独で水に溶かした場合には、結晶や白濁を生じないことが分かっている。
また、アズレンスルホン酸及び/又はその塩は、抗炎症作用を有することが周知であり、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する抗炎症点眼薬などが知られている(特許文献3参照)。そして、アズレンスルホン酸及び/又はその塩もまた、それ自体は水溶性の薬物であり、単独で水に溶かした場合には、結晶や白濁を生じないことが分かっている。
そして、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩は、涙液成分の補給や角膜保護作用の付与等を目的として、眼科用組成物に広く使用されている。しかしながら、従来、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩について、他の成分の沈殿を抑制する作用の存否は一切報告されていない。
これまでに、フマル酸ケトチフェンと、アズレンスルホン酸ナトリウムと、コンドロイチン硫酸ナトリウムとを含有し、pHが7.5である眼科用組成物が知られている(特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4は、これらの成分を含有する眼科用組成物が、アレルギー症状の緩和効果の他に優れた角膜創傷治癒効果を有することを見出したに止まり、眼科用組成物における配合成分の沈殿乃至白濁の発生の有無やそれらの抑制手段等については検討がなされていない。また、特許文献4からは、これらの成分を配合した眼科用組成物がpHの変動によって受ける影響についても、全く推認すらできないのが現状である。
一方、眼科用組成物において、難溶性薬物を溶解して溶液中の沈殿や白濁を抑制するための成分として、一般に、ポリソルベート80やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、プロピレングリコール等のグリコール類、エタノール等が知られている。しかしながら、これらの成分は、目に対する刺激性や感作性などを稀に示す場合がある為、必ずしも好ましい成分とはいえず、他の有用な成分の開発が求められている。また、溶解補助剤(可溶化剤)として知られている成分であっても、溶解補助剤と難溶性薬物の間には一定の特異性があることが知られている。従って、ある難溶性薬物に対して溶解補助作用を発揮したとしても、他の難溶性薬物に対しても同様の溶解補助作用を発揮するか否かは必ずしも明らかではない。
特開2004−175771号公報 特開2004−315365号公報 特開2007−99643号公報 特開2006−151828号公報
本発明者は、ケトチフェン及び/又はその塩と、アズレンスルホン酸及び/又はその塩とを含有する水性組成物について種々の検討を行っていたところ、ケトチフェン及び/又はその塩とアズレンスルホン酸及び/又はその塩とを共存させた場合には、水溶液中に結晶が生じてしまうという全く新しい知見を得た。この結晶析出は、それぞれの成分の配合量が増加につれて増大する傾向があり、とりわけ各成分が特定量以上となった場合に顕著となる。そして、このように結晶が生じて沈殿してしまうと、溶液中に溶解した薬物の含有量の低下を招き、そのような薬剤を治療に用いても所期の効果を発揮できなくなるおそれがある。また、本発明者は更に検討を重ねることにより、上述のようなケトチフェン及び/又はその塩とアズレンスルホン酸及び/又はその塩とを共存させた場合に認められる結晶の析出は、コンドロイチン硫酸及び/又はその塩により抑制できるものの、これら三成分を含む溶液を低温条件下で保存すると、白濁を生じてしまい、外観を著しく損なってしまうという別途新たな課題をも見出した。
従って、ケトチフェン及び/又はその塩と共に、アズレンスルホン酸及び/又はその塩を含んでいながら、沈殿が発生しないだけでなく白濁の発生をも抑制された眼科用水性組成物の開発が求められている。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)ケトチフェン及び/又はその塩と、(B)アズレンスルホン酸及び/又はその塩とを含有する眼科用水性組成物に、更に(C)コンドロイチン硫酸及び/又はその塩を配合し、且つ該眼科用水性組成物のpHを7.0以下とすることによって、(A)成分と(B)成分を共存させた場合に生じる結晶の析出を抑えて、両成分の溶解率を高めることができ、更に低温条件下で保存しても白濁を生じず、眼科用組成物として好ましい澄明性を保った水溶液とすることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は下記に掲げる眼科用水性組成物を提供する。
項1-1.(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種とを含有し、且つpHが7.0以下である、眼科用水性組成物。
項1-2.(A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、項1-1に記載の組成物。
項1-3.(B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、項1-1又は1-2に記載の組成物。
項1-4.(C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、項1-1乃至1-3のいずれかに記載の組成物。
項1-5.点眼剤である、項1-1乃至1-4のいずれかに記載の組成物。
項1-6.(A)成分の配合割合が、組成物の総量に対して、0.05w/v%以上である、項1-1乃至1-5のいずれかに記載の組成物。
項1-7.(B)成分の配合割合が、組成物の総量に対して、0.01w/v%以上である、項1-1乃至1-6のいずれかに記載の組成物。
項1-8.(C)成分の配合割合が、組成物の総量に対して、0.001〜5w/v%である、項1-1乃至1-7のいずれかに記載の組成物。
項1-9.更に(D)多価アルコールを含有する、項1-1乃至1-8のいずれかに記載の組成物。
項1-10.(D)成分として、グリセリンを含む、項1-9に記載の組成物。
また、本発明は、下記に掲げる態様の沈殿を抑制する方法を提供する。
項2-1.(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物に、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、眼科用水性組成物における沈殿を抑制する方法。
項2-2.更に眼科用水性組成物の最終的なpHを7.0以下にする、項2-1に記載の方法。
項2-3.(A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、項2-1又は2-2に記載の方法。
項2-4.(B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、項2-1乃至2-3のいずれかに記載の方法。
項2-5.(C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、項2-1乃至2-4のいずれかに記載の方法。
項2-6.眼科用水性組成物が、点眼剤である、項2-1乃至2-5のいずれかに記載の方法。
項2-7.(A)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.05w/v%以上である、項2-1乃至2-6のいずれかに記載の方法。
項2-8.(B)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.01w/v%以上である、項2-1乃至2-7のいずれかに記載の方法。
項2-9.(C)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.001〜5w/v%である、項2-1乃至2-8のいずれかに記載の方法。
項2-10.更に、眼科用水性組成物に(D)多価アルコールを配合する、項2-1乃至2-9のいずれかに記載の方法。
項2-11.(D)成分として、グリセリンを含む、項2-10に記載の方法。
また、本発明は、下記に掲げる態様の沈殿を抑制する剤を提供する。
項3-1.(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種とを眼科用水性組成物で共存させる場合に用いられ、該眼科用水性組成物における沈殿を抑制するための剤であって、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する沈殿抑制剤。
項3-2.眼科用水性組成物の最終的なpHが7.0以下となるように調整された水性基剤を更に含有する、項3-1に記載の沈殿抑制剤。
項3-3.(A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、項3-1又は3-2に記載の沈殿抑制剤。
項3-4.(B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、項3-1乃至3-3のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-5.(C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、項3-1乃至3-4のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-6.眼科用水性組成物が、点眼剤である、項3-1乃至3-5のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-7.(A)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.05w/v%以上である、項3-1乃至3-6のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-8.(B)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.01w/v%以上である、項3-1乃至3-7のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-9.(C)成分が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.001〜5w/v%となる割合で使用される、項3-1乃至3-8のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-10.水性基剤が、更に(D)多価アルコールを含有する、項3-2乃至3-9のいずれかに記載の沈殿抑制剤。
項3-11.(D)成分として、グリセリンを含む、項3-10に記載の沈殿抑制剤。
また、本発明は、下記に掲げる態様の白濁を抑制する方法を提供する。
項4-1.(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物において、pHを7.0以下にすることを特徴とする、眼科用水性組成物における白濁を抑制する方法。
項4-2.(A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、項4-1に記載の方法。
項4-3.(B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、項4-1又は4-2に記載の方法。
項4-4.(C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、項4-1乃至4-3のいずれかに記載の方法。
項4-5.眼科用水性組成物が、点眼剤である、項4-1乃至4-4のいずれかに記載の方法。
項4-6.(A)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.05w/v%以上である、項4-1乃至4-5のいずれかに記載の方法。
項4-7.(B)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.01w/v%以上である、項4-1乃至4-6のいずれかに記載の方法。
項4-8.(C)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.001〜5w/v%である、項4-1乃至4-7のいずれかに記載の方法。
項4-9.更に、眼科用水性組成物に(D)多価アルコールを配合する、項4-1乃至4-8のいずれかに記載の方法。
項4-10.(D)成分として、グリセリンを含む、項4-9に記載の方法。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の沈殿及び白濁を抑制する方法を提供する。
項5-1.(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物に、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合し、且つ該眼科用水性組成物のpHを7.0以下にすることを特徴とする、眼科用水性組成物における沈殿及び白濁を抑制する方法。
項5-2.(A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、項5-1に記載の方法。
項5-3.(B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、項5-1又は5-2に記載の方法。
項5-4.(C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、項5-1乃至5-3のいずれかに記載の方法。
項5-5.眼科用水性組成物が、点眼剤である、項5-1乃至5-4のいずれかに記載の方法。
項5-6.(A)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.05w/v%以上である、項5-1乃至5-5のいずれかに記載の方法。
項5-7.(B)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.01w/v%以上である、項5-1乃至5-6のいずれかに記載の方法。
項5-8.(C)成分の配合割合が、眼科用水性組成物の総量に対して、0.001〜5w/v%である、項5-1乃至5-7のいずれかに記載の方法。
項5-9.更に、眼科用水性組成物に(D)多価アルコールを配合する、項5-1乃至5-8のいずれかに記載の方法。
項5-10.(D)成分として、グリセリンを含む、項5-9に記載の方法。
本発明によれば、ケトチフェン及び/又はその塩と共に、アズレンスルホン酸及び/又はその塩を含んでいながら、沈殿が抑制されるだけでなく白濁をも抑制された眼科用水性組成物を得ることができる。
試験例1において、水性組成物(実施例1及び比較例1)について、成分溶解率(フマル酸ケトチフェンとアズレンスルホン酸ナトリウムの溶解率、図2−3も同様)の評価を行った結果を示す図である。 試験例2において、水性組成物(実施例2及び比較例2)について、成分溶解率及び低温条件下で保存後の濁度の評価を行った結果を示す図である。 試験例3において、水性組成物(実施例3−5及び比較例3−5)について、成分溶解率及び低温条件下で保存後の濁度の評価を行った結果を示す図である。
1.眼科用水性組成物
本発明の眼科用水性組成物は、ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(以下、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。ケトチフェンは、4,9−ジヒドロ−4−(1−メチル−4−ピペリジリデン)−10H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]チオフェン−10−オンとも称される化合物である。ケトチフェン及びその塩は、抗アレルギー剤として公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明で使用されるケトチフェンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくは有機酸塩及び/又は無機酸塩、より好ましくは有機酸塩、更に好ましくは多価カルボン酸塩、より更に好ましくはフマル酸塩及び/又はマレイン酸塩、特に好ましくはフマル酸塩が挙げられる。これらのケトチフェンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物には、(A)成分として、ケトチフェン及びその塩の中から、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。本発明に使用される上記(A)成分として、好ましくはケトチフェンの塩、より好ましくはケトチフェンの有機酸塩及び/又は無機酸塩、より好ましくはケトチフェンの有機酸塩、更に好ましくはケトチフェンの多価カルボン酸塩、より更に好ましくはケトチフェンのフマル酸塩及び/又はマレイン酸塩、特に好ましくはケトチフェンのフマル酸塩(フマル酸ケトチフェン)が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物における上記(A)成分の配合割合は、該水性組成物の用途や製剤形態等に応じて適宜設定されるが、通常、該眼科用水性組成物の総量に対して、上記(A)成分が総量で0.01w/v%以上、好ましくは0.03w/v%以上、特に好ましくは0.05w/v%以上が例示される。また、上記(A)成分の配合割合の上限値については、特に制限されないが、通常は1.0w/v%以下、好ましくは0.5w/v%以下、特に好ましくは0.1w/v%以下が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、更に、アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。アズレンスルホン酸は、1,4−ジメチル−7−イソプロピルアズレン−3−スルホン酸とも称される化合物である。アズレンスルホン酸及びその塩は、抗炎症剤として公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明で使用されるアズレンスルホン酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等の各種の塩が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくは有機塩基との塩及び/又は無機塩基との塩、より好ましくは無機塩基との塩、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。これらのアズレンスルホン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物には、(B)成分として、アズレンスルホン酸及びその塩の中から、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。(B)成分として、好ましくはアズレンスルホン酸の塩、より好ましくはアズレンスルホン酸の有機塩基との塩及び/又は無機塩基との塩、更に好ましくはアズレンスルホン酸の無機塩基との塩、より更に好ましくはアズレンスルホン酸のアルカリ金属塩、特に好ましくはアズレンスルホン酸のナトリウム塩(アズレンスルホン酸ナトリウム)が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物における上記(B)成分の配合割合は、該水性組成物の用途や製剤形態等に応じて適宜設定されるが、通常、該眼科用水性組成物の総量に対して、上記(B)成分が総量で0.001w/v%以上、好ましくは0.002w/v%以上、より好ましくは0.004w/v%以上、特に好ましくは0.01w/v%以上が例示される。また、上記(B)成分の配合割合の上限値については、特に制限されないが、通常は0.1w/v%以下、好ましくは0.07w/v%以下、より好ましくは0.05w/v%以下、特に好ましくは0.03w/v%以下が例示される。
本発明の眼科用水性組成物における上記(A)成分及び(B)成分の比率は、これら両成分の各配合割合に応じて適宜設定されるが、上記(A)成分の総量100重量部に対して、上記(B)成分が総量で1〜200重量部、好ましくは2〜100重量部、更に好ましくは4〜40重量部となる比率が例示される。
更に、本発明の眼科用水性組成物は、コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(以下、単に(C)成分と表記することもある)を含有する。このようにコンドロイチン硫酸及び/又はその塩を上記(A)及び(B)成分と共に含有することによって、上記(A)及び(B)成分の併用によって引き起こされる沈殿を抑制することができる。
コンドロイチン硫酸は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンの2つ糖が反復する糖鎖に硫酸が結合した構造を持つグリコサミノグリカンの1種である。コンドロイチン硫酸及びその塩は、角膜保護作用等が知られている公知の化合物であり、公知の方法により製造してもよく市販品として入手することもできる。
本発明に使用されるコンドロイチン硫酸としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、その由来については、特に制限されず、例えば、哺乳動物や魚類の軟骨(サケ軟骨等)などに由来するものなどが使用され得る。また分子量についても、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り特に制限されず、例えば、粘度平均分子量が0.01万〜10万、好ましくは0.05万〜7万、更に好ましくは0.1万〜5万程度のものが使用され得る。ここで粘度平均分子量は、第十五改正日本薬局方の一般試験法 粘度測定法 第1法:毛細管粘度計法に準じて極限粘度ηを求め(測定条件:溶解液0.2mol/L NaCl、温度25.0±0℃、ウベローデ粘度計)、得られた極限粘度ηを用いて下式Iより算出される。
式I:[η]=5.8×10−40.74(ここで、Mは粘度平均分子量である。)
本発明で使用されコンドロイチン硫酸の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等の各種の塩が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくは有機塩基との塩及び/又は無機塩基との塩、より好ましくは無機塩基との塩、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。これらのコンドロイチン硫酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物には、(C)成分として、コンドロイチン硫酸及びその塩の中から、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。(C)成分として、好ましくはコンドロイチン硫酸の塩、より好ましくはコンドロイチン硫酸の無機塩基との塩、更に好ましくはコンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩、特に好ましくはコンドロイチン硫酸のナトリウム塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム)が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物における上記(C)成分の配合割合は、該水性組成物の用途や製剤形態等に応じて適宜設定されるが、通常0.001〜5w/v%、好ましくは0.01〜2w/v%、更に好ましくは0.02〜1w/v%、特に好ましくは0.05〜0.5w/v%が例示される。上記(C)成分の配合割合が、このような範囲を充足することによって、(A)成分及び(B)成分を含有する眼科用水性組成物における沈殿の発生を一層有効に抑制することが可能になる。
本発明の眼科用水性組成物における上記(A)成分及び(C)成分の比率は、これら両成分の各配合割合に応じて適宜設定されるが、上記(A)成分の総量100重量部に対して、上記(C)成分が総量で10〜10000重量部、好ましくは20〜2000重量部、更に好ましくは50〜1000重量部となる比率が例示される。
また、本発明の眼科用水性組成物における上記(B)成分及び(C)成分の比率は、これら両成分の各配合割合に応じて適宜設定されるが、上記(B)成分の総量100重量部に対して、上記(C)成分が総量で50〜20000重量部、好ましくは100〜10000重量部、更に好ましくは200〜5000重量部となる比率が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、上記(A)〜(C)成分を含み、且つpHが7.0以下である。このような液性を備えることによって、眼科用水性組成物における沈殿の発生を抑制できることに加えて、低温に晒された場合でも白濁を生じることなく外観性状を澄明な状態で安定に維持することが可能になる。このような(A)成分及び(B)成分により生じる沈殿を抑制する作用、及び低温に晒された場合に生じる白濁を抑制する作用をより一層有効に発揮させるという観点から、本発明の眼科用水性組成物のpHは、好ましくは4.0〜7.0、更に好ましくは5.0〜7.0が例示される。
pHの調整は、当該技術分野で通常使用されている緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、塩類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。好ましくは、pHの調整は、当該技術分野で通常使用されている緩衝剤、及び/又はpH調整剤を用いて行われる。
また、本発明の眼科用水性組成物は、更に多価アルコールを含有することが好ましい。本発明で用いられる多価アルコールは、水酸基を2個以上有する化合物であって、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されない。多価アルコールの具体例として、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ポリデキストロース及びデキストリン等を例示することができる。本発明の眼科用水性組成物において、これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の多価アルコールの中でも、眼科用水性組成物における沈殿を抑制し、更に低温保存時の白濁を抑制する作用を一層向上せしめるという観点から、好ましくはプロピレングリコール及び/又はグリセリンが挙げられ、最も好ましくはグリセリンが挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物に多価アルコールを配合する場合、該多価アルコールの配合割合については、該多価アルコールの種類、他の配合成分の種類や量、該眼科用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。多価アルコールの配合割合の一例として、眼科用水性組成物の総量に対して、該多価アルコールが総量で、0.05〜3.5w/v%、好ましくは0.1〜3w/v%、更に好ましくは0.5〜2.5w/v%が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、更に緩衝剤を含有することが好ましい。本発明の眼科用水性組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。これらの緩衝剤は組み合わせて使用しても良い。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、及びクエン酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示できる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
上記緩衝剤の中でも、とりわけホウ酸緩衝剤は好適であり、ホウ酸緩衝剤の好適な具体例として、ホウ酸とその塩の組み合わせ;好ましくはホウ酸と、ホウ酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の組み合わせ;更に好ましくはホウ酸と、ホウ酸のアルカリ金属塩の組み合わせ;特に好ましくはホウ酸とホウ砂の組み合わせが例示される。このような組合せ態様のホウ酸緩衝剤を使用することによって、(A)成分及び(B)成分により生じる沈殿を抑制する作用、及び(A)〜(C)成分を含有する眼科用水性組成物が低温に晒された場合に生じる白濁を抑制する作用を一段と向上させることが可能になる。なお、ホウ酸緩衝剤を使用してpHを調整することができ、ホウ酸緩衝剤を使用するpH調整法として、例えば、水性溶媒に各成分を溶解後、ホウ酸の塩の添加量を調節して目的のpHに調整する方法が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や量、該眼科用水性組成物の用途等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該水性組成物の総量に対して、該緩衝剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜5w/v%、更に好ましくは0.2〜2w/v%となる割合が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、更にpH調整剤を含有していてもよい。本発明の眼科用水性組成物に配合可能なpH調整剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されない。かかるpH調整剤の具体例として、例えば、塩酸、アミノエチルスルホン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン等が挙げられる。これらのpH調整剤の中でも、塩酸、水酸化ナトリウムは好適である。これらのpH調整剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物は、更に等張化剤を含有していてもよい。本発明の眼科用水性組成物に配合できる等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる等張化剤の具体例として、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらの等張化剤の中でも、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムは、好適である。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物に等張化剤を配合する場合、該等張化剤の配合割合については、使用する等張化剤の種類等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該等張化剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%、更に好ましくは0.1〜2w/v%となる割合が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。本発明の眼科用水性組成物に配合可能な界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
本発明の眼科用水性組成物に配合可能な非イオン性界面活性剤としては、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237、ポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類; POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油類;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。また、本発明の眼科用水性組成物に配合可能な両性界面活性剤としては、具体的には、アルキルジアミノエチルグリシン等が例示される。また、本発明の眼科用水性組成物に配合可能な陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示される。また、本発明の眼科用水性組成物に配合可能な陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸等が例示される。本発明の眼科用水性組成物において、これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用水性組成物に界面活性剤を配合する場合、該界面活性剤の配合割合については、該界面活性剤の種類、他の配合成分の種類や量、該眼科用水性組成物の用途等に応じて適宜設定できる。界面活性剤の配合割合の一例として、眼科用水性組成物の総量に対して、該界面活性剤が総量で、0.001〜1.0w/v%、好ましくは0.005〜0.5w/v%、更に好ましくは0.01〜0.3w/v%が例示される。
本発明の眼科用水性組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤型等により異なるが、通常0.7〜5.0、更に好ましくは0.9〜3.0、特に好ましくは1.0〜2.0となる範囲が挙げられる。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十五改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明の眼科用水性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤:例えば、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等。
充血除去剤:テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド等。
ビタミン類:フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸等。
消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、プラノプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム、甘草等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
また、本発明の眼科用水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ヒアルロン酸ナトリウム等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。
香料又は清涼化剤:メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウ等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよく、また精油(ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等)として配合してもよい。
本明細書において水性組成物とは、水を含有する組成物を意味し、通常は、組成物中に水を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上含有するものを意味する。本発明の水性組成物に含有される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を使用できる。これらの定義は第一五改正日本薬局方に基づく。また、本明細書において眼科用水性組成物とは、上記水性組成物であって眼科分野で使用されるものをいう。
本発明の眼科用水性組成物は、所望量の上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、必要に応じて他の配合成分を所望の濃度となるように添加し、且つ上記pH範囲を満たすように調整することにより調製される。
本発明の眼科用水性組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。例えば、本発明の眼科用水性組成物の形態として、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。好ましくは液剤である。
また、本発明の眼科用水性組成物は、眼科分野において様々な用途で使用することができる。具体的には、本発明の眼科用水性組成物の具体例として、点眼剤、人工涙液、洗眼剤、眼軟膏、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用剤(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤等が含まれる)等が例示される。これらの中でも、点眼剤は、1回の使用量が極微量であるため含有量低下の影響が大きく、配合成分を安定に維持させることが強く求められている製剤である。また、洗眼剤やコンタクトレンズケア用剤等は洗面台などの室温下で保管されることが多いのに対し、点眼剤は持ち歩かれることが多いことから、寒い日に、車内に置かれたり、鞄に収納されて屋外で持ち歩かれたりして低温下に晒される場合があり、低温下での安定性が強く求められている。更に、点眼剤は、一般に少量で個別包装されているという点からも、外部の温度の影響を受け易い製剤形態であるといえる。本発明の眼科用水性組成物によれば、このように低温の温度条件に晒され易く、外部の温度の影響を受け易いにもかかわらず、配合成分の安定維持が高度に要求される点眼剤についても、沈殿や白濁を生じさせることなく、安定に澄明な状態を維持することができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、本発明の眼科用水性組成物の好適な一例として、点眼剤が挙げられる。
本発明の眼科用水性組成物は、上記(A)成分に基づいて抗アレルギー作用をも発揮できるので、アレルギー症状の予防乃至緩和剤としても有用である。また、本発明の眼科用水性組成物は、上記(B)成分に基づいて抗炎症作用等をも発揮できるので、炎症性疾患の治療乃至予防に有効であり、炎症性疾患の治療乃至予防剤としても有用である。ここで、対象となる炎症性疾患の一例として、炎症性眼疾患(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症等)が挙げられる。更に、本発明の眼科用水性組成物は、上記(C)成分に基づいて涙液成分の補給や角膜保護作用等をも発揮できるので、涙液成分の補給剤や角膜保護剤としても有用である。
2.眼科用水性組成物における沈殿を抑制する方法及び剤
前述するように、眼科用水性組成物において上記(A)及び(B)成分が共存することによって引き起こされる沈殿を、上記(C)成分を併用することによって抑制することが可能になる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物に、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、眼科用水性組成物における沈殿を抑制する方法をも提供する。
更に、本発明は、(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種とを眼科用水性組成物で共存させる場合に用いられ、該眼科用水性組成物における沈殿を抑制するための剤であって、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する沈殿抑制剤をも提供する。
上記方法において、適用対象となる眼科用水性組成物の最終的なpHについては、特に制限されないが、低温保存によって生じる白濁を抑制するという観点から、前記「1.眼科用水性組成物」において記載されているpH範囲を充足することが望ましい。また、上記の剤は、適用対象となる眼科用水性組成物の最終的なpHが、前記「1.眼科用水性組成物」において記載されているpH範囲を充足するように調整された水性基剤を含むことが望ましい。ここで「水性基剤」とは、(A)成分及び(B)成分を眼科用水性組成物中で共存させるための基剤として使用されるものを意味する。当該水性基剤は、上記「1.眼科用水性組成物」の欄に記載する眼科用水性組成物において(A)〜(C)成分が配合されていない組成物を意味し、(A)〜(C)成分ではない任意の成分(例えば、種々の薬理活性成分や生理活性成分、添加物等)を含んでいてもよい。また、「眼科用水性組成物の最終的なpHが、前記「1.眼科用水性組成物」において記載されているpH範囲を充足するように調整された」とは、上記水性基剤に、(A)〜(C)成分、及び必要に応じて任意の成分を配合することによって得られる眼科用水性組成物のpHが前記「1.眼科用水性組成物」に記載されているpH範囲を充足するように設計されていることを意味する。
なお、これらの方法及び剤において、使用する(A)〜(C)成分の種類や配合割合、その他に配合される成分の種類や配合割合、眼科用水性組成物の製剤形態や用途等については、前記「1.眼科用水性組成物」と同様である。
3.眼科用水性組成物における白濁を抑制する方法
また、前述するように、上記(A)〜(C)成分を含有する眼科用水性組成物が低温条件に晒された際に生じる該眼科用水性組成物の白濁を、該眼科用水性組成物のpHを7.0以下にすることによって抑制することが可能になる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物において、pHを7.0以下にすることを特徴とする、眼科用水性組成物における白濁を抑制する方法をも提供する。
当該方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類や配合割合、その他に配合される成分の種類や配合割合、眼科用水性組成物のpH範囲、眼科用水性組成物の製剤形態や用途等については、前記「1.眼科用水性組成物」と同様である。
4.眼科用水性組成物における沈殿及び白濁を抑制する方法
また、前述するように、眼科用水性組成物において上記(A)及び(B)成分が共存することによって引き起こされる沈殿を、上記(C)成分を併用することによって抑制することができ、更にpHを7.0以下にすることによって該眼科用水性組成物が低温に晒された場合に生じる白濁をも抑制することが可能になる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する眼科用水性組成物に、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合し、且つ該眼科用水性組成物のpHを7.0以下にすることを特徴とする、眼科用水性組成物における沈殿及び白濁を抑制する方法をも提供する。
当該方法において、使用する(A)〜(C)成分の種類や配合割合、その他に配合される成分の種類や配合割合、眼科用水性組成物のpH範囲、眼科用水性組成物の製剤形態や用途等については、前記「1.眼科用水性組成物」と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1:成分溶解率の評価
下記の表1に示す水性組成物(実施例1及び比較例1)を用いて、成分の溶解率について評価を行った。
Figure 2011037736
表1に従い、各水性組成物を調製した。調製直後の各水性組成物の様子を目視にて観察したところ、比較例1では明らかな不溶性異物の存在が確認され、結晶が析出していることが確認されたが、実施例1ではそのような析出は確認されなかった。次いで、各水性組成物を0.45μmフィルターで濾過し、常法に従ってHPLC法により、フマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を定量した。
この結果を図1に示す。図1では、各水性組成物において、フマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムが完全に溶解したと仮定した場合の総量(0.089w/v%)に対する、HPLC法により測定したフマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムの総量を、成分溶解率(%)として棒グラフで示す。図1より明らかなように、比較例1の水性組成物では成分溶解率の著しい低下が認められた。一方、コンドロイチン硫酸ナトリウムを更に配合した実施例1の水性組成物では、成分溶解率が著しく高められ、ほぼ完全に溶解させることができることが明らかとなった。
試験例2:成分溶解率及び濁度の評価
下記の表2に示す水性組成物(実施例2及び比較例2)を用いて、成分の溶解率及び低温条件下での保存後の白濁の有無について評価を行った。
Figure 2011037736
表2に従い、各水性組成物を調製した。各水性組成物は、ホウ砂の配合量を適宜調整することにより、それぞれ4種類のpH(pH5.0、pH6.0、pH7.0、pH7.5)の溶液として調製した。調製直後の各水性組成物の様子を目視にて観察したところ、試験例1と同様に、比較例2ではいずれのpHにおいても明らかな不溶性異物の存在が確認され、結晶が析出していることが確認されたが、実施例2ではそのような析出は確認されなかった。次いで、各水性組成物を0.45μmフィルターで濾過し、常法に従って、HPLC法により、フマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を定量した。また、実施例2の各pHの水性組成物を4℃の遮光条件下で24時間保存し、その外観を目視にて観察した。更に、実施例2の各pHの水性組成物について、4℃の遮光条件下で24時間保存後の白濁の程度を、濁度計(HACH社製、2100AN型)を用いて濁度を測定することにより評価した。
この結果を図2に示す。図2では、各試験液において、フマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムが完全に溶解したと仮定した場合の総量(0.089w/v%)に対する、HPLC法により測定したフマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムの総量を、成分溶解率(%)として棒グラフで示す。また、実施例2の各pHの試験液について、低温保存後に測定した濁度を折れ線グラフで示す。
図2より明らかなように、比較例2の試験液では、いずれのpHにおいても成分溶解率の低下が認められた。一方、コンドロイチン硫酸ナトリウムを更に配合した実施例2の試験液では、いずれのpHでも成分溶解率が著しく高められ、殆ど完全に溶解することが明らかとなった。しかしながら、実施例2の試験液について、4℃で24時間保存した後に目視観察と濁度測定を行ったところ、pH7.5の場合には明らかに白濁が生じ、眼科用組成物として相応しいといえるものではないことが判明した。一方、実施例2の水性組成物をpH7.0以下とした場合には、pH7.5の場合に観察された著しい白濁は認められず、眼科用組成物として相応しい澄明な水性組成物を得ることができることが明らかになった。
試験例3:成分溶解率及び濁度の評価
下記の表3に示す水性組成物(比較例3−5及び実施例3−5)を用いて、成分の溶解率及び低温条件下で保存後の白濁の有無について評価を行った。
Figure 2011037736
表3に従い、各水性組成物を調製した。各水性組成物は、ホウ砂の配合量を適宜調整することにより、pHの調整を行った。調製直後の各水性組成物の様子を目視にて観察したところ、上記試験例1及び2と同様に、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含まない比較例3では明らかな不溶性異物の存在が確認され、結晶が析出していることが確認されたが、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む実施例及び比較例(実施例3−5及び比較例4−5)ではそのような析出は確認されなかった。次いで、上記試験例2と同様にして、フマル酸ケトチフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を定量し、成分溶解率(%)を算出した。また、同じく上記試験例2と同様にして、4℃の遮光条件下に保存後の白濁の程度を評価した。
この結果を図3に示す。図3では、成分溶解率(%)を棒グラフで示す。また、各水性組成物について、低温保存後に測定した濁度を折れ線グラフで示す。図3より明らかなように、比較例3の水性組成物では著しい成分溶解率の低下が認められた。一方、コンドロイチン硫酸ナトリウムを更に配合した実施例3−5及び比較例4−5の水性組成物(特に、実施例3−5の水性組成物)では、成分溶解率が著しく高められることが明らかとなった。また、各水性組成物について、4℃で24時間保存した後に目視観察と濁度測定を行ったところ、試験例2と同様に、pH7.5の場合には目視でもはっきりと確認できるほどの著しい白濁が生じ、澄明性が望まれる眼科用組成物として相応しいといえるものではなかった。一方、pHが7.0以下である実施例3−5の水性組成物では、上述のような白濁は確認されず、眼科用組成物に相応しい澄明な水性組成物を得ることができることが明らかになった。
以上の結果から、コンドロイチン硫酸ナトリウムの配合割合に拘わらず、(A)〜(C)成分を含有する水性組成物において白濁の発生を抑制して澄明な状態を維持するには、pHを7.0以下にすることが重要であることが明らかとなった。
製剤例
表4に記載の処方で、点眼剤(実施例6−17)が調製される。
Figure 2011037736

Claims (5)

  1. (A)ケトチフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、(C)コンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種とを含有し、且つpHが7.0以下である、眼科用水性組成物。
  2. (A)成分として、フマル酸ケトチフェンを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. (B)成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. (C)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
  5. 点眼剤である、請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
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