JP2011037694A - 光学用カバーガラスの製造方法及び光学用カバーガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平板部とその下面縁部に一体的に構成された枠部とを備え、前記平板部と前記枠部とで囲まれた凹部をウェットエッチングで形成する、光学用カバーガラスの製造方法であって、前記ウェットエッチングは、前記凹部を形成する箇所以外にレジストを形成するレジスト形成工程と、エッチング液を接触させることにより非レジスト部をエッチングするエッチング工程とからなる化学研磨処理を複数回繰り返すものであり、少なくとも最後の化学研磨処理後に前記レジスト形成工程にて形成されたレジストを除去するレジスト除去工程を行うことを特徴とする光学用カバーガラスの製造方法である。
【選択図】なし
Description
また、同じく小型等を目的としたセンサーチップについて、特開2006−128655号(特許文献2)に示す構成が提案されている。これには、回廊形状の凸部を一方の面に一体的に有する保護材が記載されている。
しかしながら、上記提案されたカバーガラス(保護材)について、凹部をウェットエッチングする際には、次のような課題がある。
本発明者は、ガラスからなる板状透明部材に対し、ウェットエッチングにより凹部を形成したところ、加工部と非加工部との境界である凹部外周の段差部にエッチングダレが発生した。そして、このエッチングダレが、光半導体素子に入射する光に悪影響を及ぼすものであることを確認した。エッチングダレは、エッチング工程においてレジストの真下にエッチングが進行するアンダーカットと呼ばれるものであり、凹部外周の段差部が凹部の底面から枠部の平坦面まで曲面形状で立ち上がる状態となる。そして、カバーガラスに光が入射する際、カバーガラスの前面から入射した光がこのエッチングダレにより意図しない方向に反射し、ノイズとして素子に入り込むおそれがある。また、エッチングダレが発生する部分は、エッチング工程においてエッチング液が滞留しやすい箇所であり、反応生成物が排出されず加工面に再付着することで表面が凹凸状態となり、これも光を乱反射させる要因となる。
特許文献1には、凹部の具体的な加工方法が記載されていない。特許文献2には、凹部の形成方法としていくつかの手段が開示されているものの、ウェットエッチングを用いた場合の上記課題やこれを解決するための具体的な加工方法等について一切の記載がない。
すなわち、本発明の光学用カバーガラスの製造方法は、平板部とその下面縁部に一体的に構成された枠部とを備え、前記平板部と前記枠部とで囲まれた凹部をウェットエッチングで形成する、光学用カバーガラスの製造方法であって、前記ウェットエッチングは、前記凹部を形成する箇所以外にレジストを形成するレジスト形成工程と、エッチング液を接触させることにより非レジスト部をエッチングするエッチング工程とからなる化学研磨処理を複数回繰り返すものであり、少なくとも最後の化学研磨処理後に前記レジスト形成工程にて形成されたレジストを除去するレジスト除去工程を行うことを特徴とする。
また、前記レジスト形成工程は、2回目以降において前記エッチング工程にて形成されたアンダーカットを含めてレジストを形成することを特徴とする。
また、最後の化学研磨処理以外の少なくともいずれか1つ以上の化学研磨処理後にレジスト除去工程を行うことを特徴とする。
また、最後の化学研磨処理以外の全ての化学研磨処理後にレジスト除去工程を行うことを特徴とする。
また、本発明の光学用カバーガラスは、平板部とその下面縁部に一体的に構成された枠部とを備え、前記平板部と前記枠部とで囲まれた凹部がウェットエッチングで形成された光学用カバーガラスであって、前記凹部の底面と前記枠部の平坦面とをつなぐ段差部の板面方向寸法(A)と凹部の深さ方向寸法(D)とが、0.7<A/D<1の関係であることを特徴とする。
光学用カバーガラス1は、図1に示すとおり矩形板状の外観形状であって、光を透光する平板部1bと、その下面縁部に固体撮像素子チップなどとの接合部となる枠部1aとが一体的に構成されたものである。前記枠部1aは、前記平板部1bの下面縁部の全周にわたり形成されており、固体撮像素子チップと枠部1aとが接合されることで、前記平板部1bと前記枠部1aとで囲まれた凹部1cは、固体撮像素子チップ上に設けられた受光部である固体撮像素子に対応する領域を被覆し気密封止部を形成する。
ウェットエッチングにより平板状部材に凹部を形成すると、凹部の加工底部の平坦面1fと枠部の平坦面1dとをつなぐ段差部1eが曲面形状となるアンダーカット(以降、エッチングダレと称することがある)が生じる。そして、光学用カバーガラス1にエッチングダレが存在すると、光半導体素子への受光状態に悪影響を及ぼす可能性がある。具体的には、光学用カバーガラス1の前面から光が入射すると曲面形状の段差部1eにより、入射した光が意図しない方向に反射し、これが光ノイズとして光半導体素子に入り込むおそれがある。
ガラスとしては、従来から固体撮像素子パッケージ用カバーガラスとして用いられているホウケイ酸ガラスが高い耐候性及び耐ソラリゼーション性を備えている点から好ましい。光学用カバーガラス1に用いるホウケイ酸ガラスの具体的な組成としては、質量%で、SiO2 58〜75%、Al2O3 0.5〜15%、B2O3 6〜20%、Li2O 0〜7%、Na2O 0〜15%、K2O 0〜15%(ただし、Li2O+Na2O+K2O 2〜20%)、ZrO 0.01%未満、SnO2 0〜0.1%、Nb2O5 0〜0.2%、(ただし、SnO2+Nb2O5 0.001〜0.2%)、Fe2O3 0.0001〜0.005%を含有し、実質的にAs2O3、Sb2O3、PbO、TiO2、CeO2を含有しないガラスや、質量%で、SiO2 58〜75%、Al2O3 0.5〜15%、B2O3 6〜20%、Li2O 0〜7%、Na2O 0〜15%、K2O 0〜15%(ただし、Li2O+Na2O+K2O 2〜20%)、ZrO 0.01%未満、TiO2 1〜5%、ZnO 1〜7%を含有し、実質的にAs2O3を含有しないガラスが好ましい。
ガラスなど非晶質材料をウェットエッチングすると、エッチングは等方的に進行するため、図4に示すようにレジスト5の真下に回り込むようにエッチングが進行するアンダーカット4と呼ばれる現象が発生する。エッチングダレはこのアンダーカットによるものである。
本発明者はアンダーカットを小さくする手段について検討したところ、エッチング工程にて発生したアンダーカットに対してレジストを形成した上で再度エッチング工程を行った場合、従来の1回で最終的な加工深さまでエッチング加工した場合と比較してアンダーカットが小さくなることを見出した。つまり図5に示すとおり、1回目のエッチング工程にて生じたアンダーカットに対し(a)、次のレジスト形成工程にて、アンダーカットに対してレジストを形成することで(b)、2回目のエッチング工程にて生じるアンダーカットを小さくできる(c)。図4に、従来1回で最終的な加工深さまでエッチングした場合のアンダーカットを示す。そして図6に、1回目のエッチング工程により生じたアンダーカットと2回目のエッチング工程により生じたアンダーカットを示す。これらを対比すると、化学研磨処理を複数回繰り返すほど、エッチングダレは小さくなり光学用カバーガラスとしては好適なものが得られることがわかる。なお、光学用カバーガラスの製造方法としては、化学研磨処理が4回以上となると製造コストが高くなるため、得られる効果と経済性の観点から化学研磨処理は3回以下が好ましい。
また、最後の化学研磨処理以外の化学研磨処理後のレジスト除去工程を行わないことにより、2回目以降の化学研磨処理のレジスト形成工程において、枠部1aの平坦面1dとアンダーカット4との境界部分である角部1gのレジスト膜厚を確実に確保することができる。これにより、前記角部1gの直線性がより良くなる。
具体的には、2回目以降の化学研磨処理後にレジストを形成すると、枠部1aの平坦面1d上のレジストが底部1cの平坦部1fに流れ込むため、レジスト液などの条件によっては、特に角部1gのレジスト膜厚が薄くなり、必要なレジスト膜厚が確保できないことがある。レジスト膜厚が薄くなると、エッチング工程において、この膜厚が薄い箇所にエッチング液が染み込み、本来エッチング加工すべきでない角部1gが局部的にエッチングされ、この部分の直線性が悪化するおそれがある。最後の化学研磨処理以外の化学研磨処理後のレジスト除去工程を省略することで、図11に示すように既に形成されたレジストの上にさらにレジストを形成することになるため、角部1gに形成されるレジストは膜厚が薄くなるおそれがなく、上記エッチング液の染み込みが起こり難い。なお、角部1gの直線性とは、光学用カバーガラスを平面視した際に角部1gが直線状に形成されているかをいう。直前の化学研磨処理にてレジスト除去工程を行った上で、角部1gのレジスト膜厚を十分に確保しようとすると、平坦部1fのレジスト膜厚が所望を超える膜厚となり、露光時の精度が低下し、平坦部1f外周の直線性が悪化するおそれがある。
レジスト除去工程は、省略することにより上記効果があるものの、最後の化学研磨処理以外の少なくともいずれか1つ以上の化学研磨処理後、もしくは最後の化学研磨処理以外の全ての化学研磨処理後に行ってもよい。化学研磨処理後にレジスト除去工程を行わない場合、前述のとおり既に形成されたレジストの上にさらにレジストを形成することになる。この場合、レジスト形成工程において、特にアンダーカットに形成するレジストの膜厚が大きくなることで露光不良や気泡混入など問題が発生するおそれがある。そのため、適宜のタイミングでレジスト除去工程を行うことで、上記問題が起こり難く、レジスト形成を確実に行うことができる。
図10は、本発明の光学用カバーガラスの製造方法の他の実施形態を示すフロー図である。この実施形態は、レジスト除去工程を全ての化学研磨処理後に行う点で、図3に示す実施形態と相違する。具体的には、図10において、化学研磨処理を2回行う場合は、(a)〜(c)が1回目の化学研磨処理であり、その後にレジスト除去工程(d)を行う。また、(e)〜(g)が2回目の化学研磨処理であり、その後にレジスト除去工程(h)を行う。また、化学研磨処理を3回行う場合は、(e)〜(g)が2回目の化学研磨処理であり、レジスト除去工程(h)を行った後に、(e)〜(g)を3回目の化学研磨処理として、次いでレジスト除去工程(h)を行う。
その他の実施形態としては、3回の化学研磨処理を行う場合は、1回目と3回目の化学研磨処理工程後にレジスト除去工程を行う、2回目と3回目の化学研磨処理工程後にレジスト除去工程を行うことも可能である。
その他、複数の凹部が形成された平板状部材を単体の光学用カバーガラスに切断した後、それを光半導体素子チップ(基板)に個別に接合することも可能である。
これら断面写真より実施例及び比較例のガラスの凹部の底部の平坦面と枠部の平坦面とをつなぐ段差部の板面方向寸法(A)と凹部の深さ方向寸法(D)及び、A/Dの関係を調べた。
実施例:A 0.39mm、D 0.40mm、A/D 0.975
比較例:A 0.61mm、D 0.40mm、A/D 1.525
この結果及び断面写真より、A/Dが1以上である比較例のガラスは、アンダーカットの影響によりエッチングダレが大きいのに対し、A/Dが1未満である実施例のガラスはアンダーカットの影響が最小限に抑えられていることにより、段差部が急峻な角度に形成されていることがわかる。
実施例の光学用カバーガラスの製造方法及び光学用カバーガラスによれば、これらを光半導体素子のカバーガラスとして用いた場合、凹部外周の段差部による光の乱反射等を起こさず、小型実装が可能となる。
また、光学用カバーガラスの外形形状や凹部形状は、実施例で示した矩形状に限らず、円形や多角形状など、光半導体素子や取り付け部の形状に合わせた適宜の形状や寸法にすることが可能である。
Claims (5)
- 平板部とその下面縁部に一体的に構成された枠部とを備え、前記平板部と前記枠部とで囲まれた凹部をウェットエッチングで形成する、光学用カバーガラスの製造方法であって、
前記ウェットエッチングは、前記凹部を形成する箇所以外にレジストを形成するレジスト形成工程と、エッチング液を接触させることにより非レジスト部をエッチングするエッチング工程とからなる化学研磨処理を複数回繰り返すものであり、少なくとも最後の化学研磨処理後に前記レジスト形成工程にて形成されたレジストを除去するレジスト除去工程を行うことを特徴とする光学用カバーガラスの製造方法。 - 前記レジスト形成工程は、2回目以降において前記エッチング工程にて形成されたアンダーカットを含めてレジストを形成することを特徴とする請求項1に記載の光学用カバーガラスの製造方法。
- 最後の化学研磨処理以外の少なくともいずれか1つ以上の化学研磨処理後にレジスト除去工程を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学用カバーガラスの製造方法。
- 最後の化学研磨処理以外の全ての化学研磨処理後にレジスト除去工程を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学用カバーガラスの製造方法。
- 平板部とその下面縁部に一体的に構成された枠部とを備え、前記平板部と前記枠部とで囲まれた凹部がウェットエッチングで形成された光学用カバーガラスであって、
前記凹部の底面と前記枠部の平坦面とをつなぐ段差部の板面方向寸法(A)と
凹部の深さ方向寸法(D)とが、0.7<A/D<1の関係であることを特徴とする光学用カバーガラス。
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