JP2011037661A - チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、チタン酸ストロンチウム薄膜、チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、チタン酸ストロンチウム薄膜、チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び熱電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】微細な結晶粒子構造のチタン酸ストロンチウム薄膜を形成可能なチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、該方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成されたチタン酸ストロンチウム薄膜、該チタン酸ストロンチウム薄膜を製造するチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び該チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いた熱電変換素子の製造方法の提供。
【解決手段】開示のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法は、ストロンチウムイソプロポキシドと、チタン(IV)イソプロポキシドと、2−メトキシエタノールとを用いて、不活性雰囲気下かつ水不存在下で、チタン酸ストロンチウム前駆体溶液を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、該チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成されたチタン酸ストロンチウム薄膜、該チタン酸ストロンチウム薄膜を製造するチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び該チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いた熱電変換素子の製造方法に関する。
自然環境の悪化、エネルギー価格の上昇などが問題となっている今日において、これまで利用されてこなかった熱エネルギーの有効利用が望まれている。
前記熱エネルギーを、電気エネルギーに、直接変換可能なデバイスである熱電変換素子は、比較的低い温度においても発電可能であることから、ボイラー、自動車などから得られた廃熱を用いた発電への応用が期待されている。前記熱電変換素子では、高い導電性及び低い熱伝導率という相反する特性を得ることが、素子特性の改善に不可欠である。
現在、前記熱電変換素子に用いられている一般的な熱電材料として、ビスマス(Bi)、テルル(Te)が挙げられるが(例えば、非特許文献1)、Bi、Teは、いずれも人体に有害な物質であり、かつ、その埋蔵量が少ないという問題がある。
また、CaCo等の酸化物は、人体に有害な物質ではなく、Bi、Teと比較して高い温度でも使用可能であるため、車の排気ガス等への適用が可能であると考えられるが、その発生電力がBi、Teに比べて小さいという問題がある。
近年、SrTiOを用いた数nm〜数十nmの超格子は、ゼーベック係数がBi、Teよりも高いことが知られている。これは、ナノ粒子化することで、格子振動による熱伝導を抑制することができたためと考えられる。
また、薄膜化することにより、非常に低い熱伝導特性が得られることが知られている。
さらに、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)薄膜(STO薄膜)では、ランダム配向の膜よりも、配向が揃った膜の方が高い性能指数が得られることが知られている。
以上より、基板上に配向したナノサイズの微小結晶粒子を含む微細な結晶粒子構造のチタン酸ストロンチウム薄膜が得られれば、容易に高い熱電特性が得られると考えられる(例えば、非特許文献2)。
しかしながら、チタン酸ストロンチウム薄膜を製造するために用いられるゾルゲル溶液内に水が含まれていると、部分的にゲル化を起こすため、ナノサイズの微小結晶粒子を含むチタン酸ストロンチウム薄膜を形成することが難しいという問題があった(例えば、特許文献1及び2、非特許文献3及び4)。
なお、非特許文献1には、結晶粒径(nm)と格子熱伝導率(W/mK)との関係を示すグラフ(図1)が示されており、該グラフから、結晶粒径(nm)が小さければ小さいほど、格子熱伝導率(W/mK)が小さくなることが分かる。
また、非特許文献2には、Sr(Ti0.8Nb0.2)Oサンプルの熱電性能指数の温度依存性を示すグラフ(図2)が示されている。
また、非特許文献3では、酢酸ストロンチウムとチタンテトラブトキシドとを混合し、キレート剤、水、2−メトキシエタノールを添加して、40℃で攪拌することにより、SrTiO前駆体溶液を調製することが示されており、非特許文献4では、ストロンチウムを含む2−メトキシエタノールを還流し、チタン(IV)イソプロポキシドを含む2−メトキシエタノールを還流し、還流後に2成分を混合し、ジイソプロパノールアミン、2−メトキシエタノール、及び、水/2−メトキシエタノールを添加して、25℃で攪拌することにより、SrTiO前駆体溶液を調製することが示されている。
特開平8−253319号公報 特開平7−294862号公報
Journal of Applied Physics 104 084302 2008 Journal of the Ceramic Society of Japan 114[1]2006 1996.(ISE9),9th International Symposium on Electrets Materials Letters 23(1995)123−127
本発明は、微細な結晶粒子構造のチタン酸ストロンチウム薄膜を形成可能なチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、該チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成されたチタン酸ストロンチウム薄膜、該チタン酸ストロンチウム薄膜を製造するチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び該チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いた熱電変換素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、ストロンチウムイソプロポキシド(Strontium isopropoxide)と、チタン(IV)イソプロポキシドと、2−メトキシエタノールとを用いて、不活性雰囲気下かつ水不存在下で製造したチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を、任意の基材上に塗布して焼成することにより、微細な結晶粒子構造のチタン酸ストロンチウム薄膜を形成することができるという知見を見出した。
開示の発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に記載した通りである。即ち、
開示のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法は、ストロンチウムイソプロポキシドと、チタン(IV)イソプロポキシドと、2−メトキシエタノールとを用いて、不活性雰囲気下かつ水不存在下で、チタン酸ストロンチウム前駆体溶液を製造する。
また、開示のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法は、開示のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を基材上に塗布し、焼成する。
また、開示のチタン酸ストロンチウム薄膜は、前記チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム薄膜であって、前記チタン酸ストロンチウム薄膜における透過電子顕微鏡により測定した結晶粒子の平均粒径が15nm以下である。
また、開示の熱電変換素子の製造方法は、前記チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いる。
開示のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、微細な結晶粒子構造のチタン酸ストロンチウム薄膜を形成可能なチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を製造することができる。
図1は、結晶粒径(nm)と格子熱伝導率(W/mK)との関係を示すグラフである。 図2は、Sr(Ti0.8Nb0.2)Oサンプル((a)(100)−LaAlO上のエピタキシャル膜、(b)SiOガラス上の多結晶フィルム、(c)セラミック)の熱電性能指数の温度依存性を示すグラフである。 図3は、開示の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成したチタン酸ストロンチウム薄膜のXRDパターンを示すチャートである。 図4Aは、開示の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成したチタン酸ストロンチウム薄膜のTEM断面(100,000倍)の観察結果を示す写真である。 図4Bは、開示の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて形成したチタン酸ストロンチウム薄膜のTEM断面(200,000倍)の観察結果を示す写真である。
(チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法)
本発明のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法は、第一加熱工程と、第二加熱工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、添加工程と、その他の工程を含んでもよい。
<第一加熱工程>
前記第一加熱工程は、ストロンチウムイソプロポキシドと2−メトキシエタノールとを混合して得られた混合物を加熱する工程である。なお、前記混合物中に含まれる水に起因して生じる加水分解反応が起こらないようにするために、2−メトキシエタノールとしては、水の含有量が0.005%以下のものを用い、前記第一加熱工程における混合及び加熱は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行われ、前記混合物中における水の含有量が、1質量%以下に制御される。なお、前記水の含有量は、液体クロマトグラフ質量分析により測定することができる。
前記混合物におけるストロンチウムイソプロポキシドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、5質量%〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、成膜後の1層あたりの膜厚が薄くなることがあり、10質量%を超えると、前駆体溶液内で析出することがある。一方、前記含有量がより好ましい範囲内であると、膜厚および溶液の管理の点で有利である。
前記第一加熱工程における反応式は、以下の通りである。
((CHCHO)Sr+2CHOCOH
→(CHOCO)Sr+2(CHCHOH
なお、イソプロパノールの沸点(82℃)が、2−メトキシエタノールの沸点(125℃)よりも低いため、前記混合物を所定温度で加熱して還流乃至蒸留することにより、イソプロパノールを除去することができる。従って、最終的には、2−メトキシエタノールが配位したストロンチウムのアルコキシドとなる。
ストロンチウムイソプロポキシドは、ストロンチウムとイソプロパノール(イソプロピルアルコール)とのアルコキシドであり、イソプロピルアルコールの沸点が82℃以下であるので、スピンコートによる塗布に適さない。そこで、上記反応式で示したように、アルコキシドにおけるイソプロピルアルコールを2−メトキシエタノールに置き換えることが必要となる。
前記第一加熱工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、82℃〜135℃が好ましく、90℃〜125℃がより好ましい。
前記加熱温度が、82℃未満であると、置換反応は起きるが、イソプロパノールを蒸留することができないことがあり、135℃を超えると、2−メトキシエタノールが蒸留されることがある。一方、前記加熱温度がより好ましい範囲内であると、置換反応の反応速度の点で有利である。
<第二加熱工程>
前記第二加熱工程は、前記第一加熱工程で加熱された混合物を冷却した後に、チタン(IV)イソプロポキシドを添加し、再加熱する工程である。なお、前記混合物中に含まれる水に起因して生じる加水分解反応が起こらないようにするために、2−メトキシエタノールとしては、水の含有量が0.005%以下のものを用い、前記第二加熱工程における冷却、添加及び再加熱は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行われ、前記混合物中における水の含有量が、1質量%以下に制御される。なお、前記水の含有量は液体クロマトグラフ質量分析により測定することができる。
前記第二加熱工程における反応式は、以下の通りである。
((CHCHO)Ti+4CHOCOH
→(CHOCO)Ti+4(CHCHOH
なお、イソプロパノールの沸点(82℃)が、2−メトキシエタノールの沸点(125℃)よりも低いため、前記混合物を所定温度で加熱して還流乃至蒸留することにより、イソプロパノールを除去することができる。従って、最終的には、2−メトキシエタノールが配位したチタンのアルコキシドとなる。
ストロンチウムイソプロポキシドは、チタンとイソプロパノール(イソプロピルアルコール)とのアルコキシドであり、イソプロピルアルコールの沸点が82℃以下であるので、スピンコートによる塗布に適さない。そこで、上記反応式で示したように、アルコキシドにおけるイソプロピルアルコールを2−メトキシエタノールに置き換える。
前記第二加熱工程における加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、82℃〜135℃が好ましく、90℃〜125℃がより好ましい。
前記加熱温度が、82℃未満であると、置換反応は起きるが、イソプロパノールを蒸留することができないことがあり、135℃を超えると、2−メトキシエタノールが蒸留されることがある。一方、前記加熱温度がより好ましい範囲内であると、置換反応の反応速度の点で有利である。
前記冷却された混合物に対するチタン(IV)イソプロポキシドの添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、5質量%〜10質量%がより好ましい。
前記添加量が、1質量%未満であると、成膜後の1層あたりの膜厚が薄くなることがあり、10質量%を超えると、前駆体溶液内で析出することがある。一方、前記添加量がより好ましい範囲内であると、膜厚および溶液の管理の点で有利である。
<添加工程>
前記添加工程は、ニオブエトキシド及びランタンイソプロポキシドの少なくともいずれかをチタン酸ストロンチウム前駆体溶液に添加する工程である。
例えば、ニオブエトキシド及びランタンイソプロポキシドの少なくともいずれかに、2−メトキシエタノールを加え、置換反応と蒸留反応により、2−メトキシエタノールが配位したゾルゲル溶液を調製し、該調製されたゾルゲル溶液をチタン酸ストロンチウム前駆体溶液中に添加する。
前記チタン酸ストロンチウム前駆体溶液が、前記ニオブエトキシド及び前記ランタンイソプロポキシドの少なくともいずれかを含有することにより、前記チタン酸ストロンチウム前駆体溶液を用いて製造されたチタン酸ストロンチウム薄膜の起電力は下がるが、抵抗値が低くなり、導電性が向上し、熱電特性が良好となる。このことは、PHYSICAL REVIEW B,VOLUME 63, 113104の図4に、無次元性能指数ZTがランタン(La)の添加により向上することが示されていることからも分かる。
前記チタン酸ストロンチウム前駆体溶液におけるニオブエトキシド及びランタンイソプロポキシドの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、成膜時の1層あたりの膜厚が薄いことがあり、10質量%を超えると、前駆体溶液内で析出が起こることがある。一方、前記含有量がより好ましい範囲内であると、膜厚および溶液の安定度の点で有利である。
本発明のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の水分含有量としては、少なくとも1質量%以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
前記水分含有量が、1質量%を超え、例えば、10質量%以上となると、部分的にゲル化を起こすため、ナノサイズの微小結晶粒子を含むチタン酸ストロンチウム薄膜を形成することが難しい。一方、前記水分含有量がより好ましい範囲内であると、成膜後の微結晶の大きさ及び溶液の安定性の点で有利である。なお、前記水分含有量は、液体クロマトグラフ質量分析により、測定することができる。
本発明のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の固形分濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.7mol/L以上が好ましい。
前記固形分濃度が、0.7mol/L未満であると、1層あたりの膜厚が薄くことがある。
(チタン酸ストロンチウム薄膜及びその製造方法)
本発明のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法は、塗布工程と、焼成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含んでもよい。
<塗布工程>
前記塗布工程は、本発明のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を基材上に塗布する工程である。
前記塗布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スピンコートによる塗布が好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エピタキシャル成長させるため、チタン酸ストロンチウム基板が好ましい。
<焼成工程>
前記焼成工程は、前記チタン酸ストロンチウム前駆体溶液が塗布された基材を、焼成する工程である。
前記焼成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸素雰囲気下、所定の焼成温度で行われることが好ましい。
前記焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、400℃〜1,000℃が好ましく、400℃〜600℃がより好ましい。
前記焼成温度が、400℃未満であると、形成されるチタン酸ストロンチウム薄膜における粒子の配向性が低くなることがあり、1,000℃を超えると、形成されるチタン酸ストロンチウム薄膜における粒子が粒成長して粒径が大きくことがある。
本発明のチタン酸ストロンチウム薄膜における結晶粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。
なお、前記平均粒径は、透過電子顕微鏡により測定することができる。
前記チタン酸ストロンチウム薄膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜10μmが好ましい。
(熱電変換素子の製造方法)
本発明の熱電変換素子の製造方法は、本発明のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いるものである。
前記熱電変換素子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の熱電変換素子が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
以下の方法で、チタン酸ストロンチウム薄膜(STO薄膜)用ゾルゲル溶液(チタン酸ストロンチウム前駆体溶液)を調製した。STO薄膜用ゾルゲル溶液の出発原料として、ストロンチウムイソプロポキシド(Strontium isopropoxide)及びチタン(IV)イソプロポキシド(Titanium(IV) isopropoxide)を用いた。主溶媒として、水の含有量が0.005質量%以下の2−メトキシエタノール(2−メトキシエタノール無水)を用いた。全ての溶液の調製工程及び出発原料の取り扱いは、窒素置換雰囲気中で行った。
ストロンチウムイソプロポキシド6.39gと、2−メトキシエタノール100mLとをフラスコに入れ、マントルヒーターで140℃に加熱した。出発原料としてのストロンチウムイソプロポキシドの配位子であるイソプロパノール(Isopropanol)は、主溶媒である2−メトキシエタノールよりも沸点が低いため、フラスコ内で反応させながら所定温度で蒸留することにより、イソプロパノールを2−メトキシエタノールに置き換えることができる。続いて、加熱を止め、溶液の温度が80℃以下になったところで、チタン(IV)イソプロポキシド9.42mLをディスペンサで加えた後、再加熱し、同様に、還流及び蒸留を行い、STO薄膜用ゾルゲル溶液の固形分濃度が0.7 mol/Lになるまで濃縮し、STO薄膜用ゾルゲル溶液を得た。表1に、今回作製したSTO薄膜用ゾルゲル溶液の出発原料組成を示す。なお、STO薄膜用ゾルゲル溶液の水分含有量は、液体クロマトグラフ質量分析により測定した結果、1質量%以下であった。
合成したSTO薄膜用ゾルゲル溶液を2,000rpmでチタン酸ストロンチウム(100)基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて、100゜Cで30秒間ベーキングを行い、さらに、200゜Cで30秒間ベーキングを行った後、電気炉を用いて、酸素雰囲気下で、600゜Cで10分間(昇温速度は20゜C/分間)焼成して、STO薄膜を得た。
STO薄膜のXRDパターンを図3に示す。また、比較のため、基板のみを測定した結果を示す。ゾルゲル法により作製したSTO薄膜用ゾルゲル溶液から得られたSTO薄膜は、(00L)(Lは整数)に関連するピークのみが見られることから、STO基板上に高配向膜が得られていることが分かる。
図4A及び図4BにTEM断面観察結果を示す。1回のスピンコート、ベーキング、焼成で得られた膜は、厚みが130nmであり、クラックフリーな膜であることが分かる。約10nmの結晶粒子の集合体が得られた。
チタン酸ストロンチウム薄膜おける結晶粒子の平均粒径は、15nmであった。
なお、前記平均粒径は、透過電子顕微鏡の断面観察により、測定した。
以上の実施例1を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) ストロンチウムイソプロポキシドと、チタン(IV)イソプロポキシドと、2−メトキシエタノールとを用いて、不活性雰囲気下かつ水不存在下で、チタン酸ストロンチウム前駆体溶液を製造することを特徴とするチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
(付記2) ストロンチウムイソプロポキシドと2−メトキシエタノールとを混合して得られた混合物を加熱し、該加熱された混合物を冷却した後に、チタン(IV)イソプロポキシドを添加し、再加熱することを含む付記1に記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
(付記3) ニオブエトキシド及びランタンイソプロポキシドの少なくともいずれかをチタン酸ストロンチウム前駆体溶液に添加することを含む付記1から2のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
(付記4) チタン酸ストロンチウム前駆体溶液は、固形分濃度が0.7mol/L以上である付記1から3のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
(付記5) 付記1から4のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を基材上に塗布し、焼成することを特徴とするチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
(付記6) 塗布がスピンコートにより行われる付記5に記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
(付記7) 焼成温度が400℃〜1,000℃である付記5から6のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
(付記8) 基材がチタン酸ストロンチウムを含む付記5から7のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
(付記9) 付記5から8のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム薄膜であって、前記チタン酸ストロンチウム薄膜における結晶粒子の透過電子顕微鏡により測定した平均粒径が15nm以下であることを特徴とするチタン酸ストロンチウム薄膜。
(付記10) 厚みが10nm〜10μmである付記9に記載のチタン酸ストロンチウム薄膜。
(付記11) 付記5から8のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いることを特徴とする熱電変換素子の製造方法。

Claims (6)

  1. ストロンチウムイソプロポキシドと、チタン(IV)イソプロポキシドと、2−メトキシエタノールとを用いて、不活性雰囲気下かつ水不存在下で、チタン酸ストロンチウム前駆体溶液を製造することを特徴とするチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
  2. ストロンチウムイソプロポキシドと2−メトキシエタノールとを混合して得られた混合物を加熱し、該加熱された混合物を冷却した後に、チタン(IV)イソプロポキシドを添加し、再加熱することを含む請求項1に記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法。
  3. 請求項1から2のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム前駆体溶液を基材上に塗布し、焼成することを特徴とするチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
  4. 基材がチタン酸ストロンチウムを含む請求項3に記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法。
  5. 請求項3から4のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法により製造されたチタン酸ストロンチウム薄膜であって、前記チタン酸ストロンチウム薄膜における結晶粒子の透過電子顕微鏡により測定した平均粒径が15nm以下であることを特徴とするチタン酸ストロンチウム薄膜。
  6. 3から4のいずれかに記載のチタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法を用いることを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
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JP2009185452A Withdrawn JP2011037661A (ja) 2009-08-10 2009-08-10 チタン酸ストロンチウム前駆体溶液の製造方法、並びに、チタン酸ストロンチウム薄膜、チタン酸ストロンチウム薄膜の製造方法、及び熱電変換素子の製造方法

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012240904A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd 結晶性チタン酸塩の製造方法および結晶性チタン酸塩
JP2015163585A (ja) * 2015-04-15 2015-09-10 日揮触媒化成株式会社 結晶性チタン酸アルカリ土類金属塩の製造方法および結晶性チタン酸アルカリ土類金属塩
CN114907116A (zh) * 2022-05-10 2022-08-16 武汉理工大学 一种导热系数可调的钛酸锶薄膜的制备方法

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