JP2011033865A - 電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気光学装置において、電気光学層に対する防湿性を高め、高品位な表示を行う。
【解決手段】電気光学装置は、互いに対向するように配置された第1基板(10)及び第2基板(50)と、第1及び第2基板間に設けられた電気光学層(23)と、第1基板上に設けられた画素電極(9)と、第1基板上に設けられ、画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜(41、2)を含んでなるトランジスタ(30)と、第1及び第2基板間に設けられ、第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材(500)とを備える。シール材は、第1基板における第2基板と対向する面に電気光学層が設けられた領域を囲むように形成された凹部(200)に重なるように設けられており、凹部は、少なくとも無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】電気光学装置は、互いに対向するように配置された第1基板(10)及び第2基板(50)と、第1及び第2基板間に設けられた電気光学層(23)と、第1基板上に設けられた画素電極(9)と、第1基板上に設けられ、画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜(41、2)を含んでなるトランジスタ(30)と、第1及び第2基板間に設けられ、第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材(500)とを備える。シール材は、第1基板における第2基板と対向する面に電気光学層が設けられた領域を囲むように形成された凹部(200)に重なるように設けられており、凹部は、少なくとも無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びにこのような電気光学装置を備えた、例えば電子ペーパー等の電子機器の技術分野に関する。
この種の電気光学装置として、一対の第1及び第2基板間に電気泳動層を備えてなる電気泳動表示装置が知られている(例えば特許文献1から3参照)。このような電気泳動表示装置では、第2基板における第1基板に対向しない側に、第2基板よりも大きなサイズを有する保護基板が設けられる場合がある(例えば特許文献2及び3参照)。
このような電気泳動表示装置では、電気泳動層が外部の水分を吸収すると、電気泳動層の電気的特性が変化することにより表示品質が低下してしまうおそれがある。
そこで、例えば特許文献1から3には、電気泳動層が外部の水分を吸収するのを防ぐために、一対の第1基板及び第2基板間或いは第1基板と保護基板との間に、電気泳動層を囲むようにシール材を設ける技術が開示されている。また、例えば特許文献4には、液晶装置において、液晶を挟持する一対の基板の少なくとも一方に対して、表示領域の外周に沿う環状の溝を形成し、この溝の位置に設けたシール材を介して一対の基板を貼り合わせる技術が開示されている。
一方、上述したような電気泳動表示装置では、第1基板上に画素電極やこの画素電極に電気的に接続される薄膜トランジスタ(以下、「TFT(Thin Film Transistor)」と適宜称する)等が積層体として形成される。典型的には、このTFTは、第1基板上に設けられた下地絶縁膜上に形成され、画素電極は、TFTよりも層間絶縁膜を介して上層側に形成される。下地絶縁膜や層間絶縁膜、及びTFTのゲート電極と半導体層とを絶縁するためのゲート絶縁膜はそれぞれ、第1基板上の概ね全面を覆うように無機絶縁膜から形成されることがある。
しかしながら、上述した特許文献1から3に開示された技術では、例えば、シール材と第1基板との接着が安定的に維持されず、シール材と第1基板とが部分的に互いに剥離してしまい、この剥離した部分を介して外部から電気泳動層に水分が侵入してしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
一方、上述した下地絶縁膜、層間絶縁膜或いはゲート絶縁膜等の無機絶縁膜に、第1基板の端部において衝撃が加わると、この無機絶縁膜にクラックが生じるおそれがある。更に、このクラックが、第1基板の端部側から画素電極が設けられた表示領域側に広がってしまい、表示上の不具合が発生してしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば電気光学層に対する防湿性を高めることができ、高品位な表示を行うことが可能な電気光学装置及びその製造方法、並びにこのような電気光学装置を備えてなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に設けられた電気光学層と、前記第1基板上に設けられた画素電極と、前記第1基板上に設けられ、前記画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜を含んでなるトランジスタと、前記第1及び第2基板間に設けられ、前記第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材とを備え、前記シール材は、前記第1基板における前記第2基板と対向する面に前記電気光学層が設けられた領域を囲むように形成された凹部に重なるように設けられており、前記凹部は、少なくとも前記無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている。
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、第1及び第2基板間に設けられた例えば電気泳動層等の電気光学層に、例えば画像信号に応じた電圧が印加されることにより例えば表示領域に画像が表示される。
第1基板上には、画素毎に、画素電極及びトランジスタが設けられている。画素電極及びトランジスタは、第1基板上に積層体として形成されている。具体的には、例えば、トランジスタは、下地絶縁膜上に形成された半導体層と、該半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、該ゲート絶縁膜よりも第1層間絶縁膜を介して上層側に形成されたソース・ドレイン電極とを備える。画素電極は、トランジスタのソース・ドレイン電極よりも第2層間絶縁膜を介して上層側に形成される。
本発明では、トランジスタは、無機絶縁膜を含んでなる。即ち、トランジスタを構成する、上述したゲート絶縁膜、第1層間絶縁膜等の絶縁膜は、無機絶縁材料からなる無機絶縁膜である。
第2基板は、例えば画素電極に対向する対向電極が設けられた対向基板、或いは該対向基板における第1基板に対向しない側に設けられた保護基板等である。
第1及び第2基板は、例えば樹脂等からなるシール材によって相互に貼り合わせられる。シール材が電気光学層を囲むように設けられることで、電気光学層が外部の水分を吸収してしまうのを抑制或いは防止できる。
本発明では特に、シール材は、第1基板における第2基板と対向する面に電気光学層が設けられた領域を囲むように形成された凹部に重なるように設けられている。即ち、第1基板における第2基板と対向する面に、電気光学層が設けられた領域を囲むように凹部が形成されており、該凹部に重なるようにシール材が設けられている。凹部は、例えば、第1基板における第2基板と対向する面に対してエッチングを施すことにより形成される。
よって、外部の水分(例えば水蒸気或いは湿気)がシール材と第1基板との界面を介して電気光学層が設けられた領域に侵入するのを抑制或いは防止できる。つまり、電気光学層に対する防湿性を高めることができる。具体的には、シール材が凹部に重なるように設けられることにより、外部から電気光学層が設けられた領域への、シール材と第1基板との界面における経路を長くすることができ、外部の水分が電気光学層が設けられた領域に侵入しにくくすることができる。言い換えれば、第1基板上におけるシール材が設けられる領域に凹部が形成されることで、シール材と第1基板との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路を比較的長くすることができ、シール材と第1基板との界面を介して外部の水分が電気光学層が設けられた領域へ侵入してしまう事態を殆ど或いは実践上は完全に無くすことができる。従って、外部からの水分によって電気光学層の電気的特性が変化してしまうのを抑制或いは防止でき、高品位な表示を行うことが可能となる。
更に、本発明では特に、凹部は、少なくともトランジスタに含まれる無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている。例えば、凹部は、上述したトランジスタと画素電極との間に設けられた第2層間絶縁膜に加えて、該第2層間絶縁膜よりも下層側に配置された、トランジスタに含まれる上述したゲート絶縁膜、第1層間絶縁膜等の無機絶縁膜が部分的に例えばエッチングによって除去されることにより形成されている。
よって、トランジスタに含まれる無機絶縁膜に、第1基板の端部(或いは外縁)において衝撃が加わることにより、クラックが発生して表示上の不具合が発生してしまうことを抑制或いは防止できる。つまり、本発明では特に、無機絶縁膜は、凹部が形成された領域において除去されているので、仮に無機絶縁膜が第1基板上におけるトランジスタが形成された領域(言い換えれば、電気光学層が設けられた領域)から第1基板の端部(或いは外縁)に至るまで連続的に形成された場合に生じ得る、第1基板の端部における衝撃によって無機絶縁膜に生じたクラックが電気光学層が設けられた領域にまで広がって(或いは拡大して)、表示上の不具合が生じてしまう事態を回避することができる。従って、高品位な表示を行うことが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、電気光学層に対する防湿性を高めることができると共に、トランジスタに含まれる無機絶縁膜にクラックが生じることを防止できる。この結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記第1基板上における前記凹部よりも前記電気光学層が設けられた領域側に、前記凹部に沿うように設けられた第1凸部を更に備える。
この態様によれば、第1凸部によって、シール材が凹部よりも電気光学層が設けられた領域側に広がってしまうことを抑制或いは防止でき、シール材を安定的に設けることが可能となる。更に、シール材を凹部に加えて第1凸部に接触するように設けることができるので、シール材と第1基板とをより安定的に接着させることができると共に、シール材と第1基板との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路をより一層長くすることができる。よって、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
上述した第1凸部を更に備える態様では、前記第1凸部は、前記電気光学層を囲む帯状の平面形状を有していてもよい。
この場合には、電気光学層を囲む周囲の全てにおいてシール材を安定的に設けることができ、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1基板上における前記凹部よりも前記第1基板の外縁側に、前記凹部に沿うように設けられた第2凸部を更に備える。
この態様によれば、第2凸部によって、シール材が凹部よりも第1基板の外縁(或いは端部)側に広がってしまうことを抑制或いは防止でき、シール材を安定的に設けることが可能となる。更に、シール材を凹部に加えて第2凸部に接触するように設けることができるので、シール材と第1基板とをより安定的に接着させることができると共に、シール材と第1基板との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路をより一層長くすることができる。よって、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
上述した第2凸部を更に備える態様では、前記第2凸部は、前記電気光学層を囲む帯状の平面形状を有していてもよい。
この場合には、電気光学層を囲む周囲の全てにおいてシール材を安定的に設けることができ、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記凹部には、表面改質処理が施されている。
この態様によれば、凹部は、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理によって、その表面が例えば親水性となるように改質されているので、シール材と凹部との密着性を高めることができ、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第2基板における前記シール材が接触する部分には、表面改質処理が施されている。
この態様によれば、第2基板におけるシール材が接触する部分は、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理によって、その表面が例えば親水性となるように改質されているので、シール材と第2基板との密着性を高めることができ、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記凹部は、前記第1基板上で平面的に見て、辺部よりも角部のほうが幅の広い形状を有する。
この態様によれば、シール材を設けるべき領域にシール材を確実に設けることができると共に、シール材を設けるべきでない領域にシール材が設けられてしまうことを回避できる。即ち、シール材を設けるべき領域(例えば、凹部に重なる領域)に設けられたシール材が、例えば第1及び第2基板が貼り合わされる際に、シール材を設けるべきでない領域(例えば、凹部よりも第1基板の外縁側或いは電気光学層が設けられた領域側)にはみ出してしまうことを回避できる。よって、当該電気光学装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記シール材は、防湿物質を含んでなる。
この態様によれば、シール材は、例えば酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)等の防湿物質を含んでなるので、電気光学層に対する防湿性をより一層高めることができる。
本発明に係る電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に設けられた電気光学層とを備えた電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、前記第1基板上に画素電極を形成する工程と、前記第1基板上に、前記画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜を含んでなるトランジスタを形成する工程と、前記第1基板における前記第2基板と対向する面に、前記電気光学層が設けられる領域を囲むように凹部を形成する工程と、前記シール材を、前記凹部に重なるように設ける工程と、前記第1基板と前記第2基板とを前記シール材によって相互に貼り合わせる工程とを含み、前記凹部を形成する工程は、少なくとも前記無機絶縁膜を部分的に除去することにより前記凹部を形成する。
本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、上述した本発明の電気光学装置を製造することができる。ここで特に、第1基板における第2基板と対向する面に、電気光学層が設けられる領域を囲むように凹部を形成する工程と、シール材を、凹部に重なるように設ける工程とを含むので、外部の水分(例えば水蒸気或いは湿気)がシール材と第1基板との界面を介して電気光学層が設けられた領域に侵入するのを抑制或いは防止できる。更に、凹部を形成する工程は、少なくともトランジスタに含まれる無機絶縁膜を部分的に除去することにより凹部を形成するので、トランジスタに含まれる無機絶縁膜にクラックが生じることを防止できる。
尚、上述した本発明の電気光学装置に係る各種態様と同様の態様を、本発明に係る電気光学装置の製造方法にも適宜適用可能である。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を備える。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えるので、高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図4を参照して説明する。
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図4を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II’線での断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、互いに対向するように配置された本発明に係る「第1基板」の一例としての支持基板10と本発明に係る「第2基板」の一例としての保護基板50との間に設けられた電気泳動層23に、画像信号に応じた電圧を印加することにより、表示領域10aにおいて表示を行うことが可能な電気泳動表示装置である。
支持基板10は、可撓性基板(即ち、撓る或いは湾曲することが可能な基板)である。尚、支持基板10は、可撓性を有していれば、例えばプラスチック基板、ステンレス基板、アルミニウム基板等であってもよい。
保護基板50は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)等の樹脂からなる透明な基板である。
支持基板10と保護基板50とは、表示領域10aの周囲に設けられたシール材500によって互いに貼り合わされている。シール材500は、例えば酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiN)等の防湿物質を含む樹脂(即ち、防湿性を有する樹脂)からなる。尚、後に詳細に説明するが、本実施形態では特に、シール材500は、支持基板10上に形成された凹部200に重なるように設けられている。
図2において、電気泳動表示装置1は、支持基板10上の表示領域10aに、TFT30と、このTFT30に電気的に接続された画素電極9とを備えている。
画素電極9は、支持基板10上の表示領域10aにマトリクス状に配列されている。TFT30は、画素電極9が設けられた画素毎に1つずつ設けられている。
TFT30は、半導体層31と、ゲート電極32と、本発明に係る「無機絶縁膜」の一例としてのゲート絶縁膜2と、2つのソース・ドレイン電極33とを備えている。
半導体層31は、例えばポリシリコンを含んでなり、チャネル領域311と、2つのソース・ドレイン領域312とを有している。2つのソース・ドレイン領域312は、チャネル領域311を挟んで両側に配置され、チャネル領域311にそれぞれ隣接している。ソース・ドレイン領域312は、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層31に不純物を打ち込んでなる不純物領域である。
ゲート電極32は、半導体層31よりもゲート絶縁膜2を介して上層側に配置されている。
ゲート絶縁膜2は、半導体層31を上層側から覆うように形成されている。ゲート絶縁膜2は、無機絶縁材料からなる無機絶縁膜である。
ソース・ドレイン電極33は、ゲート電極32よりも層間絶縁膜41を介して上層側に配置されている。ソース・ドレイン電極33は、層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホールを介してソース・ドレイン領域312に電気的に接続されている。層間絶縁膜41は、無機絶縁材料からなる無機絶縁膜である。尚、層間絶縁膜41は、本発明に係る「無機絶縁膜」の一例である。
半導体層31の下層側には、半導体層31の下地絶縁膜として絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5は、無機絶縁材料からなる無機絶縁膜である。
画素電極9は、ソース・ドレイン電極33よりも層間絶縁膜42を介して上層側に配置されている。画素電極9は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホールを介してソース・ドレイン電極33に電気的に接続されている。層間絶縁膜42は、無機絶縁材料からなる無機絶縁膜である。
図2において、電気泳動表示装置1は、支持基板10と保護基板50との間における表示領域10aに、対向基板20と、電気泳動層23とを備えている。
対向基板20は、例えばPET等の樹脂からなる透明な基板である。対向基板20は、例えば透明な樹脂等からなる接着層51を介して保護基板50に接着されている。対向基板20上における支持基板10との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
電気泳動層23は、本発明に係る「電気光学層」の一例であり、支持基板10及び対向基板20間に設けられている。電気泳動層23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80と、例えば樹脂等からなるバインダー85とを含んでいる。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動層23が予め対向基板20側にバインダー85によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極9等が形成された支持基板10側に接着層(図示省略)によって接着されている。
マイクロカプセル80は、画素電極9及び共通電極22間に挟持され、1つの画素内に(言い換えれば、1つの画素電極9に対して)1つ又は複数配置されている。
マイクロカプセル80は、その内部に分散媒と、電気泳動粒子である複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
マイクロカプセル80の外殻として機能する被膜は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
分散媒は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜内)に分散させる媒質である。分散媒としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒には、界面活性剤が配合されてもよい。
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極9と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒中を移動することができる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
画素電極9と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極9側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、表示面(即ち、保護基板50における支持基板10に対向しない面の表示領域10a)にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極9と共通電極22との間に、相対的に画素電極9の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極9側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
尚、画素電極9及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
図2において、本実施形態では特に、シール材500は、支持基板10上における保護基板50と対向する面に、電気泳動層23が設けられた領域(言い換えれば、表示領域10a)を囲むように形成された凹部200に重なるように設けられている。凹部200は、表示領域10aを取り囲むように規定された凹部形成領域200a(図1参照)に形成されている。
よって、外部の水分(例えば水蒸気或いは湿気)がシール材500と支持基板10との界面を介して電気泳動層23が設けられた領域(言い換えれば、表示領域10a)に侵入するのを抑制或いは防止できる。つまり、電気泳動層23に対する防湿性を高めることができる。具体的には、シール材500が凹部200に重なるように設けられることにより、外部から電気泳動層23が設けられた領域への、シール材500と支持基板10との界面における経路を長くすることができ、外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域に侵入しにくくすることができる。言い換えれば、支持基板10上におけるシール材500が設けられる領域に凹部200が形成されることで、シール材500と支持基板10との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路を比較的長くすることができ、シール材500と支持基板10との界面を介して外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域へ侵入してしまう事態を殆ど或いは実践上は完全に無くすことができる。従って、外部からの水分によって電気泳動層23の電気的特性が変化してしまうのを抑制或いは防止でき、高品位な表示を行うことが可能となる。
更に、本実施形態では特に、凹部200は、少なくともTFT30に含まれる無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている。具体的には、凹部200は、上述した層間絶縁膜42と、層間絶縁膜41と、ゲート絶縁膜2と、絶縁膜5とが部分的に例えばエッチングによって除去された後、この除去された部分を覆うように有機絶縁膜300が積層されることにより形成されている。尚、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5は、上述したようにいずれも無機絶縁膜である。
よって、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5のいずれかの無機絶縁膜に、支持基板10の端部(或いは外縁)において衝撃が加わることにより、クラックが発生して表示上の不具合が発生してしまうことを抑制或いは防止できる。つまり、本実施形態では特に、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5は、凹部200が形成された領域において除去されているので、仮に何らの対策も施さず、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5が支持基板10上におけるTFT30が形成された領域(即ち、表示領域10a、言い換えれば、電気泳動層23が設けられた領域)から支持基板10の端部(或いは外縁)に至るまで連続的に形成された場合に生じ得る、支持基板10の端部における衝撃によって層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5のいずれかの無機絶縁膜に生じたクラックが電気泳動層23が設けられた領域にまで広がって(或いは拡大して)、表示上の不具合が生じてしまう事態を回避することができる。従って、高品位な表示を行うことが可能となる。
加えて、図2において、本実施形態では特に、支持基板10上における凹部200よりも電気泳動層23が設けられた領域側には、凹部200に沿うように第1バンク310が設けられ、支持基板10上における凹部200よりも支持基板10の外縁側には、凹部200に沿うように第2バンク320が設けられている。尚、第1バンク310は本発明に係る「第1凸部」の一例であり、第2バンク320は本発明に係る「第2凸部」の一例である、
図3は、凹部200、第1バンク310及び第2バンク320の構成を模式的に示す斜視図である。尚、図3では、説明の便宜上、絶縁膜5、ゲート絶縁膜2、層間絶縁膜41及び42をまとめて絶縁膜40として図示している。
図3は、凹部200、第1バンク310及び第2バンク320の構成を模式的に示す斜視図である。尚、図3では、説明の便宜上、絶縁膜5、ゲート絶縁膜2、層間絶縁膜41及び42をまとめて絶縁膜40として図示している。
図2及び図3に示すように、第1バンク310及び第2バンク320は、有機絶縁膜300の一部として形成されている。第1バンク310及び第2バンク320は、凹部200に沿って且つ互いに対向するように形成されている。言い換えれば、第1バンク310及び第2バンク320は、凹部200の両脇に沿って土手状に形成されており、それぞれ電気泳動層23を囲む帯状の平面形状を有している。
従って、第1バンク310によって、シール材500が凹部200よりも電気泳動層23が設けられた領域側に広がってしまうことを抑制或いは防止でき、シール材500を安定的に設けることが可能となる。更に、シール材500を凹部200に加えて第1バンク310に接触するように設けることができるので、シール材500と支持基板10とをより安定的に接着させることができると共に、シール材500と支持基板10との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路をより一層長くすることができる。よって、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。加えて、本実施形態では特に、第1バンク310は、電気泳動層23を囲む帯状の平面形状を有しているので、電気泳動層23を囲む周囲の全てにおいてシール材500を安定的に設けることができ、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
また、第2バンク320によって、シール材500が凹部200よりも支持基板10の外縁(或いは端部)側に広がってしまうことを抑制或いは防止でき、シール材500を安定的に設けることが可能となる。更に、シール材500を凹部200に加えて第2バンク320に接触するように設けることができるので、シール材500と支持基板10とをより安定的に接着させることができると共に、シール材500と支持基板10との界面において外部の水分が侵入し得る侵入経路をより一層長くすることができる。よって、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。加えて、本実施形態では特に、第2バンク320は、電気泳動層23を囲む帯状の平面形状を有しているので、電気泳動層23を囲む周囲の全てにおいてシール材500を安定的に設けることができ、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
加えて、本実施形態では特に、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320(言い換えれば、有機絶縁膜300)は、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理によって、その表面が親水性となるように改質されている(即ち、製造プロセスにおいて、シール材500が凹部200に重なるように設けられる前には、有機絶縁膜300の表面は水酸基が誘起された活性な状態となっている)。よって、シール材500と凹部200との密着性を高めることができ、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
更に加えて、本実施形態では特に、保護基板50におけるシール材500が接触する部分は、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理によって、その表面が親水性となるように改質されている。よって、シール材500と保護基板50との密着性を高めることができる。従って、シール材500と保護基板500との界面を介して外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域へ侵入してしまうことを抑制或いは防止できる。この結果、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
次に、凹部200の平面形状について、図4を参照して説明する。
図4は、支持基板10上における凹部200の角部付近の平面形状を拡大して示す平面図である。
図4に示すように、本実施形態では特に、凹部200は、支持基板10上で平面的に見て、辺部よりも角部のほうが幅の広い形状を有している。即ち、凹部200のうち角部220は、凹部200のうち辺部210の幅W1よりも広い幅W2を有している。言い換えれば、凹部200は、電気泳動層23が設けられた領域(即ち、表示領域10a)を囲む矩形枠の平面形状を有するように、且つ、その角部において局所的に幅が広くなるように形成されている。
よって、製造プロセスにおいて、支持基板10及び保護基板50が貼り合わされる際に、シール材500が、シール材500を設けるべきでない領域(例えば、凹部200よりも支持基板10の外縁側)にはみ出して(或いは流出して)しまうことを回避できる。よって、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
尚、図4では、凹部200の角部の平面形状が丸型である例を示したが、凹部200の角部の平面形状は例えば角型であってもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、電気泳動層23に対する防湿性を高めることができる。更に、支持基板10の端部における衝撃によって層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5のいずれかの無機絶縁膜に生じたクラックが電気泳動層23が設けられた領域にまで広がって、表示上の不具合が生じてしまう事態を回避することができる。これらの結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
次に、上述した電気泳動表示装置1を製造する製造方法について、図5から図7を参照して説明する。
図5から図7は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図である。尚、図5から図7は、図2に示した断面図に対応して示してある。
先ず、図5(A)に示す工程において、支持基板10上に絶縁膜5を形成し、この絶縁膜5上にTFT30を形成する。この際、TFT30を支持基板10上の表示領域10aにおける画素毎に1つずつ形成する。TFT30の形成には、通常の半導体集積化技術を用いることができる。
次に、図5(B)に示す工程において、TFT30を覆うように層間絶縁膜42を形成する。続いて、画素電極9(図2参照)とソース・ドレイン電極33とを電気的に接続するためのコンタクトホール810を層間絶縁膜42にエッチングにより開孔する。一方、支持基板10上における凹部形成領域200a(図1も参照)に凹部200を形成する。より具体的には、支持基板10が露出するように凹部形成領域200aにおける層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5に対してエッチングを施すことにより凹部200を形成する。即ち、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5の各々の凹部形成領域200aに形成された部分をエッチングによって除去することにより、凹部200を形成する。よって、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5のいずれかの無機絶縁膜に、支持基板10の端部(或いは外縁)において衝撃が加わることにより、クラックが発生して表示上の不具合が発生してしまうことを抑制或いは防止できる。また、このように無機絶縁膜を除去することにより凹部200を形成するので、凹部200の深さを、無機絶縁膜の膜厚分だけ深くすることができる。尚、本実施形態では凹部200は矩形溝状の凹部であるが、凹部200はV字溝状の凹部であってもよいし、U字溝状の凹部であってもよい。
次に、図5(C)に示す工程において、表示領域10aにおける画素毎に、画素電極9を、コンタクトホール810を介してソース・ドレイン電極33に電気的に接続されるように形成する。
次に、図6(A)に示す工程において、凹部200を覆うように有機絶縁膜300を所定の膜厚を有するように積層することにより、第1バンク310及び第2バンク320を形成する。
次に、図6(B)に示す工程において、支持基板10上における表示領域10aに、電気泳動層23を形成する。この電気泳動層23の形成は、真空下又は減圧下で行うこと、或いはロールラミネーターを用いて行うことが好ましい。この場合には、支持基板10と電気泳動層23との間に気泡が介在してしまうことを抑制或いは防止できる。続いて、表示領域10aに、共通電極22が形成された対向基板20を、共通電極22が画素電極9と対向するように配置する。続いて、対向基板20における支持基板10に対向しない側に接着層51を形成する。
次に、図7(A)に示す工程において、例えば酸素(O2)ガス等を用いたプラズマ処理を行うことにより、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320の表面改質処理を行う。この際、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320は、それぞれの表面が親水性に改質される。つまり、有機絶縁膜300の表面は、水酸基が誘起された活性な状態となる。よって、シール材500と凹部200との密着性を高めることができ、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
次に、図7(B)に示す工程において、凹部200に防湿性を有する樹脂からなるシール材500を設ける。具体的には、シール材500を、凹部200内に重なるように例えばディスペンサー塗布法、インクジェット法、印刷法等によって描画することにより、電気泳動層23を囲むように(言い換えれば、表示領域10aを囲むように)例えば土手状に設ける。
尚、シール材500は、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。但し、シール500が熱硬化性樹脂からなる場合には、シール材500を硬化させるための熱処理によって電気泳動層23に悪影響を与えてしまうおそれがあるため、シール材500は光硬化性樹脂からなることが好ましい。また、シール材500中にギャップ材(例えばビーズ)を混入させてもよい。この場合には、保護基板50と支持基板10との間隔をより一定に保つことが可能となる。よって、電気泳動層23が変形してしまうことを抑制或いは防止できる。
その後、保護基板50(図2参照)を、表示領域10aにおいて接着層51を介して対向基板20と貼り合わせると共に、表示領域10aの周囲においてシール材500を介して支持基板10と貼り合わせる。この貼り合わせは、真空下又は減圧下で行うこと、或いはロールラミネーターを用いて行うことが好ましい。この場合には、保護基板50と接着層51或いはシール材500との間に気泡が介在してしまうことを抑制或いは防止できる。続いて、例えば光を照射することにより、シール材500を硬化させる。
ここで、本実施形態では特に、保護基板50を支持基板10と貼り合わせる前に、保護基板50におけるシール材500と接触する部分に、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理を行う。これにより、シール材500と保護基板50との密着性を高めることができる。従って、シール材500と保護基板500との界面を介して外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域へ侵入してしまうことを抑制或いは防止できる。
このようにして、上述した電気泳動表示装置1を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態では特に、支持基板10における保護基板50と対向する面に、電気泳動層23が設けられる領域を囲むように凹部200を形成する工程と、シール材500を、凹部200に重なるように設ける工程とを含むので、外部の水分がシール材500と支持基板10との界面を介して電気泳動層23が設けられた領域に侵入するのを抑制或いは防止できる。更に、本実施形態では特に、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5の各々の凹部形成領域200aに形成された部分をエッチングによって除去することにより、凹部200を形成する。よって、層間絶縁膜42及び41、ゲート絶縁膜2並びに絶縁膜5のいずれかの無機絶縁膜に、支持基板10の端部(或いは外縁)において衝撃が加わることにより、クラックが発生して表示上の不具合が発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電気泳動表示装置について、図8を参照して説明する。
次に、第2実施形態に係る電気泳動表示装置について、図8を参照して説明する。
図8は、第2実施形態における、図2と同趣旨の断面図である。尚、図8において、図1から図7に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。この点については、後述する図9においても同様である。
図8において、第2実施形態に係る電気泳動表示装置1bは、上述した第1実施形態における対向基板20に代えて対向基板20bを備える点、及び上述した第1実施形態における保護基板50を備えていない点で、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と概ね同様に構成されている。
図8において、支持基板10と対向基板20bとは、表示領域10aの周囲に設けられたシール材500によって互いに貼り合わされている。
対向基板20bは、本発明に係る「第2基板」の一例であり、例えばPET等の樹脂からなる透明な基板である。対向基板20b上における支持基板10との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。
本実施形態では特に、対向基板20bにおけるシール材500が接触する部分は、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理によって、その表面が親水性となるように改質されている。よって、シール材500と対向基板20bとの密着性を高めることができる。従って、シール材500と対向基板20bとの界面を介して外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域へ侵入してしまうことを抑制或いは防止できる。この結果、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
次に、上述した電気泳動表示装置1bを製造する製造方法について、図9を参照して説明する。尚、ここでは、図5から図7を参照して上述した電気泳動表示装置1の製造方法と異なる点について主に説明することとし、上述した電気泳動表示装置1の製造方法と同様の点については、説明を適宜省略する。
図9は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図である。
電気泳動表示装置1bを製造する製造方法は、上述した電気泳動表示装置1を製造する製造方法と同様に、図5(A)、図5(B)、図5(C)及び図6(A)に示す工程を含み、図6(A)に示す工程の後に、図9(A)に示す工程を行う。
図9(A)に示す工程において、支持基板10上における表示領域10aに、電気泳動層23を形成する。この電気泳動層23の形成は、真空下又は減圧下で行うこと、或いはロールラミネーターを用いて行うことが好ましい。この場合には、支持基板10と電気泳動層23との間に気泡が介在してしまうことを抑制或いは防止できる。続いて、例えば酸素(O2)ガス等を用いたプラズマ処理を行うことにより、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320の表面改質処理を行う。この際、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320は、それぞれの表面が親水性に改質される。よって、シール材500と、凹部200並びに第1バンク310及び第2バンク320との密着性を高めることができ、電気泳動層23に対する防湿性をより一層高めることができる。
次に、図9(B)に示す工程において、凹部200に防湿性を有する樹脂からなるシール材500を設ける。
その後、対向基板20b(図8参照)を、表示領域10aの周囲においてシール材500を介して支持基板10と貼り合わせる。この貼り合わせは、真空下又は減圧下で行うこと、或いはロールラミネーターを用いて行うことが好ましい。この場合には、対向基板20bと電気泳動層23との間に気泡が介在してしまうことを抑制或いは防止できる。続いて、例えば光を照射することにより、シール材500を硬化させる。
ここで、本実施形態では特に、対向基板20を支持基板10と貼り合わせる前に、対向基板20の概ね全面に共通電極22を形成すると共に、この対向基板20におけるシール材500と接触する部分に、例えば酸素ガス等を用いたプラズマ処理等の表面改質処理を行う。これにより、シール材500と対向基板20bとの密着性を高めることができる。従って、シール材500と対向基板20bとの界面を介して外部の水分が電気泳動層23が設けられた領域へ侵入してしまうことを抑制或いは防止できる。
このようにして、上述した電気泳動表示装置1bを製造することができる。
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図10及び図11を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図10及び図11を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
図10は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
図10に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
図11は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
図11に示すように、電子ノート1500は、図10で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、信頼性が高く、高品質な画像表示を行うことが可能である。
尚、本発明に係る電気光学装置は、上述した電子ペーパー及び電子ノート以外にも、各種のフレキシブルデバイスに適用可能である。
また本発明は、上述の実施形態で説明した電気泳動表示装置以外にも、有機EL(Electro-Luminescence)装置、液晶装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…支持基板、2…ゲート絶縁膜、5…絶縁膜、9…画素電極、10a…表示領域、20、20b…対向基板、23…電気泳動層、30…TFT、41、42…層間絶縁膜、50…保護基板、200…凹部、300…有機絶縁膜、310…第1バンク、320…第2バンク、500…シール材
Claims (11)
- 互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板間に設けられた電気光学層と、
前記第1基板上に設けられた画素電極と、
前記第1基板上に設けられ、前記画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜を含んでなるトランジスタと、
前記第1及び第2基板間に設けられ、前記第1及び第2基板を相互に貼り合わせるシール材と
を備え、
前記シール材は、前記第1基板における前記第2基板と対向する面に前記電気光学層が設けられた領域を囲むように形成された凹部に重なるように設けられており、
前記凹部は、少なくとも前記無機絶縁膜が部分的に除去されることにより形成されている
ことを特徴とする電気光学装置。 - 前記第1基板上における前記凹部よりも前記電気光学層が設けられた領域側に、前記凹部に沿うように設けられた第1凸部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
- 前記第1凸部は、前記電気光学層を囲む帯状の平面形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
- 前記第1基板上における前記凹部よりも前記第1基板の外縁側に、前記凹部に沿うように設けられた第2凸部を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記第2凸部は、前記電気光学層を囲む帯状の平面形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
- 前記凹部には、表面改質処理が施されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記第2基板における前記シール材が接触する部分には、表面改質処理が施されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記凹部は、前記第1基板上で平面的に見て、辺部よりも角部のほうが幅の広い形状を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 前記シール材は、防湿物質を含んでなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置。
- 互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に設けられた電気光学層とを備えた電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、
前記第1基板上に画素電極を形成する工程と、
前記第1基板上に、前記画素電極に電気的に接続されると共に無機絶縁膜を含んでなるトランジスタを形成する工程と、
前記第1基板における前記第2基板と対向する面に、前記電気光学層が設けられる領域を囲むように凹部を形成する工程と、
前記シール材を、前記凹部に重なるように設ける工程と、
前記第1基板と前記第2基板とを前記シール材によって相互に貼り合わせる工程と
を含み、
前記凹部を形成する工程は、少なくとも前記無機絶縁膜を部分的に除去することにより前記凹部を形成する
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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